DEATH BEFORE DISHONOUR / SYAR
N.W.O.B.H.M.末期のヘヴィ・メタル・バンドの1984年に
リリースされた唯一のアルバム。今更良くこんなものが出たなと
感じさせる位、知名度の低いバンドだ。出来自体はいかにも
N.W.O.B.H.M.という感じで、チープなプロダクションに、
ブリティッシュ独特の哀愁を感じさせるメロディがある。特に
Death Before Dishonour等の哀愁を感じさせてくれる楽曲は、
N.W.O.B.H.M.のファンならば聴き逃せないものがある。全体的に
意外とのりが結構あって、一気に聴かせてくれる作品だ。
MARTIN BERKELEYのボーカルもさして上手いとは言えないし、
消えて行くべくして消えて行ったと言わざるを得ないが、
N.W.O.B.H.M.の匂いをふりまいて、この魅力がマニア心を
くすぐる。[84]
SYMPHONY X / SYMPHONY X
ギタリストのMICHAEL ROMEO率いるアメリカのネオ・クラシカルな
ヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。楽曲はこの手の
作品としては、美味しいと思えるをやってる割にはアレンジが
懲りすぎという感じがある。Absinthe And RueなどはANGRAを思い
起こさせる様なネオ・クラシカルさを見せているが、そこまで
徹底されておらず、楽曲の出来もその域に達していないと言う
感じだ。音質は全体的に薄っぺらい感じがし、自己
プロデュースによる弊害と言いたいところだが、ほとんど自費
出版と言う状況からすると致し方ないのかも知れない。[78]
THE DAMNATION CAME / SYMPHONY X
少し前にソロ・アルバムをリリースしたばかりのギタリスト、
MICHAEL ROMEO率いるアメリカのネオ・クラシカル系
ヘヴィ・メタル・バンドの2ndアルバム。とは言うものの楽曲は
総じてネオ・クラシカルと言う程クラシカルな印象を受けなくて、
味付け程度に使われていると言った感じだ。それはそれで一つの
方向性と言えるが、それよりも問題はデビュー盤に劣らずチープな
感じがする部分がある事である。取敢えずデビュー盤よりは随分
プロダクションが良くなっているものの、楽曲に於いても北欧の
同様のバンドよりまだまだ一歩も二歩も落ちる。[81]
I DON'T WANNA LIVE MY LIFE LIKE YOU / SYKES
元TYGERS OF PANG TANG、THIN LIZZY、WHITESNAKEのイギリス人
ギタリスト率いるバンドのアルバム、OUT OF MY TREEからの
来日記念シングル。シングル・カットされた
タイトル・トラックに、ライヴ・テイクが3曲の全4曲と言う
構成になっている。故にここで注目されるのは、ライヴの3曲と
言う事になるが、盛り上がりの欠ける出来だった、
SCREAMING BLUE MURDERよりは、遥にライヴとしての出来が良く、
コレクターズ・アイテム的な作品ではあるが、ファンばらば買う
価値は十分あるだけの出来だ。[84]
OUT OF MY TREE / SYKES
元WHITESNAKEのイギリス人ギタリスト、JOHN SYKES率いる
ハード・ロック・バンドの4thアルバム。バンド名を
BLUE MURDERからSYKESと変えてのアルバム・リリースだが
BLUE MURDERとは随分方向性が違うので、名義変更はしごく
もっともなことだったと言えるだろう。地味な感じを受けた
BLUE MURDERからするとこれは結構派手でグラマラスな印象を
受ける。明るくのりの良い楽曲が中心で、THIN LIZZYの復活の
影響があったのか、そういう色が少し出ているような気がする。
2CDのケースを使っているが、透明な1CDケースで十分だった様な
気がする。[83]
SYRIS / SYRIS
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。方向的には
アメリカでは珍しくなった、大仰なメロディのドラマティックな
正統派ヘヴィ・メタルだ。NICK BUCCIの若干ヒステリックな
ハイ・トーンのボーカルは元SANCTUARYのWARREL DANEを若干思い
起こさせる部分もある。このボーカルが少し耳障りで、好き嫌いが
分かれるかもしれない。暗く湿っているが、大仰で地味な
感じはなく、ドラマティックなサウンドで楽曲も中々粒が
揃っている。QUEENSRYCHEのデビュー・ミニ・アルバムで
見られたような方向性で、生々しく力強い音作りは成功しているし
切迫感がある。[87]
THE DIVINE WINGS OF TRAGEDY / SYMPHONY X
アメリカのテクニカルなヘヴィ・メタル・バンドの3rdアルバム。
これまでの作品は、知る人ぞ知るネオ・クラシカルな
ギター・プレイヤーMICHAEL ROMEOのプレイを始めテ
