EYES OF THE WORLD / MacLPINE
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1990年にリリースされた初の
アルバム。実体はこれまでソロで活動してきたギタリストの
TONY MacLPINEがその活動をバンド形態に移したものだ。
これまでのソロでの作品では、クラシカルなギター・プレイを
中心とした、ギター・インストルゥーメンタル作品であったが、
この作品ではALAN SEHORNをボーカリストに迎え、初めてボーカル
作品となっている。そのためもあってか、恐らく意識的に音楽的
方向性を大きく変更している。キャッチーで叙情的なメロディの
ハード・ロックで、実に耳触りの良い作品に仕上がっている。
商業的な成功を目指しての変更であろうが、彼らしい
ギター・プレイも決してなくなってしまっている訳ではない。とは
言え、彼のギター・プレイだけ着眼すれば、楽曲が楽曲だけに
やはり少し寂しいところだ。[81]
BURN MY EYES / MACHINE HEAD
アメリカのスラッシュ・メタル・バンドの1994年にリリースされた
デビュー盤。元FORBIDDEN、VIOーLENCEのボーカリスト、
ROBB FLYNNを中心としたバンドだ。ハード・コア、
モダン・ヘヴィネス的な色合いが見える、スラッシュ・メタルで、
非常に攻撃的で過激さを感じさせてくれる作品に仕上がっている。
モダン・ヘヴィネス的に感じられるのはその過激さとROBB FLYNNの
ボーカル・スタイルによるところが大きいが、楽曲自体はリフを
ザクザクと切り刻んで来る、コアなスラッシュ・メタルと
言うところだ。メタルらしいメロディも折り込みながら、
ベイエリアのバンドらしいスラッシュ・メタルを
聴かせてくれている。[82]
IMPENDING ASCENSION / MAGELLAN
アメリカのプログレッシヴ・ロック・バンドの1993年に
リリースされた3rdアルバム。この手のものとしては結構ハードな
作品に仕上がっているが、DREAM THEATREの様なヘヴィ・メタル
的と言うよりは、よりプログレッシヴ・ロック然とした作品と
言って良いだろう。YESの影響も感じられる作品で、それをより
ハードに調理した様な感じだ。それ故、ハードとは言ってもMAGNUM
等と言ったプログレッシヴ・ハード・ロックとは趣が異なって
来ている。MAGNA CARTAのレーベル・メイトである
SHADOW GALLERYと比べても、よりプログレッシヴ・ロック的な
作品となっている。複雑さと難解さがかなり表に
出てしまっているので、プログレッシヴ・ロックに馴染みがないと
聴いていて辛いかもしれないが、そのレベルは中々高い。[83]
KINGDOM OF MADNESS / MAGNUM
イギリスのプログレッシヴ・ハード・ロック・バンドの1978年に
リリースされたデビュー盤。方向的には、典型的なイギリスの
プログレッシヴ・ロック的な楽曲なのだが、N.W.O.B.H.M.の
ムーブメントが起こり始めた時代背景もあってか、よりハードな
エッセンスを持ち込んだサウンドになっているのがこのバンドの
特徴だ。後にハード・ポップ方面へとその音楽性を変えていく
事になるが、この作品は初期のプログレッシヴ・ハード
然としていた頃の代表作とも言える作品と言って良いだろう。
スペイシーなキーボードにフルートを持ち込み、彼等らしい魅力が
感じられるし、彼等の代表曲とも言えるKingdom Of Madness、
Invasionを始め、叙情的で愁いの感じられる楽曲の出来も良い。
[89]
II / MAGNUM
イギリスのプログレッシヴ・ハード・ロック・バンドの1979年に
リリースされた2ndアルバム。方向的には前作の延長線上とも
言えるもので、叙情的で哀愁の感じられるメロディのイギリスの
バンドらしいプログレッシヴ・ハード・ロックだ。BOB CATLEYの
甘いボーカルが、彼等のサウンドに良く合っていて切なさを
感じさせる。彼等の美しいメロディ・センスは流石と
言うところだが、前作と比べるとKingdom Of MadnessやInvasionと
言った名曲と言えるものがないだけに、全体的に小粒に
感じられるのは如何ともし難い。それでも、前作のファンであれば
十分満足の行くだけのレベルには達していると言って良いだろう。
[85]
MARAUDER / MAGNUM
イギリスのプログレッシヴ・ハード・ロック・バンドの1980年に
リリースされたライヴ盤。1979年に行われたイギリスでの公演の
模様を収めたもので、初期のライヴ音源と言う事で、
2ndアルバムからの楽曲が中心となっている。デビュー盤からは
In The BeginingとLords Of Chaosだけが収められており、彼等の
名曲とも言えるKingdom Of MadnessとInvasionが
収録されていないのは何とも不満に感じられる。割と地味な楽曲が
選曲されているので、やや物足りないと言う印象を受けるが、
演奏はしっかりしており、非常に安定した
ライヴ・パフォーマンスを聴かせてくれている。[83]
THE ELEVENTH HOUR / MAGNUM
イギリスのプログレッシヴ・ハード・ロック・バンドの1983年に
リリースされた4thアルバム。彼等の代表作とも言える前作の
延長線上の作品で、ポップで叙情的なメロディの
プログレッシヴ・ハード・ロックを聴かせてくれている。
ブルージィなブリティッシュ・ハード・ロックを基調に、
プログレッシヴ・ロックのエッセンスを振り掛け、非常に愁いの
感じる美しい作品に仕上がっている。ドラマティックで
アップ・テンポのスリリングな楽曲が並び、RODNEY MATTHEWSの
アルバム・ジャケットもあいまって、幻想的で郷愁感を感じさせる
アルバムとなっている。[86]
ON A STORYTELLER'S NIGHT / MAGNUM
イギリスのプログレッシヴ・ハード・ロック・バンドの1985年に
リリースされた5thアルバム。このアルバムからレコード会社を
移籍しており、彼等のCHASE THE DRAGONと並ぶ名作とも言える
作品だ。これまでの作品と比べると、より透明感の感じられる作品
作りがなされており、凛と澄んだ印象を受けるアルバムに
仕上がっている。これまでの作品と比べると、ブルージィさは
減退しており、ブリティッシュ的な色合いはかなり減っていると
言って良いだろう。その分より産業ロック的で、無色な感じのする
作品になっており、やや彼等の独自色と言ったものも今一つ
伝わって来ない部分もある様に感じられる。[85]
VINTAGE / MAGNUM
イギリスのプログレッシヴ・ハード・ロック・バンドの1986年に
リリースされたレア・トラック集。シングルのB面に
収められていたアルバム未収録音源を集めたもので、ライヴが
4曲、アルバム未収録曲が6曲と言う構成になっている。アルバム
未収録曲と言っても中々レベルが高いものもあり、特に
アップ・テンポで扇情的なBack To Earthは名曲と言って良い
レベルで、何故アルバムに収録されなかったのか不思議な位だ。
ライヴはMARAUDERから落とされた音源だが、Kingdom Of Madnessと
Invasionが収録されていて、非常に有り難い。BOB CATLEYの
ソウルフルなボーカルが聴き応え十分で、何故これをMARAUDERに
収録しなかったのか疑問だ。[86]
SLEEPWALKING / MAGNUM
イギリスのプログレッシヴ・ハード・ロック・バンドの1992年に
リリースされた8thアルバム。プログレッシヴ・ハード・ロックと
言っても、初期のそう言った色合いは希薄になっており、より
ハード・ポップ色の強くなった後の作品だ。洗練された産業ロック
的な色合いの感じられる、落ち着いたアダルトな雰囲気のする
作品に仕上がっている。愁いの感じられる、叙情的な
ハード・ポップで、BOB CATLEYのソウルフルなボーカルが扇情感を
良く出している。初期のよりプログレッシヴ・ハード然とした
作品と比べると、どうしても地味な感じがするのはいがめないが、
楽曲を始め良く出来たアルバムだ。[83]
KEEOING THE NITE LIGHT BURNING / MAGNUM
イギリスのプログレッシヴ・ハード・ロック・バンドの1993年に
リリースされたアルバム。いわゆるアコースティック・アルバムと
言うやつで、企画盤的作品だが、ハード・ポップ方面へとその
音楽性を変えていた彼等の作品としては、それ程違和感はない。
但し、地味と言う印象を受ける後期の作品である事を考えると、
尚更地味な印象を受け事は確かだ。そのためか、より
ドラマティックな構成となっている楽曲があり、工夫の
見れるところもあって、ただ地味で終わっていないところは
流石だ。ベテランらしい安定性があって、安心して効いている事が
出来るレベルの作品には仕上がっている。[81]
CRAZY IN THE NIGHT / MALICE
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1989年にリリースされた
ミニ・アルバム。彼等としては最後となる作品で、バンドは
このまま自然消滅してしまう。ややシアトリカルな感じもする
ヘヴィ・メタル然としたバンドで、ロックンロール色があると言う
意味ではN.W.O.B.H.M.の影響が一番色濃く見えるバンドの一つと
言えるが、アメリカのバンドらしい洗練さとセンスがあり、
ブリティッシュ臭さは感じられない。勢いがあってのりが
感じられるし、エッヂのあるパワフルなサウンドも
悪くないのだが、愚直なまでに普通のヘヴィ・メタルと言う
イメージを受けるサウンドが成功までに結びつかなかったと
言うところだろうか。[82]
RELATIVITY / MAMA'S BOYS
アイルランドのヘヴィ・メタル・バンドの1992年にリリースされた
5年振りとなる6thアルバム。この後、バンドの支柱とも言うべき
McMANUS3兄弟の一人、ドラマーのTOMMY McMANUSが白血病で
亡くなり、バンドは自然消滅する事になる。全体的に落ち着いた
印象があり、昔の様なエナジー溢れる面は無くなったが、
相変わらずパワフルなサウンドを聴かせてくれている。
N.W.O.B.H.M.バンドの中では中堅とも言えるバンドで、トラッド
色も感じられる洗練された作品に仕上がっている。バイオリンや
ユーリアン・パイプと言った楽器を導入したり、彼等らしい独自
色も見せてくれている。[81]
MANIC EDEN / MANIC EDEN
オランダのヘヴィ・メタル・バンドの1994年にリリースされた
唯一のアルバム。WHITESNAKE元ギタリスト、ADRIAN VANDENBERGを
中心に、元ドラマー、TOMY ALDRIDGE、元ベーシスト、RUDY SARZO
等と結成されたバンドだ。WHITESNAKEはDAVID COVERDALEのバンド
であるから、彼の音楽が反映されなかったとしてもそれ程
不思議ではないが、こちらは彼のバンドであるだけに、
彼のかつてのバンド、VANDENBERGの影を追う人も多いだろう。
だがこのバンドにVANDEBERGの叙情派ヘヴィ・メタルの色合いは
全くない。サウンド的には非常にアメリカ的でブルージィな
ドライヴ感覚溢れるヘヴィ・メタルで、VANDENBERGとは大きな
隔たりを感じる作品だ。VANDENBERGと言うことを考えなければ、
楽曲の出来も良いし、ROY YOUNGのソウルフルなボーカルも
素晴らしい。[83]
...AND YOU? / MANITOBA'S WILD KINGDOM
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1990年にリリースされた
アルバム。ボーカリストのHANDSOME DICK MANITOBAを中心とした
バンドだが、何と言っても注目されるのは、ギタリストとして
元MANOWARのROSS THE BOSSが参加している事だろう。方向的には
MANOWAR的な正統派ヘヴィ・メタルと言う訳ではなく、いわゆる
ロックンロール色の強いヘヴィ・メタルだ。中心となっているのが
ROSS THE BOSSでないのだから当たり前なのだが、MANOWARを
期待するなら外すだろう。能天気で陽気な
ハード・ロックンロールで、テンポが良くて勢いがあって実に
楽しい作品に仕上がっている。[80]
BATTLE HYMNS / MANOWAR
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1982年にリリースされた
デビュー盤。元DICTATORSのギタリスト、ROSS THE BOSSと
ベーシストのJOEY DeMAIOによって結成されたバンドだ。今では
最もヘヴィでマッチョなヘヴィ・メタル・バンドの様に受け
止められているが、この作品ではまだそれ程そう言った仰々しい
ドラマティックな面影は無く、ROSS THE BOSSの経歴に現される
様な、ロックンロール色の強い作品に仕上がっている。当時、
現在の彼等の様な音楽性を持ったバンドはいなかっただけに、単に
まだ自己の音楽性を確立出来ていなかっただけと言った方が
良いだろう。今では考えられないが、テンポが良くて勢いのある
サウンドを聴かせてくれている。[80]
INTO GLORY RIDE / MANOWAR
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1983年にリリースされた
