FOUR MOMENTS / SEBASTIAN HARDIE
オーストラリアのプログレッシヴ・ロック・バンドの1976年に
リリースされたデビュー盤。音楽的にはシンフォニックな
プログレッシヴ・ロックと言えるもので、非常に美しいメロディを
聴かせてくれている。哀愁の南十字星と言う印象的な邦題で良く
知られる作品だが、その邦題が示す通り、叙情的で憂いを帯びた
メロディを前面に押し出した、彼等の代表作とも言える
アルバムだ。空間の広がりを感じさせる、清々しい哀愁の
メロディは何とも言えない味わいがあり素晴らしい。落ち着いた
雰囲気の中にも、ドラマティックな盛り上がりがあり、
シンフォニック・ロックの名作と言って良いだろう。[86]
WINDCHASE / SEBASTIAN HARDIE
オーストラリアのプログレッシヴ・ロック・バンドの1976年に
リリースされた2ndアルバム。方向的には前作の延長線上と
言えるもので、叙情的なメロディのシンフォニックな
プログレッシヴ・ロックを聴かせてくれている。MARIO MILLOの
ギターの比重が増している事も含め、この作品ではMARIO MILLOの
演奏の重要度が増している。更に、オリエンタルな
メロディもあって、MARIO MILLOのギター・メロディがより一層
印象的なアルバムに仕上がっていると言って良いだろう。憂いは
やや減じ、より爽快な清々しさを感じさせるものとなっており、
実に気持ちの良い楽曲が並んでいる。[84]
ARISE / SEPULTURA
ブラジルのスラッシュ・メタル・バンドの1991年にリリースされた
5thアルバム。ブラジルのヘヴィ・メタル・シーンと言えば、まだ
海外ではほとんど注目されていなかった時代だが、彼等とVIPERの
登場が大きくその状況を変えたと言えるだろう。このアルバムは
彼等がそのステイタスを上げる、大きなステップ・アップとなった
作品だ。攻撃的でシンプルなリフを中心とした、強烈な
アグレッションを感じさせるコアなサウンドで、
スラッシュ・メタル、受難の時代において非常に破壊力のある
作品を作った意義は大きい。MAX CAVALERAの歪ませたボーカルも、
破壊力を増しており、強烈な作品に仕上がっている。[81]
CHAOS A.D. / SEPULTURA
ブラジルのスラッシュ・メタル・バンドの1993年にリリースされた
2年振りの6thアルバム。基本的には前作の延長線上ではあるが、
より進化した姿を見せており、一つの殻を打ち破ったと言って
良いだろう。ややミドル・テンポを重視する様になっており、
リフののりを押し出した作品に仕上がっているが、破壊力は少しも
失われていない。Refuse/Resistではトライバル感が打ち
出されており、それは次作のROOTSで結実していく事になる。
これまでのスラッシュ・メタルをなぞるだけではなく、彼等の
独自の新機軸を打ち出しており、個性の感じられる強力な
アルバムだ。[89]
SEOTAIJI AND BOYS III / SEOTAIJI AND BOYS III
韓国のヘヴィ・メタル・バンドとしては最もメジャーの部類に
入る、SINAWIのベーシストSEO TAIJIを中心とするバンドというか
ボーカル・チームの3rdアルバム。ヒップ・ホップ系に影響を
受けたと見られるような曲が中心でSINAWIとはあまり
繋がりはない。曲によってはヘヴィなリフを入れたスラッシィーな
ものや、VAKENSIAのようなものもある。スラッシィーなものも
ラップの影響があってANTHRAXのI'm The Man風な
感じがあったりと、純然なヘヴィ・メタルとは到底言えず、
そういうエッセンス取り入れているに過ぎない。[78]
WAVES & TIDES / SEVEN SKYS
アメリカのハード・ロック・バンドのデビュー盤。明るく澄んだ
さわやかなアメリカン・ハード・ロックで、いかにもL.A.という
感じの楽曲群がほとんどを占めている。STU SADDORISのボーカルは
LENNY WOLFを軽くしたような感じでバンドの方向性としては
合っているだろう。Saluteのようなシリアスな曲も
そつなくこなしているのだが、音楽的な方向性もあって
全体的にこじんまりとしており、のりは今一つ良くない。逆に落ち
着いた曲の方が和んでいて、聴き込む事が出来るので、もう少し
