BAT OUT OF HELL / MEAT LOAF
アメリカ人シンガー・ソング・ライターの1977年にリリースされた
デビュー盤。ロック・オペラとも言うべき作品で、彼のと
言うよりはロック史上に残る大ヒットとなった名作だ。叙情的な
メロディの仰々しいロック作品で、彼の独特の
ビブラートのかかった透ったボーカルが特徴的だ。ピアノを前面に
押し出したロック・オペラらしい作品で、楽曲の出来は
中々のものだ。キーボードのJIM STEINMANが全曲、作曲しており、
彼が果たした役割は大きいと言って良いだろう。かなり大仰な
感じがする作品だけに、ロック・オペラに聴きなれていないと好き
嫌いが分かれるかも知れないが、大ヒットしただけの
作品だけあってレベルは高い。[88]
BAT OUT OF HELL II:BACK INTO HELL / MEAT LOAF
アメリカ人シンガー・ソング・ライターの1993年にリリースされた
6年振りのアルバム。そのタイトルが示す通り、ロック史上に残る
傑作である、彼のデビュー盤の続編に当たる作品だ。
BAT OUT OF HELLの大ヒット以降、ジリ貧を辿って行く
事になるがなるが、まさに起死回生とも言うべき、
BAT OUT OF HELLの再現となった。その一番の大きな要因は、
BAT OUT OF HELLで全曲作曲していたJIM STEINMANとのコンビ
復活だろう。BAT OUT OF HELL以降、仲違いしていたが、彼の
作曲力の高さを示したと言って良い。その出来は、
BAT OUT OF HELLに劣らぬ、ロック・オペラの傑作と言って
良いだろう。[89]
KEEPERS OF THE SACRED FIRE / MEDICINE MEN
カナダのヘヴィ・メタル・バンドの1992年にリリースされた
アルバム。このバンドの一番特徴的なのは、Peace Of The Sky等で
聴かせてくれる、初期U2を思わせる様なギター・メロディや
アイリッシュっぽいメロディだろう。カナダのバンドらしくない
叙情的な憂いを聴かせてくれており、このうら侘しい雰囲気が
何とも味わいを感じさせてくれる。そう言った路線から外れる
楽曲は、捨て曲と言う感じを捨てきれないが、独特の雰囲気を
感じさせてくれるし、楽曲の出来、プロダクションも十分満足
行くだけのものに仕上がっている。それだけに、もっと
アイリッシュ的なセンスを前面に打ち出した方が
良かったのではないかと思うが。[82]
DONDE ESTA LA LUZ / MEDINA AZAHARA
スペインのヘヴィ・メタル・バンドの8thアルバム。スペインの
バンドに良く見られる、ボーカルのスペイン語の巻き舌発音がこの
バンドの特徴と言って良いだろう。それ故、こう言った
スパニッシュ系のボーカルが好きでないとあまり受け
付けないだろう。前作と比べると、かなりモダンな感じのする
内容となっており、随分と洒落た感じの作品に仕上がっている。
スペインのバンドとしてはかなりベテランの
ビッグ・ネームなだけあって、飛びぬけた楽曲はないが、
La Tierra Perdidaでの扇情感等中々素晴らしいし、安心して
聴けるだけの内容となっている。HEROES DEL SILENCIO等と
比べると、ややヘヴィ・メタル色が薄いが、
スパニッシュ・メタルを試すには悪くない。[81]
KILLING IS MY BUSINESS...AND BUSINESS IS GOOD / MEGADETH
アメリカのスラッシュ・メタル・バンドの1985年にリリースされた
デビュー盤。元METALLICAのギタリスト、DAVE MUSTAINEを
中心とするバンドで、彼がボーカリストを兼任している。後々
スラッシュ・メタル・バンドとしては、METALLICAに次ぐ
存在となって行くが、ここではまだインディからのリリースと言う
事以上に、途中から低予算でセルフ・プロデュースしなおした
事もあって、プロダクションはあまり良くない。複雑で難解な
展開を持ちながらも、意外とキャッチーなメロディを
聴かせてくれると言う、初期の彼らの姿はもうこの頃にほぼ
出来あがっているが、楽曲の完成度に関してはまだまだと言う
感じがするところも多い。[78]
PEACE SELLS...BUT WHO'S BUYING? / MEGADETH
アメリカのスラッシュ・メタル・バンドの1986年にリリースされた
2ndアルバム。今作からメジャーのキャピトルに移籍した
事もあってか、プロダクションは前作と比べて格段に
良くなっている。楽曲も前作ではまだアイデアを完全に
消化しきれていないと言う感があったが、アレンジ面でも飛躍的な
進歩を見せ、METALLICA、SLAYER、ANTHRAXと並ぶ
スラッシュ・メタルの大御所とも言えるバンドに相応しい作品に
仕上がっている。Wake Up DeadやPeace Sellsと言う初期の名曲も
含まれており、初期スラッシュ・メタルの傑作と言っても
良いだろう。Peace Sells等における、複雑な展開ながら
キャッチーなメロディは、オリジナリティが感じられて
素晴らしい。[87]
SO FAR, SO GOOD...SO WHAT? / MEGADETH
アメリカのスラッシュ・メタル・バンドの1987年にリリースされた
3rdアルバム。今作で大きなメンバー・チェンジがあり、
ギタリストにJEFF YOUNG、ドラマーにCHUCK BEHLERが
加入しているが、楽曲面に関しては元々DAVE MUSTAINEが全て
手がけていただけに、影響は全くないと言って良いだろう。
方向的には前作の延長線上とも言える、複雑な構成ながら
キャッチーなメロディを配したスラッシュ・メタルだ。サウンド
面に関しては、メタリックな感じに仕上げられており、より
緊迫感の伝わってくるアルバムだ。彼らのライヴではお馴染みの、
SEX PISTOLSのAnarchy In The UKも収録されている。[84]
RUST IN PEACE / MEGADETH
アメリカのスラッシュ・メタル・バンドの1990年にリリースされた
3年振りとなる4thアルバム。前作より加入した、JEFF YOUNGと
CHUCK BEHLERは解雇され、新たにドラマーのMICK MENZAと
元CACOPHONYのギタリスト、MARTY FRIEDMANが加入している。
方向的には前作の延長線上とも言えるもので、楽曲面では
DAVE MUSTAINEがほとんどコントロールしているだけあって、
大きな影響はないと言って良いだろう。よりアグレッシヴな
アレンジがなされており、緊迫感も増しているが、複雑な構成と
キャッチーなメロディと言う、彼らの基本的な路線は
変わっていない。前作ではギターがやや表に出過ぎていると言う
感じもあったが、今作では全体的なバランスが良くなっている、
[86]
COUNTDOWN TO EXTINCTION / MEGADETH
アメリカのスラッシュ・メタル・バンドの1992年にリリースされた
2年振りとなる5thアルバム。前作より加入したMICK MENZAと
MARTY FRIEDMANが引き続き参加しており、やっとメンバーが固定
出来たと言ったところだろう。そのためもあってか、楽曲面では
引き続きDAVE MUSTAINEが中心となっているが、MICK MENZAと
MARTY FRIEDMANも作曲において関与しており、DAVE MUSTAINEと
DAVID ELLEFSONのプロジェクトからバンドになったと言う
感じだろう。楽曲的にはこれまで同様、プログレッシヴと言える
様な複雑構成にキャッチーなメロディと言う路線は
変わりないものの、よりキャッチーさを前面に押し出し、
複雑さは控えめとなっている。聴き易くなった反面、
アグレッシヴさはそれ程でもなくなったので、これまでの
ファンは少し戸惑うところかも知れない。[84]
YOUTHANASIA / MEGADETH
アメリカのスラッシュ・メタル・バンドの1994年にリリースされた
2年振りとなる6thアルバム。複雑な構成にキャッチーなメロディと
言う、スラッシュ・メタルとしては独特のスタイルを
貫いていたが、前作からその方向性にやや変化が見られ、
キャッチーなメロディはより前面に押し出され、プログレッシヴな
色合いは影を潜め、難解さは薄れて来ている。今作でもその
方向性は顕著で、彼らとしては非常に聴き易い作品だと言って
良いだろう。前作が彼ら最大のヒットになっただけに、ある意味
路線変更は成功したと言って良いだろう。昔からのファンにはやや
軟弱になった様に感じられるかも知れないが、完成度においては
前作に決して劣らない作品だ。[83]
LIVE AT AN EXHIBITION / MEKONG DELTA
ドイツのスラッシュ・メタル・バンドの1992年にリリースされた
初のライヴ盤。その実態は、ドイツ人プロデューサーである
RALF HUBERTがBJORN EKLUNDと言う偽名で活動している
プロジェクト・バンドだ。ジャズやクラシックと言った
エッセンスを取り込みながら、独自のスタイルを築いたが、これは
1991年に行われたドイツでの公演の模様を収めたもので、その複雑
怪奇で難解な演奏が見事に再現されている。到底一般受けするとは
思えない楽曲だが、良くあれだけ難解な楽曲をライヴで再現
出来るものだと感心させられるし、その演奏を聴くだけでも
価値はあるだろう。[80]
KALEIDOSCOPE / MEKONG DELTA
ドイツのスラッシュ・メタル・バンドの1993年にリリースされた
アルバム。音楽的にはクラシックやジャズ、
プログレッシヴ・ロックと言った多様な音楽的エッセンスを取り
込んだもので、テクニカル・スラッシュ・メタルと言って
良いだろう。あくまでもベースはスラッシュ・メタルで、そう言う
意味ではミクスチャー的な感じは受けない。緊迫感の強い
サウンドに、複雑な構成は見事と言えるが、その一方で
アバンギャルド過ぎて一般受けするとは到底思えず、玄人受けで
終わりそうな感じがする。それでもこれまでの作品と比べると、
かなりアイデアが整理されて来ている感じがするし、演奏的な
レベルも高い。[81]
RHYMES OF LUNACY / MEMENTO MORI
スウェーデンのドゥーム・メタル・バンドの1993年に
リリースされたデビュー盤。元CANDLEMASS、HEXENHAUS、
KING DIAMONDのギタリスト、MIKE WEADを中心とするバンドで、
ボーカルはCANDLEMASSの元ボーカリスト、MESSIAH MARCOLINが
取っている。方向的にはCANDLEMASS的な暗くヘヴィでドゥーミィな