2ndアルバム。前作ではまだ彼等自身の音楽性を確立
出来ておらず、ロックンロール色の強い作品となっていたが、
今作では楽曲によってはそのロックンロール色が
残っているものの、その後の彼等に見られるヘヴィでピュアな
ヘヴィ・メタルと言う部分も見受けられる。言うなれば、
サウンドを確立する過程とでも言うべき作品で、中々興味深い
アルバムに仕上がっている。作曲面でもJOEY DeMAIOが
中心になっており、彼がバンドの主導権を握った作品と言って
良いだろう。[82]
HAIL TO ENGLAND / MANOWAR
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1984年にリリースされた
3rdアルバム。前作で自己の音楽性を確立し始めていたが、この
作品で最終的に今日の彼等の方向性が極まったと言って
良いだろう。ピュアでヘヴィでマッチョな世界を
聴かせてくれており、ERIC ADAMSのパワフルなハイ・トーンに
ROSS THE BOSSの非常に金属的なギター・プレイは圧巻だ。正しく
彼等のサウンドの原形はここにあり、彼等のファンならば十分
納得の行く内容のはずだ。勇壮で楽曲、演奏とも彼等らしい
サウンドのアルバムに仕上がっている。[83]
SIGN OF THE HAMMER / MANOWAR
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1984年にリリースされた
4thアルバム。前作で彼等のその音楽的方向性を確立したが、
今作ではそれをより押し進め結実した形になっている。
ERIC ADAMSのヒステリックなハイ・トーンのボーカルに、
ROSS THE BOSSの金属的なギター・プレイ、勇壮で
ドラマティックな楽曲と、現在の彼等のサウンドが完全にここに
結実している。ミドル・テンポの正しくヘヴィ・メタルと言った
感じの楽曲が並び、勇壮で壮観さを感じさせてくれる。こう
書くと書き方が悪いかも知れないが、実に男らしいマッチョな
アルバムだ。[86]
KINGS OF METAL / MANOWAR
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1988年にリリースされた
6thアルバム。これまで、ミドル・テンポの勇壮な
ヘヴィ・メタルを体現して来た彼等としては、Wheels Of Fire等、
珍しくアップ・テンポで勢いのある楽曲を導入している。そのため
幾分のりの良いアルバムに感じられ、彼等としてはバラエティに
富んだ作品となっている。前作ではポップな色合いはなくなり、
これまでの勇壮な彼等らしい作品に揺り戻している。その金属的な
バンドのサウンドの大きな支柱でもあった、ギタリストの
ROSS THE BOSSが脱退したのは残念だが、その後の彼の活動を
見れば、遅かれ早かれこうなる運命だったのであろう。この
作品でもSting Of The Bumblebeeでは、JOEY DeMAIOのベースの
速弾きをフューチャーしたインストルゥーメンタルが堪能出来る。
[84]
THE TRIUMPH OF STEEL / MANOWAR
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1992年にリリースされた
4年振りの7thアルバム。前作製作後、ギタリストでそのサウンドの
構築に大きな役割を担っていたROSS THE BOSSが脱退し、その
影響が心配されたが、ROSS THE BOSS程金属的な
ギター・サウンドではないものの、DAVE SHANKLEのギターも彼等の
サウンドから外れるものではなく、決して悪くない。曲作りの
主導権はJOEY DeMAIOが握っていたのだから、その面では
影響はない。出だしがいきなり30分近くに及ぶ組曲で始まり、
壮大でドラマティックな世界を構築しているが、聴いている方は
疲れるのではないだろうか。[82]
POETRY & MOTION / MARA
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1993年にリリースされた
3年振りとなる2ndアルバム。方向的には甘いポップな
ヘヴィ・メタルで、ややDREAM THEATER的な
プログレッシヴ・メタルのエッセンスを感じさせるアルバムに
仕上がっている。アメリカのバンドにしては珍しい程湿り気の
感じる叙情的なメロディは悪くない。前作に比べると、楽曲の
出来は格段の進歩を見せているし、プロダクションも
良くなっており、前作であったチープさは感じられない。前作同様
ポップ過ぎる感じはしないでもないが、メロディ・センスは
素晴らしいし、よりドラマティックで聴き応えも増している。[87]
MARSHALL LAW / MARSHALL LAW
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1989年にリリースされた
ヘヴィ・メタル・バンド。N.W.O.B.H.M.の終焉とともに
イギリスの音楽シーンから、ヘヴィ・メタルらしい
ヘヴィ・メタル・バンドの有望株が登場しなくなって
久しかったが、このバンドは久しぶりに正統派ヘヴィ・メタルと
言えるバンドだと言って良いだろう。JUDAS PRIESTの流れを
汲みながら、キャッチーなメロディ・センスを持ち合わせており、
楽しみな新人だったが、結局成功に至らなかったのは当時の音楽
シーンの状況を良く表した結果だと言えるだろう。プロダクション
的にはややチープなのが残念だが、それを除けば十分満足出来る
内容と言って良いだろう。[86]
POWER GAME / MARSHALL LAW
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1993年にリリースされた
4年振りのアルバム。実際にはその間、ミニ・アルバムは
リリースしているのだが、マネージメントの契約上の問題で、
これだけ間が開いてしまった。前作に比べると、かなりモダンで
ダークな作品に仕上がっている。前作でのJUDAS PRIEST直系とも
言える楽曲に、キャッチーなメロディと言う色合いは消えており、
よりヘヴィで攻撃的な作品となっており、前作のファンからすると
やや残念な方向転換と言えるかも知れない。ある意味、事故の
音楽性を確立しようとした結果とも言えるので、作品の出来自体は
決して悪くないし、プロダクションが良くなっているのも評価
出来る。[83]
SCENES / MARTY FRIEDMAN
アメリカのスラッシュ・メタル・バンド、MEGADETHの
元ギタリストによる1993年にリリースされた4年振りとなる
2bdソロ・アルバム。内容的にはいわゆる
ギター・インストルゥーメンタルと言うやつだが、そこには
ヘヴィ・メタル的なエッセンスは全くない。日本のシンセサイザー
奏者、喜多郎がプロデュースに関わっている事でも判る様に、その
音楽的方向性はMEGADETHとは全く違うもので、
オリエンタル・ムード満載の、壮大さの感じられるゆったりとした
サウンドが広がっている。速弾きと言うものはなくて、むしろ
情感を大事にしたプレイと言えるだろう。ヘヴィ・メタルの
ファンからするとやや掴みところのない作品かもしれないが、出来
自体は悪くない。[81]
MASQUERADE / MASQUERADE
スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドの1992年にリリースされた
デビュー盤。その音楽性は、北欧らしい叙情的なメロディを
持つものの、より洗練された産業的なエッセンスを感じるもので、
湿り気が少なく、アメリカのバンド的なセンスを
感じるものとなっている。そう言ったアメリカ的なセンスと、
TONNY YOANSONの透ったボーカルが、ある意味TNTを
思わせるところがある。北欧メタルのファンにはもう少し愁いが
欲しいところかもしれないが、透明感のある楽曲は悪くないし、
むしろアメリカのヘヴィ・メタルが好きな人の方が受けるだろう。
[82]
SURFACE OF PAIN / MASQUERADE
スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドの1994年にリリースされた
2年振りとなる2ndアルバム。前作ではアメリカ的な洗練された
エッセンスの感じられる、軽快で叙情的なヘヴィ・メタルを
聴かせてくれていたが、今作では流行に流されたのか、その
方向性に変化が生じている。ヘヴィネスと言うところまでは
行っていないが、ややヘヴィな音作りで、よりモダンな感じのする
作品になっている。前作では良質のメロディのヘヴィ・メタルを
聴かせてくれていただけに、叙情派のメロディアスな楽曲が好きな
人には残念な方向転換と言えるだろう。優れたメロディ・センスを
持っていただけに、今作でもその片鱗は見える。[81]
BIG ILLUSION / MASON
ドイツのハード・ポップ・バンドの1992年にリリースされた
デビュー盤。方向的にはキャッチーで愁いのある叙情的な
メロディのハード・ポップだ。ややアップ・テンポでのりが良く、
Rockin' 'Round The World等は印象的なさびで楽曲は中々良い
出来だ。ボーカリスト、THOMAS ZIGANNの声質もあって、かなり
甘ったるい印象を受けるが、楽曲にはそこそこフックがあって聴き
応えがある。キャッチーなのは良いのだが、この甘ったるさがやや
癇に障る感じで、聴く人を選ぶかも知れない。メロディ・センス
自体はかなり良いと思えるだけに、この辺りを改善すればかなり
良くなる様に思える。[80]
TRAGIC SYMPHONY / MASTERMIND
アメリカのプログレッシヴ・ロック・バンドの1994年に
リリースされた3rdアルバム。この手のものとしては最もハードな
作品で、ヘヴィ・メタル色も感じられるのだが、あくまでもその
中心にあるのはプログレッシヴ・ロックで、ハードなサウンドに
味付けしているに過ぎない。プログレッシヴ・ロックらしいやや
難解な楽曲が並んでいて、プログレッシヴ・ロックにある程度
親しみがないと厳しいかもしれないが、ハードなサウンドだけに
聴き応えがあるだろう。特にSea Of Tears等では、BILL BERENDSは
非常にメタル的なギター・プレイを聴かせてくれており、メタル
側のリスナーにも訴えるものがあるだろう。[82]
LIVE IN LONDON / MAGNUM
イギリスの1970年代から活動を続ける、
プログレッシヴ・ハード・ロック・バンドのMAGNUMのライヴ。
このバンドはある時を境にプログレ・ハードから
ハード・ポップへと転身してしまうのだが、このライヴでは初期の
プログレ・ハードの頃の名曲Kingdom Of Madness等もやっており、
初期のファンにも聴かせる作品になっている。録音状態は非常に
クリアだし、演奏もしっかりしているのだがギターの歪みが少し
気になる。しかしこうして昔からの曲も含めて聴くと、実に美しい
曲を作っているバンドだと再認識させてくれる。[81]
WAVES IN MOTION / MANDRAKE ROOT
スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドの1993年にリリースされた
ミニ・アルバム。方向的には名前から判る通り、DEEP PURPLE系の
ハード・ロックだ。ボーカル・メロディの端々にDEEP PURPLE的な
香りがするし、DAVID BRAICのギターもRICHIE BLACKMORE的な
ギター・ワークだ。明らかにルーツとなる部分を見せながらも、
それをうまくこないしていて悪くない。ただ、PER ENGLUNDの
ボーカルは軽く、全体的に重厚さが欠如しているようにも思える。
コーラスが下手なのも問題で、これならばむしろコーラス
無しでやった方が良かっただろう。曲はそれなりで悪くないのだが
Strange Walkin'でいきなり下手糞なTOTOみたいになるのは
勘弁して欲しい。[76]
BRAVE / MARILLION
イギリスのポンプ・ロック・バンドの1994年にリリースされた
アルバム。ポンプ・ロックの大御所的な存在になってきたが、
この作品も期待を裏切らない作品に仕上がっている。こういう
叙情的で静かな作品がヘヴィ・メタル系のファンにどれだけ受け
入れられるのかは判らないが、その叙情的で美しいメロディには
感銘を受ける部分もあるはずだ。STEVE HOGARTHが淡々と
歌いあげているだけでなく、落ち着いた静かなサウンドの中にも
プログレッシヴ・ロックらしい演奏を聴かせてくれている。
地味ではあるが、楽曲の出来も良いし、じっくりと聴かせてくれる
作品だ。[85]
MANFRED EHLERT'S AMEN / MANFRED EHLERT'S AMEN
スイス人ギタリスト、MANFRED EHLERTを中心とした、
ハード・ポップ・プロジェクト・バンドによる1stアルバム。
どういう経緯かは判らないが、GLENN HUGHESや元KROKUSの
ボーカリスト、MARC STORACE等が参加している。アルバムの前半は
非常に美しい、澄んだハード・ポップで、実に心地良い楽曲が
並んでいる。全体的に、アダルトな雰囲気があるが、
Make My Dayの間奏でのキーボード等は、EUROPEの
The Final Count Down的な感じのメロディが飛び出て来る。特に
GLENN HUGHESのボーカルが、このアダルトな雰囲気を非常に良く
