LIVE AT BUDOKAN / S.O.D.

アメリカのハード・コア・バンドの1992年にリリースされた 7年振りの再結成ライヴ盤。CHEAP TIRCKの名ライヴ盤をもじった そのタイトルと裏腹に、1992年にアメリカで行った公演の模様を 収めたものだ。ANTHRAXのギタリスト、SCOTT IANとドラマー、 CHARLIE BENANTEを中心としたプロジェクト・バンドで、 元ANTHRAX、BRUTAL TRUTHのベーシスト、DAN LILKERと元M.O.D.の ボーカリスト、BILLY MILANOと言う布陣は前作と変わっていない。 THE BALLAD OF JIMI HENDRIX、THE BALLAD OF JIM MORRISON、 THE BALLAD OF FREDDIE MERCURYと言った、イントロだけ カバーすると言う馬鹿さ加減は如何にも彼等らしい。 冗談みたいなものだろうが、アップ・テンポでパンキッシュな 楽曲は勢いを感じさせてくれて、聴き応えはある。[80]

TAPPING THE VEIN / SODOM

ドイツのスラッシュ・メタル・バンドの1992年にリリースされた 7thアルバム。方向的にはこれまでのデスラッシュと言えるものの 延長線上で、ザクザクと切り刻むリフの非常にコアなサウンドに、 TOM ANGELRIPPERの今ならデス・ボイスと言える様な、強烈に 歪ませたボーカルがのってくる、何とも強烈な作品だ。昔は あまりに過激過ぎて中々受け入れられないところもあったが、 スラッシュ・メタル系のデス・メタル・バンドよりもずっと前に こう言うスタイルを築き上げていた訳で、そのスタイルを貫き 通している事は賞賛に値する。ギタリストはANDY BRINGSに 交代しているが、パワフルな演奏でエナジーの 感じられるものとなっている。[82]

ABER BITTE MIT SAHNE / SODOM

ドイツのスラッシュ・メタル・バンドの1993年にリリースされた シングル。ドイツのポップ・ソングのカバーである タイトル・トラックに、新曲が2曲、レコーディングし 直したものが1曲の全4曲と言う構成になっている。 Aber Bitte Mit Shaneはかなりキャッチーなナンバーなので、 彼等がカバーしても元々のポップさが強く出ていて、彼等が 演奏するには違和感が感じられる。新曲のSodomizedとAbuseでは、 彼等としてはポップさを感じさせるナンバーで、普段 アルバムではやれない様な楽曲に挑戦しており、全体的にお遊び 的な作品と言って良いだろう。ドラマーは元LIVING DEATHの ATOMIC STELFに交代しており、切れ味の良いドラミングを 聴かせてくれている。[78]

GET WHAT YOU DESERVE / SODOM

ドイツのスラッシュ・メタル・バンドの1994年にリリースされた 2年振りの8thアルバム。方向的にはこれまでの延長線上とも言える コアなスラッシュ・メタルだが、より速く攻撃的な サウンドとなっており、更にデス・メタル的だと言って 良いだろう。ブラスト・ビートは使っていないが、高速リフで ノイジーな音作りのおかげで非常にブルータルなアルバムに 仕上がっている。このアルバムでは、とにかくこのANDY BRINGSの ギター・ノイズの凄まじさが激烈さを増すとともに、 インダストリアル・ロック的なイメージを与えている 部分がある。[80]

BEYOND THE CRIMSON HORIZON / SOLITUDE AETURNUS

アメリカのドゥーム・メタル・バンドの1992年にリリースされた 2ndアルバム。方向的には、ドゥーム・メタルの中でも CANDLEMASSの影響を強く受けた、様式美的なドラマティックさを 主体としたものと言えるだろう。全体的にスロー・テンポから ミドル・テンポにかけた、不気味さを漂わせたダークな重苦しい 楽曲が並んでいる。こう言った方向性なので、当然非常に呪術的な 雰囲気のする作品なのだが、CANDLEMASS程重苦しい アレンジになっておらず、この手の作品に多い重苦し過ぎると言う イメージが幾分解消されていると思う。CANDLEMASSの不気味な 香りを撒き散らしながらも、割と聴き易い作品に仕上げている事は 評価出来る。[85]

GOOD TO BE GONE / SOULHAT

アメリカのブルーズ・ロック・バンドの1994年にリリースされた 2ndアルバム。方向的にはサザン・ロック的なエッセンスを強く 感じさせる、土臭いブルーズ・ロックをやっている。但し、彼等が 昔からのバンドと違うのは、こう言ったGREAT FULDEADや ALLMAN BROTHERS BANDの音楽を吸収しながらも、今風の オルタナティヴ・ロック的なモダンなロックをやっている 事だろう。ブルーズ・ロックとしてのグルーヴ感の感じられる熱い サウンドを聴かせながらも、モダンでクールな背反する一面も 見せてくれる、一種ミクスチャー・ロック的なアルバムと言って 良いだろう。[80]

SOUL KITCHEN / SOUL KITCHEN

アメリカのロック・バンドの1992年にリリースされたデビュー盤。 方向的には、ブルーズ系のロックンロールと言えるもので、 楽曲によってはFACESっぽさを感じさせる作品だ。JEFF WILSONの ハスキーなボーカルもROD STEWERTっぽさを感じさせるだけに 尚更だ。R&B的なミドル・テンポののりの良いサウンドで、 1970年代のブリティッシュ・ブルーズ・ロック的な、ソウルフルな ロックンロールを聴かせてくれている。これらかも判る通り、 指向的にはTHE BLACK CROWESと同じだけに、THE BLACK CROWES的な 感じをさせる部分も多いが、もっとストレートでファンキーな 作品と言って良いだろう。[80]

