HYPNOSIS OF BIRDS / HOLOCAUST
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1992年にリリースされた
アルバム。中堅N.W.O.B.H.M.バンドとして知られたバンドで、
細々と活動を続けながら今に至っている。この作品では、非常に
ダークで混沌としたサウンドを聴かせてくれているが、どちらかと
言えば、まとまりがないと言った感じで、彼等の意図と
言ったものが今一つ見えてこない。フルートを導入したりと、
かなりユニークさは見せているが、それが生きていると
言えるかどうかはかなり微妙なところだ。どちらかと言えば、
かなりプログレッシヴ・ロック的なエッセンスを感じさせる作品で
難解なアルバムとなっている。[79]
LAST TRAIN / HOLY SOLDIER
アメリカのクリスチャン・メタル・バンドの1992年に
リリースされた2ndアルバム。哀愁の効いた叙情的なメロディの
ヘヴィ・メタルで、非常に愁いが感じられる作品だ。
STEVEN PATRICHのビブラートの効いたハイ・トーン・ボーカルが、
非常に味わい深く、アルバムの情感を否応にも増している。特に
Hallow's Eve等は佳曲と言っても良い出来で、全体的に彼等の
メロディ・センスの素晴らしさを感じさせてくれるアルバムに
仕上がっている。ややパンチの弱さを感じなくもないが、哀愁の
効いたキャッチーなアメリカン・ハード・ロックが好きならば、
結構いけるはずだ。[86]
RACING AFTER MIDNIGHT / HONEYMOON SUITE
カナダのハード・ロック・バンドの1988年にリリースされた
2年振りの3rdアルバム。キャッチーなメロディにのりの良い
アップ・テンポの楽曲と、前作が
スマッシュ・ヒットになっただけあって、路線的に大きな
方向転換はなく、前作の延長線上とも言える作品だ。キーボードを
大幅にフュチャーし、同郷の先輩であるLOVERBOY等にも通ずる
部分があるが、もっとすっきりとした様な感じを受ける。爽快な
Lookin' Out For Number Oneを始め、愁いのあるCold Look、
映画のテーマ曲であるバラード、Leathal Weapon等、バラエティ
豊かで出来は悪くない。[84]
DEMONS DOWN / HOUSE OF LORDS
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1992年にリリースされた
3rdアルバム。元ANGEL、GIUFFRIAのキーボード、GREG GIUFFRIAを
中心としたバンドで、今作よりドラマーとして元OZZY OSBOURNE、
WHITESNAKEのTOMMY ALDRIDGE、ベーシストに元WUIET RIOTの
SEAN McNABBが加入している。叙情的なメロディの
アメリカン・ハード・ロックと言う感じだ。TOMMY ALDRIDGEは
派手なドラミングを聴かせてくれているし、JAMES CHRISTIANは
相変わらず素晴らしいエモーショナルなボーカルを
聴かせてくれている。全体的にミドル・テンポの、重厚な楽曲が
中心で、これと言った楽曲はないが、全体的に
良くまとまっている。[83]
MONSTER UNDER THE BED / HONEYMOON SUITE
カナダのハード・ロック・バンドの1991年にリリースされた
4thアルバム。従来、非常に優れたポップ・センス溢れる
サウンドが身上のバンドだったが、この作品ではどちらかと
言うと、キャッチーさよりのりのある勢いを感じさせる作品に
仕上がっている。よりアメリカン・ハード・ロック的で、
BON JOVIの力強い部分とも共通する部分がある。もちろんポップな
部分はなくなった訳ではないが、かなり減退しているので、従来の
ファンからするとその部分で評価が幾分分かれるだろう。
楽曲的には悪くないし、全体的にそつなく作られているので、
それなりに聴ける。[82]
TURN OF THE TIDE / HOUSE OF SPIRITS
元JESTER'S MARCHのメンバーらによるドイツの
ヘヴィ・メタル・バンドのアルバム。JESTER'S MARCHから
比べると、いわゆるQUEENSRYCHEクローン・バンドから少し外れ
プログレッシヴ・ロックががっている感じだ。楽曲的にはそれほど
QUEENSRYCHEっぽさはないのだが、やはりボーカルはこの手の
バンドではよりJEFF TATEっぽい感じを受け、どうしても
QUEENSRYCHEに結び付いてしまう。一番問題なのは曲にボーカル
以上にこれといったものを見せる事が出来ていない事だ。楽曲の
出来自体はそれほど悪くないのだが、ボーカルの印象を上回る事は
出来ていない。[83]
