TIME TELLS NO LIES / PRAYING MANTIS
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1981年にリリースされた
デビュー盤。いわゆるN.W.O.B.H.M.初期に登場したバンドの
一つだが、このバンドが同時期の他のバンドから特徴
付けているのは、ポップとも言える程、叙情的なメロディを前面に
押し出した音楽性だろう。しかしその音楽性故か、メジャーから
デビューを果たしたものの、本国ではほとんど話題になることなく
IRON MAIDEN等の影に隠れて消えていった。そう言う音楽性を受け
付ける土壌があった日本だけで唯一話題になった位だろう。
序盤はやや異質な曲もあるが、それ以降は如何にも彼等らしい
哀愁味たっぷりの、美しいメロディの楽曲が並んでいる。
プロダクションはやや悪いが、当時のN.W.O.B.H.M.ものとしては
十分満足行くレベルだろう。[82]
PREDATOR IN DISGUISE / PRAYING MANTIS
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1991年にリリースされた
再結成第1弾となる10年振りの2ndアルバム。主要メンバーであった
CHRIS TROY、TINO TROYの兄弟に、元IRON MAIDENのギタリスト、
DENNIS STRATTONを加えて再結成されている。方向的には、
デビュー盤で聴かせてくれていた、哀愁味たっぷりの叙情的な
美しいメロディが主体となっているので、昔のファンからすると
嬉しい限りだろう。前作であったプロダクションの弱点も、流石に
ここまで時代が流れると遥かに良くなっているし、それだけ
完成度が上がっている。彼等が目指したものに一歩近づいたと
言えるが、その一方で1980年代初期の垢抜けなさが残っている。
全体的にやや統一性が欠け、発散してしまっている様に
感じられるのも残念だ。[83]
A CRY FOR THE NEW WORLD / PRAYING MANTIS
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1993年にリリースされた
2年振りの3rdアルバム。これまでCHRIS TROYがリード・ボーカルを
兼任していたが、ある意味それが弱点ともなっていただけに、
今作より専任ボーカリストを入れている。その後
RITCHIE BLACKMORE'S RAINBOWに加入するDOOGIE WHITEが
来日公演ではボーカルを取っていたが、このアルバムでは既に
COLIN PEELにスイッチしている。前作よりは更に彼等らしい
哀愁味たっぷりの叙情的なメロディの作品に仕上がっている。
前作より、より垢抜けた作品に仕上がっており、洗練された分だけ
好感が持てる。特にCry For The New WorldやLetting Goは
素晴らしく、彼等の代表曲と言えるだけの佳曲だ。[86]
ONLY THE CHILDREN CRY / PRAYING MANTIS
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1993年にリリースされた
ミニ・アルバム。DOOGIE WHITEに続いてCOLIN PEELも早々と
脱退し、ボーカリストの安定しないバンドだが、COLIN PEELに
代わり、MARK THOMPSONーSMITHが加入している。彼のボーカルは
COLIN PEELよりソウルフルだが、バンドの方向性には
合っているので、この交代は決して悪い結果になっていない。特に
タイトル・トラックのOnly The Children Cryは素晴らしく、
彼等らしい哀愁のこもった美しい楽曲に仕上がっているので、
彼等のファンであれば十分納得出来るだろう。他の楽曲も特筆する
程ではないが、彼等らしさがあって決して悪くはない。[84]
LEATHER BOYZ WITH ELECTRIC TOYZ / PRETTY BOY FLOYD
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1989年にリリースされた
デビュー盤。音楽的にはいわゆるMOTLEY CRUEのフォローワーと
言えるもので、VINCE NEILのボーカル・スタイルそっくりな
STEVE SUMMERSの歌い方や、金髪を一人だけ入れるメンバー
構成まで一緒で、ここまでくると少しあざとく思えなくもない。
アップ・テンポでのりの良い、ワイルドな
ハード・ロックンロールで、出来自体は決して悪くないので、
MOTLEY CRUEのファンであれば聴いても決して損はしないだろう。
既に大成功している先人がいるので、どうやってオリジナリティを
出して行くかが大きな課題となるだろう。[80]
JUMP THE GUN / PRETTY MAIDS
デンマークのヘヴィ・メタル・バンドの1990年にリリースされた
3年振りの3rdアルバム。ALAN OWENの脱退に伴い、専任の
キーボード奏者がいなくなってしまったが、キーボードがかなり
前面に押し出されたものとなっている。彼等らしい
キャッチーさもあるのだが、その一方でかなりソウルフルな
音作りがなされており、かなり扇情的に感じられる作品に
仕上がっている。ROGER GLOVERがプロデュースしており、その
影響も出ているのかも知れないが、DEEP PURPLEっぽい
エッセンスも感じられる部分がある。そこに、北欧のバンドらしい
哀愁味が加えられており、これはこれで面白い。[84]