そう言った方向性を押し出した方が良いだろう。[79]
NORTH FROM HERE / SENTENCED
フィンランドのメロディック・デス・メタル・バンドの
2ndアルバム。方向的にはスラッシュ系デス・メタルと
言えるものだが、この手のものとしてはかなりテクニカル・デス
的な要素が強く、楽曲の展開は変則的に進んで行く。その分、
あまり楽曲に美しさを押し出しておらず、テンポ良く進んで行く
感じだ。だが、どうも構成的にまとまりが欠ける嫌いがあり、
アイデアは悪くないのだが、それをうまく生かし切れていない様に
思える。アイデア的には良いものを持っていると思えるので、曲の
練り込めるようになれればかなり良くなるはずだ。[80]
AMOK / SENTENCED
フィンランドのメロディック・デス・メタル・バンドの2nd
アルバム。前作のデビュー盤とは幾分作風を変えて来て、バックは
完全にパワー・メタル的な様相を呈しており、ギター・メロディ
等は中々格好が良い。ボーカルのSAMI LOPAKKAの声質は、
しゃがれた咆哮型のデス・ボイスで、幾分ヒステリックさを
感じさせるが、それほど聴き難いものでもない。前作よりは
メロディ中心になっていて、その分のりが悪くなった
印象がするが、楽曲の出来自体は前作より格段に良くなっており、
非常にドラマティックで聴きごたえのある完成度の高い作品に
仕上がっている。[84]
THEN CAME SILENCE / SERENITY
イギリスのドゥーム・メタル・バンドのアルバム。若干耽美的な
エッセンスの香りのあるドゥーム・メタルだ。端々に耽美な
メロディを織り込んでいるが、重々しく非常にドゥーミィだ。
全体的に寂しさを感じさせスロー・テンポで延々と続くのだが、
BLACK SABBTH然とした部分もある。SOLITUDE AETURNUSの
BEYOND THE HORIZON程の完成度は残念ながらないが、中々
聴きごたえはあるアルバムだ。DANIEL SAVAGEの沈み込んだように
歌うボーカルは決してうまいとは言いがたいが非常に印象的で、
これに絡むギター・メロディがなかなか美しい。しかし、
アルバム一枚を通してこの展開を聴き続けるのは少し
辛いかもしれない。[84]
ΕΣΟΠΤΡΟΝ / SEPTIC FLESH
ギリシャの二人組のメロディック・デス・メタルのユニットによる
アルバム。デス・ボイスはダミ声というより野太い沈み込むような
感じで、この手の中では特に聴きがたいというものではないが、
唸っているだけという感じもしなくはないのが難点だ。ギターと
キーボードによるメランコリックな泣きは独特の味を出している。
このドラマティックさとメランコリックさは中々美しくて
聴きごたえがある。ギター・メロディはメロディック・デスの
中ではもっとも美しいものの一つに挙げれる位素晴らしいし、
ゴシック的な雰囲気を醸し出すコーラスも良い。[85]
LOVE & DEATH / SENTENCED
スウェーデンのメロディック・デス・メタル・バンドの最新
アルバム、AMOKからのミニ・アルバム。5曲中2曲はAMOKからの
収録で、残り3曲が未発表音源となっている。かなり
ゴシック・メタル的な雰囲気があり、PARADISE LOSTを軽くして、
もっとメロディアスで軽快にしたと言う感じだ。未発表曲のうち
1曲はカバーでBILLY IDLEのヒット曲、
White Weddingをやっているのだが、これが結構はまっている。
重量感はあまり感じないが、ギター・メロディも美しいし中々良い
出来である。こう言った音源は、次のアルバム辺りで
ボーナス・トラックとかに使われるかもしれないし、
コレクターズ・アイテムの域は出ないかもしれないが、彼等の
レベルの高さを窺わせてくれる作品だ。[85]
ROOTS / SEPULTURA
ブラジルのスラッシュ・メタル・バンドの6thアルバム。
プロダクション面で、かなり斬新になってきており、音の処理は
明らかにインダストリアル的で、ここまで来ると作為的過ぎる
気もする。しかし、ヒップ・ホップ的な曲作りをしているため
単なるモダン・ヘヴィネスの様なものにはなっておらず、非常に
のりのある作品に仕上がっている。重量感と破壊力は圧倒的で、
人工的な音作りと民族音楽的な打楽器との対比は非常に面白い。
ボーナス・トラックのChaos B.C.は、その曲名が示す通り、
