INSUFFICIENT THERAPY / CRAIG GOLDY
元ROUGH CUTT、GIUFFRIA、DIOのアメリカ人ギタリストによる
1994年にリリースされた初のソロ・アルバム。前作では
CRAIG GOLDY'S RITUALと言うバンド名義でリリースされたが、
そのバンドは既に解散してしまっている様だ。その方向性は、
DIOやCRAIG GOLDY'S RITUALとは完全に一線を画し、ヘヴィで
ラウドな感じのするヘヴィ・メタルとなっている。半分は
インストルゥメンタルで、半分は当時DIOのJEFF PILSONが
ボーカルを取っているが、インストルゥメンタルとボーカル
入りでは、曲調に全く変化はない。楽曲の出来は悪くないとは
思うし、地味ながらもテクニックはしっかりとした人なので、
演奏面でも問題無いのだが、これまでの路線を期待する人には
期待外れの作品になるだろう。[80]
ADDICTION / CRAWLEY
スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドの1993年にリリースされた
デビュー盤。方向的には、キャッチーなメロディを配しながらも、
ヘヴィなサウンドのパワフルなヘヴィ・メタルだ。全体的に
アメリカ的なメロディ・センスを持っており、愁いさを取り去った
DOKKENをもっとヘヴィにした感じだ。DOKKEN程、洗練されていると
言う訳ではないし、ややだみ声っぽいパワフルなボーカルも
DOKKENと趣が違うが。残念ながら飛び抜けた楽曲はないが、
全体的に良く出来ているし、センスの良さは伺えるアルバムに
仕上がっている。演奏的なレベルも中々高いし、新人としては十分
評価できる作品だ。[82]
...JUST DREAMING / CREMATORY
ドイツのゴシック/メロディック・デス・メタル・バンドの
1994年にリリースされた2ndアルバム。方向的には
ドゥーム・メタル的な色合いもあり、ミドル・テンポで重苦しい
雰囲気を醸し出しているが、KATRINのキーボードが非常に軽くて
違和感を憶える部分もある。シンフォニックな音色を
出しているときは良いのだが、それ以外のときは、もこもこした
不思議な音色で、荘厳な音色を出すという部分に全く
貢献できていない。シンフォニックな部分では、雰囲気に良く
合っているので、何故こう言う音作りにするのかはなはだ疑問だ。
楽曲は特に可もなし、不可もなしと言った感じで、FELIXの
デス・ボイスも雰囲気を壊しているのはマイナス要素だ。[79]
FRESH CREAM / CREAM
イギリスのロック・バンドの1966年にリリースされたデビュー盤。
伝説的なロック・バンドで、後にハード・ロックが根元のバンドの
一つと並び称されている。GINGER BAKER、JACK BRUCE、
ERIC CLAPTONと言う偉大なミュージシャンが集まった
スーパー・バンドだ。方向的には、いわゆる
ホワイト・ブルーズ・ロックと言うやつで、次作と比べると
White Roomの様なハードさはあまりない。かなり古っぽい
ロックで、それ故に、ハード・ロック系のリスナーにはやや
物足りなく感じるかもしれない。素朴な感じのする作品で、
ノスタルジーに浸りながら聴きたいアルバムだ。[83]
ASYLUM / CRESSIDA
イギリスのプログレッシヴ・ロック・バンドの1971年に
リリースされた2ndアルバム。PETER JENNINGSのオルガンを
フュチャーした、どことなく愁いを帯びた作品だ。
プログレッシヴ・ロックらしい展開や、オルガンが入るが、変に
捻った事をやっていないので思ったより聴き易いアルバムに
仕上がっている。アコースティック・ギターやピアノ等、
アコースティカルな部分があって、素朴な感じを醸し出している。
さすがに古臭さはいがめないのだが、叙情的で楽曲の出来は中々
良いし、演奏を含めてクオリティの高い作品だ。[84]
CRIMSON GLORY / CRIMSON GLORY
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1986年にリリースされた
デビュー盤。マスクを付けて素顔を隠すと言う奇抜なスタイルで
話題を呼んだが、サウンドの方向的としてはかなり正統的だ。
MIDNIGHTのボーカルは、JEFF TATE似だが、よりヒステリックな
感じのする扇情的なものだ。VALHALLA等はデビュー当時の
QUEENSRYCHっぽい感じもするが、全体的にメロディはより愁いを
帯びており、アメリカのバンドとしては珍しい、ブリティッシュ
的な哀愁すら感じさせる。楽曲の出来も、全体的に質が高く、
扇情的でフックがあって、中々素晴らしいアルバムに
仕上がっている。[87]
TRANSCENDENCE / CRIMSON GLORY
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1988年にリリースされた
2ndアルバム。方向性は、前作の延長線上と言える扇情的な
メロディアス・ヘヴィ・メタルだ。Lady Of Winter等は、
メロディはより判りやすい出来で、より馴染み易いサウンドに
仕上がっている。ややヒステリックな部分に好き嫌いは
分かれるかもしれないが、MIDNIGHTの扇情的な
ハイ・トーン・ボーカルは素晴らしい出来で、楽曲により
めりはりを付けている。楽曲の出来は前作以上に素晴らしいし、
正統派ヘヴィ・メタルとして傑作の一枚に挙げれるアルバムだ。
[89]
RAW BREW / CROSSROAD JAM
スウェーデンのハード・ロック・バンドの1992年にリリースされた
デビュー盤。方向性は、スウェーデンのバンドとしてはかなり
珍しいと言えるもので、かなり泥臭い作品だ。サイケデリックな
感じのする、アメリカ南部的なもので、ハモンド・オルガンに
ハーモニカ等も入れて来ている。骨太のハード・ロックで、
北欧らしさは微塵もないのだが、意外とはまっていると思える。
楽曲の出来も良いし、北欧のバンドと言う事を考えないで、