盛り上げている。ただし後半になると、突如
ダンス・ミュージックの様な楽曲が続くので、その変貌振りに、
思わず耳を疑ってしまう。前半の様な楽曲が最後まで続けば名作と
言える内容だっただけに、何故この様な構成にしたのか大いに
疑問だ。[82]
MARA / MARA
アメリカのハード・ロック・バンドの1990年にリリースされた
デビュー盤、BREAKING THE SILENCEの6曲に2曲追加て
CD化したもの。基本的な路線は2ndアルバムと全く同じで、
叙情的でポップな美しい曲がずらりと並んでいる。ボーカルの
声質も含めて、やや甘ったる過ぎるきらいもあるが、それが
バンドの特色になっている。POETRY & MOTIONに比べると、
全体的に出来はやや落ちるが、それでも十分満足出来る仕上がりと
言って良いだろう。コーラスもバンドのイメージに
合ったものだし、効果的だ。ややチープな感じは受けるが、
広がりを感じる様なスペイシーな音作りでそれ程気にならない。
[84]
OPUS NOCTURNE / MARDUK
ノルウェーのブラック・メタル・バンドの3rdアルバム。知る人ぞ
知ると言った感じの、この手では正統派の大御所バンドだ。
例によってボーカルはブラック・メタル特有のデフォルメされた
金切り声だが、ブラック・メタルの中でも特に強烈で頭が痛くなる
程だ。かなりブルータルな作品で、ミックスをEDGE OF SANITYの
DAN SWANOが担当しているが、あまりそういった感じの
音作りではない。楽曲はスラッシュ・メタル的で、
ブラスト・ビートも多用しているが、結構聴ける方だ。それでも
ブラック・メタルのファン以外が聴いて面白いと思えるかどうかは
かなり疑問だが。[76]
INTRODUCTION / MARTY FRIEDMAN
アメリカのスラッシュ・メタル・バンド、MEGADETHの
ギタリストによる3rdソロ・アルバム。方向的には前作同様の
オリエンタルな雰囲気が満ち溢れた作品に仕上がっている。
MEGADETHのサウンドからは掛け離れた作品であり、
ヘヴィ・メタルという範疇からは全く外れた作品であるので、この
音を初めて聴いた時は、多分皆どう表したら良いか戸惑った
事だろう。MEGADETHでは決して出来ないことをやってる訳で、
ソロ・アルバムという事では間違いとは言えないだろうが、彼の
ファンが聴いてどれ位楽しめるかは疑問だ。[78]
ETERNAL / MALEVOLENT CREATION
アメリカのデス・メタル・バンドの4thアルバム。いわゆる
グラインド・コア系のブルータル・デス・メタルとは趣を少し
異にする。小刻みに打ちこまれるドラムはいかにも
ブラスト・ビートと言う感じなのだが、バックのサウンドは
全体的にスラッシュ・メタル的でSLAYERのそれと言える。
ボーカルもデス・ボイスっぽいがスタイルはKERRY KINGに近く、
SLAYERを少しデス・メタルっぽくしましたという風なので
SLAYERファンなら聴けると思う。ブルータル・デスと言われる
系列よりはバックのメロディははっきりとしていて聴き易い。[78]
MARY BEATS JANE / MARY BEATS JANE
スウェーデンのミクスチャー系のヘヴィ・メタル・バンドの
デビュー盤。方向的にはハード・コア的なスラッシュ・メタルと
言う感じが強いアルバムに仕上がっている。かなりヘヴィな
サウンド作りがされているのだが、いわゆるモダン・ヘヴィネスと
言われるものとは一線を画しており、攻撃的だがよりメロディ
中心の作品となっている。もちろん色々と
クロス・オーバーしているところが見て取れる訳なのだが、
ハード・コア的な部分が受け入れられるならスラッシュ・メタル
的な良い味わいを感じれると思う。[82]
AFRAID OF SUNLIGHT / MARILLION
ポンプ・ロック代表格とも言えるイギリスのバンドのアルバム。
前作でマスコミのプッシュのせいか、爆発的にブレイクしたが、
何故ポンプ・ロックでこのバンドだけをこれほど押すのか良く
判らないし、このバンドだけが何故売れるのかも疑問だ。もちろん
だからといって出来は悪いと言う訳ではないのだが、
そこまでと言う程秀でた作品とは思えない。落ち着き払った印象は
前作の延長線上であり変わらないが、曲調は随分柔らかくかつ
温かい。その分湿った印象をあまり受けないので散漫に
感じられるが、ラスト辺りはさすがだが。[80]
III / MacBETH
チェコのハード・ロック・バンドの2ndアルバム。結構ヘヴィで
重厚なサウンドで、叙情的なメロディは結構アメリカ的だ。
東欧のバンドとしては、プロダクションはかなり
しっかりしており、良く作り込まれている。通った伸びやかな
ハイ・トーンのボーカルの歌唱力も悪くないし、全体的な演奏力も
割合と高く、バランス的にも良い出来だ。自己プロデュースとは
思えないほど録音もかなりちゃんとされていて、チェコで
これだけの完成度があるアルバムを作れるとは驚きだ。しかし、
一方で飛抜けた曲がないとこの手のバンドは聴き飽き易いと思う。
メロディ・センスの良さは感じるし、演奏力も悪くないので、次が
楽しみだ。[83]
INSIDE YOUR HEAD / MASON
ドイツのハード・ポップ・バンドの2ndアルバム。
LONG ISLAND RECORDSからリリースされただけあって、その手の
かなりポップ色の強い作品だ。メロディックで、更にかなり甘い
感じを受ける楽曲が取り揃っており、THOMAS ZIGANNの甘い声質が
それに輪をかけている。ここまで来るとちょっと甘すぎて勘に
触らない事もないが、楽曲は1stより格段に良くなっている。
ギター等は結構ヘヴィーな部分も見せていて、音に深みを与える
事に成功している。メロディ自体の出来はかなり高いので、甘い
ハード・ポップを聴きたいなら悪くないはずだ。
Sarah、Wake Up Jimmyと言った憂いを帯びた曲はなかなか良い。
[82]
AMUSEMENT LAND / M.A.D
スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドの多分自費出版の
ミニ・アルバム。SUSANNE GILLBERGという女性ボーカルを
フューチャーしているが、線は細くもなく太くもなく、高音も
奇麗に伸びる美しいボーカルですんなり聴ける。憂いを帯びた
叙情感のあるメロディックなサウンドだが、疾走感がありヘヴィな
音作りになっている。キーボードが結構前面に出ていて、
アグレッシヴな味を出しアクセントをつけていて悪くない。楽曲の
出来は良いものの、やや纏まりに欠けるきらいがあるのは残念だ。
Part Of Youはプログレッシヴ・ヘヴィ・メタルの雰囲気も漂う、
扇情感のある中々の佳曲だ。[84]
SAVE US FROM OURSELVES / MATTADOR
プエルトリコのヘヴィ・メタル・バンドによる恐らく自費出版の
デビュー盤。特に変わったことをやっている訳ではなく、普通の
ヘヴィ・メタルという感じだが、湿り気のあるメロディ・ラインが
格好良く結構好感が持てる。ボーカルのTONY COLLAZOは
JEFF KEITHの高音に伸びなくしたような感じだが悪くない。
そのためか、コーラスを始め、TESLAを思わせる様な部分も
幾分ある。バラードもそつなくこなしており、キーボードの
味付けは良いし、ギター・メロディは扇情的でコーラスも
悪くない。録音も悪くなく、自費出版というレベルは越えた作品に
仕上がっている。楽曲に目新しい部分はないが扇情的なギターと
ボーカル、湿り気のある楽曲は非常に印象的だ。[84]
TORMENTED / MARCIE FREE
元KING KOBRA、UNRULY CHILDのアメリカ人ボーカリストによる
2ndソロ・アルバム。何があったのか知らないが性転換して
女性となって、名前もMARK FREEから変えてのリリースだ。とは
言っても、女性となって声質が変わった訳でなし、いつもながらの
ボーカルを聴かせてくれている。楽曲は全てUNRULY CHILD
時代のものであり、メンバーもUNRULY CHILDの
メンバーであったところから見ると、実際はこれはUNRULY CHILDの
2ndアルバムとして作られたものだろう。UNRULY CHILDの
デビュー盤は作り過ぎのポップなアルバムと言った感もあったが、
その反省があったのだろう、かなりヘヴィでエッヂのたった
作品となっており、これが中々格好良い
ハード・ロック・アルバムに仕上がっている。[87]
TRUE OBSESSIONS / MARTY FRIEDMAN
アメリカのスラッシュ・メタル・バンド、MEGADETHの
ギタリストによる4thソロ・アルバム。前2作では、喜太郎を
プロデューサーに迎えるなどして、非常にオリエンタル色豊かな
アルバム作りがなされており、ロックという範疇からも外れた
内容となっていた。今作でも中にはそういうタイプの曲があるが、
むしろロック然としたものに仕上がっていると言って良いだろう。
半分以上がギター・インストルゥーメンタルで、叙情感
溢れるものから躍動感溢れるものまで、割と幅広い内容に
仕上がっていて、前2作よりはファンにとっては受け入れら・
鼈ユいものになっていると言って良いだろう。[84]
THE HIGHER YOU CLIMB / MAX BACON
BRONZ、GTR、PHENOMENA II等で活躍したイギリス人ボーカリストの
ソロ・アルバム。方向的にはかなりポップな作風で、
楽曲によってはハード・ロックと言い難いものもある。しかし、
The Higher You Climb等は、THUDER SEVENの頃のTRIUMPHを
思わせるところがあり、叙情的なメロディアス・ハード作品に
仕上がっている。元THIN LIZZYのSCOTT GORHAMやSTEVE HOW、
ASIAのGEOFF DOWNES等がバックを務めており、中々完成度の高い
作品だ。全体的にはしっとりとしたシンフォニック風のロックと
言う感じで、当人のボーカルは素晴らしい。[81]
LAW IN THE RAW / MARSHALL LAW
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの復活第一弾となるライヴ盤。
実際は解散前の録音されたテイクで、デビュー盤から5曲、2ndから
7曲、カバー1曲という構成になっている。ドラムのLEE MORRISは、
この後PARADISE LOSTに加入して来日している。こうして聴くと、
やはりデビュー盤の方がメロディ中心、2ndはよりヘヴィという
感じの楽曲であったことが良く判る。カバーはJUDAS PRIESTの
Electric EyesでROB HALFORDと比べるのはさすがに辛いが
思ったよりはあっている。プロダクションもまずまずで、
デビュー盤の頃よりは、ヘヴィでダークなスタイルが強くなってる
様に感じるライヴだ。[80]
GUEST LIST / MARC FERRARI & FRIENDS
KEEL、COLD SWEATを渡り歩いた、現MEDICINE WHEELのアメリカ人
ギタリストによる初のソロ・アルバム。ギタリストのアルバムと
言っても、いわゆるギター・アルバムというやつではなくて、
良質のメロディを持った歌もののハード・ロック・アルバムだ。
アルバム・タイトルが示す通り、MARC FERRARIの人脈からL.A.を
中心に沢山のアーティストがゲスト参加している。ギターもMARC
ひとりではなく、元COLD SWEATのERIC GAMANS、SHAKE THE FAITHの
TOMMY THAYERらがプレイしている。ボーカルはROBIN McAULEY、
STEVE PLUNKETT他、凄いというメンツではないが多彩な
ゲスト陣だ。エッヂが効いていて、エネルギッシュだが、
メロディは非常に洗練されていて非常に良い作品に
仕上がっている。[89]
UNTIL ETERNITY / MASTERMIND
アメリカのプログレッシヴ・ロック・バンドの4thアルバム。
元々ヘヴィ・メタル的な要素も若干見え隠れしていたが、前作
TRAGIC SYMPHONY辺りからその傾向がさらに強くなったと思う。
最初はまるでANGLAGARDを思わせるような楽曲で始まるが、
Dreaming以降はヘヴィでドラマティックな
シンフォニック・ロックだ。BILL BERENDSのボーカルだけは、
線が細いのでどうしてもヘヴィ・メタル的な感じを与えないが、
それ以外は十分範疇として聴き得る。壮大な雰囲気を持った
楽曲は、聴きごたえがあり美しい。[85]
LOUDER THAN HELL / MANOWAR
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの4年振りのアルバム。
基本的にもう完成されたスタイルを持っているので、
今更ながらどうこう言うこともないだろう。前作の28分という
大作のオープニング・ナンバーが、如何にも冗長であったのが
遺憾ともし難く、それ以降の流れを壊してしまっていたのに
比べると、今作ではそれがない分、よりすっきりとしていて入り
込み易くなっている。メロディもより判り
易いものになっているし、彼等としては聴き易い作品と言って
良いだろう。基本的に大きな変化はないのでファンならば
それなりに安心して聴ける筈だが、やや抑え気味と言う
感もなくはない。[84]
ROCK ART / MAGNUM
イギリスのプログレッシヴ・ハード・ロック・バンドの1994年に
リリースされた最後のスタジオ作品。前期の