Refuse/Resistの新バージョンで、このアレンジの違いがもろに
前作との違いを表していると言って良いだろう。[86]
ROOTS BLOODY ROOTS / SEPULTURA
ブラジルのスラッシュ・メタル・バンドの最新アルバム、ROOTSに
先駆けてのミニ・アルバム。とは言っても、ROOTSからの収録曲は
Roots Bloody Rootsのみで、残りはCELTIC FROSTのカバー、
Procreation(Of The Wicked)と、ライヴがRefuse/Resist、
Territory、Propaganda、
Beneath The Remains/Escape To The Voidの4曲と言う
構成になっている。CELTIC FROSTのカバーは、元々ドゥーミィで
ミドル・テンポのものだけに、あの荒々しい疾走感はないが、
彼等らしいブルータルさは感じられる。ライヴでも、その破壊的な
エナジーは全編に込められており、これだけでも十分堪能出来る
作品になっている。[82]
DAWN OF TIME / SEA OF DREAMS
ノルウェイのヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。意味不明の
S.E.で始まりがっくりさせられるが、実際内容はドラマティックで
結構良い。楽曲は10分以上の曲も有し大作指向で、QUEENSRYCHEや
ジャーマン・パワー・メタルの影響が見え、それを北欧の
バンドらしくアレンジした感じだ。大仰で陰りのある扇情的な
美しいメロディ重視型で、展開も悪くなく、幻想的な
女性コーラスの使い方等、アイデアは非常に良い物を
持っているが、それを表現するにはまだ少し力不足だし、
消化しきれていないという感じだ。ボーカルのJIM FOSSは
ハイ・トーンを除けば、JEFF TATE型で良い味を出しているが、
ハイ・トーンになるとよれよれになることがあるのは残念だ。
次作以降に非常に期待出来る。[80]
RATAMAHATTA / SEPULTURA
ROOTSからの日本では2枚目のミニ・アルバム。WarはBOB MARLEYの
カバーだが、BOB MARLEYの雰囲気などまるでない、
SEPULTURAらしい切り口だ。デモ・バージョンのものはアルバムに
入っているのとたいして変わりがないので、特に取り立てる程の
ものではない。RATAMAHATTAは若干テクノっぽく
アレンジされている。やはりライヴの2曲が一番
スラッシュ・メタルらしい。[76]
ATTITUDE / SEPULTURA
ブラジルのスラッシュ・メタル・バンドによる3rdアルバム、
ROOTSからの日本では3枚目となるミニ・アルバム。アルバムからの
シングル・カットであるタイトル・ナンバーに、ライヴが2曲、
バージョン違いが2曲、未発表曲が1曲と言う構成になっている。
スラッシュ・メタル的なエッセンスは残っているもの、
ノイジィーなオカルティックな作品で、大胆に機械処理された
そのサウンドはスラッシュ・メタルというよりは
インダストリアルな印象を与える。ボーナス・トラックとなる
Kaiowasのジャムはともかく、残り2曲のライヴが一番
スラッシュ然としている。[74]
DOWN / SENTENCED
フィンランドのメロディック・デス・メタル・バンドの
4thアルバム。新しいボーカリストとしてVILLE LAIHIALAが
加入したが、このボーカルはややダミ声であるものの、
デス・ボイスというものではなく、デス・メタルという
位置づけから完全に脱却した感がある。ギター・メロディを
より押し出したサウンドになっており、憂いを含んだ耽美で
叙情的なメロディは、パワー・メタルというかメロディアスな
ヘヴィ・メタルといったところだ。プロデューサーにはTIAMATで
名をあげたGRIP INC.のギタリストWALDEMAR SORYCHTAが
担当しているが、この人選も正解だったと言えるだろう。
デス・ボイスというアクセントはなくなったが、メロディは中々
良く練られており、フックがあって今までと比べて盛り上がりに
欠けるという事はない。Ode To The Endで不思議な雰囲気を
醸し出す女性コーラスも面白い。全体的にほぼミドル・テンポで
統一されており、実に耽美で聴きやすい作品だ。より扇情的だが、
