THE FOURTH DIMENSION / HYPOCRISY
スウェーデンのブラック・メタル・バンドの3rdアルバム。
バックのサウンドは明らかにスラッシュ/ドゥーム・メタルで、
系統的には同じNUCLEAR BLASTのDISMEMBERなんかに近いが、もう
少し正統的で重厚だ。そういう意味ではブラック・メタル特有の
ブルータルさは感じられない。PETER TAGTGRENのスクリーミングは
それ程きつくなく、デス・ボイス的に歪んでいる。この
スクリーミングがあまり前面に出ておらず、中途半端に感じる
事もある。曲によってはゴシック的な荘厳な雰囲気を持ち
込んでいるが、それ程陰鬱だという訳ではない。楽曲はメロディ、
構成とも良く出来ていて、ドラマティックで中々のものだと思う。
[82]
ABDUCTED / HYPOCRISY
スウェーデンのブラック・メタル・バンドの4thアルバム。
いわゆるブルータルな感覚はなく、メロディ中心の正当的な
ヘヴィ・メタルという感じで、サウンド的には
メロディック・デス・メタルと言った感じの受ける作品である
事はこれまでと変わりない。楽曲によってはPARADISE LOST的な
ゴシック・メタル風の楽曲だったり、あるいはスラッシュ・メタル
風だったり、パワー・メタル風だったりもする。PETER TAGTGRENの
ボーカルは、ブラック・メタル特有の金切り声ではなくしゃがれた
感じのタイプだが、荒涼感は感じられる。[85]
THE FINAL CHAPTER / HYPOCRISY
今作を持って解散する、スウェーデンのデス・メタル・バンドの
5thアルバム。スタイル的にはAT THE GATESと同様の方向性で、
スラッシュ的なサウンドのメロディック・デス・メタルだ。
叙情的なメロディは陰鬱な雰囲気を醸し出しながらも、激烈な
サウンドは破壊力がある。PETER TAGTGRENのデス・ボイスは、
ときには唸るように、ときには吐くように咆哮する。メロディも
なかなか印象的で、アコースティック・ギターをうまく
挿入したりと、暗い情念と情感の表現力はたいしたものだ。
スラッシュ系デス・メタル・バンドとしてはかなりの出来と言って
良いだろう。[86]
HYPOCRAISY DESTROYS WACKEN / HYPOCRISY
スウェーデンのメロディック・デス・メタル・バンドのライヴ盤。
1998年にドイツで行われたフェスティバル、WACKEN OPEN AIRに
出演したときの模様を収めたもので、それに未発表曲を4曲付け
加えている。方向的にはスラッシュ・メタル型
メロディック・デス・メタルで、ブルータリティさを感じさせる
部分も大きいが、それと同時にOsculum Obscenumの様な、重厚で
ゴシック・メタル的な荘厳さを感じさせてくれる部分もある。この
両極的な部分がうまく絡み合って、彼等なりのドラマティックな
サウンドを作り出していると言って良いだろう。演奏レベルも
高いし、プロダクションも申し分なく、中々良く出来たライヴだ。
[86]
HYPOCRISY / HYPOCRISY
スウェーデンのメロディック・デス・メタル・バンドの
6thアルバム。前作で持って解散と公言していたが、解散は
撤回され、こうして新作がリリースされた。かなりブルータルな
デス・メタルをやっていた初期から比べると、このバンドもその
趣を大きく変えている。前作までには、かなりメロディ中心の
バンドとなっていたが、今作では更にそれが押し進められた形だ。
Apocalyptic Hybridの様な、スラッシィでブルータルなナンバーも
全くない訳ではないし、パワー・メタル系のものもあるが、
全体的にスローからミドル・テンポの
メロディック・デス・メタルが中心だ。ゴシック・メタル色を持ち
込んだり、アコースティック・ギターを持ち込んだりと、旧来の
ファンにとっては問題作と言っても良い作品だが、メロディの
出来も良いし、静寂感を持ったゴシック・メタルや
メロディック・デス・メタルが好きならお奨めだ。[86]
INTO THE ABYSS / HYPOCRISY
スウェーデンのメロディック・デス・メタル・バンドの
7thアルバム。方向的には前作の延長線上ではあるが、割と
ゴシック・メタル色の強かった前作と比べると、凶暴性を
感じさせるスラッシィなナンバーがあったりと、結構バラエティに
富んだ内容となっている。エッヂの立ったアグレッシヴな
サウンドは、エナジーが感じられて中々格好良い。初期の方向に
揺り戻した様な感じで、耽美でドラマティックな
部分がなくなってしまった訳ではないが、よりブルータリティな
方向へと向かっている。それ故、PETER TAGTGRENの
デス・ボイスもより咆哮していると言う感じだ。[83]
IN BLOOD WE TRUST / HYPNOS
チェコのデス・メタル・バンド、KRABATHORのメンバー達による
プロジェクト・バンドのアルバム。フィンランドの
ブラック・メタル・バンド、IMPALED NAZARENEのボーカリスト、
MIKA VITUN LUTTINENもゲスト参加している。方向的には
スラッシュ型のテクニカル・デス・メタルであるKRABATHORの
それをそのまま引き継いだものと言える。スラッシィーな
ギター・リフに、時折ブラスト・ビートを挟んで来るかと思えば、
メロディアスなギター・ソロも聴かせてくれる。ブルータルさを
湛えながらも扇情的なギター・メロディを聴かせてくれていて、
変化のあるアルバムに仕上がっている。攻撃的な楽曲は
迫力があり、実に凄まじく格好の良い作品だ。[83]
SHADOWORLD / HYPNOSIS
詳細は全く不明だが、恐らくフランスの
ゴシック/メロディック・デス・メタル・バンドのアルバム。
この手のものとしても最もヘヴィ・メタル色の強い作品で、
ギターがかなり前面に押し出されている。ボーカルは
クリア・ボイスとデス・ボイスのPIERRE BOUTHEMYと女性
ボーカルのCINDY GOLOUBKOFFによるツイン・ボーカルだ。
CINDY GOLOUBKOFFのボーカルは、流麗だが意外とパワフルで、
メタリックな楽曲に決して負けていない。東洋風の民族音楽的な
メロディも入れていたり、ジャジィでプログレッシヴ・ロック的な
感じのするキーボードを入れて来りと色々工夫も感じられる。やや
アイデアを消化しきれていないところも見うけられるが、面白い
出来だ。[81]
CATCH / HYPOCRISY
スウェーデンのメロディック・デス・メタル・バンドの
8thアルバム。ゴシック・メタル的なエッセンスを持ち込んだ、
メロディック・デス・メタルを聴かせてくれていたが、今作では
On The Edge Of Madnessと言った、そう言う従来の楽曲を
残しながらも、Don't Judge Me等に代表される様なハード・コア
色や、モダン・ヘヴィネス的なエッセンスを取り込んだ、最近の
ヘヴィ・ロックの影響を受けた様な楽曲との2面性を持っている
事が大きな特徴と言えるだろう。ボーカルもエフェクト
処理していたりと、プロダクション面からも意識して変えている
事が伺える。ある意味、最近の流行に走ったと言えなくもないが、
従来の彼等らしさもあり、それ程あざといと言う感じはしない。
[82]