プログレッシヴ・ハード・ロック路線から比べると、
後期においてはかなりポップな方向へと転進しており、ここでも
全体的にポップな作品ではあるものの、We All Need To Be Loved
等はかなりハードな楽曲に仕上がっており、初期の雰囲気も少し
感じられる。On Chiristmas Dayといった叙情的なメロディは
さすがMAGNUMと言いたくなるような楽曲で、相変わらず作品の
質は高いだけに、こう言った良いバンドが解散してしまったのは
非常に残念だ。[88]
HEAVEN SHALL BURN...WHEN WE ARE GATHERED / MARDUK
スウェーデンのブラック・メタル・バンドの5thアルバム。
路線的には前作までとほぼ変わらない、ブルータルな
ブラック・メタルだ。ブラスト・ビートの入った非常に速い
ナンバーがずらりと並ぶが、それでもギター・メロディは意外と
はっきりしている。楽曲によっては、このメロディが
ドラマティックさを出していて、中々味わい深いところも
感じられる。LEGIONのブラック・メタル・ボイスは
相変わらずだが、金切り声という程でもないので、この手では
聴き易い方かも知れない。この手のものとしては大物と言って良い
バンドだけあって、ブラック・メタルとしてはかなり良く
出来ているアルバムと言って良いだろう。[80]
CHANGING TIMES / MANIA
ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの1988年にリリースされた
WIZARD OF THE LOST KINGDOM、1989年にリリースされた
CHANGING TIMESの2枚のアルバムをカップリングした限定盤。
まさしくヨーロッパのB級メタル・バンドというべき内容で、
臭い楽曲群が並ぶ。ジャーマンらしいメロディ中心の作品だが、
より扇情的な部分を強く押し出している。
ギター・メロディ等には見るべきものがあるのだが、そこに
ボーカル・ラインが乗ってくるとどうにも違和感を感じる。
全体的にそう言うアンバランスさが気になる作品であまり
お勧めできる作品ではない。良いメロディ・センスだと
思えるだけに少しもったいない。[72]
THE LAST DANCE / MAGNUM
イギリスのプログレッシヴ・ハード・ロック・バンドの
ラスト・アルバムとなる2枚組みのライヴ・アルバム。
ラスト・ツアーをライヴ・アルバム化したもので、初期の
プログレッシヴ・ハード・ロック時代の楽曲と後の
ハード・ポップ時代の楽曲をバランス良くやっている。20年にも
渡る活動をしてきた大ベテランらしく、安定したそつのない演奏で
安心して聴いていられる。BOB CATLEYの通った声も全く
問題がなく、良く出来た作品だ。初期のハードなナンバーは
格好良いし、後期のポップでキャッチーなナンバーも
リラックスして聴ける。MAGNUMのメロディ・センスの良さを
十分味わえるし、こういったバンドが解散していくのは非常に
残念な気がする。[87]
NOW IS THEN, THEN IS NOW / MARK SPIRO
アメリカのシンガー・ソング・ライターの2ndアルバム。HEARTや
CHEAP TRICK、BAD ENGLISH、MR.BIG等に曲を提供したそうで、
このアルバムでもそう言った色合いの感じられる、楽曲は良く
練られている。とは言っても、それ程ハードさはなく、AOR調の
ハード・ポップで、やや湿りがちな甘い楽曲が連なっている。
非常に落ち着いた洗練された作品でリラックスして聴ける。
ラストのLight In The DarknessからMid Western Skies辺りの
盛り上がりも中々素晴らしい。美しいメロディのハード・ポップが
好きならお奨めだ。彼のややしゃがれた甘い歌声も、作品の
方向性に良く合っており、中々良いアルバムに仕上がっている。
[84]
PARANORMAL ACTIVITY / MAYADOME
スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドで、名前を変えてからは
初のアルバムとなる通算4枚目のアルバム。SHRAPNEL RECORDS
所属だけあって、確かにテクニカルな部分を随所に
見せてくるのだが、そう言った部分はあくまで主題にならず、
あくまでも楽曲を押し立てている。楽曲は少し
プログレッシヴ・ロックがかったヘヴィ・メタルで、全体的に
叙情的で臨揚感がある。この手としては割と良い具合に
キーボードが出ていて、盛り上げている。ボーカルは今一つ特徴に
欠けるが、バンドのカラーとしてはあっている。故にやや地味に
聞えるが、出来としては良いほうだ。[83]
ANTICHRIST SUPERSTAR / MARILYN MANSON
アメリカのヘヴィ・ロック・バンドのアルバム。全米チャートで
いきなり初登場3位と、今や完全にブレイクしたと言って
良いだろう。こう言うバンドをどう言う形容をすれば良いのか
上手い言葉が見付からないが、ヘヴィで大幅に機械処理をされた
インダストリアル・ロックの様なサウンドで、MARILYN MANSONの
咆哮するボーカルには迫力がある。全体的に激情の迸るヘヴィな
サウンドではあるが、モダン・ヘヴィネス的な
色合いはあるものの、ヘヴィ・メタルとはやや趣を異にしている。
演劇的な雰囲気がそこここに漂っており、非常にシアトリカルな
アルバムに仕上がっている。[80]
YOU DON'T KNOW ME / MAJESTY
アメリカのハード・ロック・バンドの恐らくデビュー盤。
No Promises For Tomorrow等は憂いがあってかなりヘヴィな
感じがするが、全体的にアメリカのバンドらしい叙情的なやや
明いものが多く、ポップでキャッチーな楽曲が並んでいる。
全体的に軽いという感じで、MICHAEL LOWERのボーカルが、そう
言った感を尚一層強くさせる。音質の悪さはいかんともし難く、
プロダクションが良くなればもう少し何とかなったかもしれない。
メロディ等は、かなり1980年代っぽい古臭さを
感じさせるものだが、センスはあると思う。但し、技術的に
下手さが感じられるところがあって、特にしんみりとした曲を
聴かせると言う感じのものは苦しい。[78]
THE MEETING / MARTIN BARRE
詳細は全く判らないがアメリカ人ギタリストによる、
ソロ・ハード・ロック・アルバム。参加している他の
ミュージシャンも全く聞いたことはないので
説明のしようがないのだが、本人のスナップ・ショットを見る
限りでは、かなりのベテラン・ミュージシャンの様だ。
半分近くはインストルゥーメンタルなのだが、いわゆる
ギター・インストルゥーメンタルという様な
感じのものではない。ソウルフルでブルージィな
ロックという感じなのだが、泥臭さはなくお洒落で爽やかな
サウンドだ。楽曲もまずまず良い出来だし、全体的なアレンジも
悪くない。Misere等は中々格好の良い曲だ。[84]
THE MORE THINGS CHANGE... / MACHINE HEAD
アメリカのスラッシュ・メタル・バンド、FORBIDDEN、VIOLENCEの
元メンバーであった、ROBB FLYNNを中心とするアメリカバンドの
2ndアルバム。方向的には、如何にもベイ・エリアを中心とする
ハード・コア風のスラッシュ・メタルと言った感じで、印象的な
メロディを持ちながらザクザクとリフを刻み込んでくる。疾走感は
それ程なく、モダン・ヘヴィネス的な感じもやや漂っているが、
もっとスラッシュ・メタル然としており、圧迫感のあるサウンドで
迫ってくる。全体的に攻撃的で緊迫感を保っており、楽曲、演奏の
出来も中々高いレベルのアルバムに仕上がっている。[83]
FANTASY IS WHAT WE NEED TODAY / MALLET
ドイツのハード・ロック・バンドの4thアルバム。
グラム・ロックかと思わせるようなセンスのないジャケットには
少し引いてしまうが、内容の方は叙情的なメロディの
ハード・ロック作品でセンスの良さが伺える。Into The Fireと
言った、若干SAVATAGE風の扇情的なナンバーから、暖かい
バラードのShine On、のりの良いロックンロール・ナンバーの
Say Yeah You Like Itまで懐が深くて、幅広いサウンドを
聴かせてくれている。その割にはそれ程脈絡のなさは
感じさせないし、Fantasy Is What We Need Todayのさびに
見られる様なキャッチーなメロディ・センスも中々のもので、
楽曲はフックが効いている。ややだみ声のJURGEN REHBERGの
ボーカルもめりはりが効いていて、結構格好良い。[85]
EVOLUTION / MADSWORD
イタリアのプログレッシヴ・ヘヴィ・メタル・バンドの多分
デビュー盤。曲の進行は割と変則的だが、全体のイメージとしては
ヘヴィ・メタル的感覚が強い。DREAM THEATERのThe Ytsejamを
カバーしているが、大体の指向はそういう感じだろう。全部で
5曲と大作指向を打ち出し、楽曲の展開をそれなりに
入れているのだが、それがまた不自然で流れが悪いのはいかんとも
しがたい。大体において、カバーのThe Ytsejamを超える
曲がないのは問題だろう。少なくとも楽曲をある程度自然に
聴かせるような構成力とアレンジ力を養う必要がある。
メロディ・センスを始め、素材は決して悪くないのだから。[77]
XXXL / MAMMOTH
元GILLANのJOHN McCOYを中心としたN.W.O.B.H.M.関係の
人脈からなるイギリスのハード・ロック・プロジェクト・バンドの
1997年にリリースされたアルバム。メンバーは他に元SAMSONの
NIVKY MOORE、元MOREのKENNY COXと言った、バンド名を現す様な
巨漢のミュージシャン等が中心となっている。全体的に明るい
楽曲が中心で、叙情的でキャッチーなものからワイルドな
ロックンロールからなっている。出来自体はフックがあってそれ程
悪いとは思わないが、楽曲は全体的に平凡で、さびもつまらないし
やや魅力に欠ける感はどうしてもいがめない。[77]
SCRIPT FOR A JESTER'S TEAR / MARILLION
イギリスのポンプ・ロック・バンドの1983年にリリースされた
デビュー盤。現在にも繋がる、凛とした静寂感は既にこの作品で
確立されており、彼等の音楽性のベーシックな部分は既にこの頃
出来ていた事が判る。最近の叙情感だけを追求したような
サウンドに比べれば、ハードな部分もあるし、ひねりもあって
プログレッシヴ・ロック的な色合いがより濃い作品に
仕上がっている。のりも出すときには出しているし、むしろ最近の
作品の地味さから考えると聴きごたえがあるといった方が
良いだろう。最近のも聴けるならば、むしろこちらの方が
楽しめるかも知れない。[84]
CODE OF HONOR / MARK EDWARDS
元STEELER、LIONのアメリカ人ドラマーによる1985年に
リリースされたソロ・ミニ・アルバム。若手のドラマーとしては
抜きんでた存在であったが、モトクロスでの事故による
再起不能という不幸があり、引退してしまったのは
非常にもったいない限りだった。全曲インストルゥーメンタルで
曲作り及びギターを弾いているのはIRON MAIDENのボーカリスト、
BRUCE DICKINSONがかつて在籍していた事でも知られる
N.W.O.B.H.M.バンド、XEROのBILLY LEISEGANGだ。ドラマーの
ソロ・アルバムと言うのは評価が難しいが、楽曲自体がそれなりに
聴けるのは嬉しい。[76]
REAL TO REEL / MARILLION
イギリスのポンプ・ロック・バンドの1984年にリリースされた初の
ライヴ盤。2ndアルバム、FUGAZIに伴うカナダとイギリスでの
ツアーの模様を収めたものだ。まだある程度起伏のあるハードな
音楽をやっていた頃なので、ライヴもそれ程単調にならずに
済んでいる。ドラマティックで大仰な叙情的メロディの
プログレッシヴ・ロックで、場面に合わせて力強く歌うFISHの
ボーカルは、コケティッシュだが中々聴きごたえがある。扇情的な
楽曲はおかげで結構聴けるのだが、ライヴらしいのりが
今一つなく、それ以外は少し面白味に欠ける気もする。[82]
THE BEAUTIFUL PEOPLE / MARILYN MANSON
アメリカのヘヴィ・ロック・バンドの企画盤。このバンドの音楽を
言葉で現すのは難しいが、インダストリアル・ロック的な風味を
持ち込んだヘヴィなサウンドで、ミクスチャー的な雰囲気もある。
EURYTHMIXのヒット曲、Sweet Dreamsを独特のアレンジで
カバーしているのも彼等ならではと言って良いだろう。
プログレッシヴ・ロック的味わいのあるCryptorchildも面白い
出来だ。未発表音源はリミックスされたこの2曲だけなので、
音源的にはそれ程価値があるとは言えず、
コレクターズ・アイテムと言ったところだが、バンドの魅力は良く
伝わって来る。[81]
TAKE MY SCARS / MACHINE HEAD
アメリカのスラッシュ・メタル・バンドの企画盤的アルバム。
2ndアルバムに集録されているタイトル・ナンバー以外に、
ライヴが5曲とデモが2曲、NIRVANAのカバーが1曲の全9曲と言う
構成になっている。NIRVANAのNegative Creepをカバーしていると
言っても、どう聴いてもMACHINE HEADでしかない切り口で、
NIRVANAと言う事をほとんど意識させない。ライヴも強烈な