ややTESTAMENTっぽい。[91]
OPHIDIAN WHEEL / SEPTIC FLESH
ギリシャのメロディック・デス・メタル・バンドの3rdアルバム。
方向的にはこれまでと変らず、シンフォニックでメランコリックな
パートからパワー・メタル的な躍動感を出していき、一つの
ドラマティックな展開を作り出している。泣きのメロディの
楽曲も良い出来で、時にはブルータルにブラスト・ビートを入れて
来たりする一方で、時にはシンフォニックに展開していき、彩りが
実に豊かだ。SPIROSのひしゃげたようなデス・ボイスは相変わらず
聴きがたいが、オペラティックなNATALIE RASSOULISの
ハイ・トーン・ソプラノは実にうまく、この醜かいな
デス・ボイスから転調がなんとも劇的な世界を演出しているのだ。
[87]
MILLENIUM / SEVENTHSIGN
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの2ndアルバム。
アメリカらしい叙情的なメロディアス・サウンドの
ヘヴィ・メタルで、この手のものとしてはめりはりがあって、より
ハードな音像に仕上がっている。ボーカリストのGREGORY ANALLAの
歌声は艶やかで力強く、伸びやかでハイ・トーンも奇麗に
出ており、バンドの色にも合っていてかなり良いボーカリストだ。
作品の完成度という意味ではデビュー盤よりかなり進歩の跡が
見えるし、アメリカ風のドラマティックで叙情的な
メロディアス・ハードな作品が好きな人向けの作品だ。[85]
MAJESTIC / SEVENTH OMEN
詳細は良く判らないが多分アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの
1995年にリリースされたデビュー盤だろう。
セルフ・プロデュースによる自費出版アルバムで、音質も確かに
それに見合った、あまり良いとは言えない出来だ。楽曲自体は
かなり扇情的で、ギター・メロディとボーカルの声質がそういった
感をなお強くしている。パワー・メタルといって良いものだが、
個々のメロディにやや面白味が欠けるのが残念だ。アップ・テンポ
一気に聴かせていくが、アレンジ力、プロダクションとも、
今一歩なのが残念だ。ちゃんとしたプロデューサーのもと、
レコーディングすればかなり見栄えは良くなると思うのだが。[73]
A FALLEN TEMPLE / SEPTIC FLESH
ギリシャのゴシック/デス・メタル・バンドの4thアルバム。
デス・ボイスも部分的に使われているが、
メロディック・デス・メタル的な色合いはそれ程強くない。女性
ボーカルを入れたり、耽美なところもあるのだが、むしろ耽美色は
それ程強くなく、どちらかと言うとシアトリカルでホラー的な
作品だ。楽曲によってはPARADISE LOST
然としているものもあるが、その一方で、シンフォニック的な
感覚も漂い、非常にダークな雰囲気に満ちているものもある。
おどろおどろしくも幻想的で美しくも不思議な世界が
広がっている。3曲の組曲と言う形態を取っているが、特にそう
言った流れがある訳ではなく、実際はそれぞれ独立していると
言った方が良いだろう。中盤4曲はデビュー・ミニ・アルバムの
再録になっている。[84]
INTO THE VOID / SECRET DISCOVERY
詳細は全く不明だが、恐らくドイツのゴシック・メタル・バンドの
アルバム。ややドスの効いたがなり声と言う感じのKAI HOFFMANNの
ボーカルだが、いわゆるデス・ボイスと言うものではなくて、一応
クリア・ボイスと言っても良いだろう。音楽的な方向性はかなり
極際色と言った感じのサウンドで、ゴシック・ロック的な内容だと
言える。PARADISE LOST等より更にゴシック・ロック色が強く、
サイケデリックな雰囲気の中にもわびしさを漂わせ、テンポ良く
進んでいくので決して飽きることがない。楽曲の出来も中々
良いし、メタル色のあるゴシック・ロックと言う感じで良く出来た
アルバムだと思う。[85]
AGAINST / SEPULTURA
ブラジルのスラッシュ・メタル・バンドの7thアルバム。前作では
かなりトライバル色が強い異色作だったが、脱退した
ボーカリスト、MAX CAVALERAが結成したSOULFLYがその路線を