13 LIVE / HONEYMOON SUITE
カナダのハード・ロック・バンドの4年振りのアルバムとなる
ライヴ盤。かつて世界歌謡音楽祭への出演のために来日した
事もあるバンドだ。初めてのライヴ・アルバムとなる作品だが、
肝心の音のバランスが悪くて、折角のライヴが台無しだ。
オーバー・ダブはほとんどなく、その分臨場感が出ているが、
それを差し引いても補えない。特にキャッチーなメロディを
聴かせるバンドだけに、プロダクションが
おざなりになっているのは何とも残念だ。演奏は非常に良く
出来ていて、安心して聴いていられるのだが。[81]
PROMISE MAN / HOLY SOLDIER
アメリカのクリスチャン・メタル・バンドの3rdアルバム。
前作では臭いながらも叙情的な泣きの美しいメロディが印象的な
作品だったが、この作品では最近の市場に悪影響を受けたのか、
ALICE IN CHAINS風のオルタナティヴ・ロック的なサウンドに
大きく方向転換しており、気だるいどんよりとした
サウンドになっている。叙情的なメロディアス・ハードだった
前作のLAST TRAINを期待すると大きく外すだろう。メンバーも
ベースとギターの二人を除いて変わったようだし、音楽性の変化は
バンドに大きな影を落としたのだろう。メンバー・ショットは
かなりむさくなっていて、何処をとっても昔の面影はなく、もはや
別のバンドと考えた方が良いだろう。[73]
HOTWIRE / HOTWIRE
ドイツのヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。元BON FIREの
CLAUS LESSMANN、HANS ZILLERのコンビによるプロデュース
作品だ。ボーカルのWERNER STADIはDAVY VAINのような淡泊で
醒めた声質で、独特の味わいがある。彼がメインの
ソング・ライターで、Crying In The Night等、その紡ぎ出す
メロディ・センスは中々のものだ。しかし全体的な出来は
こじんまりとした感じがあり、彼の声を生かすまでには
至っていないのは何とも残念だ。このCrying In The Nightを
始め、何曲かは秀逸な愁いを帯びたメロディのハード・ポップと
言える楽曲で、次を期待させてくれるものはある。[81]
PROZAIC / HONEYCRACK
イギリスのブリット・ポップ・バンドのデビュー盤。
THE WiLDHEARTSのギタリストだったCJを中心とするバンドで、
基本的な路線はTHE WiLDHEARTSのそれに近いものがある。分かり
易いキャッチーなメロディを持った、パンキッシュな
ハード・ロックンロールで、THE WiLDHEARTSから比べると、もっと
ソフトでキャッチーで甘い楽曲からなっている。トゲがなくて聴き
易いものの、その分THE WiLDHEARTSに対してインパクトに
欠けるが、総じて出来は悪くない。THE WiLDHEARTSよりも、ハード
色が薄く、よりブリット・ポップよりの作品に仕上がっている。
[82]
SPIRITS FLY / HOLOCAUST
N.W.O.B.H.M.のバンドの一つで、ミニ・アルバム2枚、アルバム
1枚に次ぐ作品なのだが、15曲中11曲目までは
HYPNOSIS OF BIRDSから、2曲がHEAVY METAL MANIA、METALLICAの
カバーはMETAL MILITIA〜A TRIBUTE TO METALLICA〜IIからの
再収録で、日本盤のボーナス・トラックを除いて新たな
価値はない。特にHUPNOSIS OF BIRDSのものの録音は、まるで
N.W.O.B.H.M.当時を思い起こさせる酷いもので、フルートを
持ち込んだりと、かなり実験的だが、それ以外はあまり高く評価
出来ない。それ外の曲は録音状況もだいぶましだが、やはり
ちゃんとした新作を期待したい。[72]
NO MATTER WHAT'S THE CAUSE / HOLY MOSES
ドイツのデス・メタル・バンドの1994年にリリースされた
7thアルバム。活動歴が長いだけあって、そのスタイルは
正統派とも言えるスラッシュ型で、デス・ボイスを除けば
コアなスラッシュである。これまで到底女性とは信じられない
咆哮を聴かせていたデス・ボイスのSABINA CLASSENが殆ど
出てこず、ANDY CLASSENが担当しているが、強烈さで劣り
破壊力がそれほど感じられない。故に楽曲的にはそれほど
悪くないのだが、強い印象を与えるに至っていない。ベースは
全曲、BRUTUL TRUTHのDAN LILKERが担当している。[75]
COVENANT / HOLOCAUST
昨年リリースされたSPIRITS FLYは1992年にリリースされた
HYPNOSIS OF BIRDSの再リリース盤であったから、実に5年ぶりの