ULTRAMEGA OK / SOUNDGARDEN

アメリカのヘヴィ・ロック・バンドの1988年にリリースされた デビュー盤。後にALICE IN CHAINS等と伴に、シアトル系と 言われる、ヘヴィ・ロック・シーンの中でもグランジ・ブームに 合わさって、独特のシーンを形成していたバンドの一つだ。特に シアトル系と言われるバンドの中では、もっともヘヴィで メタリックなサウンドを聴かせてくれていたと言って良いだろう。 後々、よりドゥーミィな方向性へと向っていくが、今作でも Beyond The Wheel等ではBLACK SABBATHの影響を感じさせる 楽曲があり、ヘヴィ・メタルのリスナーにも十分 訴えるものがあるだろう。とは言え、まだそのサウンドは 混沌としたものがあり、アルバムの完成度としてはお世辞にも 高いとは言えない。[80]

LOUDER THAN LOVE / SOUNDGARDEN

アメリカのヘヴィ・ロック・バンドの1989年にリリースされた 2ndアルバム。1990年代にグランジ、オルタナティヴ・ロックの 台頭と伴に、いわゆるシアトル系と言われて隆盛を誇ったバンドの 一つだが、それらのバンドの中でも最もヘヴィなバンドと言って 良いだろう。この作品はそんな彼等の中でも最もヘヴィな作品の 一つで、BLACK SABBATHの影響を受けながらも、シアトルらしい 陰鬱さを出した、無機質でグルーヴ感に溢れるアルバムに 仕上がっている。CHRIS CORNELLのエモーショナルなボーカルが、 こう言った雰囲気を倍化させ、混沌とした強烈なエナジーを 感じさせる。[81]

BADMOTORFINGER / SOUNDGARDEN

アメリカのヘヴィ・ロック・バンドの1991年にリリースされた 2年振りの3rdアルバム。日本人のベーシスト、HIRO YAMAMOTOが 脱退し、BEN SHEPHERDが加入している。彼等の出世作とも言える 作品で、これまでやや混沌としたダークでヘヴィなサウンドを 聴かせてくれていたが、今作ではよりソリッドでシンプルにした 作品となっている。特に混沌した部分は無くなり、随分と聴き 易くなった様に感じられ、シンプルなロックとドゥーム的な 色合いが、シアトル系と言われるバンドの中でも独特の味わいを 出している。特にJesus Christ Poseは圧巻で、名曲と言って良い 格好良さだ。[87]

SUPERUNKNOWN / SOUNDGARDEN

アメリカのヘヴィ・ロック・バンドの1994年にリリースされた 3年振りの4thアルバム。方向的には彼等の出世作となった前作の 延長線上と言えるもので、1970年代的なドゥーム・ロックの エッセンス溢れる作品だ。シアトル系らしいカオチックな陰鬱感は 作品毎に薄まっているが、オルタナティヴ・ロック的なダークさは 決して失われてはいない。前作と比べると、ややグルーヴ感は 減退しており、その分あっさりとした作品になってしまっている 様に感じられる。前作はJesus Christ Poseの様な、強烈な グルーヴ感を持った楽曲があっただけに一気に聴けてしまえたが、 この作品ではそれがない分だけやや散漫にも感じる。[84]

MASQUERADE IN BLOOD / SODOM

ドイツのスラッシュ・メタル・バンドのアルバム。ギタリストの TOM ANGELRIPPERを中心とする、ごりごりの ジャーマン・スラッシュ・メタルだ。TOM ANGELRIPPERの ボーカルは相変わらずデス・ボイスっぽい咆哮で破壊的で、かなり グラインド・コアがかっている上に、ボーカルもデスっぽいので、 あまり一般受けはしないだろう。とは言うもののボーカルは随分 聴き易くなったので、それほど拒否反応は起きないかも知れない。 しかし、それにしても一本調子であり、聴いてるのは結構大変だ。 悪い代物ではないし、破壊的なサウンドはそれなりに 認められるが、マニア向けでしかないと思う。[75]

MAROONED LIVE / SODOM

ドイツのスラッシュ・メタル・バンドのライヴ盤。この手としては 知る人ぞ知るという感じのバンドだが、このライヴでもその 攻撃的なサウンドは相変わらずだ。方向的にはいわゆる デスラッシュとも言えるもので、ボーカルは相変わらず デス・ボイスと言っても良い位の唸るようなダミ声だ。 デス・メタルとまでは行かないだろうが好き嫌いが 分かれるところだと思う。その勢いとノリ、攻撃的なサウンドは ライヴでも良く生きており録音状態も良いが、観客の歓声が 妙に浮いた感じがして臨揚感が薄いところもある。[78]

SOUL CAGES / SOUL CAGES

ドイツのプログレッシヴ・ハード・ロック・バンドのアルバム。 シンフォニック・ロック的なエッセンスに溢れているが、その サウンドは初期MAGNUMや現在QUEENSRYCHE的な部分も感じられる。 派手な展開はないがそれなりにヘヴィでメロディックなので逆に ハード・ロック系統の人には聴き易いと思う。ただボーカルは軽い 声質なので、そこに違和感を感じるかもしれないし、流暢で聴き 流してしまうかも知れない。ハード・ロックというまでは ヘヴィではないかも知れないが、十分許容範囲に入るはずだ。 メロディは流麗で良く出来ており、今のRUSH的なセンスも伺える 作品だ。[85]

THROUGH THE DARKEST HOUR / SOLITUDE AETURNUS

テキサスのドゥーム・メタル・バンドの2ndアルバム。全体的に ダークでミドル・テンポからスロー・テンポのヘヴィで沈んだ 楽曲が延々と続く。さらにROBERT LOWEの良く透るボーカルは 呪術的でおどろおどろしさを増していて独特の雰囲気を醸し 出している。BLACK SABBATHをより荘厳にしたような感じで、正に ドゥーミィと言った感じだ。楽曲は一本調子なのはいがめないが、 これがバンドのカラーだし、無理に変える必要もないだろう。 演奏も結構良いし正統派ドゥーム・メタルの中ではかなり ダークでレベルの高いアルバムではあるが、名作と言える 前作からすると残念ながら一歩も二歩も落ちる。[87]