継承しており、ある意味ではこのバンドがどう言った方向性を
示すのか興味深い作品だと言える。そう言った意味では、ある程度
想像できた事だが、それ以前のヘヴィでコアなサウンドに揺り
戻した感じがある。だが、トライバル色を完全に廃する事無く、
Kamaitachiでは佐渡の和太鼓アーティストである鼓童と
競演するなど、彼等らしい一面もうかがえる。このKamaitachiでは
和太鼓以外にも笛を入れて来たり、T3rcermillenniumではチェロを
入れたりと中々面白い仕上がりになっている。新ボーカリストの
DERRICK GREENは、タイプ的には吐き捨て型と言えるものだが、
バンドの色としては合っている。[85]
FROZEN / SENTENCED
フィンランドのメロディック・デス・メタル・バンドの
5thアルバム。しかし、今作では完全にデス・メタル色を廃し、
前作より加入したVILLE LAIHIALAのボーカル・スタイルは完全に
JAMES HEADFIELDSのそれである。メロディック・デス・メタルで
デス・ボイスを抜いたらと言うシチュエーションをやった訳だが、
このインパクトのなさは何と言えば良いのだろうか。悪い意味で
灰汁がなくなってしまい、まるで最近のMETTALICAを
メロディアスにした様に聴こえてしまう。楽曲自体はこれまでの
路線を大きく外れるものではないし、決して悪くないと
思うのだが。これが例えばデス・ボイスでなくとも、もっと
抑揚があるボーカル・スタイルならばかなり
聴きごたえはあったのではないかと思える。[81]
BRING 'EM BACH ALIVE! / SEBASTIAN BACH & FRIENDS
アメリカのヘヴィ・メタル・バンド、SKID ROWの
ボーカリストによる初のソロ・アルバムとなるライヴ盤。
ソロとしては初来日となる1998年のライヴを収めたもので、
カバー、SKID ROWの楽曲に新曲を含めた構成になっている。ベスト
的な構成となっているSKID ROW時代の楽曲と比べると
致し難ないかも知れないが、新曲になるとややテンションが
下がる。歓声を上から被せているのはやや興ざめだが、
SEBASTIAN BACHのボーカルも安定しているし、ライヴの出来自体は
中々良い出来だ。スタジオ録音の新作、Blasphemer、
The Most Powerful Man In The World、
Superjerk, Superstar, Supertearsと収録されているが、ライヴの
途中に挟んで中断するのもマイナスだ。[82]
LIVE IN L.A. / SEBASTIAN HARDIE
オーストラリアのプログレッシヴ・ロック・バンドのライヴ盤。
1994年にL.A.で行われたPROGFEST '94に、再結成して
出演したときの模様を収めたものだ。1976年にリリースされた
名作のデビュー盤で、哀愁の南十字星と言う邦題でも知られる
FOUR MOMENTSをWindchaseを挟んで丸々再現した形の
ライヴになっている。TOIVO PILTのキーボードとMARIO MILLOの
ギターが中心で、特にMARIO MILLOのギターはエモーショナルで
素晴らしい。当時のスタジオ盤よりも、更に流麗な感じの
サウンドに仕上がっており、やや抑揚に欠ける
気がしなくもないが、演奏は良いし、出来としては十分評価
出来る。[84]
MISTRESS OF THE SHADOWLIGHT / SECRET SPHERE
イタリアのヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。方向的には、
クラシカルで大仰なメロディのシンフォニックな
ヘヴィ・メタルだが、ジャーマン・パワー・メタルと言うよりは、
もっと北欧臭い哀愁を感じさせる作品だ。ANGRAや同郷の
RHAPSODYよりも、もっと哀愁が強く、シンフォニック色を入れた
STRATOVARIUSと言う感じを受ける。割とスピード感があって、
勢いも感じさせるので、テンポ良く聴いていられる。
ROBERTO MESSINAのボーカルは、伸びのある透ったハイ・トーンを
駆使しており、ややパンチが弱い様な感じもしなくはないが、
楽曲に良く合っている。さびのキャッチーさ等は
ジャーマン・パワー・メタルのエッセンスも感じるし、
