TURN LOOSE THE SWANS / MY DYING BRIDE
イギリスのゴシック・メタル・バンドの1993年にリリースされた
2ndアルバム。前作ではデス・メタル然とした作品だったが、
今作でははっきりとゴシック・メタル的な方向性を打ち
出しており、初期ゴシック・メタルのシーンにとっても重要な
アルバムと言えるだろう。PARADISE LOSTがどちらかと言うと
ヘヴィ・メタル的な色合いは持ちながらも、耽美色を持ち込んだ
作品作りをしたのに対して、彼等はここでドゥーム・メタル的な
重厚さを入れながらも、その一方でヘヴィ・メタル的な色合いを
排除した、重苦しいまでの静寂感を作り上げている。この極端な
静と重の対比が、まさしく死を思わせる様な世界観を感じさせる。
今作よりAARONのボーカルは、デス・ボイスを少し
残してはいるものの、ほとんどクリア・ボイスのみとなっており、
この裏侘しいボーカルが一層死を感じさせるものとなっている。
そしてもう一つ大きなファクターはMARTINのバイオリンで、この
悲しいメロディが彼等の世界観をより一層引きたてていると言って
良いだろう。全体的に大作主義で、こう言った作品では冗長に
感じる人もいるだろうが、それにしても素晴らしい内容だ。[93]
MYSTERY / MYSTERY
ベルギーのヘヴィ・メタル・バンドの1991年にリリースされた
デビュー盤。元CROSSFIRE、OSTROGOTHのボーカリスト、
PETER DE WINTと元CROSSFIREのドラマー、CHRIS DE BRAUWERを
中心に結成されたバンドだ。方向的には叙情派のメロディアスな
ヘヴィ・メタルで、PETER DE WINTの声質もあって、割と骨太な
感じを受ける作品に仕上がっている。VAN HALENっぽさを受ける
爽やかなThe Land Of Mysteryから、憂いを帯びたナンバーまで、
割とバラエティ豊かな作品に仕上がっている。メロディ・センスの
良さは十分感じられるが、プロダクション的にバランスの悪さが
感じられるのが残念だ。[81]
THE PLOT SICKENS / MYSTIK
アメリカのパワー・メタル・バンドの1992年にリリースされた
デビュー盤。方向的には、かなりアップ・テンポの
オーセンティックなパワー・メタルを聴かせてくれている。
場面によってはかなりスラッシュ・メタル的な要素も見受けられ、
Reflections Of The Dyingのコーラス部等はANTHRAXを思い
起こさせたりもする。とは言え、パワー・メタル的な
ドラマティックさやメロディアスなギター・ソロも残されており、
扇情的で勢いが感じられるアルバムに仕上がっている。攻撃的で
ややヒステリックな感じもするが、楽曲の出来も悪くない。[79]
PERPETUAL BEING / MYSTIK
アメリカのパワー・メタル・バンドの1994年にリリースされた
2年振りの2ndアルバム。前作ではかなりスラッシュ・メタル的な
要素の強いパワー・メタルを聴かせてくれていたが、今作ではその
方向性をかなり修正していて、よりパワー・メタル然とした作品に
仕上がっている。スラッシィなリフはかなり影を潜め、楽曲自体
かなり速かったのだが、それも控えめになった様に感じられる。
とは言え、スラッシュ・メタル的な名残も残っており、適度に
オーセンティックで、バランスは随分良くなった様に思える。
前作ではかなりテクニカルな要素も打ち出そうとしていた様だが、
今作ではそう言う一人よがりの部分も消え、全体的に聴き
易くなった。[81]
TRINITY / MY DYING BRIDE
イギリスのゴシック・メタル・バンドの1985年にリリースされた
アルバム。それまでにリリースされた3枚のシングルから、
アルバム未収録曲を集めた編集盤だ。デビュー当時を除いて、
自らのスタイルを築き上げた後は、このバンドは通常
デス・ボイスはまず使わないのだが、これらに限っては
デス・ボイス中心になっている。楽曲もよりブルータルで
デス・メタル的でアルバム未収禄になったのも当然と
言ったところだろう。このバンドにとっては別面と言った感じの
作品で、静寂感を持ったゴシック・メタル的なサウンドは殆ど
聴かれず、そう言った面を望むならばあまりお奨め出来ない
アルバムだ。[77]
AS THE FLOWER WITHERS / MY DYING BRIDE
