GIVE ME FIVE / ANGEL HEART

ドイツのハード・ロック・バンドのデビュー盤。非常に叙情的で キャッチーなメロディが特色で、憂いを含んでいるが、 哀愁というような感じはあまりない。Waiting For You等実に 美しいし、メロディ・センス自体は悪くないとは思うのだが、 楽曲によってはやや盛り上がりに欠ける感じがする。全体的に 小粒という感じがする曲が多く、Waiting For You程度の出来の 曲がもう少し欲しいところだ。PETER WALDHELMのボーカルは特別 うまいという感じではないが、透った声質でバンドの方向性には 合っているだろう。[82]

ANGEL WITCH / ANGEL WITCH

N.W.O.B.H.M.バンドの1980年にリリースされたデビュー盤。 後にスラッシュ・メタル・シーンに多大な影響を与え、カルト的な 人気を誇ったが、方向的にはVENOM等に比べるとスラッシュ的な 要素はそこまで強くない。バンド名が示す通りの ブラック・メタルで、それに似合ったおどろおどろしい世界を 確立させている。それでいてただ暗いだけではなく、 アップ・テンポでメロディアスな楽曲は非常にのりが良く、 N.W.O.B.H.M.としては傑出した存在の一つだったことが十分 うなずける。N.W.O.B.H.M.らしくプロダクションはあまり良いとは 言えないが、この手のものとしては悪くないほうだ。 Angel Witch、White Witchという名曲を擁し、N.W.O.B.H.M.の 名盤というにふさわしい作品である。バンドはこれ一枚で解散した 後に復活するが、このテンションの高さを再び取り 戻すことがなかったのは残念だ。[90]

ANGELS CRY / ANGRA

元VIPERのボーカリスト、ANDRE MATOS率いる、ブラジルの ヘヴィ・メタル・バンドの1993年にリリースされたデビュー盤。 非常にクラシカルな雰囲気漂うヘヴィ・メタルで、ANDRE MATOSの ハイ・トーンが実に効果的で美しい。これをサポートするバックの 演奏も非常にハイ・レベルで、このバンドのテンションの高さが 伺える。楽曲の出来は全体的に非常に良く出来ていて、特に Carry Onを始め、名曲といってもよいレベルの曲もある。 方向的には初期VIPERと同じく、ジャーマン・パワー・メタルの 流れを組んでいると言えるが、そういった部類とは一線を 画しており、よりクラシカルだ。KATE BUSHのWuthering Heightsも 見事に歌いこなしており、見事だ。[89]

EVIL WARNING / ANGRA

ブラジルのヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤に続く1994年に リリースされたミニ・アルバム。と言ってもいわゆる新曲は全く 無く、デビュー盤の収録狂からリミックス3曲と Wuthering Heightsのエディット・バージョンの計4曲という 事になる。特にEvil Warningはボーカルを全て採り 直しただけあって、元のものよりはかなり強力になっている。 どれも元のものに対して、変なリミックスを行っている 訳ではなく、より完成度を高めるためのリミックスになっていて デビュー盤と合わせて聴けばうなずける内容だ。[87]

BAG OF TRICKS / ANNIHILATOR

カナダのスラッシュ・メタル・バンドの1994年にリリースされた 未発表テイク集。デビュー以前の1986年からの音源まで 収録されており、資料的にそれなりに貴重だと言えるだろう。 初期の名曲、Alison Hellのデモやリマスター・バージョン、 ライヴ他、初期の音源が結構多いので、今と比べるとより スラッシュ・メタル的で疾走感に溢れる内容になっている。 1986年のデビュー前の音源では、ボーカルはまるで デス・ボイスであり、混沌としたそのサウンドは今聴いても 凄いとしか形容出来ないものだ。あくまでも企画盤であり、内容も その範疇を超えるものではないが、それなりに面白い所もある。 [75]

SET THE WORLD ON FIRE / ANNIHILATOR

カナダのスラッシュ・メタル・バンドの1993年にリリースされた 3年振りの3rdアルバム。初期のサウンドから比べると、より メロディを全面に打ち出しており、部分部分によってははっきりと 叙情的な歌メロになっていたりする。初期のスラッシュ・メタル 然とした扇情的なサウンドもまだ健在で、初期からその後へと移り 変わっていく、ちょうど過渡期と言った所かも知れない。 ボーカルがアルバムごとに次々と変わり、次作ではJEFF WATERS 自身が取る事になったのもその辺の試行錯誤が原因かもしれない。 新ボーカルのAARON RANDALLがパワフルと言うより、表現力という タイプである所からもそう推察される。但し、スラッシュ的な 部分では逆に彼のボーカルが弱く感じられるのが残念だ。[78]

KING OF THE KILL / ANNIHILATOR

カナダのスラッシュ・メタル・バンドの1994年にリリースされた 4thアルバム。JEFF WATERS以外のメンバーが全て脱退してしまい、 JEFF WATERSの完全なソロ・プロジェクトと化している。 キャッチーさを出している前作から比べると、そういった部分は 全く排除されている。心配されるのはJEFF WATERSの ボーカルだが、彼のだみ声は、キャッチーさを排除したこの 作品にはそれなりにあっている。キャッチーさを排除したと 言っても印象的なメロディは随所にあり、それ程 スラッシュ・メタルという様な意識をさせない。荒々しいのりで 聴きごたえはそれなりにある。[82]

SPREADING THE DISEASE / ANTHRAX

アメリカのスラッシュ・メタル・バンドの1985年にリリースされた デビュー盤。METALLICA、MEGADETH、SLAYERと並び称される バンドだが、この中では最もメロディを押し出したバンドだった。 それが最も良い形で出ていたのがこのデビュー盤だった。その後、 よりスラッシュ的な方向に走ったために楽曲の幅が狭くなった 様なイメージを受けたし、更にその後パワー・メタルに走って 疾走感を失ったように感じる。楽曲によっては普通の ヘヴィ・メタル的な印象を受けるが、それが良い味 付けになっていると思う。バンドの代表曲の一つ、Madhouseの 疾走感とバラエティも豊かだった。[89]

AMONG THE LIVING / ANTHRAX

アメリカのスラッシュ・メタル・バンドの1987年にリリースされた 3rdアルバム。バンドとしてもまだ上り調子だった頃のもので、 その勢いは十分感じる事が出来る。バンドもまだ スラッシュ・メタル的で、JOE BELLADONNAの一本調子のボーカルも まだ持ち味を発揮している。I Am The Law、Indiansという バンドの代表曲とも言える楽曲が収められており、この辺りの テンションは凄い。但し、楽曲の出来、不出来の差はあり、 その他の楽曲は在り来たりと言う感を拭えないが、やはり スラッシュ・メタルの最高峰の一つだというテンションの高さは 十分感じられる。[83]

STATE OF EUPHORIA / ANTHRAX

アメリカのスラッシュ・メタル・バンドの1988年にリリースされた 4thアルバム。3rdまでまだあったリフは影を潜め、かなりメロディ 中心の楽曲にシフトしている。それでもまだリフはある程度打ち 出されていて、その後のよりパワー・メタル方向へのシフトを 考えると、過渡期的な作品と言って良いだろう。この パワー・メタル的なシフトがボーカルのJOE BELLADONNAと合わない 部分が多少見受けられ、この解離がJOE BELLADONNAの脱退へと 結びついていったのではないかと思える。楽曲は特別悪いと言う 事は無いのだが、前作までのバンドの代表曲たる様な楽曲が 見当たらず、印象の薄いアルバムとなってしまっているのは いかんともしがたい。[80]

PERSISTENCE OF TIME / ANTHRAX

アメリカのスラッシュ・メタル・バンドの1990年にリリースされた 5thアルバム。前作での路線変更をそのまま押し進めた形の 作品で、リフはかなりはっきりと刻まれてはいるものの、 スラッシュ・メタル的な色合いはより薄くなったと言って 良いだろう。しかし、その変化自身にバンド自体はついて 行っておらず、アイデアばかり先行してしまった結果がこういう 作品になったのだろう。どうもこなれておらず、楽曲に 面白味がないのは、どういうアレンジが良いかと言う事まで突き 詰めれていないためと思える。過渡期的な作品で、この バンドとしては最も面白味に欠ける作品だ。[78]

ATTACK OF THE KILLER B'S / ANTHRAX

アメリカのシュラッシュ・メタル・バンドの1991年に リリースされた企画盤とも言うべきアルバム。新曲が3曲の他、 再レコーディングが3曲、ライヴ3曲、N.F.E.等に収められていた カバー4曲という構成になっている。新録のMilkと Chromatic Deathはハード・コア・バンドS.O.D.でやっていた 曲で、もう1曲がI'm The Manという企画盤らしい選曲だ。新曲の Bring The NoiseはラップのPUBLIC ENEMYのカバーで、企画盤で 良くラップをやっている彼等ならではカバー。 Startin' Up A Posseはヒップ・ホップのジョークみたいな 物だろう。N.F.B.はアコースティック・バラードという事で新曲は どれも明らかに企画的な色合いが強い。ライヴはそれ程録音状態は 良くないが、彼等のライヴの雰囲気が良く伝わってくる。[78]

SOUND OF WHITE NOISE / ANTHRAX

アメリカのスラッシュ・メタル・バンドの1993年にリリースされた 3年振りの6thアルバム。方向的には前作の路線がそのまま 継承されており、パワー・メタル的な色合いが濃い 作品となっている。特に顕著なのはボーカル・ラインの メロディで、スラッシュ・メタルの攻撃的なものと言うよりも、 はっきりと歌ものとしての意識が強く打ち出されている。楽曲は 方向転換してから、これまでよりもこなれて来たという感じを 受けるが、その分インパクトも低い。楽曲の出来などは、決して 悪い訳ではないが、旧来のANTHRAXファンにはパンチの足らない 作品だろう。4曲入りのボーナスCDが付いた2枚組みで、 THIN LIZZYのCowboy Song、CHEAP TRICKのAuf Wiedersehen、 BEASTIE BOYSのLooking Down The Barrel Of Gunとカバーが 中心になっている。Cowboy Songは少しらしくないが、 Auf Wiedersehenは彼等らしい味付けになっている。[80]