SINーDECADE / PRETTY MAIDS
デンマークのヘヴィ・メタル・バンドの1992年にリリースされた
2年振りの4thアルバム。前作ではかなり憂いの効いた扇情的な
楽曲が多かったが、今作では明るい楽曲も増え、より現在の
スタイルに近くなった作品だと言えるだろう。RONNIE ATKINSの
ボーカルは、上手いと言うタイプではないものの、非常に
ソウルフルで、彼等のエッヂの立ったサウンドには良く
合っている。楽曲の出来も安心して聴いていられるし、ドライヴ
感のあるプロダクションが効を奏している。興味深いのが
JOHN SYKESのバラード、Please Don't Leave Meをカバーしている
事で、これが中々良い出来だ。[84]
OFFSIDE / PRETTY MAIDS
デンマークのヘヴィ・メタル・バンドの1992年にリリースされた
ミニ・アルバム。内容的にはいわゆる
アコースティック・アルバムと言うやつで、アップ・テンポの
ソウルフルでドライヴ感のある作品を作っている普段の彼等とは
また違った味わいが感じられ、中々興味深い作品に
仕上がっている。特に秀逸なのはSINーDECADEでカバーされていた
JOHN SYKESのPlease Don't Leave Meで、オリジナルやカバーとは
違った魅力を引き出している。あくまでもお遊び的な
作品ではあるが、ほのぼのとしたものから、哀愁を
感じさせるものまで、幅もあって悪くない作品だ。[83]
STRIPPED / PRETTY MAIDS
デンマークのヘヴィ・メタル・バンドの1993年にリリースされた
アルバム。内容的には企画盤的要素の強い、いわゆる
アコースティック・アルバムと言うやつで、前年にリリースされた
同様のミニ・アルバム、OFFSIDEの発展系とも言える作品だろう。
OFFSIDEを作ったからフル・アルバムで作ろうと考えたのだろうが、
OFFSIDEと内容が重複しているのはあまり嬉しくない。新しい
ファンならばこちらを入手すればOFFSIDEは必要ないのである意味
親切かも知れないが。とは言え、未発表曲が多く、彼等のファンに
取っては興味深い内容である事は確かだ。彼等のキャッチーな
メロディ・センスがこう言う作品では際立った感を受ける。[84]
SCREAM / PRETTY MAIDS
デンマークのヘヴィ・メタル・バンドの1994年にリリースされた
2年振りの5thアルバム。方向的には前作の延長線上と
言えるもので、叙情的でキャッチーなメロディと、意外とハードな
サウンドが同居した、彼等らしいサウンドを聴かせてくれており、
中々聴き応えのあるアルバムに仕上がっている。
RONNIE ATKINSは、綺麗と言う感じの声質の
ボーカリストではないが、ソウルフルで彼等の楽曲に良く
合っている。ややほのぼのとしたミドル・テンポのナンバーが
増えた気もするが、楽曲の出来を含めてレベルの高い作品と言って
良いだろう。[85]
PRIDE & GLORY / PRIDE & GLORY
OZZY OSBOURNEのアメリカ人ギタリスト、ZAKK WYLDE率いる
ハード・ロック・バンドの唯一のアルバム。その後、
OZZY OSBOURNEだけでなく、自らのバンド、
BLACK LABEL SOCIETYでも活動しているが、この作品におけるその
音楽的方向性はどちらでもない。その後、
BLACK LABEL SOCIETYでも見られるストーナー・ロックっぽさは
若干感じられるが、どちらかと言うと、よりサザン・ロック的な
色合いの強いサウンドで、埃っぽさを感じさせる、如何にも
アメリカ南部的なサウンドを聴かせてくれている。ハードで
ソウルフルな作品で、エネルギッシュな感じのするのりの良い
作品で、聴き応えは中々ある。[82]
PRIMITIVE ORIGINS / PRONG
アメリカのハード・コア・パンク・バンドの1987年に
リリースされたアルバム。後によりスラッシィで
インダストリアルな方向に向って行くが、ここで聴かれる
サウンドはよりハード・コア然としたものだ。その
インダストリアル・スラッシュ的な音楽性で彼等を聴いている
ヘヴィ・メタルのリスナーも多いだろうが、ここまで遡った
作品となると、ハード・コア・パンクが好きでないと聴くのは少し
辛いだろう。プロダクションもあまり良いとは言えず、かなり
荒削りな作品と言った印象を受ける。勢いだけは感じられるが、
それだけの作品で、まだまだと言ったところだ。[38]
CLEANSING / PRONG
アメリカのハード・コア・パンク・バンドの1993年に
リリースされた2年振りとなる5thアルバム。方向的には前作の
延長線上とも言える作品だが、よりギター・リフを前面に押し
出したアルバムとなっている。スラッシュ・メタル的に
ざくざくとしたリフを切り刻み、モダン・ヘヴィネス的にヘヴィな
アグレッションを聴かせてくれており、それ程パンキッシュな
色合いを強く押し出していないので、ヘヴィ・メタル側の
リスナーにも十分聴けるだろう。ただし、バックはともかく楽曲
自体はそれ程ヘヴィ・メタル的なエッセンスが
感じられるものではない。[81]
FOUL TASTE OF FREEDOM / PRO-PAIN
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1992年にリリースされた
デビュー盤。方向的にはミクスチャー的な音楽で、ファンクや
ラップ、ヘヴィ・ロック的なエッセンスを感じさせる作品だ。
スピード感のあるのに、3分前後の楽曲ばかりが並んでおり、
非常にテンポの良さを感じさせてくれる。
ファンキーっぽさはあるものの、全体的に攻撃的で聴き