DOWN ON THE UPSIDE / SOUNDGARDEN

アメリカのハード・ロック・バンドの5thアルバム。いわゆる シアトル系と言われるバンドの中では、最もヘヴィ・メタルよりの バンドの一つだが、BLACK SABBATH的なエッセンスを持った BADMOTORFINGERから比べると、徐々にそういう範疇に 収まらなくなってきた様に感じられる。グルーヴィーでうねった サウンドでヘヴィな部分を持つところは変わっていないのだが、 よりサイケデリックな要素が強くなり独自の世界を 作りあげていると言って良いだろう。その分、ヘヴィ・メタル側の リスナーには、少し辛い作品だと言えるかも知れない。[83]

OBSESSED BY CRUELTY + EXPURSE OF SODOMY + IN THE SIGN OF EVIL / SODOM

ドイツのスラッシュ・メタル・バンドで1984年にリリースされた デビュー・ミニ・アルバムIN THE SIGN OF EVIL、1985年に リリースされた1stフルレンス・アルバムOBSESSED BY CRUELTYを レコーディングしなおしたもの、1987年にリリースされた ミニ・アルバムEXPURSE OF SODOMYをカップリングしたもの。 そのサウンドは現在のSODOMの原形たる部分は存在するものの、 スラッシィな部分はそれほど強くない。Introductionの様にリフが 中心となっている曲もあるが、むしろメロディがより はっきりしている曲の方が多い。IN THE SIGN OF EVILの 混沌としたダークさは強烈だ。[68]

MOMENTS / SOUL CAGES

ドイツのポンプ・ロック・バンドの2ndアルバム。なのだが、 かなりヘヴィ・メタル色の強い作品になっており、叙情的な ギター・メロディがかなり前面に押し出されている。 ポンプ・ロック的な優しいメロディで、ある意味では最近の QUEENSRYCHEという雰囲気もある。タイトル・トラックの間奏の キーボードとギターの絡みなど、緻密で美しく中々 聴きごたえがある。少し細く感じるが、透明感のあるボーカルや 美しい女性コーラスも清廉な叙情感を強めている。前作よりも 少し湿っぽさが加わっており、かなり ヘヴィになっているのだが、2作目が何故日本で 出なくなったのかは少し謎だ。割と 淡々としているところもあるが、ギターもエッヂが効いていて、 これだけヘヴィな作品ならメタル系の人も十分聴ける内容だ。 ポンプ・ロックとヘヴィ・メタルの融合的作品で、その出来の 良さもあいまって一聴の価値はあるだろう。[91]

SINISTER SOLDIERS / SORCERY

アメリカのドゥーム・ハード・ロック・バンドが1978年に リリースした2枚組みのアルバムをCD化したもの。全体的に ヘヴィ・メタルというような金属的な雰囲気はなく、1970年代の ハード・ロック的な指向で,OZZY OSBOURNE在籍時の BLACK SABBATHに、アメリカ的なサイケデリックな雰囲気を 取り入れたものになっている。あまり重々しい雰囲気はなく、 いわゆるヘヴィ・ロックとも少し違う。所々ザクザクと 切り込んでくるリフはこの頃のバンドとしては結構画期的な 部分といっても良い。淡々と進む部分が多いし、ボーカルも ハード・ロックというような力強いものではないのだが、 結構味がある。[79]

'TIL DEATH DO US UNITE / SODOM

ドイツのデス/スラッシュ・メタル・バンドの8thアルバム。 これまでの作品と比べると、よりメロディを強く打ち出した 作品になっており、デス・メタル的な色彩はTOM ANGELRIPPERの そのだみ声を除けばかなり希薄になっている。そのため SIMON & GARFUNKELのHazy Shade Of Winterをカバーしているが、 アルバムの内容からはそれ程かけ離れたものになっていない。 リフをザクザクと切り込んできて、攻撃的である事には 変わりないが、メロディを重視する事によってより聴きやすい 作品になっている事は確かだ。楽曲ので出来なども割と良く 出来ているし、パンキッシュなスラッシュ・メタルとしては 評価できる作品だ。[83]

CIRCLES / SOLSTICE

イギリスのシンフォニック・ロック・バンドの5年ぶりの 3rdアルバム。ゆったりとした牧歌的風景の広がるサウンドは、 非常に心温まる優しさを感じる。EMMA BROWNの透き通った声が その雰囲気に非常にマッチしていて、情感溢れる作品に 仕上がっている。MARC ELTONのバイオリンの音色と意外と 露出の大きいANDY GLASSのギターが楽曲に非常に深みを 与えていて、出色の出来だと言って良い。落ち着いた 雰囲気がありながらも、楽曲にはそれなりにフックがあって、 出来は悪くない。ドラマーには元JETHRO TULLのCLIVE BUNKERが 参加している。[85]

SORCERER / SORCERER

アメリカのドゥーム・メタル・バンドSOLITUDE AETERNUSの ギタリストが主催するBrain Ticketから1995年にリリースされた アルバム。実際には大部分が1992年までに レコーディングされており、言わばお蔵入りに近かった作品だ。 背景から考えてもやはりドゥーム・メタルと言えるもので、 楽曲、演奏とも中々良い出来で、CANDLEMASS風のANDERS ENGBERGの ボーカルは中々強力だ。録音された時期が1989年から1995年までと 結構ばらばらな事もあってか、かなりドゥーミィなものもあるが それ程ドゥーム色を感じさせないものもある。RAINBOWの Stargazerをカバーしているが、バンドのカラーには少し そぐわない感じがしなくもない。[84]