LIVE THE ISLAND YEARS / ANTHRAX

アメリカのスラッシュ・メタル・バンドの1994年にリリースされた 初のライヴ・アルバム。JOHN BUSHがボーカリストとして 加入してから、その方向性を大きく変えたが、ライヴでは初期の 楽曲も数多くやっており、昔からのファンにも馴染みの持てる バランスの良い作品となっている。JOHN BUSHのボーカルで聴くと 違和感を感じなくもないが、Indians等が入っているのはやはり 嬉しい。残念のは名曲中の名曲、Mad Houseが入っていない 事だろう。どうせなら2枚組み位のボリュームがあっても 良かったのではないかと思うが。[82]

THE TRUTH / ANTIDOTE

フィンランドのパワー・メタル・バンドの1992年にリリースされた デビュー盤。リフをザクザクと刻んできて、やや スラッシュ・メタルっぽい部分を持っている。不安感を煽るような 扇情的なメロディで、勢いとのりは十分感じられる。楽曲が 洗練されていない感じを受けるが、そういうところで逆に良い 効果を出していると言えなくもない。但し、楽曲にそれ以上の 面白味が感じられず、どの曲もあまり変わり映えしないなという 印象を受ける。のりを重視する人にはそれなりに聴きごたえがある 作品だろう。[78]

VEMOD / ANEKDOTEN

スウェーデンのプログレッシヴ・ロック・バンドの1993年に リリースされたアルバム。方向的には、初期KING CRIMSON等に 影響を受けたと思われるようなヘヴィなサウンドの プログレッシヴ・ロックで、ハード・ロック方面ファンにも受け 入れられるだろう。陰鬱さとヘヴィさの対比は中々面白いし、 メロトロンやチェロの取り入れ方も悪くない。楽曲の中での起伏は それなりにあるのだが、楽曲個々を比べると、Longingでの アコースティック・ギターを除けば、今一つ幅広さが見えて 来ないのが残念だ。全体的な楽曲の出来、構成、演奏は 悪くないし、今後が楽しみなバンドだ。[84]

HYBRIS / ANGLAGARD

スウェーデンのプログレッシヴ・ロック・バンドの1992年に リリースされた4thアルバム。収録曲は全4曲だが、 Ifran Klarhet Till Klarhetを除き10分を超えると言う 大作指向型だ。ハードな部分も持ち合わせているが、難解な メロディはいかにもプログレッシヴ・ロックという感じをさせる。 こういう難解な流れを好むハード・ロック・ファンはどれだけ 居るか疑問なので、プログレッシヴ・ロックが好きでなければ 合わない様な気もする。静と動が入り乱れるそのサウンドは中々 興味深いし、フルートの美しい音色も興味を引くので、その手が 好きな人は一聴の価値はあると思う。[82]

LIVE / ANGEL WITCH

N.W.O.B.H.M.バンドの1990年にリリースされたライヴ盤。 再結成後で、もう当初のバンドの勢いはもう微塵もなかった 訳だが、収められている11曲中8曲がデビュー盤からであることが そういった事実を如実に物語っていると言えるだろう。名盤と 詠われたデビュー盤が中心だけに、例え再結成後の 音源であろうとも、良い曲が取り揃っているのはありがたい。特に 名曲、Angel WitchからWhite Witchで閉める辺りは十分感動 出来る。ライヴの出来も、録音状況を含め、それ程 悪くはないので、ファンならば聴く価値は十分あるだろう。[83]

THE SILENT ENIGMA / ANATHEMA

イギリスのゴシック・メタル・バンドの1995年にリリースされた 2ndアルバム。ボーカルが、DARREN J.WHITEより VINCENT CAVANAGHに交代しての初のアルバムとなる作品だ。 ゴシック・メタルのバンドの中ではかなりドゥーム・メタルに近い スタンスのバンドで、この作品でも随所にそう言った部分が 窺える。所々非常に重いリフが陰鬱に繰り返され、静と動の コンストラクトが非常に良く映えている。他の ゴシック・メタル・バンドと比べると聴きやすさでは一歩譲るが、 全体的な構成では決してひけを取っていないし、独創性がある。 重々しさを押出ながらも物悲しい雰囲気を欠いておらず、 まさしくドゥーム/ゴシックと呼べる作品だ。VINCENT CAVANAGHの ボーカルは、より暴虐的で、その分ドゥーム色の強い作品に 仕上がっている。[89]

TOTAL / ANTIDOTE

フィンランドのパワー・メタル・バンドの2ndアルバム。機械的な ギター音等、無機質な感じはあるが、それ自身の音的な 効果としては悪くない。STRATOVARIUSのTIMO TOLKIがミックスし 直しているだけに、サウンドはクリアになっているものの、 それでも全体的にプロダクションのチープな感は拭えず、どの程度 効果があったかは判らない。TIMO TOLKIが絡んでいると言っても、 STRATOVARIUSとは音楽的な共通点はなく、全体的に スラッシュ・メタルっぽい雰囲気がある。ギター・リフなどは 面白いが、これらのプラス点をうまく楽曲中に生かすまでに 至っておらず、凡庸の域を脱していない。[79]

EAR X-TACY / ANDY TIMMONS

アメリカのハード・ロック・バンド、DANGER DANGERの 元ギタリストによる初のソロ・アルバム。当初自費出版として 通信販売でのみリリースされていた様だが、日本ではSONY参加の 新レーベルよりリリースされた。DANGER DANGERの様な、 キャッチーさやポップさは無く、DANGER DANGERとはまた一線を 画している。全曲ギター・インストゥルーメンタル・ナンバーで、 JOE SATRIANIをもっと落ち着かせて叙情的にした感じの アルバムだ。とは言っても、テクニック垂れ流しという 感じはなく、かなり自然に聴ける作品に仕上がっている。[84]

PENTECOST III / ANATHEMA

イギリスのゴシック・メタル・バンドの5thアルバム。 ゴシック・メタルとしてはかなりドゥーミィでヘヴィなサウンドを 追求しており、耽美派のドゥーム・メタルと言っても良い様な 作品だ。5曲で40分以上と大作主義で、特に激しい展開がある 訳でもないのだが、独特の雰囲気がそれ程飽きさせない。 Kingdomでスローで重厚な淡々としたイントロから徐々にテンポを 上げて雰囲気を盛り上げていく辺りの構築美は素晴らしい。 DARREN J.WHITEのボーカルはMY DYING BRIDEのボーカルをもう ちょっとしゃがれさせたような感じで、毛色としては合っている。 陰鬱で重々しい楽曲ばかりだが、重厚で尚かつドラマティックだし メロディも良い出来だ。[86]

BUILDING ON TRADITION / ANDY McCOY

フィンランドのハード・ロックンロール・バンド、HANOI ROCKSの 元ギタリストであり、メイン・コンポーザーでもあるANDY McCOYの ソロ・アルバム。HANOI ROCKSの解散後、中途半端でほとんど まともな活動をしてこなかったのだが、こうして作品を聴くと 彼こそがHANOI ROCKSそのものであったと認識出来る。 MICHAEL MONROの方がある意味では活動が派手ではあったのだが、 HANOI ROCKSの影をあまり感じる事はなくて物足りなかっただけに 感慨も一塩だ。あくの強い何となく憂いを感じるサウンドは 健在だが、より甘く切ないメロディでENUFF Z'NUFFを思い 起こさせる部分もある。楽曲の出来は素晴らしいし、じっくりと 聴き込める良い作品だ。[89]

STOMP 442 / ANTHRAX

アメリカのスラッシュ・メタル・バンドのアルバム。JOHN BUSHが 加入して2作目となるが、JOE BELLADONNA在籍時から徐々に 起こっていたサウンドの変化の中で、ボーカルが JOE BELLADONNAからJOHN BUSHに交代したのが自然の 流れだったということが良く判る。楽曲が全体的にヘヴィで跳ねた 感じがするのは、DAN SPITZの脱退のため、PANTERAのギタリストの ヘルプを仰いでいるのが若干影響しているのかもしれない。 そのため、インダストリアル的な部分も若干見受けられるが出来 自体は決して悪くはない。Remember Tomorrowはまさしく ボーナス・トラックでアルバム全体からは浮いている。[83]

IF WERE... / ANXIETY

カナダのハード・ロック・バンドのアルバム。GUY HABREの ボーカルは奇麗とはとても言いがたいが、ALICE COOPERの様に 味があって特徴的だ。中々良いメロディ・センスを持っていて、 叙情的でなんとなく切ない楽曲に、このダミ声っぽいボーカルが 絡むと何とも不思議な魅力が引き出されて来る。特にOnnie等は 憂いを含んだ疾走感のある楽曲で、中々格好の良い佳曲だ。 ただし、後半はなんとなく旨く纏めてしまっている上に、この ボーカルの魅力も生かし切れていないので尻切れトンボに 終わっている感は拭えない。[83]

NUCLEUS / ANEKDOTEN

スウェーデンのプログレッシヴ・ロック・バンドの2ndアルバム。 方法論的には明らかにKING CRIMSONの影響を受けているが、非常に ヘヴィなサウンドを奏でながら、陰鬱で静的な音作りは独自の 世界を築き上げている。ダークで難解な展開を持ち、逆にそれが 取っ付きにくくもしているのだが、更に前作よりキーボードに 美しさを感じられないのが難点だ。しかし、ヘヴィな分だけ メタル側のリスナーにはまだ聴き易い部分もあるだろう。チェロや メロトロンを持ち込み、こういった音楽観を効果的に 構築している。枯れたセピア色を思わせる陰影のあるメロディは 実に味わい深いものがある。[81]