破壊力を持ったサウンドで、ライヴを実際に見てみたくなる
気にさせてくれる。バンドらしさに溢れていて、破壊力も
十分なので、ファンなら期待に沿うだけの出来だ。[82]
METAL DETECTOR / MARSHALL LAW
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの久々の3rdアルバム。
デビュー盤では良質のキャッチーなメロディのヘヴィ・メタルを
聴かせてくれていたが、前作ではよりヘヴィな方向へと転換し、
ファンの失望を買ったが、今作ではその指向が更により
顕著になって来ている。スラッシィでコアな感じを受ける
ヒステリックな楽曲が数多くあり、デビュー時のファンにはあまり
歓迎されないのではないだろうか。アップ・テンポで扇情的な
メロディを持って、緊張感のある作品に仕上げており、これは
これで悪くないとは思う部分もあるのだが。[77]
SIGN DE VIE / MANIGANCE
詳細は良く判らないが、フランスのヘヴィ・メタル・バンドの
ミニ・アルバム。DIDIER DELSAUXのボーカルはやや舌っ足らずな
感じがするが、声は伸びやかで良く出ていてそれ程悪くない。
メロディアスなヘヴィ・メタルで、メロディ・センス自体は
なかなか見るものがある。プロダクションも含めて、どことなく
洗練さが足りない感じはするので、どこかもう一捻り欲しい
気はするが、出来自体は悪くなく、まずまずと言ったところだ。
全体的にアメリカ指向が感じられ、叙情的なメロディは奇麗で結構
格好良い出来だ。アップ・テンポでのりが良く、ワイルドさと
叙情的な部分が上手く混在している。[80]
HELL ON WHEELS LIVE / MANOWAR
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの2枚組みの
ライヴ・アルバム。LOUDER THAN HELLでのヨーロッパと南米での
ツアーにおける、ライヴの模様を収めたもので、各公演から出来の
良いものをピック・アップしたようだ。そういった場合、通常
各曲の繋ぎや、録音レベルと言ったところが問題になってくるが、
このアルバムで特筆すべきところは、フェード・イン、
フェード・アウトを使わずにうまく編集していて、流れを
損なっていないことだ。レベルも非常に安定していて、120分を
通して一本のライヴとしての整合性が取れている。ライヴの内容も
それに値するだけの濃いものになっている。[85]
DEAD END SOLUTION / MANTICORE
詳細は全く判らないが、恐らくはデンマークの
パワー・メタル・バンドの自費製作の
デビュー・ミニ・アルバムだろう。疾走感のあるアップ・テンポの
メロディアスなパワー・メタルで、聴きごたえはある。扇情的な
メロディで、バラードのIn Silenceでも楽曲に展開があって
悪くない。楽曲の自体の出来はそれなりに良いのだが、3日で
作ったというだけあって、演奏と言った部分も含めて
プロダクションにはやや問題がある。ギターの音色等は楽曲に
合っているので良いが、KRISTIAN LARSENのボーカルがかなり
聴き難いところがあるのはいかんともし難い。楽曲の
アレンジなんかは結構良いと思うので、プロダクションさえ
良くなれば飛躍的に良くなるのではないだろうか。[75]
DEVOTION / MARK SPIRO
アメリカ人シンガー・ソング・ライターの4thアルバム。
BAD ENGLISHやMR.BIGに楽曲を提供している事で名前を憶えている
人もいるはずだ。方向的にはアメリカと言うよりは
CLIF MAGNESS等の様な北欧系のエッセンスを感じさせる、心
洗われるようなロック・アルバムだ。さすが多くの楽曲を
提供してきただけあって、1曲1曲のクオリティは非常に高い。
落ち着いたアダルトな雰囲気の洗練された楽曲で構成されており、
安心して聴いている事が出来る。その一方で、出来過ぎと言う
感じで、もう一つ心に沸き立つものがないのも確かだ。
CLIF MAGNESS等よりはもっとロックしていてフックがあるので、
あれが好きな人は結構いけると思う。[82]
AMERICA / MARA
アメリカのプログレッシヴ・ハード・ロック・バンドの4年振りの
3rdアルバム。プログレッシヴ・ハード・ロックと言っても、
難解な展開等は一切なく、非常に聴きやすい。そういう意味では
これまでの作品より顕著になっており、ポップと言っても
良いほどだ。叙情的で流麗な湿り気を帯びた美しいメロディは
非常に良く出来ていて、心洗われる作品だ。派手さは全くないし、
盛り上がりには欠けるかも知れないが、JASON ARONOFFの
メロディ・センスの素晴らしさを伺わせる、美しいメロディが
淡々と奏でられ、心に染み渡っていく。やや、バラエティさに
欠けるきらいはあるが、出来自体は良く出来ている。[86]
IGNITION / MARK BOALS
元YNGWIE MALMSTEENのアメリカ人ボーカリストによる初の
ソロ・アルバム。楽曲は全て彼自身が書いており、方向的には湿り
気のあるメロディアスなヘヴィ・メタルだが、YNGWIE MALMSTEENの
様なクラシカルさはなく、よりアメリカ的なエッセンスの強い
作品だ。ギターにはBAD MOON RISINGのDUG ALDRICHが偽名を使って
参加しており、作品の色合いから考えると悪くない選択だろう。
叙情的なメロディは結構良い出来で、Find Our Way等では最近の
SCORPIONSを思わせるようなところは少々苦笑するが、その後
展開して失踪していく所などは評価出来る。MARK BOALSの
ボーカルは確かに素晴らしいが、楽曲によっては少し彼の声に
似合っていないのが残念だ。[81]
NIGHTWING / MARDUK
スウェーデンの代表的なブラック・メタル・バンドのアルバム。
サウンドはこれまでと比べるとかなりブルータルな方向へと
向かっており、ブラスト・ビートも交えながら暴虐性を醸し
出している。だが、一方でそのギター・メロディは
ブラック・メタルらしいメロディさを決して失っていない。
しかし、残念ながら、展開的には単調で、曲が変ってもその変化が
感じられないほど一本調子なのはいかんともし難い。徹底的に
破壊力を持ったサウンドと、強烈なスクリーミングによる迫力は
他の追随を許さないほどで、完成度も高い。メロディアス
系よりも、よりブルータルなブラック・メタルが好きならば
結構聴けるだろう。[79]
CHAOS TO CONTROL / MAGNITUDE 9
アメリカのプログレッシヴ・ヘヴィ・メタル・バンドの1st
アルバム。ソロ・ギタリストとして名を売っているROB JOHNSONを
中心に、ARTENSIONのベーシスト、KEVIN CHOWN、PSYCHO DRAMAの
ボーカリスト、COREY BROWNと言うそうそうたるメンバーによって
結成されている。それぞれの活動があるため、
プロジェクト・ユニット的な色合いが濃い。プログレッシヴと
言っても、それ程変則的な部分がある訳ではなく、割と正統派
ヘヴィ・メタルという感触が強い。楽曲はアップ・テンポで
勢いがあって力強く、中々格好が良い扇情的な作品だ。
演奏的には、これだけのメンバーが揃っているだけあって、
テクニカルで高いテンションを保っている。JOSEPH ANASTACIOの
キーボードは思いのほか全面に出てくる事があるが、それ程
わずらわしく感じないし、良い感じだ。但し、COREY BROWNは
うまいボーカリストだとは思うが、割と無機質で情感に欠けるのが
何とも残念だ。[84]
WANNA GET HIGH? / MARK HAFER
アメリカ人ギタリストによる、デビュー・ソロ・アルバム。
いわゆるギタリスト主体のアルバムと言う感じは全くなく、
スロー・テンポのヘヴィでグルーヴィなハード・ロックだ。
ボーカルのDAN RASTORFERはMARK SLAUGHTERとそっくりな
ボーカルで、思わず一瞬彼が歌っているのではないかと
思えてしまうほどだ。いかにもアメリカらしい渇いたサウンドに、
彼のねちっこいボーカルが絡んでくるのは中々面白い。
Pocket Changeの様にやや速いテンポの曲は良いのだが、全体的に
スロー過ぎて盛り上がりに欠ける感じで、それならばもうちょっと
グルーヴィさを押し出さないと辛い。[78]
EXCELSIOR! / MASTERMIND
アメリカのプログレッシヴ・ロック・バンドの5thアルバム。
今作では若干のメンバー・チェンジがあり、これまで居なかった
専任キーボードとしてJENS JOHANSSONが参加している。
パーマネントなメンバーではないだろうが、全曲参加し他の
メンバーと同格にクレジットされている。そういう
部分もあってか、これまでの作品とは一風違った作品に
仕上がっている。ボーカルは一切無くなり、
オール・インストルゥーメンタルになっており、ジャズ・ロックや
フュージョンと言った要素が強く押し出された作品だ。そのため、
これまでのプログレッシヴ・ハード的な色合いと言うよりも、
フュージョン色の強い、ギター・インストルゥーメンタルと言う
様な印象を受ける。割と流麗で聴き易いし、楽曲、演奏とも
かなりのレベルを行っているし、良く出来たアルバムだ。[85]
STORMCHILD / MADMAX
ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの1985年にリリースされた3rd
アルバム。ボーカルはCASANOVA、DEMON DRIVEのMICHAEL VOSS、
ドラムはJADED HEARTのAXEL KRUSEが担当している。今でこそ
聴けるMICHAEL VOSSのボーカルも、この作品では非常に
鼻にかかった歌唱が気になる。方向的には叙情的で少し爽やかな
感じのするヘヴィ・メタルでヨーロッパのバンドらしい
アルバムだ。全体的にプロダクションにもやや不満が残るが決して
悪い作品ではない。哀愁のバラード・ナンバー、
VOICES IN THE NIGHT非常に美しくてB級ものとしては絶品だ。[78]
PROMISE / MASSACRE
アメリカのデス・メタル・バンドの1996年にリリースされた5年
振りの2ndアルバム。ブラスト・ビートは全く影を潜め、テンポは
ミドル・テンポが中心となり、メロディも割とはっきりと打ち
出されている。こう言ったおどろおどろしいサウンドは、かなり
思い切ったイメージ・チェンジと言えるもので、これを旧来の
ファンが受け入れる事が出来るかはかなり疑問だ。
ブルータリティと言う事では、アルバムから受ける狂暴さは
損なわれていないと思うが、ビートを強く打ちだし、その方向性が
全く変ってしまっている。そのため、ブルータル・デスはどうもと
言う人はむしろ割と聴き易いかもしれない。[77]
MECHANICAL ANIMALS / MARILYN MANSON
今や確固たるステイタスを築き上げた感のあるアメリカの
ロック・バンドのアルバム。どういう形容をすれば良いのか
難しい所だが、今作では非常にグラマラスで、場合によっては
ゴシック・ロックと言っても良いような感じのする部分もある。
ヘヴィでグルーヴィなサウンドに、鬱屈した様な楽曲は非常に
味わいがある。機械処理をされたインダストリアル的なサウンドの
部分があり、独特の雰囲気を作り上げている。楽曲の出来を始め、
全体的に非常に良く出来ており、快作と言って良いだけの作品に
仕上がっている。ヘヴィ・メタルとはやや趣を 異にしている
作品だけに好き嫌いは別れるかも知れないが。[90]
LONG WAY FROM LOVE / MARK FREE
元KING KOBRA、SIGNAL、UNRULY CHILDで、その後性転換して
女性としてアルバムをリリースした事で話題を呼んだアメリカ人
ボーカリストによる1993年にリリースされたソロ・アルバムに
ボーナスCDを付けた2枚組みとして再発されたもの。元々名盤の
誉れ高かった1stアルバムだけに、The Last Timeを始め、叙情的で
憂いを含んだキャッチーなメロディの素晴らしいアルバムだ。
メロディアスなハード・ポップが好きならばこの1stだけでも十分
聴く価値はある。ボーナスCDは1993年のライヴと未発表音源を
集めたもので、ライヴでも代わらぬ素晴らしいボーカルを
聴かせてくれている。KING KOBRA時代のIron Eagle
等もやっていて、中々聴きごたえがある。未発表音源の方は、
さすがにアルバムから落ちたものだけに出来は一歩劣るが、
それでも結構良い出来だ。[90]
RE-SET / MARCY
日本のヘヴィー・メタル・バンド、EARTHSHAKERの
元ボーカリスト、MARCYこと西田昌史の初のソロ・アルバム。
バックはかなりヘヴィだが、ボーカル・ラインはかなり甘くて
キャッチーで、よりアメリカ的な叙情性を感じさせるロック作品に
仕上がっている。全曲、歌詞は日本語だが、それ程
気にならないし、甘く力強い西田昌史のボーカルは中々
聴きごたえがある。割とミドル・テンポが中心の、楽曲の出来も
それなりに粒が揃っており、ハートフルな印象を受ける
アルバムだ。ZAKK WYLDEやERIC MARTINもゲスト参加しており、
全体的な仕上がりも評価出来る。[83]
IN THE BEGINNING... / MALICE
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1985年にリリースされた
デビュー盤。いわゆるL.A.メタルの範疇に入るバンドだが、
それらのバンドの中でもヘヴィ・メタル然とした音楽性を