サウンドながらも、MIKE WEADのギター・プレイがかなり前面に
出て来ている。それ故、ひたすら重苦しかった初期CANDLEMASSと
比べると、かなり派手さを感じる作品となっている。この
MIKE WEADのギターとMESSIAH MARCOLINのボーカルの乖離具合が
かなり気になるところだ。M.S.G.のLost Horizonsを
カバーしているが、こう言う部分も含めてMESSIAH MARCOLINの
ボーカルが今一つこのバンドに合っていない様な気がする。[80]
LIFE, DEATH AND OTHER MORBID TALES / MEMENTO MORI
スウェーデンのドゥーム・メタル・バンドの1994年に
リリースされた2ndアルバム。元CANDLEMASS、HEXENHAUS、
KING DIAMONDのギタリスト、MIKE WEADを中心とするバンドで、
方向的にもそう言う暗黒的な匂いの感じられる作品だ。方向的には
前作の延長線上とも言える作品で、MIKE WEADのネオ・クラシカル
的な派手なギター・プレイがかなり前面に出ている。内容としては
決して悪い訳ではないが、彼のギター・プレイと暗黒的な
エッセンスの折り合いがどうも悪く、中途半端な
内容となってしまっている様に思える。特にMESSIAH MARCOLINの
重苦しいボーカルとの落差が感じられ、今一つまとまりが悪い。
[81]
MENNEN / MENNEN
オランダのヘヴィ・メタル・バンドの1994年にリリースされた
デビュー盤。元ZINATRAのボーカリスト、JOSS MENNENを中心とした
バンドだ。方向的にはZINATRA的な叙情的なメロディの洗練された
ヘヴィ・メタルを聴かせてくれているが、ZINATRAと比べるとより
パワフルで、それ故に楽曲にもフックが感じられる。全体的に
憂いはそれ程強くなく、どちらかと言うとアメリカの叙情派
ヘヴィ・メタルと言う感じもする。楽曲はメロディ・センスの
良さを活かしているし、エッヂの立ったサウンドで中々聴き
応えのあるアルバムに仕上がっている。JOSS MENNENの透った
ボーカルも良く合っていて、レベルの高い作品だ。[86]
CHOIR OF HORRORS / MESSIAH
ドイツのスラッシュ・メタル・バンドの1991年にリリースされた
アルバム。SODOM等に代表される、ドイツのバンドらしいいわゆる
デスラッシュと言われるものだが、よりメロディを強く打ち出した
ざくざくとリフを切り刻んでくるスラッシィなサウンドを
聴かせてくれている。場面によってはかなりテクニカルな演奏も
見せており、中々格好の良いアルバムに仕上がっている。ダークな
作品だが、結構跳ねたリズムでのりも良く、楽曲の出来も
悪くないし面白い出来だ。如何にもデス・メタルっぽい
バンド・ロゴに、ANDY KAINAのボーカルもデス・ボイスと言って
差し支えのないものだが、テクニカル・スラッシュ辺りが好きなら
聴いて損はない。[83]
BLESSING IN DISGUISE / METAL CHURCH
アメリカのスラッシュ・メタル・バンドの1989年にリリースされた
3rdアルバム。方向的にはスラッシュ・メタルとパワー・メタルの
中間的な音楽性を持ったバンドだが、そう言った音楽性を生かした
扇情感を感じさせるドラマティックな作品だ。前作と並ぶ、
バンドの最高傑作とも言える作品で、前作と比べると楽曲にやや
波を感じなくもないが、Anthem To The Estrangedから
Badlandsにかけての展開やダークで憂いを帯びたメロディ、盛り
上げて行く様等中々素晴らしい。ボーカルがDAVID WAYNEから
MIKE HOWEに交代しているが、彼のボーカルも扇情的で
バンドには良く合っている。[89]
THE HUMAN FACTOR / METAL CHURCH
アメリカのスラッシュ・メタル・バンドの1991年にリリースされた
2年振りの4thアルバム。名作とも言える、THE DARK、
BLESSING IN DISGUISEに続く作品だが、前作までの
ドラマティックさはやや影を潜め、より扇情感を強く打ち出した
作品に仕上がっている。その分、勢いとのりは感じられるが、
盛り上がりと言う点において今一つ物足りなさを感じさせる。
アコースティックで入るIn Harm's等の出来も悪くはないが、
Badlandと比べると不満が残る。アルバムの出来としては決して
悪くはないのだが、前作、前々作が傑出した出来だっただけに、
見劣りがするのは遺憾ともし難い。[84]
HANGING IN THE BALANCE / METAL CHURCH
アメリカのスラッシュ・メタル・バンドの1993年にリリースされた
2年振りの5thアルバム。スラッシュ・メタル・バンドとしては、
METALLICA等の四天王と呼ばれるバンドに次ぐ存在としての実績を
残してきたが、前作当たりから失速し始め、この作品でバンドの
終焉を見る事となった。前作でもそうなのだが、ジャケットの
センスの悪さが、アルバムの内容に伴っておらず、この作品でも
それは顕著だ。2nd、3rdでの硬派さとドラマティックさと叙情性、
扇情感のバランスの良さが失われて来ており、素材としての良さは
感じるものの、今一つ盛り上がりに欠ける
内容となってしまっている。[82]
KILL 'EM ALL / METALLICA
アメリカのスラッシュ・メタル・バンドの1983年にリリースされた
デビュー盤。スラッシュ・メタル・バンドで最も初期から
活動していたバンドであり、最も著名で成功したバンドだ。後に
MEGADETHを結成するDAVE MUSTAINEもデビュー前に在籍しており、
彼が曲創りに加わった曲が4曲収められている。DAVE MUSTAINE的な
構成の複雑さも見せており、中々格好の良い作品に
仕上がっている。当時、マニア以外にはそれ程
評価されなかったが、ハード・コア的な速いリフを取り入れ、
スラッシュ・メタルとしてのジャンルを確立して行った金字塔的な
作品だ。CDの初回盤として、DIAMOND HEADのカバー、Am I Evil?と
BLITZKRIEGのカバー、Blitzkriegが収められているが、これも中々
貴重だ。[84]
RIDE THE LIGHTNING / METALLICA
アメリカのスラッシュ・メタル・バンドの1984年にリリースされた
2ndアルバム。前作はプロダクション的にはどうしても今一つと
言う感じだったが、今作ではそれが幾分改善されている。特にこの
アルバムで注目できるのは、Fade To BlackやThe Call Of Ktuluと
言ったメロウな曲をこのアルバムから入れ始めた事で、
バンドとしての音楽性の広がりと楽曲間での変化が出ている事が
良い結果を産んでいる。この作品での成功が、彼等としての
メジャー進出になったと言うだけでなく、スラッシュ・メタルと
言うものが広く見とめられる様になったと言う意味で、単なる
傑作と言う以上の意味がある。[88]
MASTER OF PUPPETS / METALLICA
アメリカのスラッシュ・メタル・バンドの1986年にリリースされた
3rdアルバム。アンダーグラウンド・シーンの帝王と言った
存在だったが、今作よりメジャー・レーベルのエレクトラに
移籍し、BILLBOARDのアルバム・チャートのトップ30に入ると
言う成功を収め、スラッシュ・メタルにおける最高傑作の1枚と
言える作品だ。Battery、Master Of Puppets、Damage, INC.を
始め、攻撃的なリフと破壊力を備えた名曲がずらりと並んでいる。
メジャーに移籍しただけあって、プロダクションも格段に
良くなっており、まさしく彼等の代表作と言うに足るアルバムに
仕上がっている。[94]
THE $9.98 CDーGARAGE DAYS REーREVISITED / METALLICA
アメリカのスラッシュ・メタル・バンドの1987年にリリースされた
ミニ・アルバム。カバーばかりによる全5曲と言う構成で、後に
杯盤になった後、GARAGE INC.に収録されてリリースされるまで
幻となっていた音源で、中古市場でも高値を呼んだ。
DIAMOND HEADのHelpless、HOLOCAUSTのThe Small Hours、
KILLING JOKEのThe Wait、BUDGIEの
Crash Course In Brain Surgery、MISFITSの
Last Caress/Green Hellが収録されており、N.W.O.B.H.M.や
パンクと言った、彼等の受けた影響が見えて面白い。彼等が
カバーするだけあって、当然スラッシィなアレンジとなっており、
彼等のファンならば必聴だろう。[87]
...AND JUSTICE FOR ALL / METALLICA
アメリカのスラッシュ・メタル・バンドの1988年にリリースされた
2年振りの4thアルバムにTシャツが着いた缶入り
ボックス・セット。前作ヒットで一躍スラッシュ・メタルの雄に
踊り出たが、今作でその地位を確固たるものにしたと言って
良いだろう。彼等の代表的なナンバーであるOneを始め、それに
相応しいナンバーがずらりと並んでいる。但し、楽曲の出来に
反比例してプロダクション的に多いに不満の残る作品だと
言えるだろう。ツアー・バスの転倒でベーシストのCLIFF BURTONが
事故死し、代わってFLOTSAM & JETSAMのJASON NEWSTEDが
加わっているが、それが影響しているのかベースの音が全然
聴こえない。LARS ULRICHのドラム音はパカパカと妙に硬くて煩く、
折角の作品に味噌を付けている形になっているのが残念だ。[86]
ONE / METALLICA
アメリカのスラッシュ・メタル・バンドの1989年にリリースされた
ミニ・アルバム。4thアルバム、...AND JUSTICE FOR ALLからの
シングル・カット曲であるタイトル・トラックに、カバーが1曲、
ライヴが2曲にデモが1曲の全5曲と言う構成になっている。
BUDGIEのカバー、Breadfanは、これまで日本盤に
収録されていなかったもので、彼等らしいスラッシィなパートと
泣きのギター・ソロからなっている。ライヴは、
For Whom The Bell ToolsとWelcome Home(Sanitarium)でメジャー
移籍後の始めてのライヴ音源で、この頃の彼等のライヴの迫力と
言うものを良く伝えている。Oneのデモは、あくまでデモと言う
感じだが、後に彼等がシングル様に乱発したものよりは
きちんとしている。[84]
METALLICA / METALLICA
