TEN / PEARL JAM
アメリカのオルタナティヴ・ロック・バンドの1991年に
リリースされたデビュー盤。NIRVANA登場後のグランジ、
オルタナティヴ・ロック・シーンで最も成功したと言って良い
バンドだ。NIRVANAとはやや方向的に違い、NIRVANAがキャッチーな
路線を取っていたとするならば、このバンドはより
ヘヴィ・ロック的な音楽性を聴かせてくれている。非常に冷めた
様なクールさの中に熱さを秘めたバンドで、中々個性的な作品に
仕上がっている。ハード・ロックとはまた違うが、中々ヘヴィな
作品で、ALICE IN CHAINSやSOUNDGARDENと言ったシアトル系の
バンドが聴けるならこのバンドもいけるだろう。[85]
SECOND ALBUM / PEARL JAM
アメリカのオルタナティヴ・ロック・バンドの1993年に
リリースされた2年振りの2ndアルバム。前作での爆発的
ヒットにより、オルタナティヴ・ロック・バンドでは最も著名な
バンドとなったが、その実力はここでもいかんなく
発揮されている。アメリカのバンドらしい空間の広がりと、
シアトル系のバンドらしい淀んだ様な憂鬱さ、クールさと熱さと
言う相反したエッセンスを感じさせてくれるし、非常に良く出来た
アルバムに仕上がっている。サウンド的にはハードな面もあるが、
ハード・ロックやヘヴィ・メタル的なエッセンスはない。[86]
SPHERES / PESTILENCE
オランダのデス・メタル・バンドの1993年にリリースされた
4thアルバム。方向的にはプログレッシヴ・ロック色の強い
デス・メタルで、非常に変則的な楽曲が並んでいる。
ベースとなるのはスラッシュ・メタル系のデス・メタルだが、
シンセ・ギターを多用したり、変則的な曲構成になっていたりと、
かなり考えて作られている。CYNICとはある意味やろうと事は
違うが、その完成度と言う意味では決して負けていないと言って
良いだろう。攻撃的でアグレッシヴだし、それなりに聴き
応えのある作品に仕上がっている。やや変則的過ぎるため、
プログレッシヴ・ロックの変則的な複雑な構成に慣れていないと
聴き難い部分もあるかも知れないが、アイデアとしては中
々悪くないアルバムだ。[82]
KISS / PETER CRISS
アメリカのハード・ロック・バンド、KISSのドラマーによる
1978年にリリースされた初のソロ・アルバム。当時、バンド名を
タイトルに、メンバーそれぞれがソロ・アルバムを
リリースしたものの一つだ。KISSではGENE SIMONSに次ぐ
セカンド・ボーカリストでもあっただけあって、ボーカルは
上手い。方向的にはKISSとは程遠いもので、ハード・ロックと
言うよりは単なるロック・アルバムと言って良いだろう。楽曲は
かなりキャッチーで、ドラマーとしてよりはボーカリストとして
真価を発揮した作品だ。とは言えソフト過ぎるので、
ファンからすると少し物足りなく感じる作品だろう。[76]
VITALOGY / PEARL JAM
今や大物という感のあるアメリカの
オルタナティヴ・ロック・バンドのアルバム。楽曲は全体的に
70年代風の古臭さがあって、それが逆に新鮮な感じを
与えてくれる訳だが、これがハード・ロック方面で受けるか
どうかは別の話だ。ソング・ライティングのセンスは非常に
良いのだが、楽曲的には地味な感じがしないでもない。良くも
悪くも、なんとなくニヒルで無機質さを感じさせてくれる
アルバムだ。このクールな雰囲気が実に味わい深く、中々格好の
良いアルバムに仕上がっている。[83]
PEGAZUS / PEGAZUS
オーストラリアのヘヴィ・メタル・バンドの自主制作アルバム。
テンポの良いロックンロール調の楽曲が中心で、プロダクションの
悪さもあって全体的にN.W.O.B.H.M.っぽいが、ドゥーミィな重い
メロディ中心の楽曲もある。軽快でのりが良い楽曲は、録音状態が
悪いのもあいまって、非常に薄っぺらい。パンキッシュな部分も
見えるが、どうせチープならそういった部分を強調させた方がまだ
良かっただろう。愁いを含んだ叙情的なメロディ等は決して
悪くないので、プロダクションがもっとしっかりすればもう少し
何とかなるのではと思えるものはあるのだが。[76]
NO DOUBT / PETRA
アメリカのクリスチャン・ロック・バンドのアルバム。バンド
自体の活動歴は結構長いはずで、アルバムも結構な数枚を
出しているはずだ。明るいながらどことなく哀愁を漂わせた
キャッチーなロックで、ハードな部分ではDEF LEPPARDを思わせる
部分も多々あるが、全体的にはどちらかというと昔のアメリカン
TOP40向けという感じだ。非常に洗練されていて完成度が高いので
優しいアメリカン・ロック向けの人にはぴったりの曲もある。