HOLY LAND / ANGRA

ブラジルのヘヴィ・メタル・バンドの2ndアルバム。方向的には メロディック・スピード・メタルと言われるもので、 デビュー盤ではクラシカルな要素とジャーマン・パワー・メタル 的な要素が見事に融合した素晴らしい作品だったが、今作ではより クラシカルな部分を打ち出しており、そのために若干バランスが 崩れている様にも感じる。クラシカルでプログレッシヴ・ロック 的な部分が強く、楽曲によっては少し聞きづらい部分もあるが、 全体的な完成度は非常に高く、前作に負けず劣らず ドラマティックな作品に仕上がっている。タイトル・トラックの 様に、もうヘヴィ・メタルとは言えないような楽曲もあるし、 前作に比べて不満はなきにしもあらずなのだが、作品のレベルは 非常に高い。[86]

REFRESH THE DEMON / ANNIHILATOR

カナダのスラッシュ・メタル・バンドの5thアルバム。 JEFF WATERS自身がボーカルを取る様になり、ほとんど彼の プロジェクトと化している。決して旨いとは言いがたい JEFF WATERSのボーカルだが、それなりにさまにはなっている。 前半はこれまでの彼等の路線を踏襲しているのだが、後半では 非常にポップでキャッチーになっており、その分どうしても 疾走感が失われている様に感じられるのは致し方ないだろう。 楽曲の出来はまずまずと言ったレベルで、特に可も無し不可も 無しと言ったところだ。[79]

FUELED EP / ANTHRAX

アメリカのスラッシュ・メタル・バンドの来日記念盤の ミニ・アルバム。7曲中5曲がアルバム未収録曲で、うち4曲が KISSのWatchin' You、HUSKER DUのDethroned Emperor、 CELTIC FROSTのCelebrated Summer、THE POLICEの No Time This Timeと言うカバー曲だ。選曲的にもそうだが、 アルバムに収録されなかっただけあって、彼等としては今までとは 少し違う一面も見えて来る。Fueledのリミックスはかなり インダストリアル的だし、Watchin' You、Deathroned Emperorは かなりドゥーミィな雰囲気が漂っている。No Time This Timeは かなり異色でかつてのGot The Time的な色合いを感じる。[79]

TRANSPLANTATION / ANGEL HEART

ドイツのハード・ロック・バンドの2ndアルバム。デビュー盤では その音楽的方向性はかなりポップであったが、その一方で楽曲は 今一つ中途半端でどうも煮え切らない作品と言う印象があった。 今作ではボーカル・ラインのキャッチーさは保ちながらも、 バックのサウンドは幾分ダークでもたった 感じのするものになっており、煮えきらなさは相変わらずだ。 のりの悪さは顕著で素材はそれほど悪くないと思えるだけに 残念だ。これと言った楽曲もないし、もう少し曲作りで 進歩がないと少し苦しいと言わざるを得ない。[78]

SERENADES / ANATHEMA

イギリスのゴシック・メタル・バンドで1993年にリリースされた デビュー盤。この手のバンドの中ではよりドゥーム的で最も ヘヴィなバンドであるが、このアルバムではよりそれが顕著だと 言って良いだろう。ボーカルは次作以降も担当している DARREN WHITEなのだが、この作品ではデス・ボイスを使っている。 故にPENTECOST III以降程、耽美さを感じさせる事はないが、女性 コーラスとアコースティック・ギターのみの J'ai Fait Une Promesse等、所々ゴシック・メタルの雰囲気が 香ってくる部分もある。ボーナス・トラックはPENTECOST IIIの 頃に録音れたものだが、ボーナス・トラック以上としての 価値はない。[72]

THE CRESTFALLEN EP + PENTECOST III / ANATHEMA

イギリスのゴシック・メタル・バンドの1992年にリリースされた THE CRESTFALLEN EPと1995年にリリースされたPENTECOST IIIの 2枚のEPをカップリングしたもの。THE CRESTFALLEN EPは1st フル・アルバムSERENADES以前に発表された物で、PENTECOST IIIは SERENADESの後に発表された物である。PENTECOST IIIなどは40分を 越える作品でアルバムと言っても良いボリュームがある。先に 発表されたTHE CRESTFALLEN EPは基本的にSERENADESと同じ 路線であり、DARRENはデス・ボイスを使い、楽曲的にも ゴシック的な耽美さを醸し出す部分はそれ程多くない。 それに対し、PENTECOST IIIでは明らかな方向転換を見せており、 DARRENのボーカルもデス・ボイスから呪術的な詠唱に 変わっている。楽曲的にもよりドゥーミィでメランコリックな ものであり、ここにANATHEMAの現在のスタイルが確立されたことが 感じられる。ゴシック・メタルの作品としてもPENTECOST IIIは 非常に出来が良い必聴作品だ。[85]

PLUGGED IN PERMANENT / ANVIL

Super Rock '84でも来日した事で知られるカナダの スピード・メタル・バンドの5年振りのアルバム。よりヘヴィで ダークな作品だが、その疾走するスピード・ナンバーのベースには 明らかにMORTORHEADの影響が伺える。LIPSのボーカルに LEMMYっぽいところが伺えるので、そう言った感が更に強く 感じられる。モダンな感じも受けるが、Truth Or Consequence等は BLACK SABBATHっぽかったり、スラッシィーと言う 感じがしたりする。彼等の身上である、スピーディーで破天荒は 良く出ており、そういう部分はらしい作品と言える。[85]

BURIED ALIVE / ANGLAGARD

スウェーデンのプログレッシヴ・ロック・バンドによる3枚目の アルバムとなるライヴ盤。既にバンドは1994年に解散しており、 これはバンドとしての活動のほぼ最後頃となる1994年の PROGFEST'94での音源である。音楽的には、叙情的で シンフォニックな部分も持ちながら、よりヘヴィで複雑な 展開があり、どことなく物悲しく、扇情的で威圧感のある メロディがまた違った世界を描き出している。フルートや メロトロンを導入したサウンドは緊張感があって生々しいし、 演奏的なレベルは高くて、ライヴとは思えない完成度だ。[84]

BEST II / ANTHEM

日本のヘヴィ・メタル・バンドによる1992年にリリースされた 2枚目のベスト盤。1枚目のベスト盤を出してそれ程たっていない 事もあり、選曲的には1枚目のベスト盤のおこぼれ的で、内容的に 劣るのは致し方ないと言ったところだろう。硬質でパワーのある サウンドは迫力を感じさせ、各曲ともそれなりに良く 出来てはいるが、ベストというには核となる名曲と呼べるに足る 楽曲が見当たらないのが何とも寂しい。そういう意味からも、何故 このベスト盤をリリースしたのか理解に苦しむところだ。 ベスト盤と言うには弱い気はするが、単体で取ってみるとそれほど 悪い作品ではない。[76]

FREEDOM CALL / ANGRA

アルバム未収禄曲、未収禄バージョンからなるミニ・アルバム。 実質的な新曲はタイトル・トラックのFreedom Callだけで、 もう一曲のアルバム未収禄曲Reaching Horizonsはデビュー前の デモ・テープに収録されたものを録音しなおしたもので、この デモのバージョンはアメリカのファン・クラブ用にリリースした アルバムに収録されている。このANDRE MATOSがしんみりと 歌いあげるバラードのReaching Horizonsは聴きごたえがある。 Queen Of The Nightは日本盤のHOLY LANDに ボーナス・トラックとして収録されていたものを リミックスしたもので、オーケストレーションを加えている。 Stand Awayはアコースティック・ギターと オーケストレーションによるバージョン。Pain Killerは既に JUDAS PRIESTのトリビュート・アルバムに収録されているもので 特に取り上げるものはない。[82]

BEST / ANTHEM

日本のヘヴィ・メタル・バンドによる1990年にリリースされた 初のベスト盤。選曲的にも彼等の代表的なナンバーと言えるもので 問題無いし、彼等の入門用としてはちょうど良いアルバムだろう。 全10曲中8曲の歌詞が日本語なので、ジャパニーズ・メタルは ちょっとと言う人もいるだろうが、そういう先入観なしで 聴いてもらいたい位のレベルにはあり、海外の下らない バンドよりは遥に出来は良いし、いかにもヘヴィ・メタル然とした 楽曲は今聴くと中々新鮮だ。適度にメロディアスで、適度に 攻撃的で中々良いバンドであったと改めて思えるだけの内容だ。 [83]

ARMED AND DANGEROUS / ANTHRAX

デビュー・アルバム発表後、ボーカルがJOE BELLADONNAに 交代しての初の音源となる1985年にリリースされた デビュー・アルバム。パワー・メタル的色彩が強く出ており、 オープニング・トラックのArmed And Dangerousのメロウで もの哀しいアコースティック・ギターに切々とJOE BELLADONNAが 歌う導入部は少し驚くが、スラッシィな部分も十分味わえる。 SEX PISTOLSのGod Save The Queenのカバーをやったり Metal Thrashing MadやPanicをJOEのボーカルで取り直したりと、 企画盤的色合いが強い。デビュー・シングルの Soldiers Of MetalとHowling Furiesを ボーナス・トラックとして収録しているが、内容は それなりだろう。[77]

NO SMOKE WITHOUT FIRE / ANTHEM

日本のヘヴィ・メタル・バンドの1990年にリリースされた 6thアルバム。キーボードに元RAINBOWのDON AIREYがゲストして 参加しているが、だからと言ってキーボードがそれ程前に出過ぎる 様な事はなく、ちょうど良い配分だ。全編通して楽曲が良いとは 言い難いが、Love On The Edgeの様な流れるようなメロディの 楽曲はともかく、エモーショナルな森川之雄のボーカルは、楽曲が はまると素晴らしい。Power & Bloodは全体の流れからすると、 ずれている様な感じがして、なかった方が良かっただろう。 プロダクションも悪くないし、全体的に良く出来ている アルバムだ。[83]

'82 REVISITED / ANGEL WITCH

イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの未発表音源集。 N.W.O.B.H.M.の知る人ぞ知るバンドで、どう言う経緯でかは 判らないが、1982年に行われたライヴがPAUL SAMSON絡みで リリースされた。全11曲中ライヴが8曲、スタジオ録音が3曲と言う 構成になっている。ライヴは音量レベルが今一つ 安定していないのが残念だが、録音状態はそれほど悪くなく 出来的にも問題ない。代表曲とも言えるAngel Witchや White Witchも入っているし、かつて出したライヴともだぶらない 曲もあり、スタジオ・バージョンのものも貴重だし、価値は結構 高い。[87]