アメリカのスラッシュ・メタル・バンドの1991年にリリースされた
3年振りとなる5thアルバム。これまでのスラッシュ・メタルの
最高峰とも言える彼等の作品からするとやや変化が見え、より
グルーヴ感を押し出した様な、のりを前面に立てた様なアルバムに
仕上がっている。ミドル・テンポ中心になった分、当然
スラッシィなテイストは若干下がっており、一般のリスナーには
馴染み易い作品になっていると同じに、旧来のファンには幾分
不満に感じるところだろう。とは言え、グランジ色の強くなる
LOADと比べれば、十分これまでの作品に連なる内容だと言って
良い。[85]
LIVE SHIT:BINGE & PURGE / METALLICA
アメリカのスラッシュ・メタル・バンドの1993年にリリースされた
3枚組ライヴCDと3本組のライヴ・ビデオにブックレットが付いた
ボックス・セット。1993年に行われたメキシコでの公演の模様を
CDに、1992年に行われたアメリカでの公演の模様をビデオに
収めたものだ。今まできちんとした形でライヴ盤を出した
事がなかっただけに、いきなりこれだけ大掛かりな
ボックス・セットで出してしまうと言う様なアイデアを実現
出来るところは彼等らしいかも知れない。The Four Horsemenと
言った様な、普段はやらない楽曲も収められていて興味深い。[86]
THE BELL WITCH / MERCYFUL FATE
デンマークのヘヴィ・メタル・バンドの1994年にリリースされた
ミニ・アルバム。IN THE SHADOWからのシングルカットとしての
企画盤で、アルバムからThe Bell WitchとIs That You, Melissaの
2曲にプラスして、ライヴ・テイクが4曲納められている。
ライヴの音質は良くも悪くも無く、スタジオ盤よりは荒々しく、
音が厚くてヘヴィな印象を受ける。ボーカルのKING DIAMONDも
それなりにアルバム通りに歌えてるから悪くはない。
コレクターズ・アイテムであるのかも知れないが、スタジオ
盤と比べて、また違った味があって面白い。彼等の
シアトリカルさが受け入れられないと苦しいだろうが。[79]
ROCK THE BLUES / MERZY
デンマークのハード・ロック・バンドの1991年にリリースされた
2ndアルバム。方向的には北欧と言った感じのさせる部分はなく、
アメリカ南部的な、土臭い渇いたサウンドを聴かせてくれている。
ブルージィで、南部的な明るさがありハード・ロックというよりは
サザン・ロック的なエッセンスも感じるが、ビートの効いた
疾走感のあるナンバーから、Dead & Goneの様な完全にブルーズと
言える様な楽曲まで、割と幅広くやっている。中でも大作の
Dreamerは、最初のテンポの遅さこそ気になるが、
ドラマティックで中々聴きごたえがある。[81]
IN THE SHADOWS / MERCYFUL FATE
デンマークのヘヴィ・メタル・バンドの復活第一弾となる1993年に
リリースされたアルバム。ドラマティックで演劇的なサウンドで、
演出過剰気味に感じられるが、出来自体はオーセンティックで良い
出来だ。全体的にわざとらしい演出が鼻につくのは確かだし、
シアトリカルなKING DIAMONDのボカールに耐えられるならば
良いだろうが、そうでないと少し辛いだろう。もっともこれが
彼らの特色なのだから、これが許容出来ない人には彼らのどの
アルバムを聴いても良いとは思えないだろうが。かつての
イメージを壊す事なく、ダークで、彼等らしい特色の出た
アルバムに仕上がっている。[83]
SIN TIEMP / MEDINA AZAHARA
スペインのハード・ロック・バンドの1992年にリリースされた
アルバム。MANUEL MARTINEZのボーカルはスペインの
バンドらしく、スペイン語で歌っており、独特の巻き舌の妙な
アクセントのこぶしの効いたものだ。スペインでは大御所の
バンドらしく、演奏の出来も安定しているし、楽曲も悪くない。
このスペインのバンドらしいボーカルが聴けるかどうかによって、
評価は大きく2分されそうだが、中々味わい深い作品に
仕上がっている。キーボード等にもスペイン的な郷愁を誘う
メロディがあり、中々ユニークなアルバムだ。[84]
NOTHING ELSE MATTER / METALLICA
アメリカのスラッシュ・メタル・バンドの1992年にリリースされた
ライヴ・ミニ・アルバム。同年にWEMBLEY ARENAで行われた
ライヴだが、これが何故今更VERTIGOから出ることになったのかは
謎だ。Enter Sandman、Sad But True、Nothing Elese Matterと
言う3曲構成になっている。途中、何度かLARS ULRICHの
ドラミングにもたるところが見受けられるが、スロー・テンポの
曲ばかりなので何とか耐えられるレベルだ。それを除けば出来は
まずまずだし、Nothing Elese Matterでの情感などは
中々のものだ。所詮、ファン向けの
コレクターズ・アイテムでしかないが、決して悪い作品ではない。
[82]
LESSONS / MESSAGE
アメリカのハード・ポップ・バンドの1982年にリリースされた
ミニ・アルバムに、未発表音源を追加してCD化したもの。
元PROPHETのDEAN FASANO、BON JOVIのRICHIE SAMBORA、
元BON JOVIのALEC JOHN SUCHと言う、今見れば凄いメンバーの
バンドだが、なにしろ当時全くの新人バンドだった訳で、ほとんど
注目されることなく消えて行った。ミニ・アルバムの6曲を
除けば、RICHIE SAMBORAとALEC JOHN SUCHは参加しておらず、
DEAN FASANOのソロと言う感じの強い内容だ。頭の
Where Were Youはキーボードを前面に押し出した哀愁の
ハード・ポップでこれはと思わせてくれるが、その後はどちらかと
言うとアメリカン・プログレッシヴ・ハード・ロックと言う色彩が
強い。BON JOVIやPROPHETを期待するならば、少し期待外れに
終わるだろうし、録音状態もあまり良くない。[74]
DESTROY ERASE IMPROVE / MESHUGGAH
スウェーデンの変態スラッシュ・メタル・バンドの2ndアルバム。
全体的に攻撃的で破壊力のある爆発的なサウンドはともかく、
その上に変則的にのってくるメロディ展開はかなり難解で不快感を
煽る。叫びまくるだけのボーカルも強烈だが、サウンド的には
合っているだろう。ジャズ・ロックを基礎とした楽曲は幾分
ハード・コア的でSLAYERに近く、激しい躍動感のあいまに静的な
メロディが時折はさまっている。出来自体云々よりも、こういう
サウンドが受け入れられるかどうかと言う事の方が大きいだろう。
ユニークでアイデアは良いと思うが、決して一般受けする
作品ではない。[79]
TIME / MERCYFUL FATE
デンマークのヘヴィ・メタル・バンドMERCYFUL FATEの復活
第二弾となるアルバム。このバンドは結局、KING DIAMONDの金切り
声とでも言うべき、ハイトーン・シャウトが聴けるかどうかが
分かれ目になるだろう。このボーカルがおどろおどろしさと
シアトリカルさを醸しだしており、そのオーセンティックな独特の
世界を構築している。楽曲自体は正統派ヘヴィ・メタルと言う
感じだから、そんなに聴きにくいことはないはずだ。全体を通して
ヒステリックでドラマティックなサウンドだが、今一つ楽曲に
面白味が欠けるところもある。[81]
HIDDEN TREASURES / MEGADETH
アメリカのスラッシュ・メタル・バンドのアルバム未収録曲を
集めた企画アルバム。サントラなどでしか聴けなかった曲が
聴けるのだから結構ありがたい作品だ。特に映画SHOCKERの
サウンドトラックに納められたALICE COOPERのカバー、名曲
No More Mr.Nice Guyは非常に良く出来ており、聴き逃せない。
サウンド・トラックから6曲、A Tout Le Mondeのシングルから
5曲、BLACK SABBATHのトリビュート・アルバムから1曲と言う
構成になっている。ライヴでも演奏していたBLACK SABBATHの
Paranoid他、企画盤と言っても侮れない作品だ。[84]
ARABE / MEDINA AZAHARA
スペインのヘヴィ・メタル・バンドの9thアルバム。前作と比べて
よりハード・ロックらしさを押し出しているが、その
メロディ・センスは変わらず素晴らしい。楽曲だけならば非常に
美しいものの、全体的にパンチに欠ける気もするが、スペイン語の
妙なイントネイションがポイントになっていて引き
込まれてしまう。こういったスパニッシュ・メタル特有の巻き舌の
歌唱が受け付けられなければやはり苦しいだろう。最後の5曲は
元々本国では初回特典のボーナスCDを付けたカバー曲集で、
ROLLING STONEの黒くぬれや出自不明のAl Padre Santo De Roma
等、本編に勝とも劣らない。Anda Jaleoはスペインの昔の
フォーク・ソングとだけしかライナー・ノートには
書かれていないが、作者を見れば判る通り、スペインの詩人
GARCIA LORCAの作品だ。日本盤ではボーナス・トラックと言う
事で、この曲は対訳を割愛されているのが残念だ。[89]
WELCOME TO THE NEIGHBOURHOOD / MEAT LOAF
アメリカ人ロック・シンガーの2年振りのアルバム。
JIM STEINMANとのコンビで、BAT OUT OF HELLと言う
ギネス・ブックにも載った大ヒット作を作り、前作で16年振りに
そのコンビで続編であるBAT OUT OF HELL II〜BACK INTO HELLを
リリースし、同様の大ヒットとなった。今作でも同じコンビで
アルバムが作成される予定であったが、JIM STEINMANの作曲が
進まない事から、DIAN WARRENやSAMMY HAGAR等の楽曲を取り
上げている。その分、前作であったロック・オペラ的な色合いが
かなり薄くなっている。よりロック然とした作品になっており、
逆に聴き易いといえば聴き易い。楽曲の出来は中々のものだし、
ロック・オペラ色が全くなくなった訳ではないので、前作の
ファンも納得出来るだけのものはあると思う。[87]
SPECIAL DELIVERY / MESSENGER
カナダのハード・ロック・バンドの自費出版アルバム。楽曲は
叙情的なポップ・センスが溢れており、SANTERSをアメリカよりで
もっと落ち着いた曲調にすればこういう感じになると言った風だ。
