THE OUTER LIMITS / VOIVOD
カナダのスラッシュ・メタル・バンドの2年振りとなる
7thアルバム。スラッシュ・メタルとしては最も
プログレッシヴ・ロックやテクニカル・ロックと言う要素の強い
バンドだったが、この作品は言わばこれまでのそう言った
エッセンスにおける集大成的な作品と言って良いだろう。複雑で
テクニカルな演奏でありながらも、ポップ・センスがあって非常に
聴き易くしているのが特徴だ。それ故、初期のスラッシュ・メタル
的な攻撃性は希薄になっており、初期から前作に向かっての
音楽性の変化がそのまま出ている作品で、アイデア的に非常に
面白い。[84]
VON GROOVE / VON GROOVE
カナダのハード・ロック・バンドの1992年にリリースされた
デビュー盤。音楽的にはキャッチーなメロディの
ハード・ロックなのだが、カナダのこの手のバンドとしてはかなり
アメリカより的な感じのさせるもので、非常に朗らかでのりの良い
ポップ・センスの溢れる作品に仕上がっている。ミドル・テンポ
中心と言ったところだが、テンポの良さを感じさせるアレンジで、
聴いていて気持ちが良い。サウンド自体もエッヂがたっていて聴き
応えがあるし、デビュー盤とは言えこれまでセッションワークを
こなしてきただけの実力は感じさせる。楽曲は粒が
揃っているのだが、飛びぬけた楽曲がないのが残念だ。[81]
JESUS KILLING MACHINE / VOODOOCULT
アメリカのスラッシュ・メタル・バンドの1994年にリリースされた
デビュー盤。ボーカリストのPHILLIP BOAを中心とした
プロジェクトだが、元SLAYERのドラマー、DAVE LOMBARDOが
参加しているのが一番興味を引かれるところだろう。音楽的には
SLAYERの様なハード・コア色の強いものと言うよりは、よりメタル
色の強いサウンドで、ややパンチに欠ける気がしなくもない。その
分生々しい音作りがなされており、聴き応えはある。その他にも
DEATHのCHUCK SCHULDINER、DESPAIRのWALDEMAR SORYCHTA、
KILLING JOKEのDAVE "TAIF" BALLと凄いメンバーが
参加しているのだが、肝心の楽曲は今一つ平凡だ。[80]
THE AWAKENING VOL.1 / VOODOO X
アメリカン・ハード・ポップ・バンドの1989年にリリースされた
唯一のアルバム。後に、CROWN OF THORNSを結成する
ボーカリスト、JEAN BEAUVOIRとFROM THE FIREを結成後、アルバム
1枚をリリースしただけで、CROWN OF THORNSに合流する事になる、
ギタリストのTOMMY LAFFERTYを中心とするバンドだ。
FROM THE FIREやCROWN OF THORNSに比べると楽曲の出来は甘いが、
決してクオリティが低い訳ではない。録音状況は若干悪いが、
作り過ぎの感があったFROM THE FIREに比べると、楽曲にまだ
フックがある。全体的に愁いがあって、どちらかと言えば
CROWN OF THORNSよりFROM THE FIREに近い作風だ。[83]
ANYTHING CAN HAPPEN / VOICES
詳細は良く判らないがアメリカのハード・ポップ・バンドの
1992年にリリースされたアルバム。甘い、愁いを帯びた、叙情的な
メロディのハード・ポップで、オープニング・ナンバーの
Next Stop Paradiseは非常に格好良い佳曲だ。ただ、それ以降は
トーン・ダウンしてしまって、悪くはないがこれといったものが
見えてこない。キャッチーさを出そうとしている事だけは
伺えるが、全体的な曲の出来はまだ残念ながらそこまで追い
付いていないと言って良いだろう。所々良いものを見せる
事があるので、もう少し曲作りのレベルが上がればかなり
良くなるだろう。[78]
NEGATRON / VOIVOD
カナダのスラッシュ・メタル・バンドの2年振りとなる
7thアルバム。相変わらず実験的な感覚を持って作られているが、