REACHING HORIZONS / ANGRA

アメリカのファン・クラブ用に作成されたCDで、内容は デビュー前に作成されたデモ・テープの6曲に3曲の ボーナス・トラックを付けたもので構成されている。 デモ・テープはその後デビュー盤や2ndのボーナス・トラック、 ミニ・アルバムに録音しなおして収録されているが、確かに アルバムのバージョンより洗い物のさすがというだけの 出来ではある。秀逸なのはボーナス・トラックとして 収められている未発表曲Don't Despaurだ。ANGRAっぽくない曲と 言うことで多分没になったのをここに入れたのだろうが、非常に 格好の良いスピード・チューンでファンのみならず聴いて欲しい 曲だ。ファン必須アイテムと言えるだけの内容である。[87]

IN COMMAND(LIVE 1989-1990) / ANNIHILATOR

カナダのヘヴィ・メタル・バンドの初のライヴ盤。どう言う経緯で それが、今のではなく初期の音源でリリースされる 運びになったのか判らないが、JEFF WATERSがボーカルを兼任する 前の音源で、前任の二人のボーカリスト、RANDY RAMPAGEと COBURN PHARR両方の時代に跨っている。JEFF WATERSの ボーカルは、それはそれで味があると思うが、やはり COBURN PHARRが一番合っていると思えるだけの歌声を 聴かせてくれている。演奏も良い出来で、今の音源を アルバムにするよりは却って吉となっているのではないだろうか? [87]

NO COMPROMISE / ANGER

テクニカルなメロディアス・ヘヴィ・メタルが中心の Lucretia Recordsとしては珍しいデス・メタル・バンド。 元DEATH SSのドラマーROSS LUKATHER擁するイタリアの デス・メタル・バンドによるデビュー・ミニ・アルバム。 こもった咆哮型デス・ボイスは少し聴きがたいが、演奏は ちゃんとしていてそれなりに聴ける。正統とでも言うべき ブラスト・ビートが中心のテクニカルなデス・メタルだが、 デス・ボイスを除けば、それほどブルータルな色合いは強くなく、 この手のものとしては聴きやすい方だろう。[78]

HOLY LAND / ANGRA

ブラジルのヘヴィ・メタル・バンドの2ndアルバムに3曲入りの アコースティック・ライヴ・アルバムをパッケージした2枚組み 特殊パッケージの限定盤。2ndアルバムの内容自体は全く 変らないそのままの内容で、アコースティックの ミニ・ライヴ・アルバムの方だけが新しい内容となっている。 アコースティック・ライヴでも、相変わらずANDRE MATOSは 素晴らしい歌声を聴かせてくれており、楽曲的にも アコースティックに非常にマッチしていて、その魅力は十分 味わえる。わずか20分足らずだが、今更通常盤を買うならこちらを 購入するほうが良いだろう。[90]

ETERNITY / ANATHEMA

イギリスのゴシック・メタル・バンドの3rdアルバム。現 THE BLOOD DIVINEのボーカリストであるDARREN J.WHITEを首にして 2作目になるが、VINCENT CAVANAGHのボーカルもこれはこれで 悪くない。重苦しさはあまり変わらないが、メロディは より判りやすくなっており、展開というものを感じられる。 元々はドゥーム色の強いバンドだったが、ドゥーム色はやや減じて プログレッシヴ色が出てきている。やや淡々とした感じがするが、 それがうら侘しさを出していて、今作では独特の雰囲気を 作りあげるに至っている。そういう意味ではANATHEMAに ドゥーム色が強い作品を求めるファンにはやや不満が 残るかもしれないが、耽美で叙情的な良い作品である。[85]

EAR X-TACY 2 / ANDY TIMMONS

元DANGER DANGERのアメリカ人ギタリストによる 2ndソロ・アルバム。インストルゥーメンタルとボーカル入りが 半々位の割合で入っているが、自身のボーカルは下手とは決して 言えないもののバックに負けているという印象を受ける。 ボーカル入りとインストルゥーメンタルの曲で少し方向性に ずれが見えて解離しているような印象も受けろ。 インストルゥーメンタルがギター・テクニック中心であるのに ボーカル入りが押さえた部分が多分にあるからだろう。 どちらかに比重を重くしたほうが統一性が見えて 良かったのではないかと思う。DANGER DANGERとはかなり方向性を 異にしているが、メロディ・センスはさすがだし、決して 駄作ではないのだが。[80]

DIE KEMENATES SCHARIACHROTER LICHTER / ANGIZIA

詳細は良く判らないが、ゴシック/ブラック・メタル・バンドの アルバム。5曲の組曲からなり、全66分と超大作指向だが、 それほど派手な展開がある訳ではない。ピアノを多用した、軽めの サウンドなのだが、だからと言ってシンフォニックという 風でもない。オペラティックに、あるいは民族音楽的に迫り、 AASTEDETの美しいソプラノを中心にブラック・メタル・ボイスを 絡めていく。どうもブラック・メタル・ボイスがそぐわないのは 遺憾ともし難いが、割とオリジナリティを見せていて、組曲 構成にする必要性はあまり感じないが、割と良い出来だ。[80]

CANTARA ANACHORETA / ANTICHRISIS

詳細は良く判らないが、おそらくドイツの ゴシック/デス・メタル・バンドのアルバム。メンバー構成は良く 判らないが、デス・ボイスにクリア・ボイス、女性ソプラノの コーラスを入れている。プロローグと本編、エピローグの 3部構成による組曲形式になっている。なんとなく古めかしさを 感じさせる女性コーラスを入れたり、民族歌謡的なサウンドを 取り入れたりとかなりユニークで、その試みは買える。 アコースティックな部分を取り入れ、耽美さを強調した作品で、 部分部分的には面白いのだが、どうもだれる感があるのは 遺憾ともし難い。[74]

HEAVY MACHINERY / ANDERS JOHANSSON JENS JOHANSSON AND ALLAN HOLDSWORTH

JOHANSSON兄弟が、ギタリストALLAN HOLDSWORTHと組んだ プロジェクト・バンドのアルバム。大物ALLAN HOLDSWORTHと やっているだけあって、ヘヴィ・メタル的要素はまるでない。 いわゆるフュージョン風の作品で、それぞれのメンバーの演奏力は 実証済みで間違いのないところなのだが、この内容を ヘヴィ・メタル系のファンが聴いて面白いかというと、とても そうは言えないだろう。要はALLAN HOLDSWORTHを聴くあたりの 人向けのものという事だろう。出来の善し悪しとは関係無しに そういったものが好きでなければ受け付けないのでは ないだろうか。[80]

COME IN FROM THE RAIN / ANDI DERIS

HELLOWEENのドイツ人ボーカリストによる初のソロ・アルバム。 ANDI DERISはHELLOWEENにPINK CREAM 69のエッセンスを 持ち込んだが、決してHELLOWEEN的な色合いを失った 訳ではなかった。そういう意味では、このアルバムはANDI DERISが PINK CREAM 69でやっていた音楽を素直に出したものといえる。 PINK CREAM 69のその後の変質を見れば、彼こそがPINK CREAM69で あった事は火を見るより明らかだ。扇情的で哀愁のこもった メロディはやはりANDI DERISならのものであり、HELLOWEEN 建て直しに一役買ったとはいえ、それでもPINK CREAM 69を やめてしまったのはもったいないと思わせるだけの内容だ。彼の 独特の声質も情感を盛り上げているし、PINK CREAM 69ファンには 間違いのない作品だ。[88]

HOLY LIVE / ANGRA

ブラジルのメロディアス・ヘヴィ・メタル・バンドの昨年末の パリ公演の模様を収めたライヴ・ミニ・アルバム。 ミニ・アルバムという性質上致し方ないのだろうが、やはり途中で 切れてしまってフェイド・アウトしてしまうのは興ざめだ。 そのせいだけではなくて、どうも全体的に軽くて臨揚感に欠けて 散漫で盛り上がり切らないというのが正直な感想だ。 ライヴ・パフォーマンスは確かなバンドだけに少し残念な 気もするし、ちゃんとしたライヴ・アルバムを出すときには そういった部分が解消される事を祈るばかりだ。[79]

REMAINS / ANNIHILATOR

今や、JEFF WATERSのソロ・プロジェクトとして活動している カナダのスラッシュ・メタル・バンドの6thアルバム。かなり モダンな作品で、かつサンプラー等を使っている事もあり、かなり 機械的でインダストリアル的な風味がある。特にNo Love等は一種 インダストリアル・ロックと言っても良いような曲だ。全体的に 見ると、こういったものからバラードまでと方向的にかなり 幅広くやっており、拡散したような印象を受ける。これといった 曲もないので、その分散漫な印象になってしまっているように 思える。ボーナス・トラックのインストルゥーメンタルBASTIAGEの キーボードとの取り合わせが意外と面白い。[78]

GOT THE TIME / ANTHRAX

アメリカのスラッシュ・メタル・バンドで、1991年に リリースされたアルバム、PERSISTENCE OF TIMEよりの 2ndシングル。タイトル・トラックであるシングル・カット曲は JOE JACKSONのカバー曲で、その他に1990年に行われた東京で 行われた公演でのI'm The Manのライヴ・バージョンと ラップ・ナンバーのWho Put This Togetherの3曲と言う 構成になっている。Who Put This Togetherは伊藤政則の声が サンプリングされている事で話題を呼んだが、その外にも サンプリングされている女性の声は西森マリィだろう。[78]