ハードな部分はかなりラフでのりも良いし、結構聴きごたえのある
アルバムに仕上がっている。ボーカルは、元HEAD EASTの
JOHN SCHLITTが参加している。[84]
THE MASQUERADE OVERTURE / PENDRAGON
イギリスのポンプ・ロック・バンドの5thアルバム。
イントロダクションとも言えるThe Masquerade Overtureで、
いきなりオーケストラと混成合唱が通されるので、
シンフォンックな美しいアルバムを期待させるが、その予想を
決して裏切る事はない。ただ、本編ではより
プログレッシヴ・ロック的で、叙情的な部分だけでなく
ドラマティックな展開があって、聴きごたえのある作品に
仕上がっている。YES的な雰囲気の部分もあるし、JETHRO TULL的な
部分も持った作品で、プログレッシヴ・ロックにある程度
免疫がないと厳しいが、出来自体は悪くない。[83]
LOOK WHAT I'VE STARTED / PEO
スウェーデン人シンガー・ソング・ライターのソロ・アルバム。
叙情的で整ったアメリカン・ロックという感じで、
派手さはないが、美しい売れ線の印象的なメロディの楽曲が
並んでいる。以外とパワフルなボーカルで、元気が
良くてすかっとした壮快感を感じさせる部分もあるし、中々上手い
ボーカリストで味わいのある作品に仕上がっている。バックも
適度にハードでハード・ロックという感じではないが、
ハード・ロック系のリスナーも十分楽しめる作品だ。楽曲、
演奏とも非常に良く出来ていて、ルックスはともかく内容で勝負
出来る。[85]
RELENTLESS / PENTAGRAM
1970年代初頭から今でも活躍するアメリカの
ドゥーム・メタル・バンドの1985年にリリースした
1stフルレンス・アルバム。後にRAVENに加入して、両方のバンドを
掛け持ちすることになるJOE HASSELVANDERがドラムを叩いている。
サウンド的には初期BLACK SABBATH的で、WITCHFINDER GENERAL
当たりに近いが、もう少し重苦しい雰囲気があるし、ボーカルの
BOBBY LIEBLINGも、もう少しノーマルな感じがする。
プロダクションも70年代風の古臭さを感じさせるので、
OZZY在籍時のBLACK SABBATHが好きならどうぞ。[78]
RISE UP / PERSIAN RISK
N.W.O.B.H.M.バンドの1986年にリリースした唯一のアルバムに、
1984年にリリースした12インチシングルTOO DIFFERENTを
ボーナス・トラックとして収録してCD化したもの。N.W.O.B.H.M.も
収束した頃に出ただけあって、それ以前のバンド群と比べて
プロダクションは抜群に良い。キャッチーなメロディで
N.W.O.B.H.M.というよりはかなりアメリカナイズされた滑降の良い
ヘヴィ・メタルだ。叙情的で流暢な楽曲は実に洒落ていて、
素晴らしい出来だ。Sky's Falling Down等は名曲といって
良い出来だ。非常に良いポップ・センスで同時期のSHY等にも
通じるところがある。[90]
BACK IN BUSINESS / PETE SANDBERG
元ALIEN、MADISON、BEWARP、SNAKE CHARMERで現MIDNIGHT SUNの
スウェーデン人ボーカリストによる初のソロ・アルバム。
ソロ作品だけあって、その方向性はMIDNIGHT SUNとはやや趣を
変えており、ポップでキャッチーなロック・アルバムに
仕上がっている。優しい叙情的なメロディのAOR調の楽曲で、
切々と歌い上げていて、彼の歌唱に良く合っている。楽曲は
それなりにフックがあるし、出来自体も悪くないのだが、
ミドル・テンポ中心でやや盛り上がりに欠ける感もなくはない。
Closer To Heavenは現在も活動を続けるN.W.O.B.H.M.末期の
バンドのFMのバラードのカバーだ。[79]
YIELD / PEARL JAM
アメリカのオルタナティヴ・ロック・バンドの5thアルバム。
この手のバンドとしては最も成功した代表格と言える
バンドだけあって、そのグレードは中々高い。非常にクールな
アルバムで、淡々とした曲調の中にも、魂を揺さ振るような熱い
情念が感じられる。アメリカらしいカラッとした渇いた雰囲気で、
決して派手というような感じではないのだが、彼等らしい
エナジーに満ちている作品だ。決してヘヴィ・メタル然とした様な
部分がある訳ではないのだが、結構ハードな作品だし、そう言った
部分を超越したと言えるくらいの出来には仕上がっている。[85]
4 INFINITY / PEARL
日本の女性ロック・シンガー、田村直美率いるロック・バンドの