SORTILEGE / SORTILEGE

フランスのヘヴィ・メタル・バンドで1983年にリリースされた デビュー盤で、5000枚限定で復刻CD化されたものだ。方向的には N.W.O.B.H.M.からの影響を感じさせる様な、叙情的で臭い哀愁の メロディのヘヴィ・メタルだ。録音状態もそれに見合った悪さで、 しょせんB級メタルの域を出るものではないのだが、割と ちゃんとしている展開に、疾走感のある楽曲は悪くないし、 1980年代B級メタル・ファンにはお奨めの一品だ。哀愁たっぷりの 扇情的なメロディはいかにもヨーロッパのバンドらしいものだ。 楽曲の完成度はともかく、パワーで押し切るだけのものはある。 [82]

METAMORPHOSE / SORTILEGE

フランスのヘヴィ・メタル・バンドで1984年にリリースされた 5000枚限定で復刻CD化されたアルバム。デビュー盤同様の N.W.O.B.H.M.からの影響を感じさせるような、ロックンロール調の 叙情的で臭い哀愁のメロディは相変わらずだ。プロダクションは、 デビュー盤に比べればかなり改善されたおり、アルバムの出来も 中々のものだ。B級臭さはともかく、疾走感があり哀愁たっぷりの 扇情的なメロディは結構評価できる。この手のN.W.O.B.H.M.の 影響を受けたヨーロッパのバンドの作品としては非常に出来が 良く、勢いとのりを十分感じさせてくれるアルバムに 仕上がっている。[85]

SOULFLY / SOULFLY

ブラジルが誇るスラッシュ・メタル・バンド、SEPULTURAの元 ボーカリスト、MAX CAVALERA率いる新バンドの1stアルバム。 方向的には脱退前のSEPLTURAの音楽性をそのまま踏襲しており、 ROOTSの頃が好きだと言う人にはおあつらえ向きの作品と言って 良いだろう。民族音楽的なパーカッションを入れたそれはまさしく そのもので、あの奇妙な調和を醸し出している。FEAR FACTORY等と 言ったヘヴィ・バンド達もゲストとして参加しており、 アンビエント・ダブ的な味付けをしていたりと色々な 試みもされている。SEPULTURA二対してスラッシュ的な 色合いよりもヘヴィネス的な色合いを強く出しており、全体的な 出来も申し分ない。[87]

STEEL BATH SUICIDE / SOILWORK

スウェーデンのメロディック・デス・メタル・バンドのデビュー 盤。方向的には明らかにARCH ENEMY的なサウンドで、彼等の新作と 言っても信用しそうな完成度を持っている。バックは 言わずもがなのスラッシュ・メタルで、ブルータルで攻撃的な サウンドは実に格好良いし、メロディもきちんとしているのは 非常に好感が持てる。あまりにARCH ENEMY的で、彼等の影響が見え 過ぎてオリジナリティ的には疑問符を付けざるを得ないが、楽曲、 演奏とも非常に良く出来ているのも確かだ。SPEED STRIDの ボーカルもかなり強烈で破壊力がある。 ボーナス・トラックとして、DEEP PURPLEのBurrnをやっているが、 逆にこのデス・ボイスではきつい。ここではむしろ、女性 コーラスの方に耳が行くし、ドラムのブラスト・ビートの方が 面白い。[86]

SOUTHPAW / SOUTHPAW

スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。とは 言ってもメンバーは、元SWEDISH EROTICA、TREAT、 YNGWIE MALMSTEENのMATS LEVEN、元EUROPE、CLOCKWISEの JOHN LEVEN、元YNGWIE MALMSTEEN、TALISMANのFREDRIK AKESSON、 元IT'S ALIVE、SORCERERのRICHARD EVENSANDと言った層々たる メンバーによって結成されている。方向的にはこういった バンドとは方向性が異なり、緊迫感の漂うヘヴィでグルーヴィな サウンドに仕上がっている。ザクザクと圧迫感のあるリフを刻み 込んで来る辺りは迫力があって良い。メンバーの経歴から キャッチーさや哀愁を求めるなら外すだろうが。[83]

TRIBE / SOULFLY

SEPULTURAの元ボーカリスト、MAX CAVALERA率いるブラジルの スラッシュ・メタル・バンドの来日記念シングル。 シングル・カット曲のタイトル・トラックにライヴが3曲、 Quilombo、Soulflyのミックス違いが2曲の計6曲 入りとなっている。OuilomboのZumbi Dub Mixは、彼らしい非常に トライバルに仕上げたミックスだ。No Hope=No Fear、Bumb、 Quilomboのライヴの出来も、パワフルでエナジーに溢れており、 非常に良い出来だ。SoulflyのEternal Spirit Mixは壮大で耽美な 中にトライバル色を入れた、アルバムより味わいのある ミックスだ。[83]

BIGGER THAN THE DEVIL / S.O.D

アメリカのハード・コア・プロジェクトの14年振りの 2ndアルバム。ANTHRAXのIAN SCOTT、CHALIE BENANTE、元ANTHRAXの DAN LILKERと言うANTHRAX組にM.O.D.のBILLY MILANOによる プロジェクトだ。疾走する如何にもと言った感じの ハード・コア・パンクで、スラッシュ・メタル系のリスナーにも 十分聴ける作品のはずだ。しかし、1stの様な圧倒的な破天荒さが 感じられず、年を食って丸くなった様な印象すらするのは いかんともし難い。BILLY MILANOのボーカルは相変わらず強烈で 素晴らしいだけに、もっとはめを外せば良かったのにと思える。 [80]

