NIGHTFALL / CANDLEMASS
スウェーデンのドゥーム・メタル・バンドの1987年に
リリースされた2ndアルバム。今や、カルト的な存在とも言える
バンドだけあって、そこに渦巻くダークで情念を思い起こさせる
世界は独特のものがあると言って良いだろう。このアルバムより、
バンドの世界観を成立させる上で、重要な位置を占める事になる、
ボーカリストのMESSIAH MARCOLINが加入しており、バンドとしての
方向性が見えたと言って良い作品だろう。非常にダークで
ドゥーミィなアルバムで、BLACK SABBATHとはまた違った、
ドゥーム・メタルの方向性を示した、エポック・メイキング的名
アルバムだ。[83]
ANCIENT DREAMS / CANDLEMASS
スウェーデンのドゥーム・メタル・バンドの1988年に
リリースされた3rdアルバム。前作より、ボーカリストとして
MESSIAH MARCOLINが加入した事により、その独自の世界を築き
上げるに至ったが、その世界観は今作でも継承され、押し
進められている。ダークで耽美でドゥーミィな世界は何とも
言えない味わいがあり、圧倒される。楽曲単位ではこれと言える
訳ではないのだが、アルバムを通すと全ての楽曲が彼等の世界観を
作り上げている事が判る。楽曲の出来を始め、全体的な完成度が
増しており、オリジナリティ溢れる作品に仕上がっている。[84]
TALES OF CREATION / CANDLEMASS
スウェーデンのドゥーム・メタル・バンドの1989年に
リリースされた4thアルバム。MESSIAH MARCOLIN加入後の
集大成とも言えるアルバムで、彼等の音楽はここで一旦極めたと
言っても過言ではないだろう。この作品を持って、
MESSIAH MARCOLINは脱退し、TOMAS VIKSTROMの加入でその方向性が
若干変わっていく。ミドル・テンポからスロー・テンポのダークで
ドゥーミィな作品で、聴くものを分けるだろうが、彼等の世界を
一貫して押し通した結果であり、それは当然の事だろうし、彼等の
世界観は十分堪能出来るアルバムだ。[85]
LIVE / CANDLEMASS
スウェーデンのドゥーム・メタル・バンドの1990年に
リリースされた、唯一のライヴ盤。この作品を持って
MESSIAH MARCOLINは脱退する事になり、言わばMESSIAH MARCOLIN
時代の総決算的な作品だ。スタジオ・アルバムでのダークで
ドゥーミィな世界はここでも忠実に再現されているものの、のりを
出すためか、若干アップ・テンポで演奏されている。その分流れは
良いので、聴き易いし正しい選択だと言って良いだろう。楽曲も
こうやって選曲されると、さすがにレベルは高いし、演奏の出来も
悪くないし、ファンにはまずまず納得の行く作品だろう。[81]
CHAPTER VI / CANDLEMASS
スウェーデンのドゥーム・メタル・バンドの1992年に
リリースされた、ライヴ盤を挟んで6作目となる5thアルバム。
ボーカルは、今作よりMESSIAH MARCOLINからTOMAS VIKSTROMに
代わっているが、実に素晴らしいボーカリストだ。バンドの
特質にあった歌い方が出来るし、表現力も文句無しで、
MESSIAH MARCOLIN以上のボーカリストと言っても過言ではない。
楽曲はダークである事は変わりないが、これまでのスロー・テンポ
一辺倒から、アップ・テンポの楽曲を織り交ぜて、非常に
めりはりのある作品に仕上がっている。ある意味、これまでの
ファンには不満を抱く部分かも知れないが、よりドラマティックな
効果を生み出していると言って良いだろう。このアルバムを持って
バンドは解散するが、もったいないと思える仕上がりだ。[88]
THE BLEEDING / CANNIBAL CORPSE
アメリカのデス・メタル・アンドの1994年にリリースされた
アルバム。方向的には、いわゆるグラインド・コア系の
ブルータルなデス・メタルで、ブラスト・ビートを織り込んだ
凶悪なサウンドだ。グラインド・コア系とは言え、割と
スラッシュ・メタル的なアティチュードが良く出ており、この
手のものとしては、割と受け付け易い作品かもしれない。しかし、
そこはブルータル系だけあって、CHRIS BARNESの強烈な
デス・ボイスと攻撃的なブラスト・ビートが圧倒して来る。強烈な
エナジーを感じさせる作品で、まさしくデス・メタルと呼べる
アルバムに仕上がっている。[80]
WATCHING THE WORLD / CANNATA
アメリカのプログレッシヴ・ロック・バンド、ARCANGELの
中心人物であったJEFF CANNATAによるソロ・プロジェクトの
1993年にリリースされたアルバム。方向的には、いわゆる
アメリカン・プログレッシヴ・ハードと言えるもので、叙情的で
キャッチーなメロディは中々良く出来ている。産業ロック的な
香りもする程で、じっくりと聴かせてくれる作品だ。
JEFF CANNATAのハートフルなボーカルがより情感を深くしており、
泣きのギターも効果的だ。これと言った楽曲はないのだが、
全体的に良く出来たアルバムに仕上がっている。[82]
CAPRICORN / CAPRICORN
元GRINDERのメンバーが結成したドイツの
パワー・メタル・バンドの1993年にリリースされたデビュー盤。
ジャーマン・パワー・メタルと言うよりは、芋臭いB級の
ヨーロピアン・パワー・メタルと言う感じだ。特にADRIANの野太い
ボーカルが、そう言った感をより助長している。洗練さは
全くないのだが、勢いだけで突っ走ってしまうだけのパワフルさは
感じられる。決して手放しで誉められるような作品ではないが、
そのエナジーだけは十分感じられる。この手のマニアにだけに
向けたアルバムと言って良いだろう。[78]
