METAL MASSACRE XII / V.A. アメリカのヘヴィ・メタル専門のインディ・レーベルの新人 紹介用のコンピレーション・アルバム。かつてMETALLICA、 MEGADETH等を排出した名物的なコンピレーション・シリーズだが、 その内容がスラッシュ一辺倒になったころから徐々に パワー・ダウンして行った。ここではさらに押し進めて、 デス/ブラック・メタル系のバンドを取り上げるまでに 及んでいる。女性ボーカルを擁したゴシック・メタル・バンド、 AVERNUS等、そこそこと思えるものが多いのだが、ものによっては つまらないものもある。唯一完成度をある程度持てているのは、 このアルバムの中では特異な存在である、 プログレッシヴ・ヘヴィ・メタル・バンドのDIVINE REGALだけだ。 もうちょっとこう言うバンドを発掘出来ると、このシリーズの存続 価値があがるのだが、この内容では将来性を見込めるバンドが あまり見当たらない。[64] NO CURE / CRIME ドイツのハード・ロック・バンドの1995年にリリースされた 2ndアルバム。出だしのタイトル・トラック・ナンバー、No Cureが FAITH NO MOREのEpicをアップ・テンポにして、もっと メタルよりにした様な楽曲だし、続くWhodoyouthinkyouare?も随分 ファンキーな部分があるのでそう言うバンドと言う印象を 受けるが、その後はAOR系のハード・ポップのHey You!から パンチの効いたメロディアスなShades Of Bluesと、どちらかと 言うと方向性に一貫性がないと言った方が正しいだろう。取敢えず D.A.I.D.以降の後半は泣きのメロディ、あるいは扇情的なヘヴィな メロディが中心になり、もっとこう言った路線で一貫性を持たせた 方が判り易かっただろう。STAVROS MOUTZOGLOUのボーカルは、 高音が弱く、高いキーでたまによれていて、聴いていて 危なっかしい。良く判らないCD番号が付いているが、多分自費 出版で、そのためもあってか録音状態はあまり良くない。[83] REAL / MICHAEL SWEET アメリカのクリスチャン・メタル・バンド、STRYPERの 元ボーカリストによる2ndソロ・アルバム。方向的にはシンプルな ロック・アルバムで、アコースティック・ギターが前面に押し 出されている。STRYPERの様なハードな部分はほとんどないのを 不満に思う人もいるかも知れないが、楽曲のレベルは高く、 安心して聴く事が出来る作品に仕上がっている。STRYPERで 見せていたメロディ・メイカーぶりはここでも変わらず見られ、 心温まる美しいメロディが堪能出来る。STRYPER時代の Always There For Youのアコースティック・バージョンも 中々のものだ。[85] PEGAZUS / PEGAZUS オーストラリアのヘヴィ・メタル・バンドの自主制作アルバム。 テンポの良いロックンロール調の楽曲が中心で、プロダクションの 悪さもあって全体的にN.W.O.B.H.M.っぽいが、ドゥーミィな重い メロディ中心の楽曲もある。軽快でのりが良い楽曲は、録音状態が 悪いのもあいまって、非常に薄っぺらい。パンキッシュな部分も 見えるが、どうせチープならそういった部分を強調させた方がまだ 良かっただろう。愁いを含んだ叙情的なメロディ等は決して 悪くないので、プロダクションがもっとしっかりすればもう少し 何とかなるのではと思えるものはあるのだが。[76] OPPOSIES / VERALIN オランダのヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。AYREON プロジェクトにも参加していた、元FINCHのベーシスト、 PETER VINK、キーボード、CLEEM DETERMEIJERによる新しい バンドだ。そう言う人脈もあって、ARJEN ANTHONY LUCASSENが ギターでゲスト参加している。MIRJAM VAN DOORNなる女性 ボーカルを擁しており、オープニング・ナンバーの Lay Your Heart On The Lineは、叙情派 メロディアス・ヘヴィ・メタルにACE WOUNDERのボーカルを乗せた 様な不思議な楽曲だが、これが中々良い味を出している。それ 以降はマイナー調のハード・ポップ・ナンバーが並ぶが、楽曲と ボーカルが遊離している様に聞え、今一つ面白味に欠け乗り 切れない。[80] HOLY LAND / ANGRA ブラジルのヘヴィ・メタル・バンドの2ndアルバム。方向的には メロディック・スピード・メタルと言われるもので、 デビュー盤ではクラシカルな要素とジャーマン・パワー・メタル 的な要素が見事に融合した素晴らしい作品だったが、今作ではより クラシカルな部分を打ち出しており、そのために若干バランスが 崩れている様にも感じる。クラシカルでプログレッシヴ・ロック 的な部分が強く、楽曲によっては少し聞きづらい部分もあるが、 全体的な完成度は非常に高く、前作に負けず劣らず ドラマティックな作品に仕上がっている。タイトル・トラックの 様に、もうヘヴィ・メタルとは言えないような楽曲もあるし、 前作に比べて不満はなきにしもあらずなのだが、作品のレベルは 非常に高い。[86] REFRESH THE DEMON / ANNIHILATOR カナダのスラッシュ・メタル・バンドの5thアルバム。 JEFF WATERS自身がボーカルを取る様になり、ほとんど彼の プロジェクトと化している。決して旨いとは言いがたい JEFF WATERSのボーカルだが、それなりにさまにはなっている。 前半はこれまでの彼等の路線を踏襲しているのだが、後半では 非常にポップでキャッチーになっており、その分どうしても 疾走感が失われている様に感じられるのは致し方ないだろう。 楽曲の出来はまずまずと言ったレベルで、特に可も無し不可も 無しと言ったところだ。[79] FUELED EP / ANTHRAX アメリカのスラッシュ・メタル・バンドの来日記念盤の ミニ・アルバム。7曲中5曲がアルバム未収録曲で、うち4曲が KISSのWatchin' You、HUSKER DUのDethroned Emperor、 CELTIC FROSTのCelebrated Summer、THE POLICEの No Time This Timeと言うカバー曲だ。選曲的にもそうだが、 アルバムに収録されなかっただけあって、彼等としては今までとは 少し違う一面も見えて来る。Fueledのリミックスはかなり インダストリアル的だし、Watchin' You、Deathroned Emperorは かなりドゥーミィな雰囲気が漂っている。No Time This Timeは かなり異色でかつてのGot The Time的な色合いを感じる。[79] BLACK MOON PYRAMID / AXEL RUDI PELL ドイツのヘヴィ・メタル・バンド、STEELERの元ギタリストによる 4thソロ・アルバム。その方向性は、まさしくRAINBOWファンによる RAINBOW風のアルバムと言ったところだろう。YNGWIE MALMSTEENと 似た、クラシカルな路線で、RAINBOWよりはかなり アップ・テンポな作品に仕上がっている。前作同様、 ボーカリストにはJEFF SCOTT SOTOが参加しているが、彼の ボーカルは相変わらず見事だし、楽曲の出来もかなりのものだ。 RAINBOW風の様式美をよりメロウでヨーロッパ風でモダンにした サウンドで、完成度も高く正当派好きには泣ける内容に 仕上がっている。ただ、当然目新しさにも欠ける訳で、 難がないこともないのだが。[88] HOPKINS(THE WITCHFINDER GENERAL) / CATHEDRAL イギリスのドゥーム・メタル・バンドの最新アルバム、 THE CARNIVAL BIZARREからのミニ・アルバム。アルバムからは タイトル・トラックの1曲のみで、恐らく意識してだろうが、 N.W.O.B.H.M.におけるドゥーム・メタルの祖とも言うべきバンドの 名前をサブ・タイトルに冠している。残りはカバーが3曲と 未発表曲が2曲と言う構成になっている様だ。オリジナルでも Purple Wonderland等の様な、アルバムに比べると軽目でのりの 良いナンバーが中心になっている。とは言うものの、むしろ最新 アルバムよりはのりが良いので、むしろ楽しめる作品と言えるかも 知れない。[84] TOP OF THE WORLD / CROWN ドイツのパワー・メタル・プロジェクト・バンドの ミニ・アルバム。元CENTAURのRAINER KUPPERSと REINER SCHUTZLERの二人によるプロジェクトで、その外の メンバーも全員CENTAURという構成だ。CENTAURはキーボードの 出来ばかり目立って肝心の楽曲の出来は今一つだったが、ここでは キーボードも突出する事なく、より扇情的になっている。 路線的にはメロディアスなヘヴィ・メタルで、CENTAURの路線を いくらか継承しているが、それ程はっきりとしたものではない。 よりパワー・メタル然としており、だみ声であまり上手いと言う 感じではないボーカルも、パワーが感じられてそれなりに聴ける。 [82] CRIMSON / EDGE OF SANITY スウェーデンのメロディック・デス・メタル・バンドの 5thアルバム。ボーナス・トラックを入れても収録曲は僅か2曲で、 本編はタイトル・トラックのCrimsonのみで構成されており、40分 近い大作になっている。これだけ長い楽曲だけに、単調にならない 様にと言う配慮があってかと思われるが、起伏を付けるために、 今までの作品より随分ブルータルな部分が顔を出している。 これまでの彼等は、メロディアスなメロディと曲展開を 持っていたが、ある意味ここではそういう面は随分後退したと 言って良いだろう。だが、こういうブルータルな部分はさほど 面白くなく、メロディアスさが減少したことは取りも直さず 面白みが減ったと言う結果になってしまっている。結局曲は冗長に 過ぎなくなり、何度も聴こうという気は失せるアルバムだ。元々 プログレッシヴ・ロックをやっていたDAN SWANOの趣味が 出たのか、難解で複雑にはなっている。[75] MACHINE FISH / GALACTIC COWBOYS アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの3rdアルバム。方向的には、 メロ・コア的な部分があったりして、 ロックンロール・スラッシュとでも言うような雰囲気を 漂わせている。楽曲によってはメロディがENOUGH Z'NUFFを思い 起こさせる部分もあるが、もっとワイルドで醒めていない 感じのする作品だ。非常にキャッチーなメロディで、これに 被さって来るバックのハードなリフが、独特の味わいを 出している。特に飛抜けた曲はないし、ワン・パターンではあるが 粒は揃っているし完成度も割と高いアルバムだ。[83] GOLD FINGER / THE HEAT ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの2ndアルバム。プロデュースを MATT SINNERが担当しており、ドラマーには元SINNER、 MR.PERFECTのBERNIE VAN DER GRAAFが新メンバーとして 加入している。エッヂのたったエネルギッシュなサウンドは パワーを感じさせて中々良い出来だ。全体的にグルーヴ感があり、 非常にのりの良い作品に仕上がっている。人脈的にだけではなく、 ある意味SINNER的な作品で、そう言った作品が好きならば 結構いけるはずだ。楽曲の出来はまぁまぁと言ったところだが、 キャッチーなメロディに、勢いがあるので曲が引き立っている。 [82] THE JESTER RACE / IN FLAMES スウェーデンのメロディック・デス・メタル・バンドの 2ndアルバム。元DARK TRANQUILLITYでJESPER STROMBLADとは CEREMONIAL OATHでバンド・メイトだったANDERS FRIDENが加入し、 やっとパーマネントなボーカリストが決まったと言う感じだ。 デビュー盤後に出したミニ・アルバム、SUBTERRANEANはその 叙情性を究極にまで追及した作品でど肝を抜いたが、この作品では その路線を継承しつつもややハードで音に厚みを増し、展開をより 重視している作品に仕上がっている。故にSUBTERRANEAN程の 泣きまでには至っていないが、よりドラマティックな作品に 仕上がっている。この手の叙情派メロディック・デス・メタルの 中では群を抜く存在であることは間違いない。[90] MTV UNPLUGGED / KISS アメリカのハード・ロック・バンドの アコースティック・ライヴ盤。昨年行われたMTVでの アンプラグド・ショウの模様を収めたもので、現在のメンバーに ACE FREHLEYとPETER CHRISSが参加している。通常のライヴとは かなり異なった選曲をしている様で、意外なナンバーも数多く飛び 出して来る。Do You Love Me、Rock And Roll All Niteを除くと、 それほどKISS的な匂いは感じず、枯れたアメリカン・ロック風で アコースティックというシチュエーションが良くはまっている。 それだけに淡々として盛り上がりには欠けている感がするのは 仕方がないが。[80] NO STRINGS ATTACK / LIESEGANG 元MOTORHEAD、NINA HAGENのイギリス人ギタリストの初の ソロ・アルバム。元XEROと、N.W.O.B.H.M.系統のファンには 懐かしい名前だが、殆どの人にはむしろJOHN WETTONや GLEN HUGHESと言ったゲスト陣の方に目が行くだろう。そういう ゲストにアルバム・ジャケットから想像すると、落ち着いた ロック・アルバムを想像させるものがあるかも知れないが、 実際にはもっとヘヴィでエモーショナルなサウンドに 仕上がっている。特にGLENN HUGHESが歌っている楽曲は、彼の ボーカルもあって非常にソウルフルだ。扇情的で情感も豊かで、 非常に良く出来たアルバムに仕上がっている。[87] THE KILLING KIND / OVER KILL アメリカのスラッシュ・メタル・バンドの8thアルバム。コアで 勢いのあるスラッシュ・メタルで、のりが良く力強いサウンドで 疾走感を持って一気に聴かせてくれる。リフはまずまずの 出来だとは思うが、その反面楽曲をトータルで考えると今一つ 面白味に欠け、諸手を挙げて受け入れる気にもならない。全体的に どの曲も平均的で、これといった曲がないので盛り上がりどころが ないのが難点だ。それなりに良く出来てはいると思うが、それ 以上でもそれ以下でもない凡庸さが気になる。攻撃的なリフを 楽しむのが、一番重要な要素であるので、そういう意味では十分 満足出来るのだが。[82] SEE YOU ON THE OTHER SIDE / OZZY OSBOURNE イギリス人ボーカリスト率いるヘヴィ・メタル・バンドの最新 アルバム、OSMOSISからの第2弾シングル。シングル・カットされた タイトル・ナンバーの他に、未発表曲2曲とPerry Masonの バージョン違いの4曲と言う構成になっている。Voodoo Dancerは TOMMY SHAW、JACK BLADESのDAMN YANKEES組との共作で、なるほど 良い曲だなと思えるバラードだが、どうも彼の声質に 合っていないのは残念だ。むしろSHAW/BLADESでやったら ぴったりと来るのではないだろうかと思える。アルバム未収録曲は この曲も含めてミドル・テンポのあまりハードでない曲で、 アルバムとはまた違った面が見える。[81] THE FIRST / PANGEA デンマークのハード・ロック・バンドのデビュー盤。北欧の バンドではあるのだが、その音楽的方向性はノリの良い アメリカン・ハード・ロックという感じだ。ファンキーで キャッチーなメロディはフックが効いていて、グルーヴ感もあって 中々良い感じだ。全体的な構成も良いし、プロダクションも しっかりしていてデビュー・アルバムとは思えない内容だが、 完成され過ぎていて逆にオリジナリティを感じないのが少し 残念だ。とは言うものの、トータル的な出来は非常に良いし、 レベルの高い作品であるのは間違いない。[86] HALFWAY TO SOMEWHERE / PAT TRAVERS カナダ人ブルーズ・ロック・ギタリストのアルバム。あくまで ベースになっているのはブルーズ・ロックなのだが、グルーヴィで のりの良い楽曲に演奏、それにハードなギター・プレイは ブルーズ・ロック・ファンでなくとも十分楽しむ事が出来る 作品だと言えるだろう。テンポが良いので、飽きさせずに一気に 聴かせてくれるところに好感が持てる。GARY MOOREの様に ブルーズより過ぎる事がなく、あくまでもロックしているので、 アレルギーを持つこともないだろう。肩肘に力の入っていない 自然な雰囲気を醸し出しており気楽に聴くことが出来るアルバムに 仕上がっている。[84] CAPTURED ALIVE IN TOKYO CITY / PRAYING MANTIS N.W.O.B.H.M.バンドのライヴ盤。昨年、クラブ・チッタで行われた 来日公演の模様を収録したもので、初回限定盤のみ 2枚組となっている。物議を醸したGARY BARDENの加入だが、この ライヴを聴く限りではそれほど大きな違和感は感じられない。 ただし、コーラス部分の出来はさすがと思わせるだけの 素晴らしいものなので、それに見劣りすると感じるところも 無きにしもあらずなのだが。それよりも、むしろドラミングの方が きちんとリズムを刻めておれず、GARY BARDENより寧ろ CLIVE BURRを交代した方が良いかも知れない。[81] HEAL / SACRED REICH アメリカのスラッシュ・メタル・バンドの4thアルバム。かつて METAL MASACREの末期のシリーズでは、一人気を吐いていた 感があったバンドだ。それだけに、一般受けするとはあまり 思えないが、出来としては決してレベルは低くない。サウンドは めりはりが効いていてダークでグルーヴィだし、勢いは 感じさせてくれる。ただし、ザクザクとリフが刻まれるあたりは 中々面白いのだが、緩慢な部分がどうしてもあって、そう言う 部分はつまらないとしか言い様がない。割と コアなところがあって、ハード・コア系が好きでないと少し 辛いかも知れない。[81] LUCKY / SKIN イギリスのハード・ロック・バンドの2ndアルバム。昨年、 HELLOWEENの前座として来日し、ライヴ・バンドとして一気に 認識された感があるが、その持ち味を生かそうとする様に スタジオ・ライヴ的な作品で勝負して来ている。そのために非常に グルーヴィでエモーショナルな作品に仕上がっているのだが、 肝心の楽曲が今一つ地味で、印象が薄いのが残念だ。生々しさと ソウルフルな印象ばかり目立つが、決して悪い 出来ではないだけに、楽曲の出来がもう少し上がればかなり 素晴らしい作品になったはずだ。幾分サイケデリックで、 イギリスのバンドと言うよりは、アメリカ的な土っぽいアルバムに 仕上がっている。[81] FATHER TIME / STRATOVARIUS フィンランドのヘヴィ・メタル・バンドの5thアルバム、 EPISODEからの先行シングル。アルバム収録曲が2曲に、 デビュー盤からのリテイクが1曲、カバーが1曲の全4曲と言う 構成になっている。新譜からのタイトル・トラック、 Father Timeはこれまで以上にジャーマン・パワー・メタル的で、 ここまで来ると少し違和感を覚えなくもない。新譜からのもう1曲、 Uncertaintyはメロディアスなミドル・テンポの楽曲で、それ程 悪くはないが、STRATOVARIUSとしては凡庸な楽曲だ。リテイクの Future Shockは特に可もなし不可もなしと言ったところだが、この 中では一番らしい仕上がりだ。一番の注目であるRAINBOWの カバー、Kill The Kingは明らかにデモと言ったレベルで、評価に 値しない。[77] SUGARBUZZ / WHATEVER イギリスのハード・ロックンロール・バンド、THE WiLDHEARTSの 元ドラマー、STIDI率いるバンドの1stアルバム。本人たちは ロックンロール・スラッシュとかいってるが、方向的には 結局のところTHE WiLDHEARTSの延長線上であり、メロコアをもっと ハードにした様な感じのする作品だ。今のアメリカ辺りで今一つ 成功出来ないのは少し不思議な位、こう言った方向性の バンドとしては良い作品を作っていると言って良いだろう。とは 言っても、基本はハード・ロックンロールとメロコアなので、 それが駄目だときついとは思うが。[83] TRANSPLANTATION / ANGEL HEART ドイツのハード・ロック・バンドの2ndアルバム。デビュー盤では その音楽的方向性はかなりポップであったが、その一方で楽曲は 今一つ中途半端でどうも煮え切らない作品と言う印象があった。 今作ではボーカル・ラインのキャッチーさは保ちながらも、 バックのサウンドは幾分ダークでもたった 感じのするものになっており、煮えきらなさは相変わらずだ。 のりの悪さは顕著で素材はそれほど悪くないと思えるだけに 残念だ。これと言った楽曲もないし、もう少し曲作りで 進歩がないと少し苦しいと言わざるを得ない。[78] INSIDE, THE MOON / ATHENA イタリアのプログレッシヴ・ヘヴィ・メタル・バンドの1995年に リリースされたデビュー盤。まず驚くのはこの国のこの手の バンドとしてはボーカルが非常にまともで、まずまず聴けると 言う事だ。楽曲は憂いがあって、DREAM THEATER系統ではあるが、 もっと泣きのメロディの叙情的な作品で、中々結構格好良いし 完成度も高い。シンフォニック色の強いキーボードを除けば DREAM THEATER程プログレッシヴ的な色合いは気にならないので、 あまり難解なのはちょっとと言う人でも十分聴けるはずだ。楽曲が 唐突に終わるのは少し違和感を感じなくもないが、非常に美しくて 清々しい、良いアルバムに仕上がっている。[89] THE DOWNTOWN CLOWNS / THE DOWNTOWN CLOWNS スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドの1994年にリリースされた 恐らく自費出版のデビュー盤。後にPETE SANDBERGと行動を 伴にするJONAS REINGOLDが参加しているが、そう言う叙情的で 愁いのあるサウンドとは趣を異にしている。方向的には、明るい パーティ・ロック系バンドと言えるもので、ボーカルは DAVID LEE ROTHを思わせる声色で、そのサウンドに良く 合っている。ギターも意外と速弾き系でテクニカルだし、 ホーンなんかも多用していて、色々と工夫を凝らそうと言う意識は 買える。コーラスも決まっているし、初期VAN HALENまでとは 行かないが、悪くないアルバムだ。[80] MIND GAMES / ETERNITY アメリカのプログレッシヴ・メタル・バンドの恐らく自費出版の デビュー盤。方向的にはプログレッシヴ・メタルでも、最も ヘヴィ・メタルよりの作品と言えるだろう。もちろん、 プログレッシヴ・メタル的な部分もあるのだが、キーボードや 細かいおかずは、あくまで脇役でしかない。FATES WARNINGを もっと扇情的にした感じで、かなり正当派ヘヴィ・メタル的に 感じられる。サウンドはかなりパワフルで、メロディは判り易く、 すんなりと受け入れることが出来るだろう。自己プロデュースだが これが弱点になっており、プロダクションさえしっかりすれば かなりの傑作になったと思えるだけに残念だ。曲作りに関しては アレンジも含めて中々の出来で、センスの良さがうかがえる。[85] TRACKS FROM THE DUST SHELF / GTS 元IF ONLY、AIRRACEらのメンバーで結成されたイギリスの ハード・ポップ・バンドの恐らくデビュー盤。方向的には、 AOR系の憂いを帯びた軽目のハード・ポップだ。全体的にまとまり 過ぎに感じられ、無機質でこじんまりとした地味な印象がするのは 遺憾ともし難いが、メロディ・センスの良さとアレンジのうまさは 十分感じられる。インパクトはないが、爽やかで清廉な メロディで、清々しさを与えてくれる。泣きのギター・ソロも 印象的だし、とにかく楽曲の出来は良いので、湿った産業ロックが 好きならお勧め出来る作品だ。[83] LORDIAN GUARD / LORDIAN GUARD アメリカのヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。N.W.O.B.H.M.の 影響を色濃く見せていたL.A.メタルでは特異と言えたバンド、 WARLORDのギタリスト、DESTROYERことBILL TSAMISの率いる新しい バンドだ。最初出たものは音質がアマチュアのデモ・テープ並と 酷評されていたが、リマスターし直して再リリースされている。 それにしてもプロダクションはWARLORD当時とそれほど 変わらないので、リマスター前は余程酷かったのだろう。方向性 自体もWARLORDと全く同じで、その泣きの叙情さは大袈裟なほどで 美しい。ただ女性ボーカリストのボーカル・スタイルは延々と抑揚 無く歌うので興醒めする部分もある。むしろバック・コーラスの 方が美しい位だ。キーボードがチープなのも遺憾ともし難い 部分があるが、とは言うもののWARLORDのファンならばその郷愁は 十分味わえるはずだ。[85] NO DOUBT / PETRA アメリカのクリスチャン・ロック・バンドのアルバム。バンド 自体の活動歴は結構長いはずで、アルバムも結構な数枚を 出しているはずだ。明るいながらどことなく哀愁を漂わせた キャッチーなロックで、ハードな部分ではDEF LEPPARDを思わせる 部分も多々あるが、全体的にはどちらかというと昔のアメリカン TOP40向けという感じだ。非常に洗練されていて完成度が高いので 優しいアメリカン・ロック向けの人にはぴったりの曲もある。 ハードな部分はかなりラフでのりも良いし、結構聴きごたえのある アルバムに仕上がっている。ボーカルは、元HEAD EASTの JOHN SCHLITTが参加している。