THE BIG LIFE / NIGHT RANGER
アメリカのハード・ロック・バンドの1987年にリリースされた
4thアルバム。デビュー当初はギタリストのBRAD GILLISが
OZZY OSBOURNEで事故死したRANDY RHOADSの代わりを務めた事での
方が有名だったが、MIDNIGHT MADNESSのヒットにより、確固たる
地位を築いた。その一方でバラードばかりがヒットした事が大きく
バンドの運命を狂わせたと言って良いだろう。今作では意識的か
ハードな曲を中心としており、唯一バラードとしてHEARTS AWAYが
収められているが、ハード・チューンに今一つ面白みが
欠けており、結局HEARTS AWAYだけが話題になり、次作での解散に
繋がっていったと言って良いだろう。[80]
BLEACH / NIRVANA
アメリカのグランジ・バンドの1989年にリリースされた
デビュー盤。ポスト・パンクの旗手、SUB POPレーベルから
リリースされた唯一のインディ時代の作品だ。このバンドの登場を
期に、アメリカ音楽シーンではグランジ・ブームが吹き荒れ、その
反対にハード・ロック、ヘヴィ・メタルが急速に力を失って行く
事になる。THE BEATLES的なキャッチーなメロディにパンク的な
格好良さ、ヘヴィ・メタル的なヘヴィさと、色々な音楽的
エッセンスの良いところを集めて作られた作品で、確かに面白い
内容だと言って良いだろう。シアトル的なダークさがシリアスさを
出していて、暗い情念を感じさせる。[84]
NEVERMIND / NIRVANA
アメリカのグランジ・バンドの1991年にリリースされた2年振りの
2ndアルバム。この作品の大ヒットでグランジの一大
ムーブメントの幕を開いたと言って良いだろう。パンキッシュで
キャッチーなメロディにヘヴィでダークなサウンドと言う
相反すると思える様な、様々な音楽的エッセンスの
美味しいところを集めたところは、確かにユニークだし、独特の
エナジーを感じさせてくれる。特にシングル・ヒットとなった
Smells Like Teen Spiritはその集大成と言って良い楽曲だろう。
1990年代の音楽シーンに重大な影響を与えた作品と言える傑作だ。
[89]
HORMOANING / NIRVANA
アメリカのグランジ・バンドの1992年にリリースされた
ミニ・アルバム。Smells Like Teen Spiritのシングルに
収められていたAneurysmとEven In His Youth、1990年に
イギリスのラジオ局、BBCで放送されたTHE JOHN PEEL SHOWでの
ライヴ音源4曲の、全6曲と言う構成になっている。ライヴ音源は
全てカバーで、DEVOのTurnaround、THE WIPERSのDー7、
THE VASELINESのSon Of A GunとMolly's Lipsが収録されている。
この中では特にDー7がクールで彼等らしい格好良いカバーで、
一聴の価値はある。とは言えこの作品、現在は廃盤となっており、
かなりの高値で取引されているため入手は難しいかも知れない。
[80]
INCESTICIDE / NIRVANA
アメリカのグランジ・バンドの1992年にリリースされた
レア・トラック集。シングルにのみ収録されていたナンバーを
始め、未発表曲が3曲、廃盤となったHORMOANINGから4曲、
オムニバスにのみ収録されていた2曲、バージョン違い等を含めた
全15曲と言う構成になっている。HORMOANINGでは、最も格好の良い
Dー7が収録されていないのは残念だが、NEVERMIND以降の
ファンとしては、昔の音源を苦労して捜さないで良い分、有り難い
企画だと言って良いだろう。未発表のHairspray Queen、
Aero Zeppelin、Big Long Nowは、特にどうと言う
事のないものだ。[80]
IN UTERO / NIRVANA
アメリカのグランジ・バンドの1993年にリリースされた2年振りの
3rdアルバム。中心人物であるボーカリスト兼ギタリスト、
KURT COBAINの自殺によりバンドは終焉を迎え、この作品が
最後となるアルバムだ。前作でのあまりにも予想外の大ヒットへの
戸惑いが感じられる作品で、前作であったコマーシャル性はかなり
殺ぎ落とされており、ある意味本来の彼等のスタイルに戻ったとも