持っていると言って良いだろう。とは言っても、端々に
キャッチーなメロディを顔を出しており、JUDAS PRIESTを非常に
聴き易くした様な印象を受ける作品だ。JAMES NEALのやや
シアトリカルなボーカルには好き嫌いが分かれるかもしれない。
JUDAS PRIEST程攻撃的でもないし、全体的にB級と言う
感じがするのだが、全体的な出来は悪くない。[79]
LICENSE TO KILL / MALICE
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1987年にリリースされた
2ndアルバム。L.A.メタルのバンドとしては、かなり正統派と
言える様な方向性を持っていたが、前作と比べるとより
キャッチーなメロディで聴き易くなった感じがする。ROB HALFORD
的な歌唱を聴かせてくれていた、JAMES NEALのボーカルは今作でも
相変わらずだが、ややシアトリカルな雰囲気が削げてきており、
こちらもより聴き易くなった印象を受ける。その分、インパクトに
やや欠けると言う感は無きにしもあらずなのだが、楽曲の出来も
悪くないし、決して悪い出来ではない。望むならば、もう少し
正統派的で、楽曲にフックがあれば良かったが。[82]
I DON'T LIKE THE DRUG(BUT THE DRUGS LIKE ME) / MARILYN MANSON
アメリカのカルト・バンドのアルバム、MECHANICAL ANIMALSからの
シングル・カット。5曲集録されているが、全てシングル・カット
曲であるタイトル・トラックのバージョン違いと言う、
彼等ならでは内容になっている。おざなりのリミックスとは違い、
かなり思い切り手が入っており、一聴しただけでは全て同じ
曲だとは気付かないかもしれない。サンプリングを多用したりと、
中々興味深い作品に仕上がっている。ヘヴィなサウンドだが、
ヘヴィ・メタルとはまた違った方向性を持っており、特にその
中でも顕著な楽曲だけに、多少好き嫌いが分かれるかも
知れないが、格好良い作品だ。[80]
HELL ON STAGE LIVE LIMITED EDITION INCL. LIVE IN GERMANY CD / MANOWAR
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドのヨーロッパと南米での
ツアーの模様を収めた、2枚組みライヴ・アルバムに、ドイツでの
ライヴの模様を収めたCDを付けた3枚組みの限定盤
ボックス・セット。ボーナスCDに収められているのは
Kings Of MetalとHerz Aus Stahl、Metal Warriorの3曲だけだが、
残りは日本盤と変わらない内容なので、こちらの方がお得だろう。
演奏の出来も十分満足できるだけの内容だし、プロダクションも
きわめて良好だ。彼等の魅力は十分出ていると思うし、
ファンのみならずとも、納得出来るだけのライヴ・アルバムには
仕上がっていると思う。[87]
THE FINE ART MURDER / MALEVOLENT CREATION
アメリカのデス・メタル・バンドの7thアルバム。中心人物の
PHIL PASCIANAを除いてメンバーは全員入れ替わっており、
ROB BARRETが復帰している。メンバーが変っているからと言って、
その音楽性は変るはずもなく、相変わらず凶悪なサウンドを
聴かせてくれている。方向的にはスラッシュ・メタル型と言う
事になるが、ブラスト・ビートを多用し、これぞと言う様な真性
デス・メタルと言って良いだろう。この手のものとしてはある程度
メロディを押し出している方で、それ程聴き辛くはない。
アコースティック・ギターを使った、
メロディック・デス・メタルの様なDay Of Lamentationには少し
面食らったが。BRET HOFFMANNのデス・ボイスはこもった
感じがして、インパクトに欠ける。[80]
WARNING FROM HISTORY / MARSHALL LAW
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの2年振りの4thアルバム。
GRIM REEPERのSTEVE GRIMMITや、元MAGNUMのTONY CLARKINがゲスト
参加しているが、方向的な影響は全くない。これまでの作品より
更にスラッシィーな感じを受ける作品に仕上がっており、より
JUDAS PRIEST的なアルバムになっていると言っても良いだろう。
これはデビュー後からの変化を見ると、ある意味当然なのだが、
デビュー当時のサウンドが好きな人間からすると、少し残念な
事だろう。よりヘヴィ・メタル然とした作品を、今の時期に
作ってくる事は賞賛に値するし、出来自体も決して悪くないが。
[80]
ABSTRACT SYMPHONY / MAJESTIC
スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。
キーボードのRICHARD ANDERSSONを中心に、元POLE POTISIONの
ボーカリスト、JONAS BLUM、元NASTY IDOLS、ESPINOZAの
ギタリスト、PETER ESPINOZA、TENEBREのJOEL LINDER等によって
結成されたバンドだ。方向的には、いわゆるネオ・クラシカルと
言えるもので、その完成度は中々高い。PETER ESPINOZAの
ギター・プレイはもちろん、RICHARD ANDERSSONのキーボードの
演奏は非常に素晴らしい。RICHARD ANDERSSONの
ソング・ライティングのセンスも非常に良いし、
ネオ・クラシカルが好きならばお奨めだ。[85]
HOW TO WRITE LOVE SONGS / MASS MENTAL?
アメリカのスケーター・ロック・バンド、SUICIDAL TENDENCIESの
ベーシスト、ROBERT TRUJILLO率いるミクスチャー・バンドの
1stアルバム。ミクスチャーをやると言うその徹底した姿勢は
見事で、ファンク、メタル、ハード・コア、ジャズ、
レゲエとありとあらゆる物を取り込んで、混沌たる世界を
体現している。ここまで来ると馬鹿と言いたくなる様な
アレンジで、あっぱれとしか言い様がない。一般的に
受けるとはとても言い難いと言うより理解され難い作品だが、
その姿勢とアルバムを一つの作品として作ってしまえる所が凄い。
[87]
HEY! ALBUM / MARVELOUS 3
アメリカのハード・ロック・バンドの2ndアルバム。元SOUTHGANGの
BUTCH WALKERとJAYCE FINCHERによるバンドだが、SOUTHGANGよりは
かなり落ち着いた感じの作品となっている。ハードさはほとんど
無く、アメリカのバンドらしい叙情的なメロディの
ロック・アルバムだ。部分的にはCHEAP TRICKやENUFF Z'NUFFを
思い起こさせるところもあり、メロディの良さで勝負している。
このメロディ・センスは非常に素晴らしく、非常に良く出来た
ロック・アルバムだと言って良いだろう。胸に染み渡る楽曲は良く
出来ているし、じっくりと聴き込めるアルバムだ。[85]
THE BURNING RED / MACHINE HEAD
アメリカのスラッシュ・メタル・バンドの2年振りの3rdアルバム。
これまではコアな作品であったが、今作ではどちらかと言うとより
メロディをはっきりと打ち出す事によって、聴き易くなって、
スラッシュ・メタル的な色合いが薄くなった様に感じられる。
ROBERT FLYNNのボーカルは、かなりラップ的な
歌唱方法になっており、そういった感をより強くさせる。もっと
コアなスラッシュ・メタルが好きなファンには、
モダン・ヘヴィネス的な部分が出てやや期待外れの路線と
言えるかも知れないが、路線変更と言える程極端なものではない。
楽曲の出来は中々良いし、意外に面白いアルバムに
仕上がっている。[84]
SILENCE / MADRIGAL
詳細は全く不明だが、恐らくドイツのゴシック・メタル・バンドの
1997年にリリースされたミニ・アルバム。女性ボーカルのみの
軽めの流麗なゴシック・メタルだが、ニュー・ウェーブ的な印象は
受けない。SANDRA WERNERのボーカルは、特に灰汁のないもので、
バンドの方向性にはあっている。ただ、楽曲自体にもそれ程
フックがないため、これ以上の長さだと飽きが来るだろう。
メロディ等は悪くないし、楽曲もそう言った点を除けば良い
出来だと思う。演奏自体が今一つ平坦な感じで、そう言った部分で
強弱を付けれるようになれば、そう言った部分も十分カバー
出来るはずだ。[86]
FANTASIEN 1998 / MARGE LITCH
日本のプログレッシヴ・ハード・ロック・バンドの1998年に
リリースされた4thアルバム。実際には1991年にリリースされた
デビュー盤を録音しなおしたもので、新しい楽曲はない。女性
ボーカルに全編日本語の歌詞が聴き手を選ぶかも知れないが、
ハードな作品作りはメタル系のリスナーにも訴える所は
大きいだろう。JUNKA SERAの歌唱スタイルは、聴きなれないと
かなり違和感を憶えるところがあって、少し辛いかも知れない。
オペラ風のスタイルを取り入れたりと、中々考えて作ってあるし、
レベルは高いと思うが。OZZY OSBOURNEのDiary Of A Mad Man風の
メロディがあちこちに散りばめられている、Cruel Alternative
等も面白いとは思うが。[80]
THE STUFF THAT DREAM ARE MADE OF / MARK SPIRO
アメリカ人シンガー・ソングライターの5thアルバム。爽快な
メロディのアメリカン・ロックで、落ち着いた雰囲気の楽曲は中々
良く出来ている。MR.BIG等に楽曲を提供しているだけあって、その
楽曲のレベルは非常に高いと言って良いだろう。前作同様にAOR
的な色合いの強い作品で、ハードな部分もあるがより産業ロック
的な色合いが強い。ギターを弾いているDANN HUFFや
MICHAEL THOMPSONも楽曲作りに参加しており、その作品の質を
高めるのに寄与している。あくまでも産業ロックと言った作品で、
あまりハード・ロック的な色合いは強くないが、良いものは良い。
[84]
PANZER DIVISION MARDUK / MARDUK
スウェーデンのブラック・メタル・バンドの8thアルバム。
方向的には、正にこれこそブラック・メタルと言う様な、
ブラスト・ビート中心の彼等らしいアルバムに仕上がっている。
音の洪水と言った感じすらするブラスト・ビートとギターリフには
ただただ圧倒されるばかりだ。圧倒的な迫力と勢いは、他の
バンドに追随を許さない程凄まじさを感じさせる。他のこの手の
バンドと比べると、ブラック・メタル・ボイスはスクリーミングと
言う感じはなく、むしろ咆哮型のデス・ボイスと言った感じで、
聴き易い方だろう。とにかく激烈な作品を聴きたいと言う
人にはもってこいの作品だ。[84]
ANGELS OF THE APOCALYPSE / MASTERMIND
アメリカのプログレッシヴ・メタル・バンドの6thアルバム。元々
どちらかと言うとプログレッシヴ・ロック色の強いバンドで、
そこにヘヴィ・メタル的なエッセンスを加えていると言う印象の
バンドだったが、今作では明らかにヘヴィ・メタル的な部分を
意識して押し出して来ている。そのため、ヘヴィ・メタル側の
リスナーにとっては、これまでで最も聴き易い
作品になっているはずだ。ネオ・クラシカル的な色合いがあり、
キーボードは前作同様、JENS JOHANSSONが担当している。今作より
女性ボーカリストのLISA BOUCHELLEが加入しており、
美しいながらもパワフルな歌唱を聴かせてくれており、楽曲に中々
マッチしている。ドラマティックな作品に仕上がっているが、
一方で面白味に欠ける楽曲も多い。[80]
NEAR LIFE EXPERIENCE / MAYADOME
スウェーデンのプログレッシヴ・メタル・バンドの3年振りの
2ndアルバム。方向的には、ややダークさも感じさせる様な
叙情的なメロディのプログレッシヴ・メタルで、
SEBASTIAN OKUPSKIのキーボードはかなり前面に出て来ているが、
プログレッシヴ・ロック過ぎると言う感じはなく、むしろ叙情的な
部分で大きな役割を果たしている。テクニカルに感じる
部分はあるが、あくまでも歌を主体に持ってきているので、それ程
聴き難く感じることもないだろう。全体的に持っているダークな
雰囲気もあいまって、今一つこれと言った楽曲が出てこないのも
確かだが、全体的にレベルは高い作品だ。[83]
THE LAST TOUR ON EARTH / MARILYN MANSON
アメリカのヘヴィ・ロック・バンドのライヴ盤。今やカルト的な
人気を誇るバンドで、1999年に行われたアメリカでのツアーの
模様を収めたものだ。ヴィジュアル的にも凄そうなバンドだけに、
映像も見てみたい気がするが、音だけでもその雰囲気は良く
伝わって来るし、ライヴ・アルバムの出来栄えとしても中々良い
出来だ。ダークでヘヴィでモダンなバンドのサウンドと魅力が
ダイレクトに伝わって来るし、入門用にも悪くない。人気があると
言っても、好き嫌いが分かれそうなバンドで、決して万人向けとは
言えないところだが。演奏的にも安心して聴いていられるレベルの
作品に仕上がっている。[83]
MEDIOLANUM CAPTA EST / MAYHEM
ノルウェイのブラック・メタル・バンドのライヴ盤。真性