[84] EPISODE / STRATOVARIUS フィンランドのヘヴィ・メタル・バンドの5thアルバム。先に リリースされた先行シングル、Father Timeでより ジャーマン・パワー・メタル的な方向へのシフトを不安に 感じていたが、アルバムを通して聴いてみると、全体的にはそれ 程でもなく、これまでの延長線上から大きく外れるものではない。 楽曲の出来もそれなりの線を行ってるし、完成度という点では これまでより群を抜いているのだが、TWILIGHT TIMEを初めて 聴いた時のようなインパクトを感じられないのは、 ワン・パターンとも言えるSTRATOVARIUSのサウンドに 聴きなれてしまったせいだろうか。逆に安心して聴ける 作品でもあるのだが目新しさと言うものがないだけに、やはり 安定しているなと言う以上の感慨は中々持ち難い。[86] JUST ADD LIFE / ALMIGHTY イギリスのハード・ロック・バンドの5thアルバム。バンド名から THEを抜いての初のそしてこれをもって最後となるアルバムだ。 1995年に行われた日本公演の模様を収めたボーナスCDとの 2枚組みと言う構成になっている。方向的には、若干メロコア的な 色合いを感じさせるロックンロール系のハード・ロックで、名前の 変更とともにサウンドに変化を感じさせる。 アグレッシヴではあるものの、速さやパワーという点では 今までより落ち着いた感じがするが、逆にメロディという 点においては格段に良くなっている印象を受ける。[83] LIVE IN JAPAN / HAREM SCAREM カナダのハード・ロック・バンドのライヴ盤。1995年に行われた 来日公演より、クラブ・チッタでのライヴの模様を 収録したものだ。演奏力と言い、楽曲のレベルと言い、元々 レベルの高いバンドだけに、こうやってライヴを聴かされても、 やはりその完成度はかなり高い事には変わりない。全体的に結構 ハードな音作りで、のりも良いのだが、敢えて不満を言えば 飛抜けた名曲と言えるような曲がないことだろう。 プロダクションの出来も良いし、彼等のファンであれば安心して 聴いていられるだけの完成度はある。[84] ABDUCTED / HYPOCRISY スウェーデンのブラック・メタル・バンドの4thアルバム。 いわゆるブルータルな感覚はなく、メロディ中心の正当的な ヘヴィ・メタルという感じで、サウンド的には メロディック・デス・メタルと言った感じの受ける作品である 事はこれまでと変わりない。楽曲によってはPARADISE LOST的な ゴシック・メタル風の楽曲だったり、あるいはスラッシュ・メタル 風だったり、パワー・メタル風だったりもする。PETER TAGTGRENの ボーカルは、ブラック・メタル特有の金切り声ではなくしゃがれた 感じのタイプだが、荒涼感は感じられる。[85] REFLECTIONS / LETTER X ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの4年振りの3rdアルバム。 方向的には、いわゆるQUEENSRYCHE系のバンドと言えると思うが、 その手の曲に限って詰らない楽曲が多い。むしろ More Than I Can Sayの様な、扇情的なメロディをふんだんに取り 入れたものの方が美しさが際立っているので、そう言った路線で 攻めた方が良かったのではないだろうか。このバンドの一番の 功績は前作でMICHAEL BORMANを発掘したことで、彼はBONFIREに 加入するという噂もあったものの、その後J.R.BLACKMOREの アルバムに参加後、自身のバンドJADED HEARTで活動している。 そのMICHAEL BORMANが去って、新ボーカリストのTHOMAS KROELが 加入したわけだが、それなりで悪くはないものの、 MICHAEL BORMANに比べると今一つと言う印象はある。[80] TRUE OBSESSIONS / MARTY FRIEDMAN アメリカのスラッシュ・メタル・バンド、MEGADETHの ギタリストによる4thソロ・アルバム。前2作では、喜太郎を プロデューサーに迎えるなどして、非常にオリエンタル色豊かな アルバム作りがなされており、ロックという範疇からも外れた 内容となっていた。今作でも中にはそういうタイプの曲があるが、 むしろロック然としたものに仕上がっていると言って良いだろう。 半分以上がギター・インストルゥーメンタルで、叙情感 溢れるものから躍動感溢れるものまで、割と幅広い内容に 仕上がっていて、前2作よりはファンにとっては受け入れら 鼈ユいものになっていると言って良いだろう。[84] UNDER THE SUN / MIKAEL ERLANDSON スウェーデン人ボーカリストの2ndソロ・アルバム。 デビュー盤ではハード・ポップ・アルバムとしてかなり高い評価を 受けたが、今作ではより軽いサウンドのポップ・アルバムに 仕上がっている。楽曲はどことなく明るくなりきれない、湿り気を 帯びた、北欧らしい暗さがある。かつて彼はCRASHと言う ハード・ロック・バンドのメンバーとして、自費出版でアルバムを 一枚リリースしているが、このアルバムで数少ないハードな 曲のうち、Hot ShoesにCRASH時代のAnginaの面影が伺える。 軽すぎると言う印象はどうしても拭えない作品なのだが、彼の甘い ボーカルにはむしろあっているかも知れない。[80] THROUGH THE EYES OF THE WORLD / MONSTER アメリカのヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。MALLICE、 BLACK'N BLUEらの元メンバーによって結成されたバンドだ。 80年代っぽいキャッチーな楽曲のメロディアスな アメリカン・ヘヴィ・メタルながら、どことなく ブリティッシュっぽさを匂わせると言う、実に彼等らしい 作品に仕上がっている。飛抜けた曲はないものの、全てにおいて 高い完成度を持っているし、ラフながらソリッドでメリハリが 効いていて聴きごたえのあるアルバムだ。ゲストとして JEFF SCOTT SOTOが参加しているが、デモでは彼が メイン・ボーカルを取っていた様だ。[86] THE MASQUERADE OVERTURE / PENDRAGON イギリスのポンプ・ロック・バンドの8thアルバム。 イントロダクションとも言えるThe Masquerade Overtureで、 いきなりオーケストラと混成合唱が通されるので、 シンフォンックな美しいアルバムを期待させるが、その予想を 決して裏切る事はない。ただ、本編ではより プログレッシヴ・ロック的で、叙情的な部分だけでなく ドラマティックな展開があって、聴きごたえのある作品に 仕上がっている。YES的な雰囲気の部分もあるし、JETHRO TULL的な 部分も持った作品で、プログレッシヴ・ロックにある程度 免疫がないと厳しいが、出来自体は悪くない。[83] STEELE / STEELE アメリカのヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。バンドと 言ってもボーカリストのJEFE STEELEとギタリストの STEVE WITSCHELの二人しかいないので、実質的にはプロジェクトと 言った方が良いだろう。ゲスト・ミュージシャンとして元 DANGER DANGERのTED POLEYや元EZO、現LOUDNESSの本間大嗣等が 参加している。軽快でノリの良い楽曲は疾走感があって中々気持ち 良いが、ミドル・テンポのStay、Lead Me Overといった曲が 以外とつまらないのが難点だ。特にラストがそういう曲を続けて 終わってしまうので、尻切れトンボという感じがするのは 遺憾ともし難い。むしろアップ・テンポのみで勝負し他方が 良かったのではないかと思えるアルバムだ。[80] STANDARTE / STANDARTE イタリアのプログレッシヴ・ロック・バンドのアルバム。古臭い 楽曲にサウンドで70年代に良く居そうな感じのタイプの作品だ。 音はかなり厚目で、ハモンド・オルガンとギターの組み合わせの 楽曲では、ハード・ロックと言う面影も無くはないが、 メロトロンとシンセサイザーが醸しだす雰囲気は明らかにそれとは 違う。全体的に郷愁感が漂う懐かしい感じのメロディにサウンドは 独特の味わいがあり、中々興味深いアルバムに仕上がっている。 全体的にアップ・テンポで、DEEP PURPLEを プログレッシヴ・ロック的に仕上げた様な感じの作品だ。[85] TEN / TEN マンチェスター出身のボーカリスト、GARY HUGHESを中心とする イギリスのヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。音楽的には ミドル・テンポ中心のブルージィなハード・ロックで、叙情的かつ ポップ・センス溢れる楽曲が揃っている。落ち着いた雰囲気ながら エモーショナルかつソウルフルで盛り上がりがあり、 GARY HUGHESのボーカルが良く映えている。楽曲、 プロダクションとも完成度は非常に高く、哀愁のあるメロディを じっくりと聴かせてくれるアルバムに仕上がっている。 GARY HUGHESのメロディ・センスの良さが出た作品で、叙情派 メロディアス・ハードが好きならばお奨めだ。[90] VERTEX / VERTEX L.A.メタル・バンド、RATTの元ボーカリスト、 STEPHEN PEARCYによるプロジェクト・バンドのアルバム。RATT、 ARCADEと、セールス的にはじり貧状態と言う感じだったが、 それぞれ決して悪い出来ではなかっただけに、 忸怩たるところがあっただろう。この作品では、今までとはかなり 方向性が違っていて、ヘヴィ・メタルというよりは インダストリアル・ロックと言った感じの作品に仕上がっている。 サンプリングと人工的な音処理は、これまでのファンに拒否反応を 産むかも知れないが、割と彼のボーカルが良くあっている。 プログラミング、プロデュース、ドラムを日本人の HIRO KURETANI、ギターはAL PITRELLIが参加している。[84] FAITHLESS / APOCALYPSE スイスのスラッシュ・メタル・バンドの7年振りとなる 2ndアルバム。ボーカリストのNICKの声質もあって、TESTAMENTを 思わせるアルバムで、割と凝ったギター・メロディの力強い サウンドを聴かせてくれている。スラッシュ・メタル・シーンが 殆ど壊滅状態の中では、久々にスラッシュ・メタルのパワーと 破壊力を感じさせてくれる作品だ。やや複雑でトリッキーな 感じはするものの、出来としては非常に素晴らしい。かなり テンポが速く、一気に駆け抜ける感じで聴かせてくれるし、楽曲、 演奏とも中々質の高いアルバムに仕上がっている。[89] SPARK TO A FLAME / BURN イギリスのハード・ロック・バンドの2ndアルバム。非常に優れた ポップ・センスを発揮したハード・ロック・アルバムだった前作と 比べると、今作ではBON JOVI的な色合いが感じられ、JEFF OGDENの ボーカル・スタイルもそう言った感じのスタイルへと 変わっている。ワイルドでアメリカ的な雰囲気を醸し出す 様になったが、むしろ全体的に若干チープになった感じがあり、 GUNSHY等と比べても安っぽい感じのするアルバムになっている。 これが吉と出るか凶と出るか判らないが、出来としては 悪くないものの疑問も残る作品だ。[83] PROMISE MAN / HOLY SOLDIER アメリカのクリスチャン・メタル・バンドの3rdアルバム。 前作では臭いながらも叙情的な泣きの美しいメロディが印象的な 作品だったが、この作品では最近の市場に悪影響を受けたのか、 ALICE IN CHAINS風のオルタナティヴ・ロック的なサウンドに 大きく方向転換しており、気だるいどんよりとした サウンドになっている。叙情的なメロディアス・ハードだった 前作のLAST TRAINを期待すると大きく外すだろう。メンバーも ベースとギターの二人を除いて変わったようだし、音楽性の変化は バンドに大きな影を落としたのだろう。メンバー・ショットは かなりむさくなっていて、何処をとっても昔の面影はなく、もはや 別のバンドと考えた方が良いだろう。[73] HOTWIRE / HOTWIRE ドイツのヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。元BON FIREの CLAUS LESSMANN、HANS ZILLERのコンビによるプロデュース 作品だ。ボーカルのWERNER STADIはDAVY VAINのような淡泊で 醒めた声質で、独特の味わいがある。彼がメインの ソング・ライターで、Crying In The Night等、その紡ぎ出す メロディ・センスは中々のものだ。しかし全体的な出来は こじんまりとした感じがあり、彼の声を生かすまでには 至っていないのは何とも残念だ。このCrying In The Nightを 始め、何曲かは秀逸な愁いを帯びたメロディのハード・ポップと 言える楽曲で、次を期待させてくれるものはある。[81] RAISED BY WOLVES / JAMES YOUNG GROUP アメリカのハード・ロック・バンド、STYXの元ギタリストによる バンドのデビュー盤。STYXの中ではもっともヘヴィな部分を 司っていたギタリストだけに、STYXよりも随分ハードな作品に 仕上がっている。ENUFF'Z NUFFのCHIP ZNUFFとDONNIE VIEの コンビもソング・ライティングで参加しているが、STYXの様な メロディ中心の方向性ではなく、むしろワイルドな ハード・ロックと言う感じの作品に仕上がっている。バランス 的には中庸でちょうど良いという感じだが、楽曲によっては 面白味に欠けるきらいもある。[82] THE HIGHER YOU CLIMB / MAX BACON BRONZ、GTR、PHENOMENA II等で活躍したイギリス人ボーカリストの ソロ・アルバム。方向的にはかなりポップな作風で、 楽曲によってはハード・ロックと言い難いものもある。しかし、 The Higher You Climb等は、THUDER SEVENの頃のTRIUMPHを 思わせるところがあり、叙情的なメロディアス・ハード作品に 仕上がっている。元THIN LIZZYのSCOTT GORHAMやSTEVE HOW、 ASIAのGEOFF DOWNES等がバックを務めており、中々完成度の高い 作品だ。全体的にはしっとりとしたシンフォニック風のロックと 言う感じで、当人のボーカルは素晴らしい。[81] THE PRAYER / STEP CHILD アメリカのヘヴィ・メタル・バンドのアルバム。ギターに元OMENの KENNY POWELLが加入しているが、OMENのあのIRON MAIDEN型 パワー・メタルは微塵も感じさせないアルバムだ。ダーティで ワイルドなハード・ロックンロールながら、重いリフがザクザクと 刻まれて疾走感があり、OMEN等よりも遥かにアメリカ的な作品に 仕上がっている。どことなく妙なダークさがあり、THE DOORSの カバー、Break On The Throughも割と良くはまっている。勢いと のりがあって、パンキッシュでどことなくSKID ROWっぽい部分も 感じられる作品になっている。[82] EYE OF THE STORM / THE STORM アメリカのハード・ロック・バンド、JOURNEYの元メンバー、 GREGG ROLIE等によるバンドの2ndアルバム。路線はJOURNEYと 比べると、より産業ロック的な色合いが強いが、そこはかとなく JOURNEYらしいアメリカン・ロック・フィーリングが感じられる。 1980年代のヒット曲を今聴いている様な、やや懐かしさを 感じさせる様なメロディの楽曲で、全体的な完成度、楽曲の出来は 非常に高品質だ。ヘヴィ・メタル系のリスナーにはロック然とし 過ぎているかも知れないが、思ったよりハードで良く出来た アルバムに仕上がっている。優しいメロディは心地良く、落ち 着いた気分にさせてくれる。[84] VANESSA / VANESSA スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。とにかく 楽曲の出来は素晴らしく、叙情的なヘヴィ・メタルが好きであれば 外すことはまずないと言って良いだろう。叙情的でキャッチーだが ポップ過ぎず適度にヘヴィで、この辺のバランスは文句ない。 残念なのはボーカルの処理が少し過ぎる部分もあり、引っ込んだ 感じがあることで、この辺が改善されれば傑作と言って差し 支えないアルバムになっただろう。ダークな部分もあるが、逆に ヘヴィさを演出していて良い結果になっていると思える。叙情的で 愁いに満ちたメロディは素晴らしい出来で、The Unholyを始め、 実に美しく扇情的な楽曲が並んでいる。[94] SLANG / DEF LEPPARD イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの6thアルバム。しきりに 変化があることは予告されていたので心がまえは出来ていたが、 確かに明確な変化があるアルバムになっている。前作はバンドの メロディ・メイカーと言えるSTEVE CLARKが亡くなって、半分は その遺産とも言える楽曲で作られた感もあり、全て現在の メンバーで作られた今作に変化があるのはある種当然と言える。 ノリを押さえたサイケデリックな感覚を持った作品であるが故に、 地味に感じられるのは致し方ないだろうし、作りすぎとも言える HYSTERIAから比べると自然だとも言える。緊迫感はないものの メロディ的にはそれほど大きく変わっていないが、シングル 向きかと言うとそれは疑問だと言わざるを得ない。限定盤として シンガポールでのアコースティック・ライヴがカップリングされた 2枚組になっている。[81] THE FORGOTTEN TALES / BLIND GUARDIAN ドイツのパワー・メタル・バンドの企画盤。普段 バンドではやらない、また違った面を見ることが出来る作品だ。 ロックンロールのカバー曲を何曲かやっているが、はっきり言って 選曲ミスと言える程バンドのカラーと合っていないように思える。 他のカバーでもThe Wizard等はあまり面白くないし、むしろ MIKE OLDFIELDのTo Franceなんかの方が良い味が出てると言って 良いだろう。これまで発表した自身の曲をアレンジを変えて 再レコーディングもしているが、こちらは オーケストラ・バージョンとかアコースティックな部分といった ドラマティックな雰囲気を損なっていないものは結構良い感じだ。 既発表のものも結構あるし、どちらかと言うと コレクターズ・アイテムの範疇と言えるアルバムだろう。[80] VILE / CANNIBAL CORPSE アメリカのデス・メタル・バンドの5thアルバム。方向的には、 所謂グラインド・コア系のブルータルなデス・メタルで、この手の サウンドに免疫がないと到底聴けないだろうと思える程強烈な 作品だ。デス・メタル界最強のボーカリスト、CHRIS BURNESは 前作を最後に脱退し、MONSTROSITYのGEORGE FISHERが 加入しており、CHRIS BURNESに比べると内にこもった感じで、 破壊力に欠けるもののそれ程悪くはない。まさに怒涛と言える様な 彼等らしい速くてブルータルな作品で、これぞデス・メタルと言う 怒気が撒き散らされている。[78] ALIVE '95 / GAMMA RAY 来日したばかりのドイツのヘヴィ・メタル・バンドの ライヴ・アルバム。昨年のヨーロッパ・ツアーから、5ヶ所での ライヴの模様を収録したもので、半分の楽曲が最新 アルバムからだが、良い作品であっただけに、むしろ興味深い アルバムだと言って良いだろう。臨揚感も良く出ているし、 フルセットのアルバムでないのが勿体ない位の出来だ。演奏自体も 良いし、ライヴ・アルバムとしての出来は非常に良いと言って 良いだろう。ただし、どうしても気になるのはKAI HANSENの ボーカルで、オーバー・ダヴしていないにしてもラフ過ぎる。[87] LAW IN THE RAW / MARSHALL LAW イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの復活第一弾となるライヴ盤。 実際は解散前の録音されたテイクで、デビュー盤から5曲、2ndから 7曲、カバー1曲という構成になっている。ドラムのLEE MORRISは、 この後PARADISE LOSTに加入して来日している。こうして聴くと、 やはりデビュー盤の方がメロディ中心、2ndはよりヘヴィという 感じの楽曲であったことが良く判る。カバーはJUDAS PRIESTの Electric EyesでROB HALFORDと比べるのはさすがに辛いが 思ったよりはあっている。プロダクションもまずまずで、 デビュー盤の頃よりは、ヘヴィでダークなスタイルが強くなってる 様に感じるライヴだ。[80] RUDE AWAKENING / PRONG アメリカのハード・コア・パンク・バンドのアルバム。 これまでよりもかなりヘヴィな音作りがなされており、 サンプリングを多用してインダストリアル・ロック的な エッセンスも加えられている。ザクザクと刻まれる ギター・リフは攻撃的で、スラッシュ・メタルが壊滅状態の中で、 これだけ破壊力のあるスタイルを作り上げているのは賞賛に 値する。人工的だがそれが殆ど気になる事はなく、快作と言える 作品に仕上がっていると言って良いだろう。サンプリングだとか ハード・コアということで身構えてしまう人も多いかも 知れないが、意外とメロディが押し出されていて侮れない アルバムだ。[89] DOWN ON THE UPSIDE / SOUNDGARDEN アメリカのハード・ロック・バンドの5thアルバム。いわゆる シアトル系と言われるバンドの中では、最もヘヴィ・メタルよりの バンドの一つだが、BLACK SABBATH的なエッセンスを持った BADMOTORFINGERから比べると、徐々にそういう範疇に 収まらなくなってきた様に感じられる。グルーヴィーでうねった サウンドでヘヴィな部分を持つところは変わっていないのだが、 よりサイケデリックな要素が強くなり独自の世界を 作りあげていると言って良いだろう。その分、ヘヴィ・メタル側の リスナーには、少し辛い作品だと言えるかも知れない。[83] STRESS FEST / STEVE MORSE BAND 元KANSAS、現DEEP PURPLEのアメリカ人ギタリストによる プロジェクト・バンドによるアルバム。所謂 ギター・インストルーメンタルと言えるもので、DEEP PURPLEでは あまり見せれない速弾きテクニカルなギター・プレイを中心に 聴かせてくれている。DEEP PURPLEに加入したためか、 SPEED KINGをカバーしているが、あまり面白いとは到底言えない。 全体的にもDEEP PURPLEを思い起こさせるものはないので、それを 期待すると外すだろう。フュージョン風のギター・アルバムで、 出来自体は悪くないが、あまり一般受けはしないと思う。[79] TINY MUSIC... / STONE TEMPLE PILOTS アメリカのグランジ・バンドの3rdアルバム。確かにグランジ風と 感じるところははしばしにあるのだが、これまでの作品と 比べると、そういう範疇に収まりきらない、ポップス作品と 言っても良い様なアルバムに仕上がっている。MEGADETHと一緒に ツアーをしたりした様だが、そういうヘヴィ・メタル的な部分は 一切ないので期待しない方が良いだろう。奇麗なメロディながら けだるさをたたえた雰囲気には独特のものがあり、そう言った 面では彼等らしいと言えるのかも知れないが、CORE等と比べると、 アルバム的な面白さは今一つだ。[83] HEART OF THE AGES / IN THE WOODS... 詳細は良く判らないがイギリスかノルウェイの メロディック・ブラック/ゴシック・メタル・バンドの様だ。 楽曲はメロディック・ブラック・メタルとゴシック・メタルの パートではっきりと分かれているので、その落差に少々違和感を 覚える。とはいうもののブラック・メタル系の曲は ヘヴィではあるがピアノを挿入するなどかなりメロディックであり 容認出来るレベルだ。ボーカル・スタイルはそれらにおいて完全に 使い分けており、それぞれ取り出して別のバンドだと言っても 通じるだろう。ゴシックの曲に関してもかなり叙情的な方向で 重さより陰鬱な美しさを感じさせる。女性のコーラスが 実に効果的でPrologueなどは実に素晴らしい。[84] SWANSONG / CARCASS メロディック・デス・メタルの代表格とも言えるイギリスの デス・メタル・バンドの5thアルバムにしてラスト・アルバム。 メジャーと契約したにも関わらず、その契約によって自らの終演を 迎える事になったのはなんとも皮肉な話だが、そんな状況とは 関係無く素晴らしい内容である。前作辺りから、かなり メロディックな方向へと向かっていたが、今作ではその傾向が 顕著で、デス・メタル的な色彩は殆どない。バックのサウンドは 正にパワー・メタルであり、そのアルバムタイトルにたがわぬ、 最後の叫びである。[86] BEAT THE BASTARDS / THE EXPLOITED イギリスのベテラン・ハード・コア・パンク・バンドの12th アルバム。この手のものとしてはかなりスラッシーな部類に入る 楽曲で構成されており、そのスピーディで激しいリフは スラッシュ・メタル系のファンにも十分聴きごたえのある 内容になっているはずだ。その演奏はかなり荒々しいのだが、 むしろそれによって下手なスラッシュ・メタル・バンドより迫力が 出ている位だ。楽曲的にはあきらかにパンキッシュな 作品ではあるのだが、その攻撃的なのりは非常に心を沸き 立たせてくれるものがある。[84] UNDISPUTED ATTITUDE / SLAYER アメリカのスラッシュ・メタル・バンドのアルバム。 スラッシュ・メタルというジャンル自体、元々 ハード・コア・パンクから受けた影響が大きいのだが、彼等は特に そういう要素が強く見え隠れしただけに、この ハード・コア・パンクのカバー・アルバムは、言わば原点 回帰とでも言う物であろう。