応えがあるので、単なるミクスチャーと聴き流してしまう様な
事はないだろう。メロディを押し出すところでは、非常に強く押し
出してくるので、単純に攻撃的で
終わってしまっていないところにも好感が持てる。[81]
PROPHET / PROPHET
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1985年にリリースされた
デビュー盤。方向的にはプログレッシヴ・ハード・ロックとも
言えるもので、当時のヘヴィ・メタル・バンドとしては、最も
プログレッシヴ・ロック的な色合いの強いバンドと言って
良いだろう。JOE ZUJKOWSKIのキーボードが前面に押し
出されており、叙情的なプログレッシヴ・ハード・ロックを
聴かせてくれている。時にはプログレッシヴ・ロックらしい
変則的な部分も見え隠れするが、全体としてはすっきりとした
メロディを中心とした聴き易い作品でもある。
ボーカルはMESSAGEのDEAN FASANOで、彼の透ったハイ・トーンが
透明感を増して叙情感を盛り上げている。ドラマーは、その後
ボーカリストに転向してDANGER DANGERに加わるTED POLEYだ。[84]
CYCLE OF THE MOON / PROPHET
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1988年にリリースされた
3年振りの2ndアルバム。ボーカルはDEAN FASANOから
RUSSELL ARCARAに、ドラマーがTED POLEYからMICHAEL STERLACCIに
交代している。RUSSELL ARCARAのボーカルは、DEAN FASANOと
比べるとよりパワフルで、プロダクションもあって流麗な感じを
受けたデビュー作より、メリハリのある作品に仕上がっている。
前作ではかなりプログレッシヴ・ロックの趣味が色濃く出ており、
プログレッシヴ・ロック風のキーボードが前面に出ていたが、
今作ではそう言ったエッセンスは幾分控えめになっており、
Tomorrow Never Comesの様な、アコースティック・バラードも
入っていて、全体的なバランスが良くなっている様に感じられる。
フックがあって、バラエティさ、完成度も増して中々の佳作に
仕上がっている。[87]
RECYCLED / PROPHET
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1991年にリリースされた
3年振りの3rdアルバム。方向的には前作の延長線上とも
言えるものだが、前作よりも更にプログレッシヴ・ロック的な
色合いは薄れており、純然とヘヴィ・メタルと言って良い
内容になっている。もちろんJOE ZUJKOWSKIの派手なキーボードも
要所要所には出てくるが、よりギターを前面に押し出した
メロディアス・ヘヴィ・メタル作品に仕上がっている。
ギタリストが元T.T.QUICKで、後にNUCLEAR ASSAULTに加入する
DAVID DiPIETROに交代しているのも大きな影響を
与えているだろう。洗練されたメロディに、フックのある楽曲は
中々聴き応えがあって素晴らしい。[85]
FIRE BREAKS THE DAWN / PROUD
スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドの1984年にリリースされた
唯一のアルバム。EUROPE、BISCAYA、200VOLT等と伴に、初期
北欧メタルを支えたバンドの一つだが、それらのバンドの中でも
最もN.W.O.B.H.M.の影響を強く受けたバンドと言って良いだろう。
ロックロールを基調としながらも、煮え切らない憂いがあって、
如何にもN.W.O.B.H.M.的なメロディだが、北欧らしくより泣きの
強い叙情的な作品に仕上がっている。初期北欧メタルとしても
プロダクションが酷い方なのだが、それがより一層N.W.O.B.H.M.
的なイメージを与えてくれる。それらを考えると、B級と
言わざるを得ないところだが、メロディの素晴らしさ、荒々しい
迸るエナジーが単なるB級作品の域に留まらせてはいない。
N.W.O.B.H.M.のリスナーからすると素晴らしい内容と言えると
思うが、チャンスに恵まれず消えていったのは残念だ。[93]
NOW ON NEVER / PROJECT L.E.E
詳細は良く判らないがボーカルのLASSE E.ENGSTROMを中心とした
北欧のハード・ロック・プロジェクトのミニ・アルバム。彼以外に
SNAKE CHAMER、BAD HABIT、ACES HIGHと言ったバンドのメンバーが
参加している。LASSE E.ENGSTROMのボーカルは、さして
上手くもないのだが、ワイルドなダミ声がそれなりに楽曲に
合っている。ワイルドでアップ・テンポな明るい
ハード・ロックで、ラストのバラードもそつなくこなしているが
これと言ったものが感じられない。全体的にキャッチーな
メロディが配されており、それなりに聴ける作品ではあるが。[79]
PROMETHEUS / PROMETHEUS
アメリカのプログレッシヴ・ロック・バンドのデビュー盤。
セッション・ドラマーとしてKING CRIMSONのPAT MASTELOTTOが
全曲参加している。かなりヘヴィなサウンドがふんだんに織り
込まれているが、初期KING CRIMSONの様な要素はない。全体的に
むしろフュージョン風のテクニカル・ロックと言った方が近いかも
知れない。適度にハードで適度にポップでかつ複雑な展開もあると
言う感じでメタル側からでも結構聴き易い作品だと思う。但し、