CAPTAIN BEYOND / CAPTAIN BEYOND
元DEEP PURPLEのボーカリスト、ROD EVANS率いるアメリカの
ハード・ロック・バンドの1972年にリリースされた1stアルバム。
IRON BUTTERFLYのギタリスト、RHINOとベーシストのLEE DORMAN、
JOHNNY WINTER GROUPのBOBBY CALDWELLと言う層々たる
メンバーによって結成されたバンドだ。方向的には、それ程
ブリティッシュ的な匂いは感じないし、どちらかと言うと他の
メンバーがそうであるように、アメリカ的なブルーズ・ロックを
感じさせるハード・ロックだ。非常にプログレッシヴ的な要素の
感じられるサウンドで、DEEP PURPLEとは違った、むしろ
IRON BUTTERFLYに近い作品と言って良いだろう。
プログレッシヴ・ロック的な色合いが濃い、如何にも
1970年代的なハード・ロックだ。[84]
SUFFICIENTLY BREATHLESS / CAPTAIN BEYOND
元DEEP PURPLEのボーカリスト、ROD EVANS率いるアメリカの
ハード・ロック・バンドの1973年にリリースされた2ndアルバム。
IRON BUTTERFLYのメンバー達と組んで、ハードな仕上がりを
見せていた前作と比べると、アコースティック・ギター等を押し
出して、より幻想的でプログレッシヴ・ロック的な色合いが濃い
作品となっている。メンバーの交代で、6人編成となっているが、
その影響もあってか、ラテン的な感じのするメロディもあり、
かなり思い切ったイメージ・チェンジと言えるだろう。かなり
戸惑う作品ではあるが、出来的には前作と比べても決して
悪くない。[82]
THE HEARTWORK / CARCASS
NAPALM DEATH人脈で、もう既に解散してしまっている、アメリカの
メロディック・デス・メタル・バンドの1994年にリリースされた
ミニ・アルバム。4thアルバムのタイトル・トラックを含む、日本
編集盤で、アルバム未収録のThis Is Your Life、Rot'n' Roll、
Tools Of The Trade、Hepatic Tissue Fermenation IIに
Pyosified-Still Rotten To The Goreのバージョン違いの全6曲と
言う構成になっている。方向的には、いわゆるスラッシュ型の
メロディック・デス・メタルで、この当時既に脱退している
MICHAEL AMOTTが後にARCH ENEMYでやっている事の原形とも
言えなくはないが、それよりはもっとブルータルで、破壊的で、
メロディをあまり押し出していない。特に古い音源は初期
デス・メタルらしい混沌さを呈している。[78]
CASINO / CASINO
イギリスのポンプ・ロック・バンド、PENDRAGONのキーボード、
CLIVE NOLAN率いるバンドの1994年にリリースされたデビュー盤。
方向的には、PENDRAGONよりシンフォニック・ロック的で、
ポップさを残しながらダイナミズムなサウンドに
仕上げられている。GEOFF MANNの愁いを帯びた枯れたボーカルは、
非常に味わい深く、郷愁をそそって雰囲気を良く盛り上げている。
叙情的なメロディの組曲が中心の構成で、Crap Game等は中々良い
楽曲だ。元々やっている音楽が音楽なので、MARILLIONや
PENDRAGONが好きでないと少し退屈に感じるかも知れないが、
出来は良い。[82]
ONE NIGHT STAND / CASANOVA
ドイツのハード・ロック・バンドの1992年にリリースされた
2ndアルバム。元MAD MAXのボーカリスト、MICHAEL VOSSを
中心としたバンドで、その経歴が示す通りキャッチーなメロディの
ハード・ロックをやっている。叙情的で、
アメリカン・フィーリングも感じられる、BONFIRE型の楽曲は中々
良く出来ているし、MICHAEL VOSSのややハスキーな艶のある甘い
ボーカルが非常に良く映えている。Guns Say Fire等の楽曲も、
適度にポップ、適度にメロディアスで、良く出来ていて、
メロディアス・ハード・ロックのファンには、十分
訴えるものがあるだろう。[84]
...IN PAINS / CADAVER
ノルウェイのデス・メタル・バンドの1992年にリリースされた
2ndアルバム。方向的には、プログレッシヴ・デス・メタルと
表されている様に、展開は非常に難解で複雑だ。
プログレッシヴ・ロック的な感覚を持つ、同じ
デス・メタル・バンドのSYNICとは、よりブルータルでちょっと
違う路線だ。基本的には真性デス・メタル的なので、それが駄目な
人は受け付けないかも知れない。当然ブラスト・ビートも差し
挟んで来るのだが、今一つドラムの音が奥に引っ込んだ様に
感じるので、それ程聴き難くはないが。[76]
EQUILIBTIUM / CATHERINES CATHEDRAL
多分スウェーデンのバンドで、一応ジャンル的には
メロディック・デス・メタルに当たるのだろうが、それらの
バンドとはかなり趣を異にする。ボーカルは
しゃがれ声ではあるものの取り立ててデス・ボイスというほどの
ものではない。DAVID BOWIEのカバーをやっていたりするが
バンドのカラーとしてはそれほど外れていない。さすがに
THE BEATLESはちょっと違うかなという気はするが。枯れた
ハード・ロックをしゃがれ声で歌うという感じで
フルートなどを使ってる曲はJETHRO TULLを思い起こさせる。[67]
CAIRO / CAIRO
アメリカのシンフォニック・ロック・バンドのデビュー盤。
MAGNA CARTA所属という事でも判る様に、如何にもと言った感じの
叙情的なメロディのシンフォニック・ロックだ。軽めで爽やかな
