HEAVEN'S EDGE / HEAVEN'S EDGE

アメリカのハード・ロック・バンドの1990年にリリースされた デビュー盤。叙情的なメロディのアメリカらしいハード・ロックを 聴かせてくれている。ドラマティックな憂いのあるメロディの Hold On To Tonightからエッヂの効いたテンポの良い Play Dirtyまで、彩りも豊かで実に格好の良い作品に 仕上がっている。楽曲の出来は素晴らしいし、Mark Evansの透った ボーカルを始め、演奏の方も中々良い出来で、新人としては十分 納得行くだけのアルバムに仕上がっている。特にBad Reputationは 煽情感溢れる、フックのあるナンバーで、佳曲と言って良い レベルの出来だ。[89]

IN CONTROL/OPEN THE GATE AND WATCH! / HEAVENS GATE

ドイツのパワー・メタル・バンドの1990年にリリースされた アルバム。1989年にリリースされたデビュー盤、IN CONTROLと 1990年にリリースされたミニ・アルバム、 OPEN THE GATE AND WATCH!をカップリングしたものだ。方向的には いわゆるジャーマン・パワー・メタルと言われるもので、 デビュー盤でもそう言う傾向は見られるのだが、その後の あからさまな路線から比べると、かなりそう言う色合いは薄いと 言っても良いだろう。それはミニ・アルバムでも変わらず、より ストレートなヘヴィ・メタルを聴かせてくれている。[83]

HELL FOR SALE! / HEAVENS GATE

ドイツのパワー・メタル・バンドの1992年にリリースされた 3rdアルバム。これまでより太仰なところがあり、より ジャーマン・パワー・メタル然とした作品に仕上がっている。特に Rising Sunのさび等はその最たるものだが、その一方でAmericaと 言う楽曲が収められている事からも判る様に、どことなくアメリカ 的なエッセンスが感じられる事もある。全体的にエッヂのたった サウンドで、聴き応えのあるアルバムに仕上がっており、 パワフルで力強さが感じられる。やや剛直に感じなくもないが、 楽曲の出来は悪くないし、勢いを感じさせるところが良い。[82]

WALKIN' THE RAZOR'S EDGE / HELIX

カナダのヘヴィ・メタル・バンドの1984年にリリースされた 4thアルバム。当時のヘヴィ・メタル・ブームに乗って スマッシュ・ヒットし、彼等としては最も成功した作品だ。 叙情的なメロディを持った、アメリカ的なエッセンスの感じられる ロックンロール色の強いヘヴィ・メタルで、彼等の代表曲とも 言えるRock You等は、少々芋臭い気もするが、 ヘヴィ・メタル・アンセム的な味わいすら感じさせてくれている。 全体的に楽曲の出来も良いが、もう少しこう言った独特の色合いを 強く押し出しても良かった様な気がする。B級的ではあるが、 その魅力を最大限引き出しており、中々ワイルドなアルバムに 仕上がっている。[83]

HELLOWEEN / HELLOWEEN

ドイツのパワー・メタル・バンドの1989年にリリースされた アルバム。1985年にリリースされたデビュー・ミニ・アルバム、 HELLOWEENに1stアルバムのWALLS OF JERICHOを カップリングしたものだ。ジャーマン・パワー・メタルと言う ジャンルを作り上げ、後に多くのドイツのバンドに影響を 与えたが、HELLOWEENでは、まだそのスタイルを確立 出来てはいない。しかし、彼等の進むべき方向性たるエッセンスは 感じられ、WALLS OF JERICHOでよりはっきりと打ち出してきた様が 伺える。KAI HANSENのボーカルが弱点に思えるのは致し 方がないが、彼等の原点が見えるアルバムだ。[81]

PINK BUBBLES GO APE / HELLOWEEN

ドイツのパワー・メタル・バンドの1991年にリリースされた 3年振りのアルバム。一般的に評価の低いこの作品だが、いわゆる ジャーマン・パワー・メタルと言うジャンルを産み出し、その 代表作とも言える、KEEPER OF THE SEVEN KEYSの2部作に続く 作品でありながら、その方向性を大きく変えているだけに 無理からぬ話しかもしれない。キャッチーでポップな作品作りは、 これまでのファンに失意をもたらしたかも知れないが、良く聴けば MICHAEL KISKEのボーカルを生かした、アルバムであるとも 言える。ジャーマン・パワー・メタルのエッセンスを 残しながらも、閉塞的な音楽感を打ち破ろうと違った方向性に足を 踏み出しているのは決して間違いではないと思う。[84]

KEEPER OF THE SEVEN KEYS PARTS 1 & 2 / HELLOWEEN

ドイツのパワー・メタル・バンドの1994年にリリースされた 2枚組のアルバム。本来2枚組として発表されるはずだった、 1987年にリリースされたアルバム、KEEPER OF THE SEVEN KEYSと 1988年にリリースされたアルバム、 KEEPER OF THE SEVEN KEYS PART IIをパッケージしたものだ。特に KEEPER OF THE SEVEN KEYSは、後にジャーマン・パワー・メタルと 言う時流を作り出した名作だけに、流石と言った出来だ。特に 13分にも及ぶ名曲、Halloweenは、ドラマティックで展開は 見事だ。ボーカリストとしてMICHAEL KISKEが加入した 事によって、その表現力はより一層増している。[89]

MASTER OF THE RINGS / HELLOWEEN

ドイツのパワー・メタル・バンドの1994年にリリースされた 6thアルバム。MICHAEL KISKE加入後、ポップ路線へと進んだ 事により、一部のファンには反発を呼んだのは事実だ。その MICHAEL KISKEからPINK CREAM 69のANDI DERISへと 思いもよらなかったボーカリストの交代に、その先行きが 心配されたが、正しくこの交代が象徴的に物語る様な アルバムとなっている。旧来の彼等らしい楽曲がある一方で、 如何にもPINK CREAM 69的な楽曲も収められている。メンバー 交代してすぐと言う事で、双方の音楽を融合するまでには時間的 余裕がなかったのだろう。ただ、昔の彼等のファンにも PINK CREAM 69のファンにも一応納得の行く作品ではあると思う。 [83]

MEANTIME / HELMET

アメリカのヘヴィ・ロック・バンドの1992年にリリースされた 2ndアルバム。方向的には、いわゆるモダン・ヘヴィネス的な 色合いが強い作品で、PANTERAの成功がかなり意識されている様に 感じられる。オルタナティヴ・ロック的なアグレッシヴな色合いを 感じさせるところもあるが、今作ではよりヘヴィな作品 作りがなされておる。ただ、PANTERA等と比べるとPANTERAの方が より整然とした感じがする位ノイジィで混沌としたサウンドの アルバムに仕上がっている。より攻撃的で破壊的な作品で、その分 彼等のエナジーがダイレクトに伝わって来る。[82]

