YEAR IN - YEAR OUT / HUNDRED YEARS
フィンランドのヘヴィ・メタル・バンドの1993年にリリースされた
アルバム。プロデュースは同郷のSTRATOVARIUSのTIMO TOLKKIが
担当しているが、方向的にはSTRATOVARIUSのそれとは大きく掛け
離れている。ワイルドで勢いのあるヘヴィ・メタルで、どことなく
土臭さがある。Too Many Irons In The Fire等は、パンクっぽい
エッセンスがあって、D.A.DやBILLY IDOLE的な色合いを感じさせる
部分がある。TEDIの野太いボーカルがそういった感をより一層
強めている。北欧と言うよりはアメリカ的な匂いのする
ヘヴィ・メタルで、全体的な出来も悪くない。[81]
HUMAN CLAY / HUMAN CLAY
理由は定かではないが、TALISMANが活動停止を
余儀なくされている中でのMARCEL JACOBとJEFF SCOTT SOTOによる
ニュー・プロジェクト。ボーカル以外はゲストのギタリストを
除いて全てMARCEL JACOBが担当しており、正に
プロジェクトとしての体裁を保っているが、内容は
TALISMANとして発表しても可笑しくない曲も多く、何故こういう
形態でのリリースとなったのか興味深いところだ。YNGWIEが
ゲストして参加しているJealousy等は、むしろYNGWIEらしい曲に
仕上がっているし、Outside Lookin' Inは如何にもRAINBOW的な
フレーズが飛び出すし、TALISMANとは趣を異にする部分も多く、
プロジェクトである部分を意識しての事かも知れない。
JEFF SCOTT SOTOのソウルフルなボーカルは相変わらず素晴らしい。
[85]
HUGO / HUGO
元VALENTINEといっても、あのオランダの
ROBBY VALENTINEではなくて、後にOPEN SKYZと名を改める
アメリカのハード・ロック・バンドで、そのボーカリストだった
HUGOの初のソロ・アルバム。VALENTINEに比べれば、より叙情的で
優しい楽曲はより軽快な雰囲気があるが、JOURNEY風と言っても
良いようなサウンドだ。ボーカルも高音の伸びなどは
STEVE PERRYを思い起こさせるものがある。これといったものが
なかったVALENTINEのアルバムに比べれば、叙情的な
このアルバムはより彼のボーカルにあった作品だと言えるだろう。
楽曲もそれに見合っただけの心温まる透き通った美しいアルバムに
仕上がっている。TENのメンバーがバック・アップしたのが
良い結果を生み出したと言えるのかも知れない。[87]
IN CONCERT / HUMBLE PIE
イギリスのブルーズ・ロック・バンドのアメリカのラジオ番組
KING BISCUIT FLOWER HOURの放送用に収録された1973年の
ライヴ音源をCD化したもの。中にはLED ZEPPELIN風の
楽曲もあるが、大半はアメリカ黒人風のものが中心だ。特に
面白いのは曲間の歌うようなMCで、非常にユニークだ。後に
MOTORHEADのEDDIE FAST CLARKとFAST WAYを結成する事になる
JERRY SHIRLEYも在籍している。楽曲はカバーが中心で、
HUMBLE PIEの入門用には不向きかも知れないが、十分楽しめる
作品で、非常にのりにのったライヴ・パフォーマンスを
聴かせてくれる。[85]
U4IA / HUMAN CLAY
スウェーデンのプロジェクト・ハード・ロック・バンドの
2ndアルバム。TALISMANのベーシスト、MARCEL JACOBと
ボーカリストのJEFF SCOTT SOTOによるプロジェクトだが、
TALISMANの復活に伴ってその活動はこれで終わりかも知れない。
前作同様のTALISMANの延長線ともいえる作品で、扇情的で生々しい
演奏に、叙情的なメロディでパワフルな楽曲で良く出来ている。
JEFF SCOTT SOTOのボーカルは相変わらず素晴らしいし、
TALISMANのファンには安心して聴ける作品に仕上がっている。
MARCEL JACOBが全てのストリング・パートを弾いているが、全く
問題無い。TALISMANのパターンにはまっているとも言えるが、
ワン・パターンで終わるだけでないだけの出来だ。[84]
IF YOU SMILE / HUSH
ノルウェイのハード・ポップ・バンドのデビュー盤。方向的には
アメリカ風の叙情的で爽やかなハード・ポップが中心にあり、
そこに北欧のバンドらしい湿り気をエッセンスとして加えている。
非常に洗練されており、楽曲によっては産業ロック的な
感じすらするものもあるが、そういった中でこのアルバムを
際立たせているのはPATRICK SIMONSENの情感豊かなボーカルと
エモーショナルな演奏のおかげだろう。平均的に楽曲は良く
出来ているのだが、逆にこれと言った曲もないのは残念だが、
ミドル・テンポ中心ながらのりも良いし、クオリティ自体は高い
アルバムだ。[84]
HUSH / HUSH FEATURING ROBERT BERRY
GTR、3、ソロを経て、現在ALLIANCEで活躍する、ROBERT BERRYを
中心とするアメリカのロック・バンドの1970年代末に録音されて
お蔵入りになっていた音源をCD化したもの。彼が
参加しているだけあって、ややプログレッシヴ・ハード的な
感じがする曲もあるが、全体的には今一つ統一感がなく散漫な
感じがする作品だ。Saturday Night等は湿り気を帯びた叙情的で
美しいプログレッシヴ・ハードという感じで、
It's All Too Muchの大仰なキーボード等は特に素晴らしい。
前半はこの様な憂いを帯びた叙情的な曲が続くのだが、後半に
入ると同様な曲はLet Me Liveのみになる。特にYouや無意味に曲が
切り替わって行って、クリスマス・ソングまで出した上に、最後は
日本語で締めるというA Room等はあまりにも落差が大きすぎる。
[81]
FOR THE SAKE OF YOUR SOUL / HUMAN RACE
スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。北欧的な
透明感と叙情感があるが、より扇情的でエモーショナルな
サウンドだ。Remember Whenでピアノを挿入してくる辺りも良い
アイデアだ。全体的にアップ・テンポで、Mothership等で
聴かれる、やや古臭いイメージをさせるキーボードの音がまた
非常に良く合っていて、ソウルフルさを倍加している。BISCAYAの
PAR EDWARDSSONがプロデュースを行っているが、生々しい音作りが
成功していると言って良いだろう。Themの様なやや中だるみを
感じさせる様な楽曲もあるが、全体的な出来は悪くない。
演奏的にも良く出来ているし、STEFANO MARCHESINIのボーカルも
バンドに良く合っている。[84]
TIME ON EARTH / HUGO
元VALENTINE、OPEN SKYZのボーカリストによる3年振りの
2ndソロ・アルバム。前作ではGARY HUGHESがプロデュースし、
VINNY BURNSがギターを弾いていたのを始め、TENの
バック・アップを受けた形だったが、今作では何曲か
BINNY BURNSが弾いている位だ。方向的には前作同様のJOURNEY
路線の洗練されたアメリカン・ハード・ポップと言った感じだが、
よりメロウな作品作りがなされている。TRIUMPHのMagic Powerを
カバーしているのは意外だが、雰囲気的には合っているので
悪くない。爽快なメロディのキャッチーな楽曲は中々良い
出来だし、彼の透ったボーカルもこう言う音楽に良く合っている。
[83]
II / HUSH
ノルウェイのハード・ロック・バンドの3年振りとなる
2ndアルバム。DEEP PURPLEがカバーしたヒット曲を思わせる
バンド名だが、音楽的な類似性は全くない。方向的には前作の
延長線上とも言える、産業ロックを思わせる様なメロディアスな
ハード・ロックだ。叙情的なメロディはややドライな感じで、
北欧と言うよりはアメリカ的なメロディアス・ロックと言って
良いだろう。そんな中にもDon't Stay Goodnightの様な憂いのある
キャッチーなハード・ポップ・ナンバーを入れていて、彩りも
豊かだ。メロディの質も高く、楽曲を始め、全体的な完成度は
かなり高い。[85]
DIRT EATER / HUMAN RACE
スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドの3年振りとなる
2ndアルバム。とは言え、半分近くがデビュー盤からの再収録で、
純粋なる新作とは言い難いものがある。方向的には前作の
延長線上とも言えるエモーショナルな作品で、前作でもあった
1970年代的な古臭さはより強調されている。楽曲的にはTALISMAN
的なエッセンスが強くなっており、北欧的な洗練された叙情感も
無きにしも有らずだが、どちらかと言うとモダンでラウドで
ヘヴィ・ロックを北欧メタルに持ち込んだと言う方が近いだろう。
全体的にパワフルでフックがあって、聴き応えのあるアルバムに
仕上がっている。RAINBOWのTarot Womanがカバーされているが、
そう言った要素も盛り込みながらも、割と忠実な
カバーになっている。[82]
HUMANIMAL / HUMANIMAL
スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。TALISMANの
ギタリスト、PONTUS NORGRENによるバンドだが、ボーカリストは
同じくTALISMANのJEFF SCOTT SOTOだし、ベーシストは
MARCEL JACOBなので、ドラマーが元ELECTRIC BOYS、AMAZE MEの
TOMAS BROMANである事を除けば、そのままTALISMANの復活と
言ってしまっても良いかも知れない。実際、その音楽性も叙情的な
メロディながらも骨太のヘヴィ・メタルとTALISMANのそれを
継承したものだ。TALISMANとの関係をどうして行くのか良く
判らないが、JEFF SCOTT SOTOのボーカルも健在だし、TALISMANの
ファンには十分満足の行く作品だろう。[83]
HUGHES TURNER PROJECT / HUGHES TURNER PROJECT
元DEEP PURPLEのベーシスト兼ボーカリスト、GLENN HUGHESと
元RAINBOW、YNGWIE MALMSTEEN、DEEP PURPLEのボーカリスト、
JOE LYBB TURNERによるプロジェクトのアルバム。メンバー構成は
GLENN HUGHESのソロ・アルバムで演奏しているミュージシャンに、
JOE LYBB TURNERが加わったと言う感じなので、全体的に
GLENN HUGHESのソロ・アルバム的なエッセンスの強い、
ソウルフルでファンク色を盛り込んだ、アダルトな
ハード・ロックと言った感じのアルバムに仕上がっている。そこに
DEEP PURPLEやRAINBOWのエッセンスを取りこみ、ゲストとして
PAUL GILBERT、JOHN SYKES、梶山章と言ったギタリストが
参加して、プロジェクトとしての色合いを出している。[85]
LIVE IN TOKYO / HUGHES TURNER PROJECT
元DEEP PURPLE、BLACK SABBATHのベーシスト兼ボーカリストの
GLENN HUGHESと元RAINBOW、YNGWIE J.MALMSTEEN、DEEP PURPLEの
ボーカリスト、JOE LYNN TURNERによるプロジェクトのライヴ盤。
2002年に行われた日本での公演の模様を収めたものだ。バックは
GERARD、元EARTHSHAKER、NOVELLAのキーボード、永川敏郎、
虹伝説のギタリスト、梶山章、虹伝説のドラマー、工藤義弘が
務めている。当然と言えば当然だが、RAINBOWやDEEP PURPLE等の
このプロジェクト以外の楽曲が大半を占めている。そしてそれらの
出来が、本家に勝るとも劣らない出来で、実に格好良い。[85]