美しいメロディに、若干プログレッシヴ・ロックらしい複雑な
展開が内包されている。キーボードがサウンドの
中心となっており、ハード・ロック系の人にはあまり接点のない
サウンドだろう。全体的に悪くはないが、落ち着き過ぎと言う
感もなくはない。Silent Water等はDREAM THEATERが好きなら
結構いけるかもしれないが、あそこまでヘヴィではない。[79]
INFERNO / CAPRICORN
元GRINDERのメンバーによって結成されたドイツの
パワー・メタル・バンドの2ndアルバム。前作であった鼻につく
様なリフの展開が幾分減って、メロディの流れは随分自然になった
感じを受ける。楽曲のクオリティも前作と比べるとかなり
レベル・アップしていて、サウンドから感じられるパワーが生きて
来ていると言って良いだろう。しかし、それでも垢抜けない
サウンドは相変わらずで、所詮B級という感は
脱しきれないでいる。こういう個性だと割り切れればそれなりに
納得できる出来ではあるが、やはりもうちょっと洗練した方が良い
様に思える。[82]
THE CARNIVAL BIZARRE / CATHEDRAL
イギリスのドゥーム・メタル・バンドの4thアルバム。基本的な
方向性はBLACK SABBATH的なサウンドを継承しており、これまで
同様、よりグルービーでサイケデリックなよりデフォルメした
サウンドである事は変わりない。LEE DORRIANのボーカルが異彩を
放っていて、それに奇妙にマッチングしている。形式的には前作と
同一路線ではあるのだが、楽曲はもう少しストレートな
感じになっていて、異質さが少し引っ込んだ感じになっている。
その分聴き易い作品ではあるが、インパクトに欠け、地味な印象を
受ける。TONY IOMMIがUtopian Blasterに参加しているのは、
らしいと言ったところだが、だからと言ってその個性が
変わらないのは好ましい。[83]
BLACK FAITH / CANCER
イギリスのスラッシュ・メタル・バンドの4thアルバム。一時期
盛り上がったUKスラッシュ・シーンだが、結局ブレイクする
事はなかった。ONSLAUGHTもSABATも忘れられてしまった今では、
このバンドが最後の砦とでも言えるだろう。JOHN WALKERの
ボーカルは所々デス・ボイスを使うが、スラッシュ系の
メロディック・デス・メタルとしては曲は中々良い出来だ。
ブルータルで攻撃的なリフは圧倒的に迫力があって、のりも非常に
良く出ている。DEEP PURPLEのSpace Truckin'のカバーが
入っているが、こういうアレンジもまた一興だろう。全体的な
完成度も申し分ない。[83]
RELAPSE OF REASON / CAUGHT IN THE ACT
アメリカのハード・ロック・バンドのデビュー盤。プロデュースは
元AXEのBOBBY BARTHがやっているだけあって、キャッチーな
ハード・ロック作品に仕上がっている。哀愁のメロディに優れた
ポップ・センスと、Through The Yearsを始め、楽曲のレベルは
非常に高いので安心して聴いていられる。ミドル・テンポ中心で
しっとりと落ち着いた雰囲気があり、美しいコーラスに
透明感のあるサウンドが素晴らしい。キーボードが非常に良い
味付けになっているし、全体的に演奏力もある。エッヂが
効いていてエモーショナルなアルバムなので、聴きごたえがある。
アメリカらしい哀愁全体に漂い、新人とは思えない完成度の
作品となっている。[92]
HOPKINS(THE WITCHFINDER GENERAL) / CATHEDRAL
イギリスのドゥーム・メタル・バンドの最新アルバム、
THE CARNIVAL BIZARREからのミニ・アルバム。アルバムからは
タイトル・トラックの1曲のみで、恐らく意識してだろうが、
N.W.O.B.H.M.におけるドゥーム・メタルの祖とも言うべきバンドの
名前をサブ・タイトルに冠している。残りはカバーが3曲と
未発表曲が2曲と言う構成になっている様だ。オリジナルでも
Purple Wonderland等の様な、アルバムに比べると軽目でのりの
良いナンバーが中心になっている。とは言うものの、むしろ最新
アルバムよりはのりが良いので、むしろ楽しめる作品と言えるかも
知れない。[84]
VILE / CANNIBAL CORPSE
アメリカのデス・メタル・バンドの5thアルバム。方向的には、
所謂グラインド・コア系のブルータルなデス・メタルで、この手の
サウンドに免疫がないと到底聴けないだろうと思える程強烈な
作品だ。デス・メタル界最強のボーカリスト、CHRIS BURNESは
前作を最後に脱退し、MONSTROSITYのGEORGE FISHERが
加入しており、CHRIS BURNESに比べると内にこもった感じで、
破壊力に欠けるもののそれ程悪くはない。まさに怒涛と言える様な
彼等らしい速くてブルータルな作品で、これぞデス・メタルと言う
怒気が撒き散らされている。[78]
SWANSONG / CARCASS
メロディック・デス・メタルの代表格とも言えるイギリスの
デス・メタル・バンドの5thアルバムにしてラスト・アルバム。
メジャーと契約したにも関わらず、その契約によって自らの終演を
迎える事になったのはなんとも皮肉な話だが、そんな状況とは
関係無く素晴らしい内容である。前作辺りから、かなり
メロディックな方向へと向かっていたが、今作ではその傾向が
顕著で、デス・メタル的な色彩は殆どない。バックのサウンドは
正にパワー・メタルであり、そのアルバムタイトルにたがわぬ、
最後の叫びである。[86]
SYMPHONIES OF SICKNESS / CARCASS
解散したメロディック・デス・メタル・バンドの大御所の