NOSTRADAMUS-BOOK OF PROPHECIES / SOLARIS

ハンガリーの伝説的なシンフォニック・ロック・バンドの 9年振りとなる3rdアルバム。ノストラダムスの予言書を テーマにした組曲で、彼等らしい非常に壮大なアルバムに 仕上がっている。叙情的なメロディのシンフォニック・ロックで、 聴きごたえの非常にある作品だ。ERDESZ ROBERTのキーボードと KOLLAR ATTILAのフルートが、壮大でスペイシーな雰囲気を作り 上げている。BOGDAN CSABAのギター・ソロは、メタル系の リスナーにも訴えるものはあるだろう。美し、叙情的でダークな 世界は独特のものがあり、静寂感のある長めの楽曲が多いが、 ドラマティックで決して飽きさせない。[88]

SOULMOTOR / SOULMOTOR

元TESLAのBRIAN WHEAT、元UFOのTOMMY McCLENDON等によって 結成された、アメリカのハード・ロック・バンドのデビュー盤、 IN SUPER HI-FI SOUNDをメジャー・レーベルから内容を幾分 変更し、タイトル、ジャケットも新たにして 再リリースされたもの。元のものより、The Dazzer、 Get Off The Pipe、Blind、Planet Girl、Super Modelの バージョン違いが削られ、新たにOmega Son、Fallen、 Touch Of Strange、Diary Of Nobody、Technicolor Dreamが付け 加えられている。方向的にモダンな感じのする、ヘヴィで グルーヴィなサウンドで、TESLAの音楽性とは全く違うものだ。 しかし、楽曲の出来は良いし、全体的なクオリティは非常に 高いし、ハード・ロックらしい面影を十分残していて、中々良い 作品だ。[84]

THE CHAINHEART MACHINE / SOILWORK

スウェーデンのメロディック・デス・メタル・バンドの 2ndアルバム。方向的には、かなりスラッシィなサウンドの デス・メタルだが、AT THE GATES等と趣を異にしているのは、時に 非常にメロディアスなメロディとギター・ソロを差し挟んで 来るところだろう。かなり速いブルータルなサウンドが、叙情的な 泣きのメロディに切り替わる一種圧巻だが、展開や流れが今一つに 思えるところもあって、まだ消化しきれていない様に感じられる。 そのため、楽曲によっては混沌としていて、アレンジ面で弱さを 見せる事があるのは残念だ。しかし、アイデアやメロディに対する レベルの高さは、凡百のバンドより遥か高みに達しており、この 辺りが改善されればかなり素晴らしい作品になるだろう。[84]

AGENT ORANGE / SODOM

ドイツのスラッシュ・メタル・バンドの1989年にリリースされた 3rdアルバム。その後の作品と比べると、全体的にやや聴き 易い様な気もするが、畳み掛けるようなリフの攻撃的な スラッシュ・メタルと言う基本的なスタイルはこの作品でも 変わりない。TOM ANGELRIPPERの歪ませたボーカルも、 楽曲によってはまだ結構聴き易い感じがありそれ程 デス・ボイスっぽくはない部分もある。非常にコアなサウンドで、 硬派なスラッシュ・メタルを望むならおあつらえ向きのバンドだ。 楽曲の出来は悪くないし、ブルータル・デス・メタル系と言う程 聴き難くもない。[83]

CODE RED / SODOM

ドイツのスラッシュ・メタル・バンドの8thアルバム。いわゆる デスラッシュと呼ばれる様なサウンドだが、今作での充実度は 凄まじい限りだ。TOM ANGELRIPPERのボーカルも、今までは ちょっと聴き難いと言う感じがあったのだが、今作では楽曲に 非常にマッチしている様に感じられる。BERNEMANNの醸し出す、 ギター・リフとメロディは、非常に良く練り込まれていて良く 出来ているし、楽曲自体に展開もあって決して 単調にはなっていない。アルバムから溢れ出すエナジーも 素晴らしく、渾然とした力を感じさせてくれる。彼等にとって、 最高傑作と言って良い仕上がりで、これほど素晴らしいアルバムを 作って来るとははっきり言って思わなかった。[89]

THRILL OF THE FEEL / SONS OF ANGELS

セガのゲーム、SONIC ADVENTUREやDEYTONA USAで、ERIC MARTIN、 TONY HARNELL、JOHNNY GIOELI等と競演したことで名前を知られる 様になった、日本人ギタリスト、瀬上純と元HARDLINEの JOHNNY GIOELIによるプロジェクト・アルバム。ベースには LOUDNESSの柴田直人、ドラマーは同じくLOUDNESSの本間大嗣が 参加している。楽曲は全て瀬上純が書いており、方向的には ゲーム・ミュージックの方でも聴かれる、軽快な アメリカン・ハード・ロックと言ったところだ。キャッチーな メロディにのりの良い疾走感溢れるサウンドで、JOHNNY GIOELIの パワフルなボーカルが良く合っていて、中々格好の良いアルバムに 仕上がっている。[83]

ECLIPTICA / SONATA ARCTICA

フィンランドのヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。北欧 メタルらしい叙情的で流麗なメロディの美しいヘヴィ・メタルだ。 方向的にはネオ・クラシカルと言って良いと思うし、Blank File 等は、ジャーマン・パワー・メタル的なエッセンスも感じるので、 STRATOVARIUSっぽくもあるが、それ程大仰な感じはせず、むしろ 自然に消化されている感じだ。メロディの 出来はたいしたものだし、疾走感もあってそれなりにフックも 感じられるので聴きごたえはある。デビュー盤としてはかなりの 完成度と言えるだけの作品だが、全体的にそつなく作り過ぎていて 目新しさは感じられない。[85]

