FOCUS / CYNIC
アメリカのデス・メタル・バンドの1993年にリリースされた唯一の
アルバム。メロディを前面に押し出した、言わば
メロディック・デス・メタルと言って良いものだが、全体に
施された複雑な展開とプレイは、正に
プログレッシヴ・デス・メタルと言うべきものだ。
TONY TEEGAEDENのデス・ボイスに絡み付くように入れられている
PAUL MASVIDALのクリア・ボイスのコーラスが、この不思議な
世界をより強調している。あまりにも先進過ぎて時代が
追いつけなかった感はあるが、プログレッシヴ・ロック方面でも、
非常に高い評価をされているだけの事はある。後にも先にも同じ
タイプのバンドが登場していないのは、未だに先進的だと言う
事であろうか?楽曲の組み立て、演奏的にも非常にレベルの高い
作品で、金字塔的傑作だ。[91]
BRIGHTLY BLACKHEARTED / CYBELE
詳細は良く判らないが、恐らくノルウェーの
ゴシック・メタル・バンドのアルバム。バンドのメンバー全員が
女性と言う事で、ボーカルはLENE VAAGLANDの
クリア・ボイスになっている。美しい女性ボーカルだが、耽美と
言うものを打ち出したと言うよりはかなりダークな雰囲気の漂う
サウンドだ。黄昏のような寒々しい叙情的で美しいメロディに
呪術的なボーカルや語りを入れて来たりと、素朴でうらわびしい
楽曲に反して、かなり極悪な雰囲気を感じさせる。荘厳さは全く
感じられないが、ニュー・ウェーヴ的な色合いはあまりなく、
独特の色合いを出している。[86]
SONGS OF SOIL / CYBELE
ノルウェイの女性ばかりのゴシック・メタル・バンドの
ミニ・アルバム。方向的には、前作同様の呪術的な雰囲気漂う
ゴシック・メタルだが、前作より耽美でシアトリカルでより
ヘヴィな作品作りになっている。耽美派のゴシック・メタルとは
言え、かなりおどろおどろしさを醸し出した不気味さ溢れる
作品だけに、聴くものを選ぶかも知れないが、そのレベルはかなり
高いと言って良いだろう。HILDE WAHLの冷たさを感じる
ボーカルも、そう言った雰囲気を倍加させているが、。諸手を
挙げて奨めれる様な作品では到底ないが、彼女達らしさと言う
オリジナリティは感じられる。[82]
CYDONIA / CYDONIA
イタリアのパワー・メタル・バンドのデビュー盤。方向的には
LABYRINTH、RHAPSODY以降のジャーマン・パワー・メタルがかった
メロディアス・ヘヴィ・メタルで、DAN KEYINGのボーカルが
MICHAEL KISKEばりの声を聴かせてくれているので尚更だ。
LABYRINTHのOLAF THORSENがプロデュースしており、中心人物の
DAN KEYINGが一時期LABYRINTHのツアー・ボーカリストであった事
等、人脈的にも正にこの一群に入るバンドで、この手のバンドの
ファンならば聴いても損はないだろう。アップ・テンポの
楽曲が多く、勢いを感じさせてくれるし、オリジナリティは
ともかく、楽曲、演奏とも中々レベルが高い。[84]
LIVE / CYBERNAUTS
イギリスのヘヴィ・メタル・バンド、DEF LEPPARDの
ボーカリスト、JOE ELLIOTTとギタリスト、PHIL COLLEN等による
プロジェクト・バンドのライヴ盤。1993年に亡くなった元
SPIDERS FROM MARSのギタリスト、MICK RONSONの1997年に
イギリスで行われたトリビュート公演の模様を収めたものだ。
その他のメンバーは、元SPIDERS FROM MARSのベーシスト、
TREVER BOLDERとドラマー、WOODY WOODMANSEYが参加している。
1970年代にDAVID BOWIEを中心に、Ziggy Stardustと言ったヒット
曲も出しで、活躍したグラム・ロック・バンドで、割と忠実な
カバー・ライヴだけにDEF LEPPARD的な色合いと言うよりも
ヘヴィ・メタル的な色合いもなく、DEF LEPPARDのファンに
どれだけ訴えるものがあるかは疑問だが、趣旨から言えば当然と
言えば当然だろう。[84]
...IN INCONSTANICA CINSTANS / CYRIL ACHARD'S MORBID FEELING
フランスのプログレッシヴ・メタル・バンドのデビュー盤。元々
プログレッシヴ・ロック畑でソロとしても活躍していた
ギタリスト、CYRIL ACHARDを中心としてバンドだ。この
手のものとしては、ギターが前面に出て来ていて、
テクニカル・ロック的な演奏をする事を除けば、どちらかと言うと
プログレッシヴ・ロック色の濃い作品と言って良いだろう。
Empty Vow等はDREAM THEATERっぽいフレーズを拝借しており、
DREAM THEATERのファン辺りにも通ずるアルバムだ。ギターが
テクニカルな演奏を聴かせる作品ではあるが、意外と
ボーカル・ラインはきちんと聴かせており、楽曲のバランスが
崩れていないのは好感が持てる。[81]
INTERACTIVE PLAYGROUND / CYBELE
ノルウェイのゴシック・メタル・バンドの2ndアルバム。これまで
メンバー全員が女性だったが、今作よりベーシストに男性の
RONNY SVEENが加入している。これまでは、どことなく呪術的な
おどろおどろしさが漂う、如何にもエクストリーム的な邪悪さの
感じられる方向性だったが、今作よりアコースティック・ギターを
使ったり、淡いメランコリックで流麗なサウンドとなっている。
特にドラマーがいなくなり、打ち込みを多用したりしている
所為もあって、重厚さは全くなくなったと言って良いだろう。
ゴシック・メタル的なエッセンスはかなり希薄になっており、
スペイシーな感じのする作品で、THE GATHERINGっぽくなったと
言う印象を受ける部分もある。[84]
ESTRANGED / CYDONIAN
ドイツのプログレッシヴ・メタル・バンドの2001年に
リリースされたアルバム。どうも元NIGHTINGALEののメンバー
等によるバンドの様だ。方向的には、この手のものとしてはかなり
シンフォニックなイメージのするもので、ややシアトリカルさを
感じさせる部分もあり、メロディ等にはSAVATAGE辺りの影響も
見える。それをシンフォニックなプログレッシヴ・メタルに
仕上げたと言ったところで、SAVIOUR MACHINEや
RAMMSTEINっぽさもあるが、意外とオリジナリティが感じられる。
どことなくまだ垢抜けていない感じもするのだが、
やろうとしている事は悪くない。[80]