1988年にリリースされたデビュー・アルバム
REEK OF PUTREFACTIONと1989年にリリースされた2ndアルバム
SYMPHONIES OF SICKNESSをカップリングしたもの。まだ後々に
見せるメロディックな要素はほとんど見えず、NAPALM DEATH時代と
さして変わらないグラインド・コア的なブルータルな作品だ。
一般にはとても受ける作品ではないし、HEARTWORK以降を
期待するなら決して聴かない方が良いだろう。病的なその
サウンドはコアなファンにしか受けそうにない。[34]
SUPERNATURAL BIRTH MACHINE / CATHEDRAL
イギリスのドゥーム・メタル・バンドの4thアルバム。根底に
流れるBLACK SABBATH的なサウンドは変ることなく普遍で、その
意味では前作の延長線にあると言える。ただ、パワーと勢いは
今まで以上にあるものの、これまで見せてきたような耳を引き
付けるような、印象的なうねりがないので散漫な印象を受ける。
とは言うものの、取り立てて楽曲が悪い訳ではないし、
グルーヴィさは健在なので駄作という訳ではない。これまで彼等が
作り上げてきた、BLACK SABBATHをデフォルメすると言う
スタイルはやや希薄で、勢いで作ったと言う感じで、もう少し練り
込まれていれば大分良くなったのではないかと思えるが。[80]
HEAT OF EMOTION / CAUGHT IN THE ACT
アメリカのハード・ポップ・バンドの2ndアルバム。デビュー作で
新人らしからぬ落ち着いた雰囲気の完成度の高い作品に
仕上げていたが、今作でもその出来の良さは変わらない。叙情的な
メロディの優しい音楽で、前作ではそれ故に盛り上がりに
欠けるきらいもあったが、今作ではギターはエッヂがたっており、
めりはりが効いていて前作よりもだれる事はない。メロディの
秀逸さは新人離れしていて、それを表現するだけの
アレンジ力もある。非常に美しい作品に仕上がっているし、
落ち着いたハード・ポップが好きな人には奨めれる作品だ。[88]
BOLD STATEMENT / CASBAH
日本のスラッシュ・メタル・バンドのデビュー盤。1曲、1曲が
短く、アルバムとは言っても30分程度しかなく、
ミニ・アルバムと言っても良いくらいだ。デビュー盤とは言っても
活動はもう14年に渡るだけあって、その凄みはそういったレベルを
凌駕している。ハード・コア的な疾走感を持ったヘヴィな
サウンドは非常にパワフルだ。唯一のオリジナル・メンバーである
ボーカルの咆哮も、好き嫌いは分かれそうだがそれほど
悪くはない。これだけの迫力のあるバンドは昨今の
スラッシュ・メタル界では貴重だろう。後はプロダクションが
もう少し良くすることを考えたほうが良いだろう。[76]
HOME OF THE BRAVE / CAPTIVE HEART
アメリカのハード・ロック・バンドのデビュー・アルバム。
元SURVIVORのJIM PETERIKが曲作りに参加していて、確かに
叙情的でメロディのアメリカン・ハード・ロックではあるのだが、
SURVIVORよりもっと軽快な感じの作品に仕上がっている。但し、
楽曲は全体的にミディアム・テンポ中心で、それ程スピード感は
感じられない。キャッチーで爽やかなメロディの楽曲は、聴き
易くてリラックスして聴けるが、盛り上がりにやや欠ける
気もする。全体的に良く出来てはいるのだが、どこも
平均的でこれと言うところがないのが難点だ。[81]
DROWNED / CAPTOR
スウェーデンのモダン・ヘヴィネス・バンドの2ndアルバム。
いわゆるPANTERA的なサウンドなのだが、元にドゥーム的な
指向があるだけに部分によっては非常にドゥーミィかつダークな
部分も差し挟んでくる。かなりグルーヴィな色合いを
強く出していて、PANTERA等よりかなりアップ・テンポで
疾走感のある作品に仕上がっている。ヘヴィでグルーヴィで
タイトでかつのりが良く、モダン・ヘヴィネス系が好きなら結構
聴けるはずだ。MAGNUS FASTHのボーカルもこの手特有の
吐き捨てるようなタイプでかなり強烈だ。[79]
SPITEFUL INTENTS / CARDINAL SIN
元DISSECTION、MARUDAKのメンバー等によって結成された
スウェーデンのブラック・メタル・バンドの
デビュー・ミニ・アルバム。哀愁のメロディと疾走する
パワー・メタルらしい適度に複雑な展開の部分から楽曲は主に
構成されており、その出来は中々良い。ボーカルはいかにも
ブラック・メタルらしいもので、好き嫌いは
分かれるかも知れないが、楽曲の展開は明らかにIRON MAIDENを
思わせるものがあり秀逸だ。DISSECTIONの良い部分を
引き継ぎながらも、よりブラック・メタル的な色合いを
強めている。[83]
SPIRAL TERMINATION / CARBIDE
アメリカのスラッシュ/パワー・メタル・バンドの1994年に
リリースされたデビュー盤。自費製作か、恐らくそれに近い形で
製作されただろう作品だけあって、プロダクションはややチープな
感じがしなくもない。疾走するリフと、ヒステリックに
シャウトするボーカルはかなりスラッシィな感じを受ける。やや
混沌とした感じがあって、楽曲として未整理な感じもするが、
荒々しいまでの疾走で押し切ってしまうだけの勢いはある。今では
珍しくなった、B級的なコアなスラッシュ・サウンドで、出来は
悪くないし、アレンジ面が良くなればかなり良くなると思える
作品だ。[78]
BEST OF CARCASS / CARCASS
今はなき、イギリスのデス・メタル・バンドの日本独自企画の
2枚組みベスト盤。1枚は通常の既発音源のベストで、今更特に
どうこう言うまでもないのだが、問題はもう一枚の方で、