プロダクションが今一つチープな感じがするのは残念し、ラストの
23分にも及ぶ大作Redemptionは理解不能だが。[80]
TO THE POWER OF TEN / PRAYING MANTIS
N.W.O.B.H.M.バンドの4thアルバム。楽曲は前作と比べると
若干ものによって差があるが、方向的には変化がなく、
相変わらずのPRAYING MANTIS調の哀愁のこもった叙情的で美しい
調べが並んでいる。GARY BARDENが加入しての第一弾となるが、
彼のボーカルも心配されたほど酷くはなく、バンドのイメージを
壊す事はないものの、やはり最初はどうしても気になる
部分がある。こういうポップ・センス溢れる叙情的で美しい曲は、
うまいボーカルで聴きたいものだが、聴きなれればそれなりに
味がある。楽曲の出来はさすがと思わせるだけの超一品の出来で、
実に素晴らしい。[84]
SCREAMIN' LIVE / PRETTY MAIDS
デンマークのヘヴィ・メタル・バンドのライヴ盤。最新作、
SCREAMにおけるツアーの地元コペンハーゲンでのライヴの模様を
収録したものだ。選曲、演奏を始め、全体的に可も無し不可も
無しと言ったところで、安定感はあるが今一つ消化不良の様に
感じられる。Please Don't Leave Meは、全体の流れからすると
馴染まないし、入れなかった方が良かったのではないだろうか。
音は割とクリアだが、どうもライヴの臨揚感が今一つで、盛り
上がりに欠けるのはいかんともし難い。RONNIE ATKINSの
ボーカルは意外に無難にこなしていると思うが。[80]
CAPTURED ALIVE IN TOKYO CITY / PRAYING MANTIS
N.W.O.B.H.M.バンドのライヴ盤。昨年、クラブ・チッタで行われた
来日公演の模様を収録したもので、初回限定盤のみ
2枚組となっている。物議を醸したGARY BARDENの加入だが、この
ライヴを聴く限りではそれほど大きな違和感は感じられない。
ただし、コーラス部分の出来はさすがと思わせるだけの
素晴らしいものなので、それに見劣りすると感じるところも
無きにしもあらずなのだが。それよりも、むしろドラミングの方が
きちんとリズムを刻めておれず、GARY BARDENより寧ろ
CLIVE BURRを交代した方が良いかも知れない。[81]
RUDE AWAKENING / PRONG
アメリカのハード・コア・パンク・バンドのアルバム。
これまでよりもかなりヘヴィな音作りがなされており、
サンプリングを多用してインダストリアル・ロック的な
エッセンスも加えられている。ザクザクと刻まれる
ギター・リフは攻撃的で、スラッシュ・メタルが壊滅状態の中で、
これだけ破壊力のあるスタイルを作り上げているのは賞賛に
値する。人工的だがそれが殆ど気になる事はなく、快作と言える
作品に仕上がっていると言って良いだろう。サンプリングだとか
ハード・コアということで身構えてしまう人も多いかも
知れないが、意外とメロディが押し出されていて侮れない
アルバムだ。[89]
WHOSE FIST IS THIS ANYWAY / PRONG
アメリカのハード・コア・バンドの1992年にリリースされた
ミニ・アルバム。その翌年に、インダストリアルでスラッシィな
感覚をより顕著にした傑作、CLEANSINGをリリースするのだが、
ここではまだそう言った部分はあまり感じられないアルバムだ。
とは言うものの、ハード・コアにとらわれない、ダンサブルな
リフと言い、ファンキーでインダストリアルな感覚と言い非常に
斬新でユニークなセンスの出ているアルバムに仕上がっている。
ほとんどがリミックスという事で、企画盤的色合いが濃いし、
あまりメタル的色合いは感じられないが。[76]
TIME TELLS NO LIES / PRAYING MANTIS
N.W.O.B.H.M.バンドの1981年にリリースされた1stアルバムで、
以前にも日本盤でCD化されたが、今回のCD化で特筆すべき事は、
1980年にリリースされた2枚組みシングルのCHEATEDから3曲
ボーナス・トラックとして収められていることだろう。
Flirting With SuicideとPanic In The Streetsのライヴは
スタジオ版の音質からすると十分満足の行くものだし、
アルバム未収録だったThirty Pieces Of SilverはLetting Goで
さびが流用されてる様な気がしないでもないが、
PRAYING MANTISらしい佳曲だ。既に日本盤で持っている人には
この3曲だけで奨めるのは少し苦しいがマニアは持っていて
損はない。[84]
BLUEPRINT FOR XCESS / PROJECT X
元WHITE WOLFのカナダ人ボーカリストDON WOLFの
ソロ・プロジェクト・バンドによる1stアルバム。
POINT OF POWERで一緒だったKENNY "KAOS" LONEYと全曲
共作していて、この二人のプロジェクトと言って良いだろう。
メンバー・ショットもこの二人のみだが、すっかり薄くなった
DON WOLFの頭が哀愁をそそる。一方、楽曲の方はWHITE WOLFの
叙情的な哀愁のあるメロディに比べると、やや明るめの曲調が
多めだ。もちろん、You Know I Knowの様な泣きの美しい
メロディの曲もあるが、全体的に考えればWHITE WOLFとはやや
趣が異なるだろう。[80]
GAZING THE INVISIBLE / PROMETHEAN
詳細は全く判らないが、多分北欧のゴシック・メタル・バンド。
メンバーは3人しかいなく、多くの部分を