BETTY / HELMET

アメリカのヘヴィ・ロック・バンドの1994年にリリースされた 2年振りとなる3rdアルバム。方向的には前作の延長線上と言える 作品ではあるが、モダン・ヘヴィネスと言っても差し支えない様な 前作と比べると、その音楽性は若干色合いを変え、よりグランジ 的な風味を感じさせる様な作品となっている。メタル側の リスナーとしては、PANTERA的なモダン・ヘヴィネスとして聴き 始めた人が多いだろうから、そう言う意味では肩透かしを食らった 人も多いかも知れない。しかし、よりオリジナリティを打ち出して 来た作品で、アグレッシヴな作品に仕上がっている。[81]

BORN ANNOYING / HELMET

アメリカのヘヴィ・ロック・バンドの1994年にリリースされた 企画盤。デビュー当時所属していた、 AMPHETAMINE HEPTILE RECORDS時代にリリースされたシングルに 収録されていた音源を集めたものだ。メジャー移籍後と比べると、 よりノイジィでより攻撃的で、よりロックンロール色の強い作品と 言って良いだろう。MEANTIMEの様な、モダン・ヘヴィネス的な 色合いはなくて、混沌としたサウンドは、ハードな 音作りではあるが、ヘヴィ・メタル色はあまり感じられない。 マイナー臭さはあるが、熱いエナジーは十分伝わって来るし、 形骸化しているよりは、アグレッシヴで良い。[78]

HEYDAY / HEYDAY

元MANOWAR、MANITOBA'S WILD KINGDAMのギタリスト、 ROSS THE BOSS率いるアメリカのハード・ロック・バンドの 1994年にリリースされたデビュー盤。MANOWAR的な重厚な路線とは 違い、MANITOBA'S WILD KINGDOMの様なハード・ロックンロール 的な要素が強く打ち出されている作品だ。 MANITOBA'S WILD KINGDOMよりは更にヘヴィなサウンドで、楽曲の 出来もこちらの方が遥かに良い出来だ。アップ・テンポでのりが 良い楽曲からブルージィなアコースティック・バラードまで幅広い 作品に仕上がっている。MANOWARファンからすると戸惑う 作品かもしれないが、出来自体は良い出来だ。[83]

NATURAL ORDER / HELLBASTARD

イギリスのスラッシュ・メタル・バンドの1990年にリリースされた バンドに取って最後となる2ndアルバム。前作と比べると、まだ 幾分グラインド・コア的な部分は残っているものの、より スラッシュ・メタル的な色合いの濃い作品になっていると言って 良いだろう。こう言った作品であるため、かなり緊迫感の漂った 内容になっており、圧迫感が感じられる。アコースティックなどを 持ち込んだパワー・メタル的な部分もあって、 一本調子なってしまわないところに考えて作った跡が感じられる。 ALI LEEのボーカルは吐き捨て型ではあるが、デス・ヴォイスと 言うところまで歪曲されていない。[77]

HERMAN ZE GERMAN AND FRIEND / HERMAN ZE GERMAN AND FRIEND

ドイツのヘヴィ・メタル・バンド、SCORPIONSの元ドラマーだった HERMAN RAREBELLが、まだSCORPIONSに在籍していた1986年に リリースしたソロ・アルバム。DOKKENのDON DOKKENや GREAT WHITEのJACK RUSSELL、RATTのJUAN CROUCIERと言った L.A.メタル系のゲストが和多く参加している。楽曲は取り立てて 面白くないものが多いのだが、I'll Say Goodbye等はいかにも DOKKENらしい美しいスロー・バラードで、この曲だけは聴く 価値がある。如何にプロジェクト的な単発ソロ・アルバムとは 言え、もう少し楽曲のレベルが上がらないと厳しい。[78]

ETERNITY BECOMES A LIE / HEADS OR TALES

北欧のテクニカル・ロック・バンドのデビュー盤。ROBERT FORSEは 歌唱力では及ばないが、明らかにJAMES LaBRIEのクローンと言える 様なボーカル・スタイルだ。楽曲自体はDREAM THEATERとは少し イメージが違うが、出来自体は決して悪くない。但し、この アルバムでなんと言っても問題なのはドラムの処理で、あまりにも 硬くて乾いたドラムの音が、アルバムから完全に 浮いてしまっている。セルフ・プロデュースの悪い結果が如実に 出ている例と言って良いだろう。ちゃんとしたプロデューサーが 就くと格段に良くなると思えるのだが。[78]

STATE OF MIND / HEARTLESS

ノルウェイのヘヴィ・メタル・バンドのアルバム。北欧 メタルらしいエッセンスを持った系統だが、かなりヘヴィで のりの良い作品だ。JOHN K.GULLESTADのしゃがれたボーカルは 全体的に粗いのだが、扇情感を強く煽っており、雰囲気には あっていて悪くない。ボーカルの音域はあまり広くないが、 高めにはいくらか伸びるので、こういう楽曲をやっても結構 聴ける。楽曲はアップ・テンポが中心で、パワフルで中々 良いのだが、音質は悪くチープなのが残念だ。キャッチーさを強く 打ち出している部分では、このバンドのセンスが発揮されていて 聴きごたえがあるのだが、それ以外の部分が今一つ面白味に 欠ける。[82]

WIDE OPEN / HEARTLAND

イギリスのハード・ロック・バンドのアルバムなのだが、 ハード・ロックという範疇ではこのバンドはあまり 語れないだろう。そう言った要素はあまり感じられ無くて、 どちらかと言えば、ロック/ハード・ポップ的な曲が並び、 LONG ISLAND所属らしい内容だと言って良い。イギリスの バンドで叙情的ではあるがサウンド的にはどちらかと言えば アメリカ的なセンスが感じる作品で、楽曲的にはシングル向きとは 言えないものの、ポップでキャッチーな美しいメロディは中々 素晴らしい。のりというものは期待出来ないが落ち着いて聴く 分には楽曲が非常に良い。[87]

HEAVEN'S WISH / HEAVEN'S WISH

アメリカのハード・ロック・バンドの恐らくデビュー盤。 キャッチーなメロディの楽曲が中心で、のりの良いものより Boulevard Of Broken Dreamsの様な粘り気のある哀愁のメロディも 中々味わい深い。残念ながらボーカルは曲によって出来、 不出来があり、到底うまいとは言いがたい。曲の部分部分の メロディは中々良いものがあるし、ギター・メロディも 聴かせてくれるのだが、プロダクションがチープに感じられる。 メロディ・センスには期待させるものがあるが、全体的な完成度を もっと上げるないと今後つらいだろう。プロダクションにもっと 力を入れればかなり良くなるはずだし、メロディ・センスは 良いので次作に期待する。[85]