レア・トラック集になっている。このうち解散後に日本では
発売されなかったレア・トラック集
WAKE UP AND SMELL THE...CARCASSに最初の9曲が収められており、
実際に初出は最後の5曲だ。全てオーバー・ダブ無しの
ライヴ音源で、ややバランスが悪いのとデス・ボイスが
いまいちなのが難点だが、このバンドの演奏レベルの高さを十分に
感じる事が出来るだけのものだ。[83]
CONFLICT AND DREAMS / CAIRO
アメリカのプログレッシヴ・ロック・バンドの2ndアルバム。
全体的にこれまでより大作指向になっており、サウンドもより
ハードなものになっている。プログレッシヴ・ロック的な
エッセンスを持った、このハードな作品はRUSHを思い起こさせる
部分もある。ただ、RUSHと比べるとまだまだより
プログレッシヴ・ロック然とした感じがする。長い楽曲が多いとは
言え、展開がちゃんと練られており、緊張感を持って最後まで
聴かせるだけの構成力がある。演奏もしっかりしているし、
ドラマティックな心地良いメロディの良い作品だ。[85]
GALLERY OF SUICIDE / CANNIBAL CORPSE
アメリカのデス・メタル・バンドの6thアルバム。
グラインド・コア系のブルータルなデス・メタルだが、
ブラスト・ビート一辺倒という様な感じでも無くなっているし、
よりスラッシュ・メタル的なパートを強く押し出して来ている
感じだ。スロー・テンポのパートとアップ・テンポのパートが入り
乱れ、やや難解なイメージも受けるが、そういった展開的な部分を
除けば、特にスロー・パート等はかなり聴きやすくなったという
印象を受ける。そういう意味ではアグレッシヴなアップ・テンポの
部分と割とはっきりと対比出来るようになっていて、混沌とした
印象を受けないのは評価出来る。GEORGE FISHERのこもった
デス・ボイスはやはり前任のCLIF BURNESと比べると破壊力に劣る
印象を受ける。[81]
DACTYLIS GLOMERATA / CANDLEMASS
スウェーデンのドゥーム・メタル・バンドの復活第1弾となる
アルバム。と言っても、実際にはCANDLEMASSのベーシスト
LEIF EDLINGが自己のバンドABSTRAKT ALGEBRAの2ndアルバムとして
制作していたもので、その内容もかつてのCANDLEMASSの姿はあまり
結びつかない作品だ。かつてのCANDLEMASSのメンバーも
LEIF EDLING一人で、これを何故CANDLEMASS名義でリリースする
気になったのか理解に苦しむ。内容的にはドゥーム・メタル的な
色彩が全くないわけではないが、おどろおどろしく前衛的な
作品で、楽曲によってはアシッドと言って
良いようなものまである。旧来からのファンにとっては期待外れに
終わる可能性は大だ。[76]
EMOTIONS......DREAM OR REALITY / CASKET
詳細は全く判らないが、恐らく1996年にリリースされたドイツの
ゴシック/デス・メタル・バンドのアルバム。KARIN TRAPPと
JORG WEBERの男女によるツイン・ボーカルで、KARIN TRAPPは
ソロ・パートでは儚げで割と良い感じなのだが、
バッキング・ボーカルになると不安定な感がいがめない。
JORG WEBERはデス・ボイスとクリア・ボイスを使い分けているが、
クリア・ボイスはともかくデス・ボイスは聴きがたい。方向的には
耽美と言うよりも荘厳さを醸し出す方だが、あまり重苦しくなり
過ぎていない所は好感が持てる。幻想的なキーボードや
ギター・メロディ等はそれなりによいと思うのだが、やや
めりはりに欠いて変化に乏しく、これと言った所がないのが
残念だ。[80]
TOMORROW / CASKET
詳細は全く不明だが、恐らくドイツのゴシック・メタル・バンドの
1997年にリリースされたアルバムだろう。男女の
クリア・ボイスによるツイン・ボーカルだが、残念ながら女性
ボーカルのKARIN TRAPPはあまりうまいとは言えるほどではない。
PARADISE LOSTの様なゴシック・ロック的なところは感じられる
部分も一部あるが、全体的に荘厳さや耽美さはあまり
感じられない。全体的に中庸と言った感じで、JORG WEBERの語りが
一番ゴシック・メタルらしいと言っても良いだろう。そういう
意味ではより普遍的なヘヴィ・メタルと言う色合いが強い。[84]
DOGFACE / CAPTOR
スウェーデンのハード・コア/デス・メタル・バンドの
2ndアルバム。PANTERA風のヘヴィネス的なボーカルで、楽曲にも
そう言った部分がそこはかとなく出ているのだが、全体的に非常に
ダークな雰囲気を漂わせており、呪術的なバッキング・ボーカルも
あいまって、独特の雰囲気を醸し出している。デス・メタルと言う
程、デス・メタル的な要素はないし、ボーカルの咆哮も
デス・ボイスと言うものとはまた一風違っている。このバンドの
リフは非常におどろおどろしさを出していて面白いし、そこに
被さる、怒りをぶつけるようなボーカルと不思議な
コンビネーションを見せている。[83]
FAITHLESS / CASKET
ドイツのゴシック・メタル・バンドの3rdアルバム。女性
ボーカルとクリア・ボイスのツイン・ボーカルは前作と
変わりなく、普遍的なヘヴィ・メタル的な方向性を見せていた
部分は、より普遍的なロックになったという感じだ。
A Lover In Disguise等は、ほんわかとした
バラード・ナンバーで、ヒット・ソングに並んでいても
おかしくないような楽曲だ。ゴシック・メタル的な荘厳さや
耽美さは全く無くなっており、そういう部分を期待するファンには
更に期待を外す作品になってしまっていると言って良い。ただ、
そう言った部分を考えず、普通のロック・アルバムと思えば、良い