言えるだろう。ただ、NEVERMIND以降のファンにとっては、
あまりにもクールで内省的過ぎる作品だ。とは言え、Rape Meや
Pennyroyal Teaと言った、Smells Like Teen Spiritで見せた
ロックンロール色の強い楽曲も残っているので、失望すると言う
程でもないだろう。[83]
UNPLUGGED IN NEW YORK / NIRVANA
アメリカのグランジ・バンドの1994年にリリースされたライヴ盤。
MTVの放送用に収録するために、1993年にアメリカで行われた
スタジオ・ライヴの模様を収めたものだ。そのタイトルが示す
通り、全編アコースティック・ギターを中心とした
ライヴとなっている。それから間もなくして、中心人物である
ボーカリスト兼ギタリストのKURT COBAINが自殺と言う悲劇的な
最後を遂げ、バンドの歴史に幕を閉じた後の作品だけに、やはり
感慨深いものがある。彼等の音楽にあるクールさが、
アコースティックで演奏する事により倍化されている。その
一方で、より変化が小さく、聴いていて飽きて来る部分も
なきにしもあらずだ。[82]
FEEDING OFF THE MOJO / NIGHT RANGER
アメリカのハード・ロック・バンドの再結成第一弾だが、
オリジナル・メンバーはBRAD GILLS、KELLY KEAGYの
二人しかいない。最近オリジナル・メンバーで
復活してしまったために、もう既にこのラインナップ多分
存在しないのだろう。しかし、旧来のメンバーが
二人しかいないとはいえ、随分異なったイメージの作品で、何故
これをわざわざNIGHT RANGER名義で出すのか疑問だ。
NIGHT RANGERにおけるJEFF WATSONとALAN FITZ GERALDの役割が
如何に大きかったかということを図らずも露呈してしまった
形になった。やはり別のバンドとして聴くしかないが、ある程度
ポップだし曲自体は悪くないので、それなりには
楽しめるかもしれない。[78]
THE BREATHING SHADOW / NIGHTINGALE
スウェーデンのメロディック・デス・メタル・バンド、
EDGE OF SANITYのボーカル、DAN SWANOの
ソロ・プロジェクト・バンドのアルバム。内容的には
EDGE OF SANITY調の曲をクリア・ボイスで歌う企画という感じだ。
EDGE OF SANITYでもMANOWARのBlood Of My Enemies等を
クリア・ボイスで歌ってるので取り立てて珍しいものと言う
訳ではないが。普通の声で一応ちゃんと歌っているのですんなり
聴けるが、朗読しているに近く、ただでさえ抑揚がない
曲なだけにますます盛り上がりがないのは遺憾ともし難い。[85]
NO CAPITULATION / NIVA
スウェーデンのハード・ロックバンドのデビュー盤。ドラムに
ヘルプとしてEUROPEのIAN HAUGLANDが参加している。ドライヴ感覚
溢れる格好良いLove Is A Killerや、扇情感溢れるサビのDefender
等はなかなか聴きごたえがあって素晴らしい。それら以外は
キャッチーなアメリカン・ハード・ロック風の曲が中心で、
Gamblerのギター・メロディの様にハッとする部分もあるものの、
全体的には落ち着いた感じのまずまずといった所の楽曲が多い。
音が少し古臭くてチープな感じがするのは残念だし、
Love Is A Killer位まで楽曲のレベルが上げるように目指して
欲しい。[85]
NATURAL SURVIVORS / NIGHT WING
元STRIFEのGORDON ROWLEYが1980年に結成したイギリスの
プログレッシヴなハード・ポップ・バンドで、これは1986年に
ユーゴスラヴィアでリリースされた6thアルバムに再結成して
新たに録音された新曲を追加したもの。初期MAGNUMにおような
ポップ・フィーリング溢れるプログレッシヴ・ロックという
感じで、ミドル・テンポ中心で変化に欠け淡々と進む感じがする。
6thアルバムに関しては非常に録音が悪く、それほど取り立てる
内容ではない。新禄に関してはもう少しエッヂのたった
ハード・ロックンロールで、ポンプ・ロック的な部分は消え、
バンドとしての変質が伺える。[75]
NEVAERLAND / NIGHT RANGER