デビュー盤としては楽曲の出来も十分満足出来るレベルに
至っている。[83]
SEVEN WISHES / SEVEN WISHES
スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。その実態は
アルバム1枚で消えていった、LOVE CHILDがその名を変えて
再デビューしての作品だ。方向的にはLOVE CHILDのそれを引き
継いでおり、アメリカナイズされた、洗練さのある、北欧の
バンドらしい叙情さも持ち合わせている、正統派
メロディアス・ヘヴィ・メタルだ。LOVE CHILDでは弱点であった
ボーカルの弱さとプロダクションが解消されている。
PELLE ANDERSSONのボーカルは、甘いながらも透った
ハイ・トーンで、バンドの方向性には良く合っている。
エモーショナルで楽曲の出来も中々良いが、アレンジ面でもう
一歩と感じさせる部分もあるが、高いレベルでの話で、十分満足
出来るアルバムだ。[83]
REVOLUTION DNA / SEPTIC FLESH
ギリシャのメロディック・デス・メタル・バンドの5thアルバム。
アンビエントで、メランコリックな雰囲気を持ち、
ゴシック・メタル的なエッセンスすら感じる作品を
提供してきたが、今作ではかなり大きな路線変更が伺える。まず、
これまでの作品で、その特色に大きな役割を果たして来た、ゲスト
女性シンガーのNATALIE RASSOULISを今作では採用しなかったのが
大きな要因となっていると言って良いだろう。更に、
プロデューサーにはIN FLAMESのFREDRIK NORDSTROMを迎え、
アップ・テンポの楽曲が増えたのも大きい。Chaostarと言った、
これまでの路線を引き継ぐものがあるが、全体的に聴き易くなった
分、彼等のオリジナリティと言うものが
希薄になってしまっている。ダンサブルなビートがあったりと、
これまでのファンからするとかなり賛否の分かれる作品だと言って
良いだろう。[78]
CRIMSON / SENTENCED
フィンランドのメロディック・デス・メタル・バンドの
6thアルバム。前作からデス・ボイスを完全に廃し、前作から
メロディック・デス・メタルとは全く言えない
サウンドになってしまったが、それは今作も変わりない。前作では
VILLE LAIHIALAのボーカル・スタイルは、JAMES HEADFIELDS
的なものであったが、今作ではだみ声的である事は変わりないが、
よりクリア・ボイス的な感じのするものになっている。
メロディック・デス・メタルをクリア・ボイスでやると
的なものかも知れないが、あまりにもバックが流麗過ぎて
インパクトがなさ過ぎる。メロディ等は扇情的で決して
悪くないのだが、デス・ボイスでないが為にこう言う
結果になってしまっているのは何とも残念だ。[80]
HOME / SEVENDUST
アメリカのヘヴィ・ロック・バンドの3年振りの2ndアルバム。
方向的には、オルタナティヴ・ロックの流れを汲む、モダンな
ヘヴィ・ロックを聴かせてくれている。MARILYN MANSON等にも
通ずる様な楽曲の中に、ALICE IN CHAINS等のいわゆるシアトル
系と言われる様なエッセンスが感じられ、中々ユニークな作品に
仕上がっている。ダークさがあって、扇情的な楽曲は中々
迫力があって聴きごたえがある。デジタル的な処理も
加えられていて、如何にも今風なモダンな雰囲気を醸し
出している。ヘヴィ・メタルとはまた違ったアルバムだが、
重量感のあるリズムが迫力を出していて、攻撃的なサウンドを
聴かせてくれている。[84]
SEVENDUST / SEVENDUST
アメリカのヘヴィ・ロック・バンドの1987年にリリースされた
デビュー盤。どことなくALICE IN CHAINS的なダークな色合いも
感じさせるところがあるが、ALICE IN CHAINS程陰鬱な方向に
走っておらず、もっとハードでのりの良いラウドな作品
作りをなしている。楽曲によってはラップ的なエッセンスがあり、
この手の系統でもまた独自の色合いを出していると言って
良いだろう。モダンな感じのするヘヴィ・ロックだが、
ごりごりとしたハードなサウンドはパワフルで、間を入れて
テンポを変えながらオリジナリティを押し出している。[81]
CHAOS / SEX PISTOLS