楽曲もあるし、悪くない作品だ。[83]
CARAVAN BEYOND REDEMPTION / CATHEDRAL
イギリスのドゥーム・メタル・バンドの5thアルバム。ここ最近、
低迷していると言うか、今一つ煮え切らない部分があったが、
今作ではLEE DORRIANらしい真価を発揮したと言って良いだろう。
基本的な方向性に変化はないが、Voodoo Fireではサルサの
メロディを取り入れたりと、これまでよりも彩りが
豊かになっている。意外とキャッチーなメロディであるが故に、
呪術的なおどろおどろしさが増し、楽曲がそれぞれ
生きてきている。この手のバンドとしては、ヘヴィ・ロックとは
また違うサイケデリックさがオリジナリティを出している。
テンポが良くて、のりやすいし、楽曲の出来、全体から発する
雰囲気も良く出ていて、中々の好盤に仕上がっている。[87]
UNVEILED / CAGE
アメリカのパワー・メタル・バンドのデビュー盤。扇情的な
メロディのパワー・メタルで、NEVERMORE等を思わせるが、より
ライヴ感があって、グルーヴィだ。ジャケットは非常にダサいし、
ルックスも最悪の部類に入るのはいかんともし難い。楽曲の出来
自体は中々良くて、扇情的な楽曲はぐいぐいと引き付けてくる。
演奏も悪くないし、パワフルなコーラスが意外に合っている。
SEAN PECKのボーカルは、舌足らずな印象を受ける事もあるが、
力強くて良い出来だ。メロディを押し出した、ドラマティックな
パワー・メタルと言う事で、ICED EARTH程の完成度はないが、
中々聴きごたえのある作品だ。[84]
HAPPY PILLS / CANDLEBOX
アメリカのロック・バンドの3rdアルバム。方向的には、やや
枯れた風味が入っていて、オルタナティヴ・ロック的な
エッセンスを感じるロック・アルバムだ。更にシアトル出身だが、
と言ってももろにシアトル系と言う感じではなくて、
BLIND MELONと言ったバンドの色合いも感じる。Happy Pills等は
かなりハードな楽曲で、PEARL JAMやALICE IN CHAINSと
言ったところのバンドが好きな人にも受ける要素はある。全体的に
楽曲の出来は地味目名感じがするが、良い楽曲が取り揃っている。
素朴で熱く醒めた感じのするサウンドは実に味わい深く、中々良い
アルバムに仕上がっている。[82]
HEROES / CASANOVA
ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの再結成第1弾となる7年振りの
3rdアルバム。MICHAEL VOSSのメロディ・センスの素晴らしさは、
変る事がないどころかますます磨きがかかっている。甘く、
キャッチーで叙情的なメロディは素晴らしく、哀愁のこもった
Heroes等は絶品であると言って良いだろう。やや捨て曲とも言える
曲がない訳でもないが、非常に素晴らしいアルバムに
仕上がっている。MICHAEL VOSSの甘いボーカルも、楽曲に非常に
良く合っていて、より情感を醸し出している。扇情的な部分での
盛り上げ方は素晴らしく、中々素晴らしい作品に仕上がっている。
[85]
RAJAZ / CAMEL
アイルランドのプログレッシヴ・ロック・バンドの3年振りの
アルバム。方向的には彼等らしい、叙情的なメロディの静かな
ギター・オリエンテッド的な作品だ。最近のコンセプト・アルバム
的な路線から離れ、ANDREW LATIMERの美しいギターをじっくりと
聴かせるアルバムに仕上がっている。とにかく落ち着いた静寂感を
持った、美しいギター・メロディを全編が渡って繰り
広がられている。プログレッシヴ・ロックと言っても
ポンプ・ロックに近い位で、派手な展開やプレイなど
一切ない。じっくりと聴き込める、味わい深い渋味さえ感じる様な
美しいアルバムだ。[82]
SWAY / CASANOVA
ドイツのハード・ロック・バンドのミニ・アルバム。全曲、
アルバム未収録曲と言う事で、ファンにとっては価値の大きい
作品だろう。CHEAP TRICKのカバー、I Want You To Want Me以外は
全曲未発表曲で、3rdアルバムから漏れたアウト・テイク集だ。
しかし、アルバムから落ちたとは思えないような、良質の楽曲が
並んでおり、満足の出来るアルバムに仕上がっている。
キャッチーな甘いメロディの、良質のハード・ロック作品で、
MICHAEL VOSSの甘いボーカルが良く合っている。特にSwayは佳曲と
言っても良い出来で、アルバム落ちの余った楽曲で作った
ミニ・アルバムとは侮れない仕上がりだ。[84]
BAREFOOTED ON EARTH #2 / CASBAH
日本のスラッシュ・メタル・バンドのミニ・アルバム。タイトルを
見て判る通り、同タイトルのミニ・アルバムの第2弾で、前作が
ネガティヴ編、今作がポジティヴ編と言うコンセプト
作品になっている。攻撃的でヘヴィでラウドなサウンドを
聴かせてくれており、破壊力はたっぷりだ。楽曲的には、特に
ミドル・テンポのFlying Highがバンドの重厚さに合っていて
良い。楽曲も単調になることはなく、適度に展開と変化が
持たせているのは十分評価出来る。羽鳥恭充の強烈な方向も
攻撃性と破壊力をより増しており、強烈な作品に仕上がっている。
[83]
IN MEMORIAM / CATHEDRAL
イギリスのドゥーム・メタル・バンドの1990年にリリースされた
デビュー・ミニ・アルバムに、ライヴを追加してアルバム
化したもの。後の、テンポの良いデフォルメしたBLACK SABBATHと
言った彼等のサウンドからすると、かなり趣の違う作品だ。
とにかく重くて遅い楽曲ばかりで、非常に奇怪な雰囲気に
満ちている。今の彼等のサウンドの方がまだ一般受けすると言える