自主制作の悲しさか、プロダクションはあまりよくないので
一聴すると昔のアルバムかと思えてしまう。それもあいまって暗い
楽曲ではN.W.O.B.H.M.を洗練させた様な感じがするものもある。
全体的にチープで今風ではないのだが、古き良き
メロディアス・ハード・ロックという感じでメロディは良いので、
心の琴線に触れて来るものがある。[85]
LOAD / METALLICA
アメリカのスラッシュ・メタル・バンドの5年振りとなる
6thアルバム。リリース前はヘヴィ・メタル的なスタンスから大分
離れた作品になると噂され心配されたが、実際こうして
リリースされてみると確かにグランジ的な
雰囲気をそこかしことなく感じるが、それほど気になる様な
変化ではない。寧ろ、この変化は既にもうBLACK ALBUMで
見られるもので、それをさらに押し進めたものであり、予想の
範囲を越えるものではない。よりグランジ的な方向へと進んだ
事で、MASTER OF PUPPETSの頃のようなサウンドは
望むべくもないが、これはこれで一つの方法論としてなり
立つだろう。ただ、このペースでアルバム一枚聴かせるには、
最後には飽きてくるが。[86]
SVETLO NA DRUHOM BREHU / METALINDA
チェコスロバキアのハード・ロック・バンドの1992年に
リリースされたデビュー盤。方向的にはメロディアスで明るい
ノリのポップなハード・ロックで、楽曲はどことなく
洗練されておらず古臭さを感じるが、爽やかで気持ち良い
アルバムに仕上がっている。哀愁も感じさせるが、Angieは
ほとんど演歌の世界で少々あざと過ぎるきらいもある。
垢抜けておらず、如何にも東欧のバンドという感じだし、歌詞は
全曲チェコ語であり、少々違和感を感じなくもないが、センス
自体は決して悪くない。プロダクションが良くなれば随分
良くなるとは思うが、このバンドがその後どうなったか消息は
不明だ。[77]
BITE / MERZY
1995年にリリースされたデンマークのハード・ロック・バンドの
3rdアルバムだが、楽曲は北欧のバンドというよりはむしろ
アメリカのオーソドックスなロックそのもので、それを
ハード・ロック風に味付けしている感じだ。前作の
ROCK THE BLUESはそのタイトルが示す通り、ブルーズ的な部分が
強かったが、前作ほどではないがそういう指向はある。
ロックンロール的な指向が強く、かつノリが良く、
Ballroom Blitzのカバーもかなりそれ風だ。初期
VAN HALEN風でもあり、ソリッドな作りは中々好感が持てるし
前作で見せたDreamerのようなバラードStanding In The Shadow等
楽曲も悪くない。[84]
UNTIL IT SLEEPS / METALLICA
アメリカのスラッシュ・メタル・バンドのシングル。
シングル・カットのタイトル・ナンバー以外には、海外で
シングルに収録されたアルバム未収録の音源を集めており、
ライヴが3曲にUntil It Sleepsのバージョン違いが2曲と言う
構成になっている。Until It SleepsのHerman Melville mixは
原形を留めていないし、ヘヴィ・メタルとはおおよそ似ても
似つかない、デジタル・ミックスなのであまり聴く価値があるとは
思えない。ライヴ音源はそのリフの感覚等からバンドとしての
変質が伺えて興味深い内容ではあるが、全体的にはあまり聴く
価値があるものとは言いがたいところだ。但し、MOTORHEADの
カバー、Overkillには一聴の価値がある。[74]
UPON DEAF EARS / MERCURY RISING
詳細は良く判らないが、多分アメリカの正統派
ヘヴィ・メタル・バンドのデビュー作ではないかと思う。
リリースは1996年になってからだが、録音は実際には1994年に
行われている。いわゆるQUEENSRYCHEタイプになると思うが、
ボーカルやコーラスの取り方は、明らかにQUEENSRYCHEを
意識しているが、楽曲はそれほど強くQUEENSRYCHEを意識させる
ものではない。演奏的にはそれほど不満に思わないし、ボーカルも
悪くない。であるが、この手のバンドとして致命的なのは楽曲が
つまらないということである。瞬間的には面白い
フレーズもあるが、一つの曲とアレンジ能力の欠如を見せ、
アイデアを表現する力がまだ足りないのが明らかだ。もっと、曲を
練り込む必要があるだろう。[70]
INTO THE UNKNOWN / MERCYFUL FATE
シアトリカルなボーカリストKING DIAMOND擁する北欧の
ヘヴィ・メタル・バンドの再結成後3作目のアルバム。
KING DIAMONDは自身のバンドと平行しての活動だが、それぞれ
独自性を持っている。KING DIAMONDが割と正統派的であるのに
対して、MERCYFUL FATEはシアトリカルで演劇的な
ドラマティックさを見せている。今作ではシアトリカルさは
変わりないし扇情的ではあるがが、過剰な演出とまで
思わせるようなドラマティックさはそれほど過剰でなく、楽曲も
悪くないので、割と聴き易い作品になっている。KING DIAMONDの
ハイ・トーンは相変わらずなので、これが駄目な人はやはり
苦しいだろう。[82]
HEAVY METAL HUNTER / METALUCIFER
日本のブラック・メタル・バンド、SABBATのGEZOLUCIFERによる
プロジェクト・バンドで、フルレンス・アルバムの未収録曲、及び
日本語バージョンからなるミニ・アルバム。1980年代の
ヨーロピアンB級メタルと言える辺りを忠実に再現したと
言えるもので、臭いほど叙情感漂うドラマティックな内容は
もちろんの事、録音状態の悪さ、ボーカルの質までそのままで、
良くぞここまでやったと関心する。完全に趣味の世界で作ったと
言う感じの作品だが、これはこれで面白い。日本語バージョンは
あまりにも臭すぎて、ここまで来ると少しついて行けないが。[74]
EMBEDDED / MEATHOOK SEED
NAPALM DEATHのMITCH HARRISとSHANE EMBURY、OBITUARYの
TREVOR PERESとDONALD TARDYによるプロジャクト・バンドが
1993年にリリースしたアルバム。ギタリストのTREVOR PERESが
ボーカルを取っているが、かなり機械処理された
デス・ボイスなので、その実力振りは謎だが、
聞き苦しいものではない。インダストリアル的なエッセンスが
かなり強く、楽曲自体はデス・メタル的でもあり、
ヘヴィネス的でもある。全体的にブラスト・ビートというような
速さは感じないし、かなり機械処理されていて割と聴き易い
サウンドになっている。[77]
HEAVY METAL DRILL / METALUCIFER
日本のブラック・メタル・バンド、SABBATのメンバー等による
ヘヴィ・メタル・プロジェクト・バンドの1stフル・アルバム。
如何にも1980年代のヨーロッパB級メタル風と言った感じの
作品で、大仰で臭いメロディはもとより、チープなサウンドまで
すっかり再現している。この手のものが好きな人ならともかく、
それ以外の人にどれだけ訴えるものがあるかは謎だが、
ノスタルジックな雰囲気は味わえる。全く趣味の世界と
言ったところで、そういう楽曲を聴いてきた人たちには
郷愁をそそるアルバムに仕上がっている。[81]
STAG / MELVINS
アメリカのオルタナティヴ・ロック・バンドの8thアルバム。この
手の音楽はあれこれ語る程造詣が深くないのだが、それら中でも
最もダークでヘヴィな内容と言って良いのではないだろうか。
ギター・リフ等は、割とヘヴィ・メタル系のリスナーにも
聴けるものだと思うが、エフェクトをかけたボーカルや
ホーン・セクションまで入れた楽曲自体まで面白いと
思えるかどうかは疑問だ。全体的にニヒルな雰囲気があり、
ギター・メロディは所によっては非常にアバンギャルドで、実に
不思議な作品に仕上がっているが、これはこれで
悪くないのだろう。[80]
MAMA SAID / METALLICA
LOADからの第3弾シングルで、日本盤の6曲入りのもの。
シングル・カットしたMama Saidも編集したもので、一応全曲
アルバムでは聴けなかったものということになる。内容は先の
シングル・カット曲に加えて、ライヴが4曲、Mama Saidの
デモ・バージョンという構成になっている。デモ・バージョンは、
METALLICAのデモとすれば割と聴けるレベルでかなり
ましな方だろう。ライヴ・バージョンのものは全て同じ
ライヴからの録音で、Creaping Deathで、誰かが最後
デス・ボイスの様な声でボーカルを取っているようだが、
クレジットがないので誰だか分からない。演奏的にはそれなりで
ドラム、ギターも特に気になるほど酷くはない。[74]
BACK TO THE REAL WORLD / MENNEN
元ZINATORAのボーカリストJOSS MENNEN率いる、オランダの
ヘヴィー・メタル・バンドの2ndアルバム。デビュー盤では
ハード・ポップ的指向が強く、甘いメロディの佳作に
仕上がっていたが、今作では全体的にヘヴィーでハードな
音作りになっている。よってデビュー盤で見られたオランダらしい
甘いポップ的な面はほとんど感じられなくなってしまったが、
その分ドラマティックで扇情的になっている。Aftershockで
吹き散らかされるサックスは一種独特の世界を作り上げている。
キャッチーなメロディが少ない曲は少々辛いので、前作から
見ると評価は分かれるところだろう。[83]
CRYPTICWRITINGS / MEGADETH
アメリカのスラッシュ・メタル・バンドの新作、と言っても
良く判っているとおり、ここ数作のスラッシュ的な方向からの
変化はここでも全く変わらないし、より先鋭化している。バックは
リフよりもメロディ中心になっていて、あの危険な香りは
ほとんどない。DAVE MUSTAINEのボーカルだけは変りようもなく
MEGADETHたらんとする特色づけている。昔のファンからすれば
緊張感のアルバムになっていると言わざるをえない。だが、
それ以外からすれば随分聴きやすい作品になっているし、割と
聴きやすい作品だと思う。[83]
RELOAD / METALLICA
グランジっぽいという事で批判を受けた前作だが、そういう
意味ではグランジっぽいと感じる部分はないと言って良いだろう。
しかし、このバンドが昔のようなスラッシュ・メタルに戻る
事はない訳で、速い曲もあるし、ある程度力強くもあるもの、
そういう意味ではBLACK ALBUMの方が近いと言って良いだろう。
フックの効いたヘヴィ・メタルという感じで、昔からの
