HIGH POWER / HIGH POWER
フランスのヘヴィ・メタル・バンドの1983年にリリースされた
アルバム。この頃のこの手のバンドの多くと同じ様に、
N.W.O.B.H.M.に影響を受けた所も感じられる様な、
アップ・テンポのいかにもB級的なヘヴィ・メタルだ。ボーカルの
PATRICK MALBOSの声質は高音ではややヒステリックな
感じもするが、結構奇麗に出ている。それに対して低音部ではやや
枯れた様な感じの声で、この落差は少し気になる。ギタリストの
ERIC POUEYは楽曲から思った以上に弾きまくっているが、これが
結構良い感じだ。録音状態はそれ程良くないし、楽曲は並みだが、
勢いだけは感じることは出来る。[76]
MAKING THE ROAD / Hi-STANDARD
日本のメロコア・バンドの3rdアルバム。ロックンロール色
たっぷりなハード・コア・パンクで、THE WiLDHEARTS辺りの
ファンには通ずる部分もあるはずだ。とは言っても、
THE WiLDHEARTS程ハード・ロック色はないので、ハード・ロック
的な音を望むなら、違和感を感じるかも知れない。何と言っても
凄いのはBLACK SABBATHのカバー、Changesで、元曲の影も
形もないと言って良い程、自己の作品と化して
アレンジされている。メロディも良いし、楽曲は良く出来ていて、
この手のものでは海外に出しても十分通ずるものだと言って
良いだろう。[82]
CONTROL YOURSELF / HIT THE GROUND RUNNIN'
アメリカのハード・ロック・バンドの13年振りとなる
2ndアルバム。とは言っても、実際にはお蔵入りとなっていた
音源を掘り起こしたものの様で、純然たる新作ではない。その
方向性は、ポップ・センス溢れるキャッチーなメロディの
AOR系メロディアス・ハード・ロックと言えるもので、1980年代の
憂いを帯びた産業ロック辺りが好きな人ならピンと
来るものがあるだろう。さすがに今聴くとやや古臭い
感じがするのだが、メロディの出来などは秀逸だし、楽曲の出来も
中々のものだ。BLAIR RUMSEYの鼻っ足らずなボーカルがやや
気になるが、コーラスの出来も悪くないし、意外と掘り出し物的な
アルバムと言って良いだろう。[83]
WHEN THE AURORA FALLS... / HIGHLORD
イタリアのパワー・メタル・バンドの2ndアルバム。方向的には
RHAPSODYやLABYRINTHに代表される様な系統の作品で、
ジャーマン・パワー・メタルの息吹を吸った、如何にもイタリアの
パワー・メタル・バンドらしいアルバムに仕上がっている。
叙情的で憂いを帯びた大仰なメロディのパワー・メタルだが、
いわゆるジャーマン・パワー・メタルと比べると、キーボードを
かなり前面に押し出しており、より流麗な感じを出している。
VASCEのハイ・トーンを効かしたボーカルも悪くないし、楽曲や
演奏もこの手のものとしてはまずまず納得出来るだけの出来だ。
[81]
RAZORBLADE ROMANCE / HIM
フィンランドのゴシック・メタル・バンドの2000年に
リリースされたアルバム。WERVHTER FESTIVALでのライヴの模様を
収めたミニ・アルバムを付けた2枚組みの限定盤だ。異様な
ペースでシングルをリリースしており、それなりに人気もあると
思えるが、それだけのレベルの高さは感じられる。方向的にはやや
ゴシック・ロック的なエッセンスの感じられる
ゴシック・メタルで、メタリックなギターはあるものの、かなり
ポップなセンスも感じられる。ボーカルは男性
クリア・ボイスだが、透った綺麗な声質で情感も豊かで中々
味わいがある。ライヴ自体はロックンロール調や割と
ヘヴィなものになっているだけに、今一つ魅力が伝わって
来ないのが残念だ。[87]
WASTELAND FOR BROKEN HEARTS / HIRSH GARDNER
アメリカのプログレッシヴ・ハード・ロック・バンド、
NEW ENGLANDの元ドラマーによる、初のソロ・アルバム。
NEW ENGLAND以降、自らの創作活動は行っていなかったため、実に
21年振りの作品と言う事になる。ここで聴かれる音楽性は、
まさしくNEW ENGLANDのそれで、叙情的なメロディのポップな
楽曲は素晴らしい。時には、憂いを帯びたテンポの良い楽曲を
聴かせてくれたかと思えば、ポップで清々しいポップな
楽曲もあったりする。NEW ENGLANDでも何曲かリード・ボーカルを
取っていただけあって、ハイ・トーンを押し出した彼のボーカルも
扇情的で悪くない。[85]