復活第2弾アルバム。参加メンバーは北島健二、TONY FRANKLIN、
CARMINE APPICEと言うおなじみのメンバーだ。ハード・ロックと
言うよりは、普通の日本のロック・アルバムなのだが、これだけの
メンバーが参加しているだけに、それなりにハードな
部分もあるし、バックがバックだけに結構グルーヴ感は出ている。
田村直美のボーカルも安定しているし、勢いがあるから方向的に
作品にあっている。楽曲によってはいかにも歌謡ロックという
感じなので、受け付けない人もいるかもしれないが、出来自体は
悪くない。[79]
OUTSIDE LOOKIN'-IN / PERFECT STRANGERS
オランダのメロディアス・ヘヴィ・メタル・バンド、ELEGYの
イギリス人ボーカリスト、IAN PARRYとVANDENBERGのドラマー、
JOZ ZOOMER等が中心となって結成されたバンドで、
お蔵入りしていた10年前の音源をCD化したもの。ELEGYとも
VENGEANCEともソロ・アルバムともまた違ったタイプの作品で、
よりパーティ・ロックっぽい感じの部分がある。キャッチーで
叙情的なメロディが中心にあり、非常にのりが良い作品である。
全体的な出来は良いと思うし、楽曲も悪くないのだが、平均的で
これと言った部分があまり感じられないのが残念だ。[81]
LIVE ON TWO LEGS / PEARL JAM
アメリカのオルタナティヴ・ロック・バンドのライヴ・アルバム。
オルタナティヴ・ロックでは最も成功したバンドで、それだけの
魅力がある。非常にクールなメロディの中に、不思議な熱さを
感じさせるバンドだが、その魅力はこのライヴでも十分
伝わってくる。地味で淡々としているようであって、遂々耳を引き
付けられてしまうところがある。サウンドはどちらかと言うと
非常にシンプルで、格別うまいと言うわけではないが、クールな
ボーカルが非常に味わいがある。ハード・ロックと言う様な
部分はないので、大人しすぎると思えるかも知れないが、非常に
深さを感じさせてくれる。[85]
PUSH / PETE SANDBERG
元MADISON、ALIAN、SNAKE CHARMER、BEWARP、現MIDNIGHT SUNの
スウェーデン人ボーカリストによる2ndソロ・アルバム。
メロディアス・ハードの至宝、MIDNIGHT SUNや前作とはかなり趣が
違った作品で、MIDNIGHT SUNにおけるベーシスト、
JONAS REINGOLDの存在の大きさを感じる。オーソドックスな
ハード・ロックでありながらも、モダンでヘヴィな
音作りがなされており、これまでの彼の活動からすると、一風
変った作品だと言って良いだろう。作曲面でも、BAD HABITの
SVEN CRINSKIが主導権を握っており、更にNAZARETHのLov Hurtsを
カバーしたりしている。Cryingと言ったサルサっぽいメロディの
佳曲もあり、MIDNIGHT SUNとはまた違った音楽性だということを頭に
置いて聴いた方が良い。[82]
PETE SANDBERG'S JADE / PETE SANDBERG'S JADE
元MADISON、ALIAN、SNAKE CHARMER、BEWARP、現MIDNIGHT SUNの
他、ソロ、SNAD & GOLDと言った多彩な活動を続ける
スウェーデン人ボーカリスト、PETE SANDBERGとBAI BANGの
メンバー等によるハード・ロック・バンドのデビュー盤。
MIDNIGHT SUNではクリエイティヴ面を担っていたJONAS REINGOLDが
絡んでいないだけに、MIDNIGHT SUNとは趣の違う
作品となっている。楽曲は全てPETE SANDBERGが書いており、
叙情的で湿り気のあるアメリカン・ハード・ロック的な楽曲から、
キャッチーでポップなものまで取り揃っている。MIDNIGHT SUNの
哀愁を求めるなら、少し期待外れになる可能性もあるが、
ポップ・センス溢れたクオリティの高いアルバムだ。[86]
BINAURAL / PEARL JAM
アメリカのオルタナティヴ・ロック・バンドの2年振りの
6thアルバム。初回限定盤はFootstepsとBetter Manのライヴが
納められたボーナスCD付きの2枚組みとなっている。今作より
元SOUNDGARDENのドラマー、MATT CAMERONが加入している。
方向的には前作の延長線上と言えるもので、怠惰な感じのする
シンプルなアメリカン・ロックで、前作よりもダークさが減り、
落ち着きを感じさせるアルバムに仕上がっている。その分地味目な
感じはするが、彼等らしい味わい深さがあって、楽曲自体も中々
レベルの高さを感じさせてくれる。特にEDDIE VEDDERの渋い
ボーカルが非常に味があって感慨深さを与えている。[86]