AVALANCHA / HEROES DEL SILENCIO

スペインのメロディアス・ハード・ロック・バンドのアルバム。 EMIからリリースされており、かつては日本盤も出ていた、 スペインでは結構メジャーなヘヴィ・メタル・バンドと言って 良いだろう。この国のバンドらしく、例によって母国語で 歌っており、スペイン語独特の巻き舌の発音ではあるが、 この手のものとしてはイントネーションがきつくなく、結構聴き 易い方だ。楽曲は一昔も二昔も古いという感じがしてどこか 垢抜けないのだが、牧歌的で素朴さがある。叙情感を持った メロディは跳ねた感じがして結構面白いし、ユニークで出来自体も 悪くない。[83]

HEARTLAND III / HEARTLAND

イギリスのハード・ポップ・バンドの3rdアルバム。 元VIRGINIA WOLFのボーカリスト、CHRIS OUSEYの ソロ・プロジェクト的なバンドで、バックは元EXPORT、 IAN GILLANのSTEVE MORRISが一人でこなしている。2ndアルバムは LONG ISLAND RECORDSからリリースされていたが、今作では何も クレジットされていない所をみると、ディールは日本だけしか 決まっていないのかもしれない。前作と比べると、随分 ハードになって、格調高いポップさは減ってしまった様に 思えるが、HEARTLANDを構成していたもう1人のメンバー、 GARY SHARPが参加していないせいかも知れない。作品の 出来としては前作に一歩譲るが、それでも出来の良い 作品であるのは違いない。[84]

THE TIME OF THE OATH / HELLOWEEN

ドイツのパワー・メタル・バンドのアルバム。ANDI DERISを 加えての第2弾となるアルバムで、前作ではANDI DERISとの最初の コラボレート作品と言う事もあって、いかにもHELLOWEENと PINK CREAM 69との折衷と言った様なアルバムだった。今作も 基本的には前作の延長線上なのだが、それらの音楽性がより 融合した内容で、いかにもANDI DERISらしい憂いに満ちた メロディが、HELLOWEENのジャーマン・パワー・メタルとしての 音楽性に取り込まれている。HELLOWEENのドラマティックな サウンドにANDI DERISのコンポーザーとしての力が良く 生きている作品だ。[90]

REMORSE CODE / HERITAGE

イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1982年にリリースされた 唯一のアルバム。N.W.O.B.H.M.幻の傑作アルバムの再発で、 N.W.O.B.H.M.で幻のという位だから当然録音状態は最低だし、 全体的にプロダクションはチープだ。しかし、その楽曲の出来は 素晴らしく、それ故に幻と言えるだけの作品だと言って 良いだろう。Change Your Mood等はTHIN LIZZYを思い 起こさせるが、全体的にはむしろ臭い哀愁の泣きのメロディの ロックンロールが主流だ。ボーカルはダミ声で、この手の方向には ちょっと合わないような気もするが、悪くはない。LEGEND、 TRESPASSといったところのN.W.O.B.H.M.ファンには 訴えるものがあるが、B級と言った感じは紛々とするので、 万人受けするかどうかは難しいところだ。[92]

POLARITY / HELLOISE

オランダのヘヴィ・メタル・バンドの1986年にリリースされた 2ndアルバム。彼等のメロディ・センスの素晴らしさを感じさせる 作品で、全体的に良く出来ており、その出来は当時の オランダものとしてはVANDENBERGに次ぐバンドとして挙げて良い 位だ。哀愁漂う叙情的な美しいメロディは情感溢れ、それを表現 出来るだけの演奏力があり、素晴らしいアルバムに 仕上がっている。やや古めかしくてチープに感じる 部分もないではないが、セルフ・タイトルのHelloiseを始め、 名曲と呼べるだけの佳曲がずらりと並んでおり、正しく名盤と 言って良いだろう。[92]

COSMOGONY / HELLOISE

オランダのメロディアス・ヘヴィ・メタル・バンドの1985年に リリースされたデビュー盤。哀愁度では次作に劣るが、 よりキャッチーなメロディの叙情的な格好の良い ヘヴィ・メタルだ。録音状態も良く、名声は同時代のBISCAYA 等には劣るが、出来は遥に上だと言える。楽曲の出来も含め、 全体的に良く出来たアルバムに仕上がっている。楽曲の練りがまだ 甘く感じる部分もあるのだが、Broken Heartsといった佳曲を 始め、卓越したメロディ・センスはこの作品でも十分に 発揮されているし、適度にフックがあって聴きごたえもある。[85]

TRA / HEDNINGARNA

スウェーデンのラジカル・トラッド・バンドの1994年に リリースされた3rdアルバム。Tass'on Nainenでの呪術的な 呪文の繰り返しの様な歌には、思わず背筋が ぞくぞくとさせられるものがある。SANNA KURKI-SUONIOと TELLU PAULASTOの二人の女性ボーカルの呪術的な掛け合いは実に 素晴らしい。民族音楽的なベースを持ちながらも、こう言った 異質感でオリジナリティをもたらしている。バイオリンや 民族楽器の使い方も実に効果的で、そのサウンドの処理も 見事だ。アイデアは素晴らしいし、それを実に上手く 表現しており、素晴らしいアルバムに仕上がっている。[90]

PLANET E. / HEAVENS GATE

4年振りの4thアルバムとなる ジャーマン・パワー・メタル・バンドの新作。前作は ジャーマン・パワーメタル的な色彩ながらも、その楽曲の クオリティの低さが気になったが、今回は4年間という インターバルもあってか、十分楽曲が練られているように思える。 メロディはいかにもジャーマン・パワー・メタルらしい 良質のものだが、それだけにとらわれていない、かなり自然な 雰囲気に仕上がりになっており、平均的に良く出来た アルバムになっている。ボーナス・トラックはJUDAS PRIESTの トリビュート・アルバムに収録されたもので、さして 面白いものでもない。[84]

DEATH OR GLORY / HEAVY LOAD

初期北欧メタルを担ったスウェデーンのヘヴィ・メタル・バンドの 1982年にリリースされた2ndアルバム。録音は最低、ボーカルも しょぼいので到底お勧め出来る作品ではないが、北欧の バンドとしてはかなり荒々しく、その勢いと扇情感である程度 そういう問題点をカバーしている。確かに北欧らしい哀愁感のある メロディは持っているが、どちらかというと美しいというより ラフさを感じさせるアルバムである。楽曲もあまり 洗練されておらず、むしろN.W.O.B.H.M.的な雰囲気すら 漂わせている。所詮B級の域を出ていないのだが、全体的に メロディ・センスも悪くないし、臭いのが好きな向きには 良いだろう。[81]

FOOD FOR THOUGHT SUBSTITUTE / HEAVEN'S CRY

カナダのプログレッシヴ・ヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。 テクニカルで複雑な構成と言った感じのプログレッシヴ・ロック 的な部分も出しているのだが、むしろメロディアスで憂いを帯びた 叙情感溢れるサウンドが魅力と言えるだろう。どちらかと言うと DREAM THEATERやRUSHよりFATES WARNINGの方が楽曲的に 近いのだろうが、泣きのメロディ等もっとはるかに扇情感を 持っていて生々しい作品に仕上がっている。よりメタル的な ヘヴィな音像で、重厚さを感じさせるので、シンフォニックな サウンドに切り替わったときの効果は大きい。アレンジ面と言った 辺りで若干課題を残すが、デビュー盤としては十分評価できる 内容である。[85]