クニック的には素晴らしかったのだが、プロダクションが
それについていけてなかったが、今作においてやっと演奏以外の
部分が評価出来るレベルまで来た。特にしょぼかった
プロダクションが見違える様に良くなっており、歴然の差が
見て取れる。ややプログレッシヴがかった美しい楽曲は
より洗練されていて、良いアルバムだと思う。テクニカルな
ギター・プレイが嫌いでなければいけるだろう。[85]
20TH CENTURY / SYKES
THIN LIZZY、WHITESNAKE等を渡り歩いたイギリス人ギタリスト
率いるハード・ロック・バンドのアルバム。バラード・アルバム、
LOVELANDから間を置く事なく発表されたが、こちらはいかにも
THIN LIZZY的なエッセンスに溢れた作品だ。のりの良い
ハード・ロックンロールで、爽やかでどことなく憂いを
感じさせる。ただ、全体的にYHIN LIZZYという訳でもなくて、
楽曲によっては全くそんな感じをさせないものもある。そのため
やや統一感に欠け、散漫な感じがしないでもない。これといった
曲もないが、楽曲には勢いがあって、エモーショナルで一気に
聴ける作品ではある。[80]
ONE DAY AT A TIME / SYMPOSIUM
イギリスのポップ・バンドのデビュー・ミニ・アルバムに
シングル、FAREWELL TO TWILIGHTを加えた2枚組みの作品。
基本的にはイギリスのバンドらしい、ポップなロックンロールで、
THE WiLDHEARTSに比べればハードさは全然ない。キャッチーな
メロディのロックンロールで、軽いのりで、非常に聴きやすい
作品だ。パンキッシュなのりが多分にあり、
ハード・ロック側よりもブリット・ポップのファン向けの作品だ。
楽曲を始め全体的な出来はまずまず良く出来ているので、
THE WiLDHEARTS辺りが聴けるならそれなりに楽しめるだろう。[80]
TWILIGHT IN OLYMPUS / SYMPHONY X
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの4thアルバム。
方向性としてはこれまでと変わりなく、ネオ・クラシカル系の
ヘヴィ・メタルで、それ程変則的な部分を意識させる
訳ではないが、プログレッシヴ・ロック的なアティチュードも
変っていない。MICHAEL ROMEOのギター・プレイもいかにも
ネオ・クラシカルと言う感じは変わりない。前作辺りから所々で
感じられたヘヴィでスラッシィなリフは今作でより押し
進められており、重厚な雰囲気を醸し出している。全体的に
メロディも展開も演奏も良く出来ているとは思うし、完成度の高い
作品だが、奇麗に流れ過ぎて、歌メロが意外に印象に残らない。
[82]
SYSTEM OF A DOWN / SYSTEM OF A DOWN
アメリカのハード・コア・バンドのデビュー作。しかし、形容に
困ってしまうような非常にユニークなサウンドだ。その異様な
テンションの高さにも驚かされてしまうが、ヘヴィネス系の様な
怒涛のサウンドが入ったかと思うと、ときには
シアトリカルだったりとすざまじいとしか言いようがない。
Suggestionsにおいて、ニワトリのような声を出したかと思うと、
普通のクリア・ボイスを出したり、怒号のような咆哮をあげたりと
目まぐるしく移り行く様は一種異様だ。かと思うとMETALLICAの
バラードの様なSpidersをやっていたりと凄いの一語に尽きる。
これだけ色々やっているわりには1曲1曲がかなり短く、展開に
着いていくのには結構苦労する。Ozz-festに出演している事でも
想像が付くように、ヘヴィ・メタルと言える様な部分は少ないが、
とにかく凄まじい作品だ。[84]
SYMBOLS / SYMBOLS
詳細は全く不明だが、恐らくブラジルのヘヴィ・メタル・バンドの
1998年にリリースされたアルバム。方向的には、いわゆる正統派
ヘヴィ・メタルだが、よりヨーロッパ的な香りのする作品だ。特に
TITO FALASCHIのボーカルは、高音も良く出ていて、情感も豊かで
中々素晴らしい。キーボードがちょっとチープな
感じがするものの、全体的な演奏レベルは中々高い。
What Can I Do?等、楽曲の出来もまずまず良いし、思わぬ掘り出し
物位の作品には仕上がっている。Some My Soulと言った曲も
素材としては悪くないし、アレンジ力が付けばかなり
良くなるだろうと想像させるアルバムだ。[83]
SUGAR / SYSTEM OF A DOWN
アメリカのモダン・ヘヴィネス・バンドのシングル。
シングル・カットされたタイトル・トラックに、Suite-Pee、
War?、Sugarのライヴ・バージョンの3曲と言う構成になっている。
その破天荒な音楽がライヴでも見事にそのまま再現されていて、
ライヴ・バンドとしての実力の確かさを感じさせる。
モダン・ヘヴィネスと言うと、ほとんどPANTERAのフォローワーと