CRAFT / SOUL CAGES

ドイツのシンフォニック・ロック・バンドの3rdアルバム。 前作では、かなりヘヴィ・メタル色の濃い作品作りとなっており、 QUEENSRYCHEをシンフォニック・ロック風に仕上げた、独特の 色合いを感じさせるアルバムだった。今作でもその方向性は引き 継がれており、ヘヴィ・メタル色の強いギター・メロディを 聴かせてくれているが、QUEENSRYCHE的な色合いはやや減退し、 演奏面を除けばデビュー盤の頃に揺り戻したと言う感じだ。 ヘヴィ・メタル系のリスナーからすると、やや焦点のぼやけた様な 作品で、ドラマティックさは残っているが、それが却ってあざとい 感じがする。[79]

SOUTHFORK / SOUTHFORK

スウェーデンのヘヴィ・ロック・バンドのデビュー盤。 元GREAT KING RATTのベーシスト、ANDERS FASTADER、元FORTUNEの ギタリスト、HENRIK BERGUVIST、同じく元のFORTUNEドラマー、 SEBASTIAN SIPPOLAと言ったメンバーで構成されている。 方向的にはメンバーからはあまり想像出来ないかも知れないが、 いわゆるドゥーム・ロック、ストーナー・ロックと 言われるものだ。グルーヴィで骨太で、サイケデリックさも 感じられる、如何にもと言った感じのアルバムに仕上がっている。 ただ、割とストレートな感じがするところがあって、それ程極端に 歪ませたと言う感じもしないので、割とMONSTER MAGNET辺りに近い 印象を受ける。楽曲、演奏、プロダクションとも良く出来ており、 中々聴き応えのある作品だ。[87]

SUCCESSOR / SONATA ARCTICA

フィンランドのヘヴィ・メタル・バンドのミニ・アルバム。 尺的には40分近くあり、実質アルバムと言ってしまっても 良いだろう。新作の発表までの繋ぎ的な企画盤的作品で、 Full Moonのバージョン違いにカバーが2曲、新曲2曲、ライヴが 4曲と言う構成になっている。SCORPIONSのカバー、 Still Loving Youは、源曲が静かなバラードであったのに対して、 パワー・メタル風にアレンジされている。HELLOWEENのカバー、 I Want Youは、源曲ほど灰汁がなく、あっさりとした感じの 仕上がりだ。新曲のSan SebastianはSTRATOVARIUS系の中々の 佳曲だし、バラードのShyも憂いがあって悪くない。ライヴの 出来もプロダクションは別として、意外と悪くなくて演奏力は 十分ある。[86]

PRIMITIVE / SOULFLY

ブラジルのスラッシュ・メタル・バンドの2ndアルバム。SEPULTURA 時代からMAX CAVALERAが追求してきた音楽性を更に突き 詰めたもので、トライバル色を強めたそのヘヴィネスなサウンドは 凄まじいの一語に尽きる。混沌としたサウンドにムランボと言った 民族楽器を持ち込んで、独自のスタイルを貫きながらも整合感は 失われず、その完成度の高さには驚かされるばかりだ。 Son Songでは、何とSEAN LENNONがメイン・ボーカルを 取っているが、それ程大きく違和感を感じさせない。それは ヘヴィネス一辺倒と言う感じではなく、混沌とした雰囲気を 失わずに緩急をつけているからだろう。非常にエナジーを 感じさせる作品で、早くも彼等の最高傑作と言える様なアルバムに 仕上がっている。[91]

LIVE FORCES / SOLDIER

イギリスのヘヴィ・メタル・バンドのライヴ盤。クレジットが ほとんどなく、いつどこで取られたものか全く判らないが、 音質がかなり酷い事を考えればN.W.O.B.H.M.当時の音源である事は 間違いないだろう。見た限りでは、どう考えても ブートレグなのだが、実際にはどうなのか判らない。音楽的には ロックンロールを基調とした哀愁のメロディと、如何にも N.W.O.B.H.M.と言った感じの楽曲で、N.W.O.B.H.M.のファンには 訴えるものが大きいだろう。バラードのLost In Timeの泣きの メロディ等は、非常に哀愁感が漂っている。とは言え、 N.W.O.B.H.M.のファン以外には、このチープなプロダクションと B級臭さはあまり受け付けられないだろう。[87]

A PREDATOR'S PORTRAIT / SOILWORK

スウェーデンのメロディック・デス・メタル・バンドの 3rdアルバム。方向的にはこれまでの延長線上と言えるもので、 スラッシュ・メタルを基盤としながらも、メロディアスな ギター・ソロを聴かせてくれている。完成度はこれまでの作品と 比べ、プロダクション、楽曲とも非常に高くなっており、進歩の 跡が伺える。ARCH ENEMYの亜流と言う感じもあったが、最早そう 言うレベルに止まらないだけの質の高さを誇っている。非常に アグレッシヴで攻撃的なサウンドは、これぞ正にヘヴィ・メタルと 言うに相応しい。BJORN "SPEED" STRIDのボーカルも エモーショナルで、デス・ボイスと言うほどでもないので、 デス・ボイスはちょっとと言う人でも自然に聴けるはずだ。[90]

SOUL DOCTOR / SOUL DOCTOR

ドイツのハード・ロック・バンド、FAIR WARNINGのボーカリスト、 TOMMY HEART率いるバンドのデビュー盤。方向的にはブルージィで 叙情的なハード・ロックンロールと言えるもので、 FAIR WARNINGっぽさを感じさせるところもあるが、どちらかと 言うとよりアメリカナイズされた作品と言って良いだろう。 もちろんヨーロッパ的な部分も感じられるのだが、どちらかと 言うとLAメタル期にいた、叙情的なメロディのバンドと言った 感じがする。ハード・ロックンロールらしいのりの良さがあって、 ドライヴ感が感じられる。FAIR WARNINGのファンならもう少し 憂いが欲しいところかも知れないが、出来は中々素晴らしい。[85]