DAS TAGEBU HANNA ANIKIN / ANGIZIA

詳細は良く判らないが、ブラック/ゴシック・メタル・バンドの アルバム。全6曲からなる、前作同様の組曲になっているようで、 1832年のロシアを舞台とした物語の様だ。前作と比べると男女の クリアボイスに、ブラック・メタル・ボイスは変っていないが、 内容的には遥かにシアトリカルな雰囲気に満ちており、 民族音楽的な雰囲気はそれ程強くない。ピアノが大幅に フューチャーされており、それ故にメタル的な雰囲気も更に 無くなっている。耽美さを残しているメロディが、かろうじて ゴシックらしさを残しているが、どちらかというと シアトリカル・ロックと言ってしまっても良いくらいだ。[76]

ANGELICA / ANGELICA

アメリカのソング・ライター、プロデューサーで、自らも アルバムをリリースしている、CLIF MAGNESSがプロデュースする、 ロックとオペラを融合したプロジェクト・アルバム。 プッチーニ作の蝶々夫人等、オペラの名曲をロック風に アレンジして演奏したものだ。オペラらしく、ボーカルはそれに 沿ったソプラノで歌い上げられている。CLIF MAGNESSが どちらかというとポップよりの人なので、かなりそういう印象の 強い作品作りになっているが、楽曲によっては完全に テクノ調とでも言うべきものに仕上げている。STEVE VAIや ERIC JOHNSON等が参加していて、そういう部分では結構ハードな 感じもする作品だ。アイデアは面白いと思うが、オペラ調の ソプラノが聴けるかどうかでかなり印象が変わると思うが。[82]

LIVE EP / ANEKDOTEN

スウェーデンのプログレッシヴ・ロック・バンドの ライヴ・ミニ・アルバム。1997年の来日に合わせて リリースされた、1996年の公演の模様を収めた4曲入り作品だ。 楽曲的にはKING CRIMSONの影響の見える、如何にも プログレッシヴ・ロックらしい楽曲だが、かなりハードな作風で、 ハード・ロック方面のファンにも十分聴き応えのある バンドのはずだ。緊張感のあるメロディに静と動を対比させた グルーヴィな楽曲は思わず引き 込ませるだけのものにはなっている。ここで聴かれるライヴ 演奏も、スタジオ作品に比べて見劣りしない。[83]

VOLUME 8-THE THREAT IS REAL! / ANTHRAX

アメリカのスラッシュ・メタル・バンドの8thアルバム。初期とは また趣が違ってしまったが、4thアルバム以降の不振を 脱したかのような、勢いの感じるアルバムに仕上がっている。 エッヂが効いていてのりが良く、Crush等はそのビートは圧巻だ。 メロディを強く打ち出しながらも、グルーヴィでコアなサウンドは バンドとしての新機軸を打ち出したと言って良い。JOHN BUSHの そのボーカル・スタイルは、バンドのスタイルに合っていないと 常々感じていたが、ここでやっと両者のスタイルが合致したと 言って良い。跳ねたリズムはフックを感じさせ、演奏、楽曲とも 良い出来だ。[84]

OFFICIAL BOOTLEG LIVE IN JAPAN / ANEKDOTEN

スウェーデンのプログレッシヴ・ロック・バンドの2枚組み ライヴ盤。昨年来日したときのON AIR WESTでのライヴの模様を 収めたものだ。初期KING CRIMSONを思わせる、陰鬱なメロディの 重厚でかなりハードなサウンドは、ハード・ロック側の人にも結構 聴けるはずだ。演奏的にもライヴとは思えないような、かなりの レベルの高さを見せているので安心して聴いている事が出来る。 ただ方向的にそれ程広がりがあるバンドではないので、これだけの 長さがあると最後は少々食傷気味と言う感もなくはない。 プログレッシヴ・ロックのライヴと言う事もあってか、曲間の 観客の歓声が抑揚なく聞えてしまう。[81]

ABSOLUTELY NO ALTERNATIVE / ANVIL

カナダのパワー・メタル・バンドの復活第二弾となるアルバム。 とにかくスピードを全面に押し出した作品作りは前作の延長線と 言えるが、部分部分によってはMOTORHEADを思い起こさせるような 疾走感たっぷりの作品に仕上がっている。疾走感を思い切り 表現していながらも、キャッチーなメロディを決して忘れないのは 彼等らしいと言えるだろう。かなりスラッシュ・メタル的な パワー・メタルで1980年代の雰囲気が感じられ、勢いとのりと 言うものが十分堪能出来る。やや一本調子なのはいがめないが、 この破天荒なのりで、あっと言う間に駆け抜けていく。[82]

ALTERNATIVE 4 / ANATHEMA

イギリスのゴシック・メタル・バンドの4thアルバム。元々 この手のものとしては、最もドゥーム色の強いバンドであったが、 今作ではより洗練されドゥーム的な色合いは薄れている。その分 静寂感が増し、幻想的でよりニヒルで耽美な感じを醸し 出している。このアルバムで特に象徴的なのがFragile Dreams等で ゲスト参加しているGEORGE RICCIのバイオリンで、これが中々 効果的だ。前作ではまだ吹っ切れていない様に思える 部分もあったが、ボーカルがVINCENT CAVANAGHに交代してここに 結実した感がある。ややプログレッシヴ的な風味を加えて、 これまででバンドの最高傑作とも言える作品に仕上がっている。 DON AIREYがオーケストレーションのアレンジを 担当しているようだが、これも良い味を出している。[90]

LISBON / ANGRA

ブラジルのヘヴィ・メタル・バンドの3rdアルバム、 FIREWORKSからの3曲入り1stシングル。シングル・カット曲の タイトル・ナンバーは、オーケストラを大幅に導入した メロディアスな美しいナンバーで、プログレッシヴ・ロック色を 感じさせるようなスペイシーなキーボードを導入していて非常に 良い出来だ。だが、このバンドの大きな特徴とも言えるべき ANDRE MATOSのボーカルで、彼の悪癖とも言えるこぶしを回す 歌いかたが連発し、せっかくの佳曲の雰囲気を 壊してしまっている。Make Believeの アコースティック・バージョンは、トライヴァル色とも マッチングして一風変った味を出している。Angels Cryのデモは 本当にデモというレベルで、取りたてて騒ぐほどのものではない。 [84]

FIREWORKS / ANGRA

ブラジルのヘヴィ・メタル・バンドの3rdアルバム。 トライバル的な要素が強く、1stでの ジャーマン・パワー・メタル的な特色を逸脱した感のあった前作と 比べると、よりヘヴィ・メタル然とした作品だと言って 良いだろう。オーケストレーションを多用し、ANFRE MATOSの 歌唱がANGRAたらしめているのだが、それは今作でも 変わりはない。非常に流麗で、その分パンチに欠ける気はしなくも 無いが、楽曲はドラマティックで流れがあり、決して 単調になってはいない。シングルでは気になったANDRE MATOSの 裏返る歌唱は、アルバム単位だとまだそれ程多用されないので我慢 出来る。楽曲の出来は決して悪くないのだが、これと言った飛び 抜けた楽曲がないのが残念だ。[84]

CHANGING SKIN / ANDRE ANDERSEN

デンマークのヘヴィ・メタル・バンド、ROYAL HUNTの キーボードによる初のソロ・アルバム。元々ROYAL HUNTの メイン・コンポーザーであるだけに、バンドと同じ方向性の 音楽をやったら、それはROYAL HUNTそのものになるのは当然だ。 この作品ははっきり言って、そういう作品なので、ROYAL HUNTの ファンならばある程度満足出来るはずだ。その一方で、わざわざ ソロ・アルバムでこういう事をすると言う意義が良く見えないし、 D.C.COOPERとの確執の噂もあいまって、昔のボーカリストである KENNY LUBCKEが参加している所にきな臭い感じが どうしてもしてしまう。特に、他のメンバーが全てROYAL HUNTの メンバーであるのだから尚更だ。もし、このアルバムに ROYAL HUNTととの違いを見出すとしたら、それは全体的に大作 主義であると言う事だろう。45分で9曲とかなり長めの曲が 多いが、美しいメロディの出来も良いし、特に冗長すぎるとは 意識しないで聴ける。[83]

THE HOLY BOX / ANGRA

ブラジルのヘヴィ・メタル・バンドの2ndアルバム、HOLY LANDと、 その2ndアルバムの輸入盤のみでリリースされた2枚組みアルバム 収録されていたアコースティック・ミニ・ライヴ・アルバムと 日本でリリースされたミニ・アルバム、EVIL WARNINGを カップリングしたCD、所属レコード会社であるLUCRETIA RECORDSの コンピレーション・アルバムの3枚組み5000枚限定 ボックス・セット。ANGRAの2枚に関しては全て既発音源であり、 ここでは特に言及しないが、もう一方のLUCRETIA RECORDSの コンピレーション・アルバム、LUCRETIA'S KISSでは、 メロディアス系ヘヴィ・メタルレーベルのコンピレーションと言う 事で中々興味深い。既発音源としてはRHAPSODY、AVALON、 MOON OF STEELと言った日本でも割と名を知られているバンドの 他に、SHADOW DANCERS、ARACHNCE、ABIGHORと言ったバンド達の 楽曲が収められている。未発表音源では基本的な路線は 変わらないが、サックスを持ち込み、これまでとはやや違った アダルトな雰囲気を見せている、TIME MACHINEの Behind The Crossが収められているが、ここのボーカリストは、 最近ではのLABYRINTHツアーで歌っていると言う事で、先行きが 気になる。ARCHANGELのParadise Is In Cyber-Spaceはテクノ調の ゆったりとした楽曲で、アメリカの同名バンドとは別の バンドではないだろうか。E.VIIIのSaveは非常に扇情的な メロディアス・ヘヴィ・メタルで非常にビートを効かせていて中々 面白い。DOMINANCEのAnthem Of Ancient Splendourは攻撃的な スラッシュ系メロディック・デス・メタルで、このレーベルの幅 広さが伺えるが、さして面白いものではない。ARACHBESの Open Your Eyesは正統派のメロディアス・ヘヴィ・メタルと言う 感じだが、ボーカルがやや不安定なのが気になるし、楽曲の出来も 今一つだ。ANGRAのCarry Onのスペシャル・バージョンは1994 バージョンとも別のもので、オリジナルを短くしただけの様に 思えるが多分初出だろう。この度、日本でも アコースティック・ライヴだけがリリースされるようだが、 これらのANGRAの音源が未聴ならこちらの方を購入した方が 良いだろう。[84]

