TERMINAL SPIRIT DISEASE / AT THE GATES
スウェーデンのメロディック・デス・メタル・バンドの1994年に
リリースされたアルバム。方向的にはパワー・メタル的な
サウンドであるが、スラッシュ・メタルっぽさも持ち
合わせている。アコースティック・インストルゥーメンタルの
And The World Returnedを入れてくる演出などは中々心憎い。
TOMAS LINDBERGのデス・ボイスはどっちかというと
ブラック・メタル的にヒステリックにシャウトするタイプで、中々
迫力がある。勢いが感じられるし、楽曲の出来は非常に素晴らしい
内容なのだが、どういうわけだかアルバムに収められている、
9曲中3曲はライヴを収録している。残念なのはこのライヴ3曲が
酷い出来だという事で、全曲新曲にすれば傑作と言える様な
アルバムになっただろうと思えるだけに残念だ。[85]
THE RED IN THE SKY IS OURS/WITH FEAR I KISS THE BURNING DARKNESS / AT THE GATES
スウェーデンのメロディック・デス・メタル・バンドの1992年に
リリースされたデビュー盤と1993年にリリースされた
3rdアルバムをカップリングしたもの。その後の彼等からすると
かなりブルータリティな内容で、まだまだ未整理な部分があちら
こちらに伺える。そういう意味では1stも2ndも内容的には
大差なく、3rd以降に彼等の音楽が完成していったと言って
良いだろう。バイオリンを導入するなど、
メロディック・デス・メタルらしい部分も見せているが、
どちらかと言えば破壊力のある攻撃的な作品だ。楽曲的にも面白い
リフがちらほらと登場するが、全体的に完成度はまだまだと
言ったところだろう。[71]
THE SECRET PLACE / ATTACK
ドイツのベテランのパワー・メタル・バンドの6thアルバム。
とは言っても、いわゆるジャーマン・パワー・メタル的な大仰な
メロディや展開はなくて、リフをかなり前面に押し出した、
IRON MAIDENタイプの作品だ。特にベース・ラインは
STEVE HARRISを思い起こさせるようなフレーズが飛び出してくる。
ジャーマン・パワー・メタル的な要素が全くない
訳ではないのだが、わざとらしさを感じさせない分だけ随分と聴き
易い。故にジャーマン・パワー・メタル然としたさびが飛び出す、
Prophecyのサビ辺りでは逆に違和感を感じる部分もある。
フルートを入れたりしているのも中々良いアイデアで多様性を
出すのに役立っている。RICK VAN HELDENの歌唱力にはやや疑問を
感じる。[82]
SLAUGHTER OF THE SOUL / AT THE GATES
北欧メロディック・デス・メタル・バンドの4thアルバム。
2ndまではメロディック・デス的な指向はあったものの、より
破壊的でブルータルなデス・メタルと言った感が強かった。
今作では前作から更にはっきりとメロディック・デスへとその
方向を押し進めている。今作では幾分2nd以前のブルータルな
部分を見せているものの、基本的にはやはり
メロディック・デス・メタルの線上だ。完成度はこれまでよりも
かなり上がっていて、メロディにとらわれ過ぎることなく、
破壊的な感覚を残していることにも好感を持てる。楽曲的には
明らかにスラッシュ・メタル的なサウンドになっていて、失踪する
楽曲は非常に格好良い。[84]
INSIDE, THE MOON / ATHENA
イタリアのプログレッシヴ・ヘヴィ・メタル・バンドの1995年に
リリースされたデビュー盤。まず驚くのはこの国のこの手の
バンドとしてはボーカルが非常にまともで、まずまず聴けると
言う事だ。楽曲は憂いがあって、DREAM THEATER系統ではあるが、
もっと泣きのメロディの叙情的な作品で、中々結構格好良いし
完成度も高い。シンフォニック色の強いキーボードを除けば
DREAM THEATER程プログレッシヴ的な色合いは気にならないので、
あまり難解なのはちょっとと言う人でも十分聴けるはずだ。楽曲が
唐突に終わるのは少し違和感を感じなくもないが、非常に美しくて
清々しい、良いアルバムに仕上がっている。[89]
WHEN HEROES FALL / ATTIKA
アメリカのパワー・メタル・バンドで1994年にリリースされた
初のフル・アルバム。Deliverer等、如何にもIRON MAIDEN辺りに
影響を受けたのが見え見えの楽曲で、全体的なチープさも
あいまってOMENや初期のFATES WARNINGを思わせるような内容だ。
自己プロデュースのせいか、非常に悪い音質でプロダクションの
点においては如何ともしがたい作品だが、その荒々しい
破天荒さにはB級らしい味がある。ボーカルもしょぼいし、到底
一般向けにお奨め出来る代物ではないが、ヨーロッパのしょぼい
バンドが好きならそのメロディはきっと魅力的だろう。[72]
BLUT / ATROCITY
ドイツのデス・メタル・バンドで1994年にリリースされた
3rdアルバム。ALEX KRULLのボーカルは、ダミ声だが
デス・ボイスという程きついものではなく、ある程度歌っていて
聴き難いものではない。楽曲はスラッシィなものから
メロディックな辺りまでという感じで、退廃的な香を放っている。