イギリスのパンク・ロック・バンドの1993年にリリースされた
アルバム。レア音源を集めた企画盤で、1976年に行われた初めての
レコーディング音源、映画、R & R SWINDLE撮影時に行われた
スタジオ・ライヴ、スウェーデンでの公演の模様を収めたライヴ
音源を集めたものだ。始めてのレコーディング音源は、資料的な
価値はあるだろうが非常にプロダクションが悪く、何だか遠くから
録音した様な距離感を感じる。その他の音源もご同様で、こう
言ったものを一般に売り出す意義が良く判らない。彼等の勢いと
言うか破天荒さは十分に感じられるので、もうちょっとましな
プロダクションなら納得出来るのだが。[43]
A TIME NEVER COME / SECRET SPHERE
イタリアのヘヴィ・メタル・バンドの2ndアルバム。
ジャーマン・パワー・メタルのインスパイアを受けたLABYRINTHや
RHAPSODYとイタリアのヘヴィ・メタル・バンドの一つと言って
良いだろう。大仰でいも臭いドラマティックさを見せながらも、
シンフォニック・メタルらしい清々しい叙情的なメロディを
聴かせてくれている。クラシカルでシンフォニックでありながら、
意外とリフをザクザク切り刻んで来たり、ヘヴィな面も
見せている。Emotionsではサックスを導入したり、色々と工夫の
跡も見える。プロダクションはややチープだが、RHAPSODYのファン
等には十分満足の行くだけのレベルの作品に仕上がっていると
思う。[84]
NATION / SEPULTURA
ブラジルのスラッシュ・メタル・バンドの3年振りとなる
8thアルバム。前作ではボーカリストのMAX CAVALERAの
脱退もあってか、それまでトライバル色をどんどんと強めていた
音楽的傾向が、若干揺り戻した印象を受けるものだった。今作では
それがより顕著となっており、ドラミングにまだそう言う
トライバル色が見えるものの、よりハード・コア的な聴き易さが
感じられる作品となっている。彼等のトライバル色と言うものが、
MAX CAVALERAによるところが大きかったからと言って
良いのかもしれない。非常に攻撃的で迫力があるが、彼等らしい
独創性やフックが希薄となっており、聴き応えが今一つ
不足している様に感じられる。[82]
SEVENTH KEY / SEVENTH KEY
元STREETS、KANSASのアメリカ人ベーシスト、BILLY GREERによる
ソロ・プロジェクトのアルバム。KANSASのギタリスト、
RICHARD WILLIAMS、KANSASのキーボード、STEVE WALSH、
STEELHOUSE LANEのギタリスト、MIKE SLAMER、DEEP PURPLEの
ギタリスト、STEVE MORSE等と言ったゲスト迎えて
作成されている。しかし、そう言ったゲスト陣と言った話題以上に
楽曲の出来が素晴らしい。叙情的なメロディのキャッチーな
ロック作品で、作曲面でMIKE SLAMERを中心に、他のメンバーも
参加しているだけに、かなりレベルの高い作品となっていると
言って良いだろう。ボーカルは彼自身で取っているが、割と透った
声質で、こう言った憂いを帯びたキャッチーな楽曲に良く
合っている。[85]
THE EXCELLENCE / SETH
フランスのブラック・メタル・バンドの2ndアルバム。方向的には
北欧ブラック・メタルに通ずるもので、ブラスト・ビートに
荒涼としたメロディを乗せている。この手のものらしく
ブラスト・ビートを押し立て、禍禍しい狂気を湛えたメロディに、
しゃがれたブラック・メタル・ボイスの咆哮は、まさしく暗黒を
思わせるものと言って良いだろう。DARK THORNEのFENRIS等が
関わっているだけあって、攻撃的な楽曲は中々格好良いし、北欧
ブラック・メタル系統の作品としては悪くない出来だ。
やや一本調子と言う感じを脱していないのは残念だが、この
手のものが好きならばまずまず満足できるだろう。[80]
ANIMOSITY / SEVEN DUST
アメリカのヘヴィ・ロック・バンドの3rdアルバム。元々モダンな
ヘヴィ・ロックを聴かせてくれていた訳だが、よりPANTERA的な
モダン・ヘヴィ色が増した様に感じられる作品だ。メタル的な
ヘヴィなリフが前面に出ており、時にはポップさを感じさせる様な