ボーカルの交代があまり良い方向に向いて行っていない様に
思える。ERIC FORRESTの咆哮型のボーカルによって、
スラッシュ・メタル的な部分でもよりヘヴィな部分が強調される
結果となっており、PANTERAの様なモダン・ヘヴィネス的な
サウンドを思い起こさせるに至っている。攻撃的で
パワーはあるし、確かに良く出来ているとは思うが、元々それが
売りのバンドでもないので、こう言う変質は聴いていて少し
厳しい。[76]
VOODOOCULT / VOODOOCULT
PHILLIP BOAのスラッシュ・メタル・プロジェクトの2ndアルバム。
1stアルバムやライヴではDAVE LOMBARDO、WALDEMA SORYCHTAの
GRIP INC.組やDEATHのCHUCK SCHULDINERといったそうそうたる
メンバーが参加していたが、今作ではそれぞれのバンドが
レコーディング中であることもあって、ベースのDAVE BALL以外は
全て入れ替わっている。前作ではDAVE LOMBARDOの破壊的な
ドラミングが圧倒的であったので、それが無くなった影響は
大きい。サウンド的にも変化が見られ、スラッシュであることには
変わりないが、人口的な処理があちこちに出てきていて、
インダストリアルっぽくも感じる。[78]
RAINMAKER / VON GROOVE
カナダのハード・ロック・バンドの2ndアルバム。どちらかと
いうとアメリカ的なグルーヴィ感とキャッチーさを合わせ
持ちあわせている。楽曲自体の出来は結構良いのだがが、どれも
平均的でこれと言ったものが感じられない。一番問題なのは、
明るい曲調なのだが、何となくもやっとしたところがあって、
それほど陽気さを与えるような、吹っ切れたものが感じられない
事だ。それ故に曲に余計、地味さを感じさせてしまう。
バンドとしてのスタイルなのだろうが、どれもこれもそうでは少し
きつい。素材としてはかなり良いものを持っていると思えるだけに
残念だ。[77]
MISSION MAN / VON GROOVE
カナダのハード・ロック・バンドの3rdアルバム。方向的には
前作の延長線上と言えるものだが、今作ではよりヘヴィ&ハードな
路線になっており、重厚なサウンドで、扇情感がましている。
このバンドのポップ・センスというのはデビュー当時から
中々のものだったのだが、それはこのアルバムでも変わらない。
そう言った部分を前面に押し出しておらず、
さりげなくやっているところには好感を持てる。厚いサウンドに、
良くも悪くも生々しい音像で、それゆえのりも結構良い。カナダの
バンドとしてはアメリカン・テイストがかなり強い
作品になっている。[84]
TEST OF FAITH / VON GROOVE
カナダのハード・ロック・バンドの4thアルバム。2ndアルバムでは
ダークでモダンな流行に流されたとしか思えないような作品も
作ったが、彼等の本質とも言うべき、ポップで良質のメロディを
伴った方向性がここで極まったと言っても良いだろう。これまでの
作品と比べると、ややソフトでメロウになったと言う印象も
受けるが、その叙情的なメロディは、叙情的で非常に素晴らしく、
彼等のメロディ・センスの良さを如実に表している。ポップで
馴染み易いし、楽曲によっては憂いを帯びていて、その魅力は
倍加させている。落ち着き過ぎてやや盛り上がりに欠けると言う
気もしなくはないが、楽曲は良く出来ていて、素晴らしい
アルバムに仕上がっている。[87]
VIOLENT / VOLCANO
元GARGOYLE、アニメタルのギタリスト、屍忌蛇、YOUTHQUAKEの
ベーシスト、AKIRA、GARGOYLEのドラマー、KATSUJI、AIONの
ボーカリスト、NOVによる日本のヘヴィ・メタル・プロジェクトの
アルバム。IN FLAMESのFREDRIK NORDSTROMがミックスと
マスタリングを担当しており、確かにそれらしいパワー・メタル
的なエッセンスを感じさせる部分もある。方向的には、純然たる