受取られかねないが、彼等は一味も二味も違うのだ。ヘヴィネスで
グルーヴィなサウンドの中にも、頭のネジが一本
外れてしまっている様な奇天烈な感性は凄いとしか言い様がない。
[86]
V / SYMPHONY X
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの5thアルバム。方向的には
これまでと同様の、ネオ・クラシカルな色合いを持った
プログレッシヴ・メタルと言えるものだが、それ程変則的な
部分は強くない。これまでより全体的にヘヴィな作品
作りとなっており、重厚でドラマティックなアルバムに
仕上がっている。中心人物であるMICHAEL ROMEOのギターが前面に
出て来るのはまだしも、RUSSELL ALLENのボーカル・パートの
魅力が感じられず、この辺りに曲作りのバランスの悪さが
感じられる。今作ではコンセプト・アルバムになっており、
楽曲毎に取っても聴けるし、こう言ったところには上手く
作られているだけに少し惜しい気がする。[82]
CALL TO THE END / SYMBOLS
ブラジルのヘヴィ・メタル・バンドのアルバム。純然たる新作と
言う訳ではなく、4曲がデモ音源で、2曲がデビュー盤の
ボーナス・トラックだったものだ。何故、この様な中途半端な形で
リリースされる事になったかは判らないが、ボーカリストの
EDUARDO FALASCHI、ベーシストのTITO FALASCHI兄弟がANGRAに
加入した事が影響しているのかも知れない。EDUARDO FALASCHIの
ボーカルは素晴らしく、彼ならばANDRE MATOSの代役は十分
こなすだろう。方向的にはANGRA的ではあるが、もっと純然と
ヘヴィ・メタル的な色合いを打ち出している。全体的に良く
出来ているだけに、今後どう活動していくのか気になるところだ。
[81]
TOXICITY / SYSTEM OF A DOWN
アメリカのヘヴィ・ロック・バンドの3年振りとなる2ndアルバム。
この手のものとしてはかなりヘヴィネスな作品と言えるが、
SERJ TANKIANのボーカルは、ラップ的な使い方が随所に見られ、
多分にハード・コア的なエッセンスの感じられるが、要所要所で
メロディを押し出して来る。ダークな雰囲気を纏わせながらも、
攻撃的で時には哀愁を効かせ、中々オリジナリティの感じられる
味わい深いアルバムに仕上がっている。モダン・ヘヴィネス的な
手法ではあるが、PANTERAの様にヘヴィ・メタルに通ずる部分は
少ないので、メタル側のリスナーにはあまり受け入れられないかも
知れないが、出来自体は中々レベルが高い。[84]
LIVE ON THE EDGE OF FOREVER / SYMPHONY X
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの2枚組のライヴ盤。2000年と
2001年に行われたヨーロッパでの公演の模様を収めたものだ。
プロダクションも良いと言う程ではないが酷くはないし、
緊迫感があって、プログレッシヴなネオ・クラシカルな楽曲の
魅力も良く出ていて、ライヴとしての出来は中々のものだと言って
良いだろう。MICHAEL ROMEOのギターを中心とした、彼等の魅力は
良く出ていると思う。2枚組と言うボリュームの割りには、
楽曲的にTHE DIVINE WINGS OF TRAGEDY以降の
楽曲だけとなっており、ややバランスが悪く感じられるかも
知れないのが残念だ。[83
THE ODYSSEY / SYMPHONY X
アメリカのプログレッシヴ・メタル・バンドの6thアルバム。
MICHAEL ROMEOのテクニカルなギター・プレイは聴かれるが、
どちらかと言うと全体的にパワフルでアグレッシヴさを押し出した
ヘヴィ・メタルと言えるだろう。特にRUSSELL ALLENの
ボーカルが、これまで以上にシャウトを多用しているために尚更
そう思える。ネオ・クラシカル的なエッセンスも減退しており、
これまでより彼等らしさはあまり感じられない。彼等の特徴が
見えなくなってしまっているのだが、24分にも及ぶ組曲の
The Odyssey辺りではクラシカルでプログレッシヴな彼等らしさを
味あわせてくれる。[81]
STEAL THIS ALBUM! / SYSTEM OF A DOWN
アメリカのラウド・ロック・バンドのアルバム。前作での
大成功と、そのときに録音していた音源の流出に伴い、これらの
未発表音源をリリースした企画盤的なアウト・テイク集と言える
アルバムだ。全曲が4分以内とコンパクトに怒りのエナジーが詰め
込まれている。アウト・テイクだからと言って、TOXICITYと比べて
そのクオリティが落ちるかと言えば、そう言う訳では決してない。
アルメニア系と言う、彼等の民族性がもたらせるものなのか、
独特の呪術性すら感じさせる強烈なオリジナリティを十分
感じさせてくれるので、彼等の新作としても決して不満は
感じない。[88]