CUATRO / FLOTSAM AND JETSAM

アメリカのスラッシュ・メタル・バンドの1992年にリリースされた 4thアルバム。METALLICAのJASONがかつて在籍していたことで 知られるバンドだが、その音楽的方向性はMETALLICAとはかなり 異にしている。うねりの感じられる、グルーヴィな スラッシュ・メタルで、もっとコアであればベイ・エリアの バンドと言う風に感じるだろう。それ故にかなりオリジナリティは 出ていて、面白味は感じる。楽曲の出来も悪くないのだが、 アルバム1枚を通して聴くと、どうしても飽きが来る部分があり、 緊迫感だけでなく、もう少しメロディに面白味が欲しいところだ。 [82]

DRIFT / FLOTSAM AND JETSAM

アメリカのシュラッシュ・メタル・バンドの5thアルバム。 METALLICAのJASONが昔いたバンドということでその名を 知られるが、いわゆる一般的なスラッシュ・メタル・バンドとは 一線を画している。メロディが割と全面に打ち出されていて、 むしろパワー・メタル的ともいえる位なのだが、そのメロディは 実に無機質な印象を与える。妙なうねりがあり、グルーヴィで引き 込まれる物があるが、前作と比べるとメロディの美しさが 今一つだ。リフをザクザクと刻んで来る割に地味に感じるのは ボーカル・ラインがあまり印象的でないせいだろう。[83]

SWANSONGS / FLOWING TEARS & WITHERED FLOWERS

詳細は全然判らないが、多分オーストリアの ゴシック・メタル・バンドのアルバム。MANFRED BERSINの ボーカルは、いわゆるクリア・ボイスでANATHEMAにおける DARREN J.WHITEの様な詠唱するタイプだが、ところによりもう少し だみ声だ。楽曲の出だしはどちらかというと軽い感じのタイプで、 ピアノ等を中心に置き、リフを延々と繰り返すという一種独特の 雰囲気を醸し出す。後半ヘヴィなギターを入れてきて、上記の ANATHEMAの様な雰囲気を持ちながら、盛り上げていくパターンが 多い。この静と動のコントラストは見事で、耽美な感じを 香らせながら、哀愁のメロディを紡いでいく。 Flowing Tears & Withered Flowersで、いきなり下手な ブラック・メタル・ボイスの様なものを入れてくるのは勘弁して 欲しかったが。実際はもっと侘しいのだが、デス・メタルから 脱却した後のMY DYING BRIDEやANATHEMAが好きな人にはお奨めだ。 [89]

HIGH / FLOTSAM AND JETSAM

アメリカの中堅スラッシュ・メタル・バンドの6thアルバム。 大手のMCAに切られて、古巣のMETAL BLADEに戻っての 第1弾となる。ここ最近の彼等はスピードを捨ててグルーヴィさを 追求しているような姿勢が伺えたが、今作では再び初期の スピード・メタル的な本質を取り戻している。このバンドは どちらかというとスラッシュ・メタルらしいザクザクとしたリフは あまり持ち込まず、よりメロディを押し出したパワー・メタル的な 雰囲気が強いが、この作品はまさにその真骨頂とも言えるだろう。 パワフルかつ攻撃的なサウンドで、楽曲の出来も悪くないし、良い 作品だ。[83]

UNNATURAL SELECTION / FLOTSAM AND JETSAM

アメリカのスラッシュ・メタル・バンドの7thアルバム。基本的な 方向性はこれまでと変わらないが、よりヘヴィ・メタル 然としていた前作と比べると、かなり拡散的な印象を受ける アルバムに仕上がっている。ラウドでオルタナティヴ・ロック的で やや難解な感じもする作品で、如何にも今様な内容だ。 複雑さがあって、それ故何となくのり難い部分もあるが、攻撃的で 悪くない。ERIC A.K.のボーカルも相変わらずだし、 ギター・ラインも中々印象的で、複雑でモダンになった事が 気にならなければ、旧来のファンにもそれなりに受け 入れられるはずだ。[82]

LAST-MINUTE LIES / FLEURETY

詳細は全く不明だが、ゴシック・メタル・バンドの自主制作による ミニ・アルバム。AYNA B.JOHANSENの女性ボーカルと男性 クリア・ボイスからなっている。音楽的な方向性は、非常に 変則的で、耽美な雰囲気を出そうと言う雰囲気は感じられるが、 むしろプログレッシヴ・ロック色を強く打ち出そうとしている様に 感じられる。それ故、流麗なメロディがあるのだが、あまりにも 変則的すぎて聴きづらいと言う印象が強い。特に、 プログレッシヴ・ロック色の強いパートに来ると、それは最早 アバンギャルドと言っても差し支えない位だ。自己の個性としての 方法論は間違っているとは思わないが、まだあまりにも雑多過ぎる 感がある。[68]

MY GOD / FLOTSAM AND JETSAM

アメリカのスラッシュ・メタル・バンドの2年振りとなる 8thアルバム。元METALLICAのベーシスト、JASON NEWSTEDが初期の 中心メンバーとして在籍していた事で良く知られている。 方向的にはMETALLICAとは一風変わったクランチで扇情感の強い 作品だ。Dig Me Up To Bury Me等、基本的な方向性はデビュー 当時からずっと変わっていないが、浮遊感のあるWeather To Do 等を聴いても判る通り、その音楽性はどんどん拡散して 行っていると言って良いだろう。ERIK A.K.も上手い ボーカリストだし出来自体は悪くないのだが、全体的に小器用な 感じで、今一つ盛り上がりに欠ける感じがする。[78]

JADE / FLOWING TEARS

ドイツのゴシック・メタル・バンドの2000年にリリースされた 4thアルバム。この手のものとしては最もポップ・ロック色の 強いものの一つで、中々聴き易い作品に仕上がっていると言って 良いだろう。ゴシック・メタルのバンドに散見される、女性 ボーカリストを起用したものだが、STEFANIE DUCHENEの声質は、 ソプラノを使わず中音を駆使したもので、他のバンドとはやや趣が 違っている。ポップ・ロックとは言っても、やや陰鬱な感じのする メロディで、ゴシック・メタルらしい耽美感が漂っており、 ニヒリスティックなエッセンスの感じられるアルバムだ。[82]

THE SEEDS OF ABYSMAL TORMENT / FLESHGRIND

アメリカのデス・メタル・バンドの4年振りにリリースされた 2ndアルバム。アメリカのデス・メタルらしい、グラインド・コア 系のブルータルなデス・メタルを聴かせてくれている。強烈な ブラスト・ビートを交えながらも、この手のものとしては今や割と オーソドックスなタイプと言える作品で、目新しさはあまり 感じられないが、楽曲の出来等は完成度が高く、強烈な アグレッションを感じさせてくれる。グラインド・コア 系ではあるが、フロリダのバンド等に比べればそれ程テクニカルで 複雑と言う印象も受けず、意外な程聴き易いのも味噌だろう。[82]