STRONGER THAN EVIL / HEAVY LOAD

スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドの1984年にリリースされた 2ndアルバム。THIN LIZZYのPHIL LYNOTTがゲスト参加しているが、 方向的にはTHIN LIZZYとはあまり関係ない。初期北欧メタル期に 活躍したバンドで、N.W.O.B.H.M.の影響を受けた、扇情感を持った 北欧メタルらしい哀愁漂うメロディ中心だが、プロダクションは この頃のB級バンドの例に漏れず最悪だ。全体的にいも臭さが 漂っており、もう少しアレンジ力があればかなり 良くなったのではないだろうか。しかし、そのメロディの扇情感は 見るものがあるし、マニア向けには行けると思う。[78]

CIRCULATING CONTRADICTION / HELLCHILD

日本のデス・メタル・バンドの2ndアルバム。来日している デス・メタル・バンドのサポートを数多くこなしているので、割と 知名度も高い方だろう。方向的にはグラインド・コア系と 言えるもので、かなりブルータルな作品で、ブラスト・ビートも 使用しているのだが、割とメロディははっきりとしており、 バックはきついスラッシュ・メタルと言った程度の様な 感じもする。驚嘆すべきはTUKASA HARAKAWAのデス・ボイスで、 これ程ブルータルに咆哮するデス・ボイスは海外でもそうはない。 デス・メタルとしては世界的に見てもかなりレベルの高い 作品である。[83]

AFTERTASTE / HELMET

アメリカのモダン・ヘヴィネス系ロック・バンドの4thアルバム。 モダン・ヘヴィネスと言ってもPANTERAの様な怒りを表に出した 破天荒なものではなく、歌メロはかなり オルタナティヴ・ロックっぽいという感じを受ける。特に 前作からそういう傾向が強くなっており、ギターはノイジィに切り 込んでくるが、ボーカルはその処理とは対照的にそれ程先鋭的には 感じられない。その分どうも平凡と言った印象が拭えないが、低く 歪んだ音像はアルバム的に結構あっており、TERRY DATEが一度 リミックスしたというのは正解だろう。[76]

HEFEYSTOS / HEFEYSTOS

ポーランドのゴシック・メタル・バンドの多分デビュー盤。 NANTUR ALDARONのクリア・ボイスと、ALICJA SZUMSKAの ハイトーン・ソプラノによる男女二人のボーカルに、美しい女性の コーラスが絡む。クレジットがないことから、多分ALICJAが 兼任しているものと思われるが、このコーラスが実に効果的で、 繊細かつ美しく、楽曲の雰囲気を倍加させて盛り上げるのに大きな 役割を果たしている。楽曲はややニュー・ウェーブよりで、それ程 重くもなく美しい叙情的な内容になっている。キーボードがかなり 前面に押し出されていて、オーケストラレーションが 多用されているが、ここぞというところのギター・ソロの メロディも判りやすくヘヴィ・メタル的で良い出来だ。全体的に 長めの曲が多く、大作指向だが、憂いを含んで叙情的なサウンドを 実にドラマティックに仕上げていて、だれるということはない。 耽美さという点では、やや全体的に軽すぎるという感もあるが、 むしろバンドのカラー的には、そのようなことは気にしない方が 良いだろう。叙情派ゴシック・メタルが好きな人の心の琴線に 触れてくるだけの出来に仕上がっている。[93]

BRIDGE OF FOOLS / HEARTLAND

イギリスのハード・ポップ・バンドの4thアルバム。ギタリストは 元GILLANのSTEVE MORRISだが、そう言うハード・ロック色は 全くない。前作辺りから全体的にポップ色は減退している 傾向にあり、今作はAOR色のあるロック・アルバムという雰囲気の 方が強いものの、前作よりは2ndアルバムに近い作品に 仕上がっている。とは言っても、そのポップ・センスは健在で、 楽曲の出来も非常にレベルが高い。優しく、落ち着いた叙情的な メロディは心を和ませてくれる。ギター・プレイもそれなりに押し 出されており、扇情感も今までより増している。[87]

HERLAND / HERLAND

アメリカのHERLAND兄弟中心によるハード・ロック・バンドの 自費製作のデビュー盤。明るくて渇いたのりの良い ハード・ロックで、安定した作りになっている。楽曲は全て 小粒という感は拭えず、これといったところがないまま淡々と 進んでいくのはいかんともしがたい。AOR風のキャッチーな メロディに、ピアノを入れたり、センスはそれなりに良いと 思うのだが結局どこをとっても平均的でこれといった 聴きどころがないまま終わってしまう。出来自体は 悪くないだけに、これといったところを出せれば、結構良い バンドになると思うのだが。[79]

KITSCH / HEAVY METAL KIDS

今は亡きイギリスの中堅ハード・ロック・バンドが1976年に リリースした3rdアルバム。バンド名に付くヘヴィ・メタルという 言葉で取りざたされる事が良くあるが、実際のそのサウンドは 時代的に考えても当然だが、ヘヴィ・メタルという印象は 受けない。ピアノ、キーボードが割と多用されており、 ロックンロール系でグラム・ロックっぽいところもあるが、 多少パンクっぽいセンスがあり、そういう意味では当時は割と 斬新だったのではないだろうか。今聴くとそれ程強い インスピレーションを与える作品ではないが、それなりに面白い 作品だ。[80]

BILCE SJEN / HEFEYSTOS

ポーランドのゴシック・メタル・バンドのシングル。アルバムでは 男女二人のクリア・ボイスによるツイン・ボーカルであったが、 このシングルではひしゃげた様なかすれた ブラック・メタル・ボイスが中心で、クリア・ボイスはほとんど 前に出てこない。多分、リリースはこちらの方が後だと 思われるので、そういう方向転換を図ったのだとしたら落胆を 隠せない。楽曲的にははアルバムよりはニュー・ウェーブ色が 減退し、より重厚なサウンドになっている。キーボードの比重が 高い事は変わりないし、ヘヴィ・メタル的な感じが強く、 大作指向で、憂いを含んでドラマティックかつ叙情的なサウンドは に仕上げていて、だれるということはない。[82]

THE SLAUGHTER OF INNOCENCE, A REQUIEM FOR THE MIGHTY / HECATE ENTHRONED

CRADLE OF FILTHのメンバーがかつて在籍していたという イギリスのブラック・メタル・バンドの1stアルバム。 という事で、キーボードがより前に出たミドル・テンポの ドラマティックな展開などは、何処となくCRADLE OF FILTHを 思い起こさせない訳でもないが、CRADLE OF FILTHの様な プログレッシヴなアティチュードはあまり無くて、もっと ブラック・メタル然としておりEMPERORとか言った辺りをも思い 起こさせる。ブラック・メタル風の金切り声が中心だが、 デス・メタル風の重低音のデス・ボイスを挟んだりもする。 ブラック・メタル然としたドラマティックで叙情的なメロディは それなりに良い。[78]