SLAYERにはキャッチーな楽曲に 思えてしまうが、妙にはまっているのはさもありなんと 言うところだろう。G.B.H.と言うところから、メタル系でもかなり お馴染みなSUICIDAL TENDENCIESまで収められているが、 彼等がやると早くかつ威圧的である。企画盤として以外の価値が どれ位あるかは良く判らないが、出来として不可という 内容ではない。[80] BREAKTHROUGH / CROWN OF THORNS アメリカのメロディアスなハード・ロック・バンドで、これが 2ndアルバム。デビュー・アルバムは優れたポップ・センスを 凝縮させた中々の好盤だったが、メンバー・チェンジで作成が 遅れたこともあって、間に2枚の企画盤を挾んでの リリースとなった。新しいギタリストとして中心メンバーである JEAN BEAUVOIRの僚友である、元FROM THE FIREのTOMMY LAFFERTYが 加入している。両バンドともポップ・センスという点では目を 見張る物があったが、CROWN OF THORNSはむしろもっと アメリカ的な明るさを出している。FROM THE FIREはその メロディ・センスは素晴らしかったもののこじんまりと し過ぎており、盛り上がりの欠けるものであった。 TOMMY LAFFERTYの加入したこのアルバムもその影響があるのか 判らないが随分と落ち着いてしまった感じがあり、重厚ながら 勢いのあるのりを聴かせていた1stアルバムと比べると勢いが 感じられない。[76] THE GREAT SOUTHERN TRENDKILL / PANTERA アメリカのモダン・ヘヴィネス・バンドの8thアルバム。 モダン・ヘヴィネスと言うジャンルの創始者とも言える、彼等の スタイルももう確固たる域まで来ているが、もう既に真新しさは 余り感じられない。PHILIP ANSELMOの叫びまくる ボーカル・スタイルにも食傷気味だ。土臭いブルーズと スラッシィな楽曲の組み曲となっているSuicide Noteが唯一 目新しいところだろう。割と疾走感のあるLiving Through Me等は 聴きごたえがあるが、フォローワーを数多く産んだ現在、全体的に もう斬新さは感じない。かなりノイジィな感じであり、もっと 閉塞した方向に進んでいくのだろう。[74] LOAD / METALLICA アメリカのスラッシュ・メタル・バンドの5年振りとなる 6thアルバム。リリース前はヘヴィ・メタル的なスタンスから大分 離れた作品になると噂され心配されたが、実際こうして リリースされてみると確かにグランジ的な 雰囲気をそこかしことなく感じるが、それほど気になる様な 変化ではない。寧ろ、この変化は既にもうBLACK ALBUMで 見られるもので、それをさらに押し進めたものであり、予想の 範囲を越えるものではない。よりグランジ的な方向へと進んだ 事で、MASTER OF PUPPETSの頃のようなサウンドは 望むべくもないが、これはこれで一つの方法論としてなり 立つだろう。ただ、このペースでアルバム一枚聴かせるには、 最後には飽きてくるが。[86] FISHING FOR LUCKIES / THE WiLDHEARTS イギリスのハード・ロックンロール・バンドの企画盤。あまり良い 形容は思い付かないが、ブリット・ロック系 ハード・ロックンロール・バンドと言う事になる。レーベルとの トラブルで、一時は解散すると言われていたが、無事解決して 自らのレーベルで再出発することになった。今回ファン・クラブ 用に限定発売されたものに新曲を加えて発売になったが、その クオリティは通常のアルバムにも劣らないほどレベルは高い。 優れたポップ・センスのメロディのヘヴィなロックンロールで 非常にくせがある。[84] STORYLINE... / FORTUNE 同名異バンドが沢山いるが、アメリカのハード・ロック・バンドの 2ndアルバム。基本的には前作の延長線上で、良く出来たAOR系の 産業ロックと言った面持ちだが、今作ではそれがより 露になっている。それ故、前作と比べると落ち着いた 雰囲気があり、アダルトな感じだが、それ故に生きの良さという 物があまり感じられない。楽曲自体の出来は前作に優るとも 劣らない出来で、しっとりと歌いあげるBOB VOSEのボーカルも中々 味がある。レゲエ調のJamaicaには違和感を覚えなくもないが、 全体的に良い出来だ。[86] STANDING ALONE / WHITE WOLF カナダのメロディアス・ハード・ロック・バンドが1984年に リリースしたデビュー盤。扇情的でドラマティックなメロディは 哀愁を帯びていて非常に美しい。楽曲的にもNight Riderを始め、 中々の佳曲がそろっていて質的にも問題ないし、コーラスも ちゃんとしている。ただ全体的にはB級臭さはいがめないし、 キーボードのパートなど少々あざとらしさを感じなくもないのが 残念だ。DON WILKのボーカルが少しBIFF BYFORDっぽいので、 それが一種独特の味わいになっている。ギターの音色等、非常に オーセンティックでドラマティックなアルバムに仕上がっている。 [84] IN CONCERT / GREG LAKE KING CRIMSON、EMERSON, LAKE & PALMER、ASIAと言った層々たる プログレッシヴ・ロック・バンドを渡り歩いたイギリス人 ボーカリストのソロ・ライヴ盤。ラジオ番組、 King Biscuit Flower Hour用のマテリアルをCD化したもので、 1981年のレデンイング・フェスティバル後に行われたツアーから HAMMERSMITH ODEONでの模様を収録している。ギタリストとして GARY MOOREが参加しており、彼の名曲Parisienne Walkwayを GREG LAKEが歌い、21st Century Schizoid ManをGARY MOOREが 弾くという、今や考えられないシチュエーションで、非常に興味 深い。その他、ドラムに元M.S.G.のTED MCKENNA等が 参加している。ライヴ音源としての状態も悪くなく、貴重な 作品と言えるだろう。[86] FORTUNE FAVOURS THE BRAVE / BLACK ROSE 北欧のメロディアス・ハード・ロック・バンドが1993年に リリースした、多分唯一のアルバム。キャッチーで哀愁のある メロディは割と洗練されていて安心して聴けるし、曲の出来自体も 良い。楽曲におけるそのメロディ・センスの良さは十分評価に 値する物で、キーボードの味付けも良いし、ギター・メロディも 素晴らしい。扇情的なThe Huntedを始め素晴らしい 曲もあるのだが、残念ながらボーカルは聴けないとまでは 言わないが、不安定でお世辞にもうまいとは言えないし、録音も あまり良くなく、昔のB級掘り出し物的な錯覚に陥る。せめて ボーカルさえ改善されれば、かなり良い作品になっただろうと 思えるだけに残念だ。[83] BLASPHEMY MADE FLESH / CRYPTOPSY カナダのブルータル・デス・メタル・バンドで、恐らく デビュー盤。如何にもブルータル系デス・メタル・バンドらしく、 ブラスト・ビートはそこかしこと登場してくるが、一応バックには メロディを感じることが出来るし、ギター・ソロの部分等は はっきりとメロディを持っているので、ちまたの同類の バンドからすると随分聴き易い。とは言え、そこは グラインド・コア系なだけあって、その手のものが受け付けないと 少し厳しいだろう。変則的な部分も多少有り、 テクニカル・デス・メタルに通ずる部分もある。デス・ボイスは ろれつが回っていない唸り声のようであり、全く何を 喋っているのか判らないが、調子外れでないのが救いだ。[80] SERENADES / ANATHEMA イギリスのゴシック・メタル・バンドで1993年にリリースされた デビュー盤。この手のバンドの中ではよりドゥーム的で最も ヘヴィなバンドであるが、このアルバムではよりそれが顕著だと 言って良いだろう。ボーカルは次作以降も担当している DARREN WHITEなのだが、この作品ではデス・ボイスを使っている。 故にPENTECOST III以降程、耽美さを感じさせる事はないが、女性 コーラスとアコースティック・ギターのみの J'ai Fait Une Promesse等、所々ゴシック・メタルの雰囲気が 香ってくる部分もある。ボーナス・トラックはPENTECOST IIIの 頃に録音れたものだが、ボーナス・トラック以上としての 価値はない。[72] MORE GAINS OF SAND / CLEPSYDRA スイスのシンフォニック・ロック・バンドで、1996年に リリースされた2ndアルバム。この手のバンドの多くは、割と さらりと流しているバンドが多くて物足りなさを感じるのだが、 この作品は割とハードだし、楽曲も派手なので聴きごたえがある アルバムに仕上がっている。ALUISIO MAGGINIのボーカルは あくまでも他のシンフォニック・ロック・バンドと大差無く、 落ち着いたしんみりとしたものだ。キーボードが前面に 押し出されているし、ギターの泣きも心をくすぐるものがあり、 叙情的でメタル系の人にも割と受け入れ易いサウンドだろう。[85] BRING IT ON / POWER SYNDROME ドイツのパワー・メタル・バンドの1994年に制作された 自費出版によるデビュー盤。方向的には正統派と言える様な 感じで、いわゆるジャーマン・パワー・メタルとは違い、大仰な メロディやツー・バスを派手に入れたりはしていない。キーボード 奏者を含めた5人組で、楽曲はメロディアスで部分部分的には気を 引くものがあるが、一曲でとると展開に少し無理があったりと 面白味に欠ける。録音は非常に生々しいと言えば聞こえは良いが、 多分ほぼ一発禄りと思える様なラフなもので、所々バランスの 悪さが気になるし、改善の余地が多分にある。[72] IMPELLITTERI / IMPELLITTERI アメリカ人ギタリスト、CHRIS IMPELLITTERIが率いるバンドの 1987年にリリースしたデビュー・ミニ・アルバム。 マスター・テープが行方不明という話だったが、こうして無事 リリースされた。録音状態は決して良くないが、よりパワフルで アグレッシヴなCHRIS IMPELLITTERIのギター・プレイは見事だ。 後のモダン・ヘヴィ的なエッセンスはここでは全くなく、より ヘヴィ・メタル然としていて、クラシカルで聴きごたえがある。 特にLost In The Rainは素晴らしい出来で、佳曲と言っても良い 楽曲だ。1stフルではGRAHAM BONETTがボーカルを取っていたが、 ここではBOB ROCKが歌っており、パワフルな歌唱を 聴かせてくれている。[84] THE CRESTFALLEN EP + PENTECOST III / ANATHEMA イギリスのゴシック・メタル・バンドの1992年にリリースされた THE CRESTFALLEN EPと1995年にリリースされたPENTECOST IIIの 2枚のEPをカップリングしたもの。THE CRESTFALLEN EPは1st フル・アルバムSERENADES以前に発表された物で、PENTECOST IIIは SERENADESの後に発表された物である。PENTECOST IIIなどは40分を 越える作品でアルバムと言っても良いボリュームがある。先に 発表されたTHE CRESTFALLEN EPは基本的にSERENADESと同じ 路線であり、DARRENはデス・ボイスを使い、楽曲的にも ゴシック的な耽美さを醸し出す部分はそれ程多くない。 それに対し、PENTECOST IIIでは明らかな方向転換を見せており、 DARRENのボーカルもデス・ボイスから呪術的な詠唱に 変わっている。楽曲的にもよりドゥーミィでメランコリックな ものであり、ここにANATHEMAの現在のスタイルが確立されたことが 感じられる。ゴシック・メタルの作品としてもPENTECOST IIIは 非常に出来が良い必聴作品だ。[85] PORTRAIT / PORTRAIT GORDON W.CHAPMANのソロ・プロジェクトで彼がボーカル、ギター、 ベースを全て担当しており、ドラマーのJOHN GARRET GORMANのみが ヘルプすると言う形になっている。どうも自費出版のようだが、 出来としてはそのような事は感じさせない素晴らしい完成度だ。 1990年の作品だがその後の活動状況は良く判らないので、 残念ながら今はもう活動していないのかもしれない。楽曲は メロディアスな正統派ヘヴィ・メタルであり、名曲とも言える Dreams Come Trueを始め粒がそろっている。ギター・プレイは ネオ・クラシカル風だがそれほど突出しすぎていないし、 ボーカルも伸びやかではりがあって悪くない。アメリカの アーティストだが内容は全体的に欧州風で、まとまった素晴らしい 作品だ。[89] IN MEMORY OF...CELTIC FROST / V.A. スイスのスラッシュ・メタル・バンド、CELTIC FROSTの デス/ブラック・メタル・バンドによるトリビュート・アルバム。 演奏的には割とそのままなので、後はデス・ボイスや ブラック・メタルの金切り声でやっているのが面白く思えるか どうかという判断基準になるだろう。こう言う楽曲をデス系の ファンが面白いと思うかどうかは謎だし、その逆も同じなので、 このアルバムを面白いと思えるのはCELOTIC FROSTのファンでかつ デス・メタルが好きな人だけなのではないかと思えてしまう。 トッピック的には元CELTIC FROSTのTHOMAS GABRIEL WARRIOR率いる APOLLYON'S SUNが参加していることで、これは当然デスでないのは ともかくとして、女性ソプラノを入れるなど、往年の CELTIC FROSTをここでも見せているのだが、曲自体はさほど 面白いものではない。参加バンドはそれほど名が通ったバンドは 多くなく、割と知られているのはOPETHやEMPERROR位だが、 さほど取り立てる物でもない。[73] THE CRAVIN G / MD.45 MEGADETHのDAVE MUSTAINEとハード・コア・パンク・バンドFEARの ボーカリストLEE VINGによるプロジェクト・バンドのアルバム。 サウンド的にはまさしくこの状況が当てはまり、メタル色の強い ハード・コア・パンクと言ったところだ。元々スラッシュからは 掛け離れていない領域だけに、それほど違和感を持つこと無く 聴ける。問題はボーカルのLEE VINGの声質でこれに慣れるまで少々 時間がかかるかも知れない。楽曲的には全曲素晴らしいとは 思えず、MEGADETHに比べると全体的に音が軽く、一本調子で 最後には飽きが来るし、もう少し変化が欲しいところだ。[78] ROTATOR / DIZZY MIZZ LIZZY デンマークのハード・ロック・バンドの2ndアルバム。基本的には 前作と同じ路線で、THE BEATLESの影響の見える サウンドなのだが、ENUFF Z'NUFFと大きく違うのはグランジ等の より今風の影響が見えるヘヴィさだろう。11:07等を初めとする、 気だるく甘ったるいメロディは、くどい気もするが哀愁味があり、 これはこれで味がある。センス的には良いものを感じるし、前作の ファンには期待を裏切る事はないであろうが、前作よりも哀愁味が 減退した分だけ、ファンでない人には最後まで聴くには少々 辛いのではないだろうかと思える。[81] SCREAMING SYMPHONY / IMPELLITTERI アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの4thアルバム。基本的には 前作ANSWER TO THE MASTERと全く同じ路線と言えるもので、 様式美的なヘヴィ・メタルにどことなくモダンな感じのする アルバムに仕上がっている。ROB ROCKとのコンビも変わらずで、 ROBの叙情感溢れるボーカルは素晴らしいし、 CHRIS IMPELLITTERIのギター・プレイは言わずもがなだ。しかし、 楽曲に関しては悪くはないと思うが変化に乏しく、一本調子の 感はいがめない。前作からそうだったのだから尚更その感は 強いが、アルバム一枚を聴かせる位の出来ではあるし、これ単体で 取ればそれなりに楽しめる。[82] ENDANGERED SPECIES / WHITE WOLF 現PROJECT XのDON WILK率いるカナダの メロディアス・ヘヴィ・メタル・バンドの1986年にリリースされた 2ndアルバム。クオリティとしては、1曲1曲と言う単位では前作に 譲るものの、叙情的なメロディは更に磨きがかかり、全体的な 仕上がりは更に良くなっている。カナダのバンドではあるが、 全体的に欧州的な叙情感をたたえており、愁いを帯びたメロディは 中々味わい深い。Crin To The Windを初め心に染みいるサウンドは 素晴らしいし、適度にキャッチーで、適度にフックがあって、 彼等のメロディ・センスの良さを窺わせてくれるアルバムに 仕上がっている。[86] EXCESS ALL AREAS / SHY イギリスのバンドの1987年にリリースした3rdアルバム。 N.W.O.B.H.M.末期に登場したがそれらのバンドとは一線を画し、 キャッチーでコマーシャルな楽曲はイギリスらしい叙情感を所々 覗かせながらも、アメリカ向きのバンドだった。この作品は バンドにとっても最も勢いに乗っていた頃で、 ソング・ライティングにもそうそうたるメンツが揃っている。 パーティ・ロック風のBreak Down The WallはDON DOKKENだし、 名曲とも言えるEmergencyは今やアダルトなロック・シンガーに 転進して大成功を収めたMICHAEL BOLTONが書いている。 キーボードの味付けが程よいポップな楽曲は粒が揃っていて 中々の名作である。ボーナス・トラックはいずれも 12インチ・シングルに収められていたものだが、アルバムに 入っていてもおかしくないクオリティを持っている。[90] IRRATIONAL ANTHEMS / SKYCLAD イギリスのバンドの6作目。中心メンバーはスラッシュ・バンド SABBATの元ボーカリストMARTIN WALKYIER、N.W.O.B.H.M.のSATANの メンバーだったGRAEME ENGLISHとSTEVE RAMSEYであるが、 サウンドはそういった経歴からはうって変わってバイオリンを 持ち込んだユニークなものである。アイリッシュな叙情感を たたえた全体的な方向性は大きく変わるはずもなく、 相変わらずだ。MARTINのボーカルは相変わらずで、決して うまいとは言えないものだし、バンドの色に合わないような 気もするが、聴きなれてしまえば聴けなくもない。バイオリンは やや大仰だが、無ければ余計に印象に残らないだろう。矢継ぎ早に リリースしているせいか、楽曲によっては練りが足りないような 気がする。[78] WIRE TO WIRE / MITCH PERRY STEELER、TALAS、WAYSTED、MSG等を渡り歩いたアメリカ人 ギタリストのソロ・アルバム。方向的には、いわゆる ギター・インストゥルーメンタルと言うやつで、曲名の中に GARY MOORE、JEFF BECK、PAT THRALLといった名前を織り 込んだりしていて、彼が音楽的に受けた影響が見えて来る。 テクニックはもちろんだが、寧ろエモーショナルで情感溢れる、 表現力豊かなギター・プレイの方が注目されるだろう。 Mediterranean Mosaic等、派手さはない曲でも美しいメロディは 十分堪能出来る作品となっている。[81] THE OTHER SIDE / GHOST イギリスのハード・ポップ・バンドのデビュー盤。LONG ISLAND、 LIGAR RECORDSらと並ぶメロディアス・ハード系のレーベル、 NOW & THEN所属と言う事にたがわぬ内容である。ポップ・センス 溢れる楽曲は中々粒が揃っているが、ブリティッシュ的な感覚は あまりなく、Open Arms風のSend Me Somebody等、どちらかと 言うとアメリカン・ハード・ポップ風だ。楽曲によっては ブルージィな要素を見せているものもあり、それらはアメリカ的な 臭いがさらに強くする。ボーカルは線が細いが内容的にパワーを 要するようなものではないし、バンドの色に外れている訳では 無いので違和感はない。メタル系の人には柔らかすぎる 気もするが、出来自体は悪くない。[80] TOTENTANZ / LUNATIC INVASION ドイツのメロディック・デス・メタル・バンドのデビュー盤。 メロディック・デス・メタルとは言っても、随所に ブルータリティな色合いが見え、非常に攻撃的な作品だ。とは 言うものの、バックはかなりはっきりとメロディを打ち 出しており、パワー・メタル的でその盛り上げ方は悪くない。 ドラムが刻むブラスト・ビートは酷く機械的かつ早く、とても 人間業とは思えない位で、このブラスト・ビートが少し嫌悪感を 催すかも知れない。キーボード部は中々ユニークで、その跳ねた メロディが効果的に彩りを添えている。デス・ボイスは咆哮型で 特に論評するに値しないが、女性のノーマル・ボーカルを 入れたりとアイデア的にも悪くない。[82] DAWN / DANGER DANGER アメリカのハード・ロック・バンドの約5年振りとなる 3rdアルバム。契約問題等で活動停止し、その間ボーカルの TED POLEYが脱退、自らのバンドBONE MACHINEを結成するなど、 その存在が心配されたが、こうして無事アルバムを発表した。 BRUNO RAVELとSTEVE WESTのバンドとは言え、TED POLEYと ANDI TIMMONSと言うメロディを担う2人が居ないわけで、その 音楽性に変化があったとしても不思議はないだろう。新しい ボーカリストとして、最近2ndアルバムをリリースしたカナダ人の PAUL LAINEが加入している。彼が6年前に発表している ソロ・アルバムではBON JOVI的な系統であったので、方向的には 大きな変更がないのではないかと期待したが、実際にはかなり ヘヴィでダークな方向へと転換している。時代的にはこういう 方向へと進むバンドが散見される訳だが、その良質の ポップ・センス溢れる、デビュー当時のファンからすると 肩透かしを食らうことになるだろう。[73] MASTER OF DISGUISE/THE DOMINATRESS / SAVAGE GRACE L.A.メタルではWARLORD等と共にN.W.O.B.H.M.色が強いサウンドを 押し出していたヘヴィ・メタル・バンドで、これは1983年に リリースされたデビュー・ミニ・アルバムと、1985年に リリースされた1stフル・アルバムのカップリングCDだ。 MASTER OF DISGUISEに関しては、パワー・メタル的でFear My Way 等はIRON MAIDENを思い起こさせる部分もある。音質は最悪で、 楽曲は如何にもというような臭いものが取り揃っているので、 マニア受けしそうな内容だと言えるだろう。デビュー・ミニの THE DOMINATRESSの方は楽曲的にも劣るし、ボーカルもちょっとと 言う感じで殆ど聴く価値はない。[78] GUEST LIST / MARC FERRARI & FRIENDS KEEL、COLD SWEATを渡り歩いた、現MEDICINE WHEELのアメリカ人 ギタリストによる初のソロ・アルバム。ギタリストのアルバムと 言っても、いわゆるギター・アルバムというやつではなくて、 良質のメロディを持った歌もののハード・ロック・アルバムだ。 アルバム・タイトルが示す通り、MARC FERRARIの人脈からL.A.を 中心に沢山のアーティストがゲスト参加している。ギターもMARC ひとりではなく、元COLD SWEATのERIC GAMANS、SHAKE THE FAITHの TOMMY THAYERらがプレイしている。ボーカルはROBIN McAULEY、 STEVE PLUNKETT他、凄いというメンツではないが多彩な ゲスト陣だ。エッヂが効いていて、エネルギッシュだが、 メロディは非常に洗練されていて非常に良い作品に 仕上がっている。[89] DISTANT CRY / DISTANT CRY カナダのハード・ロック・バンドのデビュー盤。ハード・ポップの アルバムを多くリリースする事で有名な、 LONG ISLAND RECORDSからのリリースだが、取りたててポップ 過ぎるという訳ではない。むしろBAD COMPANY的な要素が強く、 さらにハードにした感じだ。ブリティッシュ的なエッセンスに 溢れていて、枯れた風情があるので、曲によってはTHUNDERを思い 起こさせる部分も若干ある。ただし、これらよりはよりハードで、 DEEP PURPLEに影響を受けたという事もあってか、キーボードは 時によって、非常にJOHN LORDっぽいプレイをする。 レコーディング中にボーカルが交代しており、このアルバムでは 二人のボーカルが歌っているようだが、タイプ的にはあまり 変わらないので違和感はそれ程ない。[84] LES TENEBRES DU DEHORS / ELEND 詳細は良く判らないが恐らくオーストラリア辺りの ブラック/ゴシック・・メタル・バンド。バンド構成は、ソプラノ 2人とバイオリン兼キーボードが二人という感じで、ギターのない シンフォニック・ブラック・メタル風の作品だ。ソプラノは バック・コーラス的で、キーボードのうち一人がやる ブラック・メタル特有のスクリーミングがどちらかといえば 中心だ。ゴシック・メタル的な耽美感よりもむしろ扇情感を煽る サウンドではあるが、アンビエント系の作品が好きでないと、 アルバム一枚を通して聴くのはやはり辛い。際物的なものだが、 MORTISなどよりは起伏がありまだ聴けるだろう。[62] TWILIGHT CRUISET / KINGDOM COME ドイツのハード・ロック・バンドの5thアルバム。今や中心 人物であるボーカリスト、LENNY WOLFのソロ・プロジェクト的な 様相が色濃くなっている。1stアルバムがLED ZEPPELIN的という 事で非常に話題を呼んでヒットしたものの、以降そのことが マイナス・イメージとしてバンドに付きまとう事になったが、 LENNY WOLFの魅力はむしろ違うところにある。