ブラック・メタル・バンドとしては知る人ぞ知るバンドだが、
むしろEURONIMUSやDEADの死の方が有名かもしれない。特に
EURONIMUSが殺された事件に関しては、INNER CIRCLE内部の争いは
良く知られているところだ。方向的には、いかにも
ブラック・メタルらしい、怒涛のブラスト・ビートを据えた、
ブルータルなサウンドだ。特にこれだけ早いブラスト・ビートを
再現してしまう、HELLHAMMERのドラミングにはただただ
圧倒されるばかりだ。この手のバンドでも、最もブルータルな
バンドの一つと言えるだけに、免疫がないと少し辛いかも
知れない。DEADもEURONIMUSもいないが、演奏、録音状態とも満足
出来るだけのアルバムに仕上がっている。[85]
FREAK GUITAR / MATTIAS IA EKLUNDH
スウェーデンのハード・ロック・バンド、FREAK KITCHENの
ギタリストによる初のソロ・アルバム。いわゆるテクニカルな
ギター・インストルゥーメンタル・アルバムで、テクニック垂れ
流しと言う感じなのだが、彼らしいポップ・センスがあって意外と
聴きごたえのある作品に仕上がっている。方向的にはSTEVE VAIや
JOE SATRIANIっぽさがあり、La BambaやFRANK ZAPPの
The Black Page、KISSのDetroit Rock Cityまでカバーしている
辺りが面白い。彼のギタリストとしての特異な才能と
ポップ・センスによって作り上げられたアルバムだ。[83]
FROM THIS DAY / MACHINE HEAD
アメリカのスラッシュ・メタル・バンドの来日記念シングル。
タイトル・トラックは3rdアルバム、THE BURNING REDからの
シングル・カット・ナンバーで、それにプラスして未発表の
ライヴが3曲集録されている。ライヴは全てTHE BURNING REDからの
楽曲で、Desire To Fire、The Blood, The Sweat, The Tears、
From This Dayが収められており、そのコアなサウンドが見事に
再現されている。生々しくて混沌とした非常に攻撃的な
サウンドは、聴きごたえが十分あって彼等の格好良さが伺える。
彼等のライヴの魅力を十分伝えており、来日記念盤としては、その
意義が十分ある。[84]
ROLL MALLET ROLL / MALLET
ドイツのハード・ロック・バンドの5thアルバム。方向的には
メロディアスなハード・ロックンロール・アルバムに
仕上がっている。ワイルドな感じのする
ロックンロール・ナンバーだが、ベテランらしいまとまりの
良さがあって、そつのないアルバムに仕上がっている。
JURGEN REHBERGのワイルドなボーカルも、そう言った方向性に
良く合っている。Heavenと言ったバラードの大作を入れたりと、
一本調子になっていないのも好感が持てる。飛び抜けてこれと
言った楽曲がなく、全体的に小粒と言った感は拭えないが、
悪くないアルバムだ。[81]
OUR WAY / MARCY
日本のヘヴィ・メタル・バンド、EARTHSHAKERのボーカリスト、
西田昌史によるソロ・ミニ・アルバム。キャッチーなメロディの
明るいと言うより能天気と感じる楽曲は、インパクトはないが中々
楽しいし、意外と日本語の歌詞もすんなり入って来るアルバムに
仕上がっている。楽曲は前作よりもややアップ・テンポ気味で、
バックは同様にハードだ。かなりリラックスして歌っている様な
感があり、甘いボーカルは聴いていて心温まる感じがする。楽曲は
特にこれと飛び抜けた感じのするものはないが、Thank You等は
非常にハートフルで味わい深いものになっている。[80]
MARILLION.COM / MARILLION
イギリスのポンプ・ロック・バンドのアルバム。方向的には
彼等らしいとも言える、これまでの延長線上と言えるものだが、
より洗練されたモダンな感じのする作品に仕上がっている。
ネオ・プログレッシヴ・ロックらしい大仰さがなくなって、より
自然に感じられる作品だが、元々流麗過ぎると
言うところもあっただけに、その分フックが感じられない。
どちらかと言うと、これまで以上にじっくり聴かせる感じの
作品となっており、Deserve等の心に染み渡る様なメロディは
流石と言える。美しいメロディの、より都会的なエッセンスに
溢れたアルバムだ。[83]
TRINITY OVERTURE / MAJESTIC
スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドの2ndアルバム。
メンバーががらりと入れ替わっており、中心人物である
元JEKYLL & HYDEのキーボード、RICHARD ANDERSSONとベーシストの
MARTIN WESOWSKIが残るだけとなった。新たにドラマーとして
元DARKANE、ARCH ENEMYのPETER WILDOER、FAITH TABOOの
ボーカリスト、APOLLO PAPATHANASIO等が加わっている。
方向的には前作の延長線上と言える様なネオ・クラシカル派の
ヘヴィ・メタルだが、よりクラシカルな色合いが濃い
作品となっている。新加入のMAGNUS NORDHがかなり
弾きまくっており、RICHARD ANDERSSONとのバトルは中々
聴きごたえがある。楽曲の出来もドラマティックで
フックがあって、メロディも良いし、ネオ・クラシカルが
好きならば十分満足の行く作品のはずだ。[86]
GRAND AECLARATION OF WAR / MAYHEM
ノルウェイのブラック・メタル・バンドの13年振りの
2ndアルバム。1980年代中期から活動し、北欧
ブラック・メタル・シーンの創成期を支えた大物バンドだが、
BURZUMのCOUNTによるギタリストのEURONYMOUS殺害と言う
事件により、長らくその活動は中断していた。DEADの自殺等で、
バンドを離れていたオリジナル・メンバーも戻り、
ミニ・アルバム、ライヴ盤に続く新作のリリースとなった。現在
北欧ブラック・メタル・シーンで主流となっている、キーボードを
配した荒涼としたサウンドとは違い、ブラスト・ビートを前面に
押し出したシアトリカルな作品だ。ややメロディをはっきりと打ち
出して来た事により、ブルータリティと言う面では弱くなったが、
その分聴き易くもなっている。[79]
ANOTHER DIMENSION / MATTSSON
VISIONやソロ等でも活動しているフィンランド人ギタリスト、
LARS ERIC MATTSSONによるバンドのアルバム。楽曲はブルーズ色が
やはり伺えるが、適度と言う感じでそれ程偏ってはいない。
DEEP PURPLEっぽさを感じさせる楽曲で、元BALTIMOREの
ボーカリスト、BJORN LODINのハスキーなボーカルが非常に良く
合っている。IAN GILLANと比べると低音中心だが、扇情感が
否応にも増してアルバムの出来を高めている。方向的にも
BALTIMOREに近く、BALTIMOREが好きだったならば一聴の
価値はあるだろう。PATRICK RONDAT、PAR LINDH、ROB JOHNSONが
ゲスト参加している。[85]
MADE AGAIN / MARILLION
イギリスのポンプ・ロック・バンドの1996年にリリースされた
2枚組みのライヴ盤。1枚が1991年にイギリスで行われた公演と
1995年にオランダで行われた後援の模様を収めたもので、もう
1枚が1994年に行われたフランスでの公演の模様を収めたものだ。
叙情的で流麗なメロディの静かなサウンドが彼等の持ち味だが、
それ故にスタジオ盤では奇麗だが盛り上がりに欠けた良く出来た
作品と言う感じを強く受けた。ところがこうしてライヴを聴くと、
ライヴならではの生々しさが結構出ており、楽曲にもっとフックが
感じられる。それ故、こう言う音楽で2枚組みとは言え、それ程
冗長には感じられず、結構楽しめた。[83]
RING OF FIRE / MARK BOALS
YNGWIE J.MALMSTEEN'S RISING FORCEのアメリカ人
ボーカリストによる2年振りとなる2ndソロ・アルバム。
ギタリストにはTONY MacALPINE、キーボードにはARTENSIONの
VITALIJ KUPRIJと言う、ネオ・クラシカルの様式美
ヘヴィ・メタルとしては名うてのミュージシャンが集まって
作っただけあって、その演奏はバカテクを駆使しながらも、楽曲の
良さを殺す事無く、流石と言うだけのものに仕上がっている。
楽曲は彼自身とTONY MacALPINEがほとんど書いているが、その
出来も素晴らしく、溜飲を下げさせてくれる。これだけの
出来ならば、YNGWIE J.MALMSTEEN'S RISING FORCEの新作よりも
こちらを聴いた方が良い。[85]
HOLY WOOD / MARILYN MANSON
アメリカのヘヴィ・ロック・バンドのアルバム。
ANTICHRIST SUPERSTAR、MECHANICAL ANIMALSと併せて、3部作の
コンセプト・アルバムの最後の作品だ。テンポの良いグルーヴィな
楽曲がある一方で、In The Shadow Of The Valley Of Deathや
The Love Songと言った曲から漂って来るダークさと哀感は
凄まじく、コンセプト・アルバムとしての情感が非常に良く
出ている。作品全体に染み渡る冷ややかさと病的で攻撃的な姿勢は
独特の味わいがある。こう言ったコンセプト・アルバムを作ると、
往々にして自己満足的な作品に終わりがちだが、彼等らしい
コマーシャル性を維持して、聴く方も楽しめる
作品になっているのは流石だ。[88]
COCHMA / MANDYLION
日本のヘヴィ・メタル・バンドのデモ・シングル。シングルと
言っても、本当に1曲しか収録されていない。その
プロダクションはまさにデモと言った出来で、かなりこもっていて
デモとしてもかなりレベルは低い。方向的には叙情的なメロディの
ヘヴィ・メタルだが、まるでビジュアル系の様な
メンバー・ショットで、まるでNOVELAの様なボーカル・ラインには
プログレッシヴ・ロック的なシアトリカルさが感じられる。
無意味にベース・ソロが入ったり、やりたい事は
判らなくもないが、もっとアイデアを整理した方が良いだろう。
もっと研鑚しなければ、まだまだプロと言えるレベルではないが、
プロダクションさえ良くなればかなり良くなると思う。[25]
REALITY IN FOCUS / MAGNITUDE 9
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの2ndアルバム。ソロでも
活躍しているギタリスト、ROB JOHNSONを中心としたバンドで、
元PSYCHODRAMAのボーカリスト、COREY BROWN、ARTENSION、
EDWIN DAREのベーシスト、KEVIN CHOWNと言ったメンバーによって
結成されたバンドだ。方向的には正統派ヘヴィ・メタルと言った
感じだが、そこにネオ・クラシカル的なギター・メロディを持ち
込んでいる。これだけのメンバーが集まっているだけあって、
テクニック的には問題ないし、アップ・テンポの楽曲は
緊張感があって出来もよい。ヨーロッパのバンド的な叙情的な
愁いを感じさせるメロディで、中々格好の良いアルバムに
仕上がっている。[84]
ALL FLESH IS GRASS / MADDER MORTEM
ノルウェイのゴシック/メロディック・デス・メタル・バンドの
アルバム。バックに一部デス・ボイス的な雄たけびが入って
来るが、基本的に女性ボーカリスト、AGNETE M.KIRKEVAAGの
ボーカルが主流となっている。このボーカルがかなり
シアトリカルな感じのする歌い方で、全体から漂ってくる呪術的な
おどろおどろしさに奇妙にマッチしている。バックはこの
手のものとしては最も攻撃的な色合いのあるメタリックな
サウンドなだけに、ゴシック・メタルとしての耽美性や、荘厳さを
求めると期待外れに終わるだろう。禍禍しい暗黒的な雰囲気が
漂っており、かなり独自色の強いものとなっている。[77]
THE GLOBAL VILLAGE / MADSWORD
イタリアのプログレッシヴ・メタル・バンドの5年振りとなる
2ndアルバム。テクニカルで前作ではDREAM THEATERのYtse Jamを
カバーしていただけあって、DREAM THEATER的な部分も
感じられるのだが、どちらかと言うとよりストレートでメタル
的で、それ程DREAM THEATER色は強くない。どちらかと言うと
FATES WARNINGやQUEENSRYCHEっぽさも感じさせる。
シンフォニックな部分もあり、そう言う面では同じイタリアの
EMPTY TREMOR等にも通ずる部分がある。楽曲の出来は悪くないが、
残念ながらYtse Jamのカバーを超える様なインパクトはなく、
今一つ盛り上がりに欠けるところだ。ボーカリストは
Andrea Bedinに交代しているが、透った声質でバンドの
方向性にはより合っていると言って良いだろう。[77]
FLUX / MASQUERADE
スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドの7年振りとなる
3rdアルバム。元々アメリカ的な指向のあるバンドだったが、この
作品はよりヘヴィさを打ち出したSURFACE OF PAINの延長線上の
作品と言って良いだろう。この作品ではより
オルタナティヴ・ロックのエッセンスが強くなっており、ああ