パワー・メタルと言って良いもので、そのレベルは中々高い。
NOVのややしゃがれた感じのするパワフルなボーカルは、中々
力強くてバンドの方向性に会っている。扇情的でフックのある
メロディは聴きごたえがあり、Kill All Of Me等はさびも中々
印象的だ。[82]
TRAPPED IN ANGUISH / VOICE
ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの2ndアルバム。方向的には
扇情的なメロディのドラマティックなヘヴィ・メタルで、重厚で
ヘヴィなサウンドを聴かせてくれている。全体的に少し芋臭さを
感じなくもないが、出来自体は悪くない。愁いを含んだ叙情的な
メロディの様式美サウンドに、パワー・メタル的な重厚でヘヴィな
サウンドを聴かせてくれている。OLIVER GLASの野太い
ボーカルもあって、あまり流麗な感じはなく、そう言うところに
大仰さが感じられるのが芋臭さを感じる原因だろう。とは言え
メロディ・センスは悪くないし、楽曲、演奏とも十分納得出来る
出来だ。[83]
DRIVIN OFF THE EDGE OF THE WORLD / VON GROOVE
カナダのハード・ロック・バンドの5thアルバム。最近ではより
キャッチーで叙情的な方向へと向かっていたが、今作ではその
方向性を大きく変えている。どちらかと言うと、よりのりの良さを
押し出したストレートなハード・ロックンロールで、タイトで
格好の良いアルバムに仕上がっていると言って良いだろう。
South Of Zero、Stone Soldier等のさびは実に格好良く、彼等の
センスの良さを現している。前作までのキャッチーな路線も
良かっただけに少し残念な気もするが、これはこれで良く
出来ている。特にキーボード・パートが大きく減った事が如実に
そのサウンドに現れている。[84]
VOODOO HILL / VOODOO HILL
THE CAGEのイタリア人ギタリスト、DARIO MOLLOと元DEEP PURPLEの
イギリス人ベーシスト兼ボーカリスト、GLENN HUGHESによる
プロジェクト・バンドのアルバム。曲作りはDEEP PURPLEの
カバー、THE GYPSYを除いて全てDARIO MOLLOが
書いているだけあって、メロディアスなハード・ロックに
仕上がっている。GLENN HUGHESのソロ作品となると、これだけ
ハードな作品は中々望めないし、貴重な作品だと言って
良いだろう。ザ・ボイス・オブ・ロックと
称されているだけあって、GLENN HUGHESのボーカルは相変わらず
素晴らしいし、これだけハードな作品だと彼の声が良く映える。
叙情的でオーセンティックなハード・ロックだが、GLENN HUGHESが
歌うだけにより情感が増している。[82]
DIEHARD / VOLCANO
元GARGOYLE、アニメタルのギタリスト、屍忌蛇、YOUTHQUAKEの
ベーシスト、AKIRA、GARGOYLEのドラマー、KATSUJI、AIONの
ボーカリスト、NOVによる日本のヘヴィ・メタル・プロジェクトの
ミニ・アルバム。方向的には前作の延長線上と言った感じの、
愁いを含んだ扇情的なメロディのパワー・メタルだ。
アップ・テンポで疾走する楽曲は非常に格好良く、海外の
バンドならIN FLAMES辺りがやっていそうな感じの楽曲だ。
ボーカルはアグレッシヴだが、デス・ボイスと言う
訳ではないので、そう言った辺りが受け付けないと言う人も十分
楽しめるだろう。迫力のあるサウンドで実に格好良く、聴き
応えのある作品に仕上がっている。[86]
3FACES PAST / VON GROOVE
カナダのハード・ロック・バンドのアルバム。いわゆる企画盤的
作品で、過去のアルバムから選曲した楽曲を、アコースティックで
リメイクしたものだ。選曲はベストと言えるか難しいところだし、
初心者にいきなりこう言う企画盤を奨めるのもどうかと思うので、
ファン向けの作品と言った方が良いだろう。とは言え、彼等が