BRAD GILLSを中心に3人組みで再結成されていたが、今回
オリジナル・メンバーによる編成でアルバムがリリースされた。
前回のアルバムは昔のNIGHT RANGERからはかなり離れた
作風だったが、今回はオリジナル・メンバーであっただけに、
作風も昔ながらのものになっている。JACK BLADESのボーカルは
昔のままだし、二人のギター・プレイも往年のNIGHT RANGERを
思い起こさせる。ただ、ほとんど聞こえないキーボードには
ALAN FITZGERALDを連れてきた理由が全く見えないし、楽曲も
それぞれ良い出来ではあるが、昔の名曲を
超えるだけの出来ものはない。Rock In Americaのリメイクも
退屈だが、昔のファンにはそれなりに納得できる出来だろう。
[83]
NO SATISFACTION / NIGHT HAWKS
日本人ギタリスト、青木秀一率いるヘヴィ・メタル・バンドの
1992年にリリースされた3rdアルバム。楽曲的にはミドル・テンポ
中心の楽曲が割と多いが、残念ながら実はこれがあまり
面白くない。むしろスピード・チューンのTake My Heartと言った
楽曲の方がずっと良いし、何故こういう部分をもっと
出さなかったのかは疑問だ。中端途半にアダルトな感じがする上に、
アメリカン・ハード・ロック的な指向があるのに、たまに
ヨーロピアン風の泣きをやったりするのはむしろ散漫な印象を
受ける。出来自体は特別悪い訳ではないのだが、とりたてるものも
ない。[68]
POWER OF LOVE / NIGHT HAWKS
青木秀一率いる日本のヘヴィ・メタル・バンドの1994年に
リリースされたアルバム。どう言う心境の変化か、これまでと
比べるとかなり方向転換しており、ハードさはかなり無くなり
単なるポップ/ロック・アルバムと言っても良い様な作品に
仕上がっている。ブルージィ的な部分があったり、ほのぼのとした
曲があったりと、それはそれで悪くないと思うが、やはり
物足りない感じはするのは確かだ。Rainy Route “B”の様な
アップ・テンポの曲もあるが全体的に落ち着いた内容である。
X-JAPANのTOSHIがゲスト参加しているが、まぁ、どうでも良い
話だ。[68]
ANGELS FALL FIRST / NIGHTWISH
詳細は全く判らないが、フィンランドの
ゴシック/パワー・メタル・バンドのアルバム。TARJAのソプラノと
TUOMASのクリア・ボイスのツイン・ボーカルで、TARJAの
ソプラノを前面に押し出しているが、THE 3RD AND THE MORTALや
ELBERETHの様な耽美さを押し出したものではなく、バックは
かなりパワー・メタル然としている。特にElvenpathは明らかに
HELLOWEEN等に代表されるような
ジャーマン・パワー・メタルであり、そこにかぶさるソプラノが
あいまって独特の非常に奇妙な世界を作り出している。ゲストで
フルートを入れたりとアイデアは多種多様で、このフルートと
キーボードにソプラノで切々と歌い上げるAngels Fall First等は
なかなか美しいし、民族音楽的なメロディを奏でるTutankhamenの
イントロも面白い。耽美さはそれ程感じられないのだが、この
パワー・メタル然としたメロディとのりの良さが、ゴシックと
混在して作り出す不可思議な世界が独特で結構面白い。[85]
LESBIAN SHOW / NIGHTFALL
ギリシャのメロディック・デス・メタル・バンドの4thアルバム。
EFTHIMIS KARADIMASの吐き捨て型デス・ボイスはなかなか
強烈だが、バックはややヘヴィだがかなり普通の
ヘヴィ・メタル然としている。シンフォニックなキーボードに
ゴシック的な色合いが見えなくもないが、ゴシック色は
ほとんどないと言って良いだろう。ツイン・リードが奏でる
ギター・メロディは叙情的で翳りが感じられてなかなか心地良い。
アイデアは悪くないと思うし、メロディ・センスも悪くないので、
さび辺りがもう少し印象的で良くなれば結構良い作品になったと
思う。[82]
ANGELS FALL FIRST / NIGHTWISH
フィンランドのゴシック/パワー・メタル・バンドのアルバム。
TARJAと言う女性ボーカリスト擁するバンドで、既に
リリースされているデビュー盤と同タイトルの500枚限定の
アルバムだ。そのデビュー盤の特殊盤と言った感じの作品で、