今では珍しくはなくなったが、女性ボーカルを導入したり、
ストリングスを入れたり、ラップ風にやっているものまであって
かなり実験的に色々やっている様子は伺える。楽曲によっては
かなり異彩を放っており一風変わった雰囲気を醸し出している
アルバムだ。[78]
MESMERISED / ATROX
ノルウェイのゴシック・メタル・バンドのデビュー盤。ボーカルは
男女のツイン・ボーカルで、だみ声の男声ボーカルと女性の
ハイ・トーン・ソプラノという構成になっている。女性ボーカルの
MONIKAは、現THE 3RD AND THE MORTALのボーカリスト、
ANN-MARI EDVARDSENの妹だ。方向的にはあまり耽美的な
色合いはなく、むしろドゥームっぽいヘヴィな感じが少しある。
そういった意味では、イギリスのゴシック・メタル・バンド、
ANATHEMA的な感じがある。今のTHE 3RD AND THE MORTALが
持っているプログレッシヴ・ロック的な風味も少しあるが、
難解というよりは流麗な感じがする。[84]
A NEW RELIGION? / ATHENA
イタリアのプログレッシヴ・ハード・ロック・バンドの2nd
アルバム。新しいボーカリストとして元LABYRINTH、現RHAPSODYの
FABIO LIONEが加入して、二股をかけたまま活動していくようだ。
GABRIELE GUIDIのキーボードをかなり前面に押し出して、
オーケストレーションを多用したシンフォニックなサウンドは中々
見事でバランスも良い。1stに比べてよりドラマティックで、
メロディ、演奏、楽曲と全体的な出来も良くなっている。
FABIO LIONEのエモーショナルなボーカルがより彩りを
加えている。非常にスリリングで良い出来だが、曲によっては
さびに至るまでがややつまらないのが難点か。[85]
NO ESCAPE / AT VANCE
ドイツのヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。その実態は
プロジェクト・バンドだったCENTERSのギタリスト、OLAF LENKと
ボーカリストのOLIVER HARDMANNの新しいバンドだ。方向的には、
いわゆるネオ・クラシカルと言えるものだが、楽曲自体はもっと
普遍的でヨーロッパのバンドらしい、叙情的な
メロディアス・ヘヴィ・メタルを聴かせてくれている。
OLAF LENKのギター・プレイは確かにネオ・クラシカル的な要素が
より濃く感じられる。OLIVER HARDMANNのボーカルも、CENTERS
時代に負けずパワフルで扇情的で中々良い出来だ。CENTERSでは
幾分粗が見うけられた楽曲も、良く練り込まれていて楽曲としての
質はかなり上がっている。ABBAのMoney, Money, Moneyの
ネオ・クラシカル風味たっぷりの大胆なカバーを始め、
ボーナス・トラックではSURVIVORのEye Of The Tiger、
Tears Of FearsのShoutをやっているところは興味深い。全体的に
良く出来ているだけに、コーラスの入れ方があざとすぎて、
どうしても気になってしまうところがあるのが残念だ。[87]
HEART OF STEEL / AT VANCE
ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの2ndアルバム。主要
メンバーであるギタリスト、OLAF LENKとボーカリストの
OLIVER HARDMANNは、CENTERSと言うバンドをやっていたので、その
前身も含めると活動歴はもっと長い。方向的には前作の延長線上と
言えるもので、ネオ・クラシカル的な色合いの濃い
ヘヴィ・メタルを聴かせてくれている。CENTERS時代を含めて、
OLAF LENKのメロディ・センスは作品を追う毎に進歩している事が
伺えるが、この作品もその充実振りは素晴らしい。ABBAのS.O.S.を
カバーしているが、上手くネオ・クラシカル風に
アレンジしているし、中々良く出来たアルバムだ。
ボーナス・トラックとして、SUPER TAMPのLogical Songも
カバーしているが、こちらは若干消化不良と言った感じだ。[86]
CONTENTUM / ATROX
ノルウェイのゴシック・メタル・バンドの2ndアルバム。前作では
女性クリア・ボイスとデス・ボイスによる
ツイン・ボーカルだったが、今作では現THE 3RD AND THE MORTALの
ボーカリスト、ANN-MARI EDVARDSENの妹であるMONIKAが全て
歌っている。呪術的で不思議な雰囲気のある作品で、前作であった
プログレッシヴ・ロック的な色合いはそのままに、場面によっては
かなりシアトリカルな色合いを出す様になっている。やや
ドゥームっぽい耽美な部分は美しく、このシアトリカルな部分との
解離が少し気になるところだ。特にボーカルの裏声は行き過ぎと
言った感じがし、不快感を憶える。[78]
GET UP 'N' SHAKE / ATTRACTION
アメリカのハード・ロック・バンドのデビュー盤。
HOUSE OF LORDSの元ボーカリスト、JAMES CHRISTIANが
プロデュースしているが、音楽的にはそう言う色合いは見えない。
甘口でポップなハード・ロックで、のりの良いアルバムに