イギリスのゴシック・メタル・バンドの1992年にリリースされた
デビュー盤。次作のTURN LOOSE THE SWANS以降で見せる、
陰鬱としたゴシック・メタルの世界とはうって変わって、この
作品はデス・メタルだと言って良いだろう。2nd以降でもたまに
AARONはデス・ボイスを使っていたりしたが、こちらはサウンド
面でもブルータルな展開を持っていて、ゴシック的な雰囲気を持つ
曲はごく僅かだと言って良い。まだ自らの方向性が
固まっておらず、ゴシック・メタルへ傾倒する前のアルバムと
見るのが正しいだろう。これだけ取ると次作以降のファンが
わざわざ聴く必要性はまったくないと言っても過言ではない。[48]
MYSTIC GAME / MYSTIC GAME
イギリスのハード・ロック・バンドのデビュー盤。だが、
方向的にはどちらかというとアメリカン・ヘヴィ・メタル的な
感覚が強く匂う。陽気でエッヂの立ったサウンドで、バラードの
Day Of My Lifeの素朴さも、如何にもアメリカと言った感じだ。
のり中心のストレートなハード・ロックの中にも漂うキャッチーな
メロディは結構扇情的だ。印象的なさびのメロディをコーラスが
更に盛り上げていて印象的である。バラードなどでは高音が奇麗に
伸びて、オーソドックスなボーカルを聴かせているが、その他は
機械的で好き嫌いが分かれそうな感じがする。CARLOS CREATORの
ギターもしっかりとしたテクニックがあり、演奏的には十分な
出来だ。[78]
BACKWARDS / MYSTERY
オランダのハード・ロック・バンドの2ndアルバム。倒産した
MAUSOLEUMからアルバムを出していたCROSSFIREがその前身だ。
前作は適度にポップで適度にメロディアスな、良質の
ハード・ロック作品だったが、今作では若干ヘヴィな
音作りになった様な感じで、メロディックなのは相変わらずだが、
ポップさはかなり減った。このキャッチーさが持ち
味だっただけに、楽曲の面白みでは前作を越えれていない様に
思える。これまでよりもドライヴ感が出ていてのりが良く、決して
悪い出来な訳ではないのだが、残念ながら前作には及ばない。[80]
THE ANGEL AND THE DARK RIVER / MY DYING BRIDE
イギリスのゴシック・メタル・バンドの3rdアルバム。ピアノや
パイプ・オルガン、バイオリンが織り混ぜられたレクイエムの様な
鬱蒼とした楽曲群は気分を一気に暗くしてくれる。また、これらの
楽曲の取り入れかたも実につぼをついていてさすがと思わせる。
バイオリンをふんだんにフューチャーしたスロー・テンポの
楽曲のみで構成されていて、まさにゴシック・メタルの耽美さを
味わえる。気だるく陰鬱で呪術的に語るようなボーカルは、
こういった雰囲気をさらに強めていて、うまいと言う
様なものではないがバンドのサウンドに合っている。とことん
暗くなった分だけ前作より平坦に感じなくもないが、この
バンドならではオリジナリティと言うものが確立されており良く
出来たアルバムだ。[86]
LIKE GODS THE SUN / MY DYING BRIDE
最近躍進著しいイギリスのゴシック・メタル・バンドの
4thアルバム。2ndアルバムのTURN LOSE THE SWAN辺りでは
淡々とした雰囲気があったが、この作品では陰鬱さは
変わらないものの、かなりヘヴィでダークな雰囲気がある。楽曲は
かなりプログレッシヴなところがあり、少々難解だがAARONの
個性的なボーカルがマッチして、独自のスタイルを
作り上げている。バイオリンも時としてかなり前面に
押し出すなど、もこの手のバンドとしてはかなりオリジナリティを
見せている。For My Fallen Angelの様な耽美色を押し出した
部分がもう少しあっても良かったと思うが、それでも十分
良い出来だ。[87]
THE DEATH & DESTINY LP / MYTHRA
N.W.O.B.H.M.バンドの過去の音源をCD化したもの。詳細は良く
判らないが、恐らくDEATH & DESTINY EPやその他の未発表の
音源やらを集めた物だろう。全編を通して素晴らしいと言える様な
レベルの代物ではないが、バラードのThe Death Of A Loved One
等は心に染み入る哀愁の漂ったナンバーで、N.W.O.B.H.M.