SILENCE / SONATA ARCTICA

フィンランドのヘヴィ・メタル・バンドの2ndアルバム。前作では デビュー盤とは思えない程の高い完成度を示して好評を得たが、 今作もそれに劣らず完成度の高さを見せ付けてくれている。 方向的には前作の延長線上とも言える、STRATOVARIUS等に 代表される、ジャーマン・パワー・メタルのドラマティックな エッセンスを取り入れた、叙情的なメロディを押し出した北欧 メタルだ。前作ではやや作り過ぎと言う感じも受け、今一つ のりきれないところもあったのだが、前作よりはエッヂが 立っていてフックが増したのが良い結果になっている。 STRATOVARIUSの系統としては、本家を上回る出来で、この手の 作品が好きならば聴いて決して損はしない。[87]

A DELETED SYMPHONY FOR THE BEAFEN DOWN / SOILENT GREEN

アメリカのグラインド・コア・バンドの3rdアルバム。方向的には いわゆるブラスト・ビートを用いたブルータリティな グラインド・コアらしいものだが、ここにドゥーム・ロック的な グルーヴ感を持ち込んでいる事がこのバンドの ユニークなところだろう。変則的な部分も伺える非常に攻撃的な 作品で、アグレッションの効いたスラッジなアルバムに 仕上がっている。メロディは幾分キャッチーな部分も 入れているし、グルーヴィなのりの良さもところどころ 感じるのだが、テクニカルでブルータリティなので一概に聴き 易いとも言えないところだ。[80]

ORIENTATION / SONATA ARCTICA

フィンランドのヘヴィ・メタル・バンドのミニ・アルバム。 シングル・カット曲のBlack SheepにECLIPTICAの ボーナス・トラックとして納められていたMaryーLouの アコースティック・バージョン、BETTE MIDLERのカバー曲、 The Wind Beneath My Wings、IRON MAIDENのカバー曲、 Die With Your Boots Onの全4曲と言う構成になっている。 The Wind Beneath My Wingsは彼等らしい、爽やかで叙情的な ハード・ポップ・チューンに仕上げられていて、彼等らしさの 感じられるカバーだ。Die With Your Boots Onは当然と言うか、 彼等の音楽性に合っておらず、これをカバーした意義が良く 判らない。[78]

SCARS / SOIL

アメリカのヘヴィ・ロック・バンドの3年振りとなる2ndアルバム。 ここ最近、アメリカでは主流となりつつある、モダンな ヘヴィ・ロック・バンドの一つだが、その中でもかなりヘヴィで ユニークなバンドだ。グルーヴ感たっぷりのリフと、意外に キャッチーなメロディを聴かせてくれており、聴き易い割には 聴き応えのあるアルバムに仕上がっていると言って良いだろう。 Breaking Me Downでの印象的なメロディ・ラインや、Haloでの 豪放でヘヴィなサウンドは注目に値するだろう。楽曲によっては ややポップ過ぎる気もするが、その方が一般受けはするかも 知れない。[82]

VIRTUAL IMAGE / SOLITUDE

日本のヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。SACRIFICEの ボーカリスト、杉内哲、ベーシスト、西田亨らによるバンドだが、 音楽的にはSACRIFICEよりもっと正統派のオーソドックスな ブリティッシュ・ヘヴィ・メタルと言って良いだろう。 疾走感のあるややスラッシィな様式美系のヘヴィ・メタルで、 楽曲は中々格好良くて十分評価出来る。ドラマティックな メロディと攻撃的なリフを聴かせてくれるギターが印象的だ。 プロダクション的には今一つと言う感があるが、生々しい 音作りなので彼等の持ち味は良く出ているだろう。杉内哲の吐き 捨て型のボーカルは、この手のものをやるには少し合っていない 様に感じられる。特にVirtual Imageでの乖離具合は、楽曲が 良いだけにより一層強調されている。[82]

SLUMBER WITH THELION / SONS OF ANGELS

ノルウェイのヘヴィ・メタル・バンドの復活第1弾となる、 11年振りの2ndアルバム。ボーカリストのSOLLIは、元THIN LIZZYの ギタリスト、SCOTT GORHAM率いる21 GUNSやIRON MAIDENの ギタリスト、ADRIAN SMITH率いるPSYCHO MOTELで歌っていたりする 事で知っている人も多いだろう。北欧的な叙情的で洗練された メロディも見え隠れするが、どちらかと言うとアメリカ的な メロディアス・ハード・ロックと言った色合いの方が強い様な 気がする音楽性だ。これと言った飛び抜けた楽曲は 残念ながらないが、全体的にレベルも高いし、良く出来た 作品である事は間違いない。[80]

Mー16 / SODOM

ドイツのスラッシュ・メタル・バンドの3年振りの9thアルバム。 重厚なリフを主体としたデスラッシュで、CODE REDではそれまでと 比べて格段に安定感とまとまりのある作品になっていたが、この アルバムもそのクオリティを保っていると言って良いだろう。 彼等らしい攻撃的なリフの破天荒な楽曲で、より完成度を増した 凄みを感じさせる。TOM ANGELRIPPERの歪ませたボーカルも、 デス・メタルがこれだけ広まった時代ではそれ程聴き 辛くはないし、むしろ破壊力を出しながらも、ある程度聴き易さを 考えると丁度良い位だ。スラッシュ・メタル不毛の時代において、 その攻撃性を保ちながらも完成度の高い稀有なアルバムだ。[87]

ELIXIR MYSTICA / SOULGRIND

フィンランドのブラック・メタル・バンドの5thアルバム。簡単に 言ってしまえば、オーケストレーションを用いた シンフォニック・ブラック・メタルなのだが、単純にそれで 済ませられない程ユニークな作品だ。女性ボーカリスト、 MS W.LILITHによるクリア・ボイス等で、ゴシック・メタル的な 流麗さを見せると思えば、ブラック・メタルらしい ブラスト・ビートも見られるし、モダン・ヘヴィネス的なグルーヴ 感を打ち出して来たりする。混沌とした構成は狂気に満ちていて、 ブラック・メタルらしい荒涼さを感じさせる、プログレッシヴで 奇想天外なアルバムと言って良いだろう。[80]