仕上がっている。全体的にパーティ・ロック風ではあるが、
バラードのMore Than You Know等はPOISON的色合いが濃く見える。
特にボーカリストのADRIAN STONEの声質が、BRET MICHAELSや
TED POLEYに似ているので尚更そう言う感じが強くする。
作品的にはチープな感じのする作品だが、陽気で楽しい作品に
仕上がっている。[79]
DRAGONCHASER / AT VANCE
ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの3rdアルバム。元CENTERSの
ギタリスト、OLAF LENKを中心とするバンドで、方向的には
これまでの延長線上と言えるものだ。OLAF LENKが楽曲を書いて
プレイしているだけに、いかにもネオクラシカルと言った感じの
作品で、Ages Of Gloryと言った楽曲では、
ジャーマン・パワー・メタル的なエッセンスも感じられる。
叙情的なメロディの楽曲は悪くないし、アップ・テンポな楽曲等は
扇情感があって悪くない。演奏的にもこの手の早弾き技巧派らしい
プレイを聴かせてくれているが、アイデア的にも新鮮味はないし
ボーカルが地味過ぎて盛り上がりに欠ける。[79]
STINIES OF WAR / ATTACK
ドイツのパワー・メタル・バンドの1989年にリリースされた
4thアルバム。方向的には、ドラマティックで大仰なメロディを
中心とした、いわゆるジャーマン・パワー・メタルと
言えるものだが、よりメタリックな感じのするサウンドと言って
良いだろう。この金属的で妙にエコーのかかったチープな
プロダクションに、コーラスを多用したスタイルは、ある種
LEATHERWOLFのジャーマン・パワー・メタル版とも
言えるものだろう。荒唐無稽なファンタジックな歌詞も
ヨーロッパのバンドらしく、よりB級的な印象の受ける
作品となってしまっている。[70]
SEVEN YEARS IN THE PAST / ATTACK
ドイツのパワー・メタル・バンドの1992年にリリースされた
3年振りの5thアルバム。と言っても、もうほとんどバンドの
形態はなしておらず、中心人物のRICKY VAN HELDENによる
ソロ・プロジェクトと言った方が近いだろう。ギタリストを2人
入れている以外は、全てのパートを彼がこなしている。この
作品ではフルートも導入しているが、ちょっと導入が不自然な
感じがするのが残念だ。方向的にはこれまでの
延長線上ではあるが、よりジャーマン・パワー・メタル的な
色合いが強くなっている。チープさ漂うB級的な香りは
相変わらずで、フルートを取り入れたシアトリカルさが目立つ
程度だ。[78]
REVITALIZE / ATTACK
ドイツのパワー・メタル・バンドの1994年にリリースされた
ベスト盤。収録された音源は、今回全てリミックス及び禄り
直されたもので、古い音源とは異なっている。それに新曲が3曲
収録されており、これまでの活動を総括した作品と言って
良いだろう。前作ではジャーマン・パワー・メタルへの接近をより
強くしていたが、新曲ではそう言ったエッセンスを残しながらも
大仰さは押さえ気味になり、The Wish To Die等は逆に
IRON MAIDENっぽさを感じさせるものとなっている。通して
聴いていると、前作でフルートを入れているのがやはり異彩を
放っていて、やや流れ的に悪い様に感じられる。[78]
ONLY HUMAN / AT VANCE
ドイツのパワー・メタル・バンドの4thアルバム。ギタリストの
OLAF LENKを中心としたバンドで、方向的にはこれまでの
延長線上と言える、ネオ・クラシカル系のヘヴィ・メタルと言って
良いだろう。定番とも言えるクラシックのカバーは、VIVALDIの
Four SeasonsからSpringやCARL PHILIPP EMANUEL BACHの
Solfeggiettoを取り上げているが、Four Seasons/Springは題材と
アレンジが良くて、中々面白い。若干ドイツらしい
ジャーマン・パワー・メタル的なエッセンスも取り入れながら、
憂いがかったアップ・テンポのドラマティックなナンバーを
聴かせてくれているのは変わらないが、これまで以上に扇情的な
色合いを強くして、聴き応えを出しているのは好感が持てる。
これまで必ずABBAをカバーしていたが、今作ではRAINBOWの
I Surrenderをカバーしている。[84]
THE EVIL IN YOU / AT VANCE
ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの5thアルバム。元CENTERSの
ギタリスト、OLAF LENKを中心とするバンドで、基本的には
これまでの延長線上と言えるものとなっている。いわゆる
ネオ・クラシカル系のパワー・メタルと言えるものだが、アレンジ
面で楽曲の盛り上げ方等は上手くなっており、叙情的なメロディの
ドラマティックなアルバムに仕上がっている。今作より
元SWEDEISH EROTICA、TREAT、ABSTRAKT ALGEBRA、
YNGWIE MALMSTEENのボーカリスト、MATS LEVENが参加しており、
よりパワフルになったのが功を奏していると言って良いだろう。
[84]