楽曲も大半が重複しており、Once Upon A Troubadourと
A Return To The Seaと言うアルバム未収録曲が2曲
収められている。Elvenpath等が収録されていないので、
ジャーマン・パワー・メタル的な色合いは全く
感じられなっている。この2曲は他の曲に比べて、どちらかと
言うとよりゴシック色を強く押し出しており、同名の通常盤よりは
パワー・メタル色が薄くなっている。[83]
SEVEN / NIGHT RANGER
アメリカのハード・ロック・バンドのオリジナル・メンバーによる
復活第2弾となる7thアルバム。NIGHT RANGERらしさがあまり
感じられなかった前作に比べれば、今作はまだ彼等らしい作品と
言える。ただ、キャッチーなメロディでそれなりに良く
出来ているとは思うが、一方で名曲といえるような楽曲が
見当たらず、その分過去の名作に劣ると言わざるをえない。昔、
懐かしい郷愁に思いを馳せる事はあっても、それ以上にのめり
込ませるような部分がないのだ。Revelationの様なのりの良い曲を
やらせるとさすがだなと思わせるのは確かだが。[80]
KEEP THE LONELY TREES / NIGHTSKY BEQUEST
詳細は全く不明だが、恐らくブルガリアの
ゴシック・メタル・バンドの1997年にリリースされたアルバム。
アコースティック色の強い静寂感を持った部分と、ドゥーミィで
ヘヴィな部分の両面より構成されたサウンドだが、それ程重厚な
感じはない。特に静寂感のあるサウンドからヘヴィな部分に切り
替わるときにあまり展開が感じられないため、一本調子な
感がするのはいかんともしがたい。RADOSLAVA DIKANSKAという
女性ボーカルを全面に押し出しているが、方向的には会っている。
楽曲のテンポに変化をつけるなど、もう少しめりはりを
付けなければ、耽美型のゴシック・メタルと言えども飽きが
来る。[76]
NOW OR NEVER / NIAGARA
スペインのヘヴィ・メタル・バンドの1995年にリリースされた
恐らく4thアルバム。爽やかなメロディのヘヴィ・メタルで適度に
キーボードを効かせた、キャッチーなメロディは中々良く
出来ている。但し、プロダクションは最低で、とにかく録音状態が
酷いのはいかんともしがたい。こもった、チープなサウンドで、
折角の良質のメロディもだいなしとしか言い様がない。演奏的には
可もなし、不可もなしという感じだが、楽曲の出来自体はかなり
高レベルだ。テンポ良い良質のポップなメロディの楽曲を歌い
上げるボーカルも良い味を出しているだけに、この録音状況の
悪さだけが何とも残念だ。[79]
NIGHT HAWKS II / NIGHT HAWKS
巨漢ギタリスト、青木秀一率いる日本のハード・ロック・バンドの
1990年にリリースされた2ndアルバム。渇いた叙情的な
メロディは、どちらかと言えばジャパメタと言うより、
アメリカン・ハード・ロックを日本風にアレンジした様な感じだ。
特に鼻にかかった様な感じのする、青木秀一の野太いパワフルな
ボーカルがそう言った感をより強めている。それなりに良く
出来ている作品ではあるが、欠点を見ると、やや変化に乏しく、
バラエティさに欠けるのと捨て曲が多い辺りが残念だ。
Don't Tell Me Nowの様な楽曲がもう少し多ければめりはりが
もっと付いたと思うのだが。[77]
THE MIDNIGHT HAWKS / NIGHT HAWKS
青木秀一率いる日本のハード・ロック・バンドの1994年に
リリースされたベスト・アルバム。バンドの個々のアルバムを
取ってみると全体的にまずまずの整った楽曲が並んでいるが、
これと言った楽曲はないと言う印象が強かったが、こうやって
ベストで聴くと意外に良い曲もあったんだなと思える。特にここに
並んでいる楽曲はBreath Of FireやTake My Heart,Shou等、中々
叙情的で扇情的な楽曲が並んでいて、引き付けるものがある。
こういった楽曲をもっと書けば面白いのにと思えるが、
ベストだからこれだけ濃さがあると言うのがこのバンドの
限界なのだろうか。意外に普段のアルバムよりもジャパメタ度が
強い様に思える。[79]
NIJI DENSETSU / NIJI DENSETSU
元PRECIOUSのギタリスト、梶山章を中心とした、日本の