新作アルバムという事になる。N.W.O.B.H.M.当時から名前を一時
変えたりと細々と生き残り続けてきた様だ。音質はまるで、
N.W.O.B.H.M.当時を思わせる悪さで、プロダクション的には
いかんともしがたい。楽曲はややヘヴィさがあるギター・リフを
入れた、ドラマティックながら、ニヒルで渇いた色合いのある
サウンドだ。出来は前作から比べればかなりましで、それなりに
聴きどころはあるのだが、アルバム一枚通して聴くのは少々辛い。
プログレッシヴ的要素が多分にあり、16分を超える組曲を
入れている辺りにも、その指向が伺える。[77]
GOD OF METAL / HOWIE BENTLEY'S CAULDRON BORN
詳細は不明だが、恐らくアメリカのヘヴィ・メタル・バンドの
アルバム。1993年と1994年にリリースされたデモを
カップリングしてCD化したものの様だ。参加メンバーは
統一されておらず、殆どソロ・プロジェクトと言った様相を
呈している。方向的には変拍子の入った正統派パワー・メタルと
言ったところだが、その出来はまさしくデモの範疇を
超えるものではない。HOWIE BENTLEYの扇情的なギター・ソロは
それなりに聴きごたえがあるが、それ以外にはそれ程聴きどころと
感じられるものはない。両デモに参加している二人の
ボーカリストではCHRISTIAN KASCAKは結構聴けるが、CAT DENTONは
高音が出るものの時に調子外れになる。故意にそうしているのか、
時たまアバンギャルドな変なメロディを入れたりするが、決して
良い結果になっているとは言い難い。展開があるとは言っても
決してドラマティックに思えないのが全てだ。[58]
TOXIC RAIN / HOLY MOTHER
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの3rdアルバム。前作では
バンド名を変更していたが、今作ではバンド名を元に戻しての
アルバム・リリースとなった。今作ではこれよりも、より
ヘヴィ・メタル的な作品となっており。グルーヴィさは
残しながらも、よりヘヴィ・メタル的な色彩の濃い
作品になっている。このグルーヴィさのおかげで、非常にのりの
良い作品になっていて、ハードになった分非常に荒々しい
パワフルさを体現するまでに至っている。楽曲の出来も
悪くないし、全体的に非常に聴きごたえのある作品に
仕上がっている。JUDAS PRIESTの
You've Got Another Thing Comin'をカバーしているが、
はまっていて中々格好良い。[84]
FACE ANOTHER DAY / HOTWIRE
ドイツのハード・ロック・バンドの3年振りの2ndアルバム。新しく
加入したギタリスト、ALEX ESPINOSAが
メイン・コンポーザーとして力を発揮しているため、方向的には
やや変化が伺える。よりメランコリックで叙情的なメロディで、
うらわびしさを感じさせるが、出来自体は中々良い。前作に
比べると、かなり落ち着いた印象を与える作品だが、かえって
じっくりと聴き込む事が出来て悪くない。メロディには
キャッチーさがあって、WERNER STADIの独特の甘いボーカルが良く
合っている。派手さはないが、甘く切ないポップな
ハード・ロックで、中々良いアルバムだ。[84]
WHATCH GONNA DO HONKY? / HONKY TOAST
アメリカのロックンロール・バンドのデビュー盤。デビュー盤と
言っても、LOVE SPIT LOVEのRICHARD FORTUSとFRANK FERRER等が
偽名を使って作ったプロジェクト・バンドだ。JANE'S ADDICTIONが
ミドル・テンポの普通のアメリカン・ロックンロールをやった
様な、普通楽曲でありながらどことなくパンキッシュな感じのする
独特の味わいがあるアルバムだ。ハード・ロックと言う
程でもないが、かなりハードな音作りで、ソリッドさが出ていて
聴きごたえがある作品に仕上がっている。楽曲の出来も良いし、
さすがANDY JOHNSがプロデュースしただけの出来だ。[83]
DOMVS MVNDI / HOLLENTHON
詳細は全く不明だが、恐らくオーストリアの
ゴシック/プログレッシヴ/メロディック・デス・メタル・バンドの
アルバム。メロディック・デス・メタルとしては、メロディの
美しさを押し出すのではなく、あくまでも楽曲の組み立てと
ユニークさで勝負している。Homage-Magni Nominis Umbraは
アラビア風とも言える様な奇妙なキーボードの音色は中々
面白いし、Vestige-Non Omnis Moriarでの民謡調とも言える様な
奇妙なクリア・ボイスを始め、中々面白いアルバムに
仕上がっている。一般受けはかなり難しいだろうが、アイデアは
