SPIT / OUTRAGE
日本のスラッシュ・メタル・バンドの1993年にリリースされた
5thアルバム。日本のスラッシュ・メタル・バンドとしては、
第一人者と言えるだけに、そのレベルはかなり高い。タイトで
切れのあるリフは格好良く、橋本直樹のJAMES HEADFIELDS的な
ボーカル・スタイルも相俟って、METALLICA的なエッセンスも
感じられる。ハード・コア的なエッセンスを消化し、切れのある
サウンドを聴かせてくれているが、ミドル・テンポの楽曲等はやや
中だるみと感じなくもない。とは言え、スラッシュ・メタルの
斜陽を感じさせる時代の作品としては、世界に通用するだけの
クオリティを保っていると言って良いだろう。[81]
DAYS OF RAGE 1986-1991 / OUTRAGE
日本が誇る最強のスラッシュ・メタル・バンドの初期の楽曲を
集めたベスト・アルバム。方向的には初期のハード・コア的な
要素を持っていたMETALLICAに通ずるものがある。
ベストだけあって、さすがに内容は素晴らしいと言って
良いだろう。しかし、オリジナルをリマスターしたものが中心とは
言え、新曲はなしという事なので初心者入門用か
コレクターズ・アイテムとしての価値と言うものを見出すのは
難しいかもしれない。未発表バージョンなんかもあるがまぁ、
おまけでしかないと言って良いだろう。[80]
WHO WE ARE / OUTRAGE
日本のスラッシュ・メタル・バンドの新作だが、これまでとは
少々趣を変えた作品である。楽曲がバラエティに富んでいて
様様なタイプの曲が聴けるが、スラッシュ・メタル的な部分は
あまり感じられない。METALLICA風のメロディを入れたAfter Allや
メロ・コア風のWho We Areを始め、これまでには見れなかった
面である。インダストリアル的な部分もみえるし、
オルタナティヴ的な部分もある。非常にグルーヴィ感があり、
これ単体で見ると中々面白い作品ではあるが、こういう大胆な
変化にファンがついてこれるか多少心配だ。[82]
IT'S PACKD!! / OUTRAGE
日本のスラッシュ・メタル・バンドの2枚組みミニ・アルバムの
企画盤。一枚は最新のライヴ盤で、実に迫力のあるライヴを
聴かせてくれているが、重要なのはもう一枚の方だろう。その
実体は、1987年に自費制作されたsame titleのミニ・アルバムで、
ややチープな感じもするが、荒々しくもコアで、古き良き
スラッシュ・メタル的な世界を作り上げている。やや
METALLICAっぽい作品でその影響はどうしても否定できないが、
何処となく哀愁のメロディを挟んだりと心をくすぐるものはある。
別にこれだけの再発でも良かった様な気もしなくもない。[85]
FULL SPEED AHEAD / OUTCAST
詳細は全く不明だが、恐らくギリシャの自費出版による
デモ・ミニ・アルバムだろう。例えデモであるにしても、その
プロダクションははっきり言ってチープである。方向的には普通の
ヘヴィ・メタルと言う感じで楽曲には目新しさも何もないのだが、
臭い作品ではある。プロダクションと並んで問題なのは、
NIKOS OUTSIKASの抑揚のない、下手と言って良いボーカルだ。
この程度ならもっと良いボーカルがいるのではと言うのと同時に、
良くこの程度でCDを作る気になったなと思える。昔のC級
バンドでももうちょっとましだろうに。ただ、それ以外は酷いと
言うレベルは脱しているのが救いと言えるだろうか。[18]
PLAY LOUD EP / OUTRAGE
日本のヘヴィ・メタル・バンドのミニ・アルバム。昔は日本の
スラッシュ・メタル界の頂点とも言えるバンドだったが。その後
音楽性を変えて行き、この作品ではヘヴィ・ロックに行きついたと
言う感じだ。その音楽性はJERICHOのEthiopiaをカバーしている
事からも判る様に、1970年代のドゥーミィで
グルーヴィなものとなっており、重低音を活かしたものだが、より
サウンドを濃密にした感じで、その分埃っぽくて
サイケデリックさも良く出ている。昔のファンからすると戸惑いを
憶える作品かも知れないが、出来自体は中々良い。いきなり
ハード・コア・パンクになるWe Know-You Don'tだけは、その
意義を疑うが。[82]
24-7 / OUTRAGE
日本のスラッシュ・メタル・バンドの5年振りのアルバム。今の
そのサウンドは、スラッシュ・メタルと言うよりはヘヴィ・ロック
的なエッセンスが強くなっている。今のラウド・ロックの流行を
取り入れ、モダンな部分も感じさせるところはあるが、基本的に
オーソドックスなヘヴィ・ロックと言って良いだろう。そこに
ハード・コア的なエッセンスを振りかけて、ノリの良い
ハード・ロックンロール風の色合いが感じられる作品に
仕上がっている。昔から比べると、その音楽性も随分
変わってしまった様に感じられるが、そのクオリティは決して
下がっていない。[83]