DIVA / HEAVENWOOD

ポーランドのゴシック/デス・メタル・バンドのデビュー盤。 ボーカルのERNESTO GUERRAはクリア・ボイスとデス・ボイスを 使い分けており、クリア・ボイスではPARADISE LOST風の ボーカルで、バックもそう言った辺りを感じさせるのは意識しての 事だろう。特に、ギター・メロディはそう言った感が強いのだが、 それらの部分を除けば、もっとアップ・テンポで勢いのある、より 耽美な作品に仕上がっていると言って良いだろう。ビートを強く 打ち出すドラムのおかげで、実際よりもスピード感が感じられ、 のりが良く出ていて、引きずり込まれるものがあるが、あまりにも きついデス・ボイスが雰囲気を壊しているのは残念だ。[86]

VICTIMS OF DECEPTION / HEATHEN

アメリカのスラッシュ・メタル・バンドの1991年にリリースされた 2ndアルバム。扇情的でややヒステリックな感すらするバンドに 出戻ったDAVID WHITE GODFREYのボーカルが楽曲を煽っている。 当然スラッシュ・メタルらしくザクザクとリフを切り刻み 込んでくるが、この手のスラッシュ・メタル・バンドとしてはより メロディを押し出したサウンドであり、Heathen's Songの さびなどは非常にメロディアスで素晴らしい。RAINBOWのカバー、 Kill The Kingもそれ程スラッシュというような感じの切り 口ではないのだが、このバンドなればこそだろう。[83]

BETTER THAN RAW / HELLOWEEN

ANDY DERISが加入して3作目となるジャーマン・パワー・メタルを 代表するバンドのアルバム。前2作が良くも悪くもANDY DERISが 持ち込んだ色合いを感じる作品であったのに対して、今作では ANDY DERISの曲が2曲しかないせいもあってかPINK CREAM69的な 風味がかなり薄くなっている。それ故にANDYのボーカルが 合うかどうかとなると少し苦しいところではないかと思える。 楽曲自体はHELLOWEENらしいと言って良いと思うが、全体的に ヘヴィさをより強調した音作りになっているため、メロディを それ程強く意識出来ないのが残念だ。出来自体は決して悪くないと 思うが、もっとメロディを強調した作品作りをした方が、 彼等らしいと言える。[81]

MIRACLES BY DESIGN / HEARTLAND

イギリスのハード・ポップ・バンドの5thアルバム。元々その ポップ・センスは抜きんでていたものがあったが、それはこの アルバムでもいかんなく発揮されている。ただ、これまでの作品は ポップなメロディは文句無しだったのだが、整い過ぎで全面に 出てくるものがなかったのだが、今作ではこれまでよりもかなり ハードな作品作りになっており、めりはりが出て情感も良く 伝わってくる。全体的に演奏にダイナミックさが 感じられるのだが、LOVERBOYのPAUL DEANがプロデュースに携わった 効果だろうか。楽曲の出来は全体的に良く出来ており、これまでで 最も良く出来た作品と言って良いだろう。[87]

A TIME & A PALCE FOR EVERYTHING / HELLOISE

1980年代中頃に活躍した伝説的なオランダの ヘヴィ・メタル・バンドのオリジナル・メンバーでの再結成 第一弾となる12年振りの3rdアルバム。昨今の再結成ブームの中、 再結成はするものの、最近の流行に擦り寄り、昔とは 変質してしまった姿を見せ、失望を買うバンドが数多くいるが、 このアルバムは、昔の良さを正に今現在に持ってきたという様な 望むべき姿の一つとして帰ってきたと言って良いだろう。優れた 叙情的なメロディが更に洗練されていて本当に美しい楽曲が取り 揃っている。叙情的で憂いを帯びたキャッチーなメロディは秀逸の 一語に尽き、STAN VERBRAAKの透ったボーカルも良く合っている。 バラードのMadelene等は心に染み入る、本当に美しい曲だ。 メロディアス・ハード・ロック・ファンならば聴いて損のない アルバムだ。[90]

HEAT / HEAT

ドイツのハード・ポップ・バンドの恐らく1993年にリリースされた 自主制作によるデビュー盤。女性ボーカリストを擁した叙情的な アメリカ的なハード・ロックで、ELKE KLEINの伸びやかな透った ボーカルが楽曲に良く合っている。めりはりのある楽曲が 揃っているが、このボーカルが効果的だ。叙情的で哀愁味のある 楽曲がある一方で、明るい楽曲があり、やや散漫に感じる 部分もあるが、出来自体は悪くない。特にややアップ・テンポの 湿り気を帯びた楽曲は秀逸でNever Say No等聴きごたえがある。 せっかく楽曲にフックが感じられるのだから、もう少し印象的な 部分があれば良かったのだが。[81]

PSYCHO CAFE / HEFEYSTOS

詳細は良く判らないが、恐らくポーランドの ブラック/ゴシック・メタル・バンドの2ndアルバム。前作であった ゴシック・メタル的な耽美さは大幅に減退し、中東民族音楽的な Is The Key等、趣をかなり変えてきている。バックのサウンドは 前作の面影はほとんどなく、テンポはほとんどがアップ・テンポの より正統的なヘヴィ・メタルという感じになっている。 前作であったスクリーミングはややダミ声も混じるが、ほとんどが クリア・ボイスに取って変わられている。前作ではかなり大幅に 導入していた女性ボーカルは今回も活躍しているが、楽曲の 変化のためにまた違った趣を醸し出している。前作の出来がかなり 素晴らしかっただけに、バンドとしてはかなり思い切った イメージ・チェンジをやったと言えるが、出来自体は 中々のものにはなっている。前作でのゴシック色の残る 部分もあるのだが、前作を気に入った人にとっては少々戸惑う 作品だろう。[86]

SOME OTHER PLACE-SOME OTHER TIME / HEAVENS EDGE

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの8年振りの2ndアルバム。 デビュー盤でも高い評価を受けながらもブレイクすることなく シーンから消えていったが、昔の持ち味をなくすことなく 復活している。キャッチーなメロディの良質な アメリカン・ヘヴィ・メタルで、全体的に良く出来ている。 Just Another Fireの様なアコースティックの明朗な バラードから、Back Seat Driverの様な勢いのある曲までそつなく こなしている。楽曲によっては憂いを帯びていて、これが中々 良いし、もう少しこう言った系統が多くても 良かったのではないだろうか。艶やかで、いかにも華やかしい頃の アメリカと言った感慨を引き出してくれる。[84]

