THE FORCE / ONSLAUGHT
イギリスのスラッシュ・メタル・バンドの1986年にリリースされた
2ndアルバム。ベーシストのJAMES STALLARDがギタリストに、
ボーカリストのPAUL MAHONEYがベーシストにそれぞれ転向し、
ボーカリストにSY KEELERを新たに加入させると言う、思い切った
メンバー変更をしている。それもこれも、彼等にとって最も大きな
課題であったボーカリストと言う問題を解決するためであろうが、
これが見事に結果に結びついている。いかにも攻撃的な
スラッシュ・メタルに、SY KEELERの時にはヒステリックな
ボーカルが、前作より遥かにマッチングしている。
サウンド・プロダクションは今一つだが、荒々しいエナジーは
感じられる作品だ。[82]
IN SEARCH OF SANITY / ONSLAUGHT
イギリスのスラッシュ・メタル・バンドの1988年にリリースされた
2年振りの3rdアルバム。ギタリストのJAMES STALLARD、
ベーシストのPAUL MAHONEY、ボーカリストのSY KEELERが抜け、
新たにベーシストとしてJAMES HINDER、ギタリストに
ROB TROTMAN、そしてボーカリストとしてGRIM REAPERの
STEVE GRIMMETTを迎えている。楽曲的にはこれまでより
パワー・メタルよりにシフトしており、STEVE GRIMMETTの加入は
ある意味、バンドの方向性の転換に合っている。
サウンド・プロダクションも遥かに良くなっており、随分
きちんとした作品に仕上がったが、前作であった混沌とした
エナジーは幾分減ってしまっている。[83]
ORAMA / ON THORNS I LAY
詳細は全く不明だが、恐らくギリシャの
ゴシック/メロディック・デス/パワー・メタル・バンドの1997年に
リリースされたアルバム。ROULAのクリア・ボイスとSTEFANSONの
デス・ボイスによるツイン・ボーカルと言う形態をとっている。
ROULAの声はソプラノという感じのものではないが、非常に透った
美しい歌声で、高音も実に奇麗だ。楽曲自体には、
ゴシックというような耽美さを感じさせる部分はあまりなく、
アップ・テンポのどちらかというとパワー・メタル
然としたものだ。ザクザクとリフを刻んだりもするが、あくまでも
メロディ主体で、CHRISTOSの歪ませたギター等は実に印象的で
面白い。楽曲中にゴシックらしい耽美さを感じるとするならば、
この歪んだギターと一部のキーボードとROULAのぼーかるだろう。
3部構成になっている等は、静と動の対比が見事に取られていて、
中々素晴らしい。どすを効かせて咆哮しまくる
デス・ボイスさえなければ、パワー・メタル系としてはDARKSEEDを
上回る作品になったと思うのだが。[83]
SOUNDS OF BEAUTIFUL EXPERIENCE / ON THORNS I LAY
詳細は良く判らないが、恐らくギリシャの
ゴシック/デス・メタル・バンドの1995年にリリースされた
アルバム。ゴシック・メタルらしい耽美なギター・メロディも所々
見られるが、どちらかと言えばメロディック・デス・メタル色の
強いサウンドだ。全体的にザクザクとリフを切り込んできて、
テンポ良く進んで行く。STEVENのボーカルは咆哮型の
デス・ボイスでかなり聴き難いが、クリア・ボイスと使い
分けていてまだ聴ける方だ。楽曲は全体的に哀愁味のある叙情的な
SENTENCED風のパワー・メタルで、扇情的で中々格好は良い。
もう少しパターン的に幅が欲しい様な気もするし、デス・ボイスが
かなり悪い結果をもたらしている様に思えるが、楽曲自体は
悪くない。[78]
CRYSTAL TEARS / ON THORNS I LAY
詳細は全く不明だが、恐らくギリシャの
ゴシック・メタル・バンドの3rdアルバム。これまで、女性
ボーカルとデス・ボイスのツイン・ボーカルと言う形態を
取ってきたが、今作ではSTEFANSON KINTZOGLOUはデス・ボイスから
クリア・ボイスに切り替えており、全体の雰囲気を壊す事が
無くなったのは大いに評価できる。今作でも女性ボーカルが大いに
活躍しているのだが、クレジットが無くなったため、ROULAは
脱退してゲストを使っているのだろう。前作同様、パワー・メタル
的なサウンドを維持しながらも、静寂感を持った楽曲を挿入して
来たりと、より耽美なアルバムに仕上げて来ている。特に
効果的なのは、ELENA DOROFTEIのヴィオラで、非常に良く雰囲気を
盛り上げている。これまでと比べると、若干方向性をいじった
訳だが、それがものの見事に功を奏したと言って良いだろう。
前作も悪くないアルバムであったが、これまでより一段上の
レベルにあると言える作品に仕上がっている。[89]
FUTURE NARCOTIC / ON THORNS I LAY
ギリシャとルーマニアの混合ゴシック・メタル・バンドの
4thアルバム。前作で美声を聴かせてくれていたゲスト女性
ボーカリスト、MARCELA BURUIANAは引き続きゲスト
参加しているが、今作では女性ボーカリストとしてCLAUDIA Jが
正式加入している。CLAUDIA Jのボーカルが、やや
シアトリカルであるため、前作の雰囲気を愛する人には、彼女の
ボーカルはやや期待外れと言う感もなくはないだろう。前作で
効果的に使われていたELENA DOROFTEIのヴィオラは、今回も
彼女のゲスト参加で生かされている。前作では完全に
クリア・ボイスとなっていたSTEFANSON KINTZOGLOUのボーカルは、
ややだみ声っぽくなっており少しデス・ボイス方向へと揺り戻した
感じだ。前作と比べると、よりポップでピアノを押し出した哀感の
強い作品となっており、前作でのゴシック・メタル的な静寂感と
幻想感は消えている。[82]
REAWAKEN / ONWARD
アメリカのパワー・メタル・バンドの2ndアルバム。
CENTURY MEDIAのプロモーションCD、PREPARE FOR BATTLEとの
2枚組となっている。メロディアスでドラマティックな、
どちらかと言うと欧州スタイルのパワー・メタルと言って
良いだろう。1980年代風のオールド・スタイルの
パワー・メタルで、垢抜けないところも多々見受けられるが、
In Due Timeの様なポップな憂いを出した曲もあり、判っていて
こう言うスタイルをやっているのだろう。LOUDNESSの
Clockwork Toyをカバーしている辺りにもそう言う意識が
感じられるが、この曲自体はバンドとしてはかなり異色だ。[80]
ON THE RISE / ON THE RISE
ノルウェイのハード・ロック・バンドのデビュー盤。TERJE EIDEと
BENNECH LYNGBOEの2人のシンガー・ソングライターによる
プロジェクト・バンドだ。基本的に2人がハーモニーを効かせた
ボーカルを取るスタイルになっている。音楽的にはアメリカの産業
ロック的エッセンスが満ちており、爽快でキャッチ―なメロディの
楽曲と、このボーカル・スタイルを合わせると、幾分北欧的な
憂いは感じられるものの、まさしくNELSONを思わせるアルバムに
仕上がっていると言って良いうだろう。実際、NELSON的なものを
意識して狙ったのだろうが、それ故新鮮味も個性も全く
感じられないが、出来は悪くない。[80]