南部ブルーズ系のハード・ロックが好きならば、
結構いけるはずだ。ROLAND CHANTREのボーカルは、割と透った
ボーカルだが、パワフルに歌い上げていて悪くない。[81]
FROM WITHIN / CROSSROAD JAM
スウェーデンのハード・ロック・バンドの1994年にリリースされた
2ndアルバム。泥臭い、サイケデリックなブルース・ロックだった
前作と比べると、随分とすっきりした印象を受ける。
スウェーデンのバンドに似合わず、アメリカナイズされた
骨太なハード・ロックと言う部分は変わらないが、より洒落た
ロック・アルバムに仕上がっている。ハモンド・オルガンが幾分
古臭さを味付けている。良い意味でも、悪い意味でも音が
クリアになっており、すっきりした分、前作より今一つ特徴のない
アルバムになってしまっている様な感じも受ける。[80]
CROWN OF THORNS / CROWN OF THORNS
アメリカのハード・ロック・バンドの1994年にリリースされた
デビュー盤。元THE PLASMATICS、VOODOO XのJOHN BEAUVOIRと
元CHIC、THE POWERSTATIONのTONY TOMPSON等による新しい
バンドだ。方向的には、VOODOO Xに通ずる様な、キャッチーな
メロディのハード・ロックだが、VOODOO Xよりはフックがあり、
全体的な完成度は高い。JOHN BEAUVOIRを中心とする作曲陣の
メロディ・センスの素晴らしさが出たアルバムで、楽曲のレベルは
かなり高い。アメリカの叙情的でキャッチーな、愁いを帯びた甘い
メロディのハード・ロックが好きならば、きっと気に入るはずだ。
[85]
KILLER THORNS / CROWN OF THORNS
アメリカのハード・ロック・バンドの1994年にリリースされた
未発表音源集。デビュー前に録音されたマテリアルを集め、
日本でのみリリースされた企画盤だ。全17曲中、12曲は
デビュー・アルバムのデモ・バージョンで、Hike It Up、
Are You Ready?の別バージョンと、未発表曲は3曲だけだ。
The Rain等は、未発表と言うのは勿体無い位の格好良い愁いを
帯びたメロディアス・ハード・ナンバーだ。残りのI Won't Waitと
Dirty Talk, Dirty Walkは取りたててどうという事のない楽曲で、
コレクターズ・アイテム以上の価値は難しいかも知れないが。[81]
THE DYING RAGE / CROWS
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1991年にリリースされた
アルバム。楽曲を始め、プロダクションも、ヨーロッパの
バンドかと思うような芋臭さが全体的に支配している。
方向的には、扇情的でオーソドックスなパワー・メタルで、
CENTURY MEDIAからリリースと、アメリカのバンドとしては珍しい
タイプだ。プロダクションが悪いとは言え、全体的に
アップ・テンポで勢いだけは感じさせてくれる。楽曲は特別これと
言ったものはないが、全体的に悪くないし、フックはある。但し、
プロダクションの悪さは致命的で、この辺りを改善できればもっと
良いアルバムに仕上がったと思うのだが。[80]
OUT FROM THE BLUE AT LAST / CRYSTAL BLUE
スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドの1994年にリリースされた
デビュー・ミニ・アルバム。叙情的でメロディアスな
ヘヴィ・メタルで、キャッチーなメロディの楽曲が取り
揃っている。特にMind And Heart等は佳曲と言えるもので、中々
美しくて格好が良い楽曲だ。プロダクションは決して良いとは
言えないのだが、暖かい音作りがバンドの方向性にあっている。
MORGAN J.JOHANSSONのボーカルも楽曲に合っていて良い感じだし、
THOMAS "WATCHIE" LASSARのハモンド・オルガンっぽい
キーボードや、OUE LUNDGUISTのメロディアスなギターがまた良い
出来だ。新人で、これだけの作品を作れれば、十分及第点を出せる
楽しみな新人だ。[86]
THE BOTTOM LINE / CRYSTAVOX
アメリカのクリスチャン・メタル・バンドの1992年に
リリースされた2ndアルバム。方向的には今一つ統一感に欠ける
感じがするのだが、ADAM LEE KEMPの透った独特のボーカルが、
アルバムに一本芯を通している。楽曲的には、明るくのりの良い
ハード・ロックンロール・タイプの楽曲と、ミドル・テンポの
もったりとした楽曲が中心で、その他Paradiseの様な
メロディック・スピード・メタルの様な楽曲まである。
The Big Pictureは明るくのりの良いハード・ロックンロールで、
中々良い楽曲なだけに、もっとこう言った楽曲中心で行っても
良かったのではないだろうか。とは言うものの、ADAM LEE KEMPの
粘質のあるボーカルが凄く良い効果を出しているし、、楽曲も
さびに関しては親しみを持てて意外と印象的なのが評価できる。
[85]
CRASH / CRASH
スウェーデンのハード・ロック・バンドの1993年にリリースされた
自費出版アルバム。メンバーで特に注目に値するのは、その後
ソロに転向したMICKEL ERLANDSSONがボーカル兼キーボードとして
参加している事だ。クレジットからすると、ギターの
JAN ELIASSONが中心人物だと思われる。叙情的でポップな
アメリカン・ハード・ロックで、MICKEL ERLANDSSONの後の
ソロ・アルバムと比べると、もっとハードな作品だ。自費
出版ながらも音質、楽曲、演奏ともかなり良い線を行っていて
中々良いアルバムに仕上がっている。[85]
ENDLESS SUPPLY OF PAIN / CRASH
韓国のスラッシュ・メタル・バンドの1994年にリリースされた
デビュー盤。楽曲的にはSLAYERに通ずる所もある、リフを
ザクザクと刻むスラッシュ・メタルだ。部分的には
