ORCHID / OPETH
スウェーデンのメロディック・デス・メタル・バンドの
デビュー盤。エンジニアにEDGE OF SANITYのDAN SWANOの名前が
出てくるが、まさしくその期待通りのサウンドだ。少し
IRON MAIDENっぽいリフ回しやメロディが所々みられ、バックは
EDGE OF SANITYより更にメロディアスで叙情的だ。10分以上の
大作が5曲もあるが、場面場面において攻撃的なメロディを入れて
来るので、それほど冗長には感じない。MIKAEL AKERFELDTの
デス・ボイスは、この手のものの中でも、割れた
ブラック・メタル・ボイスっぽい、かなりきつめの
声をしているので、慣れないと少し辛いかもしれない。ただし、
楽曲が長いだけあって、ボーカル・パートは普通のバンドに
比べるとかなり少ないので我慢出来るだろう。[87]
MORNINGRISE / OPETH
スウェーデンのメロディック・デス・メタル・バンドによる
2ndアルバム。全曲10分以上という対策指向の
作品になっているが、全体的に展開もしっかり練ってあって
だれることはない。叙情的なメロディは前作と変わらないが、
更に扇情的な色彩を強めており、盛り上がりを演出している。
基本的には静かな部分と激しい部分の繰り返しなのだが、
ときおりミドル・テンポを織り交ぜたりと変化を持たせている。
デス・ボイスとクリア・ボイスを併用していて、場面場面によって
効果的に使い分けている。Black Rose Immortal等、
アコースティックを導入した哀愁を漂わせたメロディから、
パワー・メタル然とした展開への流れは中々素晴らしい。
その哀愁のメロディ・センスはこの手のバンドとしては
かなり高いレベルにあるのは間違いない。スロー・テンポの
部分でも、淡々とした繰り返しの様だが実に味わい深い。[89]
MY ARMS, YOUR HEARSE / OPETH
スウェーデンのプログレッシヴ/ブラック・メタル・バンドの
3rdアルバム。IN FLAMESのFREDERIK NORDSTROMとANDERS FRIDENが
関わっているが、前作と大きな変化はない。プログレッシヴと
言っても、ORPHANAGE程その傾向がはっきりと表れている
訳ではなく、よりメロディック・ブラック・メタル然としている。
アコースティック・パートを導入して、非常にドラマティック
構築された作品で、そこにブルータルなパートが絡んで
来たりする。スクリーミングとクリア・ボイスを使い分け、耽美な
感じをさせる部分もあり、オリジナリティは十分感じられる
作品だが、今一つ飛び抜けたところがないのが残念だ。[82]
DOMINION / OPHTHALAMIA
スウェーデンのブラック・メタル・バンドの5thアルバム。
方向的にはいわゆるメロディック・ブラック・メタルだが、
バックはよりメロディを強く打ち出した、IN FLAMES型の
パワー・メタル風で、中々聴きごたえがある。ときには疾走し、
ときにはドラマティックにメロディを紡ぎ出す様は中々
素晴らしい。咆哮型のブラック・メタル・ボイスはそれ程不快感は
高くないが、中々強烈でパワフルだ。楽曲は似通ったものが多く、
もう少し変化を付ける工夫が必要だと思うが、その
メロディ・センスは悪くないし、出来もまずまずいけている。[80]
STILL LIFE / OPETH
スウェーデンの
プログレッシヴ/メロディック・デス・メタル・バンドの
4thアルバム。この手のものとしてはより
メロディック・デス・メタル的な色合いの強いバンドだったが、
それはこの作品でも変りはない。だが、その方向性はより
プログレッシヴでドラマティックなものとなっており、変則的な
部分が増えるとともに、アコースティック・パートを大胆に
導入しているとともに、ヘヴィなパートへの切り替えがたびたび
入って来る。大作指向は相変わらずだが、これまで程冗長すぎると
言う感じはしなくなった。MIKAEL AKERFELDTのボーカルは、
クリア・ボイスの割合が増えており、かなり聴き易くなったとも
言える。[81]