ゲスト・ミュージシャンでカバーしているところを見ると、
バンドとしての実態はあまりないのかもしれない。
クリア・ボイスのみで、静かに淡々と進むが、全体的に
ヘヴィさはなく、アコースティックが中心になっている。
バイオリン、チェロ、フルート、リコーダと構成は割と
ユニークだ。耽美さはあるが、それ程目立ったものでもなく、
叙情的なギター・ソロとバイオリンが目立っている。
ニュー・ウェーブ的で、出来自体悪くない。[82]
SPOOKED / PRETTY MAIDS
初期北欧メタルの頃から活躍するデンマークの
ベテラン・ヘヴィ・メタル・バンドの新作。前作でそれまでの
ドラマティックでメロディアスな方向からややそれてしまった
感があったが、今作では再びそういったエッセンスを交え、更に
ポップなメロディがより顕著になっている。このよりポップな
感覚がやや厄介で、時によっては甘ったる過ぎるという感じが
どうしてもしてしまう。それでも、前作に比べれば、これまでの
ファンの希望によりそう内容だし、楽曲の出来だって結構良いのは
確かだ。KISSのカバーのHardluck Womanもそつなくこなしていて
悪くない。[84]
THE UNKNOWN / PRIME TIME
NARITAのギタリストHENRIK POULSENを中心とした
プロジェクト・バンドのアルバム。新旧のNARITAのベーシスト
CHRISTIAN D.RAJKAI、KARSTEN LAGERMANN、同じく元NARITAの
ALLAN SORENSEN、ROYAL HUNTのANDRE ANDERSENN、元ELEGYの
EDUARD HOVINGAといったおなじみのメンバーで構成されている。
ここで評価したいのはEDUARD HOVINGAのボーカルで、ELEGYでの
没個性的な味気ない歌唱に比べれば、ここでのパフォーマンスは
意外と面白い。割と扇情的で起伏のある楽曲には
結構あっているというか力を引き出せる
ボーカリストなのかもしれない。楽曲はあちらこちらでどこかで
聴いた事があるようなメロディが飛び出すが、ハードで
フックがあって出来は良い。NARITAともROYAL HUNTともELEGYとも
一味違う作品に仕上がっている。[88]
PRIMAL FEAR / PRIMAL FEAR
元GAMMA RAYのRALF SCHEEPERSとSINNERのMAT SINNERによる
ドイツのヘヴィ・メタル・プロジェクト・バンドのアルバム。
曲作りの中心はMAT SINNERだと想像するのだが、彼にしては意外と
GAMMA RAYっぽく聞えるし、サウンドもかなりヘヴィだ。
GAMMA RAYっぽく聞えるのは、やはりRALF SCHEEPERSという
ボーカリストの個性のなせる技だろう。全体的に楽曲は
JUDAS PRIESTっぽく感じるし、RALF SCHEEPERSも場面によっては
ROB HALFORDっぽい歌いまわしをしている。メロディの良さは流石
MAT SINNERというところで、楽曲、演奏とも出来はなかなか良い。
[84]
FOREVER IN TIME / PRAYING MANTIS
N.W.O.B.H.M.バンドの5thアルバム。ボーカルはGARY BARDENから
TONY O'HORAに交代している。GARY BARDENの参加が決して
失敗だったと言うつもりはないが、元々タイプ的にはあまり
合っているとは言えない両者だっただけに、このボーカル交代は
むしろ望むべき姿だと言っても良い。特にTONY O'HORAの
ボーカルはCOLIN PEALに似た感じで、バンドの方向性に
合っていると言って良いだろう。彼等らしい哀愁味のある叙情的な
メロディは相変わらず絶品で、メロディ・センスの素晴らしさは
変わりないのだが、A CRY FOR THE NEW WORLDに比べると、心を
揺さぶるような名曲はなく、楽曲的な出来は残念ながら
素晴らしいとまでは言えない。[83]
THE BEST OF...BACK TO BACK / PRETTY MAIDS
デンマークのヘヴィ・メタル・バンドのベスト盤。未発表曲は
新曲のForever And Eternal1曲で、その他にはバンドの
アルバムとしては未収録だった、GASOLINの
トリビュート・アルバム、FI-FIに収められていた
Det Bedste Til Mig Og Mine Vennerがボーナス・トラックとして
収録されている。Forever And Eternalは彼等らしいバラードで
中々の佳曲だが、同タイプのSavage Heartをその直後に続けて
収録せずにもっと後に回すとかした方が
良かったのではないだろうか。
Det Bedste Til Mig Og Mine Vennerはピアノの弾き語りで
始まり、ハードに展開する楽曲でやや彼等らしくない曲だが、
アレンジは雰囲気が出ている。[82]
THE MIRACLE / PRIME TIME
デンマークのヘヴィ・メタル・バンドの2ndアルバム。元NARITAの
HENRIK POULSEN、KARSTEN LAGERMANN、FLEMMING OLSENと元
ROYAL HUNTのTONNI RAHM、元ELEGYのEDUARD HOVINGAと言う
メンバー構成で、このメンバーでNARITAの再結成と
言われていたのが、HENRIK POULSENのプロジェクトであったこの
バンドで正式に活動する事になったようだ。方向的には
NARITAっぽい楽曲もなくはないが、全体的に前作を押し進めた
様なキャッチーさを持った楽曲で構成されており、このバンド名で
続けたのは正しいと言って良いだろう。ELEGYでは今一つ