ブラスト・ビートを用いて、グラインド・コア的なリフも所々顔を
出す。しかし、メロディ・ラインにはオーソドックスな
スラッシュ・メタル的な部分もあって、新旧混在した様な感じが
面白い。ボーカルは言われるほどデス・ボイスっぽくはないが、
いわゆるデスラッシュの範疇だと思って良い。どちらかと言うと
問題はドラムで、早い曲はそれほど気にならないのだが、
ミドル・テンポ程度になるとパカパカした軽い音が非常に
気になる。楽曲の出来もまずまず良いし、韓国の新人バンドと言う
様な域を越えている作品だ。[78]
ARE YOU READY '95 / CROWN OF THORNS
アメリカのハード・ロック・バンドのミニ・アルバム。
ギターとドラムに新メンバーを迎えており、ギタリストの
TOMMY LAFFERTYはボーカルのJEAN BEAUVOIRのVOODOO X時代の
僚友で、その後FROM THE FIREというよりポップな指向を持った
ハード・ポップ・バンドを率いていた。8曲中ライヴが6曲で、
メンバー・チェンジによる、このバンドの将来を占うには判断
材料に欠けるし、あくまで新メンバーのお披露
目的なものでしかない。方向的にはこれまで同様、キャッチーな
メロディのハード・ロックではあるが、ただこの
ミニ・アルバムだけを取ればさして面白いものではない。[75]
WET / CROSS 'N' CRAZY
アメリカのハード・ポップ・バンドのアルバム。一風変わった
サウンドで、テクノっぽいボーカルにキーボード、
シンフォニック・ロックっぽい楽曲に、メロディアス・ハードな
ギター・サウンドとミクスチャー的と言った感じがするのだが、
それが却って彼等の音楽に特異性をもたらすに至っている。楽曲は
特にPENDRAGON風で、プロダクションはあんまり良くないのでB級
臭さはつきまとうが、面白い素材ではある。全体的に憂いを帯びた
プログレッシヴ・ロックからハード・ポップまでと言った感じの
アルバムで、派手さは全くない。[81]
NATURAL PROGRESSION / CRISTON/HARVEY
アメリカのハード・ロック・バンド、元KICK AXEの
GEORGE CRISTONとRAY HARVEYによるユニットのデビュー盤。
アメリカ風の乾いたサウンドの明るく、軽いノリの
ロック・アルバムで、アコースティックを多用した楽曲は
アメリカン・フォーク的な趣がある。フルートを入れてみたりと
色々と試みている様で、コーラスもしっかりしていて基本的な
作りは良く出来ているが、全体的に見ると平凡という域を
脱してはいない。もう少し楽曲を練る等、楽曲の質を向上させて
行く必要が感じられるが、決して悪くないアルバムだ。[81]
CAUGHT IN THE GAME / CRYSTAL BLUE
フルレンスでは初となるスウェーデンのハード・ロック・バンドの
アルバム。デビュー・ミニ・アルバムは自費出版だったが、今回は
正式にディールが付いた様だ。とは言うもののインディーズの
悲しさか、相変わらず音はこもっていて、プロダクションは決して
良いとは言いがたい出来だ。ずば抜けた曲はないものの、
キャッチーな優しいメロディが全体的に配されていて粒がそろった
良い作品に仕上がっている。STEFAN NYKVISTのボーカルが鼻に
詰った様な感じがするのが気にかかるが、この甘ったるさは
バンドの方向性に合っているし、今後が楽しみなバンドだ。[86]
ILLUSIONS / CREMATORY
ドイツのゴシック/メロディック・デス・メタル・バンドの
3rdアルバム。前作では女性キーボード奏者、KATRINの美しい
キーボードの音色ばかり目立って、キーボードとその他の楽器の
アンバランスさが目立ち、更にFELIXのデス・ボイスが楽曲の
耽美さを壊している様に感じられる部分があって、到底奨めれると
言うレベルではなかった。今作でもFELIXの咆哮型デス・ボイスが
あまり合っているとは思えないが、それはともかくとして全体の
演奏のバランスは随分良くなっている。KATRINのキーボードの
耽美さは今回も拝聴に値するし、プロダクションが良くなった分、
自然に感じられるアルバムに仕上がっている。全体的に
デス・ボイスの比率を下げてノーマル・ボイスを導入しているのも
正解だ。[82]
VICTIMIZED / CRIMINAL
チリのスラッシュ・メタル・バンドのデビュー盤。かなり
ハード・コア的な要素が強く、破壊的なサウンドを展開している。
DEAD SERIOUSほどの破壊力はないし、完成度もないが、その分
失走感は中々のものがある。ANTON REISENEGGERのボーカルは吐き
捨て型で、隣国、ブラジルのSEPULTURAのMAX CAVALERAを
思わせないでもないが、もっとヒステリックで聴き辛い感じだ。
全体的に抑揚が今一つなく平坦な感じを受けるために、盛り
上がりどころが掴めない。もっと全体的な完成度を高める
必要があるとは思うが、国外でちゃんとしたプロデュースを受ける
様になれば随分良くなるだろうとは思う。[80]
THE BURNING / CROWN OF THORNS
スウェーデンのデス・メタル・バンドのデビュー盤。アメリカの
同名のハード・ロック・バンドとは全く無関係だ。方向的には
かなりブルータルなメロディック・デス・メタルで、系統的に
バックはスラッシュ・メタルだが、ブラスト・ビートが大胆に取り
入れられている。その一方で、ギター・メロディなども十分
聴かせるに至っており、暴虐性と攻撃的なメロディが
渾然一体となって流れ込んで来る。デビュー盤で、これだけの
クオリティのアルバムを作れればたいしたものだ。難点は
ブラスト・ビート時のパカパカと軽いドラム音と、一部リフが
つまらない事だろう。[82]
NO CURE / CRIME
ドイツのハード・ロック・バンドの1995年にリリースされた
2ndアルバム。出だしのタイトル・トラック・ナンバー、No Cureが
FAITH NO MOREのEpicをアップ・テンポにして、もっと
メタルよりにした様な楽曲だし、続くWhodoyouthinkyouare?も随分