ファンにとってはLOADのときのような落胆はないだろうが、同時に
力が入るほどでもないのではないだろうか。MARIANNE FAITHFULLを
フューチャーしたのはそれなりに面白くはあるし、
The Unforgiven IIを作ったりとそれなりに
注目すべきところはあるのだが。[82]
DEATH VALLEY DREAM / MELIAH RAGE
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの再結成第1弾となる
3rdアルバム。スタイル的な変化はあまりなく、良く言えば
再結成としては望むべく姿と言うか、悪く言えば進歩がないと言う
感じだ。楽曲によってはあまりスラッシィな感じを
受けないものもあるが、スラッシィなアティテュードを持っている
バンドで、ザクザクとしたリフ等は中々気持ちが良い。楽曲の
出来、演奏ともまずまずだし、メロディとリフの配分も悪くなく、
結構聴き応えのあるアルバムだ。METALLICAの
インストルゥーメンタル作品を思い出させる様なPrideland等は
扇情的で格好良い。[83]
LIVE TRAX / MEGADETH
アメリカのスラッシュ・メタル・バンドの来日記念盤の
ミニ・ライヴ・アルバム。1995年と1997年に行われたアメリカでの
公演からピック・アップされたもので、元々上手くない
DAVE MUSTAINEのボーカルは尚更しょぼいか、それを除いた
ライヴ・パフォーマンスは流石と思わせるものがある。初期の
名曲、Peace Sellsを追加収録しているのもポイントが高い。
演奏、プロダクションとも状態は良いし、DAVE MUSTAINEの
ボーカルがもう少し状態が良ければ完璧だったが、それなら
ミニ・アルバムと言わず、フルレンスで出して欲しい気もする。
[82]
UP THE ROSE / MENTORS
アメリカのハード・コア/パワー・メタル・バンドの1986年に
リリースされたアルバム。覆面3人組のB級お下劣バンドで、
ジャケットにもそれが良く現れているが、サウンド自体はそこから
受ける印象とは違い、ギター・メロディは意外にしっかりしていて
聴き応えがある。全体的にミドル・テンポ中心のワイルドで骨太な
サウンドで、ロックンロール調ののりの良い作品となっている。
但し、チープな感じがするのはどうしてもいがめないし、
EL DUCEのボーカルもかなりしょぼい。出来も良いとは言い
難いが、趣味のかなり分かれるところかも知れない。[74]
YOU AXED FOR IT! / MENTORS
アメリカの覆面3人組みによるB級
ハード・コア/ヘヴィ・メタル・バンドの1985年にリリースされた
アルバム。下品な感じを紛々と匂わせるEL DUCEのボーカルと
ワイルドな感じが強くする楽曲は、それなりにマッチしている。
万人受けする様な洗練さはまるでないが、バンドの特色とパワーを
強く感じさせてくれる。楽曲は勢いがあって、出来も
悪くないので、B級的な芋臭さはともかく、そののりは十分に
楽しむ事が出来るはずだ。1990年代に入って以降の比較的新しい
ボーナス・トラックは、こういう勢いが感じられず、面白味に
欠ける。[77]
THE MEMORY REMAINS / METALLICA
RELOADからの1stシングルで、タイトル・トラック以外に既発曲の
バージョン違いが5曲という構成だ。完成前のバージョンという
何故音源としてリリースするのか良く判らないFuel For Fireや、
The Memory Remainsのデモ・バージョン、Memory等はわざわざ
買って聴くまでのものではない。King Nothingのtepid mixは
テクノっぽい風味を加えたもので、For Whom The Bell Tollsを
インダストリアル風に処理したhaven't heard it yet mixと
並んで、確かに面白いことは面白いが。この作品で一番肝心なのは
カットされた部分も丸々収めた、The Outlaw Tornの
完全版ともいえるバージョンだが、長すぎるというのが実際で、
アルバムの方がコンパクトにまとまっていて良い。[74]
THE UNFORGIVEN II / METALLICA
来日を畑下ばかりのMETALLICAの来日記念シングル。
シングル・カット・ナンバーのタイトル・トラックの他は昨年
行われたギグでの模様を収めたライヴ4曲に、デモ1曲と言う
構成だ。The Unforgiven IIのデモはMETALLICAのデモ音源に多い、
ボーカル・パートを入れる前のもので、その手のもとしてはかなり
完成度があるのだが、やはりわざわざ入れるほどのものではない。
ライヴはThe Thing That Should Not Beに、RELOADから
The Memory Reamins、No Remores、Am I Evil?と言う
構成になっている。特にNo RemorseからAm I Evil?にかけての
展開はやはり格好良いと思う。[79]
CRYPTIC WRITINGS + LIVE TRAX II / MEGADETH
アメリカのスラッシュ・メタル・バンドの最新作にレア・トラック
CDを付け加えた2枚組みのアルバム。レア・トラック集を買う位の
ファンならば、当然既にCRYPTIC WRITINGSを買っているファンが
ほとんどのはずなので、もう一枚買わされるという相変わらず東芝
EMIお得意のファン泣かせの企画盤だ。追加CDの方は7曲中、5曲が
ライヴで、残りの2曲がAlmost Honestのミックス違いだ。ライヴの
方はさすがMEGADETHという感じで、絶賛された日本公演を思い
起させる。Almost Honestは両方ともインダストリアル風に手が
加えられており、ボーカル、ギターはほとんど入っていない。
特にenvironmental science mixは非常にダンサブルに
仕上げられていて不思議な感じがする。[83]
DEAD AGAIN / MERCYFUL FATE
デンマークのヘヴィ・メタル・バンドの再結成第4弾となる
アルバム。従来からのシアトリカルなサウンドをより煮詰めた
サウンドはこのバンドならではのものと言って良いだろう。
相変わらずのKING DIAMONDのエキセントリックなボーカルが
あまりにも強烈な個性のため、それ以外の部分にあまり
耳がいかないのが、このバンドの不幸とも言えるが、それ故の
存在感があるのも事実だ。バックのいかにもヘヴィ・メタルらしい
サウンドが結構良いと思えるだけのものがあるのだが、残念ながら
ボーカルに自己主張に負けてしまっていて、あまり
表立ってこないのが残念だ。[78]
BAY AREA THRASHERS / METALLICA
スラッシュ・メタル界の大御所の初期のデモ音源に歓声をかぶせた
擬似ライヴ・アルバム。1982年に録音されたもので、どういう
経緯か判らないが、音源の権利関係で正規盤としてリリースされ、
現在裁判中の様だ。デビュー前にバンドを離れた、MEGADETHの
DAVE MUSTAINEもまだ在籍しており、CLIFF BURTONもバンドに
加入する前のオリジナル・ライン・アップの頃で、確かに
音源としては貴重だろう。デビュー前の音源だけに当然とも
言うべきか、とにかく録音状態は悪く、あまりお奨め出来ない
代物だ。その一方で演奏は荒々しいが意外ときっちりしており、
音の悪ささえ気にしなければそれなりに聴ける。ほとんどの楽曲は
デビュー盤に収録されており、珍しい曲はThe Mechanixだけだ。
[64]
FUEL / METALLICA
アメリカのスラッシュ・メタル・バンドのアルバム、RELOADからの
3rdシングル。シングル・カットのタイトル・トラック以外に
ライヴが4曲、デモが1曲と言う、全6曲の構成となっている。
Fuelのデモ・バージョンのボーカル・パートは、いつものデモと
言った感じの歌になっていないものではあるのだが、演奏は
幾分ちゃんとしている。ライヴはFuel、Sad But True、
Until It Sleep、Oneと新し目のアルバムから1曲づつと言う
選曲で、旧来のファンには少し残念かもしれない。ただまぁ、
ライヴ音源としては、悪い内容ではないし、それなりに聴ける。
[80]
EN NAVIDAD / MEDINA AZAHARA
スペインのヘヴィ・メタル・バンドの1995年にリリースされた
シングル。いわゆるクリスマス用の企画盤と言ったところで、
Cantad Todosでは、ギターはアコースティックだけだったりと、
あまりハードさを感じさせるようなものではない。クラシックを
交えてきたり、少年合唱を交えてきたりと、どちらかと言うと
じっくり聴かせるような作品になっている。全体的にボーカルが
全面に押し出されていて、その分スペインのバンドらしい巻き舌の
ボーカルが気になる人には少し辛いかもしれない。決して悪い
作品ではないが、あくまでも企画盤と言う域を脱してはいない。
[77]
FINE LINE / MESSAGE
アメリカのヘヴィ・メタル・バンド、元PROPHETのボーカリスト、
DEAN FASANOの2ndプロジェクト・アルバム。元々は1980年代初頭に
DEAN FASANOと現BONJOVIのRICHIE SAMBORAが中心となって
活動していたバンドで、その後ALEC JOHN SUCH等も参加していると
言う、今を思えばかなり凄いバンドではあったが、結局成功する事
無く消えていき、この度DEAN FASANOのプロジェクトとして
蘇った。実際にはボーカル以外はDEPARTUREのMIKE WALSHが
ほとんど演奏している。方向的にはPROPHETやBON JOVI等よりも
更に甘口でポップな産業ロック的なハード・ロック作品だ。やや
甘すぎると言う感じを受けなくもないが、叙情的でキャッチーな
メロディは良く出来ている。DEAN FASANOの透ったボーカルも
楽曲のイメージに良く合っている。[85]
FIRSTINGREEN / MESCARBONIC
詳細は全く不明だが、ゴシック・メタル・バンドの恐らく自費出版
アルバム。女性ボーカルを全面に押し出したスペイシーな雰囲気の
漂うゴシック・メタルで非常に独自の雰囲気を持っている。
エコーをかけまくったサウンドに非常に透ったANDREA DATWYLERの
ハイ・トーン・ボーカルが淡々と歌い上げる様は、非常に印象的で
面白い。プログレッシヴ・ロックとでも言える様な雰囲気の中にも
何かおどろおどろしさを感じさせるものがあり、それがこの
バンドのオリジナリティとなっている。全体的に同じような感じで