ボーカル・ラインが面白い。今作では、こう言ったポップな
ボーカル・ラインも強調されており、この両極端的な音楽性が
違和感を感じる部分もあるし、ユニークさを感じさせてくれる
部分でもある。Xmas Dayの様な湿り気を感じさせる叙情的な
バラードにも挑戦しており、バラエティさも増している。[82]
DANGEROUS KISS / SEVENTH SON
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1999年にリリースされた初の
アルバム。N.W.O.B.H.M.後期のバンドで、未発表音源を中心とした
レア音源集だ。音楽的にはN.W.O.B.H.M.らしい、ロックンロールを
基調とした、憂いを帯びた楽曲からなっているが、時にはSAXONの
フォローワーとも言える様な部分もあり、BRI SHAUGHNESSYの
ボーカルもBIFF BYFORDを意識した部分は幾分ある。
Dangerous Kiss等の様に哀愁のハード・ポップと
言えるものもあり、寄せ集め音源と言うこともあってか、全体を
通して聴くと今一つ統一感に欠けるきらいはある。
プロダクションも良くないが、中堅のN.W.O.B.H.M.らしい作品と
言えるアルバムだ。[84]
UNDER A PALE GREY SKY / SEPULTURA
ブラジルのスラッシュ・メタル・バンドの2枚組のライヴ盤。
1996年に行われたイギリスでの公演の模様を収めたものだ。その後
バンドを脱退し、SOULFLYを結成したボーカリスト、MAX CAVALERA
在籍時最後のコンサートで、資料的な価値も高いが、バンドの
代表的なナンバーは全て網羅されており、ベスト盤的な
意味合いもある。これを6年もたった今、何故リリースしたのか
その意図は判らないが、当時の感情的な部分も今は冷静に見れる
様になったからだと好意的に解釈しておこう。ヘヴィで、重厚で、
エナジーの迸るライヴ・パフォーマンスは素晴らしく、1990年代の
スラッシュ・メタル・シーンを引っ張ったバンドと言えるだけの
内容だ。[84]
THE COLD WHITE LIGHT / SENTENCED
フィンランドのメロディック・デス・メタル・バンドの2年振りの
7thアルバム。その音楽的方向性もDOWN以降は
メロディック・デス・メタルから距離を置く様になったが、この
作品もそう言った延長線上に身を置いている。ゴシック・メタル
的な色合いの濃く、メランコリックでアップ・テンポなノリの良い
ドラマティックな音楽性は、ロマンティック・ゴシックと言って
良いだろう。憂いを帯びたメロディは哀切に訴え、心の琴線に
触れて来て魅力的だし、楽曲のレベルを始め完成度も高いので、
こう言ったロマンティックなゴシック・メタルが好きならば、
聴いて決して損はない。[91]
REVOLUSONGS / SEPULTURA
ブラジルのスラッシュ・メタル・バンドののミニ・アルバム。
カバー曲ばかりの企画盤的なミニ・アルバムで、普段の彼等とは
また違った面を見せてくれている。HELLHAMMERのMessiahや
EXODUSのPiranhaと言った、彼等のスタイルに沿った楽曲もあるが、
MASSIVE ATTACKのAngelやPUBLIC ENEMYの
Black Steel The Hour Of Chaos、DEVOのMongoloid、U2の
Bullet The Blue Skyと言った全く違った音楽性のものに
挑戦している辺りが面白い。それを彼等流にラウド・ロック的に
仕上げており、オリジナルとはまた違ったアレンジとなっている。
[80]
ROORBACK / SEPULTURA
ブラジルのスラッシュ・メタル・バンドの2年振りの9thアルバム。
象徴的存在であったボーカリストのMAX CAVALERAが脱退して以降、
何か暗中模索と言う感じで、本来の彼等の魅力も希薄な状態が
続いたが、今作でやっとそれも吹っ切れた様で、彼等本来の持ち
味であるカオティックでブルータルなサウンドが復活している。
強烈なアグレッションとフックを効かせたサウンドは実に聴き
応えがある。MAX CAVALERA末期のトライバル的な色合いは完全に
一掃されており、初期のグルーヴィなリフと最近のモダニズムが
上手く合成されており、低迷を脱した完全復活と言えるアルバムに
仕上がっている。[86]