ファンキーな部分があるのでそう言うバンドと言う印象を
受けるが、その後はAOR系のハード・ポップのHey You!から
パンチの効いたメロディアスなShades Of Bluesと、どちらかと
言うと方向性に一貫性がないと言った方が正しいだろう。取敢えず
D.A.I.D.以降の後半は泣きのメロディ、あるいは扇情的なヘヴィな
メロディが中心になり、もっとこう言った路線で一貫性を持たせた
方が判り易かっただろう。STAVROS MOUTZOGLOUのボーカルは、
高音が弱く、高いキーでたまによれていて、聴いていて
危なっかしい。良く判らないCD番号が付いているが、多分自費
出版で、そのためもあってか録音状態はあまり良くない。[83]
TOP OF THE WORLD / CROWN
ドイツのパワー・メタル・プロジェクト・バンドの
ミニ・アルバム。元CENTAURのRAINER KUPPERSと
REINER SCHUTZLERの二人によるプロジェクトで、その外の
メンバーも全員CENTAURという構成だ。CENTAURはキーボードの
出来ばかり目立って肝心の楽曲の出来は今一つだったが、ここでは
キーボードも突出する事なく、より扇情的になっている。
路線的にはメロディアスなヘヴィ・メタルで、CENTAURの路線を
いくらか継承しているが、それ程はっきりとしたものではない。
よりパワー・メタル然としており、だみ声であまり上手いと言う
感じではないボーカルも、パワーが感じられてそれなりに聴ける。
[82]
BREAKTHROUGH / CROWN OF THORNS
アメリカのメロディアスなハード・ロック・バンドで、これが
2ndアルバム。デビュー・アルバムは優れたポップ・センスを
凝縮させた中々の好盤だったが、メンバー・チェンジで作成が
遅れたこともあって、間に2枚の企画盤を挾んでの
リリースとなった。新しいギタリストとして中心メンバーである
JEAN BEAUVOIRの僚友である、元FROM THE FIREのTOMMY LAFFERTYが
加入している。両バンドともポップ・センスという点では目を
見張る物があったが、CROWN OF THORNSはむしろもっと
アメリカ的な明るさを出している。FROM THE FIREはその
メロディ・センスは素晴らしかったもののこじんまりと
し過ぎており、盛り上がりの欠けるものであった。
TOMMY LAFFERTYの加入したこのアルバムもその影響があるのか
判らないが随分と落ち着いてしまった感じがあり、重厚ながら
勢いのあるのりを聴かせていた1stアルバムと比べると勢いが
感じられない。[76]
BLASPHEMY MADE FLESH / CRYPTOPSY
カナダのブルータル・デス・メタル・バンドで、恐らく
デビュー盤。如何にもブルータル系デス・メタル・バンドらしく、
ブラスト・ビートはそこかしこと登場してくるが、一応バックには
メロディを感じることが出来るし、ギター・ソロの部分等は
はっきりとメロディを持っているので、ちまたの同類の
バンドからすると随分聴き易い。とは言え、そこは
グラインド・コア系なだけあって、その手のものが受け付けないと
少し厳しいだろう。変則的な部分も多少有り、
テクニカル・デス・メタルに通ずる部分もある。デス・ボイスは
ろれつが回っていない唸り声のようであり、全く何を
喋っているのか判らないが、調子外れでないのが救いだ。[80]
A GOOD, FIRM, MUSICAL SPANKING / CRY BABY
アメリカのロック・バンドの恐らくデビュー・アルバム。最低の
センスのアルバム・ジャケットに「頭がどうかなったと」という
日本語が飛び出し、Hotel Californiaのようなメロディが流れ
出したときはどうなるものかと頭を抱えたが、実際は
メロディアスでキャッチーでポップなロック作品だ。哀愁を
感じさせる叙情的なメロディに、線は細いが扇情的な
ハイ・トーン・ボーカルで、コーラスも含めて中々味のある
サウンドを聴かせてくれている。楽曲は非常に古臭く、全体的に
チープな感じのする作品だが、質自体は非常に高く、愁いのある
メロディが好きならば結構聴けるはずだ。[85]
VEMPIRE OR DARK FAERYTALES.... / CRADLE OF FILTH
今や飛ぶ鳥を落とす勢いのイギリスの
メロディック・ブラック・メタル・バンドの2ndアルバム。
デビュー・アルバムでANATHEMAのDARREN J.WHITEが
ゲスト参加していたが、彼がTHE BLOOD DIVINEを結成するに
当たり、メロディ隊のRYAN兄弟とPAULの3人全てがそちらに
参加するために脱退してしまい、その存続が危ぶまれたが、
新たなメンバーを入れて再出発してのアルバムだ。当然
金切り声のブラック・メタル・ボイスで、これが聴けないと
苦しいが、プログレッシヴとも言えるような展開とメロディに
ブラスト・ビートが織り込まれ独特の世界を築き上げるに
至っている。全体的な完成度も高く、メンバー・チェンジは
悪影響をもたらさなかった。[87]
CRYSTAL PRIDE / CRYSTAL PRIDE
北欧メタル初期に活躍したスウェーデンの
ヘヴィ・メタル・バンドの1984年にリリースした唯一のアルバム。
この頃の北欧メタルの中では一風変わった感じのバンドで、
泣きや憂いみたいなものはあまり無く、メロディアスだが
疾走感のあるハード・ロックンロールという感じだ。ボーカルは
SUSANNE CHRISTENSENという女性ボーカリストで、それほど
うまい訳ではないが、声に張りがあって勢いを感じさせバンドの
方向性からは結構合っている。録音状態もさして良くないが、
楽曲はそこそこの出来だし、情熱のほとばしりを
感じさせてくれる。[84]
DUSK AND HER EMBRACE / CRADLE OF FILTH
イギリスのメロディック・ブラック・メタル・バンドの
3rdアルバム。ヒステリックに叫ぶブラック・メタル・ボイスは
健在だ。ギタリストのP.J.、PAUL R、キーボードの