淡々と進んで行くので、短調とも言えなくはないし、楽曲の出来も
諸手を挙げる程でもないのだが、自らのアイデアをうまく
表現している。この手のものではニュー・ウェーブ系に
入るだろうが、それだけで終わっておらず、ゴシック・メタル的な
エッセンスが良く出ている。ANDREA DATWYLERの美しいボーカルが
印象的で非常に美しい。[86]
THE VERY BEST OF MEAT LOAF / MEAT LOAF
アメリカ人ロック・シンガーの2枚組みベスト・アルバム。
日本では今一つ認知度が低いが、地獄のロック・ライダーを
始めとする大ヒットを飛ばしているシンガーだ。その音楽性は
邦題とは裏腹に、非常に叙情的で、これこそロック・オペラと
言える様な非常にドラマティックな楽曲を産み続けている。この
ベスト・アルバムでは、当然それらのヒット曲を網羅しているし、
初心者入門者にはもってこいだろう。SAVATAGEがオペラと言う
キーワードを関連付けて語られる事が多いが、それよりももっと
オペラ的と言っても良いくらいだ。ピアノ等をふんだんに取り
込み、切々と歌い上げる様は見事としか言い様がない。
Home By Now/No Matter What、Is Nothing Sacred、
A Kiss Terrible Thing To Wasteと言う新曲が含まれているが、
その方向性、質は全く変わりない。大仰過ぎてやや満腹と言う
感がなくもないが、出来自体は素晴らしい。[86]
CHAOSPHERE / MESHUGGAH
スウェーデンの変態スラッシュ・メタル・バンドの3rdアルバム。
ブルータリティでプログレッシヴ・デス・メタルと言うか、
テクニカル・デス・メタルにも通ずる部分もあるが、
JENS KIDMANのボーカルは、ヘヴィネス的であっても、決して
デス・ボイスではない。変則的なリフにテクニカルな演奏は激烈と
言える様な凄まじさがあり、一種、驚嘆に値する。こういう
テクニカル・ロック的なスラッシュ・メタルは趣味によって評価は
分かれそうだが、まさしく破壊的なアルバムと言って良いだろう。
各メンバーの演奏力もあるからこそ、作り上げる事が出来た
世界だ。[83]
TURN THE PAGE / METALLICA
アメリカのスラッシュ・メタル・バンドの2枚組み
カバー・アルバム、GAREGE INC.からのシングル。
シングル・カットのタイトル・トラック曲の他に、ライヴが4曲と
言う構成になっている。しかし、LARS ULRICHがドラムが満足に
叩けない様な状況では、こういう音源を収められても
興ざめするばかりだ。Bleeding Meの様なスローなナンバーなら
まだ我慢できるが、Damage Inc.を収める気になったのはかなり
疑問だ。その他、GARAGE INC.に収められている、QUEENの
Stone Cold Crazy、KILLING JOKEのThe Waitが収められている。
コレクターズ・アイテム以上の価値は見出し難いシングルだ。[75]
METAL CHURCH / METAL CHURCH
アメリカのスラッシュ・メタル・バンドの1985年にリリースされた
デビュー盤。方向的にはかなりパワー・メタルよりで、扇情的な
メロディが特徴的なスラッシュ・メタルだ。後に仲たがいし、
袂を分かち、REVERENDを結成したDAVID WAYNEのボーカルは、
非常にパワフルで雰囲気を盛り上げており、中々良い出来だ。
デビュー以前にコンピレーションのMETAL MASSACREシリーズの
Vにも参加していたが、この時のボーカルはかなり
酷いものであっただけに格段の進歩と言えるだろう。
KURDT VANDERHOOFの作る楽曲は、非常に緊迫感に満ちていて
素晴らしい。最後のDEEP PURPLEのカバー、Highway Starは
やらなかった方が良かったのではないだろうか。[85]
GARAGE INC. / METALLICA
アメリカのスラッシュ・メタル・バンドの2枚組みの
カバー・アルバム。DISC 1は新録のみで、DISC 2は過去のカバー
音源を収めたものだ。1987年にリリースされたが、廃盤になって
中古市場で高値で取り引きされていたミニ・アルバム、
THE $5.98 EP GARAGE DAYS RE-REVISITEDも全てリマスターされて
収録されている。新録はこれまでのカバーから比べると、かなり
幅広い選曲となっている。DISC 2に収められているQUEENの
Stone Cold Crazy等、これまでもヘヴィ・メタルだけに
拘らずやっていたが、今回はBOB SEAGERのTurn The Pageや
LYNYRD SKYNYRDのTuesday's Goneとより幅広い選曲だ。
方向的には、LORDやRELORDの音楽性をそのまま引き継ぎながらも、
アップ・テンポの楽曲が入る事によって、よりヘヴィな印象を
受けるものになっている。DAIAMOND HEADのIt's Electircや
HOLOCAUSTのThe More I Seeをやっている辺りも彼等らしい。[83]
LIVE / METAL CHURCH
アメリカのスラッシュ・メタル・バンドのライヴ・アルバム。
先頃、オリジナル・メンバーで再結成されたが、これはその
メンバー編成でかつて行われた、1986年のアメリカでのライヴの
模様を収めた音源を発掘したものだ。昨年、1994年に行われた日本
公演の模様を収めたライヴ・アルバム、LIVE IN JAPANを
発表したが、音の悪さ等から評判が悪かった。一方こちらは録音
状態も悪くないし、2ndアルバム発表後と言う、最もバンドに
勢いがあった時期のものだけに、ライブから溢れ出すエナジーは
凄まじい。この後、袂を分かつ事となるDAVID WAYNEのボーカルも
迫力に満ち溢れている。[85]
WHISKEY IN THE JAR / METALLICA
アメリカのスラッシュ・メタル・バンドの2枚組み
カバー・アルバム、GARAGE INC.からの2ndシングル。
シングル・カット曲である、タイトル・トラックのTHIN LIZZYの
カバー曲、Wiskey In The Jarはアルバムと同バージョンなので、
取りたててどうこう言う事もないが、それ以外に最早常套手段とも
言えるライヴを5曲収めている。特に注目されるのは、
N.W.O.B.H.M.のカバーが中心だと言う事だろう。BLITZKRIEGの
Blitzkrieg、DIAMOND HEADのThe Prince、SWEET SAVAGEの
Killing Time等、METALLICAのファンにもなじみのある楽曲だ。
非常に興味深くはあるのだが、相変わらずLARS URLICHのドラムは
酷く、もっと昔にやっていればとかそういう感慨の方が先に
立ってしまう。[78]
THE DARK / METAL CHURCH
アメリカのスラッシュ・メタル・バンドの1986年にリリースされた
2ndアルバム。オリジナル・メンバーでは最後の作品となる
アルバムで、BRESSING IN DISGUISEと並ぶ傑作と言って
良いだろう。Watch The Children Prayと言ったメロウでダークな
ナンバーと激しいナンバーによるコントラストは、次作の
BRESSING IN DISGUISEに引き継がれ、そのスタイルの完成を見る
事になる。スラッシィなリフの中にも、独特のメロディを
盛り込んだ楽曲は、味わい深くて、魅力がある。DAVID WAYNEの
ボーカルを始め、演奏の出来も良いし、楽曲は素晴らしいし、聴き
逃せないスラッシュ・メタルの傑作だ。[87]
9 / MERCYFUL FATE
デンマークのヘヴィ・メタル・バンドの7thアルバム。
音楽的には、KING DIAMONDのボーカルを始め、これまでの
シアトリカルでおどろおどろしい方向性には変わりないのだが、
これまでの作品より変則的でリフ等中々ユニークだ。この
バンドらしい演出的な部分はかえって薄まったと言う感じがして、
よりストレートなメロディ・ラインとダークなリフが
中心となっている。そのため、従来より勢いと一風変ったのりが
感じられ、バンドにとっても新機軸と言う感じがする。これをどう
評価するかによって作品的価値は変って来るかも知れないが、出来
自体は悪くない。[82]
AGE OF FOOLS / MENNEN
元ZINATORAのボーカリスト、JOSS MENNEN率いるオランダの
ヘヴィ・メタル・バンドの3rdアルバム。
メンバー・チェンジにより、ギタリストにHILLE、ベーシストに
ALEX JANSENが加入している。甘くポップなメロディを
配しながらもヘヴィなアルバムを作り上げて来たこれまでと
比べると、ポップな部分が大きく減退し、よりエッヂの効いた
ハードなサウンドとなっている。これまでのファンからすると、
そう言った方向性が受け入れられないと、かなりきついかも
知れない。出来自体は、完成度も高いし、中々素晴らしい
アルバムではあると思うが。[82]
MASTERPEACE / METAL CHURCH
アメリカのスラッシュ・メタル・バンドの
オリジナル・メンバーによる再結成第1弾アルバム。
オリジナル・メンバーと言いながらも、既にCRAIG WELLSは
脱退しており、JOHN MARSHALLが復帰している。その
性もあってか、どちらかと言うと方向的は後期の
THE HUMAN FACTORの頃のような印象を受けるし、楽曲によっては
MEGADETHの様な感じがする場合もある。その分、THE DARKや
BLESSING IN DISGUISEで感じられた緊迫感がほとんどないのが
残念だ。楽曲の出来は決して悪くないし、それなりに
聴きどころはある作品だとは思うが。[80]
DIE, DIE MY DARLING / METALLICA
アメリカのスラッシュ・メタル・バンドのカバー・アルバム、
GARAGE INC.からのシングル・カット。タイトル・トラックの
シングル・カット曲に、ライヴを収録した、BLACK SABBATHの
カバー、Sabbra CadabraとMERCYFUL FATEのカバー、
Mercyful Fateの3曲入りとなっている。最近のバンドの方向性と、
ライヴでのLARS ULRICHのドラミングの酷さから、個人的には聴く
価値が激減していたのだが、この作品ではメタルよりの
カバーなのでまだ聴ける。LARS ULRICHのドラムも全く問題がない
訳ではないが、Sabbra Cadabra等はミドル・テンポだし、まだ
聴ける方だ。[79]
RISK / MEGADETH
アメリカのスラッシュ・メタル・バンドの8thアルバム。