SONGS OF SILENCE LIVE IN TOKYO 2001 / SONATA ARCTICA

フィンランドのヘヴィ・メタル・バンドのライヴ盤。2001年に 行われた日本での公演の模様を収めたもので、アルバム未収録曲と ライヴを収録したボーナスCDを付けた2枚組と言う 構成になっている。スタジオ盤等では、良くも悪くも整い 過ぎていると言う印象を受けたが、このライヴではエナジーが 溢れていて意外と聴き応えがある。会場の熱気も伝わって来て、 ライヴらしい盛り上がりの感じられる、臨場感の良く出ている 作品だ。まだ新人と言って良い段階でライヴ盤を出す事の可否は ともかくとして、こう言うアルバムを聴いているとライヴに 行きたくなる。[85]

NATURAL BORN CHAOS / SOILWORK

スウェーデンのメロディック・デス・メタル・バンドの 4thアルバム。このアルバムで何と言っても興味を引くのは、 プロデューサーで、元VAIのボーカリストで、ギタリストとしても ソロやSTRAPPING YOUNG LAD等、様々な活動を行っている奇才、 DEVIN TOWNSENDが担当している。特にその効果が良く出ているのが As We Speakで、DEVIN TOWNSENDらしいオーバー・ダブを駆使した 分厚いコーラスが印象的だ。前作でそのスタイルの完成を見たと 言って良い程アルバムだったが、更に進化を目指している姿勢が 感じられる。クリア・ボイスのコーラスがゴシック・メタル的な 雰囲気をもたらしているため、これまでのファンには戸惑いを 覚えるところだろうが。[88]

SONGS FOR WORSHIP / SONS OF OTIS

カナダのドゥーム・メタル・バンドの2001年にリリースされた 3rdアルバム。この手のものとしてはこれ以上ないと言う位 スロー・テンポのドゥーム・メタルで、ELECTRIC WIZARDやSLEEPと 言ったバンドの流れを汲むアルバムだ。ここまでダウナーな サウンドだと、流石にこの手のものが好きでないと聴くのは 苦しいかも知れないが、非常に圧迫感を感じる息苦しいまでの ドゥーミィなサウンドは、伝統的なブリティッシュ・ドゥーム的な メロディとリフも相俟って、圧倒的な存在感を見せて迫ってくる。 スペイシーな色合いもあり、ELECTRIC WIZARDのファンならば、 聴いて決して損はない。[85]

3 / SOULFLY

ブラジルのスラッシュ・メタル・バンドの2年振りの3rdアルバム。 SEPULTURAのボーカリスト、MAX CAVALERAを中心としたバンドで、 現在、隆盛を極めるラウド・ロック、ヘヴィ・ロックの魁とも 言えるバンドだ。これまで同様、SEPULTURA在籍時からの流れを 汲む、トライバル的なエッセンスを取り入れ、独特の風味を 出しているのは変わりない。ブルータルさも醸し出し、攻撃的な リフは破壊力がある。とは言え、ここ最近に関すれば 目新しさもないので、今一つマンネリに陥りがちで、刺激が 足りない気がしないでもない。それでも、この手の作品としては かなりの完成度を誇るのは確かだ。[85]

SYSTEMS GO WILD! / SOUL DOCTOR

ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの2ndアルバム。元FAIR WANINGの ボーカリスト、TOMMY HEARTによるバンドだ。方向的には前作の 延長線上と言えるもので、FAIR WARNINGの様な叙情的なメロディは あまり押し出さず、ロックンロールを基調とした アメリカナイズされたハード・ロックと言って良いだろう。それ 故、どちらかと言うとGOTTHARDっぽさを感じさせるものがある。 前作同様、Waitinを除き、元AUTOGRAPHのボーカリスト、 STEVE PLUNKETTと供作している辺りも、そう言った方向性に大きく 影響しているのかも知れない。とは言え、TOMMY HEARTの ボーカルは相変わらず素晴らしいし、アルバムのクオリティが 高いのも確かだ。[84]

WINTERHEART'S GUILD / SONATA ARCTICA

フィンランドのヘヴィ・メタル・バンドの2年振りの3rdアルバム。 方向的にはSTRATOVARIUSの流れを汲む、北欧的なメロディを 活かしながらも、シンフォニックなパワー・メタル的な エッセンスを持ち込んだヘヴィ・メタルと言えるだろう。非常に ドラマティックでメロディも美しく、楽曲の完成度はこれまで 以上に高い。キャッチーなメロディは耳馴染みが良く、Tha Cageの さび等素晴らしい。これまでは良く出来たアルバム的な印象しか 受けなかったのだが、一つ高い段階に進んだと言って良いだろう。 バラードを挟んでアルバムの流れに変化を入れていて、聴き 飽きさせない様にしているのも良い。[88]

FIGURE NUMBER FIVE / SOILWORK

スウェーデンのメロディック・デス・メタル・バンドの 5thアルバム。前作当たりから、クリア・ボイスの厚いコーラスを 使ったり、よりメロディアスでキャッチーな方向へと 向かっていたが、今作ではそれを更に推し進めたと言って 良いだろう。非常にポップで聴き易く、前作でDEVIN TOWNSENDが プロデュースしたのを上手く昇華して、サンプリング等上手く 使いながら、更なる段階へとバンドを引き上げたと言って良い。 IN FLAMESがその方向性を発散させてしまったり、SENTENCEDが デス・メタルと言う場所から離れてしまったのに対して、見事に それを進化させる事が出来たと言って良い。[89]