馴染めなかったが、前作でその実力ぶりをいかんなく発揮した、
EDUARD HOVINGAのボーカルはここでも健在で良い出来だ。EUROPEの
カバー曲、Seven Doors Hotelははまり過ぎと言う感じだが、
そのためにオリジナル曲が何となく霞んでしまったのは残念だ。
楽曲自体も前作と比べるとやや面白味に欠ける。[83]
PRETTY BOY FLOYD / PRETTY BOY FLOYD
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの9年振りの2ndアルバムとなる
再結成後、初のミニ・アルバム。元BIG BANG BABIESのKERI KERIが
加わり、音に厚みを増している。方向的には元々MOTLEY CRUEを
意識したものだったが、バラエティさは増したものの、この
作品でもその方向性は変わりない。殆どの楽曲を新加入の
KERI KERIが書いているが、バンドの方向性を損なっていないのは
評価できる。特にEverybody Needs A Hero等は如何にもと言った
感じをさせてくれる。ただ、ジャケットのセンスは最悪で、中
ジャケのビジュアル系の様なメンバー・ショットの方が遥かに
使えたと思うのだが。[81]
ANYTHING WORTH DOING IS WORTH OVERDOING / PRETTY MAIDS
デンマークのヘヴィ・メタル・バンドのアルバム。これまでも
良質のアルバムを出してきたが、この作品はその中でも最高傑作と
言っても良いだけの出来に仕上がっている。これまでの路線を
継承しながらも、扇情的でエッヂのたったサウンドは、
ゾクゾクする程格好良い。適度にキャッチーで印象的なメロディは
素晴らしく、Snakes In Edenのさび等は最高だ。その他にも、
When The Angels Cryを始め、佳曲と言える楽曲がずらりと
並んでいる。アコースティック・バラードのWith These Eyesも
RONNIE ATKINSが切々と歌い上げていて素晴らしい出来だ。情感
豊かで楽曲の出来も素晴らしく、傑作と言って良いアルバムに
仕上がっている。[89]
HELL ON NIGHT HEELS / PRETTY MAIDS
デンマークのヘヴィ・メタル・バンドのアルバム、
ANYTHING WORTH DOING IS WORTH OVERDOINGよりの1stシングル。
シングル・カットのタイトル・トラックの他にSpooked、
Come To Toughのライヴ・トラックの3曲入りと言う
構成になっている。アルバム未収録音源と言う事ではライヴの
方と言う事になるのだが、1997年に行われた公演の模様を
収録されたもので、荒々しくヘヴィな仕上がりになっている。
ほとんど生採りと思える様なプロダクションで、録音状態は
悪くないが、バランスが今一つ悪いように思える。[78]
DEMORABILIA / PRAYING MANTIS
N.W.O.B.H.M.バンドのデモ音源を集めた2枚組みアルバム。音源は
全てデビュー盤のTIME TELLS NO LIESをリリースした後の1981
年から1983年までに録音された幻の2ndアルバムや、元
IRON MAIDENのドラマー、CLIVE BURRやGRAND PRIXの
ボーカリスト、BERNIE SHAWと結成した、STRATUSの前身
バンドであるESCAPEの音源を収めたものだ。この時代のこの
バンドのデモ音源だから、当然の事ながらプロダクションは
悪いが、同時代の他のN.W.O.B.H.M.バンドの正式にリリースされた
音源と比べて決して劣る程のものではない。美しい哀愁に満ち
溢れたメロディは今聴いても良い出来だし、資料的価値だけに
止まらない魅力がある。[80]
JAWS OF DEATH / PRIMAL FEAR
ドイツのハード・ロック・バンド、SINNERのMAT SINNERと
元GAMMA RAYのRALF SCHEEPERSのコラボレートによるバンドの
2ndアルバム。如何にもヘヴィ・メタルらしい重厚なサウンドに、
MAT SINNERらしいメロディが散りばめられている。こう言う
タイプのサウンドにすると、今一つMAT SINNERの
メロディ・センスが生きない様な気もするが、エッヂがたった
楽曲は、扇情感があって出来は悪くないし、格好が良い。
RALF SCHEEPERSのボーカルも、こう言った方向性に割りと
合っているし、中々聴きごたえのある作品には仕上がっていると
思う。[82]
THE TRUTH / PRIVATE ANGEL
ドイツのハード・ロック・バンドのアルバム。MICHAEL DUDEKと
言うボーカリストと楽器全般を担当しているFRANZ ZELLNERと言う
二人組のコンビによるアルバムだ。方向的にはキャッチーな
メロディの叙情的なハード・ロックと言った感じの作品で、
ヘヴィさはそれ程しないものの、楽曲自体はSCORPIONSっぽさを
感じさせるところがある。全体的には、より
ハード・ポップがかっており、その割にはフックがあって
扇情的だ。楽曲の出来は中々のものだし、愁いがかった楽曲は格好
良く、意外と聴きごたえのあるアルバムに仕上がっている。[83]
NOWHERE TO HIDE / PRAYING MANTIS
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの2年振りにリリースされた
6thアルバム。次から次へとボーカルが交代すると言う状況だった
彼等としては、始めてメンバーが固定されたアルバムだ。
