DIE TONIGHT / CUTTY SARK

先頃復活して3rdアルバムを発表した、ドイツの ヘヴィ・メタル・バンドの1984年にリリースされたデビュー盤。 SEAN HARRISを思わせる様な、不安定さを感じさせる、微妙に ビブラートしたCONNY SCHMITTのボーカルは、これはこれで 味がある。どことなくN.W.O.B.H.M.を思い起こさせるような B級臭さがあるが、やはりヨーロッパのバンドだけあって、より 叙情的で哀愁味がある。全体的に静かな雰囲気があって、 どことなくおどろおどろしさが感じられるのは、CONNY SCHMITTの ボーカルの効果もあいまって、独特のオリジナリティに 昇華していると言って良いだろう。Vultures In The Air等は 初期SCORPIONSを感じさせる部分もある。決して素晴らしい 作品とは言い難いが、中々味のあるアルバムだ。[79]

HEROES / CUTTY SARK

ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの1985年にリリースされた 2ndアルバム。デビュー盤では、色々な要素的な部分はともかく、 トータル的な出来は、決して誉められる出来ではなかったが、 全体的な整合感が出てきたし、出来自体もそれなりに聴ける作品に 仕上がっている。パワフルで、アップ・テンポな作品で、疾走感を 持ちながらも力強さを感じさせるし、楽曲の出来も格段の進歩を 遂げている。かなり弱さを感じさせていたCONNY SCHMITTの ボーカルも、微妙なビブラートは残っているものの、かなり 力強くあっている。とは言え、出来としては所詮B級を 超えるものではなく、1980年代のヨーロピアン・メタル・ファン 向きと言って良い作品だろう。[81]

KINGDOMS OF YOUR LIFE / CUSTARD

ドイツのパワー・メタル・バンドのアルバム。いわゆる ジャーマン・パワー・メタルと言うやつで、ツー・バス、 ドカドカの大仰なパワー・メタルだ。DenialsとThe Seaでベースの MICHAEL MARGUARDTがリード・ボーカルを取っている外は、 リード・ギターのDIRK WIERCZOREKがボーカルを取っている。この ボーカルが、決して下手と言う訳ではないのだが、音域が狭く、 ハイ・トーンも出ないため、抑揚に欠けるのが残念だ。 MICHAEL MARGUARDTの方がまだ音域が広くて 聴きごたえがあるので、彼をリード・ボーカルにするか、専任 ボーカリストを入れた方が良いだろう。プロダクションは今一つと 言った感じもするのだが、叙情的でワイルドな感じが出ていて、 楽曲、演奏と言ったところは悪くない。[78]

VOX DOMINATAS / CUILD OF AGES

アメリカのハード・ロック・バンドの4thアルバム。元々は CAUGHT IN THE ACTと言う名前で活動しており、バンド名の 使用権の問題で、このバンド名に変ってからは2枚目の アルバムだ。AXEのBOBBY BARTHの全面的な支援を受けて 活動しており、この作品もこれまで同様、BOBBY BARTHが プロデュースを行っている。音楽的な方向性もこれまで同様、 哀愁のメロディの叙情派ハード・ロックで、それ程アメリカ的な 感じはないが、洗練されていて洒落ている。JONATHAN CAINと JOHN WAITEと言う、元BAD ENGLISHのコンビによるバラード、 Wish That I Was ThereやDURAN DURANのカバー、 Hungry Like The Wolfと言った楽曲を入れて変化を 持たせているが、これと言った飛び抜けた楽曲がないのも確かだ。 [81]

UNDER THE SUN / CULT OF PERSONALITY

日本のヘヴィ・ロック・バンドの2ndアルバム。音楽的には、 今風のヘヴィ・ロックと言えるものだが、 オルタナティヴ・ロックの憂いを帯びたメロディを取り 込みながら、モダンなヘヴィ・ロックらしい重厚なサウンドに切り 替えていく変化がユニークで面白い。こう言った二つの音楽性を 平行して打ち出す事によって、独自性を打ち出している事には 好感が持てる。歌詞を日本語にしている事も、英語とはまた違った イントネーションを与えていて面白い。ORGY、元ROUGH CUTTの ギタリスト、AMIR DERAKHがゲスト参加しているのも興味 深いところだ。[82]