方向的には大きな変更が見られ、スラッシュ・メタル的な色合いは
ほとんど無くなったと言って良いだろう。Ecstasy等は、
これまででは考えられないほどキャッチーなメロディの
楽曲ではあるが、ベースとなる楽曲のメロディ・ライン自体は
前作の延長線上言えるものだ。ただし、プロダクション的に大きく
変っており、バイオリンを入れ的たり、ゴシックやテクノっぽい
味付けがされていたりと、大胆な音作りが試みられている。
旧来からのファンからすると、賛否両論が分かれる
問題作ではあるだろうが、そのアティチュードは中々面白い。[86]
TANGER / MEDINA AZAHARA
スペインのベテラン・ヘヴィ・メタル・バンドのアルバム。
MANUEL MARTINEZのスペイン語特有の巻き舌を生かした、土着
民謡風の一風変ったメロディはここでも健在で、変らぬ姿を変らず
見せてくれている。楽曲の出来も良いし、これまでの
ファンならば、安心して聴いていられる内容に仕上がっている。
当然、全曲スペイン語である訳だが、このバンドにとっては、
これこそが自然でありのままの姿なのだ。この独特の世界が
聴けないならば、この作品も受け付けないだろう。こぶしの効いた
ボーカルの不思議な世界が郷愁をより一層引き立てている。[83]
INNER WAR / MEGACE
詳細は全く不明だが、ドイツのテクニカル・ロック・バンドの
アルバム。この手のものとしては、最もヘヴィ・メタル色の強い
作品で、テクニカル・ロックらしい複雑な演奏と、
ヘヴィ・メタルらしいエッヂの立ったサウンドは、妙な
味わいがある。女性ボーカリストのMELANIE BOCKの歌唱は、
しゃがれた低音部と伸びのある高音部でなっており、非常に
エキセントリックで独特の雰囲気を作り出している。こう言う
方向性を行っているだけに、演奏的なレベルには問題無いし、
パワフルで迫力のあるボーカルも良い味わいがある。適度に
フックがあってオリジナリティもあるし、もう少し楽曲の面白味が
増せば、一般受けはしないかも知れないが、かなりの作品を
作れるだろう。[84]
S & M / METALLICA
アメリカのスラッシュ・メタル・バンドの2枚組みライヴ盤。
昨年、サンフランシスコで行われた、
サンフランシスコ・シンフォニー・オーケストラとの
コラボレーションによるライヴを録音したものだ。言わば単発的な
企画ライヴと言えるものだが、DEEP PURPLEのそれの様な専用の
曲を作るわけではなく、自らの楽曲を見事に
オーケストラ・アレンジしている。彼等のダークなサウンドは、
意外にオーケストラに映えており、中々面白いライヴ盤に
仕上がっていると言って良いだろう。演奏的には、LARS ULRICHの
ドラミングも特に問題ないし、オーケストラが単なる
バックになってしまっていないところにも好感が持てる。[87]
THE POWER OF THE NIGHT / METROPOLIS
カナダのロック・バンドのデビュー盤。PETER FREDETTEと
シンガー・ソング・ライターのSTAN MEISSNERによるコンビで、
PETER FREDETTEがボーカルとベース、STAN MEISSNERがギター、
キーボード、ベースをこなしている。方向的にはAORセンス溢れる
ロック・アルバムで、非常に洗練されたアルバムに
仕上がっている。産業ロック然とした作品で、演奏、楽曲面でも
良く出来ているし、PETER FREDETTEの張りのあるボーカルが良く
合っている。全体的にミドル・テンポ中心で、カナダの
バンドらしい爽やかで叙情的でキャッチーなメロディは中々良く
出来ている。[83]
OUTSIDE LOOKING IN / MESSAGE
アメリカのハード・ポップ・バンドのアルバム。元々は、
元PROPHETのボーカリスト、DEAN FASANO、現BONJOVIの
ギタリスト、RICHIE SAMBORA、元BON JOVIのベーシスト、
ALEC JOHN SUCHと言った、今思えば層々たるメンバーで結成された
バンドだが、成功する事無く解散し、それぞれPROPHET、
BON JOVIへと分かれて活動する事になった。このアルバムはその
DEAN FASANOがプロジェクト的に再結成したバンドで、今作では
HEATLANDのSTEVE MORRIS、CHRIS OUSEY等を迎えて
制作されている。HEARTLANDの二人は、楽曲作りにはほとんど
関与していないので、それ程HEARTLANDっぽさはなく、叙情的で
愁いを含んだ、ミドル・テンポのメロディアス・ロックと言った
感じの作品に仕上がっている。楽曲の出来は素晴らしく、
DEAN FASANOの透ったボーカルに、STEVE MORRISの甘い
ギター・メロディが実に良い感じだ。[86]
LESSONS / MESSAGE
アメリカのハード・ポップ・バンドの1982年にリリースされた
ミニ・アルバムにボーナス・トラックを付けて再発したもの。
元PROPHETのボーカリスト、DEAN FASANO、現BONJOVIの
ギタリスト、RICHIE SAMBORA、元BON JOVIのベーシスト、
ALEC JOHN SUCHと言った、今思えば層々たるメンバーが無名時代に
活動していたバンドだ。前回の再発から、更に2曲ボーナスが
追加されているが、これは1998年に録音されたもので、当然
RICHIE SAMBORAもALEC JOHN SUCHも参加していない。両方とも
アルバムから漏れた楽曲だけあって、得にどうと言う事のない
楽曲だ。[85]
CAPITOL PUNISHMENT / MEGADETH
アメリカのスラッシュ・メタル・バンドのベスト盤。タイトルが
示す通り、長年在籍してきたキャピトル・レコードからの初の
ベストで、最後の作品でもある。新曲が2曲、と編集ものが1曲で
残りは全て既発音源と言う構成になっている。ギタリストの
MARTY FRIEDMANが脱退し、AL PITRELLIに交代した事が
音楽的にどう影響するのか興味深いところだが、新曲は両曲とも
DAVE MUSTAINEだけで書いた曲と言う事もあってか、往年の
MEGADETHと言った感じの楽曲となっている。そう言う意味では
最近の変化から揺り戻したと言う感じだが、それは致し
方ないのかも知れない。シークレット・トラックとして、
これまでの楽曲を切り張りしてコラージュしたものが
収められているが、さして面白いものではない。[82]
LONG WAY FROM HOME / MELODICA
アメリカのハード・ロック・プロジェクト・バンドのデビュー盤。
元DANGER DANGER、BONE MACHINEのボーカリスト、TED POLEYと
ギタリストのGERHARD PICHLERを中心としたプロジェクトで、その
他にSHOTGUN SYMPHONYのキーボード、CHARLIE CALV、NORWAYの
リズム隊であるJOE SLATTERY、MARTY BRASSINGTON等が
参加している。どうもこう言う緩やかな楽曲にTED POLEYに
合っていないのか、さして上手いと言える人でないだけに少し粗が
感じられる。楽曲は特別面白いと言う程のものでもないが、
メロディアスで叙情的で悪くない出来なだけに、TED POLEYの
ボーカルが改善すればもう少し良い作品になったと思うのだが。
[79]
THE WORLD NEEDS A HERO / MEGADETH
アメリカのスラッシュ・メタル・バンドの3年振りとなる
9thアルバム。ギタリストのMARTY FRIEDMANが脱退し、
元SAVATAGEのAL PITRELLIに交代したが、楽曲的には
クリエイティヴ面での支柱はDAVE MUSTAINEであっただけに、
それ程大きな影響はなかったと言っても良いだろう。レコード
会社を移った事も、前作での非常にキャッチーな路線変更を
考えると、昔に揺り戻した感じで、却って良い結果となっている。
と言っても、インテレクチュアル・スラッシュと呼ばれた初期の
複雑さはなく、あくまでもキャッチーさをより押し出した
COUNTDOWN TO EXTINCTION以降の路線と言えるもので、
MARTY FRIEDMAN加入後の彼等が好きな人には受けるだろう。
[82]
HEAVY METAL CHAINSAW / METALUCIFER
日本のブラック・メタル・バンド、SABBATのベーシスト、
GENIEZOLUZIFERを中心としたプロジェクトの2ndアルバム。
方向的には当然ながらこれまでと全く変わらず、いかにも
1980年代のヨーロピアンB級メタルと言った楽曲が並んでいる。
当然それを狙ってやっている訳で、芋臭いメロディが嫌いだと
辛いかも知れないが、好事家にはたまらない作品だ。
インストルゥーメンタルのMetalucifer(Part II)等は完全に初期
IRON MAIDENそのものと言った感じで、芋臭さが減じているのが
残念だが、素晴らしい出来だ。彼等のと言うよりは、昔の
ヨーロピアンB級メタルのファンなら聴いて決して損はない。[85]
RARETRAX / MESHUGGAH
スウェーデンのスラッシュ・メタル・バンドのレア・トラック集。
ギタリストのFREDRIK THORDENDALを中心とするバンドで、彼の
変態的なテクニカルな演奏が持ち味と言って良いだろう。この
作品でもそう言う演奏が聴かれるが、楽曲的にはそれ程派手さは
感じられない。楽曲的にはMETALLICA的なところもあるが、やはり
一筋縄では行かないところがあって、プログレッシヴな
味わいがするアルバムに仕上がっている。デビュー・シングルから
始まって、極最近の音源まで幅広く収められているが、それ程
統一感は損なわれていないし、出来自体も決して悪くない。[80]
METAL ON METAL / MEPHISTOPHELES
日本のヘヴィ・メタル・バンドの復活作となるデビュー盤。ほぼ
全盛期のメンバーと言って良いが、ドラマーだけはゲストで
凌いでいる。方向的には正統派メロディアス・ヘヴィ・メタルで、
楽曲によってはややシアトリカルな部分も聴かせてくれている。
ボーカリスト、梅原"ROB"一浩のボーカル・スタイルは、まさしく
UDO DIRKSCHNEIDERそのもので、迫力が感じられるヒステリックな
だみ声のシャウトを聴かせてくれており、和製ACCEPTと
言ったところだろう。このボーカルにはやや好き嫌いが
分かれるかも知れないが、その勢いと重厚なメロディは日本の
バンドとしてはトップ・クラスと言って良いだろう。バンド
解散後、梅原"ROB"一浩が結成したERASER HEADの当時のライヴ
音源も4曲含まれており、ここでは現ANTHEMのギタリスト、