書いた曲だけあって、そのグレードは決して低くない。しかし、
こうやってアコースティックで改めて彼等の曲を聴いてみると、
彼等のメロディ・センスの良さがダイレクトに伝わって来る。
叙情的で美しい優しい作品に仕上がっていて、安心して
聴いていられる作品だ。[82]
DAVI / VOLCANO
元GARGOYLEのギタリスト、屍忌蛇による
プロジェクト・バンドの2ndアルバム。方向的には前作同様、
スラッシュ・メタル型のパワー・メタルを聴かせてくれている。
北欧メロディック・デス・メタルに見られる音楽性を
追求したものだ。ボーカルは前作に引き続いてAIONのNOVが
取っており、メロディック・デス・メタルは楽曲は良いけど、
デス・ボイスがどうもと言う人には抵抗なく聴けるだろう。
クリアなプロダクションは、アグレッションをより引き
立てており、強力なアルバムに仕上がっている。憂いを帯びた
メロディも素晴らしく、前作に決して劣らない内容だ。[83]
ANGEL RAT / VOIVOD
カナダのスラッシュ・メタル・バンドの1991年にリリースされた
6thアルバム。その後、よりプログレッシヴで、よりモダンで、
よりヘヴィネスな方向性へと進んでいくが、ここで聴かれる
サウンドは、かなりロックンロール色の強い
スラッシュ・メタルだ。その後より先鋭化して行く
プログレッシヴ・ロック的な色合いはここでもはっきり打ち
出されており、同郷の大御所、RUSHっぽさを
伺わせるところもある。アイデアばかり先走りし過ぎていて、
プロダクションが追いついておらず、妙に古臭さを
感じさせるところもあるが、その才気は十分感じられる。[79]
THE SEVENTH DAY / VON GROOVE
カナダのハード・ロック・バンドの6thアルバム。HAREM SCAREMの
次ぎを行く存在として、良質のメロディアス・ハード・ロックを
聴かせてくれていたが、今作でもそのメロディ・センスの
素晴らしさは健在だ。前作では、ややのりを中心とした作風に
変化していたが、それは今作でも引き継がれている。テンポの良い
ハード・ロックンロール色の感じられる作品だが、彼等の叙情的な
メロディ・センスも決して失われていない。Believe In The Oneの
様な憂いを帯びた楽曲や、キャッチーなさびが印象的なOxygen等、
非常に質の高い楽曲を書いており、安心して聴いていられる
アルバムに仕上がっている。[87]
BLOOD RAPTURE / VOMITORY
スウェーデンのデス・メタル・バンドの4thアルバム。いわゆる
オールド・スクールのグラインド・コア系デス・メタルと
言えるものだ。ブラスト・ビートを使った、攻撃的なサウンドで
圧倒してくる場面も当然あるのだが、オールド・スクールらしい
スラッシィなギター・リフは中々格好良いと思えるし、意外と聴き
易いので、DISMEMBER辺りが好きなら気に入るだろう。ある意味
目新しさは全くないのだが、それを補って余りある充実度を
感じさせてくれる作品だ。ERIK RUNDQVISTのデス・ボイスが、
非常にこもった感じのタイプなのは好き嫌いが分かれるかも
知れない。[81]
VOIVOD / VOIVOD
カナダのスラッシュ・メタル・バンドの6年振りの10thアルバム。
元々プログレッシヴ・ロックの要素を取り入れた、変則的
スラッシュ・メタルを聴かせてくれていたが、ボーカリストの
DENIS BELANGERが脱退して以降、モダン・ヘヴィネス的な
アプローチが試みられる様になり、バンドとしての
アイデンティティが希薄になる事でトーン・ダウンして行った
印象があった。今作ではそのDENIS BELANGER復帰し、
ベーシストとしてOZZY OSBOURNE、元METALLICA、FLOTSAM JETSAMの
JASON NEWSTEDが加入すると言う注目作なのだが、その期待に
違わず、プログレッシヴ色を押し出したものとなっている。ただ、
昔の作品とは異なり、よりヘヴィでストレートさも感じさせるが、
その分聴き易さもある作品だ。[85]