位で、かなりおどろおどろしいアルバムに仕上がっている。
ライヴの方も、録音されたのはデビュー直後の1991年のもので、
このデビュー・ミニ・アルバムからも3曲演奏されているし、
基本的な路線は変わりない。ライヴの録音状態は今一つで、初期の
楽曲のライヴが聴けると言う異常の意義はあまり感じられない。
[69]
LIVE CANNIBALISM / CANNIBAL CORPSE
アメリカのブルータル・デス・メタル・バンドの初のライヴ盤。
今年行われたアメリカでのギグの模様を収めたもので、彼等の
活動を総括する様にこれまでのアルバムからまんべんなく
選曲されている。それ故ベスト盤と言っても差し支えないし、
初心者入門用にも使えるだろう。CLIF BURNESの後任である
GEORGE FISHERもかなり慣れて来た感じで、ここで聴く限りでは
CLIF BURNESとそう遜色はない。スタジオ盤と比べると、
テクニカルな演奏はより速く、スピード感を
感じさせるものとなっている。如何にもブルータルと言った感じの
暴虐さを感じさせる凄まじいライヴ・パフォーマンスだ。[82]
ENDTYME / CATHEDRAL
イギリスのドゥーム・メタル・バンドの6thアルバム。
ドゥーム・メタルの祖BLACK SABBATHと言う素材をより
デフォルメし、グルーヴィでサイケデリックな作品を作り
上げてきたが、ある意味ドゥーム・メタルと言うジャンルで
考えると異端な感じを受けるバンドだった。今作では初期のより
ヘヴィなサウンドを前面に押し出しており、ここ最近の作品と
比べれば、よりドゥーム・メタル然とした作品に仕上がったと
言って良いだろう。デビュー盤でのヘヴィでスローな
テンポになってしまったかと言うと、そう言う訳でもなく、
テンポの良さは失われてはいない。最近の彼等のフレーバーを
活かしながらも、よりヘヴィな音像となっている。[84]
THE CLEANSING / CATASTROPHIC
アメリカのデス・メタル・バンドのデビュー盤。元OBITUARYの
ギタリスト、TREVOR PERES率いるバンドで、OBITUARY的な
ミドル・テンポを中心とした、地獄の底を這い回る様な不気味さを
湛えたデス・メタルを聴かせてくれているかと思うと、いきなり
ハード・コア的な速いスラッシィな楽曲が出て来りと、今一つ
バンドの方向性に統一性が感じられない。大体はこのパターンの
楽曲が交互に出てくるのだが、却ってこの多様さが個性を
薄めている様にも感じられるのが残念だ。全体的に短い楽曲が
連なっており、飽きさせずに最後まで聴かせてくれるし、出来は
決して悪くない。[80]
FIREDEMON / CARNAL FORGE
スウェーデンのメロディック・デス・メタル・バンドの
2ndアルバム。ボーカリストはCENTINEXのギタリストで
DELLAMORTEのボーカリスト、JONAS KJELLGRENで、IN THY DREMASの
ベーシスト、PETRI KUUSISTO、ギタリスト、JARI KUUSISTO、
ドラマー、STEFAN WESTERBERG等によって結成されている
バンドだ。これらのバンドから想像出来る様に、その音楽性は
スラッシュ・メタル型のメロディック・デス・メタルだ。この
手のものとしても、最もブルータルでアグレッションの効いた
サウンドで、実に格好の良い作品に仕上がっている。特に生々しい
音色のギター・リフは攻撃的で非常に素晴らしい出来だ。[82]
DISCIPLINE / CADAVER INC
ノルウェイのデス・メタル・バンドのアルバム。その正体は
1990年代初頭、デス・メタル創生期に活躍したCADAVERの
ギタリスト、NEDDO率いるバンドだ。流石に
オリジナル・メンバーが一人では再結成とは言い難かったのか、
若干バンド名を変えている。その音楽性は、CADAVERと同じく
ブラスト・ビートを押し出した、ブルータルなものだが、より
ブラック・メタル的な邪悪さが感じられるものとなっている。
強烈なアグレッションで切り込んでくるサウンドは凄まじく、
1990年代初頭のエクストリーム系サウンドが持っていた混沌さが
感じられる。[80]
TIME OF LEGENDS / CAIRO
アメリカのプログレッシヴ・ロック・バンドの3年振りとなる
3rdアルバム。方向的にはいわゆるシンフォニック・ロックと
言うやつで、YESの流れを汲む作品と言って良いだろう。前作より
更にシンフォニック的な色合いが強くなっており、その分
ハードさはなくなって来ている。透明感のある空間の広がりを
感じさせる楽曲は、叙情的ねメロディも相俟って、情感が良く
出ている。プログレッシヴ・ロックのバンドらしく、相変わらず
大作指向的趣向が見え、長い楽曲が多いのだが、これまでよりは
控えめになっているのは好感が持てる。楽曲もよりキャッチーさが
出てきており、楽曲の魅力も増していると言って良いだろう。[81]
300 PERCENT DENSITY / CANDIRA
アメリカのヘヴィ・ロック・バンドの4thアルバム。方向的には
ハード・コア的なエッセンスを前面に押し出しながらも、
ヒップ・ホップ等のエッセンスを取り入れ、ミクスチャー的な
作品に仕上がっていると言って良いだろう。特に大きな
特徴となっているのは、非常にジャジィーな色合いが濃いことで、
この難解さとテクニカルさは凄まじい。それ故、到底聴き易い
作品とは言えないだけに、あまり一般受けはしない
アルバムだろう。ただ、これだけ難解な作品を構築出来る実力と、
作品から滲み出るアジテーションは圧巻で、感嘆させられる。[85]
GORE OBSESSED / CANNIBAL CORPSE
アメリカのデス・メタル・バンドの2年振りの8thアルバム。
フロリダのデス・メタル・バンドらしく、方向的にはいわゆる