BENJAMIN RYANのメロディ・ラインがTHE BLOOD DIVINE
結成のためにごっそり抜けてしまった事が心配されたが、
それほど悪い影響はなかったようで、出来的には前作を何ら
下回ることはない。女性コーラスで醸し出す荘厳さは
ゴシック・メタル的な雰囲気も感じる。シンフォニックな部分を
織り込みながらも、全体的にかなりアップ・テンポで、幾分
プログレッシヴな感覚があるドラマティックな作品に
仕上がっている。[85]
NONE SO VILE / CRYPTOPSY
カナダのデス・メタル・バンドの2ndアルバム。いわゆる
ブルータル・デスで、ブラスト・ビートを用いた複雑なリフが
垂れ流される。圧倒的な音の洪水に、ミニ・アルバムと言って
良い位の長さなので、あっという間に過ぎ去ってしまったという
印象だ。デス・ボイスは咆哮というより、単なるうなり声で、何を
言っているのかさっぱり判らない。とにかく壮絶という
一語に尽き、グラインド・コアが好きな人以外にはあまり
お奨め出来ないが、ギター・メロディがちゃんとある辺りが
救いというかこのバンドを特徴づけている部分だろう。[79]
TO BE OR NOT TO BE / CRASH
韓国のスラッシュ・メタル・バンドの1995年にリリースされた
2ndアルバム。明らかに初期SEPULTURAに影響を受けたと思しき
内容と演奏スタイルで、ボーカルも割とそのままだ。かなり
ハード・コアがかったスピィーディなもので、
勢いだけでいっているように感じる。とにかくその迫力は
SEPULTURAとまでは言わないが中々のものではある。だが、楽曲に
面白味があまりないし、オリジナリティもさして感じないので
聴いていて飽きが来るのは確かだ。楽曲がパターンに
はまりすぎていて、こういうタイプは変化が少ないのはやはり
少し辛い。[69]
EXPERIMENTAL STATE OF FEAR / CRASH
韓国のスラッシュ・メタル・バンドの3rdアルバム。方向的には
これまでの延長線上と言えるもので、そのサウンドは明らかに昔の
SEPULTURAの影響を受けたものだ。それ故、HEUNG CHAN AHNの
ボーカル・スタイルも含めて、楽曲もどこか聴いた感すらある。
SEPULTURAのフォローワーであると言っても、攻撃的な楽曲に
演奏は十分評価出来るだけの域に達していると言える。電子音が
入ったりとややモダンな感じがするのが気にかからなくもないが、
かなり扇情的でそういう意味では良く出来ていると言っても
良いだろう。今後はどれだけオリジナリティを出せるかが
鍵になってくるだろう。[79]
ETERNAL DEATH / CROWN OF THORNS
スウェーデンのメロディック・デス・メタル・バンドの
2ndアルバム。バックはいわゆるパワー・メタル風なのだが、
ギターにメロディを含ませながらもかなりブルータルに
進んでいく。JOHAN LINDSTRANDの強烈な破壊力を持った
デス・ボイスはこの手のものとしては最も強力なものの
一つと言えるもので、サウンドにブルータルさを一層
加えているし、生々しいまでの情念を感じさせるギターを始め、
ライヴ感があって楽曲がたっている。メロディの良さ、楽曲の組み
立てなど、デビュー盤よりは遥かに進歩が見られ、なかなかの
快作に仕上がっていると言って良いだろう。[87]
DIAMONDS & DEBRIS / CRY OF LOVE
アメリカのハード・ロック・バンドの2ndアルバム。
アメリカらしいブルーズ系のバンドながら、THE BLACK CROWS等の
様な埃っぽさはなく、どことなく艶っぽいリズム&ブルースと言う
感じの強い作品に仕上がっている。適度にハードで、
楽曲もまずまずで演奏も中々しっかりしている。元LYNCH MOB、
現SILENT WITNESSのROBERT MASONをボーカリストに迎えており、
彼のエモーショナルなボーカルは、こう言ったタイプの楽曲に
合っているのか思ったより良い。派手さはそれ程ないが、
気だるさを湛えながらも地味という感じはそれ程受けない。[81]
LOST CATHEDRAL / CROWN OF THORNS
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの3rdアルバム。産業ロックと
言って良い程、元々メロディ・センスには定評のある
バンドだけに、ここでも非常に洗練された素晴らしいメロディを
聴かせてくれている。これまでの作品よりは更に憂いをまして落ち
着いた感じがするが、ギタリストのTOMMY LAFFERTYが組んでいた
FROM THE FIRE等よりはまだまだ遥かに楽曲にフックを感じられる
作品だ。この美しいメロディだけでも十分聴く価値を見出せる程、
叙情感溢れうメロディに扇情的なギター・プレイだ。
JEAN BEAUVORのセンスの良さを伺わせるアルバムに
仕上がっている。[84]
CRUELTY AND THE BEAST / CRADLE OF FILTH
イギリスのブラック・メタル・バンドの3rdアルバム。今や
ブラック・メタルとしては最も成功したバンドとも言えるが、
サウンド的にはともかく、歌詞的にはブラック・メタルから
外れると言って良いだろう。ELIZABETH BATHORYと言う実在の
人物をテーマにしたコンセプト・アルバムで、アイデア的には
彼等に合っている。女優のINGRID PITTが語りで参加していて、
ドラマティックな作品作りに一役買っている。DANI FILTHの
スクリーミングは一層壮絶さを増しているし、
コンセプト・アルバムとしての楽曲の出来も中々のものだ。彼等の
狂気にも似たそのサウンドは激烈で、構成もしっかりと
練られており、退廃の美を堪能する事が出来る。
ボーナス・トラックのIRON MAIDENのカバー、
Hallowed Be Thy Nameはボーカルはともかく、演奏的にはあまり
捻りがなくていまいちだ。[89]
CRUELTY AND THE BEAST / CRADLE OF FILTH
イギリスのブラック・メタルの3rdアルバムで、十字架型