LIVE ACOUSTIC AT FNAC / ANGRA

ブラジルのヘヴィ・メタル・バンドの1996年に行われた プロモーションのアコースティック・ライヴを収録した ミニ・ライヴ・アルバム。Angels Cry、Chegade Saudage、 Never Understandの3曲と言う構成で、出来は中々素晴らしい。 ANDRE MATOSのボーカルも非常に良く映えていて、美しい アコースティック・ライヴになっており、彼等の作品が アコースティック向きでもあるというのは良く判る。しかし、この 音源は既に別の形で2度もCD化されており、CD化には遅きに 失している感があり、熱心なファンにはあまりありがたみのない 作品だと言っても良いだろう。[84]

CRITERIA FOR A BLACK WIDOW / ANNIHILATOR

カナダのスラッシュ・メタル・バンドの7thアルバム。 4thアルバムのKING OF THE KILLよりJEFF WATERSがボーカルを 兼任していたが、今作よりデビュー盤でボーカルを担当していた RANDY RAMPAGEがバンドに復帰したのを始め、同じく初期の ドラマーだったRAY HARTMANN、同じくギタリストの DAVE SCOTT DAVISも復帰と、ほとんど再結成的なメンバー 構成になっている。ほとんどソロ・プロジェクトと言っても 良かった前作と比べると、JEFF WATERSは のびのびとやっているようにも感じるし、音楽性も初期の様な 方向性に戻っている。しかし、Alice In Hell等と比べると、 あれほどシアトリカルさは感じられず、良くも悪くも聴き易い 作品になっている。[82]

LIVE UNDER BRAZILIAN SKIES / ANNIE HASLAM

イギリスのプログレッシヴ・ロック・バンド、RENAISSANCEの 元ボーカリストによるソロ・ライヴ・アルバム。1997年に行われた ブラジルでのアコースティック・ギグの模様を収めたものだ。元々 RENAISSANCE自体が流麗な感じの方向性であっただけに、 こうやってアコースティックで聴くとより一層地味に感じられる。 深々としたサウンドに、彼女の透った美しい歌声が映えていて、 実に叙情的でわびしさを感じさせる作品だとなっている。 あまりにも盛り上がりにかけるため、1枚聴き続けるのは少々 苦しく感じなくもないが、彼女のボーカルは堪能できる。[80]

RESURRECTION / ANGEL WITCH

N.W.O.B.H.M.バンドのどうも再結成しての新作の様だ。CD-ROMを 焼いたと思しき自費出版盤の様で、プロダクションの悪さは、その 環境を上回っている。N.W.O.B.H.M.全盛時を思わせる様な録音 状態の悪さは、群を抜いており、ジャケットも非常にチープだ。 方向的には、昔よりもっとスラッシュ・メタル然としており、 かなり速い楽曲が中心だ。その分、メロディの印象度はかなり 下がっており、楽曲の面白味はほとんど感じられない。 Angel WitchやWhite Witchと言った名曲に並ぶものはここには 無く、ただバンド名を引き継いだだけのB級スラッシュ・メタルと 化した姿を晒しているだけだ。[63]

SINISTER HISTORY / ANGEL WITCH

N.W.O.B.H.M.バンドの未発表音源集。1978年に録音されたデモ 音源と、1978年、1981年に録音されたライヴ音源から 構成されている。バンドのデビュー以前、しかもN.W.O.B.H.M. 始動前とも時期のものだけに貴重と言えるだろう。彼等の 代表曲であるWhite Witchも既に録音されており、彼等の スタイルがこの頃には既にもう確立していたことが伺える。 プロダクションはデモだけあって、音がこもっていて決して 良いとは言えないが、この当時の多くのバンドの音源の プロダクションを考えると、決して酷いと言うほどではない。 White Witchはまだ端々にデモ音源と言う雰囲気があり、演奏、 アレンジ面でかなり粗い仕上がりだ。それでもおどろおどろしい ダークで愁いを含んだ彼等の世界は十分味わうことが出来る。 デビュー前のライヴ音源は、さすがに演奏的にまだまだと言う 感じで、その他のライヴ音源も含めて音はかなり悪い。[79]

JUDGEMENT / ANATHEMA

イギリスのゴシック・メタル・バンドの5thアルバム。 初期にあったドゥーム・メタル的なエッセンスは全く 無くなっており、洗練された叙情的なメロディの ゴシック・メタルとなっている。前作ではスペイシーな プログレッシヴ・ロック的な色合いもあったが、今作ではより 普通と言った感じの作品に仕上がっている。メランコリックで 哀愁の漂ったメロディは、良く雰囲気が出ている。女性ボーカルを フューチャーしたParisienne Moonlightから、Judgmentの扇情的な 流れは非常に素晴らしい。あまりにもヘヴィさを廃し、流れる様な 叙情派の流麗なサウンドは、賛否の判れるところかもしれないが、 出来は素晴らしい。[89]

FROM WITHIN / ANEKDOTEN

スウェーデンのプログレッシヴ・ロック・バンドの4年振りとなる 3rdアルバム。方向的にはこれまでと同様、後期KING CRIMSONの フォローワー的なアルバムである事は変わりない。ダークさと ヘヴィさを押し出し、ANNA SOFI DAHLBERGの奏でる叙情的な メロトロンのメロディが実に良く雰囲気を出しており、これに JAN ERIK LILJESTROMのベースが絡んで来ると、実に冷ややかな 印象を受ける。陰鬱で荒涼感を感じさせる楽曲は秀逸で、彼等の ファンであれば十分納得の行くアルバムに仕上がっていると行って 良いだろう。陰鬱な雰囲気をより前面に押し出した事により、やや ギターの露出等は下がってしまったが、むしろその方がこの バンドらしいと言って良いだろう。[84]

THE SPOKEN AND THE UNSPOKEN / ANDY TIMMONS

アメリカのハード・ロック・バンド、DANGER DANGERの 元ギタリストの3rdソロ・アルバム。前作同様、自身がボーカルを 取った楽曲と、ギター・インストルゥーメンタルからなっている。 彼のボーカルは、取りたてて下手と言うことはないが、当たり 障りがなくてあまり印象に残らない。元々ソロでの作品が、 DANGER DANGERから離れた方向性の作品であったが、その傾向は 今作でもよりはっきりと出ており、楽曲によっては フュージョンっぽさも感じさせる様な、暖かで叙情的なメロディの アルバムに仕上がっている。ギター・メロディ等は中々良い 出来で、それなりに浸る事が出来る。[78]

BRIARD / ANDY McCOY & PETE MALMI

フィンランドのハード・ロック・バンド、HANOI ROCKSの コンポーザーであったANDY McCOYが、HANOI ROCKS結成以前に 活動していたバンドのボーカリストであったPETE MALMIとの コラボレーション作品。彼等が活動していたバンド名をそのまま アルバム・タイトルにした作品で、そのせいもあってか HANOI ROCKS以降のANDY McCOYの作品としてはやや趣が違う様にも 感じられる。しかし、そこはやはり彼が作るだけあって、叙情的な メロディに溢れたハード・ロックンロールに仕上がっている。 やや怠惰な感じがあって独特の雰囲気は感じられるが、今一つ盛り 上がりに欠ける様な気がするのは残念だ。[79]

MILLENNIUM / ANY DAY NOW

カナダのハード・ロック・プロジェクトのアルバム。 元TOTAL STRANGERのボーカリスト、AL LANGLADEと WALL OF SILENCEのキーボード、STUART ZALTZによる プロジェクトで、叙情的なメロディのハード・ロックに 仕上がっている。特にオープニング・ナンバーのANGELは哀愁の 効いた、メロディアス・ハードで非常に扇情的で哀感が伝わって 来る良い楽曲だが、それ以降はやや盛り上がりに欠ける楽曲も 散見される。とは言っても、爽快感のある楽曲を挟んだりと、 めりはりを付ける努力は感じられるし、アルバムの出来は 悪くない。[82]

HEAVY METAL ANTHEM / ANTHEM

日本のヘヴィ・メタル・バンドのアルバム。中心人物である ベーシストの柴田直人は現在LOUDNESSのメンバーとして 活躍しており、今回は言わば企画盤的色合いが濃い。これまでの 既発曲の再レコーディングばかりで新曲はなく、ボーカルには GRAHAM BONNETをゲストとして迎えて制作されている。元々、 最後にボーカルを取っていた、森川之雄の声質は、非常に GRAHAM BONNET的であったので、森川之雄時代の楽曲が 中心とあって、こうして彼が歌っても全く違和感は感じられない。 GRAHAM BONNETの格好良いボーカルが、実に良くはまっており、 彼のファンも一聴の価値はあるだろう。[82]

DRUDENHAUS / ANOREXIA NERVOSA

フランスのブラック・メタル・バンドのアルバム。UEB XORLの シンフォニック・ブラック的な荒涼としたキーボードを全面的に 押し出したサウンドだが、それ以外のパートはブラスト・ビートを 主軸に置いた、如何にもブラック・メタルと言った感じの サウンドで、狭いジャンルの中でもそう言った素材を組み合わせる 事によって、全く新しい風味を作り出している。REISMARRの ブラック・メタル・ボイスは、この手のものらしい凶悪な 咆哮だが、バンドのサウンドに合っている。絶望感と荒涼感とが 入り交じる暴虐なサウンドは、強烈で圧倒的な迫力が感じられる、 凄いとしか言い様のない作品に仕上がっている。 ブラック・メタルが聴けないと苦しいかも知れないが、 オリジナリティも感じられるし、中々楽しみなバンドだ。[87]