言った楽曲が好きでないとかなり厳しいかも知れない。とは言え、
楽曲の出来も良いし、骨太でフックもあって聴き応えもあり、
さびも印象的で良く練られており、中々良い出来のアルバムである
事は確かだ。要所要所で見せるテクニカルなリード・ギターも
面白い。[81]
THE FIGHT SONGーRARE TRACKS / MARILYN MANSON
アメリカのラウド・ロック・バンドのミニ・アルバム。シングルに
収録されていた音源を集めたレア・トラック集で、ライヴが1曲、
リミックス3曲、アルバム未収録曲4曲の全8曲と言う
構成になっている。The Fight Songのライヴは、MARILYN MANSONの
ライヴの凄さが伺える様な凄まじい煽りを感じさせてくれる。
リミックスはよりインダストリアル的な色合いが強く、無機質な
感じがあるものになっているが、今一つ面白みに欠けるところだ。
THE DOORSのカバー、Five To One等は、彼等らしい斬新な切り口で
面白いし、未発表音源はないが、シングルを集める事を思えば
お得な作品だ。[78]
SUPERCHARGER / MACHINE HEAD
アメリカのスラッシュ・メタル・バンドの2年振りとなる
4thアルバム。前作ではその音楽性はやや趣を変えていたが、
今作ではデビュー当時の、この手のものとしてはよりモダンで
ヘヴィネスな方向性にやや揺り戻している。ソリッドでタイトな
スラッシィなリフに、今風なダークのダークなメロディと言う
二重構造になっている。時代が過ぎ、進化した
スラッシュ・メタルの一形態とも言える作品と言って良いだろう。
すっかり寂れてしまった感のあるスラッシュ・メタル・シーンで、
1990年代に登場した新進のバンドとしては、アイデアも楽曲もずば
抜けた存在と言って良いだろう。[85]
ANORAKNOPHOBIA / MARILLION
イギリスのポンプ・ロック・バンドの12thアルバム。この手の
GENESISの流れを汲む、ネオ・プログレの代表格と言える
バンドだが、そう言ったシンフォニック・ロック的な色合いは
薄れており、より不偏なメロディアス・ロックになって来たと言う
印象を受ける作品と言って良いだろう。もちろん彼等らしい、
シンフォニックなポンプ・ロックと言う要素は失われてしまった
訳ではないが、よりポップになった感がある。洗練された叙情的な
メロディは非常にセンスが良く、実に味わい深い美しいアルバムに
仕上がっている。但し、その地味さ加減は相変わらずで、落ち着き
過ぎで聴いていて飽きて来る部分がなくもない。[81]
BREATH OF LIFE / MAGNUM
イギリスのプログレッシヴ・ハード・ロック・バンドの再結成
第1弾となる8年振りの10thアルバム。ライヴ・アルバムを付けた
2枚組みと言う構成になっている。彼等のサウンドと言うと、
初期のプログレッシヴ・ハード・ロック然としたものから、後に
ハード・ポップ色の強いものへと移って行った訳だが、その
ハード・ポップ色を引き継ぎながらも、よりハードな音楽性を
見せてきている。部分部分を見ると、TONY CLARKINらしい
メロディを擁した楽曲に、BOB CATLEYの独特の透ったボーカルは
まさに彼等らしいと言えるものなのだが、そのハードさがそう
言った彼等の特性をぼやけたものとしている様に思えるし、肝心の
楽曲の出来が今一つなのが残念だ。[78]
THE SONS OF YESTERDAY'S BLACK GROUSE / MANNHAI
フィンランドのヘヴィ・ロック・バンドのデビュー盤。いわゆる
モダンなヘヴィ・ロックとは違い、1970年代風のオーソドックスな
サイケデリックさを感じさせるヘヴィ・ロックを
ベースとしているが、そこに現代風のクールさを感じさせる様な
アレンジが加えられているのが、このバンドの特徴と言って
良いだろう。ドゥーミィでブルージィさが出ているが、
グラマラスでよりハード・ロック的な色合いを強めていた頃の
THE CULT的なエッセンスも感じられる。JOANITORのボーカルは、
MOLLY HATCHETTやIAN ASTBURYを思い起こさせる声質で、独特の
味わいを出していて面白い。[83]
FAIRY TALES FROM HELL'S CAVES / MANDRAGORA STREAM
イタリアのゴシック・メタル・バンドのアルバム。女性
ボーカリスト、MORGANを前面に押し出したゴシック・メタルだが、
この手の多くのものが耽美さや壮麗さを出しているのに対して、
この作品では幽玄な耽美さを取り入れながらも、ダークでより
ホラーチックなものとなっている。MORGANのボーカル自体があまり
綺麗とは言えない声質である事も大きな影響があるのだろうが、
独自感が出ていて面白いアイデアではあると思う。どちらかと
言うとニュー・ウェーヴ系のゴシック・メタルになるが、
ダークさを押し出す辺りではかなりメタリックなサウンドも
聴かせてくれている。楽曲の面白みが今一つ足りない気がするが、
悪くないアルバムだ。[82]
REMISSION / MASTODON
アメリカのニュー・メタル・バンドのデビュー盤。この
手のものとしてはミクスチャーとも言えるもので、
ラウド・ロックをベースに、グラインド・コアやヘヴィ・メタル、
ロックンロールと言ったエッセンスを取り入れたニュー・メタルと
言えるものだ。モダンでグルーヴ感のある変則的な楽曲で、吐き
捨て型のボーカルもあって、攻撃的で破壊衝動を感じさせるが、
ときには叙情性すら感じさせるメロディのギター・ソロを入れて
来たりもする。混沌とした不安感を煽るサウンドで、非常に
先鋭的でオリジナリティを感じさせるアルバムに仕上がっている。
[83]
HUNDRED YEAR FLOOD / MAGELLAN
アメリカのプログレッシヴ・メタル・バンドの5年振りとなる
4thアルバム。JETHRO TULLのフルート奏者、IAN ANDERSON、
KING CRIMSONのベーシスト、TONY LEVIN、元3のギタリスト、
ROBERT BERRY、元RING OF FIRE、MOGG/WAYのギタリスト、
GEORGE BELLAS等がゲスト参加している。これまでの彼等と
比べると、より叙情的なメロディを押し出し、意外と聴き易い
作品に仕上がっている。情景を思い浮かばせる様な
ドラマティックさがあり、DREAM THEATER辺りの音楽性に近い様に
感じられる。34分にも及ぶ組曲のThe Great Goodnightを始め、
全3曲と言う大曲指向は変わっていない。[82]
ANGE OU DEMON / MANIGANCE
フランスのヘヴィ・メタル・バンドの2001年にリリースされた
1stアルバム。デビュー・ミニ・アルバムから4年振りの作品だが、
その音楽的方向性には大きな変化が見える。基本的には叙情的な
メロディの正統派ヘヴィ・メタルと言う事で変わりはないのだが、
今作ではかなりプログレッシヴ・メタル的なエッセンスが
強くなっており、受ける印象はかなり違う。それ故、
DIDIER DELSAUXのボーカルもハイ・トーンが多用されており、逆に
それが癇に障らなくもない。前作ではどことなく垢抜けなく、
N.W.O.B.H.M.っぽさを思わせるところがあったが、今作では
テクニカルで完成度も高いし、フランスのヘヴィ・メタルとしては
群を抜いていると言って良いだろう。[83]
EDGE OF THE WORLD / MARK BOALS
RING OF FIRE、元YNGWIE J.MALMSTEENのアメリカ人ボーカリストの
2年振りの3rdソロ・アルバム。前作がRING OF FIRE結成へに
布石となり、その音楽性はRING OF FIREへ受け継がれているため、
今作では前作の音楽的路線はあえて継承しなかったと言う見方で
良いだろう。それ故、方向的にはIGNITIONの流れを汲んでおり、
オーソドックスでオーセンティックなハード・ロックを
聴かせてくれている。ソング・ライティングに5人も
参加しているだけあって、楽曲によってはプログレッシヴな
エッセンスが感じられたりと、それ程型にはめずに作っているが、
叙情性の感じられる楽曲に、彼の伸びのあるボーカルが良く
マッチしている。[83]
MUSIC FOR SPEEDING / MARTY FRIEDMAN
元MEGADETHのアメリカ人ギタリストによる6年振りの
5thソロ・アルバム。彼のソロ・アルバムと言うと、
ヘヴィ・メタルと言うより、オリエンタル・テイストたっぷりの
叙情的なギター・アルバムと言う印象が強いが、今作ではそう
言った東洋的なメロディは一切持ち込んでいない。全曲
インストルゥーメンタルだが、フュージョン的なエッセンスが押し
出されており、JOE SATRIANIっぽいイメージの方が強いだろう。
これまでの作品の中では最もギターを弾いていると言う印象を
受ける作品で、そう言ったフュージョン的なぶぶんもあるものの、
よりメタル色の強いものとなっている。[81]
MASTERPLAN / MASTERPLAN
ドイツのヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。元HELLOWEENの
ギタリスト、ROLAND GRAPOWとドラマー、ULI KUSCHによる
バンドで、ボーカリストはMILLENIUM、ARK、BEYOND TWILIGHTの
JORN LANDE等が参加している。大仰な
ドラマティックさはあるものの、HELLOWEENの様な、
ジャーマン・パワー・メタル的なエッセンスはなく、もっと
オーソドックスなヘヴィ・メタルと言って良いだろう。叙情的な
メロディを入れながらも、パワフルでフックのある作品に
仕上がっている。JORN LANDEのパワフルなボーカルが、この楽曲に
非常に良くマッチしており、非常に格好良いヘヴィ・メタルを
聴かせてくれている。[87]
HELLALIVE / MACHINE HEAD
アメリカのスラッシュ・メタル・バンドの初のライヴ盤。2002年の
イギリスとドイツで行われた公演の模様を収めたものだ。この
ツアー中にギタリストのAHRUE LUSTERが脱退しており、
イギリスでの音源は元VIOLENCE、TROUBLEのPHIL DEMMELが
サポート・メンバーとしてプレイしている。うねりを効かせた
ヘヴィなリフが前面に出ており、スラッシュ・メタルらしい
攻撃性の他に、独特のグルーヴ感を感じさせる。プロダクションは
非常にクリアで、ライヴの臨場感がそのままダイレクトに伝わって
来て中々素晴らしいライヴ盤に仕上がっていると言って
良いだろう。[85]
THE DAWN OF BATTLE / MANOWAR
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドのシングル。新曲2曲と
既発表曲1曲の全3曲と言う構成になっている。
タイトル・トラックのThe Dawn Of The Battleは彼等としては
かなりアップ・テンポの楽曲だが、ボーカル・ライン自体は全く
変わりなく、あのエネルギッシュで汗臭い男の世界を描き
出している。I Believeはキーボードを使ったポップな
イントロから入るが、その後は如何にも彼等らしいワイルドな
ナンバーを聴かせてくれている。残る既発表曲はアルバム、
WARRIORS OF THE WORLDに収められていたCall To Armsだ。[84]
SIGN DE VIE-REMASTER 2003 / MANIGANCE
フランスのヘヴィ・メタル・バンドのアルバム。そのタイトルが
示す通り、1996年にリリースされたデビュー・ミニ・アルバムを
リマスタリングしたもので、デモ等を付けてアルバムにしている。
オリジナルでは憂いの効いたアメリカン・ハード・ロック的な
志向でありながら、B級フレンチ・メタル的な洗練の足りなさが
妙な味わいになっており、リマスタリングする事によって確かに
ギターの音等遥かにクリアにはなっているものの、そう言った
作品の特徴を考えるとそれが効果的かというと疑問に
感じるところだ。その後、そう言った部分が解消され、より
洗練された今となっては、この作品は確かに直したいところかも
知れないが。[82]
WORLD FUNERAL / MARDUK
スウェーデンのブラック・メタル・バンドの8thアルバム。北欧
ブラック・メタルとしては大ベテランの域にあるバンドだけに、
今の多くの荒涼としたメロディを醸し出すバンド達とは違い、より
原初的なカオティックさを持ち、ブラスト・ビートを押し出した
コアなサウンドを聴かせてくれている。ブルータルで獰猛さを
感じさせる、非常に攻撃的なブラック・メタルで、今の北欧
ブラック・メタルの様式が好きだと言うなら外すかも知れない。
非常に攻撃的で猛毒を撒き散らすかの様なサウンドは凄まじく、
慈悲の欠片は一片もない、暗黒に包まれていると言って
良いだろう。[85]
THE GOLDEN AGE OF GROTESQUE / MARILYN MANSON
アメリカのヘヴィ・ロック・バンドの3年振りのアルバム。
この手のものとしては最もヘヴィ・メタル的なサウンドで、
エレクトリックな処理をされたサウンドはサイバー・ブラック的な
エッセンスも感じさせるが、楽曲自体は非常にゴシック的で、
コケティッシュなシアトリカルさも感じさせるグラマラスな
耽美感と、非常にポップでキャッチーなメロディ・ラインで
構成されていて、中々聴き易いアルバムに仕上がっている。
ファンクっぽさもあってノリが良いので、コマーシャル性にも
富んでいて、流石人気バンドと思わせるだけの内容がある。[86]