ジャケットの特殊盤。Portrait Of The Dead Countessが
削られているが、当初、日本盤のみのボーナス・トラックであった
IRON MAIDEN、Hallowed Be Thy Nameの他、日本盤にも
収められていないVENOMのカバー、Black Metal、SODOMのカバー、
Sodomy & Lust、Twisting Futher Nailsのミックスと言った初出の
音源が収められており、中々価値が高い。Black Metalはバンドの
味が出ていて、中途半端だったHallowed Be Thy Nameより出来が
良い。Sodomy & Lustは元曲が元曲なだけに混沌とした感じだが、
キーボードを入れたり、スクリーミングを挟んだりで、意外と
バンドとしてのアジテーション的な要素を壊していない。[85]
WHISPER SUPPERMACY / CRYPTOPSY
カナダのデス・メタル・バンドの3rdアルバム。方向的には
いわゆるテクニカル・デス・メタルと言うやつだが、その
テクニカル振りが尋常ではない。前作でもそうだったが、特に
ドラマーのFLO MOUNIERのドラミングはもう既に人間業ではなく、
人間はここまで早くドラムを叩けるのだという限界を
見せてくれている思いだ。あまりにも凄まじ過ぎて、その他の
部分に気が回らないが、楽曲はアグレッシヴで展開もあって、その
演奏に合っていて、ブラスト・ビートも生きている。
グラインド・コアが聴けないと、少し苦しいかも知れないが、
とにかく凄まじい作品だ。[87]
IN THE BEGINNING / CRYSTAL BALL
スイスのヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。哀愁の効いた
叙情的なメロディのヘヴィ・メタルで、その出来は中々
素晴らしい。心に染み入る憂いを帯びたメロディに、
エッヂのたったサウンドはそのセンスの良さを十分
感じさせてくれるだけの出来だ。情感溢れる正統派
ヘヴィ・メタルで、演奏も悪くないだけに、ボーカルがもう少し
良ければ最高なのだが。MARK SWEENEYのハスキーなボーカルは、
決して楽曲に合っていない訳ではないが、技術的に
問題があるのはいがめない。しかし、新人でこれだけのアルバムが
作れれば文句は付けれないだろう。[84]
MY OWN PRISON / CREED
アメリカのオルタナティヴ・ロック・バンドの1997年に
リリースされたデビュー盤。方向的にはPEARL JAMの
フォローワーだが、よりヘヴィな音作りをしているので、メタル
系のリスナーにも結構聴きごたえはあるはずだ。メタリックで
ヘヴィなリフに、オルタナティヴ・ロック的なボーカル・ラインが
乗って来る。My Own Prison等、ダークで煮え切らない楽曲が
非常にクールで格好良い。今のMETALLICAやPEAR JAMが
好きならば、聴いてみても損はないだろう。アルバム1枚聴き
続けていると、やや飽きが来ない訳でもないが、良いアルバムだ。
[83]
DEAD SOUL / CRIMINAL
チリのスラッシュ・メタル・バンドの1997年にリリースされた
2ndアルバム。ANTON REISENEGGERのボーカルは、だみ声の咆哮で、
いわゆるデスラッシュと言っても良いものだ。楽曲は、SLAYER
等にも通ずるコアなスラッシュ・メタルだが、
RODRIGO CONTRERASのギター・ソロ等は、もっとメロディを
はっきりと打ち出して来ている。前作と比べると、
うねりがあって、ミドル・テンポのパートが入って
来たりするために、ややともするとモダン・ヘヴィネス的な影響が
感じられる。前作と比べると緩急を付けて来た感じがあって、
チリのバンドと侮れないだけの作品に仕上がっている。[80]
ASTRONOMICA / CRIMSON GLORY
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの再結成第1弾となる、
7年振りの4thアルバム。仮面を被ったボーカリスト、MIDNIGHTは
残念ながら音楽業界から引退してしまっており、WADE BLACKを
新しいボーカリストとして迎えている。更に、ドラマーには
元SAVATAGEのSTEVE WACHOLEが加入している。3rdアルバムで、
本来の正統派ヘヴィ・メタルと言う方向性から逸脱しかけたが、
この作品では初期の方向性により近く、再結成の意義も
感じられる。楽曲はドラマティックで展開もあって、まずまず納得
出来る出来だ。WADE BLACKのボーカルも、ハイ・トーンは
ROB HALFORDやUDO DIRKSCHNIDER的で中々強力だ。[83]
FROM THE CRADLE TO ENSLAVE E.P. / CRADLE OF FILTH
イギリスのブラック・メタル・バンドのミニ・アルバム。
未発表曲が2曲にカバーが2曲、リミックスが2曲の全6曲と言う
構成になっている。新曲に関しては、如何にも彼等らしい
シアトリカルなブラック・メタルで、女性コーラスを交えた
ドラマティックで、そこに鶏の鳴き声の様な
ブラック・メタル・ボイスが入って来る。カバーはMISFITSの
Death Comes RippingとANATHEMAのSleeplessで、方向的にやや
違和感のあるDeath Comes Rippingの方はやや消化不良と言う
感じがなくもない。ドゥーム/ゴシック・メタルのSleeplessは、
オリジナルのらしさを残しながらも無難にまとめている。
From The Cradle To Enslaveのリミックスの
Pervert's Church(From The Cradle To Deprave)は
ダンス・ミックスでかなり異彩を放っている。[82]
THE OGRESS / CREST OF DARKNESS
ノルウェイのブラック・メタル・バンドのデビュー盤。しかして
その実態は、かつて北欧メタル・シーンでもその名を知られた
CONCEPTIONのINGAR HEIMDAL、ARV HEIMDALによる