AMPHETAMINE / PETE WAY
イギリスのハード・ロック・バンド、UFOのベーシストによる初の
ソロ。アルバム。方向的にはUFOとは趣が異なり、ワイルドな
ハード・ロックンロールと言った感じの作品に仕上がっている。
ブルージィなエッセンスを持ち込みながらも、MOTORHEAD的な
下品さも感じさせ、THE HELLACOPTERSやHARDCORE SUPERSUTARと
言った最近の北欧ハード・ロックンロール・バンドにも
通ずるところがある。ラフで勢いで作ってしまったと言う様な
作品だが、グルーヴィで破天荒で非常にのりの良いアルバムに
仕上がっている。彼のLEMMY似のボーカルも、こう言った
サウンドに意外と合っており、思いの外聴き応えのある作品だ。
[85]
ORIGIN / PETE SANDBERG'S JADE
スウェーデンのハード・ロック・バンドの2ndアルバム。
MIDNIGHT SUNを電撃的に脱退した元MADISON、ALIEN、BEWARP、
SNAKE CHARMERのボーカリスト、PETE SANDBERGを擁しBAI BANGの
メンバー等によって結成されたバンドだ。MIDNIGHT SUNの脱退は、
メロディアス・ヘヴィ・メタルのファンには
落胆をもたらしたろうが、この作品では彼らしい甘いボーカルが
活かされた、キャッチーなハード・ロックが展開されており、彼の
ファンには満足の行くものと言って良いだろう。そう言う意味では
前作の延長線上と言えるものだが、より北欧的な感じに
仕上がっており、彼がかつて在籍していたALIEN辺りのサウンドを
引き継ぐものだ。透明感と叙情感が良く出ており、美しく
キャッチーなアルバムとなっている。[85]
NOT OF THIS WORLD / PENDRAGON
イギリスのポンプ・ロック・バンドの5年振りとなる6thアルバム。
方向的には前作の延長線上とも言えるもので、甘い
ファンタジックなポンプ・ロックを聴かせてくれている。憂いを
帯びたメロディの壮大でドラマティックな楽曲は、如何にも
彼ららしいもので、彼らのファンには安心して聴ける作品と言って
良いだろう。叙情的なメロディのキーボードが前面に押し
出された、全体的に静寂感を感じるスペイシーな作品だが、割と
ギターの露出が大きく、楽曲には意外とフックがある。ボーカルや
メロディにやや甘ったるさを感じてしまうところに好き嫌いが
分かれるかもしれないが、出来は中々のものだ。[83]
WE'll Just Keep Singin' Till Our Spirits Out / PEARL
日本のロック・バンドの1987年にリリースされた2ndアルバム。
ソロ・ボーカリストとしても活躍する田村直美を中心とした
プロジェクト・バンドだ。TONY FRANKLINやCARMINE APPICEと
言ったメンバーで再結成し、一躍ハード・ロック系のリスナーにも
その名を知られる様になった。ここで聴かれるサウンドも、
再結成後と比べると、より歌謡ロックと言う側面が強いものの、
楽曲によってはそれなりにハードなものも含まれている。楽曲の
出来自体は悪くないし、日本語の歌詞や、日本の歌謡曲っぽい
楽曲に違和感がなければ、それなりに悪くないアルバムだ。[78]
CENTURY TOYS / PEARL
日本のロック・バンドの1988年にリリースされた3rdアルバム。
ソロとしても活躍する女性シンガー、田村直美を中心とする
バンドで、元THE FIRM、BLUE MURDERのベーシスト、
TONY FRANKLINや元OZZY OSBOURNE、BLUE MURDER、KING KOBRAの
ドラマーCARMINE APPICEとバンドを再開した事で知る人も
多いだろう。最近の割とハードな音楽性からすると、
ホーン・セクションを取り入れたりして、より歌謡ロック的な
色合いの方が強いが、それでも部分的にはハードなエッセンスを
感じさせるところもある。とは言え、今のサウンドを期待して
聴くには少し辛いところだろうが。[77]
RIOT ACT / PEARL JAM
アメリカのオルタナティヴ・ロック・バンドの2年振りの
7thアルバム。今や押しも押されもせぬ、
オルタナティヴ・ロックきってのスーパー・バンドだが、今作では
これまでとはやや雰囲気が異なっている。モダンな憂いを含んだ
楽曲自体はそれ程大きな変化がある訳ではないが、サウンド自体
極限まで装飾をこそぎ落とし、シンプルに作り上げたと言う感じを
受ける作品だ。よりシンプルに拡散していった様なサウンドは、
独特の味わいを感じさせる作品に仕上がっているが、その一方で
彼等の作品としては渋過ぎて、やや地味に感じられる
部分があるかも知れない。[80]