LIVE AT THE FILLMORE EAST / HENDRIX

アメリカ人ギタリストのライヴ盤。1969年12月31日から 1970年1月1日にかけて行われたライヴの模様から選曲して収録した 2枚組みのアルバムで、実際は、彼が作ったバンド、 BAND OF GYPSYSでのライヴで、このバンドでのライヴ盤としては、 初のフルレンス・ライヴとなる作品だ。それなりに貴重な 音源ではあるのだが、これまでに彼の多くのライヴ音源が次々に リリースされているだけに、今一つ感慨も湧いてこない。録音 状況は、30年前のものとは思えないほど素晴らしいし、ライヴの 出来としても十分評価出来るだけのものだと言って良いだろう。 [81]

LORD OF THE SKY / HEIMDALL

イタリアのヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。方向的には ジャーマン・パワー・メタルに臭いヨーロピアン・メタルの エッセンスを取り入れたような作品だ。それ故に大仰過ぎるほど 大仰で、非常に芋臭いメロディと展開は一種異彩を放っていると 言っても良い程だ。特にCLAUDIO CALLOのボーカルは、高音が 出るものの、音程が安定しておらず、芋臭さを一層助長している。 特にBLIND GUARDIAN風のコーラスが割と良く出来ているのだけに 尚更だ。叙情的で哀愁の効いたギター・ソロは結構 聴きごたえがあり、北欧メタルが好きな人にも訴える 部分はあるだろう。プロダクションは決して悪くないのだが、 芋臭さを解消するには決してなっておらず、このバンドには 洗練さと言うものは無縁と言う感じがする。[79]

MENERGY / HEAVENS GATE

ドイツのパワー・メタル・バンドの5thアルバム。これまでの ジャーマン・パワー・メタル然とした作品から比べると、そう 言った要素はかなりこそげ落ち、一般的な感じのする作品に 仕上がっていて、かなり聴き易い。もちろん、のMastermindさびを 始め、ジャーマン・パワー・メタルらしい部分も随所に飛び出して 来るが、随分馴染み易くなったように感じられる。曲間に必ずSEが 入るのは、コンセプト・アルバムと言う部分に 負うものであろうが、残念ながら作品的な流れを切る 結果になってしまっている様に思えるのは残念だ。楽曲や出来 自体は悪くないだけに、あまり小手先的な部分に拘らない方が 良かったのではないだろうか。[80]

THE TEMPLE OF THEIL / HEIMDALL

イタリアのパワー・メタル・バンドの2ndアルバム。方向的には、 前作同様臭いヨーロピアン・メタルと言った感じだが、やや ジャーマン・パワー・メタル的なエッセンスを入れてきている。 前作ではプロダクションがかなり酷かったため、ヨーロッパのB級 メタルと言う雰囲気をより強くさせていたが、今作ではいくらか マシになったため、よりそう言った感が強くなっている。 CLAUDIO GALLOのボーカル・スタイルは、中低音は拉げて、 高音部は伸ばすという、明らかにERIC ADAMS的なスタイルを 出してきている。そのため、MANOWAR的に感じる部分もあるが、 楽曲的にはそれほどでもない。出来は前作より良くなっているが、 その分芋臭さがなくなって、印象度は薄くなった。[80]

METAL JUKEBOX / HELLOWEEN

ドイツのパワー・メタル・バンドのカバー・アルバム。 METALLICAのGARAGE INC.に影響を受けたのかどうかは判らないが、 今一つ意義の判らないアルバムだ。ABBAの Lay All Your Love On Me、JETHRO TULLのLocomotive Breath、 DAVID BOWIEのSpace Oddity等、選曲はかなり多方面に 及んでおり、FAITH NO MOREのFrom Out Of Nowhereと言ったやや 新し目の楽曲もあるが、多くはロック・クラシックと言って良い 様な楽曲が中心だ。こういう作品をやるからには、ストレートに カバーするのではなく、如何に彼等らしさを出すかというところが キーになって来るが、Lay All Your Love On Me等は、如何にも ジャーマン・パワー・メタルらしいエッセンスに満ちた、大胆な アレンジがなされている。その一方で、THE BEATLESの All My Loving等は、元のメロディの印象度が強すぎて、 アレンジが負けていると言う感も無きにしもあらずだ。Focusの Hocus Pocusと言ったあまりにも意外なカバーがあったりと、 まぁ、お遊び程度の作品と思えば悪くない出来だ。[81]

WHEN ANGELS CALL / HEARTLAND

イギリスのハード・ポップ・バンドの アコースティック・アルバム。これまでの楽曲を採り直した アコースティック・バージョンと、新曲からなっている。元々、 この手のものとしてもかなりソフトな音楽性を持っていただけに、 こうやってアコースティック・アルバムにされても全く 違和感がない。いつもは作り過ぎな位の感じがあるので、むしろ 生々しくて臨揚感があると言って良い程だ。CHRIS OUSEYの エモーショナルなボーカルも、情感を良く出していて威力を 発揮している。企画盤的な作品だが、意外と聴きごたえのある 作品に仕上がっている。[84]

TRIAD / HEIR APPARENT

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1988年にリリースされた 3rdアルバム。先頃、再結成して新譜も発表した様だが、はっきり 言ってそれを期待しているリスナーがどれほどいるのかは疑問だ。 方向的には、QUEENSRYCHE、CRIMSON GLORY系のヘヴィ・メタルで、 STEVE BENITOのボーカルは、いわゆるJEFF TATE型の ハイトーン・ボーカルで、この手のB級バンドの ボーカリストとしては、奇麗に高音が出ていると言って 良いだろう。はっきり言って、プロダクションはぼろぼろで、 楽曲によってもその差があるのは遺憾ともし難い。楽曲は、 ドラマティックで特別悪くはないが、これと言った曲もない。 一番のハイライトと言えるのは、SIMON & GARFUNKELのカバー、 The Sound Of Silenceでかなりメタル的な色合いを出せている アレンジのセンスが良いだけに、オリジナルの 楽曲がどうしてこれだけ面白味に欠けるのか謎だ。[63]

POWER GAMES / HEADSTONE EPITAPH

ドイツのヘヴィ・メタル・バンドのバンド名をHEADSTONEから 変えてからは初となる2ndアルバム。方向的には、ドイツの バンドらしい、叙情的なメロディも持った正統派ヘヴィ・メタルと 言ったところだ。楽曲自体は正統的で始めは凄く 期待させるのだが、どうも面白味に欠ける。The Game等、 それなりに面白いし、その他の楽曲も決して出来は 悪くないのだが、全体的に平均的で飛び抜けたところが 感じられない。誰が聴いてもそれなりに聴けるだろうが、良い アルバムだと言うには何か物足りない感じがする。[80]

