KEEP CRAWLIN' IN THE MUD / MUD SLICK
スイスのヘヴィ・メタル・バンドの1994年にリリースされた
デビュー盤。他のヨーロッパの国のバンドと違って、CHINAや
GOTTHARD等、スイスのヘヴィ・メタル・バンドと言うと、
アメリカナイズされたと言う感じを強く受けるのだが、この
バンドもその一つと言って良いだろう。ただ、このバンドは
どちらかと言うと、よりワイルドで骨太なヘヴィ・メタルを
聴かせてくれており、ある意味ジャーマンっぽさや
ブリティッシュっぽさも併せ持っている事だろう。STATUS QUOの
Rainをカバーしているが、アレンジも悪くないしそれなりに
合っている。[80]
CRY INSIDE / MURDOCK
オーストリアのメロディアスなヘヴィ・メタル・バンドによる
1993年にリリースされたデビュー盤。全体的に良質なメロディを
有しており、楽曲自体には欧州のバンドらしい泣きの哀愁を
持っている。パワー・メタル風、ネオ・クラシカル風から泣きの
バラード、アメリカン・ハード・ロック風の楽曲まで多様と言えば
聞こえは良いが、どちらかと言うと多少散漫な感じを受ける
作品となってしまっている。とは言え、一曲一曲をとれば曲自体の
出来は悪くないし、録音は若干チープでSTEVE G.MURDOCKの
ボーカルは安定しないが、それを除けば問題はないだろう。泣きの
メロディは中々良いので、そちらにもっと的を搾ればかなり良い
作品になったのではないだろうか。[79]
FREE WORLD / MUNETAKA HIGUCHI WITH DREAM CASTLE
日本のヘヴィ・メタル・バンドのSLYドラマー、樋口宗孝の
ソロ・プロジェクト・アルバム。参加メンバーは中々豪華で、
STEVE VAIを始め、BILLY SHEEHAN、STEVIE SALAS、DON DOKKEN、
RONNIE JAMES DIO、TRACY G、JEFF PILSON等、果てはKING'S Xの
TY TABOR間で参加している。中々ダイナミックでドラマティックな
内容に仕上がっており、思いのほか引き込む所がある。層々たる
メンバーが参加しているだけに、演奏はもちろんなのだが、楽曲も
意外に良い出来だ。BILLY SHEEHANが曲を書いた、DON DOKKENの
参加しているTell Me Trueだけはやや曲調が違って、今の
DOKKENよりもDOKKENっぽく感じたりもする。[87]
MURDERER'S ROW / MURDERER'S ROW
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1995年にリリースされた
デビュー盤。結局GRAHAM BONETTを失って暗礁に乗り上げた
形となっていたBLACK THORNEのBOB KULICKとJIMMY WALDOが
ボーカリストとして元GIUFFRIAのDAVID GLEN EISLEYを、ベースに
元QUIET RIOTのCHUCK WRIGHTを、ドラムに元HURRICANEの
JAY SCHELLENと言ったメンバーを迎えてバンド名も一新しての
出直しアルバムと言って良いだろう。かなりハードな作品で、
インド調のIndia等、中々ユニークな楽曲もあるが、一方でこれと
言った飛び抜けた曲もないのは確かだ。ただBLACK THORNE同様、
BOB KULICKらしく、エッヂのたった作品でそれなりに
聴きごたえはある。[81]
HAVE A NICE LIF... / MUG-SHOT
ベルギーのハード・コア・バンドのデビュー盤。方向的にはかなり
ごりごりしたサウンドで、この手のものとしても、最も
ヘヴィ・メタル的な作品だ。PETERの怒りを吐きつける様な
ボーカルは、いわゆるヘヴィネス系と言う様な色合いも感じる様な
部分もある。アップ・テンポな楽曲は、非常にパワフルでのりが
良い。ダークな感じのするスラッシュ・メタルと言っても良い様な
作品で、ヘヴィ・メタルのリスナーにも結構受け
入れられるはずだ。ワン・パターンと言う気もしなくはないが、
楽曲の出来も悪くないし、迫力が良く出ていて聴きごたえがある
アルバムに仕上がっている。[81]
KEEP IT TO YOURSELF / MULLMUZZLER
アメリカのプログレッシヴ・メタル・バンド、DREAM THEATERの
ボーカリスト、JAMES LaBRIE率いる、
テクニカル・メロディック・メタル・バンドのデビュー盤。
とは言ってもそこはJAMES LaBRIEだけあって、彼が
歌っているだけで、如何にもDREAM THEATERと言った感じを
受ける。楽曲自体にもそう言った部分がない訳ではないので、
わざわざこのアルバムに入れなくてもと思える部分もある。
しかし、ただ単純にDREAM THEATERを忠実にやったと言う
訳ではない所が、むしろバックのおかず当たりに強く
出ている。その意味からすると、割とボーカル
主体にしていない所は正解だったのかも知れないが、
どうせならもっと割り切ったボーカル・アルバムを
聴いてみたかった様な気もする。[81]
BEYOND THE VALLEY OF THE MURDERDOLLS / MUDERDOLLS
アメリカのヘヴィ・ロック・バンド、SLIPKNOTのドラマー、
JOEY JORDISONを中心としたプロジェクトのアルバム。この
作品では彼は本職のドラムの他に、ベースとギターまで
こなしているが、このバンドでの位置付けはあくまでギタリストと
言う事になっている。方向的にはSLIPKNOTのヘヴィな
エッセンスもありはするのだが、むしろパンキッシュな
ロックンロール的な色合いが強く、グラム・ロックや
ショック・ロックっぽさを感じさせるアルバムに仕上がっている。
そう言う意味では、NEW YORK DOLLSやALICE COOPERの影響が
感じられ、以外にポップさを醸し出していると言って良いだろう。
それ故、中々良くのりが感じられ、中々ユニークで面白いが、
メタル系のリスナーからするとややパンクっぽさが強過ぎるかも
知れない。[83]
THE END OF ALL THINGS TO COME / MUDVAYNE
アメリカのヘヴィ・ロック・バンドの3rdアルバム。この
手のものとしては、いわゆるニュー・メタルと言えるもので、
ザクザクと切り刻むリフ等はかなりスラッシィな感じを
与えてくれており、ヘヴィ・ロックに興味のないメタル側の
リスナーにも十分訴える部分はあるだろう。ときには
ヘヴィ・ロックらしい浮遊感のある憂いに満ちたメロディも
聴かせてくれ、中々味わい部分もある。ドラマティックで
カオティックな楽曲はメロディもあわせて、この手の
ニュー・メタル・バンドとしてはかなりレベルが高いと
言えるだろう。[84]