如何にもと彼等らしい言った感じの、叙情的で哀愁漂うメロディの
作品で、これまでのファンには安心して聴ける作品だと言って
良いだろう。それ故その半面新味に欠け、何か聴いた事がある様な
感じの楽曲がずらりと並んでいる感はいがめない。特に前作に
比べてもバラエティさに欠けるので、そう言った感がより一層強く
感じられる。固定されたとは言え、TONY O'HORAのボーカルに
今一つフックが感じられないので尚更だ。それに余りにも洗練され
過ぎていて淡白に感じられてしまうのが残念だ。[83]
BLIND / PRISONER
スウェーデン人セッション・ギタリスト、TOMMY DENONDERによる
ハード・ロック・プロジェクトのデビュー盤。
アメリカナイズされた叙情的なメロディアス・ハード・ロックで、
キャッチーでエモーショナルな楽曲は中々素晴らしい。
GEIR RONNINGとPIERE WENSBERGと言う二人の
リード・ボーカリストを起用しているが、そのおかげか厚い
コーラスは聴き応えがある。二人とも透った伸びのあるボーカルを
聴かせてくれており、交代でボーカルを取る事にそれ程違和感は
感じられない。全体的にミドル・テンポ中心であるために、
しっとりとした楽曲が多く、やや盛り上がりに欠ける
気がしないでもないが、Starry Eyes等、ブルージィで
エモーショナルな色合いが楽曲にフックを与えている。楽曲には
アダルトな雰囲気があって中々質の高いアルバムに
仕上がっている。[84]
CARPE DIEM / PRETTY MAIDS
デンマークのヘヴィ・メタル・バンドのアルバム。
Violent TribeではRAINBOWのGates Of Babylonっぽいメロディも
飛び出して来たりするが、全体的にはこれまでの延長線上と言える
様な彼等らしい作品に仕上がっている。そう言う意味では
目新しさもないのだが、彼等のファンもそう言うものはあまり
望んでいないだろうし、内容的には安心して聴いていられる
アルバムと言って良いだろう。スリリングでキャッチーな
メロディの楽曲は悪くないし、ポップな楽曲から、ハードな
ナンバーまで、硬軟取り混ぜてバラエティ豊かで聴き応えのある
アルバムだ。[83]
IN SANTA'S CLAWS / PRETTY MAIDS
デンマークのヘヴィ・メタル・バンドの1990年にリリースされた
ミニ・アルバム。そのアルバム・タイトルが示す通り、クリスマス
向けの企画盤で、In Santa's ClawsとA Merry Jingleと言う2曲の
クリスマス・ソングに、Eye Of The StormとRed, Hot And Heavy、
Rock The Houseの3曲のライヴ・バージョンを含む全5曲と言う
構成になっている。クリスマス・ソング自体は、クリスマスらしい
雰囲気も出ているし、企画ものとして十分楽しめるだろう。
ライヴは、1990年にデンマークで行われたフェスティバルの模様を
収録したもので、静かなEye Of The Stormで情感を盛り上げながら
入っていく構成も悪くない。[80]
NUCLEAR FIRE / PRIMAL FEAR
ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの3rdアルバム。GAMMA RAYの
ボーカリスト、RALF SCHEEPERSとSINNERのベーシスト、
MAT SINNERによるプロジェクト・バンドだが、今や本職以上に
人気を得ていると言って良いだろう。方向的にはこれまでの
延長線上と言えるもので、JUDAS PRIESTのフォローワー的な
作品だ。ROB HALFORDのボーカルに優るとも劣らない、
RALF SCHEEPERSのボーカルは素晴らしく、彼がいるからこそ実現
出来る作品だと言って良いだろう。ややパターンに
はまってしまっていると言う感のするところもあるが、その
完成度は非常に高い。[84]
FREE THE DREAM / PRIME TIME
デンマークのヘヴィ・メタル・バンド、NARITAの元ギタリスト、
HENRIK POULSENとオランダのヘヴィ・メタル・バンド、ELEGYの
元ボーカリスト、EDUARD HOVINGAを中心としたバンドの
3rdアルバム。EDUARD HOVINGAはこのバンドを始めて、ELEGY時代と
比べて意外な実力者ぶりを見せてくれており、正に彼の才能を発揮
出来るバンドと言って良いだろう。これまでの作品もキャッチーな
メロディを中心としたものだったが、今作ではそう言った面をより
一層進めており、ライト感覚溢れるポップな作品に
仕上がっている。前作と比べると、楽曲によってはややポップ
過ぎる気がしないでもないが、メロディ・センスの素晴らしさは
流石と言ったところだ。[84]
ROUND 6 / PRO-PAIN
アメリカのヘヴィ・ロック・バンドの2年振りとなる6thアルバム。
ベースとなっているのはハード・コア・パンクだが、意外と
メロディが前面に押し出されており、モダン・ヘヴィネスやメタル
色もあって、ミクスチャー的な作品に仕上がっている。
スラッシィなリフが導入されていて、攻撃的で硬派な作品に
仕上がっているが、キャッチーなメロディなので結構聴き易い
アルバムだ。スラッシュ・メタルよりのハード・コア辺りが
好きならば聴いても損はしないだろう。中々良い
作品ではあるのだが、唯一の弱点はジャケットのセンスが悪すぎる
事だろうか。[82]
II / PRISONER
RAINMAKER、TALK OF THE TOWN、RADIO ACTIVE等で知られる
スウェーデン人ギタリスト、TOMMY DENANDERによる