GRACEFUL INHERITANCE / HEIR APPARENT

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1986年にリリースされた デビュー盤。原盤を聴いた事がないので、 デジタル・リマスタリングされてどの程度変ったのか判らないが、 次作と比べて遥かにプロダクションは良いと言う珍しい作品だ。 方向的には、良く言えばややFATES WARNINGよりのQUEENSRYCHEと 言ったところだが、全体的にもっと扇情的でB級臭いアルバムに 仕上がっている。TRIADでは楽曲でもほとんど 見るところがなかったのだが、この作品においては楽曲の出来は まずまず評価出来る。Tomorrow Nightのキーボード等も良い 感じだし、しょぼいなりに聴きごたえのあるアルバムだ。[80]

TALES FROM A DAMAGED MIND / HELIZER

アルゼンチンのヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。 方向的には、ヨーロッパ風の叙情的なメロディの ヘヴィ・メタルで、CONCEPTIONからプログレッシヴ・メタル的な 色合いを取り除いた感じだ。流麗な感じがして悪くはないのだが、 楽曲はよりダークで、盛り上がりに欠ける感じがしなくもない。 SEBATIAN VITONのボーカルは、高音を中心としたもので、透った 声質は中々良いのだが、最も高音部では少し苦しそうに 歌っているのが気になる。メロディ・センス自体は中々良いものを 持っているとは思うが、アレンジ力がまだそれに追いついて 行っていないと言う感じだ。プロダクションは左程 良くもないのだが、気になる程悪くもない。[72]

HEAVY PETTIN / HEAVY PETTIN

イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1983年にリリースされた デビュー盤、LETTIN' LOOSEをアメリカでジャケット違いで 発売されたもの。方向的には、SHY、TOKYO BLADE、FM等、後期 N.W.O.B.H.M.のバンドに散見された、より洗練されたキャッチーな メロディのヘヴィ・メタルと言えるものだ。かなり アメリカナイズされた作品で、耳馴染みの良い愁いを含んだ 叙情的でポップなメロディの楽曲がずらりと並んでいる。ただ、 SHY等ほど、ポップ路線に徹する事はなく、ヘヴィ・メタルらしい エッセンスを残しながらもより売れ線的な方向に進もうとした 様子が感じられる。[84]

AS IT COMES / HEARTLAND

イギリスのハード・ロック・バンドの2年振りとなる6thアルバム。 前作では、それまでの甘いハード・ポップ作品と 言ったところから、よりフックのあるハード・ロックへと方向 転換して来ていたが、今作ではその方向性をより押し 出したものとなっている。扇情的で情感の溢れる愁いのある メロディに、ハードでフックのある音作りのマッチングが 素晴らしく、彼等の最高傑作と言っても良い作品に 仕上がっている。これまでもSTEVE MORRISのメロディ・センスの 素晴らしさは疑いようもなかったが、楽曲が全体的に アップ・テンポになった事で、ダイナミズム溢れるめりはりの 感じられるアルバムとなっている。CHRIS OUSEYの情感たっぷりの ボーカルも素晴らしく、叙情派メロディアス・ハード・ロックが 好きならば、お奨めのアルバムと言えるだけの作品だ。[90]

WISH / HELLCHILD

日本のデス・メタル・バンドの4thアルバム。デビュー当初は 如何にもと言った感じのでブルータルなデス・メタルを 聴かせてくれていたが、ここのところかなり独自的な路線を 築きつつある。ブラスト・ビートは影を潜め、バックはより普通の ヘヴィ・メタル的な路線へと転換している。やや愁いがかった メロディに、グルーヴ感のあるリフ、ヘヴィでラウドで混沌とした 感じのするカオティックなサウンドは、元からのファンには賛否 両論あるかも知れない。機械的に歪ませたデス・ボイスも カオティック感じを強くさせている。非常に緊張感のある作品に 仕上がっているが、もう少しクライマックスになる様な部分が 欲しい。[80]

MR.TORTURE / HELLOWEEN

ドイツのパワー・メタル・バンドの9thアルバム、 THE DARK RIDEからの先行ミニ・アルバム。アルバムにも 集録されている、シングル・カット曲のタイトル・トラックに If I Could Flyと同曲のミックス違いとアルバム未収録曲の Deliver Us From Temptationの全4曲と言う構成になっている。 方向的には、如何にもANDI DERIS加入後の彼等と言う感じのする 楽曲で、特にがANDI DERIS書いたIf I Could Flyは特にそう言う 感じがする。そう言う意味では、かなり攻撃的でメロディアスな スピード・チューンであるDeliver Us From Temptationは異彩を 放っており、それだからこそアルバムからもれたのかも 知れないが、この曲が一番インパクトがある。[76]

THE DARK RIDE / HELLOWEEN

ドイツのパワー・メタル・バンドの9thアルバム。方向的には ANDI DERRIS加入後のここ数作の路線をそのまま引き 継いだものだ。旧来の彼等を思わせる様なAll Over The Nationsで 幕を開けるが、以降はANDI DERRISらしい愁いを持ったメロディが 飛び出して来る。この楽曲の落差に違和感を感じるし、意義も 感じられないところだ。ROY Zをプロデューサーに迎え、 ダイナミズム溢れる作品に仕上がっているが、新味はあまり 感じられないし、これまでの作品と比べて楽曲が劇的に良い 訳でもない。アルバムの出来自体は悪いとは思わないが、焦点が ぼやけた様な気もする。[83]

BRIGADE / HEART

アメリカのロック・バンドの1990年にリリースされた 11thアルバム。デビュー当初はハード・ロック色の強い バンドであったが、ハードな色合いを残しつつも、よりヒット 指向の強い作品へと転換して行った。HAWARD LEESEの従兄弟、 NEIL SITRONがONLY CHILDやLANA LANEでギタリストとして 活躍している事もあって、ハード・ロックのファンにも馴染みが 深いだろう。前々作からかなりポップ指向に走り過ぎていた 部分もあってか、These Dreamsの様な静かな感じの楽曲はなく、 前作よりハードな作品作りがなされているとは思うが、基本的には 1980年代中期以降の作品の延長線上と言えるものだろう。もう少し バラエティさがあっても良かった様な気がするが、ANN WILSONの 伸びやかなボーカルは格好良いし、楽曲の出来も十分納得出来る レベルだ。[82]

HEART / HEART

アメリカのロック・バンドの1985年にリリースされた 9thアルバム。What About Love?、Never、These Dreams、 Nothin' At Allと言うヒット曲を連発し、全米No.1に輝いた アルバムだ。それだけに、全体的にキャッチーな佳曲が 並んでおり、流石と思わせるだけの内容に仕上がっている。 キーボード等も前面に押し出されており、彼等の作品としては最も ハードさを抑えたポップな作品と言って良いだろう。それだけに メタル側のリスナーには、ややキャッチー過ぎてもう少し ハードさが欲しくなるだろうが、楽曲の出来は素晴らしい。[85]