ミュージシャン達によるRAINBOWのトリビュート盤。その他、
ボーカルにPOWER NUDEの森川之雄、キーボードにGERARDの
永川敏郎、ドラムにGIRL U NEEDの工藤義弘、ベースに加瀬竜哉、
他CONCERTO MOONの島紀史、TERA ROSAの岡垣正志を始め、本家の
JOE LYNN TURNER、DAVID ROSENTHALと言う強烈な
布陣となっている。Gates Of Babylonの前に中東風のオリジナルの
小曲、Road To Babylonを入れるなど小技を入れて来て、単なる
カバーに終わっていないところにも好感が持てる。バックの演奏も
名だたるメンバーが参加しているだけに十分素晴らしいが、特に
森川之雄のボーカルは絶品だ。[85]
THUNDERBEAST / NIGHT IN GALES
ドイツのメロディック・デス・メタル・バンドの2ndアルバム。
BJORN GOOβESのデス・ボイスはヒステリックな咆哮と言った
感じのタイプで、好き嫌いが分かれるかも知れない。楽曲的には
正統的なヘヴィ・メタルと言う感じで、IRON MAIDEN的な
エッセンスを持ったアップ・テンポな作品だ。メロディは憂いを
帯びていて、扇情的で楽曲の出来は中々良い出来だ。JENS、
FRANKのBASTEN兄弟のギターがそう言った風情に合っていて、
情感をより倍加している。IN FLAMES程過剰なドラマティックさを
出さず、押さえ気味にしている感じで、楽曲のまとまりがかえって
出ているように思われる。[84]
OCEANBORN / NIGHTWISH
ドイツのゴシック・メタル・バンドの2ndアルバム。前作では
ゴシック・メタルとジャーマン・パワー・メタルを取り入れた様な
サウンドだったが、今作では明らかに正統派ヘヴィ・メタル的な
素要を強め、ゴシック・メタル的な部分はほとんど
見えなくなった。適度にキーボードを挿入した、叙情的で
クラシカルなメロディのヘヴィ・メタルで、方向的には
STRATOVARIUS的な部分もある。前作ではまだアイデアを
昇華しきれてなく、まとまりのなさも見せていたが、今作では
完成した一個の作品に仕上がっていると言って良いだろう。楽曲の
完成度はかなり上がっているし、TARJAの
ハイ・トーン・ソプラノが面白い味付けになっている。この
TARJAのボーカルと、フルートを取り入れていたりする部分を
除けばまさしく正統派のヘヴィ・メタルと言って良いだろう。[85]
THE FRAGILE / NINE INCH NAILS
アメリカのヘヴィ・ロック・バンドの5年振りとなる2枚組みの
3rdアルバム。言葉では語り尽くせない様な混沌としたサウンドは
何とも不可思議な世界を創造している。ノイズとも言える様な音の
処理に、ゴシック・ロック的な雰囲気も持つダークなメロディに、
ときにはヘヴィに、ときには静寂感を醸し出し、良くこう言った
作品を作り上げることが出来るなと感心させられる、構築美を
感じさせるアルバムに仕上がっている。シングル向きとは到底言い
難い楽曲群だし、こういった作品がどれほど受け入れられるのか
疑問だが、TRENT REZNORの鬼才振りは十分味わえることが
出来るだろう。[86]
THE STATE / NICKELBACK
カナダのロック・バンドの2ndアルバム。音楽的には、
オルタナティヴ・ロックの影響が色濃く見える
ロック・アルバムで、PERL JAMやMETALLICA、CREED、末期
SOUNDGARDEN辺りのエッセンスが感じられる作品だ。出来自体は
そこそこの線を行っているとは思えるし、骨太のサウンドで、
それなりにフックはあるのだが、意外と聴き易い作品に
仕上がっており、楽曲によっては逆にインパクトが足りないと
言った感もなくはない。全体的に出来は悪くないのだが、その
一方でこれと言ったものがなく、少し物足りなさも感じられる。
[80]
POWER OF THE UNIVERSE / NIGHTMARE
フランスのヘヴィ・メタル・バンドの1984年にリリースされた
アルバム。ボーナス・トラックとしてライヴが6曲
収められている。ボーカルのJEAN MARIE BOIXが亡くなったので、
その追悼盤と言う意味がある様だ。方向的には、この頃の
フランスの多くのバンドが影響を受けたであろう、N.W.O.B.H.M.