面白いと思うし、かなりユニークな存在ではあると思う。[82]
THE NIGHTCOMERS / HOLOCAUST
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1981年にリリースされた
デビュー盤。METALLICAがカバーしたり、その後の
おどろおどろしい音楽性からするとあまり想像出来ないが、ここで
聴かせてくれる彼等のサウンドは意外にもロックンロールであり、
ブギーである。かなりのりの良い作品で、如何にも
ヘヴィ・メタルと言った感じの楽曲はなく、イメージと異なる
可能性は高いだろう。とは言え、ロックンロール的な色合いが、
如何にもN.W.O.B.H.M.的ではある。ボーナス・トラックとして12
インチ・シングルのHEAVY METAL MANIがそのまま収められている。
[80]
III / HOUSE OF SHAKIRA
スウェーデンのハード・ロック・バンドの2年振りとなる
3rdアルバム。北欧のバンドだが、そう言った哀愁味はなく、
音楽的には軽快でメロディアスなアメリカン・ハード・ロックと
言った感じだ。爽やかでキャッチーで叙情的なメロディは中々心地
良く、落ち着いて聴いていられる。全体的に飛び
抜けた楽曲はないが、コマーシャルで洒落ていてセンスも良いし、
安心して聴いていられる作品だ。ANDERS EKLUNDのボーカルにやや
不安定さを感じる部分があるが、伸びやかなボーカルはバンドの
色合いに良く合っている。少し小器用にまとまり過ぎと言う
感じもなくはなく、これと言う曲が一つ欲しい様な気がする。[81]
THE SKY'S THE LIMIT / HORIZON
フランスのヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。方向的には
いわゆるネオ・クラシカルと言えるもので、確かに随所に
ギタリスト、PATRICK HEMERの如何にもそう言った感じのプレイを
聴かせてくれていたり、メロディが端々に折り
込まれているのだが、楽曲自体はもっとストレートな
ヘヴィ・メタルと言う印象を受ける作品だ。と言うのもメロディ
自身にかなりキャッチーさを持たせているからで、どちらかと
言うとネオ・クラシカル的な要素を上手く味付けに使っている
感じだ。VINNIE ANGELOの甘く伸びやかなボーカルも中々
素晴らしい。[84]
DISORDER OF THE ORDER / HOLY MOSES
ドイツのスラッシュ・メタル・バンドの8年振りの8thアルバム。
音楽的にはいわゆるデス・ボイスを使ったデスラッシュと
言うやつだが、特に注目されるのがボーカルが女性だと言う
事だろう。今でこそ、ARCH ENEMYのANGELA GOSSOWが大きな注目を
浴びている訳だが、これより遥か昔、1980年代初頭から
SABINA "PRINCESS OF HELL" CLASSENと言うデス・ボイスを
駆使する、しかも美しい女性ボーカリストを擁していたのだから
もっと注目されても良さそうな気がする。
Disorder Of The Orderにおけるギター・メロディ等は、美しくも
破壊力があり中々にドラマティックだ。[84]
PLANETUDE / HOLY SAGGA
ブラジルのヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。音楽的には
ヨーロッパ・テイスト溢れるシンフォニック・メタルで、
ANDRE MATOSがゲスト参加している事からも判る様に、恐らく
ANGRAにインスパイアされて誕生したバンドだろうが、あそこまで
ジャーマン臭はなく、よりストレートな叙情派ヘヴィ・メタルと
言って良い内容だ。どちらかと言うと、パワーはかなり抑え目で、
それ故に迫力不足に感じられるが、その一方でより繊細な
感じがするのは面白い。この手のANGRAフォローワーとしては、
メロディ・センスも良く、洗練されていると同時に
プロダクションも悪くなく、物まねに終わっていないのは評価
出来る。[84]
LIVE+ / HOUSE OF SHAKIRA
スウェーデンんのヘヴィ・メタル・バンドのライヴ盤。2001年に
行われた公演の模様を収めたものだ。スウェーデンの
バンドとしては北欧臭さがなく、良い意味でのアメリカ的な
ポップ・センスを持ったバンドだが、ライヴでもその魅力が実に
良く出ており、レベルの高さを感じさせる作品に仕上がっている。
IIIの楽曲が大半なのだが、非常に高品質なアルバムだっただけに
大した問題ではないだろう。JOURNEYのStone In Loveも彼等の
サウンドに合った、非常に良い選曲で、他の楽曲との違和感が
全くない。Separate Waysは流石に少しイメージが違うのだが、
それでも完コピと言えるだけの出来だ。[84]