プロジェクト・バンドであり、現在KAMELOTに在籍するKHANも
参加している。INGAR HEIMDALがブラック・メタル・ボイスを
駆使しているが、コーラスでのKHANのボーカルは聞き違え
様がない。暴虐で破壊的なサウンドに、CRADLE OF FILTH的な
キーボードを導入しており、女性コーラスも使っている。
ブラック・メタルと言う素材を使いながらも、
パワー・メタルらしいバックグラウンド感じられる辺りは
彼等らしい。[81]
ACT SEVEN / CREMATORY
ドイツのゴシック/メロディック・デス・メタル・バンドの
7thアルバム。基本的な路線はこれまでと変る事はなく、叙情的な
メロディを織り込みながら、麗美で割とヘヴィな
音作りがなされている。FELIXのボーカルは、デス・ボイスと
クリア・ボイスを使い分けているのも変りなく、KATRINの
キーボードが美しく叙情感を盛り上げているのも変わりない。
この手のものとしてはテンポがかなり速く、意外と聴き
飽きさせないのは好感が持てる。割と平凡なスタイルではあるが、
そのスタイルに磨きを掛けてきただけの完成度はあり、出来は
決して悪くない。[81]
AND THEN YOU'LL BEG / CRYPTOPSY
カナダのブルータル・デス・メタル・バンドの2年振りの
4thアルバム。FLO MOUNIERの人間業とは思えない、激烈な程速い
ドラミングは更に威力を増しており、ただただ驚嘆に値する。
これだけテクニックを追求しながらも、何とかバンドとしての
音楽が成り立っているのだから不思議だ。ブラスト・ビートを
中心に据えながらも、時にはジャジィーであったり、フュージョン
的であったりする部分もあり中々ユニークで、非常にテクニカルな
作品に仕上がっている。これだけの作品を作り
上げてしまえるだけの展開と構成力は十分賞賛に値する。[85]
MIDIAN / CRADLE OF FILTH
イギリスのブラック・メタル・バンドの5thアルバム。ドラマーが
ADRIAN ARLANDSONに交代した他、半数のメンバーが変ったが、その
音楽的方向性は変化なく、これまでの路線の延長線上と
言えるものだ。一番大きな変化はDANIのボーカルで、これまでは
ブラック・メタル・ボイス一辺倒と言えるものであったのに
対して、今作ではデス・ボイス的なだみ声が多用される
様になっている。ギター・サウンドは、これまで以上に厚くなり、
その迫力は否応にも増している。女性コーラスもふんだんに取り
入れ、その様式美は完成の域に達したと言って良いだろう。楽曲
自体は大きな差異がないのだが、プロダクションがそのサウンドを
更なる高みに運んだと言えるだろう。[89]
THEY WHISPERED YOU HAD RISEN / CRYPTAL DARKNESS
オーストラリアのゴシック・メタル・バンドのデビュー盤。この
作品で何と言っても注目されるのは、元MY DYING BRIDE、現
CRADLE OF FILTHのバイオリニスト、MARTIN POWELLが参加している
事だろう。ダークでドゥーミィなサウンドに、彼のバイオリンが
奏でられるあたりは、まさに彼が在籍していた頃の
MY DYING BRIDEを思わせるものがある。特にCHRIS BURTONのギター
等は、明らかに意識しているとしか思えず、初期MY DYING BRIDEの
ファンならば聴いてみる価値はあるだろう。MY DYING BRIDEと
違うのは、あれ程静寂感を押し出してはおらず、もっとメタル的な
部分を押し出していて、キーボード飾り付けがされている
事だろう。楽曲の出来も良いし、流石と言えるだけの作品に
仕上がっている。[89]
HARD IMPACT / CRYSTAL BALL
スイスのハード・ロック・バンドの2年振りとなる2ndアルバム。
スイスのハード・ロック・バンドと言うと、CHINAやGOTTHARDと
ヨーロッパのバンドとしては、割とアメリカ向きのサウンドを
聴かせてくれるバンドを思い浮かべるが、この作品ではどちらかと
言うとヨーロッパ的な憂いの感じられるメロディを
聴かせてくれている。憂いだけでなく、キャッチーさもあって、
メロディ・センスの良さは中々のもので、楽曲の出来は決して
悪くない。ただ。MARK SWEENEYのややしゃがれたボーカルは、
はっきり言うと下手だ。彼とギタリストのSCOTT LEACHが作曲面を
担っている様なので、彼を別のパートに移して、上手い
ボーカリストを入れるなりした方が良いだろう。[82]
BELIEVE / CREMATORY
ドイツのゴシック/メロディック・デス・メタル・バンドの
9thアルバム。ボーカルはこれまで同様、クリア・ボイスと
デス・ボイスのツイン・ボーカルだが、特別新味も面白みと
言うものもない。全体的に良くあるパターンで
終わりそうなところだが、この作品で聴きどころとなるのは
キーボードで、この浮遊感のあるメランコリックな旋律が平凡に
陥ってしまいそうなところを救っている。扇情感も出ているし、
工夫次第ではもっと面白くなる可能性を秘めていると思うが、
もう一捻り欲しいところだ。クリア・ボイスは中々クールで良い
味を出しているので、これだけで通しても良い様な気がする。[79]
BITTER SUITES TO SUCCUBI / CRADLE OF FILTH
イギリスのブラック・メタル・バンドの企画盤。デビュー盤、
THE PRINCIPLE OF EVIL MADE FLESHのリメイクが3曲、
カバーが1曲、新曲が6曲と言う構成になっている。方向的には、
これまでの彼等らしい叙情的なメロディとブルータルなサウンドを
押し出した、狂気に満ち溢れた作品で、ここ最近の完成度の高さが
ここに収められている新曲でも感じられる。絞め殺された鶏の泣き
声の様なブラック・メタル・ボイスは相変わらず強烈だが、その
アグレッションこそが大きな役割を果たしている。
SISTERS OF MERCYのカバー曲、No Time To Cryでも、実に
彼等らしいアレンジとなっており中々興味深い。[85]