そのものと言った感じの作品で、愁いの漂ったロックンロール調の
ヘヴィ・メタルを聴かせてくれており、プロダクションの
悪さもそのものと言った感じだ。JEAN MARIE BOIXのボーカルは、
決して上手いと言える代物ではないが、N.W.O.B.H.M.でも居そうな
タイプで、むしろ雰囲気を出していると言っても良いかも
知れない。全体的に泣きのメロディが強くて、バラードの
Invisible World等中々良い出来だ。[84]
WISHMASTER / NIGHTWISH
フィンランドのヘヴィ・メタル・バンドの3rdアルバム。TARJAの
ソプラノ・ボイスを前面に押し出したスタイルから、まず
ゴシック・メタル方面から注目を浴びたが、その音楽的方向性は、
北欧的な叙情的なメロディのパワー・メタルと言えるものだ。
この取り合わせのアンバランスさが、このバンドに一種独特な
雰囲気をもたらしているのだが、ここは好き嫌いの
分かれるところだろう。ドラマティックな楽曲がこのボーカルを
意外と際立たせていて、アイデアが上手く生かされている様な
感じがする。やや流麗すぎる面があって、もう少し扇情的な部分を
押し出しても良い様な気がするが、全体的に良く出来た作品だ。
[84]
BLACK SEEDS OF VENGEANCE / NILE
アメリカのデス・メタル・バンドの2ndアルバム。方向的には、
アメリカのこの手のバンドらしく、テクニカルなデス・メタルだ。
ブラスト・ビートを中心に、変則的でアグレッシヴな演奏を前面に
押し出した、ブルータルな作品で、凶悪な雰囲気を醸し
出している。このバンドが他のアメリカのバンドと違うところは、
アルバムのジャケットでも判る様に、エジプト的な雰囲気を持ち
込んでいるところだろう。ブルータルな展開で
進行していきながら、ところどころでエジプト的な荘厳さを醸し
出すと言うアクセントを付けている。それがブルータルな
サウンドに、より一層邪悪さを加えていると言って良いだろう。
[81]
THE ROCK OPERA NOSTRADAMUS / NIKOLO KOTZEV
BALTIMORE、BRAZEN ABBOTのブルガリア人ギタリストによる
ソロ・プロジェクトのアルバム。そのアルバム・タイトルが示す
通り、ロック・オペラと言えるドラマティックで壮大なアルバムに
仕上がっている。BALTIMORE的なオーソドックスな
ハード・ロックが基調になっており、ここにオペラ的な
エッセンスを加えたものとなっている。元RAINBOWの
JOE LYNN TURNER、ALANNAH MYLES、元DEEP PURPLEの
GLENN HUGHES、元YNGWIE MALMSTEENのGORAN EDMANとJORN LANDE、
元RAINBOWのDOOGIE WHITE等と言ったボーカリストが
参加しており、ストーリーに沿った配役をそれぞれが
こなしている。バックはドラマーのIAN HAUGLAND、ベーシストの
JOHN LEVEN、キーボードのMIC MICHAELIと言う元EUROPEの
メンバーで固められている。[85]
WISHMASTOUR 2000 / NIGHTWISH
フィンランドのゴシック/パワー・メタル・バンドの企画盤。
最新アルバム、WISHMASTERのタイトル・トラック曲に、既発表曲の
バージョン違いが2曲、OCEANBORNの日本盤ボーナス・トラック、
ANGELS FALL FIRSTの限定盤に収められていたものが2曲の全6曲と
言う構成になっている。まぁ、言わばマニア向けの作品と
言えるのだが、その割には未発表曲もないし、注目するのは
バージョン違いの2曲とビデオ・クリップだけと言うのは少々
辛いか。最近のファンならば、A Return To The Seaが
収められているANGELS FALL FIRSTの限定盤等は入手が難しいと
思えるので、それはそれで価値があるだろう。[77]
TIME CRUNCH / NIACIN