ファンならば見逃せない作品だろう。全体的にN.W.O.B.H.M.らしい
わびしさを漂わせたロックンロールで、この手のものとしては
意外とプロダクションはまともな方だ。全体的なレベルも
酷くはないし、B級である事はいがめないものの、すんなり聴ける
良い作品だ。[85]
MYSTIC HEALER / MYSTIC HEALER
アメリカのハード・ポップ・バンド、TOUCHのキーボード、
MARK MANGOLD率いるバンドのデビュー盤。方向的には、如何にも
彼らしい、洗練されたアメリカン・ハード・ポップで、メロディ、
楽曲とも安心して聴いていられるレベルに達している。アダルトな
雰囲気が漂い、じっくりと聴いていられるアルバムに
仕上がっている。TODD GOOGINSの力強い透ったボーカルは見事で、
楽曲に良く映えている。アメリカらしい叙情的なメロディは文句
無いし、プロダクションも良く出来ているので、憂いを含んだ
アメリカン・ハード・ポップが好きならば、結構気に入るはずだ。
[85]
SPHERE OF NEBADDON THE DAWN OF A DYING TYFFERETH / MYTHOLGICAL COLD TOWERS
詳細は全く不明だが、恐らくブラジルの
ドゥーム/ゴシック/メロディック・デス・メタル・バンドの
1996年にリリースされたアルバム。方向的には、初期ANATHEMAに
近い感じもあるが、よりゴシック・メタルさが希薄な作品だと
言って良いだろう。ドゥーミィで混沌とした感じのする
サウンドは、耽美さと言ったところとは無縁だが、荘厳で狂気
溢れるダークな雰囲気は良く出ている。SAMEJのデス・ボイスは
重低音の野太いもので、決してバンドに合ってはいないとは
思わないが、あまり聴き易いものとは言えない。ダークな作品が
好きならばともかく、そうでないならば、あまり聴く
価値はないかも知れない。[78]
34.788%......COMPLETE / MY DYING BRIDE
イギリスのゴシック・メタル・バンドの5thアルバム。これまで、
バンドのサウンドの重要な鍵となっていた、バイオリニストの
MARTIN POWELLが脱退し、その補充をせずにこのアルバムは
作成されたが、その影響が十分感じられる作品に仕上がっている。
旧来のサウンドでは、バイオリンがないとかなり
物足りないものになるだろう事は、バンドの方も判っていたのか、
それとも今作の様な方向性ではバイオリンの必要性を感じられずに
MARTIN POWELLが脱退したのかは判らないが、音楽的な方向の
変化が見られる。今までのドゥーミィなサウンドと比べると、
かなりニュー・ウェーブ的なエッセンスが取り込まれていると
言って良いだろう。しかし、バンドが持つ、ダークな雰囲気は
決して失われておらず、それ程極端な変化は感じさせる事はない。
とは言え、バイオリンの味付けがなくなった事は、何となく
物足りなさを感じさせる部分でもあり、今後こう言ったところを
どう克服していくかが課題だろう。少なくとも、今作の方向性が
継承されるのであれば、パーマネントのキーボードを探す
必要もある。[83]
STILL DREAMS IN VIOLENCE AREAS / MY INSANITY
詳細は全く不明だが、恐らくドイツのゴシック・メタル・バンドの
1998年にリリースされたアルバム。方向的には、Schettlerの
キーボードを前面に押し出した、ニュー・ウェーブ系の
ゴシック・メタルと言えるが、サウンド的にはかなりダークでより
ゴシック・メタル的な雰囲気を湛えている。楽曲は全体的に
テンポが良いのだが、気だるさを湛えていて淡々としているように
感じられる。FAUSTのクリア・ボイスがそう言った感をより一層
強めており、一種独特の雰囲気を作り上げていると言って
良いだろう。ERMISHフックのあるギター等も出る所では
出ているのだが、その一方であまりにも平坦すぎて、盛り上がりに
今一つ欠ける。[83]
THE LIGHT AT THE END OF THE WORLD / MY DYING BRIDE
イギリスのゴシック・メタル・バンドん6thアルバム。前作での
ニュー・ウェーブ的な方向性からすると、昔のドゥーム色の濃い