FATHERLAND / ANCIENT RITES

ベルギーのブラック・メタル・バンドの1998年にリリースされた 3rdアルバム。歌詞的には純然たるブラック・メタルとは言い 難く、バイキング・メタルと言った範疇にもかかるだけでなく、 キリスト教から見たケルトやギリシャと言った異教の神々と 言ったところまで手を広げている。ブラスト・ビートを持ち 込みながらも、叙情的なギター・メロディを聴かせられ、北欧 ブラック・メタルの流れも感じそうなものだが、楽曲的には北欧 ブラック・メタルとはやや異にする様な感じがする。 シンフォニックと言うよりは、バイキング・メタル風の勇壮な キーボードに、スラッシィな感じがより強い楽曲がそう言った 部分をより印象付けてると言って良いだろう。ただ、今一つ 小慣れていないと言うか、スタイルが固まりきっておらず、 違和感を感じるのが残念だ。[78]

THE SECOND INCARNATION / ANAEMIA

スウェーデンのゴシック・メタル・バンドのデビュー盤。 音楽的には、この手のものとしては最もドゥーミィな色合いを強く 押し出したもので、楽曲のテンポもアップ・テンポである所が 多々あり、ANATHEMAの影響が色濃く見える。ANATHEMAよりは、 もっとヘヴィ・メタル的で、ギター・ソロ等はかなり泣きが 入っている。重厚でパワフルでアグレッシヴなサウンドと メランコリックなメロディ等は、PENTECOST IIIの頃のANATHEMAと 言って良いだろう。KIM STRANNEのボーカルは、だみ声だが デス・ボイスと言うところまでは行っておらず、それ程聴き 難くはない。[84]

ANGRY TEARS / ANGRY TEARS

アメリカのハード・ロック・バンドのデビュー盤。その昔、 BON JOVIのボーカリスト、JON BON JOVIと活動していた 事もあるらしく、Shot Through The Heartの共作者でもある。 20年前に結成されたが解散、この度復活してのアルバムで、楽曲は 当時書かれたものが中心となっている。そのためか、 楽曲によっては古臭さを感じさせられたりするものもある。 ソング・ライターとして活躍しているだけあって、彼の書く曲は 確かに悪くない。今風のオルタナティヴ・ロックっぽい 味付けがされている部分もあるが、全体的に叙情的でキャッチーな メロディのハード・ロックを聴かせてくれており、1980年代の産業 ロック的なエッセンスも感じられる。[82]

CARNIVAL DIABLOS / ANNIHILATOR

カナダのスラッシュ・メタル・バンドの8thアルバム。 KING OF THE KILL以降、ギタリストのJEFF WATERSが ボーカリストを兼任し、彼のソロ・プロジェクトと化していたが、 前作ではRANDY RAMPAGEが復帰、再びバンドの形態を取り戻した。 しかし、そのRANDY RAMPAGEがわずか1枚で再び脱退、OVERKILLの ギタリスト、JOE COMEAUがボーカリストとして加入している。彼の 野太いダミ声とJEFF WATERSの書く楽曲との取り合わせは中々 面白い。Shallow Grave等は、意外と叙情的なメロディを打ち 出していて、新鮮味も感じられるアルバムに仕上がっている。[84]

GRIEVE OF HEART / ANTHEM

日本のヘヴィ・メタル・バンドの9年振りとなる新作、 SEVEN HILLSからの先行シングル。中心人物であるベーシストの 柴田直人に、初期のボーカリスト、坂本英三、末期のギタリスト、 清水昭男、LOUDNESSのドラマー、本間大嗣と言う 編成となっている。タイトル・トラックのシングル・カット曲は、 アップ・テンポの彼等らしい格好良いナンバーで、中々の佳曲に 仕上がっている。XTC、アルバム未収録のCan't Get Awayも アグレッションの効いていて聴き応えがある。日本語の作品と 言うと侮る人もいるかも知れないが、1980年代の日本の メタル・シーンを支えたバンドだけあって、レベルは中々高いし アルバムの期待を持たせるには十分な出来だ。[82]

SEVEN HILLS / ANTHEM

日本のヘヴィ・メタル・バンドの再結成第1弾となる9年振りの 8thアルバム。中心人物であるベーシストの柴田直人の他、初期の ボーカリストである坂本英三、末期のギタリストである清水昭男、 LOUDNESSのドラマー、本間大嗣と言うメンバー構成になっている。 剛直なヘヴィ・メタルをバックに、キャッチーなメロディの ボーカル・ラインをのせると言う、旧来のスタイルを 踏襲したものとなっており、昔のファンも十分満足出来るだろう。 楽曲の出来もGrieve Of Heartを始め、中々粒が揃っているし、 坂本英三のパワフルなボーカルも聴き応えがある。日本語を交えた 歌詞もそれ程違和感はないし、年代を経てよりパワー・アップした 彼等の現在のサウンドを堪能させてくれる。[85]

EXTENSION OF THE WISH / ANDROMEDA

スウェーデンのプログレッシヴ・メタル・バンドのデビュー盤。 方向的にはDREAM THEATERの流れを汲むものと言って良いが、より テクニカル・ロック的な色合いが強いと言って良いだろう。 楽曲はテクニカル・ロックらしい展開を持ちながらも、良質で キャッチーなメロディを持っており、中々高品質なアルバムに 仕上がっている。メロディ・センスの良さ、楽曲の構成力、 テクニカルな演奏力のどれを取っても素晴らしく、それらの バランスを崩す事無く纏め上げている点は非常に評価出来る。 正式なボーカリストがいないため、セッション・ボーカリストを 使っているが、このボーカルも悪くない。[87]

ANIMETAL BEST / ANIMETAL

元GARGOYLEのギタリスト、屍忌蛇と元ANTHEMのボーカリスト、 坂本英三を中心とする、日本のプロジェクト・バンドの2000年に リリースされたベスト盤。日本の著名なアニメ・ソングを メドレーでヘヴィ・メタルにアレンジしてカバーすると言う、 言わば色物的企画バンドの作品だ。元ピンク・レディのMIEを ボーカリストに迎えたANIMETAL LADY含め、これまで シングルとしてリリースされた音源を集めたものが 中心となっている。確かに色物とは言え、メンバーが メンバーだけに、演奏的にもアレンジ的にもレベルは高いし、 IRON MAIDENやJOURNEY等々のフレーズを隠し味に使っていて 面白い。[?]

ANIMETAL MARATHON II / ANIMETAL

元GARGOYLEのギタリスト、屍忌蛇と元ANTHEMのボーカリスト、 坂本英三を中心とする、日本のプロジェクト・バンドの1998年に リリースされた2ndアルバム。アニメ・ソングをヘヴィ・メタルに アレンジしてメドレーで歌うと言う、いわばお遊び的な プロジェクトだが、この作品では特撮物によるアルバムで、 アニメ映画用のオリジナル曲との2枚組みの アルバムになっている。割と有名なものが中心だが、特撮となると 流石に良く判らないものも多く、ややネタ枯れと言う 気もしなくはない。オリジナル曲も、サウンド・トラック様と言う 事もあってか、今一つ面白くない。[70]

REBIRTH / ANGRA

ブラジルのヘヴィ・メタル・バンドの3年振りとなる4thアルバム。 ボーカリストのANDRE MATOSが脱退し、SYMBOLSのEDU FALASCHIを 迎えて作成されたアルバムだ。高音ではファルセットを多用し、 独特の歌唱を聴かせてくれていたANDRE MATOSとは違い、 EDU FALASCHIは伸びのある高音を無理なく聴かせてくれている。 ボーカリストとしてはEDU FALASCHIの方が上手いと言えるが、 癖がないだけにすんなり聴ける分、これを個性的でないと 捕らえるなら物足りなく思えるかも知れない。楽曲的には これまでの延長線上と言えるものだが、実に質の高いメロディの ヘヴィ・メタルを聴かせてくれている。[88]

A FINE DAY TO EXIT / ANATHEMA

イギリスのゴシック・メタル・バンドの2年振りとなる 6thアルバム。元々はドゥーム・メタル系のゴシック・メタルを 聴かせてくれていたが、3rdアルバム、ETERNITY辺りから プログレッシヴ・ロック的な方向性へと向い出し、 ドゥーム・メタル的なエッセンスはどんどん無くなって 来ていたが、それはこの作品で突き詰められた感じだ。 ドゥーム・メタルはおろか、ゴシック・メタル的なエッセンスも ほとんどなくなり、よりプログレッシヴ・ロック的な作品に 仕上がっていると言って良いだろう。ある意味、THE GATHERING 等と同じ変化と言えるが、この場合もっと極端に走っている。 最早ヘヴィ・メタルの範疇で語るのは難しいが、シンフォニックで モノクロームなイメージのする透明で淡いダークな耽美性は 素晴らしく、最近の彼等の音楽の完成形と言えるだろう。[87]

REQUESTED DOCUMENT LIVE 1980ー1983 / ANYONE'S DAUGHTER

ドイツのシンフォニック・ロック・バンドの2枚組みのライヴ盤。 そのタイトルが示す通り、1980年から1983年にかけて行われた いくつかの公演の模様を収めたものだ。全体的に叙情的で非常に 美しいメロディのシンフォニック・ロックを聴かせてくれており、 憂いを帯びた哀愁味の強い楽曲ながらも、どことなく清々しさを 感じさせてくれる作品に仕上がっている。やや古臭さを感じるが、 キーボード等は非常にドラマティックでハードで聴き応えがある。 変にエコーが効いていたり、ドイツ語のMCが浮いていて非常に 違和感を感じるが、それを除けば十分満足の行く内容だ。[84]

DREAMS OF DEATH AND DISMAY / ANATA

スウェーデンのデス・メタル・バンドの2ndアルバム。 ブラスト・ビートを主軸においたブルータルなデス・メタルだが、 いわゆるグラインド・コア系と言うよりは、スラッシュ・メタル 的な影響が強く見える作品と言えるだろう。リフ自体もかなり スラッシィだし、ある程度ギター・メロディ等もはっきりと 出ているだけに、こう言ったブルータルなデス・メタルとしては かなり聴き易いかも知れない。ただ、それでもスラッシュ・メタル 系のメロディック・デス・メタルと比べれば、ブラスト・ビートも かなり多用されているだけに、激烈さは良く感じられる。[80]