プロジェクト・バンドの2ndアルバム。彼の作品と言うと叙情的で
キャッチーなハード・ポップがすぐに思い浮かぶが、この作品も
当然その路線と言って良いだろう。前作ではやや
アメリカナイズされた産業ロック的な色合いも感じられてが、
今作ではより哀愁を打ち出した、北欧的なハード・ポップで、
むしろTALK OF THE TOWN等に近い内容と言って良いだろう。
彼らしい素晴らしいメロディ・センスに溢れており、楽曲の出来は
流石と言ったところだ。前作同様、GEIR RONNINGと
PIERE WENSBERGと言う二人のリード・ボーカリストを
起用しているが、二人とも伸びのある透った声質で似ているので
違和感はないし、コーラスで強みを発している。[85]
PLANET PANIC / PRETTY MAIDS
デンマークのヘヴィ・メタル・バンドの2年振りの9thアルバム。
全体的な音の作りは、よりモダンでヘヴィなものになっているが、
彼等らしいキャッチーさを持った叙情的なメロディは健在だ。特に
ヘヴィネスな印象を与えるHe Who Never Lived辺りは流石に
違和感を感じなくもないが、こう言った曲でもそう言った音楽性は
決して失われてはいない。Playing God等、如何にもと言った
憂いを帯びたパワフルなナンバーもある。後半になると、
彼等らしい楽曲かどうかは別として、前半であったモダンで
ヘヴィネスな部分は押さえられ、よりオーソドックスな
スタイルになっている。[83]
BLACK SUN / PRIMAL FEAR
ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの4thアルバム。元々はSINNERの
ベーシスト、MAT SINNERと元GAMMA RAYのボーカリスト、
RALF SCHEEPERSによるプロジェクトと言う形で始まったが、今や
ドイツで最も人気のあるヘヴィ・メタルと言えるまでの
ステータスを持ち、こちらの方が本業と言って良い
状態になっている。ROB HALFORDよりROB HALFORDらしい
RALF SCHEEPERSのボーカルを始め、実にJUDAS PRIESTらしい
サウンドを聴かせてくれているが、そこにジャーマンらしい
メロディを盛り込んでおり、決して物真似だけに
終わっていないところに好感が持てる。[85]
FAR FROM THE EDGE / PRIDE
イギリスのハード・ロック・バンドのデビュー盤。
元BALANCE OF POWERのキーボード、IVAN GUNNを中心とした
バンドだ。IVAN GUNN脱退後のBALANCE OF POWERが
メロディック・メタルへと路線を変えていったのに対して、
IVAN GUNNがBALANCE OF POWERのクリエイティブ面の中心を
担っていただけに、ここで聴かれるのは初期BALANCE OF POWERの
産業ロック的なポップ色を強く打ち出した、叙情的なメロディの
ハード・ロックを聴かせてくれている。MATT MITCHELLの
ハスキーなボーカルに好き嫌いが判れるかも知れないが、楽曲の
レベルも高いし、流石と思わせるだけの内容だ。[85]
SHREDS OF DIGNITY / PRO-PAIN
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの7thアルバム。その音楽的
方向性はモダン・ヘヴィネスとハード・コアのエッセンスを取り
入れたヘヴィ・メタルで、ボーカルにはややラップ的な部分も
感じられる。グルーヴ感を押し出した、パワフルでエナジー
ほとばしるサウンドは中々聴き応えがある。昔から比べると、
それ程ファンキーさはなく、より剛直な音楽性になって来たと
言って良いだろう。それ故男臭さを感じる様になったが、昔の
キャッチーさも上手く残していて、意外と聴き易さも感じられる。
[82]
ALIVE AT LEAST / PRETTY MAIDS
デンマークのヘヴィ・メタル・バンドのライヴ盤。2001年に
行われた東京と大阪での公演と2002年に行われたドイツでの公演の
模様を収めたものだ。初期と最近の楽曲がほとんどで、わざわざ
2つのツアーの公演から収録した割には、選曲のバランスが悪くて
別々の公演の音源を取り混ぜたのは却って失敗している様な
気がする。公演の切れ目で音が切れるし、これなら一つの公演を
通して録音した方が良かったと思えるだけに、理解に苦しむライヴ
作品だ。ただ、それを除けば演奏やプロダクションは
きちんとしているだけに、少し勿体無い結果としか言い様がない。
[80]
THE JOURNEY GOES ON / PRAYING MANTIS
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの3年振りの7thアルバム。
メンバーはTINO TROY、CHRIS TROY兄弟とDENNIS STRATTONの
3人だけとなっている。今作では専任のボーカリストは置かず、
元RAINBOWでゲスト参加と言う形で再び参加したDOOGIE WHITE、
元URIAH HEEP、GARY MOOREのJOHN SLOMANを迎え、更に自らも
ボーカルを取っている。中核のメンバーがそのまま
残っているので、意外や明るい楽曲もあったりするが、基本的には
彼等の音楽性はそのまま変わらず、哀愁を満載した叙情的な
メロディをこれでもかと聴かせてくれるスタイルは不変なので、
これまでのファンが聴いても十分納得出来るだろう。楽曲自体の
出来は、やや斑が感じられなくもなく、彼等としては平凡な部類の
作品と言えなくもない。[83]