ROBERT PLANT的と 言われる彼の声だが、シニカルでクールなボーカルは非常に 扇情的で、特にポップながらどことなくもの哀しい、ニヒルな ハード・チューンには良く合っていて、心を打つものがある。 楽曲の出来も中々のもので、メロディアスな良いアルバムに 仕上がっている。[85] RESURECTION / RED BARON 元LADYのCHRISTIAN REINHARDTを中心としたドイツの ヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。おどろおどろしたSEで 始まるが、楽曲自体はそれほどでもなく、1970年代の ブリティッシュ・ハード・ロック風であり、ハモンド・オルガンを 大幅に導入しているところを始め、音作りは如何にもという 感じだ。JUDAS PRIEST風のJesus Save $や、MOUNTAINの For Yasgur's Farm、URIAH HEEPのGypsyといったカバーも そういった感を強くしている。故に、今のバンドと考えると どうしても色物的な感じがするが、出来自体はまずまずだ。[77] BANG THE DRUM / FIGHTER アメリカのハード・ロック・バンドで1992年にリリースされた 2ndアルバム。ボーカルは男女のツイン・ボーカルだが コーラスではなくて、それぞれが曲によってリード・ボーカルを 取るという形態だ。AMY WOLTERは通った伸びやかな声に対して SEAN MURPHYはワイルドでややJON BON JOVIに似通っている。故に Where Can Liove Me FoundなどはBON JOVIがやっても おかしくないような楽曲だが、全体的にはAORっぽい軽目の明るい ハード・ロックという感じで良く出来てはいる。洗練された ハード・ロックと言う感じで悪くないが、その一方で逆に 飛抜けたものも感じられない。[80] PURE INSTINCT / SCORPIONS MATTHIAS JABS加入後ヒット・アルバムを飛ばし続けた彼等だが、 LOVE AT THE FIRST STINGまでと比べると、それ以降はどちらかと 言うとソフトな方向へ向かっていたし、彼等らしい哀愁というか 扇情感はあまり感じられなかった。取り分け大ヒットした CRAZY WORLDがそうで、あまり曲自体も面白いとは 思えなかったので、興味は引きかけていたが、この作品では 彼等らしい哀愁を十分味わえる作品になっている。バラードを 除けばそれほどソフトに感じないし、そういう意味では BLACK OUTやLOVE AT THE FIRST STINGに近い出来だと言えるが、 一方ではバラードが占める割合が大きいのは残念だ。バラードの 出来自体は悪いとは思わないが、これだけ多いと少々食傷 気味になる。とは言えメロディ・センスの良さはさすがと 思えるものがあるし、楽曲の出来がなによりも良い。[88] REMORSE CODE / HERITAGE イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1982年にリリースされた 唯一のアルバム。N.W.O.B.H.M.幻の傑作アルバムの再発で、 N.W.O.B.H.M.で幻のという位だから当然録音状態は最低だし、 全体的にプロダクションはチープだ。しかし、その楽曲の出来は 素晴らしく、それ故に幻と言えるだけの作品だと言って 良いだろう。Change Your Mood等はTHIN LIZZYを思い 起こさせるが、全体的にはむしろ臭い哀愁の泣きのメロディの ロックンロールが主流だ。ボーカルはダミ声で、この手の方向には ちょっと合わないような気もするが、悪くはない。LEGEND、 TRESPASSといったところのN.W.O.B.H.M.ファンには 訴えるものがあるが、B級と言った感じは紛々とするので、 万人受けするかどうかは難しいところだ。[92] TREDEGAR / TREDEGAR イギリスのハード・ロック・バンドの未発表音源集。BUDGIEの メンバーによるバンドで、詳細は良く判らないが、メンバー的に 一貫して在籍しているのはドラマーのRAY PHILLIPSだけだ。 音源的には1978年から1991年迄の、非常に長い期間に録音された 音源の寄せ集めのようだが、その間どういった活動をしてきたかも 良く判らない。オーストラリアでファン・クラブ用に 作られたものらしく、アナログ・シングル用のパックにCDが 入れられているという風変わりなパッケージだ。1991年の最新の 音源は古めかしく作ってあるが、さして面白い曲ではないし、それ 以前のものの方が面白いが、どちらにしろマニア向け以上の 物ではないと言って良いだろう。[65] I'M A FIGHTER / RAY ROPER カナダを中心に活動しているイギリス人シンガーの ソロ・アルバム。1970年代からプロとして活動していて、活動暦は 長いのだが、やっている事にあまり古臭さは感じさない。 音楽的には洗練された軽快でポップ・センス溢れる叙情的な メロディの楽曲が並んでおり、ブルージィなものから哀愁の ハード・ポップ・チューンまで変化を入れていて多様だ。特に キーボードも印象的なUnder The Gunは名曲と言っても良い 出来だし、それに劣らぬ佳曲も数多くある。彼のボーカルも それに見合った歌唱力であり、また合った声質だ。全体的に楽曲の 出来は非常にクオリティは高く、意外とハードな作品作りも好感を 持てる。[90] CRY INSIDE / MURDOCK オーストリアのメロディアスなヘヴィ・メタル・バンドによる 1993年にリリースされたデビュー盤。全体的に良質なメロディを 有しており、楽曲自体には欧州のバンドらしい泣きの哀愁を 持っている。パワー・メタル風、ネオ・クラシカル風から泣きの バラード、アメリカン・ハード・ロック風の楽曲まで多様と言えば 聞こえは良いが、どちらかと言うと多少散漫な感じを受ける 作品となってしまっている。とは言え、一曲一曲をとれば曲自体の 出来は悪くないし、録音は若干チープでSTEVE G.MURDOCKの ボーカルは安定しないが、それを除けば問題はないだろう。泣きの メロディは中々良いので、そちらにもっと的を搾ればかなり良い 作品になったのではないだろうか。[79] SVETLO NA DRUHOM BREHU / METALINDA チェコスロバキアのハード・ロック・バンドの1992年に リリースされたデビュー盤。方向的にはメロディアスで明るい ノリのポップなハード・ロックで、楽曲はどことなく 洗練されておらず古臭さを感じるが、爽やかで気持ち良い アルバムに仕上がっている。哀愁も感じさせるが、Angieは ほとんど演歌の世界で少々あざと過ぎるきらいもある。 垢抜けておらず、如何にも東欧のバンドという感じだし、歌詞は 全曲チェコ語であり、少々違和感を感じなくもないが、センス 自体は決して悪くない。プロダクションが良くなれば随分 良くなるとは思うが、このバンドがその後どうなったか消息は 不明だ。[77] ELEGY / AMORPHIS フィンランドのメロディック・デス・メタル・バンドの 3rdアルバム。実験作的な意味合いがかなり強く、これはかなりの 問題作と言えるだろう。民族音楽的な色合いが強く、 プログレッシヴ・ロック的な手法をかなり取り入れている。特に 顕著なのはKIM RANTALAのキーボードの使い方で、それ以外でも On Rich And PoorやCares等でのクリア・ボイス部分では、 PASI KOSKINENの声質もあいまって、KINGSTON WALLといった 感じを強くさせる。そう言った部分が、このバンドが前作でみせた メロディアスな部分よりも強く主張しているので、 メロディック・デス・メタルとしては、逆に散漫な印象を 与えかねない諸刃の剣となっていると言って良いだろう。前作での ファンがこれを聴いて、受け入れられるかどうかは、かなり意見が 割れるところではないだろうか。[84] ROMANCING THE NIGHT / LITTERER アメリカのハード・ロック・バンドのアルバム。1987年に リリースされたデビュー盤と1988年にリリースのミニ・アルバムを カップリングしたものだ。メンバーの5人のうち4人の ファミリー・ネームが同じで、これをバンド名にしているが、 恐らく兄弟だろう。メロディアスなハード・ポップで、 Rock On Through The Night、Broken Hearts、Rock This City、 Ghost Town Park等の哀愁を感じさせる楽曲は、臭さも感じるが心 引くものがある。アルバム・ジャケットのセンスは悪いし、 全体的には爽やかな楽曲も含めてチープで垢抜けていないが、 メロディ・センスには見るところがあるし、B級の掘り出し物的な アルバムだ。[85] RESCUE / RESCUE ドイツのハード・ポップ・バンドの1990年にリリースされた デビュー盤。5年たってLONG ISLAND RECORDSから 再リリースされたが、まさにLONG ISLAND RECORDSが目を 付けそうな珠玉のハード・ポップ・ナンバーが並んでいる。 方向的にはキャッチーでメロディアスなハード・ポップで、 SEBASTIAN KINDERのキーボードを前面に押し出した哀愁の ナンバーから爽やかな物まで、そのメロディ・センスは 素晴らしい。アメリカの産業ロック風で派手さはないが、全体的に 楽曲は良く出来ているし、この手ものでは中々の掘り出し物だと 言えるだろう。[90] BRAVE THE STORM / SHY イギリスのハード・ポップ・バンドのメジャー第一弾となる 1985年にリリースされた2ndアルバム。N.W.O.B.H.M.末期に 登場し、キャッチーでポップな楽曲と言う、これまでの N.W.O.B.H.M.バンドとはまた違った方向性を見せている。全体的な 完成度や楽曲の出来という点ではEXCESS ALL AREASに劣るが、その 卓越したメロディ・センスはこの作品でも変わらず良く出ている。 キャッチーで愁いのあるメロディの楽曲は十分良く出来ているし、 この手のハード・ポップ・アルバムとしては申し分ない出来だ。 ボーナス・トラックで収められているライヴの Behind Closed Doorsは中々良い曲だし、アルバムに 入れなかったのはもったいない位だ。[86] AMERICA'S NEW DESIGN / XENON アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1989年にリリースされた 自費出版によるデビュー盤で、LONG ISLAND RECORDSから 再リリースされたもの。そのおかげか、最近7年振りに 2ndアルバムをリリースしている。全体的にミドル・テンポ中心の、 時には湿っぽくドラマティックに盛り上げるフックの効いた アメリカン・ハード・ロックで、結構重厚な作品に 仕上がっている。楽曲はこれといった曲はないが、 DEF LEPPARDっぽさもあって、良く出来ているし、演奏も しっかりしており良い作品に仕上がっている。コーラスとして BONE MACHINEのTED POLEY、WINGERのREB BEACHも参加している。 [81] DOMAIN / ABOVE ALL イギリスのハード・コア・パンク・バンドのデビュー盤。 FUDGE TUNNELのALEX NEWPORTがプロデュースしており、 ハード・コアと言ってもサウンドはそれほど単調ではなく、かなり 変則的な作品に仕上がっている。全体的に重苦しい雰囲気であり、 スラッシュ・メタルと言っても全く違和感はない。ダークで 臨場感があり、ザクザク刻むギター・リフは威圧的で 迫力があるし、この手のものとしてはかなりメタル色の強い作品に 仕上がっている。グルーヴ感を強く打ち出しており、初期のHELMET 等にも通ずるアルバムだと言って良いだろう。[82] MATA LEAO / BIOHAZARD アメリカのハード・コア・パンクフ・バンドの4thアルバム。 方向的にはハード・コア・パンクが主流になると思うが、 ヒップ・ホップ、ラップ等の要素も取り入れたミクスチャーと 言ったところだろう。ヘヴィ・メタル的な要素もない 訳ではないが、どちらかというとミクスチャーとは 言ってもやっていることはシンプルだし、ハード・コアや ヒップ・ホップが聴けない人には辛い内容かも知れない。楽曲的に 悪い内容ではないし、中々良く出来たアルバムなので、元からの ファンには期待を裏切らない出来だとは思うが。[81] PROZAIC / HONEYCRACK イギリスのブリット・ポップ・バンドのデビュー盤。 THE WiLDHEARTSのギタリストだったCJを中心とするバンドで、 基本的な路線はTHE WiLDHEARTSのそれに近いものがある。分かり 易いキャッチーなメロディを持った、パンキッシュな ハード・ロックンロールで、THE WiLDHEARTSから比べると、もっと ソフトでキャッチーで甘い楽曲からなっている。トゲがなくて聴き 易いものの、その分THE WiLDHEARTSに対してインパクトに 欠けるが、総じて出来は悪くない。THE WiLDHEARTSよりも、ハード 色が薄く、よりブリット・ポップよりの作品に仕上がっている。 [82] ALTER NATIVE / STEVIE SALAS COLORCODE アメリカ人ギタリスト、STEVIE SALASによるロック・バンド 3rdアルバム。バンドの形態をとってはいるが、ほとんど彼の ソロ・プロジェクトと言っても良い感じで、ドラムに元PERL JAMの DAVE ABBRUZZESE、ベースには元DAN READ NETWORKの MELVIN BRANNON、キーボードには元VOW WOWの厚見玲衣が 参加している。バンド名義でやっているだけあって、いわゆる ギター・アルバムと言うのとはまた趣が違い、歌が おざなりになっていることはない。骨太で躍動感が有り キャッチーだが、ジャズ的なセンスを持ち込んだり、ムーディな 楽曲をやったりと、非常に個性的でユニークで変化に富んだ 内容となっている。[81] THREE SNAKES AND ONE CHARM / THE BLACK CROWES アメリカのブルーズ・ロック・バンドの4thアルバム。元々 ハード・ロックの範疇から外れるバンドであるので、そう言った 観点から述べるのは無理があるのだが、ただそういった要素が アルバム毎に薄れて行っているのは確かだ。泥臭い ブルーズ・ロックで演奏的には更に落ち着いたけだるい印象を 受けるが、時折見せるCHRIS ROBINSONのエネルギッシュな ボーカルの時のみが、唯一ハードさを感じさせてくれる。そう 言った事を求めなければ、演奏、楽曲とも安定してレベルが高く、 中々味わい深い良いアルバムに仕上がっている。[80] BOOK OF SHADOWS / ZAKK WYLDE アメリカ人ギタリストの初のソロ・アルバム。OZZY OSBOURNEでの アルバム作成後、Geffinとのソロ・アルバムの契約問題や、GN'R 加入の噂、OZZYとのツアーなど色々な諸事情から結局ソロと自己の バンド以外は全て残らないという運の悪い状態となったが、 とにかくソロ・アルバムはこうしてリリースの運びとなった。 ソロと言っても、ギター・アルバムという訳ではなく、方向的には PRIDE & GLORYとさして変わらないが、ここにはハード・ロック 的な世界観はない。ゆったりとしたアコースティックな南部風の ブルーズ・ロックで落ち着いた作風になっており、彼のルーツが 伺える。[82] EAR CANDY / KING'S X アメリカのハード・ロック・バンドで6thアルバム。その音楽性は 形容の難しいバンドだが、ヘヴィ・メタルと言うのも少し違うし、 ミクスチャーと言ってしまうのも語弊があるような気がするし、 オルタナティヴ・ロックともまた少し一線を画している気がする。 ポップ・センスのあるメロディで、ファンキーな部分もあり、 ヘヴィな部分もあるし、ブルージィなセンスもあるし、 ソウルフルで、それらのエッセンスが絶妙にブレンドされていて、 独自の世界を築きあげている。スローなテンポで漂うような 雰囲気は実に不思議で、独特の世界を築いている。[84] HIGHER THAN ANGELS / STAN BUSH アメリカ人ロック・ボーカリストの5thソロ・アルバム。 PAUL STANLEYと共作したりPAT TORPEYがバック・バンドに 居たりと、人脈的にはハード・ロック側とも言えるが、実際 作品ではそういう部分はなく、洗練されたアダルトな アメリカン・ロックという感じだ。声質的にはBRYAN ADAMSや JOHN PARと言った感じで、明るくしっとりと落ち着いた楽曲を 切々と唄い上げる感じで、派手さはないが中々良いアルバムに 仕上がっている。楽曲も良く出来ていて、ピアノ主体のバラード 等はじっくり落ち着いて聴きたい楽曲だ。[82] K.O.S.M.O.S / VALENSIA オランダ人ミュージシャンによる2ndアルバム。オランダ人である 事、QUEENのフォローワー的である事等からROBBY VALENTINEと 比較されて取り上げられる事が多いが、ROBBY VALENTINEと 比べて、その差異はKATE BUSH的な色合いもあることだろう。 しっとりしたメロディを甘いボーカルで切々と歌いあげて、独自の 世界を構成しているが、その一方で変化にも乏しく最後まで 聴くのは少し焦れる。アルバムの出来自体は、非常に良く 作ってあると言うしかないだろう。それにしても初回限定の パッケージは非常に扱いずらくて、却って煩わしい。[83] SEARCH AND DESTROY / BONEMACHINE 元DANGER DANGERのボーカリストTED POLEY率いるバンドの ライヴ・アルバム。新ボーカルとしてPAUL LAINEを加えた DANGER DANGERはダークな方向へと向かってしまったので、 どちらかというとポップなこちらの方が、過去のDANGER DANGERに 近いとも言えるが、躍動感のある明るい部分だけであるので、 何となく物足りなさも感じる。ラフで生き生きした感があり、 ライヴ・アルバムとしては悪くないと思うが、まだこれまでに デモ音源をCD化したものを発表しただけなので、 ライヴ・アルバムよりスタジオ・アルバムを早くという 気もしないではないが。[76] SPELLBINDER / URIAH HEEP イギリスのハード・ロック・バンドのライヴ盤。1970年から 活動するイギリスの古参ハード・ロック・グループで、昨年 SEA OF LIGHTがマスコミに持ち上げられて日本でも久々に 注目された。このライヴはそれ以前の音源で、新規のファンには これまでのバンドを知って貰うのに楽曲的にはかえって良いかも 知れない。ただ、これまでライヴは何枚も出している訳で、 そういう意味では存在意義が非常に弱い。名曲、 Look At YourselfからLady In Blackへの展開は中々 素晴らしいし、出来的には全く問題ないアルバムだ。[82] THE ALL EUROPEAN HERO / GALLEON スウェーデンのプログレッシヴ・ロック・バンドの4thアルバム。 楽曲の盛り上げ方、構成等はこれまでより進歩を窺わせており、 彼等の作品としては最も良く出来たアルバムと言って良いだろう。 全体的にシンフォニック・ロック的でトラディショナルな静寂感 漂うと言った感じだが、メロディのセンスも良いし聴いていて 気持ち良い作品に仕上がっている。若干キーボードが大仰で うざったい部分もあるのだが、全体的にはむしろスペイシーで しっとりと落ち着いた作風だ。GORAN FORSのボーカルは上手いとは 言い難いが、バンドの色としては合っており十分聴ける レベルではある。[81] TAKING THE WORLD BY STORM / DEMON N.W.O.B.H.M.の生き残りで、かなりいきなりな感じだが、1989年に リリースした7枚目のアルバムをリマスターして再発したもの。 変化の激しいバンドで、デビュー当時はキャッチーな メロディながら、どことなく物悲しさを感じさせていいたし、 BRITISH STANDARD APPROVEDやHEART OF OUR TIMEでは プログレッシヴ・ロック的なアプローチを見せていた。 Rememberance Day等ではその名残で、プログレッシヴ・ロック的な サウンドを聴かせているが、前半はメロディアスだが アップ・テンポのノリ重視の楽曲が続く。圧巻はメロディアスで 壮大なナンバーBlue Skies In Red Squareだが、全体的に見て DEMONの中で傑出したアルバムとは言いがたい。[80] WINTERLAND / DIVINE SIN スウェーデンのパワー・メタル・バンドのデビュー盤。 メロディック・デス・メタルともパワー・メタルとも取れそうな 内容で、FREDDE LUNDBERGのボーカルは野太く歪ませているが、 ちゃんと歌っておりデス・ボイスとまでは言いがたい。楽曲は メロディアスだが、ギター・リフはザクザクと刻んでくるし、 攻撃的なのでスラッシュ・メタル的とも言える。楽曲から、こう 言うボーカル・スタイルを選んだのだろうが、吉と出るか凶と 出るかは聴き手の意識によるだろう。ダークでヘヴィで 迫力はあるし、プロダクションがもっと良くなればかなり良い 作品になった事だろう。[80] ADDICTION / GLENN HUGHES 元DEEP PURPLEのボーカリスト兼ベーシストのソロ・アルバムで、 このアルバムでもベースをプレイしている。今回コンビを組んだ ギタリストMARC BONILLAとは、以前MARCのアルバムでもGLENNが 歌った事が有り、今回もそういった関係からだろう。一曲を除いて MARCが曲作りに参加していることもあったろうが、かなり意識的に ハードなアルバムを作ったのではないかと思う。前作では ロックというより非常にソウルフルなアルバムであったが、単に それは原点回帰的な表現に過ぎなかったのではないだろうか。 FROM NOW ONに比べると、MARCと組んであることもあって、 どちらかというとアメリカ的だ。GLENNのボーカルはいわずもがな 素晴らしく、偉大なロック・シンガーの一人である。[83] PLUGGED IN PERMANENT / ANVIL Super Rock '84でも来日した事で知られるカナダの スピード・メタル・バンドの5年振りのアルバム。よりヘヴィで ダークな作品だが、その疾走するスピード・ナンバーのベースには 明らかにMORTORHEADの影響が伺える。LIPSのボーカルに LEMMYっぽいところが伺えるので、そう言った感が更に強く 感じられる。モダンな感じも受けるが、Truth Or Consequence等は BLACK SABBATHっぽかったり、スラッシィーと言う 感じがしたりする。彼等の身上である、スピーディーで破天荒は 良く出ており、そういう部分はらしい作品と言える。[85] SACRILEGIUM / DEVIL DOLL スロヴェニアのシアトリカル・ロック・バンドの3rdアルバム。 アルバムはトータルで一曲約60分という構成だが、 ドラマの様であり、組み曲的に場面展開がある。教会音楽のような パイプオルガンや、ミサの聖歌のようなコーラス、舞踏音楽、 おどろおどろしいオカルティックな語り的なボーカル、 オーケストラと倒錯した世界観を表現している。部分的には プログレッシヴ・ロック的な音楽も挿し挾むが、全体的にまるで ホラー映画を見ているような気になる。確かにこれはこれで 面白いとは思うが、こういうシアトリカルなものが好きならば ともかく、そうでなければアルバム一枚通すのは少々辛い。[75] VICTOR / VICTOR カナダのプログレッシヴ・ハード・ロック・バンド、RUSHの ギタリスト、ALEX LIFESONによる初のソロ・アルバム。RUSHとは また違った世界を見せているがRUSHっぽさが全くない訳でもない。 Promise等RUSHっぽいメロディが随所に出ていていかにもという 曲だが、RUSHよりはダークでヘヴィだ。Start Todayで見せる QUEENSRYCHEのGonna Get Close To Youの作者である、 女性シンガーDALBELLOがとっているが、非常にパワフルで凄い。 それ以外では主にI MOTHER EARTHのEDWINがボーカルだが、 DALBELLOのインパクトの強さに影が薄い。RUSHに比べると特異性は それほど強くない。[81] III / RENEGADE スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドの3rdアルバム。 方向的には、デビュー盤からすると、かなりカラーが 変わってしまっており、どちらかと言うと メロディアスではあるけれど、明るくノリの良い作品に 仕上がっている。そう言った意味でも、THIN LIZZYの The Boys Are Back In Townをカバーしているのもあながち 的外れなものではないと言えるだろう。その割には Dancing For Awayの様な暗目の曲もやっていて、一貫性にやや 欠ける感じがする。楽曲的には可もなし不可もなしと言った 感じだが、Bad Reputationだけはキャッチーで、中々の 佳曲である。[79] BITE / MERZY 1995年にリリースされたデンマークのハード・ロック・バンドの 3rdアルバムだが、楽曲は北欧のバンドというよりはむしろ アメリカのオーソドックスなロックそのもので、それを ハード・ロック風に味付けしている感じだ。前作の ROCK THE BLUESはそのタイトルが示す通り、ブルーズ的な部分が 強かったが、前作ほどではないがそういう指向はある。 ロックンロール的な指向が強く、かつノリが良く、 Ballroom Blitzのカバーもかなりそれ風だ。初期 VAN HALEN風でもあり、ソリッドな作りは中々好感が持てるし 前作で見せたDreamerのようなバラードStanding In The Shadow等 楽曲も悪くない。[84] THE SZUTERS / THE SZUTERS SZUTER兄弟を中心とするアメリカのハード・ロック・バンドの デビュー盤。明らかにTHE BEATLESの影響を受けたと感じられる サウンドで、非常にキャッチーなメロディを持った ロック・アルバムに仕上がっている。