BLACKWATER PARK / OPETH
スウェーデンの
プログレッシヴ/メロディック・デス・メタル・バンドの
5thアルバム。大作指向であるのはこれまでと同じで、10分を
超える楽曲も3曲ある。これまではプログレッシヴと言っても
さほど楽曲に変化がなく、単に冗長と言う印象しか
受けなかったが、今作では構成が上手く組み立てられており、
変化があって飽きさせないのが評価出来る。適度に
プログレッシヴ・ロックのフレーバーを含みながらも、暗黒を
思わせるダークで叙情的なアルバムに仕上がっている。1980年代に
活躍したプログレッシヴ・ロック・バンド、PORCUPINE TREEの
STEVEN WILSONがプロデュースを行ったのが良い結果を
生んだのかもしれないが、この作品でようやく彼等の音楽
スタイルを確立したと言って良いのではないだろうか。[85]
OPAS ATLANTICA / OPAS ATLANTICA
スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドのデビュー版。
元ALIEN、MIDNIGHT SUNで現PETE SANDBERG'S JADE、
SILVER SERAPHのボーカリストで、ソロやSAND & GOLD等、様々な
活動を行っているPETE SANDBERGとMIDNIGHT SUNのベーシスト、
JONAS REINGOLD、同じくドラマーのJAIME SALAZAR、ANDROMEDAの
ギタリスト、JOHAN REINHOLDZと言うメンバー構成だ。ここで
大きく気を引くのは、PETE SANDBERGがMIDNIGHT SUNと袂を
分かったのが、モダンな方向へと向いて行ったJONAS REINGOLDとの
音楽性の違いによるものだったはずであるのに、再び手を組んだ
事だ。全曲2人によるコラボレートで、一体どう言う心境の
変化があったのか興味の引かれるところだ。その音楽的方向性は、
ネオ・クラシカルの風味を取り入れたヘヴィ・メタルで、
MIDNIGHT SUNにも通ずるところがある。PETE SANDBERGの甘くて
やや細い声が独特の風味を出していて、面白い。[84]
DELIVERANCE / OPETH
スウェーデンのメロディック・デス・メタル・バンドの
6thアルバム。プログレッシヴ・メタルやゴシック・メタル的な
エッセンスを取り入れ、独自の世界観を築き上げて来たバンドで、
それが前作でようやく結実した印象を受けるが、その前作を更に
完成させたと言って良いだろう。耽美感のある妖しい雰囲気に
複雑な構成の楽曲で、1曲を除くと全て10分以上と言う大作主義は
今作でも変わっていない。複雑で激しくアグレッシヴながら、
非常に強い影を感じさせるダークな叙情性に、変拍子で緊迫感を
煽るところ等は好き嫌いが判れるかも知れないが、
これだけのものを構築するアイデアは素晴らしい。[84]
DAMNATION / OPETH
スウェーデンのメロディック・デス・メタル・バンドの
7thアルバム。DELIVERANCEと同時に製作された作品だが、その
方向性はかなりはっきりと色分けされている。元々静と動を
対比した、プログレッシヴ的なエッセンスを加えた
メロディック・デス・メタルを聴かせてくれていたが、
DELIVERANCEは傑作、BLACKWATER PARKの流れを汲みながらも、より
ヘヴィで攻撃的な作品と言えるものだった。その一方でこの
作品では、彼らのより叙情的でメロウな部分を取り出しおり、
DELIVERANCEの補完とも言える作品と言えるだろう。
BLACKWATER PARKで一応の成功を得た今、DELIVERANCEと一つの
作品にせず、この様な極端な作品を2枚出す姿勢に、もう一度
BLACKWATER PARKを作ると言う様な安易な道を選ばない、彼等の
矜持と言うものが伺える。彼等らしいプログレッシヴ的な色合いを
出しながらも、ゴシック・メタル的な陰鬱さと耽美さが出ており、
ヘヴィ・メタルとは最早呼べない作品ではあるが、彼等の
クリエイティヴな才能の高さを感じさせてくれる。[85]