W.F.O. / OVER KILL

アメリカのスラッシュ・メタル・バンドの1994年にリリースされた 7thアルバム。方向的には攻撃的なスラッシュ・メタルで、 彼等らしい強烈なアグレッションが感じられる。ベースの サウンドをかなり前面に押し出した音作りになっており、 TIM MALLAREのタイトなドラミングも相俟って、かなりビート感の 感じられるアルバムに仕上がっている。かなりメロディを押し 出した曲作りとなってはいるが、スラッシュ・メタル不毛の 時代において、実にスラッシュ・メタルらしい スラッシュ・メタルを聴かせてくれる稀有なバンドと言って 良いだろう。[80]

WRECKING YOUR NECK / OVER KILL

アメリカのスラッシュ・メタル・バンドの2枚組み ライヴ・アルバム。フルレンスのライヴ・アルバムとしては 初めての作品で、輸入盤には更に3枚組仕様のものがある。この バンドが持っている攻撃的でコアなサウンドは、ライヴでも見事に 再現しており、その魅力は十分味わう事が出来る。選曲がやや 偏っているのが少し残念だが、最近のものとしてはその雰囲気は 十分良く伝えているので、OVERKILLのライヴ音源としては 持ってこいの作品ではあると言える。パターン的に幅が広い 訳ではないので、2枚組みともなると少し冗長な感じもするが、 良く出来た作品だ。[81]

THE KILLING KIND / OVER KILL

アメリカのスラッシュ・メタル・バンドの8thアルバム。コアで 勢いのあるスラッシュ・メタルで、のりが良く力強いサウンドで 疾走感を持って一気に聴かせてくれる。リフはまずまずの 出来だとは思うが、その反面楽曲をトータルで考えると今一つ 面白味に欠け、諸手を挙げて受け入れる気にもならない。全体的に どの曲も平均的で、これといった曲がないので盛り上がりどころが ないのが難点だ。それなりに良く出来てはいると思うが、それ 以上でもそれ以下でもない凡庸さが気になる。攻撃的なリフを 楽しむのが、一番重要な要素であるので、そういう意味では十分 満足出来るのだが。[82]

METAL ATTACK / OVERDRIVE

スウェーデン出身の初期北欧メタルのB級バンドによる1983年に リリースされたデビュー盤。多くのバンドの御多分に漏れず、 非常に悪い音質に加え、PELLE THURESSONの所々不味い ボーカルにはがっくり来る。まぁ、それでも味のある ボーカルだし、バンドのカラー的には悪くない。 北欧メタルというよりN.W.O.B.H.M.的な雰囲気を 醸し出しているが、N.W.O.B.H.M.のバンド群でも下の部類に 入るだろう。故にあまり進んで聴く様なものではないのだが、唯一 救いのあるのは、その扇情的な楽曲である。アップ・テンポでワ イルドなスタイルはドライヴ感を非常に良くだしている。 憂いのあるB級N.W.O.B.H.M.が好きならば悪くないだろう。[77]

SWORDS AND AXES / OVERDRIVE

初期北欧メタルのマイナー・バンドによる1984年にリリースされた 3rdアルバムに、1981年にリリースされた デビュー・ミニ・アルバムをカップリングしたもの。前作に 比べると、その演奏力、アレンジ力とも格段に上がっており、 結構さまになっている。特に前作では聞き苦しかった PELLE THURESSONのボーカルがうまいとは言えないがかなり 改善されており、それなりに聴けるレベルになっているのが 大きい。前半はいわゆる北欧メタルというものとはやや違い、 幾分パワー・メタル色のあるものだ。そして、後半ではより 叙情的な曲調へと流れていく。プロダクションは決して良いとは 言えないが、この手のB級バンドとしては結構良い作品だ。[86]

FROM THE UNDERGROUND AND BELOW / OVERKILL

アメリカのスラッシュ・メタル・バンドの9thアルバム。非常に めりはりの効いたリフで、これまで以上にのりの良い作品に 仕上がっている。楽曲に今一つ面白味が足りないと感じるのは これまでの作品と同様だが、こののりの良さが作品を 生かしている。力強さの感じさせる生々しい音作りが効果的で 重厚なサウンド作りをしている。Half Past DeadやPromises等の 様な意外とメロディを前面に押し出した楽曲もある。 DEEP PURPLEのSpace Truckin'をカバーしているが、原曲らしさを 保ちながらもバンドらしさが出ている。[81]

COVERKILL / OVERKILL

アメリカのスラッシュ・メタル・バンドのカバー・アルバム。 新しく録音したものが6曲に、過去の音源から6曲と言う 構成になっている。彼等が影響を受けたバンドばかりを カバーしており、MOTORHEADやSEX PISTOLESに止まらず、 JETHRO TULLまでカバーしている。カバーしている楽曲も、単純に 代表曲を取り上げている訳ではないところが好感を持てる。 BLACK SABBATH等はChanges、Never Say Die、Cornucopiaと 普通なら取り上げられない楽曲をやっている。源曲が源曲だけに、 スラッシュ・メタルとしてのアイデンティティはどうしても 低くなるが、アレンジのセンスも良いし、悪くないアルバムだ。 [83]

BLOODLETTING / OVERKILL

アメリカのスラッシュ・メタル・バンドの11thアルバム。 SEBASTIAN MARINOが脱退したが、メンバーの補充はされず、 ギターはDAVE LINKS一人になってしまっている。その分、より アップ・テンポで勢いを感じさせるアルバムに仕上がっており、 それ程悪影響は感じられない。エッヂの立ったスラッシィな サウンドは、磨きがかかってより扇情的な色合いがより 強くなっている。彼等らしい灰汁の強さが功を奏していると言って 良いだろう。のりがあって楽曲の出来も悪くないし、パワフルで 攻撃的な中々聴き応えのあるアルバムに仕上がっている。[86]

WRECKING EVERYTHING / OVER KILL

アメリカのスラッシュ・メタル・バンドのライヴ盤。2002年に アメリカで行われた公演の模様を収めたものだ。非常に臨場感の 感じられるライヴで、特にオープニングにおける緊迫感は 凄まじい。演奏に入っても、エッヂの立ったサウンドは非常に 攻撃的で、聴き応えのあるライヴ・パフォーマンスを 聴かせてくれている。スタジオ・アルバムよりも、むしろこちらの 方が彼等の魅力が良く伝わって来る気がするのは皮肉な話だ。 ライヴ中のMCでの観客の盛り上がりをもう少しはっきりと出しても 良かった様な気がする。[84]