アメリカのジャズ・ロック・バンドの2年振りの4thアルバム。
TALAS、MR.BIGのベーシスト、BILLY SHEEHAN等によるユニットで、
当然テクニックを前面に押し出した作品と言って良いだろう。
ジャズ・ロックと言う性質上、ある意味プログレッシヴ・ロック
的で、KING CRIMSONのRedをカバーしている辺りは中々
はまっている。BILLY SHEEHANのスパー・プレイは言うに及ばず、
JOHN NOVELLOのキーボード・プレイも大きな役割を果たしている。
編成的にはギターがいないのだが、それを気にさせない様な密度の
濃さだ。決して一般受けする様な作品ではないが、
感嘆させるだけの演奏は聴かせてくれる。[83]
SILVER SIDE UP / NICKELBACK
カナダのヘヴィ・ロック・バンドの3rdアルバム。Never Again等は
メロディが非常にグランジやオルタナティヴ・ロック的だが、
Never Againでのギター・メロディ等は非常にヘヴィ・メタル
的だ。非常にのりが良く、中々聴き応えのあるアルバムに
仕上がっている。オルタナティヴ・ロックらしい、
キャッチーではあるが、どことなく乾いたダークな楽曲は、それ程
新鮮さはないものの、実に味わい深いものとなっている。この
手のものとしてもメロディ・センスの良さは光っているし、
ソウルフルで中々レベルの高いアルバムに仕上がっている。[83]
OVER THE HILLS AND FAR AWAY / NIGHTWISH
フィンランドのヘヴィ・メタル・バンドのアルバム。カバー、
1曲、新曲、2曲、リメイク、1曲、ライヴ、11曲の全15曲と言う
構成になっている。カバーはそのアルバム・タイトルが示す
透り、GARY MOOREのOver The Hills And Far Awayで、バックは
そのままほぼコピーだが、そこに当然TARJAのボーカルが
乗るところが面白い。新曲の彼等らしいドラマティックな
10th Man Downと憂いに満ちたバラードのAwayも悪くない。
それよりもライヴの出来が中々のもので、TARJAのボーカルを
始め、演奏は流石と言えるレベルで、彼等の魅力を十分
伝えてくれている。[82]
CENTURY CHILD / NIGHTWISH
フィンランドのパワー・メタル・バンドの2年振りとなる
4thアルバム。音楽的にはこれまでの延長線上と言えるもので、
女性ボーカリスト、TARJA TURUNENのソプラノを押し出した、
オペラチックなパワー・メタルを聴かせてくれている。若干あった
ゴシック・メタル的なエッセンスはほとんどなくなっており、より
純然たるメロディアス・ヘヴィ・メタルと言った色合いが
強くなっている。オペラチックなだけに、ミュージカルの
The Phantom Of The Operaをカバーするアイデア等は面白い。
今作からSINERGYのベーシスト、MARCO HIETALAが加入しているが、
元々TAROTではボーカリストだっただけに、Dead To The World、
Feel For You、The Phantom Of The Operaでそのパワフルな
ボーカルを聴かせてくれており、TARJA TURUNENの歌声と
対比していて面白い。[86]
IN THEIR DARKENED SHRINES / NILE
アメリカのデス・メタル・バンドの2年振りの3rdアルバム。
方向的には当然これまでと変わるはずもなく、ブラスト・ビートを
前面に押し出した、テクニカルなグラインド・コア系
デス・メタルを聴かせてくれている。この混沌とした世界観は、
オカルティズムに溢れており、まさしくデス・メタルとしての
畏怖を感じさせるものだ。畳み掛ける様に重厚で攻撃的なリフと、
不気味さを漂わせるメロディはドラマティックさすら感じさせる。
北欧のシーンとはまた独立したアメリカの
エクストリーム・ミュージックではあるが、独自のスタイルとして
ここまで昇華したのは感嘆する。[87]