清水昭男や元Xのベーシスト、TOSHI等がプレイしている。[81]
MIRAGE / MEMORY GARDEN
スウェーデンのドゥーム・メタル・バンドの4thアルバム。
方向的にはCANDLEMASS型のシアトリカルなドゥーム・メタルと
言えるもので、STEFAN BERGLUNDのボーカルも、
MESSIAH MARCOLINをかなり意識していると思わせる様な歌唱を
聴かせてくれている。今作ではややアップ・テンポの作品
作りがなされており、SANCTUARYを思わせる様なエッヂが
感じられ、聴き応えがかなり出て来ている。それでも楽曲は散漫な
印象を受け、聴いていて間が中々持たない部分もある。アイデアは
悪くないし、アレンジ面でもう少し良くなれば、かなり
面白いものが出来ると思うのだが。[79]
CIRCLE OF LIVE / MENNEN
オランダのヘヴィ・メタル・バンドの初のライヴ盤。元ZINATORAの
ボーカリスト、JOSS MENNEN率いるバンドで、2000年に行われた
ベルギーでの公演の模様を収めたものだ。加入したばかりの
ギタリストのHILLEが脱退しており、ギタリストは
ツイン・ギターからERIC VAN DE KERKHOF一人になっている。
最新作でポップさよりもエッヂの効いた作品作りを
重視していたが、このライヴではその音楽性の変化をそのまま
ライヴに持ち込んだと言って良いだろう。よりヘヴィでエッヂの
効いたサウンドで、ライヴでののりの良さを引き出している。[82]
RUDE AWAKENING / MEGADETH
アメリカのスラッシュ・メタル・バンドの2枚組のライヴ盤。
2001年に行われたアメリカでの公演の模様を収めたものだ。非常に
良くのりが出ており、勢いと緊張感が感じられるライヴ作品だ。
最近のスタジオ盤では予想を越えてくるものがなく、今一つ
インパクトに欠ける様に感じられたが、ライヴの生々しさがそう
言った楽曲にも息吹を与え、実に格好良く感じられる。彼等の
ライヴの良さが良く出ており、秀逸なライヴ作品に
仕上がっていると言って良いだろう。DAVE MUSTAINEの病気で
バンドは解散してしまったが、最後にこう言う作品を出されると
非常にもったいなく思える。[87]
MECCA / MECCA
アメリカのハード・ロック・バンドのデビュー盤。
JOE "JV" VANAと元TRILLION、LE ROUX、ROROのボーカリスト、
FERGIE FREDERIKSENのダブル・ボーカルを擁し、元TOTOの
ベーシスト、DAVID HUNGATE等が参加している。中心人部である
JOE "JV" VANAがかつてJIM PETERIK AND WORLD STAGEの
メンバーで、JIM PETERIKと共作した楽曲を
録音しようとしたところから始まったバンドだけに、SURVIVOR的な
メロディを持った楽曲が多い。ただし、全体的にもっと爽快感を
押し出したプロダクションになっており、SURVIVOR程ハードさは
感じさせない。演奏もしっかりしているし、メロディも流石と
思わせるものがあり、高品質の産業ロック系のアルバムに
仕上がっている。[83]
TIERRA DE LIBERTAD / MEDINA AZAHARA
スペインのヘヴィ・メタル・バンドのアルバム、
TIERRA DE LIBERTADからの1stシングル。アルバムの
タイトル・トラックでもある、シングル・カット曲に、
Si Cierro Los Ojosのバージョン違いの全2曲と言う
構成になっている。スペインのヘヴィ・メタル・シーンにおける、
代表核的な国民バンドだけあって、スパニッシュ・メタルらしい、
Manuel Martinezの巻き舌のボーカルを前面に押し出した、
叙情的でキャッチーなヘヴィ・メタルを聴かせてくれている。
独特の色合いがあるだけに、好き嫌いは判れるだろうが、
この手のバンドとしては最も聴き易いバンドだろうし、出来も
流石と言うところだ。[80]
TIERRA DE LIBERTAD / MEDINA AZAHARA
スペインのヘヴィ・メタル・バンドのアルバム。ストリングを
使った壮大なインストルゥーメンタル・ナンバーのInsomniaで幕を
開けるが、本編が始まればいつもの彼等らしい内容となって来る。
スペイン語の巻き舌を駆使した、ユニークなイントネーションの
ボーカルは独特の臭みを持ち、スパニッシュ・メタル・シーンでも
主流となって行ったスタイルと言えるものだ。サウンド的には
かなりソフトな方なので、やや物足りなさを感じるかも
知れないが、今や国民バンド的な存在なだけあって、その
メロディの質の高さは確かで、安心して聴いていられるレベルの
高さを感じさせる。[83]
EVERBLACK / MERCENARY
デンマークのメロディック・デス・メタル・バンドの
2ndアルバム。音楽的にはオールド・タイプのオーソドックスな
叙情派のメロディック・デス・メタルと言ったところだろう。
憂いを帯びたメランコリックなメロディだが、アップ・テンポで
扇情感を効かせた作品に仕上がっている。唯一旧来のバンドと違う
オリジナリティがあるとすれば、泣き声っぽいコーラスを入れて、
独特の耽美感を醸し出している事だろう。ただ、MIKKELのこもった
パートのデス・ボイスはややそう言った趣に合っていない
気がする。楽曲自体もまずまずなので、こう言った
オーソドックスなものを聴きたい人にはお奨め出来る。[82]
NOW AND FOREVER / MEDUZA
スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。
元LAUDAMUSのギタリスト、STEPHAN BERGを中心としたバンドで、
元FAITH TABOO、MAJESTICのAPOLLO PAPATHANASIOがボーカルを
取っている。方向的にはネオ・クラシカルと言えるもので、内容
自体は正にYNGWIE J.MALMSTEENのフォローワーと言える、影響の
色濃く出たものとなっている。それ故に、オリジナリティは
全くないが、メロディの出来やSTEPHAN BERGのギター・プレイ、
APOLLO PAPATHANASIOの歌唱力は確かで、YNGWIE J.MALMSTEENの
秀逸なフォローワーと言えるアルバムに仕上がっている。[81]
NOTHING / MESHUGGAH
スウェーデンのスラッシュ・バンドの4年振りとなる4thアルバム。
音楽的にはデスラッシュと言えるものだが、スラッシュ・メタル
的なエッセンスは希薄になっており、グルーヴィさを押し出した、
よりヘヴィでラウドなモダンさを感じさせるハード・コア的な
サウンドになったと言って良いだろう。元々プログレッシヴと
言って良い様な、アグレッシヴで変則的なサウンドを
聴かせてくれているバンドだったが、そのジャジーで先鋭的な
音楽性はこれまで同様変わっていない。変拍子で濃密に構築された
サウンドと演奏は強烈で、変態的と言って良い程だ。そう言う
意味ではFREDRIK THORDENDALがいる限り、バンドの本質は
変わらない。[85]
MENIKETTI / MENIKETTI
アメリカのハード・ロック・バンド、Y&Tのギタリスト、
DAVE MENIKETTIによる4年振りの2ndソロ・アルバム。前作では
Y&T的なエッセンスを幾らか取り入れつつも、基本的にはより
ブルーズ・ロック的な作品で、Y&Tとはまた違ったスタンスの
作品だったと言って良いだろう。そう言う意味では、今作は前作の
色合いを残しながらも、よりY&T的な作品となっている事が大きな
特徴だろう。エモーショナルで、Y&Tらしい憂いと叙情性を押し
出しており、Y&Tで演奏してもおかしくない楽曲も多々ある。飛び
抜けた楽曲はないが、全体的な質は高く、Y&Tのファンならば十分
納得の行く作品だ。[85]
UNSPOKEN / MEZARKABUL
トルコのゴシック・メタル・バンドのアルバム。これまで
PENTAGRAMと言うバンド名で活動しており、トルコ国内では
PENTAGRAM名義でリリースしているのだが、海外で同名異バンドが
存在することもあって改名した様だ。音楽的にはゴシック・メタル
的と言うよりもドゥーム・メタルやスラッシュ・メタル的な
エッセンスが強い。民族楽器なども上手く取り入れ、トルコの
バンドらしい、オリエンタルな雰囲気を上手く持ちこんでおり、
Lion's Cage等の独特のうねる様なねちっこいメロディと扇情感は
実に素晴らしいしユニークだ。ザクザクと切り刻むリフも押し
出されていて、メリハリが良く出ているので、ゴシック・メタルは
どうもと言う人にも十分聴けるはずだ。インストルゥーメンタルの
Mezarkabulにおける分厚いキーボード等も非常に良い具合で、
きちんとしたプロデューサーがつけば飛躍的に良くなるはずだ。
[90]
LIVE IN JAPAN! / MENIKETTI
元Y&Tのボーカリスト兼ギタリスト、DAVE MENIKETTIの初めての
ソロ・ライヴ盤。1月に行われた日本での公演の模様を
収めたものだ。ソロ・アルバムからの楽曲だけで
収録されているため、Y&Tと比べるとブルージィで地味な楽曲が
中心となっている。ソロからだけ選曲されていると言うのはソロ
公演と言う性質上正しいと言えるだろうが、やはり過去のY&Tの
名曲も聴きたいと言う気もするし、最後の盛り上がりが欲しいと
言う部分もあるからだ。とは言え、演奏やプロダクションも
良いし、楽曲はしみじみと聴かせてくれて、決して悪い
訳ではない。[82]
ST.ANGER / METALLICA
アメリカのスラッシュ・メタル・バンドの6年振りの8thアルバム。
ベーシスト、JASON NEWSTEDが脱退し、今作より元OZZY OSBOURNE、
SUICIDAL TENDENCIESのROBERT TRUJILLOが加入している。ここ最近
スラッシュ・メタルからやや離れたスタンスを取り、ファンの
失意を買いながらもモンスター・バンドへの道を進んで行った
感がある。今作では一転ヘヴィな音楽性へと移行しているが、元の
スタイルに戻したと言う訳ではない。むしろ最近の
ヘヴィ・ロックの流行の流れに乗り、ヘヴィ・メタル的な芳香性を
強くしながらもモダンさを感じさせるアルバムに仕上がっている。
良くも悪くも時流を取り入れる姿勢において、現在のヘヴィな
音楽性の流行が、かつてのパワーをバンドに吹き込んだ
感じがある。ただ、非常に硬いスネア・ドラムの音は評価の
分かれるところで、...AND JUSTICE FOR ALLでもそうだったが、
何故こう言った音作りをするのか理解出来ない。[84]