WAKING THE FURY / ANNIHILATOR

カナダのスラッシュ・メタル・バンドの9thアルバム。今作でも メンバー・チェンジがあり、復帰したドラマーのRAY HARTMANNが 再び脱退、RANDY BLACKが復帰した他、ギタリストの DAVE SCOTT DAVISも再び脱退、NEVERMOREのCURRAN MURPHYが 加入している。中心人物であるJEFF WATERSがいる限り、バンド 自体は安泰だろうが、今作では音楽的変化を少し見せている。 前作では意外と叙情的なメロディを強く押し出した 作品になっていたのだが、今作ではメロディを減退させ、より ビート感を押し出した作品に仕上がっている。そう言う意味では これまで以上に勢いを感じさせるアルバムと言って良いだろう。 特にMy Precious Lunatic Asylumの様な、大胆に歪ませた サウンドは大きな変化を感じさせる。[82]

NEW + OBSCURANTIS + ORDER / ANOREXIA NERVOSA

フランスのブラック・メタル・バンドの3rdアルバム。方向的には オーケストレーションを前面に押し出した シンフォニック・ブラック・メタルと言えるものだが、あくまでも エクストリーム・ミュージックの本流を貫く様な、 ブラスト・ビートをサウンドの主眼に置いており、この 手のものとしては最もブルータリティ溢れるアルバムに 仕上がっていると言って良いだろう。ブラック・メタルらしい、 荒涼とした狂気に満ちたメロディもきちんと打ち出されており、 かなりレベルの高さを感じさせる。MAITRE STEFAN BAYLEによる ブラック・メタル・ボイスのシャウトも破壊力たっぷりだ。[85]

I GET WET / ANDREW W.K.

アメリカ人ロック・シンガーのデビュー盤。いわゆる パーティ・ロックと言える様な、非常にポップでキャッチーな のりの良い楽しいアルバムだ。馬鹿ロックと言って良い様な、 破天荒な程に脳天気な馬鹿馬鹿しさを押し出して来る様は圧巻で、 ここまでやられたら素直に楽しまなければ損だと思わせる。その 馬鹿さ加減は鼻血まみれのジャケットにも良く出ており、とにかく 理屈抜きで楽しむべき作品だ。THE WiLDHEARTSの ENDLESS, NAMELESSを思わせる部分もあるエレクトロ・ポップと 言っても良いが、ここまで馬鹿に徹したのが彼の 凄いところだろう。[90]

HUNTERS AND PREY / ANGRA

ブラジルのヘヴィ・メタル・バンドのミニ・アルバム。新曲3曲に バージョン違いが3曲、カバー1曲、既発表音源1曲の全8曲と言う 構成になっている。新曲のLive And Learnは如何にも彼等らしい シンフォニック・メタルで、Hunters And Preyは爽やかで ラテンっぽい明るさを持ったナンバーで、その中にも彼等らしい 叙情的なメロディが散りばめられている。Eyes Of Christは 彼等としては一風変わったミドル・テンポの作品だが、 ドラマティックでクラシカルな味わいのあるナンバーだ。 RebirthとHeroes Of Sandは既発曲の アコースティック・バージョン、Caca E Cacadorは Hunters And Preyのポルトガル語バージョンとなっている。[83]

BLACK ON BLACK / ANDRE ANDERSEN

デンマークのヘヴィ・メタル・バンドの、ROYAL HUNTの キーボードの4年振りとなる2ndソロ・アルバム。彼がROYAL HUNTの メイン・コンポーザーである事を考えれば、ROYAL HUNTと同じ様な 作品になる事は想像に難くないのだが、ここで聴かれる者は実際に ROYAL HUNTのそれと言って良いだろう。インストルゥーメンタルの ArenaもMartial Artsと同じパターンだと言って良いだろう。こう 言った中で、新味があるとすれば、ELEGYのIAN PARRYが歌っている 事で、やはりこう言う叙情的な歌を歌わせると彼の情感のこもった ボーカルは素晴らしいの一言に尽きる。それを考えると、存在感と 個性が希薄になりつつあるROYAL HUNTよりこちらの方が艶がある。 [82]

THE VOICES / ANTHEM

日本のヘヴィ・メタル・バンドの復活第2弾となる9thアルバム、 OVERLOADからの先行シングル。タイトル・トラックの シングル・カット曲では、彼等らしい疾走感のある ヘヴィ・メタルを聴かせてくれていて、これまでのファンにも十分 期待させるだけの楽曲と言って良いだろう。Rough And Wildは 明るく力強いナンバーだが、ここではやや平凡な気がする。 Lady Janeは叙情的なメロディをより強く押しだし、憂いがかった 非常にドラマティックなナンバーで、聴き応えのある佳曲に 仕上がっており、アルバムへの期待感を否応にも増してくれる。 [83]

OF HUMAN BONDAGE / ANGEL DUST

ドイツのパワー・メタル・バンドの6thアルバム。いわゆる ジャーマン・パワー・メタルと言うやつではなく、正統派の ヘヴィ・メタルと言えるものだ。どちらかと言うとB級的な バンドと受け止められがちな彼等だが、今作ではかなりグレードの 高さを見せており、最早B級的な印象等感じられない。 キーボードを上手く散りばめたメロディは憂いを帯び、エッヂの 効いたサウンドがより情感を伝えてくる。Freedom等は初期 BON JOVIっぽいイントロで苦笑を誘うが、曲自体は彼等としては かなりキャッチーさがあって悪くない。ヘヴィなリフも聴き 応えがあり、中々良いアルバムに仕上がっている。[81]

OVERLOAD / ANTHEM

日本のヘヴィ・メタル・バンドの9thアルバム。正統派 ヘヴィ・メタルにキャッチーなメロディのボーカル・ラインと、 方向的にはこれまでの延長線上と言えるものだ。歌詞は日本語が 入ったものなので、日本のヘヴィ・メタルを聴かない人には 違和感を覚える部分もあるかも知れないが、楽曲、演奏自体の クオリティは下手な海外のバンドより遥かに高いのが判るはずだ。 坂本英三のボーカルがややバタ臭いのが気になるところもあるが、 パワフルで上手い事は間違いない。柴田直人のメロディ・センスの 高さが良く出ており、日本のこう言ったバンドがもう少し高く 評価されても良いと思うのだが。[84]

II=I / ANDROMEDA

スウェーデンのプログレッシヴ・メタル・バンドの2ndアルバム。 前作では、元DARKANEのLAWRENCE MACKRORYがゲストとして ボーカルを取っていたが、今作よりパーマネントなボーカリストを 加えている。音楽的には、DREAM THEATERの流れを汲む プログレッシヴ・メタルと言えるもので、JAMES LaBRIE程 上手いとは言えないが、DAVID FREMBERGのボーカル・スタイルが 似ている事もあって、より一層そう言う感を強くさせる。 テクニカルなプレイが随所に散りばめられていたり、叙情的な メロディも悪くないのだが、テクニカルな部分に拘るあまり、 楽曲の面白みを損なっている様に思えるのが残念だ。[78]

WE'VE COME FOR YOU ALL / ANTHRAX

アメリカのスラッシュ・メタル・バンドの5年振りの9thアルバム。 ギタリストのSCOTT IANとドラマーのCHARLIE BENANTEは伝説の ハード・コア・バンド、S.O.D.の活動再開、ボーカリストの JOHN BUSHはARMORED SAINTの再結成とサイド・プロジェクトでの 活動が中心となっていたが、それよりも炭素菌によるテロの為に バンド名に対する騒動が起こっていただけに、やっとと言う 感じだ。そのフラストレーションを開放させたのか、ここで 聴かれるサウンドは、アグレッションに強く満ちており、非常に 聴き応えのあるアルバムに仕上がっている。方向的には前作の 延長線上と言えるものだが、ロックンロール的な面を出したりと よりバラエティさを出したものとなっている。[85]

REBIRTH WORLD TOUR-LIVE IN SAO PAULO / ANGRA

ブラジルのヘヴィ・メタル・バンドの2枚組ライヴ盤。2001年に 行われたブラジルでの公演の模様を収めたものだ。中心人物の ボーカリスト、ANDRE MATOSの脱退により、SYMBOLSの EDU FALASCHIを迎えての始めてのライヴとなった公演だ。にも 関わらず、ライヴ・パフォーマンスはきちんとしていて、彼等の レベルの高さを感じさせてくれる。プロダクション自体は距離感を 感じる様なこもったエコーがかかっているのが難点で、再出発の 意味でここでのライヴに拘ったのかも知れないが、もっと機材の 整った状態で録音しなかったのは何とも残念に思えてならない。 [82]

CYPHER / ...AND OCEANS

フィンランドのブラック・メタル・バンドの4thアルバム。 音楽的にはその方向性を大きく変えた前作の流れを汲むもので、 エレクトロニック・ビートを全面的に押し出したもので、 THE KOVENANTやSAMAEL等に影響を受けたと感じさせるものだ。ただ THE KOVENANT程ユニークな感じもしないし、SAMAELの様にポップ 性が強いわけでもなく、ブラック・メタル的なエッセンスが完全に 抜け切るところまでは徹底していない。こう言った事をやるには やや中庸に感じられなくもないが、シアトリカルな部分もあるので どちらかと言うとTHE KOVENANTに近いと言って良いだろう。[81]

LIVE' MELT DOWN / ANTHEM

日本のヘヴィ・メタル・バンドのライヴ盤。1月に行われた 日本でのツアーの模様を収めたものだ。日本語のMCは興醒めする 人もいるかも知れないが、彼等の熱いライヴは中々感動的だ。 であるのだが、複数の公演から録音しているのでそこはやはり 興醒めするし、尺が1枚しかないので再結成後の新しい彼等を もっと見せて欲しいと思う一方、古い名曲をもっと入れて欲しいと 思うところがあり、どうせなら2枚組にしても 良かったのではないかと思える。それ以外は、演奏や プロダクション面においては、十分満足の行く内容に 仕上がっていると思う。[85]