そういう意味では ENUFF Z'NUFFに近いのかも知れないが、ENUFF Z'NUFFの様な どことなく哀愁を感じさせる部分は少なく、どちらかと言うと ラフな感じがあって、異質な雰囲気がある。いかにも1960年代風の サウンドで郷愁を感じさせるし、出来は悪くない。CHEAP TRICKに 影響を受けたそうで、そう言った部分も感じられるが、そう言った エッセンスはそれ程強くはない。[81] PARAPHERNALIA / FM 前作DEAD MAN'S SHOESと同時に制作されているので、 DEAD MAN'S SHOESと方向的には全く同じ路線だ。そういった 意味では前作のファンはまず外すことはないだろう。ブルーズ色の 強い、ソウルフルな内容で、落ち着いたアダルトな作品だ。楽曲の 出来も安定しているし、プロダクションもしっかりしていて、 安心して聴くことが出来る。日本盤には1989年のライヴが ボーナスCDとして付いているが、まだキャッチーなメロディの ハード・ロックをやっていた頃で、この新作とはかなり趣が違う。 今のFMしか知らなければBad Luck等を聴けばちょっと カルチャー・ショックを受けるかも知れない。[84] BOND OF UNION / ALLIANCE BOSTONのGARY PIHLがSAMMY HAGAR BAND時代の人脈を使っての プロジェクト・バンドで、NIGHT RANGERのALAN FITZGERALDも 参加している。キャッチーなアメリカン・ロックで、美しい メロディの楽曲が並び、叙情的なTrue Meaning Of Love等、出来は 実に良い。演奏的にはキーボードは一部の曲を除けば、意外な程 前面には出てこないが、メンバーはそれぞれ実力を兼ね備えた 人たちばかりなので安心して聴いていられる。メンツ的には もうちょっとハードなものを予想する程、普通の ロック・アルバムと言った感じだが、楽曲は非常に秀逸だ。[87] THE HAMBURG TAPES〜SPECIAL LIVE EDITION / GOTTHARD スイスのハード・ロック・バンドの来日記念盤となる ライヴ・ミニ・アルバム。ミニ・アルバムという関係上、 どうしてもぶつ切れと言った感じで収められているが、録音状態も 良いし、ソリッドでエモーショナルさが良く出ていて、その ライヴ・パフォーマンスのレベルに高さが感じられる作品だ。来日 記念と言う、企画盤とは思えぬ出来栄えで、是非ともフルレンスの ライヴ・アルバムを期待したくなるだけの内容となっている。 元々楽曲の出来は素晴らしかったし、演奏力も高いと伺えるだけの アルバムを作っていただけに、それに違わぬ作品だと言って 良いだろう。[86] DAWN OF TIME / SEA OF DREAMS ノルウェイのヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。意味不明の S.E.で始まりがっくりさせられるが、実際内容はドラマティックで 結構良い。楽曲は10分以上の曲も有し大作指向で、QUEENSRYCHEや ジャーマン・パワー・メタルの影響が見え、それを北欧の バンドらしくアレンジした感じだ。大仰で陰りのある扇情的な 美しいメロディ重視型で、展開も悪くなく、幻想的な 女性コーラスの使い方等、アイデアは非常に良い物を 持っているが、それを表現するにはまだ少し力不足だし、 消化しきれていないという感じだ。ボーカルのJIM FOSSは ハイ・トーンを除けば、JEFF TATE型で良い味を出しているが、 ハイ・トーンになるとよれよれになることがあるのは残念だ。 次作以降に非常に期待出来る。[80] THE TRUTH / BEN GRANFELT ロック・バンド、LENINGRAD COWBOYSのフィンランド人 ギタリストによるギター・インストルゥメンタルの初の ソロ・アルバム。LENINGRAD COWBOYSは良く知らないので、 LENINGRAD COWBOYSとの比較は止めておくが、内容は意外にも JOE SATRIANI風の爽やかで軽快な ギター・インストルゥメンタル・アルバムに仕上がっている。 気持ちの良い美しいメロディの楽曲が中心となっており、楽曲の 出来も中々良く出来ているし、テクニック的にも問題はないので、 飛び抜けたところはないが、この系統としても決して悪くない 出来だ。[80] "WE ARE THE PEOPLE" / KEN TAMPLIN JOSHUAの元ボーカリストのソロ・アルバム。他にも自身のバンド TAMPLINやTAMPLIN AND FRIENDS等の名義でアルバムを リリースしていてややこしいが、この作品は1995年制作で、 TAMPLIN名義のIN THE WITNESS BOXと同じ頃に作成されている 事になる。格好の良いアメリカン・ロック・アルバムだが、歌が 中心であり、全体的にホーンを多様したアコースティックな 作品で、TAMPLINよりもソロ的な指向が強い。楽器もドラム以外は ほとんどKEN TAMPLINが一人で担当している。楽曲も飛抜けた 曲はないが、全体的に良く出来ているし、KEN TAMPLINの ボーカルの格好良さを味わえる。[81] NIGHT OF THE LIVING DEAD / JACKYL アメリカの縦ノリのハード・ロックンロール・バンドの ライヴ・アルバム。2ndアルバム直後の1994年のライヴを 収録した物。一応ベースはAC/DC型縦ノリなのだが、歌メロでは かなり独自性を出していてオリジナリティのあるバンドだ。 The Lumberjackの電気ノコギリ・ソロが話題を呼んだが、この ライヴでも健在だ。スタジオ・アルバム2枚出しただけなので ライヴ・アルバムはまだ少し早いような気がする。 ライヴ音源としてはその破天荒さがあまり伝わってこないし、 この時期ライヴ・アルバムを出す必要性があったのか疑問だ。[77] UNTIL IT SLEEPS / METALLICA アメリカのスラッシュ・メタル・バンドのシングル。 シングル・カットのタイトル・ナンバー以外には、海外で シングルに収録されたアルバム未収録の音源を集めており、 ライヴが3曲にUntil It Sleepsのバージョン違いが2曲と言う 構成になっている。Until It SleepsのHerman Melville mixは 原形を留めていないし、ヘヴィ・メタルとはおおよそ似ても 似つかない、デジタル・ミックスなのであまり聴く価値があるとは 思えない。ライヴ音源はそのリフの感覚等からバンドとしての 変質が伺えて興味深い内容ではあるが、全体的にはあまり聴く 価値があるものとは言いがたいところだ。但し、MOTORHEADの カバー、Overkillには一聴の価値がある。[74] WORKING MAN / V.A. カナダのプログレッシヴ・ハード・ロックの雄RUSHの トリビュート・アルバム。主にソフトな方向へと向かう前のものが 中心で、メンツ的には正しい選曲と言えるだろう。 SEBASTIAN BACH、JAMES LaBRIE、JACK RUSSELL、JAKE E.LEE、 BILLY SHEEHAN、DEEN CASTRONOVA等々、多彩なメンバーが 参加している。故に演奏面においてはさすがと唸らせるだけの物が ある。そして、これだけの曲をトリオでこなしてしまうRUSHの 素晴らしさを改めて感じる事が出来る。本物と比較するとやはり GEDDY LEEのボーカルの個性は別格だなと思う。[90] THE AUTUMN YEARS / POVERTY'S NO CRIME ドイツのメロディアス・ヘヴィ・メタル・バンドの2ndアルバム。 このバンドの良いところは、何と言っても扇情的なまでに 哀愁感漂うメロディとその完成度の高さだろう。 VOLKER WALSEMANNのボーカルは地味さを感じさせるがが、扇情的で 非常に個性的な歌唱を聴かせて、バンドのカラーに良く 合っている。そしてMARCO AHRENSのギターが扇情的に奏でる メロディも素晴らしいし、このバンドは自ら表現しようとしている 音楽を奏でる術を知っている。楽曲的には前作より幅を広げた 感じで、大作主義的だが、ドラマティックに構成されていて 緊張感を保っている。The Heroes Returnなどに聴かれる叙情的な 郷愁感はとにかく素晴らしいし、オリジナリティというものが 確立されていて、素晴らしい作品だ。[96] DIES IRAE / DEVIL DOLL スロヴェニアのシアトリカル・ロック・グループの4thアルバム。 前作でみせていたオカルティックなシアトリカルさはここでも 見られるが、全体的にはホラーティックな部分は幾分 減退している。前作と比べると全体的によりハードな部分が増し、 メロディアスな部分も増して聴き易くなっている。一曲による組み 曲構成であるのは変わらないが、構成は割ときちんと展開を 持っていて、部分部分ではプログレッシヴ・ハード・ロック的で それなりに聴けるが、それにしてもこのカルト的で オーセンティックな世界はリスナーを選ぶだろう。[78] THE SERRETS' OF THE BLACK ARTS / DARK FUNERAL スウェーデンのブラック・メタル・バンドの2ndアルバム。 方向的にはEMPERORと同じタイプで、疾走するブラスト・ビートに 叙情的で荒涼感漂うメロディが絡んで来る。THEMGOROTHの ブラック・メタル・ボイスは、歪んだスクリーミングで強烈だが、 聴きがたいと言う程のものではない。とにかく初めから終わりまで ブラスト・ビートが延々と続くので、スピード的に変化が少なく、 どうしても単調に感じられるが、メロディはそれなりにはっきりと 打ち出されているし、この手のもので最も問題になるであろう、 リズム感がちゃんとしているし、聴き易い方だと言って 良いだろう。[79] UNPLUGED / ALICE IN CHAINS MTVでのアンプラグド・ライヴの模様を収めたもの。最新 フルレンス・アルバムALICE IN CHAINSに日本発売が 中止になる中、MIKE INEZがOZZY OSBOURNE BANDとしてツアーに 出たりLAYNE STALEYが自己のプロジェクト・バンドで活動したりと 解散説が飛びかったが、とにかくライヴとは言えアルバムが リリースされ一安心というところだろう。陰鬱な感じは 変わらないが、アンプラグドの為か抑揚の押さえた感があり、 さらに情感を強く出しているように感じられる。この調子で アルバム一枚というのはつらいと言う気もするが、途中に Enter Sandmanのメロディを挾んだりと、お遊び的な作品としては 悪くないだろう。どうせなら普通のライヴ・アルバムを出して 欲しいが。[80] RATAMAHATTA / SEPULTURA ROOTSからの日本では2枚目のミニ・アルバム。WarはBOB MARLEYの カバーだが、BOB MARLEYの雰囲気などまるでない、 SEPULTURAらしい切り口だ。デモ・バージョンのものはアルバムに 入っているのとたいして変わりがないので、特に取り立てる程の ものではない。RATAMAHATTAは若干テクノっぽく アレンジされている。やはりライヴの2曲が一番 スラッシュ・メタルらしい。[76] SIMPLE / XENON アメリカのハード・ロック・バンドで約7年振りの2ndアルバム。 メンバーはベーシストがJOE KOSAに交代して、新たにキーボードの TOLGA TIMURAYを加えた5人組になっている。音楽的には、明るい キャッチーな澄んだメロディで、大らかなサウンドは聴いていて 気持ちが良い。方向的には1stの路線を引き継いだアメリカらしい サウンドではあるが、湿っぽい部分は少なくなり、かなり 洗練された感がある。これといった、飛び抜けた曲はないが、 ポップ・センスが溢れていて、全体的に良く出来ているものの、 もう一つ煮え切らなさを感じるのが残念だ。[81] THE IMMIGRANTS / THE IMMIGRANTS アメリカのブルーズ・ロック・バンドのデビュー盤。ギタリストの JENNIFER BATTENはGITの講師と言う経歴を持っているだけに、 派手なギター・プレイが随所に出てくるが、全体的にはそう 言ったものを売りにしたハード・ロックと言う様な感じではない。 どちらかと言うとギター・プレイは押さえ目で、泥臭いが めりはりの効いたブルージィなアメリカン・ロックという感じだ。 女性ボーカル、KALIのハスキーな張りのあるソウルフル声は、 バンドのカラー的に良く合っている。全体的に出来は悪くないが、 これと言った楽曲もないので、今一つ盛り上がりに欠ける。[79] SEOTAIJI AND BOYS III / SEOTAIJI AND BOYS III 韓国のヘヴィ・メタル・バンドとしては最もメジャーの部類に 入る、SINAWIのベーシストSEO TAIJIを中心とするバンドというか ボーカル・チームの3rdアルバム。ヒップ・ホップ系に影響を 受けたと見られるような曲が中心でSINAWIとはあまり 繋がりはない。曲によってはヘヴィなリフを入れたスラッシィーな ものや、VAKENSIAのようなものもある。スラッシィーなものも ラップの影響があってANTHRAXのI'm The Man風な 感じがあったりと、純然なヘヴィ・メタルとは到底言えず、 そういうエッセンス取り入れているに過ぎない。[78] A TRIBUTE TO JUDAS PRIEST LEGEND OF METAL VOL.1 / V.A. JUDAS PRIESTのトリビュート・アルバム第一弾。DOOM SQUADは JOHN BUSH、SCOTT IAN、JORG FISCHER、JOEY BERAといった連中の プロジェクト・バンドで、お遊び的なアレンジだが取り立てて 面白いというものではない。RADAKKAは録音も悪いし、何故 こんなに無名なバンドを起用したのかは謎だ。同じ新人バンドでも 日本盤も出たLIONS SHAREの方が遥に上出来だ。キーボードが かなり前面に出ているバンドなので、このアレンジもそういう 方向で興味深い。TESTAMENTの場合、カバーでもTESTAMENTにしか 聞こえないところはさすがだろう。KING DIAMONDのヒステリックな スクリーミングもそれなりに面白い。[78] DO OR DIE / PARADISE アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1992年にリリースされた アルバムだが、バンドは既に解散している。ミドル・テンポ中心で 明るい楽曲が並び、エッヂの効いたラフでワイルドなサウンドで 如何にもL.A.という感じのバンドだ。メロディは以外に キャッチーで親しみ易く、演奏の出来も悪くない。コーラスを 多用しているが結構うまく、全体的な完成度は高いが、楽曲は 平均的に出来ているものの、飛び抜けた楽曲がないのは残念だ。 メンバー・ショットを見る限りではルックスも結構重視している 様だし、悪くないバンドなのだが。[80] INSIDE / WHITEHEART アメリカのクリスチャン・ロック・バンドの1995年に リリースされた10thアルバム。楽曲はダークでヘヴィなInsideと Living Sacrificeだけは少しバンドのカラーから外れる感じで、 方向性に少しばらつきが感じられる。方向的には湿っぽい バラードのSpeak Softly等、アコースティック・ギターを大幅に 取り入れた、アダルトで叙情的な優しいメロディのものが 中心となっている。先に挙げたダークなもの以外では、Ritualで ハモンド・オルガンを使ったハードなフレーズが出てくる事を 除けば、ハード・ロックとの接点はあまりない。[82] SEEDS / BROTHER CANE アメリカのロック・バンドの2ndアルバム。音楽的には、 ブルージィであり、グランジっぽくもあり、ハード・ロックっぽい 部分も感じられるサウンドだ。楽曲によっては最近の ALICE IN CHAINSやPEARL JAMと言ったオルタナティヴ・ロックを 思い起こさせる部分もある。グランジ的素養を持った、 ブルーズ・ロックという感じで、他のバンド群とはかなり差別化 出来ていて新鮮ではある。And Fools Shine On等は、 メロディアスなさびが印象的で中々の佳曲だ。ハード・ロックの リスナー向けとは言い難い作品だが、楽曲は以外に洗練されていて センスが良く、全体的に格好良いアルバムに仕上がっている。[84] SHELTER ME / JUCK RUSSELL GREAT WHITEのボーカリストによる1stソロ・アルバム。こういう 場合、バンドと方向的な差異が非常に気になるところだが、 ここではまさしくGREAT WHITEの世界だと言えるだろう。 GREAT WHITEは一時期、濃いブルーズ・ロック路線を行ったことが あるが、ここでもブルージィさを感じさせる部分はあるものの、 むしろ、ソリッドなハード・ロックという感じで、最近や ONCE BITTENの頃のGREAT WHITEと言える内容で、これをバンドの 新作だと言われても全く違和感はない。ONCE BITTEN収録の Save Your Loveをヴァイオリンとアコースティック・ギターで やっているが、雰囲気的にはオリジナルと変わらない。演奏的には バックはGREAT WHITEより少し引っ込み気味で、ボーカルをより 押し出した感じがする。楽曲の出来が全体的に粒が揃っていて 良い出来だ。[87] SECOND TO NONE / JONAS HANSSON BAND 元SILVER MOUNTAINのギタリスト率いる自己のバンドの 2ndアルバム。基本的には前作の延長線上で、 SILVER MOUNTAINのような北欧美旋律系的要素もあるが、1stより もっとポップさを減退させた、いかにもハード・ロックらしい 骨太なサウンドになっている。全体的にプロダクション、 アレンジが1stより良くなっていて、完成度は上がっていると 思う。ボーカルとベースが交代しているが、新しいSTANLEY ROSEは タイプ的に前のボーカリストMIKE STONEと大きく違わないが、 もっと通ったパワフルなボーカリストで、アルバムの方向性からは 悪くない選択だろう。もっと北欧っぽい美旋律を求めるならば JONAS HANSSONの方向性は外れてきているとしか言い様がない。 [80] SONIC WINTER / JOHANSSON 元SILVER MOUNTAIN、YNGWIE J'MALMSTEEN'S RISING FORCE等に 在籍したJOHANSSONS兄弟を中心としたプロジェクト・バンドで、 THE JOHANSSON BROTHERS名義前作に続く2作目。ボーカルは M.S.G.への加入が決まった元GREAT KING RATのLEIF SUNDINが 前作に続き取っている。楽曲は非常にキャッチーなのだが、 その曲をベースにクラシカルであったり、ジャージィで あったりする演奏は圧巻だ。特に11分の大作Enigma Suite等は 凄いし、All Opposable ThumbsでのJENS JOHANSSONのキーボードも 聴きどころだ。楽曲の出来は特にこれと言ったものはないが、 悪いと言うものでもない。[83] OBSESSION / UFO イギリスのハード・ロック・バンドの1978年にリリースされた アルバム。LIGHTS OUTと並んでUFOが最も売れていた時期の、 ギタリストのMICHAEL SCHENKER在籍時、最後となる作品だ。 MICHAEL SCHENKERの精神的不安定さが、これらの神懸かり的な ギター・プレイを産み出したとするなら何とも皮肉な話だ。 One More For The Rodeo等で聴ける、MICHAEL SCHENKERの情感 溢れるギター・プレイは、やはり神の名に恥じぬ素晴らしい 出来だ。楽曲の方は、ミドル・テンポのものが多く、若干 中弛みしているよう気がするが残念だが。[83] PARIS IS DYING... / MOZART アメリカ出身のVALENTINE、VALENSIAと並ぶQUEENのフォローワーで これが3rdアルバムとなる。VALENTINEやVALENSIAはQUEENや KATE BUSHが持つリリカルな部分をよりデフォルメしたような 音像であるのに対してMOZARTはよりロック的な部分を押し 出しており、今作では以前よりさらに大仰さを削り落とし、 ドラマティックな展開は出来るだけシンプルにしている。 もちろん、ボーカルやコーラスは相変わらず、 QUEENらしいのだが、随分聴き易くなった感がある。ここら辺は やはりアメリカ人とオランダ人の感性の違いだろうか。[82] DEEP PURPLE MkIII THE FINAL CONCERT / DEEP PURPLE イギリスのハード・ロック・バンドの2枚組ライヴ盤。 バンドとしては第3期時代のラスト・ライヴである MADE IN EURIPEの残りの音源をCD化したものだ。3回の 公演からのものなので、全11曲のうちMistreatedや、 You Fool No Oneがだぶって入っているが、だからと言って 悪いという出来ではない。GLENN HUGHESがいたので、ちゃんと BURNもプレイされているのが嬉しい。未収録の残り音源と言っても 出来は良いし、興味深い内容だ。とは言ってもまず普通 MADE IN EUROPEを先に買うだろうし、ライヴもこれだけ出てると ファン以外には中々手出し出来ない様に思えるが。[86] FOMA / THE NIXONS アメリカのロック・バンドの2ndアルバム。内容的にはPEARL JAM 等を思い起こさせるような、若干オルタナティヴ・ロックっぽい サウンドだが、実際にはもっとハード・ロックよりで、両者の クロス・ーオーバーという風に感じられるアルバムに 仕上がっている。楽曲の端々にグランジ風のメロディを 感じさせるが、演奏はもっとハードで重厚で、インパクトがある。 GLEN TIMPTONが参加しているBlind等、彼のギターが前面に押し 出されていてかなりヘヴィな曲だ。楽曲も全曲とまでは言えないが 切迫感を持ったTrampoline等は聴きごたえがある。[82] THE DARK SAGA / ICED EARTH アメリカのパワー・メタル・バンドの4thアルバム。かなり スラッシィなリフに非常にドラマティックなメロディが絡んだ 楽曲をやっている。このバンドの持ち味はやはり、 ドラマティックで暗く、寂涼感のあるメロディだが、2ndの NIGHT OF THE STORMRIDERでは楽曲によっては非常に秀逸なものが あったのが3rdのBurnt Offeringsは全体的に面白味に欠け、今一つ のり切れないアルバムだった。今作では大仰さがかなり 押さえられてきていてこじんまりした感もなくはないが、 ドラマティックなメロディが中々秀逸で、美しさが良く出ている。 ラストの組み曲The Sufferingは圧巻でSlave To The Darkから A Question Of Heavenへの展開は素晴らしい。[89] LIVE / JEZEBEL'S TOWER ドイツの扇情的なハード・ロック・バンドのライヴ・アルバム。 1000枚限定のもので、オーバー・ダヴ、リミックス一切無しの 生々しいライヴで、録音状況はともかくとして、 演奏といった点では完成度が高く、良いライヴ・パフォーマンスを 聴かせてくれる。CHARLY WEIBELのボーカルはPAVLOV'S DOGの DAVID CARSANPの様な非常に扇情的な近年稀に見る個性的 ボーカリストで味がある。このボーカルが曲の善し悪しを超越した 独自の世界感まで引き揚げているし、楽曲も扇情的な方向を 目指している。これまでアルバム1枚とシングル1枚で計14曲を 発表しているが、このライヴは計15曲で、半分以上が 未発表曲であり、来日も当分ありそうにないことを考えると非常に 興味と価値がある一枚だ。[92] RETROPOLICE / THE FLOWER KINGS 元KAIPAのギタリスト、ROINE STOLT率いる、スウェーデンの プログレッシヴ・ロック・バンドの3rdアルバム。ときには プログレッシヴに、あるいはポップに、シンフォニックに、 トラディショナルにと、自由自在に変化する様は圧巻だ。 シンフォニック・ロック的な美しさをベースに様々な可能性を 探ったアルバムと言って良いだろう。 プログレッシヴ・ロックらしい変則的な部分はあるが、 落ち着いた、親しみ易いメロディからなり、非常に完成された 作品で楽曲、演奏とも良い出来で安心して聴けるアルバムに 仕上がっている。[87] AGENTS OF THE MIND / DREAMGRINDER イギリスのロック・バンドの2ndアルバム。方向的には サイケデリックなゴシック・ロックとも言える様な作品で、 THE CULT的ではあるが、よりヘヴィネスなサウンドに 仕上がっている。サイケデリックでヘヴィなサウンドは、 けだるさのあるのりを産み出しており、非常にグルーヴィな 雰囲気が漂っていて、中々ユニークで面白い。ヘヴィ・ロックと 融合したそのサウンドは、オリジナリティのある独自の世界を作り 上げているし、楽曲のアイデアも悪くないのだが、全体的に変化が 少な過ぎてどうも冗長な印象を受けるのが残念だ。[82] CANDYLAND / MICHAEL ZEE カナダ人ブルーズ・ロック・シンガーの11年振りとなるアルバム。 音楽的には土臭いキャッチーなアメリカン・ロック作品で、 洒落ていてCandylandを始め、楽曲にはセンスの良さを 感じさせられる。全体的に渇いた感じで、楽曲に関しては非常に ポップだが、ギター・サウンドはときにより、結構ハードさを 見せている。これと言った楽曲がないのが残念だが、内容に 関してはまさしくアメリカ南部風のイメージで、全体的な出来は 良い方だ。しかし、ジャケットのセンスの悪さはもう少し 何とかならなかったのだろうか。[80] OREXIS OF DEATH / NECROMANDUS イギリスのヘヴィ・ロック・バンドのアルバム。BLACK SABBATHの TONY IOMMIプロデュースにより1972年に制作されながら、バンドの 解散によりお蔵入りになっていたテープを発掘、CD化したものだ。 BLACK SABBATHのバック・アップを受けていたが、方向的にはそれ 程影響は感じられない。むしろプログレッシヴ・ロックとも言える 様な内容で、非常にブリティッシュ的なセンスを匂わせる サウンドだ。