FATA MORGANA / HELLOISE

オランダのヘヴィ・メタル・バンドの再結成第2弾となる3年振りの 4thアルバム。前作ではオリジナル・メンバーによる 復活だったが、今作ではボーカリストのSTAN VERBRAAK、 ギタリストのBEN BLAUUW、ドラマーのERNST VAN EEの3人 構成となっており、ベースはBEN BLAUUWが兼任し、キーボードは ROBBY VALENTINEがゲスト参加する事で凌いでいる。往年の 彼等らしい、叙情的なメロディアス・ハードと言える作品だが、 楽曲の仕上がりはこれまでの最高と言って良いだろう。全体的に フックも良く出ており、プロダクション面も十分満足出来る。 Mirageと言った非常にテクニカル・ロック的な感じの楽曲もあり、 プログレッシヴ・ロック的なエッセンスも感じられるのだが、 これが決して悪い結果になっていない。[90]

DESIRE WALKS ON / HEART

アメリカのロック・バンドの1993年にリリースされた3年振りの アルバム。よりポップでキャッチーな方向性を押しだし、 1980年代に一時代を築いたが、この作品では初期のハードな 音楽性を再び前面に押し出している。特にBlack On Black IIは、 初期の名曲、Baracudaを思わせる様なドライヴ感溢れるハードな ナンバーに仕上がっている。その一方でバラード等も当然あり、 今までの集大成の様なアルバムと言って良いだろう。1980年代的な 売れ線の産業ロック的なエッセンスは薄くなっており、ポップな 楽曲もどちらかと言うとシンプルな感じのするものとなっている。 [83]

SIGN OF THE WINNER / HEAVENLY

フランスのヘヴィ・メタル・バンドの2ndアルバム。音楽的には、 ツー・バスを主流とした、ややジャーマン・パワー・メタル的な エッセンスの感じられる、哀愁の効いた叙情派の メロディアス・ヘヴィ・メタルだ。同じフランスのARTHEMIS等と 比べると、よりジャーマン・パワー・メタル的な色合いの濃い 作品と言えるだろう。BEN SOTTOのボーカルは、線が細くて弱さを 感じさせるが、それも含めてややANGRAっぽさを感じさせる 部分もある。オーケストラレーションを大胆に導入し、 メロディ・センスも中々良いものがあるし、ボーカルの線の 細さが気にならないなら十分満足出来るだろう。[82]

MIND'S DOOR / HEMISPHERE

イタリアのシンフォニック・メタル・プロジェクトのアルバム。 イタリアのヘヴィ・メタル・バンドと言うと、 プログレッシヴ・メタルとシンフォニック・メタルが主流だが、 ここではその両者を併せた様なサウンドを聴かせてくれている。 ボーカルはSECRET SPHEREのROBERTO MESSINAだが、まさに SECRET SPHEREの音楽をベースとしているが、DREAM THEATERの 影響を受けたプログレッシヴ・メタル的なエッセンスがあったり、 ネオ・クラシカルなエッセンスが加えられていたりする。ただ、 この辺りのバランスの取り方がまだ子慣れておらず、乖離した 様になってしまっているのは残念だ。[78]

COMMUNICATION DOWN / HEARTLAND

イギリスのハード・ロック・バンドの2年振りとなる7thアルバム。 前作でハード・ポップ路線から、よりハード・ロック然とした 方向性の変化を見せていたが、その延長線上と言える作品だ。 ただし、ややブルージィな作品となっており、その分地味に 感じられるかも知れない。とは言え、それ故にCHRIS OUSEYの ソウルフルでエモーショナルなボーカルが生きる 結果となっており、決して悪くない選択だ。これまでのも高品質の 叙情的なメロディを聴かせてくれていただけに、楽曲自体は非常に 安定してレベルが高く、安心して聴いていられるアルバムに 仕上がっている。[85]

THE ALMIGHTY / HEIMDALL

イタリアのパワー・メタル・バンドの3年振りとなる3rdアルバム。 方向的にはイタリアでは現在主流と言える様な、シンフォニックな メロディアス・パワー・メタルと言って良いだろう。叙情的で 哀愁の効いたメロディをより前面に押し出し、より北欧メタル的な エッセンスが強く出ていると言って良いだろう。哀愁を 効かせながらも勇壮さを感じさせ、パワフルな作品に 仕上がっている。これまでと比べて、洗練されてきてより完成度が 上がっているし、新しく加入したGIACOMO MERCALDOが透った歌声を 聴かせてくれているおかげで、これまで弱点だったボーカルが かなり改善されたのは評価出来る。[81]

JUST ANOTHER DAY / HESS

カナダのハード・ロック・バンド、HAREM SCAREMのボーカリスト、 HARRY HESSの初のソロ・アルバム。基本的には HAREM SCAREMでやっている、叙情的なメロディのハード・ロックと 言った方向性と同じものなのだが、HAREM SCAREMと比べると アコースティック・ギターを押し出したりと、もっと ハード・ロック的な色合いは抑えられたものとなっており、枯れた メロディアス・ロックと言った印象を受ける作品に 仕上がっている。彼のメロディ・センスは良く出ているので、 HAREM SCAREMのファンであればそれなりに納得出来る作品であると 思う。[82]

JUST A LITTLE SIGN / HELLOWEEN

ドイツのパワー・メタル・バンドの10thアルバム、 RABBIT DON'T COME EASYからの先行シングル。シングル・カットの タイトル・トラックに、未発表曲が1曲とカバーが1曲の全3曲と 言う構成になっている。ギタリストが元FREEDOM CALLの SASCHA GERSTNERに交代しての初の音源だ。アルバムでは MOTORHEADのMIKKY DEEがドラムを叩いているが、ここでは元 ACCEPT、U.D.O、RUNNING WILDのドラマーのSTEFANN SCHWARZMANNが 叩いている。Just A Little Signは、ANDY DERISの作曲で、彼の 独特の粘着性のあるメロディを持ちながら、バンドの特性である ジャーマン・パワー・メタルらしいナンバーに仕上がっている。 Far Awayも彼等らしいナンバーで、アルバムに入っていても おかしくない出来だ。QUEENのSheer Heart Attackだけはさすがに 異質な感じがするが。[81]

RABBIT DON'T COME EASY / HELLOWEEN

ドイツのパワー・メタル・バンドの10thアルバム。ULI KUSCHと ROLAND GRAPOWの解雇を経て、今作では元FREEDOM CALLの ギタリスト、SHSCHA GERSTNERが加入し、ゲストとしてMOTORHEADの MIKKEY DEEがプレイしており、その後元RUNNING WILD、ACCEPT、 U.D.O.のドラマー、STEFANN SCHWARZMANNが加入している。 前作ではややモダンでヘヴィな色合いがあったりとややまとまりに 欠ける部分があったものの、基本的にはANDY DERIS加入後の 彼等らしい作品であった事は間違いない。今作ではその姿勢をより はっきりと打ち出しており、ファンには安心出来る作品だろう。 特にSHSCHA GERSTNERの加入が良い方向に働いた様で、 プレイだけでなくクリエイティヴ面でも大きな貢献をしたと言って 良いだろう。[85]