グラインド・コア系と言えるもので、その路線はこれまでとは
変わる事はない。GEORGE FISHER加入以降の路線から全く
変化はないので、前作が気に入ったなら聴いて損はないだろうし、
CHRIS BARNESの強烈なデス・ボイスがない事に不満を憶えている
人は、今作でもやはりそう言う不満は感じるだろう。出来自体は
決して悪くないのだが、CHRIS BARNESの頃のインパクトはやはり
どうしても感じられないのは如何ともし難いところだ。[78]
PLEASE...DIE! / CARNAL FORGE
スウェーデンのデス・メタル・バンドの3rdアルバム。方向的には
スラッシュ・メタル型のデス・メタルと言えるもので、この
手のものでもかなりアップ・テンポのサウンドを
聴かせてくれている。いわゆるブラスト・ビートと言う
感じではなく、クランチを中心としたもので、ザクザクとリフを
切り刻み、強烈にアジテーションしてくるデスラッシュだ。特に
ボーカリストのJONAS KJELLGRENによるシャウトがそう言った趣を
倍化させており、破壊力のある作品に仕上がっている。剛球
一直線とも言える様な、攻撃的な作品作りは好感が持てる。[83]
2 / CAB
アメリカのプロジェクト・バンドの2年振りとなる2ndアルバム。
ソロとして活躍しているヘヴィ・メタル系のギタリスト、
TONY MaxALPINEとフュージョン系のベーシスト、BUNNY BRUNEL、
ドラマー、DENNIS CHAMBERSと言うやや畑違いと思われる
メンバーによって構成されており、今作ではオルガニストとして
BRIAN AUGERが加わっている。それ故、方向的にはフュージョン、
ジャズ的なエッセンスが強く出ており、メタル側の
リスナーとしては戸惑うところが大きいと思う。テクニシャン
揃いなだけに、その演奏的レベルは流石と思わせるが、
ジャズ・ロックが好きでないと厳しいと思う。[80]
A NOD AND A WINK / CAMEL
イギリスのプログレッシヴ・ロック・バンドの3年振りの
14thアルバム。方向的にはシンフォニック・ロックと言うべき
叙情的な作品で、しんみりとした場面から、躍動的な場面へと
ドラマティックに移り変わって行く。爽やかな中にも、意外と
ハードさを感じさせるギターや独特の味わいを出している
フルート等を上手く盛り込んで、落ち着いた作品でありながら
決して短調にならないのは好感が持てる。このANDREW LATIMERの
ギターとフルートの持ち味が良く活きたアルバムに
仕上がっている。[83]
THE VIITH COMING / CATHEDRAL
イギリスのドゥーム・メタルの7thアルバム。前作で初期への揺り
戻しを見せ、より混沌としたカオティックでドゥーミィな
サウンドを聴かせてくれていたが、今作ではその
延長線上にいながらも、その後の変化して行った音楽性も取り
込んだりしている。それ故、メロディ等には非常にポップ性の
強さを感じる部分があるのだが、リフ自身はヘヴィに強く打ち出す
事によって、後期のどこかコミカルな印象は伝わって来ない。
ポップ性も後半になるとどんどん薄くなって行き、より
アンダーグラウンド的な聞き手を限定する様な方向性へと
向かっていると言って良いだろう。初期と後期の中庸的な
イメージを受けるのだが、それが中途半端と言う
気がしないでもない。[81]
THE SERVE MAN / CATTLE DECAPITATION
アメリカのデス・メタル・バンドの3rdアルバム。音楽的には
ブラスト・ビートを前面に配した、いわゆるグラインド・コア系の
デス・メタルと言えるものだが、フロリダ系の
テクニカル・デス・メタルとはやや趣が違う。カオティックで
暗黒面を除く様な、不気味さと腐臭漂う如何にもエクストリームと
言ったサウンドで、ジャケットもまさにそう言うグロい物だ。
しかし、非常にリフの切れ味が良いサウンドで、この
手のものとしてはレベルが高いのは確かだ。どう転んでも一般
向きではないが、グラインド・コアに耐性のある人は聴いてみて
損はないだろう。[80]
THE MORE YOU SUFFER / CARNAL FORGE
スウェーデンのデス・メタル・バンドの4thアルバム。
IN THY DREAMSのギタリスト、JARI KUUSISTOとPETRI KUUSISTO
兄弟、STEEL ATTACKのドラマー、STEFAN WESTERBERG、CENTINEXの
ボーカリスト、JONAS KJELLGREN、ROSICRUSIANのベーシスト、
LARS LINDENと言う完全な兼業バンドだ。バックは完全に攻撃型
スラッシュ・メタルで、いわゆるデスラッシュと呼べるものだ。
叙情的なギター・メロディも入れながら、時には
ドラマティックさすら感じさせてくれるが、基本的にはコアで
スピードのある攻撃的なサウンドのスラッシュ・メタルで、
今これだけ切れのあるスラッシュ・メタルを聴かせてくれる
バンドは稀有だろう。[82]
WORKING LIVE-VOLUME 1 / CARL PALMER
EL&P、ASIAのイギリス人ドラマーによるソロ・ライヴ。2001年に
行われたイギリスでの公演の模様を収めたものだ。ギタリストと
ベーシストのトリオ編成のライヴで、当然彼がドラムを叩きまくる
訳で、楽曲は全てEL&P時代のものだが、彼が自分の思い通りに
プレイする事で、最近のEL&Pでは見られなかった緊張感が
迸っている。脇役の2人が意外にも優れたテクニックの持ち主で、
この2人と彼の掛け合いがこの緊張感を生み出しているとも
言えるだろう。全曲インストルゥーメンタルだが、逆にこれが功を
奏していて、純粋にプレイを楽しませてくれている。これだけの
内容を聴かせてくれるなら、少なくとも今のEL&Pより遥かに良い。
[82]