部分的にはLED ZEPPELIN的なエッセンスも 感じさせるところがある。プログレッシヴ・ロックだが、 演奏的にはかなりハードな部分もあり鮮烈だ。[84] SEA OF DREAMS / GODGORY DAN SWANOプロデュースによる、スウェーデンの メロディック・デス・メタル・バンドのデビュー作。ボーカルの MATTE ANDERSONは低く太く唸るようなデス・ボイスと、 クリア・ボイスの両方を使い分けている。バックはザクザクと リフを切り刻んで来るパワー・メタル・タイプで、中々格好が 良い。攻撃的なリフと泣きのメロディの組み合わせが 素晴らしいし、楽曲的にはAMORPHISを攻撃的にしたようで、 良い出来だ。ただし、デス・ボイスがこの手のものとしてもなお、 聴きがたいのが難点で、クリア・ボイスとの落差も激しすぎる。 [83] SPIRITS FLY / HOLOCAUST N.W.O.B.H.M.のバンドの一つで、ミニ・アルバム2枚、アルバム 1枚に次ぐ作品なのだが、15曲中11曲目までは HYPNOSIS OF BIRDSから、2曲がHEAVY METAL MANIA、METALLICAの カバーはMETAL MILITIA〜A TRIBUTE TO METALLICA〜IIからの 再収録で、日本盤のボーナス・トラックを除いて新たな 価値はない。特にHUPNOSIS OF BIRDSのものの録音は、まるで N.W.O.B.H.M.当時を思い起こさせる酷いもので、フルートを 持ち込んだりと、かなり実験的だが、それ以外はあまり高く評価 出来ない。それ外の曲は録音状況もだいぶましだが、やはり ちゃんとした新作を期待したい。[72] INSTANT CLARITY / MICHAEL KISKE 元HELLOWEENのボーカリストによる1stソロ・アルバム。方向的には HELLOWEENとは少し違い、幅広い音楽性を見せている。 ドラマティックなヘヴィ・メタル・ナンバーからしっとりと 落ち着いたアダルトなバラードまで多用だが、全体的に キャッチーな歌メロを持っていて聴き易いが、全ての曲が良い 曲だとも思わないし、HELLOWEENを期待する人には尚更期待を 裏切ることになるだろう。ヘヴィな曲はともかく、全体的には ヘヴィ・メタル色はそんなに強くない。歌の旨さはさすがだし、 HELLOWEENから脱退して3年、その間の平穏さがもたらしたのか、 実にリラックスした感を与える。[86] 9 TO 5 / DEATH ORGAN スウェーデンのプログレッシヴ・ロック・バンドのデビュー作。 複数がボーカルを担当し、バンド名から期待するような、 デス・ボイス的な咆哮も差し込んだりしているが、 デス・メタル的な方向ではない。この咆哮や、ラップ的に 掛け合いをしたり、ちゃんとした歌メロがあったりと 飽きさせない。ギターがいない変わりに、そのパートを全て オルガンで演奏しているという感じで、実にユニークかつそれが はまっている。ハモンド・オルガンサは実にヘヴィで凄まじく、 ヘヴィ・メタル側の人間にも十分楽しめる。アイデアとセンスの 勝利とも言える作品だ。[86] THE APOCALYPSE CHIME / THE JAMES BYRD BROUP 元FIFTH ANGELのギタリストで2枚のソロ・アルバムを発表後、 自身のバンド名義での新作。ソロ1作目のOCTOGLOMERATEは何か 勘違いしたとしか言えないような作品だったが、SON OF MANでは 再びクラシカルな作品になっていたが、やはりボーカルがいない 事に対する限界を感じたのだろう。ATLANTIS RISINGのときの様に、 バンド名義にして元LYNCH MOBのROBERT MASONをボーカルに 入れている。クラシカルでアメリカ人とは思えないような、 欧州的な叙情感溢れるメロディはさすがだ。 ATLANTIS RISINGとまでは言わないが、楽曲の出来も悪くないし、 ROBERT MASONのボーカルにも不足はない。 プロジェクト・バンドみたいだが、JAMES BYRDには是非こう言った 路線で今後も活動して欲しい。[85] LOVE IN CRIME / ICE TIGER オーストラリアのヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。ださい ジャケットやバンド・ロゴ等を見ると、いかにも配給元の LONG ISLAND RECORDSっぽい、ポップな作品を思い起こすし、実際 ポップな部分もあるのだが、思いの他ハードで受ける印象が少し 違う。曲によってポップであったり、もっとハード・ロック 然としていたりする。情的な泣きのメロディは秀逸だが、それ 以外のものは、外と中庸でさほど面白くない。メロディ・センスは 中々たいしたものなので、この辺りを生かせばかなり優れた 作品になっただろうと思うのだが、アレンジ・センスの無さが 災いしている様に思える。[82] RED MORNING SKY / LIVING SORROW 詳細は良く判らないが、ドイツの ゴシック/メロディックデス・メタル・バンド。ダミ声の咆哮型 デス・ボイスだが粘質的で結構味が有り、ボーカル・ラインも ちゃんとしているし、クリア・ボイスも使うがまともで、 RENE ROSEはこの手のものとしては良い出来だ。キーボードには ゴシック的な音色を感じさせるが、楽曲自体はそれによって ゴシック的だったりそうでなかったりする。大作 Forbidden Dreams等でのクリア・ボイスと叙情感溢れる哀愁の メロディのマッチングは素晴らしい。良いメロディ・センスを しているし、もう少しアレンジが良くなれば素晴らしい作品を 作るだろう。[87] WHEN SILENCE WILL BE UNBEARABLE / TALIESYN 女性ボーカルをフューチャーしたドイツの プログレッシヴ・ヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。 どちらかと言うとギター・ラインを除けば、 プログレッシヴ・ロック的傾向が強く、RUDIGER BLANKの キーボードがかなり前面に押し出されている。 JENNIFER HOLZSCHNEIDERの声は平坦で、とても上手いと言える 代物ではないが、クリアで哀愁感を醸し出しており、雰囲気的には 悪くはない。叙情的な部分を出すときの、メロディの深みは 素晴らしいものがあるが、楽曲を通して全体的に続かないのは 残念だ。[80] STRANGERS IN THE NIGHT / UFO イギリスのハード・ロック・バンドの1979年にリリースされた ライヴ盤。再結成後を除けばMICHAEL SCHENKER在籍時の最後となる 音源で、彼の脱退後に発表されている。Doctor Doctor、 Rock Bottomを始め、UFOの代表曲とも言える楽曲が並び、 選曲的には申し分ない。Love To LoveでのPAUL RAYMON、 MICHAEL SCHENKERの組み合わせなど圧巻だ。ここでみせる MICHAEL SCHENKERのギター・プレイは凄まじいまでに光を 放っている。スタジオ・アルバムにない生々しい迫力を 感じさせるし、全てに於いてバンドの最高傑作と言っても 良いだろう。[90] OCEANS OF TIME / DARK AT DAWN 詳細は良く判らないが、恐らくドイツの メロディック・デス・メタル・バンドのミニ・アルバム。ダミ声の デス・ボイスだがある程度歌メロは存在している物の、かなり 凶悪で、はまったときは実に格好良いのだが、全てそうだとは 言い切れない。クリア・ボイスも少しだが織り混ぜているが、 これは結構良い出来だ。楽曲はもろにパワー・メタル系で、 導入部のイントロは不安を誘うが、実際は悪くない。 ギター・メロディが実にヘヴィで格好良く、ときに扇情的で 全体的に総じて悪くない。[81] UPON DEAF EARS / MERCURY RISING 詳細は良く判らないが、多分アメリカの正統派 ヘヴィ・メタル・バンドのデビュー作ではないかと思う。 リリースは1996年になってからだが、録音は実際には1994年に 行われている。いわゆるQUEENSRYCHEタイプになると思うが、 ボーカルやコーラスの取り方は、明らかにQUEENSRYCHEを 意識しているが、楽曲はそれほど強くQUEENSRYCHEを意識させる ものではない。演奏的にはそれほど不満に思わないし、ボーカルも 悪くない。であるが、この手のバンドとして致命的なのは楽曲が つまらないということである。瞬間的には面白い フレーズもあるが、一つの曲とアレンジ能力の欠如を見せ、 アイデアを表現する力がまだ足りないのが明らかだ。もっと、曲を 練り込む必要があるだろう。[70] THEM NOT ME / DESTRUCTION ドイツのスラッシュ・メタル・バンドのミニ・アルバム。非常に 変則的な展開はさらに輪がかかっており、もうアグレッシヴ 過ぎてついて行けない位だ。ギター・メロディに感じる ヨーロッパのバンドらしい叙情さもなくなっていて、 ギター・フレーズを楽しむという事も出来ないし、楽曲自体 あまり面白いとは思えない。ただ、ダークな雰囲気も含めて 攻撃的で、そういう意味においてのみスラッシュ・メタルとしては 悪くない。この怒涛の攻撃的なサウンドへの変質が受け 入れられないと聴いていてかなり厳しいだろう。[70] SOUNDS OF MEMORY(CHAPTER...ECHO) / SHADE 詳細は良く判らないが、恐らくポーランドの メロディック・デス・メタル・バンドのアルバム。バックは ザクザクとリフを刻みこんでくるパワー・メタル型で、ときには キーボードを押し出したり、ところによってはゴシック・メタル 的な荘厳な雰囲気を醸し出している部分もある。 クリア・ボイスもたまに差し挾むが、メインはやはり デス・ボイスで、これが咆哮型の強烈なものだ。扇情的な メロディ・ラインにははっとさせられるものがあるし、 キーボードの使い方も効果的で、全体的に出来は悪くない。[82] BEHIND THE MASK / VIGILANCE ドイツのプログレッシヴ・ハード・ロック・バンドのデビュー作。 楽曲は明らかにDREAM THEATERを意識した曲調で、より ストレートで聴き易い作風になっている。ギター・ラインなどは ヘヴィ・メタルよりだが、キーボードはむしろ幻想的で プログレッシヴ・ロックっぽいし、ボーカルの FRANK OTTO CONRADはハイトーンも良く伸びているが、独特の 歌唱がまた違った雰囲気を醸し出している。アルバム自体には それなりの個性も見えてくるが、曲同士での変化があまり 見えてこないので、どうしても冗長に感じるし、途中で 飽きてくる。[76] ZOON / THE NEFILIM ゴシック・ロック・バンド、FIELDS OF THE NEPHILIMの ボーカリストだったCARL McCOYによる新しいバンドの 1stアルバム。FIELDS OF THE NEPHILIMについては知らないので、 それについてはとやかくは書かないが、だいぶ変わったらしい。 ヘヴィなインダストリアル・サウンドをバックにCARK McCOYの 唸るようなダミ声がたたみかけてくる。インダストリアルと いっても、ギター・ラインなどはMINISTRYよりはずっと スラッシィでヘヴィ・メタル的だし、迫力あるCARL McCOYの凶悪な ボーカルがその感を強めている。ゴシック的な部分は全くない 訳ではなく、その暴力的なサウンドと合いまって独特の寂涼感と 陰鬱さを持った世界を作りあげている。[84] SEEDS OF RAGE / ELDRITCH イタリアのプログレッシヴ・ヘヴィ・メタル・バンドの デビュー盤。TERENCE HOLLERのボーカルは、イタリアのこの手の バンドとしてはまともできちんと歌えている。楽曲は DREAM THEATER風だが、よりテクニカルな方向に走っており、楽曲 自体はジャーマン・パワー・メタル的な感じを 受けるところもあるものの、割とヘヴィ・メタル然としていて聴き 易い。しかし、一方でテクニカルな感じがかなり大仰で、演奏 自体は聴いていて少し辛いところもあり、切迫感はあるものの、 曲の展開の流れが悪く感じられる。メロディなどは部分的には 良いので、この点が改善されればかなり良くなるはずだ。[80] IN CONCERT / TRIUMPH カナダのハード・ロック・バンドのライヴ盤。ラジオ番組、 KING BISCUIT FLOWER HOUR放送用に集録されたものを CD化したものだ。1981年の音源で、時代的にはALLIED FORCESを リリースして、次作NEVER SURRENDERでバンドとしての頂点を 究めると言う、言わば最も脂の乗っていた頃のもので、 バンドとしての勢いを感じる作品だ。ラジオ用という事もあり、 変な処理は一切加えられておらず、非常に生々しい迫力を 伝えていて、彼等の後のライヴ作品、STAGESとはまた違った 雰囲気を味わえる。RIK EMMETTのヘヴィなギター、 ドラマティックで情感たっぷりな演奏は感動出来る。[86] A WINTER SUNSET... / EMPYRIUM 詳細は良く判らないが、ドイツの二人組の ブラック/ゴシック・メタル・ユニット。 オーケストラレーションを使った楽曲に、しゃがれてはいるが ブラック・メタル特有のスクリーミングといわゆるその手の 方向性なのだが、ボーカルのMARKUSは スクリーミングだけではなくて、TRISTITIAのような野太い憂欝な ボーカルを中心に使い分けているし、バックも シンセサイザーだけではなくて、ギターがかなり露出している。 これらの多用性が、楽曲にめりはりと変化を与えており、 壮大さを感じさせる。[86] NO LIMITS / LABYRINTH イタリアのプログレッシヴ・ヘヴィ・メタル・バンドで ミニ・アルバムに続く1stフルレンス・アルバム。 SANVOISENタイプで、系統的にはQUEENSRYCHEやDREAM THEATERと 言った方向になるが、DREAM THEATERほどプログレッシヴではなく ストレートで、もっとヨーロッパらしい哀愁を感じさせる。 メロディ的にはジャーマン・パワー・メタルに影響を受けたと 思わせるような節回しも少しある。イタリアのこの手の タイプでは、ボーカルが難点であることが多いが、JOE TERRYは ハイ・トーンの伸びも良いし、例外と言える。演奏力もあるし、 楽曲の出来も良く、新人としてはかなりハイ・レベルな作品だ。 [90] INTO THE UNKNOWN / MERCYFUL FATE シアトリカルなボーカリストKING DIAMOND擁する北欧の ヘヴィ・メタル・バンドの再結成後3作目のアルバム。 KING DIAMONDは自身のバンドと平行しての活動だが、それぞれ 独自性を持っている。KING DIAMONDが割と正統派的であるのに 対して、MERCYFUL FATEはシアトリカルで演劇的な ドラマティックさを見せている。今作ではシアトリカルさは 変わりないし扇情的ではあるがが、過剰な演出とまで 思わせるようなドラマティックさはそれほど過剰でなく、楽曲も 悪くないので、割と聴き易い作品になっている。KING DIAMONDの ハイ・トーンは相変わらずなので、これが駄目な人はやはり 苦しいだろう。[82] INTO COLD DARKNESS / VITAL REMAINS アメリカのブラック・メタル・バンドの4年振りの2ndアルバム。 方向的には、ブラック・メタル的な荒涼感を感じさせる様な メロディはあまり主流ではなく、変則的な進行の作品に 仕上がっている。ブラスト・ビートも用いたブルータルな サウンドで、CELTIC FROST風のダークなスラッシュ・メタルと 言った部分もあるが、この手の音楽を嗜好する人でなければ、 あまり受け付けないだろう。JEFF GRUSLINのボーカルは咆哮型の デス・ボイスに近く、強烈だ。全体的に楽曲、演奏に関しては、 この手としてはしっかりと作られているという印象があり、決して 悪い出来ではない。[78] SONGS OF LOVE AND HATE / GODFLESH 元NAPALM DEATHのJASTIN BROADRICK率いる、イギリスの ヘヴィ・インダストリアル・ロック・バンドの4thアルバム。 音楽的には、MINISTRYとは少し違い、ミドル・テンポ中心の 威圧感あるサウンドで、J.K.BROADRICKのボーカルは呪術的に シャウトする。新たにドラマーとしてB.MANTIAが加入しており、 生々しいインパクトのあるサウンドになっている。変化がないので 最後まで聴くのは少し辛いが、サンプリングに重ねたヘヴィな ギター・サウンドは独自の世界を構築しており、 おどろおどろしさを感じさせ、その世界観は圧巻だ。[82] SUPERSEXY SWINGIN' SOUNDS / WHITE ZOMBIE 3rdアルバムASTRO-CREEP:2000 SONGS OF LOVE, DESTRUCTION AND OTHER SYNTHETIC DELUSIONS OF THE ELECTRIC HEADをミックスしたもの。アルバム・タイトルを 変えているだけあって、大幅にリミックスされていて、 ボーナス・トラック辺りでついているような、ミックス違いとは 訳が違う。完全にテクノ調のヒップ・ホップになっていて、 サンプリング主体のサウンドは、ここまでやるかという 気にさせる。ヘヴィ・メタル的な要素は、ほとんど削げ 落としているので、ヘヴィ・メタル系の人にどれだけアピールする ものがあるか疑問ではある。発想は、これはこれで面白いとは 思うが。[79] UNTIL ETERNITY / MASTERMIND アメリカのプログレッシヴ・ロック・バンドの4thアルバム。 元々ヘヴィ・メタル的な要素も若干見え隠れしていたが、前作 TRAGIC SYMPHONY辺りからその傾向がさらに強くなったと思う。 最初はまるでANGLAGARDを思わせるような楽曲で始まるが、 Dreaming以降はヘヴィでドラマティックな シンフォニック・ロックだ。BILL BERENDSのボーカルだけは、 線が細いのでどうしてもヘヴィ・メタル的な感じを与えないが、 それ以外は十分範疇として聴き得る。壮大な雰囲気を持った 楽曲は、聴きごたえがあり美しい。[85] A GOOD, FIRM, MUSICAL SPANKING / CRY BABY アメリカのロック・バンドの恐らくデビュー・アルバム。最低の センスのアルバム・ジャケットに「頭がどうかなったと」という 日本語が飛び出し、Hotel Californiaのようなメロディが流れ 出したときはどうなるものかと頭を抱えたが、実際は メロディアスでキャッチーでポップなロック作品だ。哀愁を 感じさせる叙情的なメロディに、線は細いが扇情的な ハイ・トーン・ボーカルで、コーラスも含めて中々味のある サウンドを聴かせてくれている。楽曲は非常に古臭く、全体的に チープな感じのする作品だが、質自体は非常に高く、愁いのある メロディが好きならば結構聴けるはずだ。[85] POLARITY / HELLOISE オランダのヘヴィ・メタル・バンドの1986年にリリースされた 2ndアルバム。彼等のメロディ・センスの素晴らしさを感じさせる 作品で、全体的に良く出来ており、その出来は当時の オランダものとしてはVANDENBERGに次ぐバンドとして挙げて良い 位だ。哀愁漂う叙情的な美しいメロディは情感溢れ、それを表現 出来るだけの演奏力があり、素晴らしいアルバムに 仕上がっている。やや古めかしくてチープに感じる 部分もないではないが、セルフ・タイトルのHelloiseを始め、 名曲と呼べるだけの佳曲がずらりと並んでおり、正しく名盤と 言って良いだろう。[92] A FINE PINK MIST / JAKE E LEE 元OZZY OSBOURNE BANDの日系アメリカ人ギタリストの初の ソロ・アルバム。BADLANDSでVOODOO HIGHWAYを発表してから実に 5年、その動向が心配されたが、やっとソロ・アルバムが リリースされた。方向的には一部ボイスが入っているものの、 基本的にはギター・インストゥルメタンタルで、OZZY OSBOURNEや BAD LANDSのそれとはまた異色な作品だ。多分にブルージィな 部分があり、ハモンド・オルガン風の音を入れたりやや古めかしい 感じの作品で、ソロ作品としては面白いが、やはりどうせなら ボーカルが入ったアルバムが欲しい。[80] BURIED ALIVE / ANGLAGARD スウェーデンのプログレッシヴ・ロック・バンドによる3枚目の アルバムとなるライヴ盤。既にバンドは1994年に解散しており、 これはバンドとしての活動のほぼ最後頃となる1994年の PROGFEST'94での音源である。音楽的には、叙情的で シンフォニックな部分も持ちながら、よりヘヴィで複雑な 展開があり、どことなく物悲しく、扇情的で威圧感のある メロディがまた違った世界を描き出している。フルートや メロトロンを導入したサウンドは緊張感があって生々しいし、 演奏的なレベルは高くて、ライヴとは思えない完成度だ。[84] THE THRILL OF IT ALL / THUNDER イギリスのハード・ロック・バンドの4thアルバム。前作、 BEHIND CLOSED DOORSは非常に地味ながら、渋い素晴らしい アルバムだったが、今作ではむしろLAUGHONG ON JUDGEMENT DAYの 頃に若干揺り戻した感じがあり、前作で見せた渋さと地味さは 残しつつも、バラエティは少し豊かで、明るい曲調のものが増えた 様に感じられる。DANIEL BOWESのボーカルは、今作でも エモーショナルで素晴らしく、本当に上手いボーカリストと 言えるだけの技量を見せており、アルバムの出来がより映えたと 言って良いだろう。ただし、アルバム・ジャケットのセンスには 疑問を感じさせるが。[84] MARBLE ROSE / JACKLYN 詳細は良く判らないが、オランダのJACKLYNという女性ボーカルを 中心とする3人組のメロディアスなハード・ロック・バンド。 JACKLYNは少しハスキーで情感溢れる力強い、女性らしい しっとりとした声質の良いボーカリストだ。エッヂの立った ハードなギターに、キーボードの配分も良く、軽快なテンポで 印象深いメロディだ。ドラムは残念ながら打ち込みだが、 この内容ならば打ち込みは合わないだろう。全体的に メロディ・センスの良さが滲み出ていて、コーラスも良く 出来ているし、捨て曲がないとは言い切れないが、美しい ロック・アルバムに仕上がっている。[85] PRIMAL INSTINCT / ELEGY オランダのメロディアス・ヘヴィ・メタル・バンドの ミニ・アルバム。元VENGEANCEのボーカリスト、IAN PARRYが 加入してから初の音源となる作品で、新曲は一切なく、既存の アルバムからのナンバーをリメイクした アコースティック・アルバムになっている。ELEGYからすると、 VENGEANCE、ソロともっとポップな路線でやってきた ボーカリストだったので、その相性を心配したが、IAN PARRYには 無用なものだったと言って良いだろう。IAN PARRYの歌唱力の 素晴らしさを再確認すると同時に、次のアルバムを 期待させるだけのクオリティを保っている。[84] TOWERS / LANFEAR 詳細は良く判らないが、ドイツのメロディアスな プログレッシヴ・ヘヴィ・メタル・バンドのおそらく自費出版 デビュー盤。メンバーにバイオリン専任のメンバーを加えた 5人組で、楽曲は非常にメロディアスで正統的だ。哀愁の メロディを中心とした曲や、緊迫感のある曲、15分にも及ぶ組曲と アイデア的には非常に良いものをもっているのだが、残念ながら それを表現する上でアレンジ力の不足が見え隠れする。 センス的には良いものを持っているだけに、楽曲をもっと 練り込めば素晴らしい作品になるはずだ。次作以降に期待のおける 新人と言っていいだろう。[83] BEATING FROM ORLANDO / LEFT FOR DEAD 元BEGGARS AND THIEVESのBOBBY BORGを中心に、元SAIGON KICKの TOM DEFILE等を加えたバンドのデビュー盤。方向的には アグレッシヴでどことなくオルタナティヴ・ロックっぽい 部分もあるが、基本的にはラフでワイルドな ハード・ロックンロールだ。SAIGON KICKのデビュー盤辺りの 雰囲気に近いものがあり、パワフルでエキセントリックな EDDIE GOWANのボーカルもそれに良く合っている。終盤少しだれて 来て、最後まで勢いが続かないのが残念だが、それを除けば 全体的に良く出来ていると言って良いだろう。[80] NATURAL SURVIVORS / NIGHT WING 元STRIFEのGORDON ROWLEYが1980年に結成したイギリスの プログレッシヴなハード・ポップ・バンドで、これは1986年に ユーゴスラヴィアでリリースされた6thアルバムに再結成して 新たに録音された新曲を追加したもの。初期MAGNUMにおような ポップ・フィーリング溢れるプログレッシヴ・ロックという 感じで、ミドル・テンポ中心で変化に欠け淡々と進む感じがする。 6thアルバムに関しては非常に録音が悪く、それほど取り立てる 内容ではない。新禄に関してはもう少しエッヂのたった ハード・ロックンロールで、ポンプ・ロック的な部分は消え、 バンドとしての変質が伺える。[75] PRAY FOR RAIN / TIM FEEHAN カナダ人シンガー・ソング・ライターの5thソロ・アルバム。 アダルトでポップ・フィーリング溢れるロック・アルバムで、 方向的には元WISHBONE ASHのボーカリスト、O'RYANの ソロ・アルバム的な、しっとりと落ち着いた甘く爽やかな AOR作品だ。ヘヴィ・メタル系の人にどれだけ アピールするものがあるか判らないが、ハードなロック・アルバム 的なエッセンスもあり、楽曲は結構フックがあって、全体的に良く 出来ている。キャッチーなメロディをじっくりと 聴かせてくれるし、中々良いアルバムに仕上がっている。[83] WRITTEN IN THE SAND / MICHAEL SCHENKER GROUP UFOを再び脱退した、ドイツ人ギタリスト、MICHAEL SCHENKER 率いるハード・ロック・バンドの復活第一弾となるアルバム。 