TIME HEALS NOTHING / CROWBAR
アメリカのヘヴィ・ロック・バンドの1995年にリリースされた
2年振りとなる3rdアルバム。方向的にはPANTERA等に代表される、
いわゆるモダン・ヘヴィネスと言えるものだ。エナジー溢れる
パワフルなサウンドで、PANTERAと比べるよりドゥーミィな
色合いがある分、重厚でヘヴィな印象を与える作品に
仕上がっていると言って良いだろう。重々しい雰囲気に
満ちており、PANTERAの様なテンポの良さよりはゴリゴリと
力押しして来るタイプのバンドだ。決して悪い出来ではないが、
のりと言う点はあまり感じられないので、勢いが今一つ欲しいと
言う気がする。[78]
WEATHERED / CREED
アメリカのロック・バンドの2年振りとなる3rdアルバム。全世界で
2000万枚ものビック・ヒットとなったHUMAN CLAYに続く作品だが、
それだけに楽曲の出来も素晴らしいし流石と言うだけの
内容ではある。前作でのヒットによるプレッシャーもあまり
感じられず、基本的には前作の方向性を継承しながらも、より
ダイナミズムの感じられる作品と言って良いだろう。いわゆる
オルタナティヴ・ロックの流れを汲むPEARL JAMのフォローワー
的な気だるさをとダークさを感じさせる音楽性だが、より
グルーヴ感を持ちこみ、聴き応えのあるアルバムに
仕上がっている。[89]
ALL DAY SUCKER / CRUNCHY
アメリカのブリット・ポップ・バンドのデビュー盤。
元GALACTIC COWBOYSのベーシスト、MONTY COLVINがギタリスト、
ボーカリストに転進して結成したバンドだ。方向的には
GALACTIC COWBOYSのキャッチーさは引き継いでいるものの、
サウンド的にはヘヴィな部分がなくなっており、むしろ
THE WiLDHEARTSやENUFF Z'NUFFに近い、ブリット・ポップと言える
様な作品だ。全体的に非常にポップで、明るく軽いのりの非常に
聴き易い作品に仕上がっている。それなりにハードな
音作りもされているが、あまりヘヴィ・メタル的な色合いはない。
[82]
CHAPTER II THE FALLEN / CRYPTAL DARKNESS
オーストラリアのゴシック・メタル・バンドの2ndアルバム。
前作では元MY DYING BRIDE、現CRADLE OF FILTHのバイオリニスト
兼キーボードのMARTIN POWELLが参加している事で注目されたが、
今作も引き続き彼が参加しており、どうやらパーマネントな
メンバーとして参加している様だ。方向的には前作の
延長線上である、初期MY DYING BRIDEの音楽性を引き
継いだもので、MARTIN POWELLが参加しているのも十分納得が行く
内容だ。MY DYING BRIDEのニヒリスティックな耽美性を備えた
ダークなゴシック・メタルで、そこにキーボードの装飾を
施している。楽曲によってはよりドゥーム・メタル的な
エッセンスが増しており、重厚さも感じられる。イントロの
Raven Dawnや小曲のFrom The Graveを除けば4曲しかなく、
基本的に大曲指向になっている。[88]
LIVE DISORDER / CRIMINAL
チリのスラッシュ・メタル・バンドの1996年にリリースされた
ライヴ・ミニ・アルバム。音楽的には、楽曲によっては
モダン・ヘヴィネスっぽさも感じさせるが、基本的にはSLAYERの
流れを汲むコアなスラッシュ・メタルで、ザクザクと攻撃的な
リフを切り込んで来るタイプだ。ライヴでもその攻撃性は
変わらず、演奏的にも安定していて安心して聴いていられる
レベルにあると言って良いだろう。ヘヴィ・メタルに縁のない
国だからだろうか、最初は客席の反応も今一つ良くないのが徐々に
盛り上がって行く辺りは面白い。このアルバムも長らく日本では
見かけなかっただけに、もっと状況の良い国で活動した方が良い
様に思える。[81]
LIVE BAIT FOR THE DEAD / CRADLE OF FILTH
イギリスのブラック・メタル・バンドのアルバム。2001年に
行われたイギリスでの公演の模様を収めたものと、ミックス違いや
デモ、サウンドチェック用のアルバム未収録音源を集めたものだ。
ライヴでは、彼等の持つおどろおどろしい残虐美に満ちた中世
ホラー的な演劇性が見事に表現されており、彼等のライヴの魅力が
実に良く現れた素晴らしいライヴ盤だ。サウンドチェック用の
音源と言うとレベルの低いものを想像しがちだが、意外やこれが
曲の持つ魅力を出していて中々格好良いし、思わぬ彼等の実力の
高さを示してくれていて、実に興味深い作品と言って良いだろう。
[88]
DAMNATION AND A DAY / CRADLE OF FILTH
イギリスのブラック・メタル・バンドの3年振りの5thアルバム。
ブラック・メタルと言うジャンルから、ついにメジャー・レーベル
移籍を果たすと言う快挙を成し遂げたが、その音楽的方向性は全く
これまでと変わりない。まるでホラー映画をそのまま音楽にした
様なドラマティックさは、さすがと言うしかない程見事だ。そう
言った方法論を活かすためか、4つの組曲からなっており、
オーケストレーションも用いて、そう言った雰囲気を
いやがおうにも盛り上げている。純粋にブラック・メタルと言う
訳ではないが、こう言った方向性では群を抜いた完成度と言って
良いだろう。[87]
DETOUR / CRYSTAL BLUE
スウェーデンのハード・ポップ・バンドの9年振りの2ndアルバム。
今作より。キーボードのTHOMAS LASSARがボーカルも
兼任しているが、意外にこのボーカルが良い。非常に澄んだ
ハイ・トーンを聴かせてくれており、柔らかい声質はこう言った
ポップなナンバーに打ってつけだ。基本的には
ハード・ポップだが、OVE LUNDQVISTは意外とヘヴィで
メタリックなギター・プレイを聴かせてくれており、それ程
ソフトにも感じない。北欧らしい、透明感を感じさせる憂いを
含んだ叙情的な作品で、楽曲の出来も悪くないし、全体的な
完成度も高いレベルにあると思う。[83]