シンフォニックでメランコリックな方向性へと回帰している。
重厚で重苦しいドゥーム・メタルとシンフォニックな部分を組み
合わせた楽曲によって構成されている。旧来ならば、この
シンフォニックな部分ではバイオリンがかなり活躍する
事になるのだが、前作でMARTIN POWELLが脱退してメンバーを
補充していない事もあって、そのパートをANDREWのギターが
カバーしているのが少し残念だ。ARRONのボーカルは、初期を
除けばクリア・ボイス一辺倒であったのに対して、今作では
デス・ボイスを復活させており、エクストリーム的な色合いが
出てしまっている一方で、グルーヴ感を出すのにも成功している。
旧来のファンには、久々に取っ付き易い作品だと言っても
良いだろう。[85]
VENGEANCE / MYSTIC PROPHECY
ドイツのヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。聴いてみて
VALLEY'S EVEっぽいなぁと言う印象をまず受けたが、それも
そのはずでメンバーはボーカリストはROBERTO DIMITRI LIAPAKISで
ベーシストがMARTIN ALBRECHTだ。パーマネントなキーボードが
居ない分、VALLEY'S EVEの様なプログレッシヴ・メタル的な
色合いがある訳ではないが、楽曲はこの二人が
書いているだけあって、独特の粘着感のあるサビ等共通点は
多いし、ROBERTO DIMITRI LIAPAKISの独特の扇情感のある
ボーカルが一層そう言った感を強くさせている。全体的にレベルも
高いし、VALLEY'S EVEが好きなら聴いて決して損はない。[89]
SOLAR CHILD / MY INSANITY
ドイツのゴシック・メタル・バンドの2ndアルバム。方向的には
ニュー・ウェーヴ系のロマンティック・ゴシック・メタルと
言えるもので、聴き易くて割と不偏的な作品に仕上がっている。
GRIP INC.のギタリスト、WOLDEMAR SORYCHTAがゲスト
参加しており、そう言う意味では後期TIAMAT辺りにも通ずる
部分があるが、もっと淡白な作品と言って良いだろう。それだけに
今一つ灰汁が足りず、インパクトに欠ける作品となっているが、
テクノ・ビート等も入れたりして、面白みも決してない
訳ではない。あまりニュー・ウェーブ的になり過ぎず、
ヘヴィ・メタル的なエッセンスもあるだけに、もう少しフックを
付ける方法を考えた方が良いだろう。[75]
SUPERIOR MASSACRE / MYRKSKOG
ノルウェイのブラック・メタル・バンドの2ndアルバム。この
手のものとしては最もグラインド・コア的な色を出した作品だが、
その一方でサイバー・ブラック的なサウンドを出しているのがこの
バンドの特徴と言って良いだろう。機械的なドラミングとギターの
刻むリフは狂気に満ちており、非常におぞましさを感じさせる。
北欧ブラック・メタルにある荒涼としたメロディはあまり表に
出ておらず、ブラック・メタルっぽさを押し付けて来る事はない。
むしろこの分厚いサウンドとサイバー・ブラック的な音楽性は、
DAVIN TOWNSEND的なエッセンスをブラック・メタルに取り込んだ
様な感じを受ける。[83]
REGRESSUS / MYSTIC PROPHECY
ギリシャのヘヴィ・メタル・バンドの2年振りの2ndアルバム。
VALLEY'S EVEのボーカリスト、ROBERTO DIMITRI LIAPAKIS、
ベーシスト、MARTIN ALBRECHT、DREAM EVILのギタリスト、
GUS G.等によるプロジェクト・バンドだ。楽曲はほとんどが
ROBERTO DIMITRI LIAPAKISとGUS G.による共作で、今作では
MARTIN ALBRECHTはほとんど曲作りにタッチしていない。
音楽的には前作の延長線上と言えるもので、VALLEY'S EVEから
キーボードを外したものと言う印象を受けるところが
大きいのだが、そのためにGUS G.の影響も強まった様に
感じられる。前作ではVALLEY'S EVEとの切り分けが
全くされてなかったのだが、今作ではややオリジナリティが出て
来ている。パワフルでドラマティックなヘヴィ・メタルで、聴き
応えのあるアルバムだ。[83]