ボーカリストに、アルバム一枚で解散してしまったスウェーデンの GREAT KING RATのLEIF SUNDINを迎えているが、実力的には申し 分なく、今までのボーカリストとはタイプが違いソウルフルな 歌声で、バンドとして新味を加えている。全体的に明るいが泣きの メロディがそこかしこにあり、いかにもMICHAEL SCHENKERらしい 部分がある。非常にリラックスした雰囲気があり、緊迫感は 感じられないが、悪くない作品だ。[82] TIES OF FRIENDSHIP / BRANDED ドイツのハード・ロックンロール・バンドの1994年に リリースされた自費出版の恐らくデビュー盤。ボーカルの JERRY FATHは高音がBRIAN JOHNSON、中低音がANDY DERISの様な 声質で、節回しによってはAXEL ROSEの様な感があったりと、 非常に個性的な歌唱を聴かせてくれている。ヘヴィでラフで ワイルドなサウンドだが、軽快でテンポ良くグルーヴィだ。 全体的に曲調は明るく、キャッチーなメロディを主体としている アメリカナイズされたハード・ロック作品だ。 プロダクションもまずまずだし、元気溌刺とした楽曲、演奏と 総じて悪くない。[80] END OF ALL DAYS / RAGE ドイツのパワー・メタル・バンドのアルバム。実にRAGEらしい 魅力に溢れたアルバムだ。うまいというタイプではないが、 PEAVYの特徴的な情感のある力強いボーカルが良く生きている。 厚みのある演奏に、パワフルで寂涼感と扇情感のある印象的な メロディが疾走する楽曲も良い出来だ。ほぼ3、4分台の楽曲で 占められており、冗長な部分がなく聴き易いのも良いし、演奏は 生々しく録音されており、ドラマティックさを生かしていて 効果的だ。RAGEはそのスタイルというものを確立しているが、 その一つの世界の中でもさらに素晴らしい作品を作ったと 言えるだろう。全てにおいて、RAGEの最高傑作と言ってよい 出来だ。[90] THELI / THERION もはやデス・メタルとは呼べなくなったスウェーデンの メロディアス・ヘヴィ・メタル・バンドの5thアルバム。 前作辺りからデス・メタルを脱した感があったが、この作品では さらにその方向を進め、遂に新たな世界を築くにいたった。 ボーカルは完全にノーマルなものへと化しているが、それを大胆に 削り、男女混声のオペラティックなコーラス隊が半分以上占める 荘厳な世界観を呈しており、その耽美なまでに美しく叙情的な サウンドで彼等は新しい可能性を切り開いた、金字塔とも言える 作品だ。ボーナス・トラックで意外にもSCORPIONSの FLY TO THE RAINBOWをカバーしているが、同時に CHRISTOFER JOHNSSONらしい選曲とも言える。ラストでコーラスに 持っていくのも実にらしいアレンジだ。残念なのは、これらの コーラスをライヴでは到底完全には再現出来ないだろう事だが、 とにかく傑作だ。[95] COSMOGONY / HELLOISE オランダのメロディアス・ヘヴィ・メタル・バンドの1985年に リリースされたデビュー盤。哀愁度では次作に劣るが、 よりキャッチーなメロディの叙情的な格好の良い ヘヴィ・メタルだ。録音状態も良く、名声は同時代のBISCAYA 等には劣るが、出来は遥に上だと言える。楽曲の出来も含め、 全体的に良く出来たアルバムに仕上がっている。楽曲の練りがまだ 甘く感じる部分もあるのだが、Broken Heartsといった佳曲を 始め、卓越したメロディ・センスはこの作品でも十分に 発揮されているし、適度にフックがあって聴きごたえもある。[85] LIFE AFTER DEATH / LIFE AFTER DEATH アメリカのヘヴィ・メタル・バンドのアルバム。ARMORED SAINTの 元ドラマー、GONZO SANDOVALを中心としたニュー・バンドだが、 このアルバム制作後GONZOは脱退し、バンド名も変えて現在は 活動している。とは言っても、このアルバムではGONZOはあまり 曲作りに関係していないので、たいした影響はないだろう。 明らかにTHIN LIZZYを意識したサウンドに楽曲で、 ギター・ハーモニーやボーカル・ラインがそのもの言っても差し 支えのない部分がそこかしことある。それでいてCREAMの Sunshine Of Your Loveまでカバーしてしまうところなど圧巻だ。 オリジナリティは全く感じられないが、アイデアは買えるし 悪くないアルバムだ。[80] DEMOLITION / DUNGEON オーストラリアのヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。 扉が開く音に“Welcome To The Dungeon”という冗談のような セリフで始まり、1980年代のいかにもという臭い楽曲群に、酷い 録音状態と、ここまで再現せずともと思わずにいられない。 キャッチーな歌メロで、哀愁感を漂わせる楽曲も良く 出来ているし、演奏も悪くないので、1980年代のヨーロッパの 臭い、正統派ヘヴィ・メタルが好きな人には必ず訴える物が あるだろう。ベース・ライン等には、明らかにIRON MAIDENを 意識した部分がある。BLONDIEのCall Meをカバーしているが、 まぁ御愛敬というところか。録音だけは、もう少し金をかけた方が 良い。[85] WHITE VISION / WHITE VISION 元POINT OF POWERのKENNEE LONEY、PRISMのDARCY DEUTSCH、 ANDY LORIMERらで結成されたカナダのプロジェクト・バンドの デビュー盤。キャッチーなメロディ・センスを備えたバンドで、 ミドル・テンポ中心の、爽やかなものから、哀愁味を 漂わせるものまで、飛抜けた楽曲はないものの粒は揃っている。 演奏、プロダクションも問題ないし、楽曲も含めて全般的に良く 出来たアルバムだ。LONG ISLAND RECORDSらしいポップな作品で、 ハードさも持っている。DARCY DEUTSCHのボーカルは エモーショナルで、こう言うアルバムでは効果的だ。[81] RATS / PANRAM ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの2ndアルバム。方向的には、 いわゆるQUEENSRYCHEタイプと言えるバンドで、扇情的で ドラマティックなサウンドは前作の延長線上にある。非常に硬い 音作りをしており、鮮烈過ぎるほどだが、それが災いしてか ボーカルが少し浮いている様に感じるし、メロディの叙情さの 印象を薄くしている。ただし、ドラマティックさという点に 置いては前作を凌ぐ出来にはなっていると思うし、より ヘヴィ・メタル然としたアルバムに仕上がっている。 プロダクション的に工夫すれば、もう少し良い作品に 出来たのではないかとも思うのだが。[82] TRA / HEDNINGARNA スウェーデンのラジカル・トラッド・バンドの1994年に リリースされた3rdアルバム。Tass'on Nainenでの呪術的な 呪文の繰り返しの様な歌には、思わず背筋が ぞくぞくとさせられるものがある。SANNA KURKI-SUONIOと TELLU PAULASTOの二人の女性ボーカルの呪術的な掛け合いは実に 素晴らしい。民族音楽的なベースを持ちながらも、こう言った 異質感でオリジナリティをもたらしている。バイオリンや 民族楽器の使い方も実に効果的で、そのサウンドの処理も 見事だ。アイデアは素晴らしいし、それを実に上手く 表現しており、素晴らしいアルバムに仕上がっている。[90] SUPERSONIC SHRED MACHINE / JOE STUMP JOE STUMP'S REIGN OF TERRORのバンド名義のアルバム、 NIGHT OF THE LIVING SHREDからわずか半年でリリースされた 3rdソロ・アルバム。どういう経過かは判らないが、 JOE STUMP'S REIGN OF TERRORとはJOE以外メンバーが違うので、 バンドとは全く独立した活動なのだろう。ソロ名義と言うことで ギター・インストルゥメンタル・アルバムになっていて、 ボーカルを入れるかどうかで、バンドとの差別化を計るのかも 知れない。今やYNGWIEよりもYNGWIEらしいネオ・クラシカル 路線で、これまでよりさらにエモーショナルさを押し出した ギター・プレイだ。最近のYNGWIEに落胆するならばこの人の アルバムを聴けば良いだろう。但し、楽曲の練りという点では これまでの作品より一歩落ちる。[80] EYE OF THE STORM / BRAZEN ABBOT 元BLATIMOREのギタリストNIKOLO KOTZEVによる プロジェクト・バンドの2ndアルバム。ボーカルには前作同様 THOMAS VIKSTROM、GORAN EDMANが参加しており、GLENN HUGHESに 代わって新たにJOE LYNN TURNERが参加している。 ヨーロッパらしい叙情感を持つ格好の良いアップ・テンポの ナンバーを中心にバラードを含めて方向的には大きな 変化はないが、残念ながら楽曲自体は前作に一歩譲るが、それでも 十分良い出来だ。GLENN HUGHESの超絶的なボーカルがない分少し 寂しいが、GORAN EDMANなどは良く歌えている。[82] HUMAN CLAY / HUMAN CLAY 理由は定かではないが、TALISMANが活動停止を 余儀なくされている中でのMARCEL JACOBとJEFF SCOTT SOTOによる ニュー・プロジェクト。ボーカル以外はゲストのギタリストを 除いて全てMARCEL JACOBが担当しており、正に プロジェクトとしての体裁を保っているが、内容は TALISMANとして発表しても可笑しくない曲も多く、何故こういう 形態でのリリースとなったのか興味深いところだ。YNGWIEが ゲストして参加しているJealousy等は、むしろYNGWIEらしい曲に 仕上がっているし、Outside Lookin' Inは如何にもRAINBOW的な フレーズが飛び出すし、TALISMANとは趣を異にする部分も多く、 プロジェクトである部分を意識しての事かも知れない。 JEFF SCOTT SOTOのソウルフルなボーカルは相変わらず素晴らしい。 [85] TRUE BRITS 3 / V.A. FAST WAYのボーカリストでN.W.O.B.H.M.関連ではちょっと名前の 知れたLEE HEARTのソロ・プロジェクトの第3弾。FAST WAY、 その他で関わるものが全てつまらないという状況がずっと 続いたので今更なのだが、このアルバムでは全曲とまでは 言えないものの、良質のキャッチーなハード・ポップ・ナンバーが 数多く存在しているのだ。MICK WHITEが書いて自身で歌っている 3曲は中々の出来なので、彼がソロ・アルバムを作れば結構良い 作品を作るのではないだろうか。それ以外にもLEE HEARTが 書いている曲でもI Just Wanna Be Free等は良い曲だ。 LEE HEART自身は2曲しか歌っておらず、ボーカリストとしては SAMSONのMICK WHITEの他にはGIRLSCHOOLのJACKIE BODIMEAD、 PAUL DIANNO、DENNIS STRATTON、FMのSTEVE OVERLANDが 参加している。[85] PARADIGMA / TAD MOROSE スウェーデンのパワー・メタル・バンドで2ndアルバムに続く、 ミニ・アルバム。前作でやや方向的に変化がみられたが、 MEMENTO MORIのMIKE WEADがプロデュースした成果か、1stで見せた ヘヴィなサウンドに戻っており、さらにドゥーミィな重々しさを 加え重厚なサウンドを作り出す事に成功している。故に 2ndからすると随分シンプルな構成になっているが、 このバンドにはむしろそういう方向があっている。2ndでは線の 細さが気になったKRISTIAN ANDRENのボーカルもこういった 方向には合うのか、さほど気にはならない。楽曲の出来も 今までより良くなっているので、この作品は彼等の作品としては 最高と表して良いだろう。KRISTIANはこれが縁でか、 MEMENTO MORIに移籍してしまったので今後が心配される。[86] HEAVY METAL HUNTER / METALUCIFER 日本のブラック・メタル・バンド、SABBATのGEZOLUCIFERによる プロジェクト・バンドで、フルレンス・アルバムの未収録曲、及び 日本語バージョンからなるミニ・アルバム。1980年代の ヨーロピアンB級メタルと言える辺りを忠実に再現したと 言えるもので、臭いほど叙情感漂うドラマティックな内容は もちろんの事、録音状態の悪さ、ボーカルの質までそのままで、 良くぞここまでやったと関心する。完全に趣味の世界で作ったと 言う感じの作品だが、これはこれで面白い。日本語バージョンは あまりにも臭すぎて、ここまで来ると少しついて行けないが。[74] ARE YOU EXPERIENCED / JIMI HENDRIX 一大センセーションを起こしたアメリカの黒人ギタリストによる 1967年にリリースされたデビュー盤。楽曲はアメリカ盤と 同じもので、Purple Haze、Hey Joe、Foxy Ladyといった名曲群が 収録されており、これを聴くだけでも価値がある。その後、多くの ギタリストに影響を与えた、非常にエモーショナルな ギター・プレイは情感と迫力を感じさせ、一つのスタイルを 確立している。そして、そのプレイを生かせる楽曲を作れる 才能があってこそのアルバムだと言えるだろう。ハードで ブルージィなロック・アルバムで、ハード・ロックの源流が 聴かれる。[90] THIS IS THE LAZY / LAZY LOUDNESSの高崎晃、樋口宗孝らを擁した日本の アイドル・グループの1978年にリリースされたデビュー盤。 アイドルと言うその通り、まさしく全編歌謡曲という内容で、その 後のLOUDNESSに通ずるようなヘヴィ・メタル的な部分は全くない。 赤頭巾ちゃん御用心といったヒット曲も収録されているが、 ヘヴィ・メタル的な観点からは全く聴く必要のないアルバムで、 そういう面での評価も不可能だ。派手な演奏も全くないので、 高崎晃や樋口宗孝の昔のプレイを聴けると言うだけで、どれだけの 価値が見出せるかは謎だ。[?] MASTER OF THRASH METAL!! / SODOM 今、手元にないし、良く覚えていないので何とも言えない。 BEST II / ANTHEM 日本のヘヴィ・メタル・バンドによる1992年にリリースされた 2枚目のベスト盤。1枚目のベスト盤を出してそれ程たっていない 事もあり、選曲的には1枚目のベスト盤のおこぼれ的で、内容的に 劣るのは致し方ないと言ったところだろう。硬質でパワーのある サウンドは迫力を感じさせ、各曲ともそれなりに良く 出来てはいるが、ベストというには核となる名曲と呼べるに足る 楽曲が見当たらないのが何とも寂しい。そういう意味からも、何故 このベスト盤をリリースしたのか理解に苦しむところだ。 ベスト盤と言うには弱い気はするが、単体で取ってみるとそれほど 悪い作品ではない。[76] SENTENCE OF DEATH + INFERNAL OVERKILL / DESTRUCTION スラッシュ・メタル・シーン初期より活動するドイツのバンドで、 これは1984年にリリースされたデビュー・ミニ・アルバムと 1985年にリリースされた1stフルレンス・アルバムを カップリングしたもの。デビュー・ミニ・アルバムである SENTENCE OF DEATHでは、混沌としたサウンドに疾走する スピード感を持っており、ほとばしるエネルギーを感じさせるが、 いかんせん荒削りで楽曲が練れておらず、アイデアを 具現化するだけの力量がまだ備わっていない印象を受ける。 INFERNAL OVERKILLでは楽曲はより複雑になりアグレッシヴな 感じを与えるに至っている。その分取っ付きにくさもあり、 アイデア的には面白いのだが、楽曲に今一つ面白味に欠けるのが 難点だ。SCHMIERの平坦で抑揚のないボーカルがここでは 災いしている。[76] THE BUTTERFLY BALL + WIZARD'S CONVENTION / THE BUTTERFLY BALL, WIZARD'S CONVENTION DEEP PURPLEのメンバー達が関わった2枚の プロジェクト・アルバム、THE BUTTERFLY BALLと WIZARD'S CONVENTIONをカップリングしたもの。 THE BUTTERFLY BALLはDEEP PURPLEを脱退したROGER GLOVERが、 絵本のサウンド・トラックを作成した物で、GLENN HUGHESや DAVID COVERDALEも参加しているが、ここで興味深いのは RAINBOW加入前のRONNIE JAMES DIOが3曲歌っている事だろう。 イメージ・アルバムという事で、ハード・ロックとは掛け離れた 内容であるだけに、そういうものを期待していると必ず外すし、 それぞれのボーカルは興味をそそるが、コレクターズ・アイテムを 越えることは決してない。WIZARD'S CONVENTIONはもっと ロック的でこちらの方が聴けるだろう。EDDIE HARDINの ソロ・プロジェクトで、DAVID COVERDALE、ROGER GLOVER、 GLENN HUGHES、JOHN LORDを始め、IAN GILLAN BANDのメンバー等も 参加している。[79] THE GRAVEYARD / KING DIAMOND MERCYFUL FATEと二足のわらじを履く、KING DIAMONDの自己の バンドの6thアルバム。今回も一つのストーリーからなる コンセプト・アルバムで、KING DIAMONDのシアトリカルさを より押し出した作品となっている。演劇的なその内容はさらに 押し出されており、独自の世界を作りあげている。ここで 問題となるのはやはりKING DIAMONDのそのボーカルだろう。 大袈裟でヒステリックなハイ・トーンは聴く者を選ぶが、 それこそがKING DIAMONDの持ち味であり、演劇的な効果を 強めている。楽曲は展開と起伏に富み、狂気じみた世界は他では 決して聴くことが出来ないものだ。[82] BLACK EARTH / ARCH ENEMY 元CARCASSのギタリストMICHAEL AMOTT率いる デス/スラッシュ・メタルのニュー・バンド。 SPIRITUAL BEGGARSではデスとは全く無縁のブルージィな ハード・ロックをやっていたが、それから揺り返すかのような 攻撃的な内容だ。バックはデスというよりは スラッシュ/パワー・メタルという風情で、MICHAELの クラシカルなギターは叙情的ですらある。リフも割と印象的で 格好が良く、CARCASSよりはむしろ一般受けしやすい 内容だろう。IRON MAIDENのThe Ides Of Marchが ボーナス・トラックが収録されているが、何故この曲にしたのかは 謎だ。[85] SLIPPIN' INTO FICTION / STS 8 MISSION ドイツのパワー・メタル・バンドによる1982年にリリースされた 2ndアルバム。HELLOWEENのようないわゆる ジャーマン・パワー・メタルのような大仰さはそれほど強く 感じない。デビュー・アルバムよりは格段に プロダクションは良くなっているが、楽曲の出来は平均的で 飛抜けたものがなく、印象に強く残すに至っていない。Stay等は 良い曲だとは思うが、スピード・チューンにもっと卓越した曲が 欲しい。端々にちりばめられているメロディは決して悪くないし、 出来自体は一応のレベルには行っていると思うが。[80] FREEDOM CALL / ANGRA アルバム未収禄曲、未収禄バージョンからなるミニ・アルバム。 実質的な新曲はタイトル・トラックのFreedom Callだけで、 もう一曲のアルバム未収禄曲Reaching Horizonsはデビュー前の デモ・テープに収録されたものを録音しなおしたもので、この デモのバージョンはアメリカのファン・クラブ用にリリースした アルバムに収録されている。このANDRE MATOSがしんみりと 歌いあげるバラードのReaching Horizonsは聴きごたえがある。 Queen Of The Nightは日本盤のHOLY LANDに ボーナス・トラックとして収録されていたものを リミックスしたもので、オーケストレーションを加えている。 Stand Awayはアコースティック・ギターと オーケストレーションによるバージョン。Pain Killerは既に JUDAS PRIESTのトリビュート・アルバムに収録されているもので 特に取り上げるものはない。[82] BLONDE AND BEYOND / BLONDIE アメリカのロック・バンドの1993年にリリースされた レア・トラック集。女性ボーカリストDEBORAH HARRYを擁し、 ビルボードの年間チャートでもトップになった名曲中の名曲、 Call Meで知られるバンドの未発表曲、未発表バージョンを集めた マテリアルだ。全体的にポップなもので、多くの曲はメタル系の 人にはあまりなじめないものだろうが、ここで貴重なのは Call Meのスパニッシュ・バージョンとT-REXのカバー Bang A Gong(Get It On)。スパニッシュ・バージョンと言っても 別に巻き舌という訳ではなく、それほど違和感はない。[75] IN MEMORY / NEVERMORE 元SANCTUARYのWARREL DANE率いるパワー・メタル・バンドの デビュー・アルバムに続くミニ・アルバム。方向的には今一つ 乗り切れなかった1stアルバムと同じで、この ミニ・アルバム自身もなんとなく煮え切らない。但し、 MatricideはWARRELのボーカルが生きた、ドラマティックな佳曲で その次のIn Memoryのイントロ辺りまでの流れは素晴らしい。 全体的にWARRELの扇情的なボーカルは相変わらず聴きごたえが あるのだが、どうもそれを生かす曲が少ない様に感じる。それでも まだ1stアルバムよりはさまになってきているとは思うが。[80] WAR MASTER / BOLT THROWER イギリスのデス・メタルの1991年にリリースされた3rdアルバム。 JO BENCHという女性ベーシストを擁する珍しいバンドだが、 サウンドの方はいかにもデス・メタルと言った感じだ。方向的には グラインド・コア系統と言う感じではあるが、ブルータルさは 感じるものの、ブラスト・ビートはそれほどメインに打ち 出してはいない。メロディも割合はっきりしており、この 手のものとしてはスラッシュ・メタル色が強く、聴き易い 方だろう。KARL WILLETTSのデス・ボイスは咆哮型だが、奥に 引っ込んでいてあまり前面に出ているような感じではないのでそれ 程気にならない。[78] CHEMICAL INVASION/THE MORNING AFTER / TANKARD ドイツのスラッシュ・メタル・バンドの1988年にリリースされた 2ndアルバム、CHEMICAL INVASIONと1989年にリリースされた 3rdアルバム、THE MORNING AFTERをカップリングして CD化したもの。楽曲は非常に荒々しく、良い出来だとは言い 難いが、ハード・コア風なスピーディなリフが妙に迫力を醸し 出しており、パワーと勢いは十分に感じられる。とにかく速い とにかくスラッシュ・メタルが好きだと言う分には 悪くないだろう。3rdアルバムでは幾分プロダクションが 良くなっているが、基本的には2ndアルバムと大きな変化はない。 [76] EMBEDDED / MEATHOOK SEED NAPALM DEATHのMITCH HARRISとSHANE EMBURY、OBITUARYの TREVOR PERESとDONALD TARDYによるプロジャクト・バンドが 1993年にリリースしたアルバム。ギタリストのTREVOR PERESが ボーカルを取っているが、かなり機械処理された デス・ボイスなので、その実力振りは謎だが、 聞き苦しいものではない。インダストリアル的なエッセンスが かなり強く、楽曲自体はデス・メタル的でもあり、 ヘヴィネス的でもある。全体的にブラスト・ビートというような 速さは感じないし、かなり機械処理されていて割と聴き易い サウンドになっている。[77] HEAVY METAL DRILL / METALUCIFER 日本のブラック・メタル・バンド、SABBATのメンバー等による ヘヴィ・メタル・プロジェクト・バンドの1stフル・アルバム。 如何にも1980年代のヨーロッパB級メタル風と言った感じの 作品で、大仰で臭いメロディはもとより、チープなサウンドまで すっかり再現している。この手のものが好きな人ならともかく、 それ以外の人にどれだけ訴えるものがあるかは謎だが、 ノスタルジックな雰囲気は味わえる。全く趣味の世界と 言ったところで、そういう楽曲を聴いてきた人たちには 郷愁をそそるアルバムに仕上がっている。[81] AXIS:BOLD AS LOVE / JIMI HENDRIX EXPERIENCE 知る人ぞ知るアメリカ人スーパー・ギタリスト率いるバンド、 EXPERIENCEによる1967年にリリースされた2ndアルバム。デビュー盤に 比べるとよりサイケデリックでエキセントリックな内容で、特に スローなナンバーに優れた楽曲が多い。ERIC CLAPTONもカバーした 名曲、Little Wingは素晴らしいバラード・ナンバーだ。 Purple Haze、Hey Joe、Foxy Ladyが収められていた デビュー盤よりは知名度の高い曲は少ないかも知れないが、十分にその 魅力は堪能出来る。ただ、ヘヴィなナンバーが少ないので、 ハード・ロック系のリスナーには少し物足りなく感じるかも 知れないが。[83] VIRUS 100 / V.A. 1992年にリリースされたアメリカのパンク・バンドの トリビュート・アルバム。参加しているバンドのうち、パンク側の バンドに関しては置いておいて、メタル的なトピックスとしては NAPALM DEATH、SEPULTURA、FAITH NO MOREらが 参加している事だろう。これらのバンドにはパンク的な アティチュードがあり、その参加は決して不自然な感じはしない。 SEPULTURAはまさにらしい味付けを施してあり、NAPALM DEATHも 良く特色が出ている。この二つのバンドに関しては高速で、 スラッシィな展開が聴ける。FAITH NO MOREに関してはクレジットを 見なければ判らないだろう。メタル側の人間からすると、これを どれだけ楽しめるかは謎だ。[75] BLITZKREIG ON BIRMINGHAM '77 / MOTORHEAD イギリスのハード・ロック・バンドの1993年にリリースされた ライヴ盤。デビュー当時のBIRMINGHAMで行われたライヴを中心とした 音源をCD化したものだ。音源的には致し方ないのかもしれないが、これ 位の長さのものとしては、途中で繋いでいるのも難点だし、何よりも 音質が酷すぎる。ブートかと思うほどの音質の悪さは どうしようもないとして、内容的にはレパートリーはほとんど デビュー盤からで、MOTORHEADの中でも割とロックンロール色がより 強いライヴ盤となっている。珍しいとすれば The Train Kept A-Rollin'のカバーをやっている事だろう。[70] MUSICAL CHAIRS / SAMMY HAGAR 1977年にリリースされたVAN HALEN加入前のソロ時代の 3rdアルバム。MONTROSE、ソロの初期に比べ大分 ハードよりになってきてはいるが、その後に比べればまだまだ ハード・ロックというには至っていない。ソロ時代のVOA等を 期待すると肩透かしを喰うかもしれない。全てにおいてそうという 訳ではなくて、Reckless等のようなハードでドライヴィンな、 いかにもSAMMYらしいナンバーもあり、むしろ後々への過渡期的な 作品と言った方が良いだろう。[77] INSPIRATION / YNGWIE MALMSTEEN YNGWIE MALMSTEENは確かに素晴らしいギタリストだが、どうも 彼の作る曲にこれは凄いと感じる事が出来るものがない。もちろん 良い曲だと思う曲はあるし、パターン的に狭い世界なので、 新鮮味を持って聴かせるのが難しいと言うのもあるが、特に前作 MAGNUM OPUSは酷い出来だったと思う。今回、名曲と言える楽曲の カバー・アルバムを集めれば、問題は演奏の方になるのだが、 JOHANSSON兄弟を始め、過去に分かれた実力の確かな人たちが 参加しているのでさして文句を付けるものもないと言うものだ。 ボーカリストとして参加している、JEFF SCOTT SOTO、 MARK BOALSの歌唱も非常に素晴らしい。自作の曲でもこれだけの アルバムを作れればたいしたものだが。[86] PLANET E. / HEAVENS GATE 4年振りの4thアルバムとなる ジャーマン・パワー・メタル・バンドの新作。前作は ジャーマン・パワーメタル的な色彩ながらも、その楽曲の クオリティの低さが気になったが、今回は4年間という インターバルもあってか、十分楽曲が練られているように思える。 メロディはいかにもジャーマン・パワー・メタルらしい 良質のものだが、それだけにとらわれていない、かなり自然な 雰囲気に仕上がりになっており、平均的に良く出来た アルバムになっている。ボーナス・トラックはJUDAS PRIESTの トリビュート・アルバムに収録されたもので、さして 面白いものでもない。[84] OCTOBER RUST / TYPE O NEGATIVE アメリカのゴシック・ロック・バンドの3年振りとなる 4thアルバム。ゴシック・メタルに通ずる、その耽美でヘヴィな サウンドは憂欝だが、ゴシック・メタル一般に感じさせるような 陰鬱さは無く、一種独特の雰囲気を持っている。大幅に 機械処理されたスローな楽曲は、けだるさを漂わせながらも 官能的で聴く者の心を捉える。決してヘヴィ・メタルの土俵の 上だけで語られる内容ではないが、ヘヴィなギターと重厚な サウンドはヘヴィ・メタルのファンにも十分訴えれるものを 持っている。NEIL YOUNGのカバー、Cinnamon Girlも彼等が カバーすると、如何にもらしいものに仕上がっている。[88] END OF THE WORLD/NO WAY OUT / GASKIN N.W.O.B.H.M.のバンドで1981年にリリースされた デビュー・アルバムEND OF THE WORLDとその翌年にリリースされた 2ndアルバムNO WAY OUTをカップリングしたもの。日本では それぞれボーナス・トラック入りでリリースされており、 こだわるならそちらを手に入れるべきだろう。そのサウンドは N.W.O.B.H.M.のバンドとしては、Man Of Coloursのような プログレッシヴ然とした曲はないが、LIMELIGHTと並んでもっとも プログレッシヴ的指を持っているで、LIMELIGHTよりはさらに ヘヴィな内容だ。特にEND OF THE WORLDはこの手の バンドとしては御多分に洩れず録音状況は最低だが、名作と言って 良い作品で、Sweet Dream Makerを始め、哀愁を感じさせる美しい メロディアスな佳曲が揃っている。NO WAY OUTではよりシンプルで タイトな方向に向かっており、1stの劇的なメロディアスさが影を 潜めており、音質は向上しているが、内容的には落ちる。[86] 2000! / DAN LUCAS 詳細は良く判らないがアメリカのシンガー・ソング・ライターの ソロ・アルバム。ハードでソリッドなアメリカン・ロックだが、 ヘヴィ・メタル系ではおなじみのメンバーが多数参加している。 ギターには元ALICE COOPERのKANE ROBERTS、REB BEACH、 MICHAEL LANDAU、MICHAEL THOMPSONやソング・ライティングでは DESMOND CHILD、先頃ソロ・アルバムを発表したMARK SPIRO等の 名前がクレジットに見える。素朴でアダルトな曲が並ぶが、 味付けは結構ハードだし、DAN LUCASの力強い歌唱も一層その感を 強くしている。全般的に良く出来た味のある良質の ロック・アルバムだ。[84] FOOL'S GAME / MORDRED アメリカはベイエリアのミクスチャー・ロック・バンドの1989年に リリースされたデビュー・アルバム。後にはもっとヒップホップ、 ファンクへの傾倒が大きくなった印象があるが、ここで聴かれる サウンドは明らかにスラッシュ・メタル、ハード・コアを サウンドの軸としたアプローチであり、ミクスチャー的な印象は あまり受けない。唯一ミクスチャー的なアプローチを 行っているのは、スクラッチを取り入れ、ラップ的に歌う Super Freak位だろう。MEGADEATH程複雑さは 持ち合わせていないが、若干そういった印象を受ける。[79] BURIED SECRETS / PAIN KILLER JOHN ZORN、BILL LASWELL、MICK HARRISによるバンドの1992年に リリースされた2ndアルバム。GODFLESHのメンバーをゲストに 迎えており、ジャンル的にはデス・メタルになるのだろうか。 如何に不快な音を出すかを考えている様なそのサウンドは、 はっきり言って理解不能だし、特にJOHN ZORNのそのサックスに 譜面等というものが存在するならば見てみたいような、無秩序な 音の羅列を音楽等とあまり言いたくないし、聴いていると頭が 痛くなってくる。デス・メタルと言ってもあまりに前衛的過ぎて、 これを楽しめるという人はほとんどいないと思うのだが。[0] BEST / ANTHEM 日本のヘヴィ・メタル・バンドによる1990年にリリースされた 初のベスト盤。選曲的にも彼等の代表的なナンバーと言えるもので 問題無いし、彼等の入門用としてはちょうど良いアルバムだろう。 全10曲中8曲の歌詞が日本語なので、ジャパニーズ・メタルは ちょっとと言う人もいるだろうが、そういう先入観なしで 聴いてもらいたい位のレベルにはあり、海外の下らない バンドよりは遥に出来は良いし、いかにもヘヴィ・メタル然とした 楽曲は今聴くと中々新鮮だ。適度にメロディアスで、適度に 攻撃的で中々良いバンドであったと改めて思えるだけの内容だ。 [83] THE IVTH CRUSADE / BOLT THROWER イギリスのデス・メタル・バンドの1993年にリリースされた 4thアルバム。KARL WILLETTSのデス・ボイスは、ダミ声と言う レベルでそれ程癇に障らないし、ブルータル系としては最も スラッシュ・メタルに近いので、かなり聴き易い作品だと 言えるだろう。スラッシュ・メタル、パワー・メタル的なヘヴィな リフとメロディは前作より顕著になり、ブラスト・ビートも 特になく、この手のものとしては一般のファンでも割と聴ける 内容ではないだろうか。重厚なサウンドは迫力があり、録音、 演奏、楽曲を含めて全体的に出来は悪くない。逆にこれと 言ったものがないので、全体的に安心して聴ける作品だが、 今一つ物足りなく、煮えきらなさを感じる。[78] SYMPHONIES OF SICKNESS / CARCASS 解散したメロディック・デス・メタル・バンドの大御所の 1988年にリリースされたデビュー・アルバム REEK OF PUTREFACTIONと1989年にリリースされた2ndアルバム SYMPHONIES OF SICKNESSをカップリングしたもの。まだ後々に 見せるメロディックな要素はほとんど見えず、NAPALM DEATH時代と さして変わらないグラインド・コア的なブルータルな作品だ。 一般にはとても受ける作品ではないし、HEARTWORK以降を 期待するなら決して聴かない方が良いだろう。病的なその サウンドはコアなファンにしか受けそうにない。[34] DRAGLINE / PAW アメリカのハード・オルタナティヴ・ロック・バンドが1993年に リリースしたデビュー盤。その根底に流れるものは、 ハード・ロック、ヘヴィ・メタルとはまた異なるものだが、 ヘヴィなエッヂの効いたサウンドは重厚だ。パンチはあるが、 何となくダークさがあってストレートでないのがユニークだが、 一方でそれが聴きづらかったりもする。楽曲は、その重厚さと 軽快さを織り混ぜながら進み、そのリフを含めて如何にも オルタナティヴ・ロックらしい楽曲になっている。アイデア的には 悪くないと思うが、ヘヴィ・メタル系のリスナーには楽曲的に 趣味に合わないかも知れない。[74] ELECTRIC LADYLAND / JIMI HENDRIX アメリカ人ギタリストの1968年にリリースされた3rdアルバム。 EXPERIENCE名義としては最後となる2枚組のアルバムを デジタル・リマスターしたものだ。STEVE WINWOOD等の多数の ゲストが参加しているが、サイケデリックでファンキーな ブルーズ・サウンドは相変わらずだ。15分にも及ぶ ジャム・セッションをそのまま収録したVoodoo Chileの生々しい 臨揚感は圧巻で、特にその魅力を発揮している。年々 ファンキーさが増しており、初期のPurple HazeやHey Joe、 Foxy Ladyと言ったハードな部分が減退しているので、 ハード・ロック系のリスナーには幾分寂しい作品だろう。[82] HEADING FOR THE DREAM / SCAM LUIZ ドイツのハード・ロック・バンドの1992年にリリースされた デビュー盤。方向的には、ミクスチャーとも言える様な ファンキーでラテン色の強い明るいサウンドが中心の 作品になっている。メロディは非常にキャッチーで、楽曲ののりも 跳ねた感じで、グルーヴィな中々面白いものに仕上がっている。 Power Of Loveの様なしっとりと落ち着いた曲もあり、決して 一本調子ではないのが好感が持てる。その演奏は非常に テクニカルで、3人編成ながらサウンドの薄さは微塵も 感じさせず、レベルの非常に高いアルバムに仕上がっている。[84] STONE COLD SOBER / TANKARD ドイツのスラッシュ・メタル・バンドの1992年にリリースされた 7thアルバム。方向的にはそれまでとなんら変わりなく、 パンキッシュで単調なサウンドは、ほとんどワン・パターンと 言ってしまって良い位だ。コアで攻撃的な方向性は、狙いとして 悪くないと思うのだが、もう少し工夫が欲しいところだ。Mindwild 等を一部を除けば楽曲は変化が乏しいので、どうやっても飽きは 来るが、楽曲は扇情的で、そのパワーはストレートに伝わって 来るのはまだ評価できる。J.GAILS BANDのカバーCenterfoldは流れ 的に少し違和感を感じるが、個性的にはそれほど悪くない選曲だ。 [75] ARMED AND DANGEROUS / ANTHRAX デビュー・アルバム発表後、ボーカルがJOE BELLADONNAに 交代しての初の音源となる1985年にリリースされた デビュー・アルバム。パワー・メタル的色彩が強く出ており、 オープニング・トラックのArmed And Dangerousのメロウで もの哀しいアコースティック・ギターに切々とJOE BELLADONNAが 歌う導入部は少し驚くが、スラッシィな部分も十分味わえる。 SEX PISTOLSのGod Save The Queenのカバーをやったり Metal Thrashing MadやPanicをJOEのボーカルで取り直したりと、 企画盤的色合いが強い。デビュー・シングルの Soldiers Of MetalとHowling Furiesを ボーナス・トラックとして収録しているが、内容は それなりだろう。[77] NO PLACE TO RUN / UFO イギリスのハード・ロック・バンドの1980年にリリースされた 8thアルバム。MICHAEL SCHENKERの脱退でPAUL CHAPMANを新しい ギタリストに迎えての初の作品だ。元々PETE WAYやPHIL MOGGも 曲作りに絡んでいたので、方向的に極端に大きく変貌したと言う 訳ではないが、すっきりとした演奏に、幾分アメリカナイズされた ポップなメロディが中心となっており、ドライヴ感のある曲は なくなってしまっている。それ故に曲の持つ緊張感が感じられず、 リラックスした作品になっている。悪い作品と言う訳ではないが、 やはりMICHAEL SCHENKERの頃の熱さが感じられないのは残念だ。 [78] INSIDE THE ELECTRIC CIRCUS / W.A.S.P. L.A.メタルにおいて異彩を放ったバンドの1986年にリリースされた 3rdアルバム。このバンドの場合、そのセンセーショナルな登場で 一躍知られるようになったが、以降そのイメージがつきまとい、 それに翻弄される事になったのは何とも皮肉な話だ。 BLACKIE LAWLESSがギタリストに転向し、JOHNNY RODが加入した 本作でも、BLACKIEのボーカルの個性は置いておくとして、 方向的には前作の延長線上である、正統派ヘヴィ・メタルとでも いうべき、扇情的な内容の濃い質の高い作品である。こういう良い 作品がバンドのイメージ故に評価されないのは残念な事だ。 BLACKIEの声も好き嫌いはあるだろうが、味があって良い。[86] OBSESSED BY CRUELTY + EXPURSE OF SODOMY + IN THE SIGN OF EVIL / SODOM ドイツのスラッシュ・メタル・バンドで1984年にリリースされた デビュー・ミニ・アルバムIN THE SIGN OF EVIL、1985年に リリースされた1stフルレンス・アルバムOBSESSED BY CRUELTYを レコーディングしなおしたもの、1987年にリリースされた ミニ・アルバムEXPURSE OF SODOMYをカップリングしたもの。 そのサウンドは現在のSODOMの原形たる部分は存在するものの、 スラッシィな部分はそれほど強くない。Introductionの様にリフが 中心となっている曲もあるが、むしろメロディがより はっきりしている曲の方が多い。IN THE SIGN OF EVILの 混沌としたダークさは強烈だ。[68] EVANESCENCE / SCORN 元NAPALM DEATHのMICK J.HARRISとNICHOLAS JAMES BULLENによる イギリスのエレクトロニクス・ダブ・ユニットの1994年に リリースされた3rdアルバム。このサウンドをどう表現したら 良いかは難しいが、NAPALM DEATHの様なグラインド・コアでも、 デス・メタルでもない、ダブによるエレクトリカルな作品だ。 静寂さと緊張感を持つ不思議な世界だが、NAPALM DEATHとは全く 毛色の違うこのアルバムをヘヴィ・メタル系のリスナーが聴いて 面白いと思えるかは謎だが、不快なだけの別ユニットの PAIN KILLERよりは十分聴けるだろう。[70] KERBDOG / KERBDOG イギリスのロック・バンドの1994年にリリースされたデビュー盤。 方向的には、ベースにオルタナティヴ・ロック的な感覚を持った ヘヴィなロック・バンドと言った感じだ。故に楽曲は基本的に ヘヴィ・メタルと言うよりはグランジ的な線なのだが、その重厚な サウンドはヘヴィ・メタル系のリスナーにも十分楽しむ事が 出来るだろう。こういう新しい感覚をどう上手く生かしていくかに 今後の正否はよるだろうが、オリジナリティを感じさせてくれる 作品だ。楽曲的には飛抜けた面白い曲というものはないが、演奏も 含めて全体的にまずまずというところだ。[77] WHOSE FIST IS THIS ANYWAY / PRONG アメリカのハード・コア・バンドの1992年にリリースされた ミニ・アルバム。その翌年に、インダストリアルでスラッシィな 感覚をより顕著にした傑作、CLEANSINGをリリースするのだが、 ここではまだそう言った部分はあまり感じられないアルバムだ。 とは言うものの、ハード・コアにとらわれない、ダンサブルな リフと言い、ファンキーでインダストリアルな感覚と言い非常に 斬新でユニークなセンスの出ているアルバムに仕上がっている。 ほとんどがリミックスという事で、企画盤的色合いが濃いし、 あまりメタル的色合いは感じられないが。[76] LIVE WITHOUT SENSE + MAD BUTCHER / DESTRUCTION ドイツのスラッシュ・メタル・バンドで1989年にリリースされた ライヴ・アルバムLIVE WITHOUT SENSEと1987年にリリースされた ミニ・アルバムMAD BUTCHERをカップリングしたもの。ライヴは 1987年から1988年にかけて行われた欧米でのツアーからの チョイスされたものなので、途中でフェード・アウトが入るが、 出来としては音質も含めてかなり良く、これを最後にボーカルの SCHMIERを解雇してバンドの活動がままならなくなったのは非常に もったいない話だ。MAD BUTCHERではハード・コア・バンド PLASMATICSのThe Damnedをカバーしているが、作品中一番 メロディアスで、一風変わった側面を見せている。[79] 宇宙船地球号 / LAZY 後にLOUDNESSを結成するギタリスト、高崎晃、ドラマー、 樋口宗孝らを擁した日本のアイドル・グループの1980年に リリースされた最後のアルバム。デビュー盤では、如何にも アイドル・バンドらしい歌謡ロックを聴かせてくれていたが、その 内容はヘヴィ・メタルへと変容し、後のLOUDNESSへと繋がる作品と 言えるだろう。楽曲的にはまだ完全にヘヴィ・メタルとは言い難い 歌謡曲的なセンスの見えるものもあるが、特に前半はヘヴィな 要素が強い作品だ。そう言った事もあって、高崎晃の ギター・プレイもかなり前面に出てきている。[75] THE WORLD XXI / XXI 詳細は良く判らないが、日本人を含む混成の ヘヴィ・メタル・バンドで、1994年にリリースされたアルバムの 様だ。方向的にはアメリカンテイストのあるヘヴィ・メタルで、 楽曲によってはWINGERっぽく感じられるものもある。楽曲、 プロダクション等、全てにおいてそれなりの出来であるし、 JEAN VIOLETのボーカルも少々エキセントリックだが悪くない 作品だ。エッヂが立っていて、聴きごたえはあるが、平均的で 飛抜けたものがなく、のりが良い訳でもないし、中途半端な 感のするアルバムになってしまっている。[77] MENTAL VORTEX / CORONER スイスのテクニカル・スラッシュ・メタル・バンドの1991年に リリースされた4thアルバム。アグレッシヴでダークなサウンドは 決して聴き易いという類のものではないが、オリジナリティは 引き出している。とは言うものの、面白いかどうかとなると マニア向けと言ったところで、エッヂの効いたリフ等、 聴きどころはあるが、テクニカルで変則的な楽曲は 一般受けするとは言い難いところだ。THE BEATLESのI Want Youを カバーするアイデアは面白いと思うが、さすがにカラーが違い 過ぎて、消化仕切れていないと言う感はいがめない。[70] SVEN GALI / SVEN GALI カナダのヘヴィ・メタル・バンドで1993年にリリースされた デビュー・アルバム。SKID ROWを引合にだされる事が多いが、 DAVID WANLESSのボーカルは確かにSEBASTIAN BACHと 酷似している。楽曲もFreakz等は確かにSKID ROWの線なのだが、 全体的にSKID WORに感じるほどコアな印象は受けない。故に SKID ROW程特徴的でなく、もっと平凡さを感じるので聴きやすいが フックは弱い。元気いっぱいなのは判るが、それがストレートに 伝わってこないのは残念だ。楽曲の出来はそれなりで、可もなし 不可もなしと言ったところだ。[78] LYING IN WAIT / DEPRESSIVE AGE ドイツのスラッシュ・メタル・バンドで1993年にリリースされた 2ndアルバム。3rdアルバムはオリジナリティのある非常に 素晴らしい作品で、自己の世界を確立してきた感があったが、この アルバムでは逆にそこに至るまでの迷いみたいなものを感じる 過渡期的な作品だ。このバンドが一貫して持ち続ける メランコリックさは変わらないのだが、それが効果的に 処理されておらず浮いた感じがし、ボーカルは シアトリカルさばかり感じられる。素材的には良いと 思うのだが、バランス感覚の悪い作品だ。[72] NO SMOKE WITHOUT FIRE / ANTHEM 日本のヘヴィ・メタル・バンドの1990年にリリースされた 6thアルバム。キーボードに元RAINBOWのDON AIREYがゲストして 参加しているが、だからと言ってキーボードがそれ程前に出過ぎる 様な事はなく、ちょうど良い配分だ。全編通して楽曲が良いとは 言い難いが、Love On The Edgeの様な流れるようなメロディの 楽曲はともかく、エモーショナルな森川之雄のボーカルは、楽曲が はまると素晴らしい。Power & Bloodは全体の流れからすると、 ずれている様な感じがして、なかった方が良かっただろう。 プロダクションも悪くないし、全体的に良く出来ている アルバムだ。[83] THE ULTIMATE EXPERIENCE / JIMI HENDRIX アメリカ人ブルーズ・ロック・ギタリストの生誕50周年として 1992年にリリースされたベスト盤。特にレア音源が集録されている 訳でもなく、内容的にはこれと言って目新しいものはないのだが、 今はアルバムからカットされてしまっている、GREAT WHITE等も カバーした、Red Houseが入っているのが目玉だろう。選曲的には バランス良く各アルバムから取っていると言う感じで、 Purple HazeやFoxy Ladyと言った、初期のハードな ブルーズ・ロックの名曲も収められており、初心者入門用には ちょうど良いアルバムだろう。[82] THE BEST OF MOUNAIN / MOUNTAIN アメリカのブルーズ・ロック・バンドの1973年にリリースされた ベスト盤。巨漢ボーカリスト兼ギタリスト、LESLIE WESTと 元CREAMのベーシスト、FELIX PAPPALARDIを中心とするバンドだ。 彼等と言うとやはりMississippi Queenが代表曲と言う 事になるのだろうが、むしろこの作品ではBoys In The Bandと 言った、憂いを帯びたスロー・テンポのブルージィな楽曲が 中心となっている。CHUCK BERRYのカバー・ナンバー、 Roll Over Betthovenや、1分余りの インストゥルーメンタル・ナンバー、King's Chorale等、選曲も 中々面白い。[84] TERMINAL REALITY / RAPED APE アメリカのスラッシュ・メタル・バンドの1994年にリリースされた デビュー・ミニ・アルバムで、ボーナス・トラックを加えて フル・アルバムの体裁を取っている。変則的な楽曲は非常に 攻撃的で、方向性としては見る向きは悪くない。 中心となっているリフはまぁ良いとして、それに絡んでくる ギター・ソロが所々曲から浮いているように感じるのは楽曲の練り 自体が足りないからだろう。変則的なスタンスでこういう問題は 特に浮き彫りになるので、そういう点は修正した方が良い。 わめきちらすだけのボーカルももう少し何とかしてほしい。[75] REFLECTIONS / ACCUSSER ドイツのスラッシュ・メタル・バンドによる1994年に リリースされた6thアルバム。ヘヴィで攻撃的なサウンドだが、 いかにもスラッシュ然とした楽曲で、こう言った作品が少ない 昨今、非常に好感が持てる内容だ。跳ねたリズムも格好良いし、 そこに織り込まれるギター・メロディも悪くない。FRANK THOMSの 吐き捨て型のボーカルは、無機質な割には緊迫感を煽るまでには 至っておらず、少々物足りないがバンドのカラー的には 外れてはいない。これと言った楽曲はないが、非常に重厚な 感じで、最近ではかえって貴重なバンドだ。[80] EDGE OF THE CENTURY / STYX アメリカのベテラン・ロック・グループで1990年に6年振りに 再結成してリリースされたアルバムだが、メンバーとしては この当時DAMN YANKEESで活動していたTOMMY SHOWのみを除いて、 GLEN BURTNIKを加えたメンバーとなっている。このGLEN BURTNIKが 半分の曲作りに加わっているためにSTYXらしさはかなり希薄で 良くあるようなアメリカン・ロックという感が強い。 DENNIS DE YOUNGが作っている曲に関しては、如何にも彼らしい 優しさに溢れた曲になっているが、バンドではもっとも ハード・ロック的指向の強いJAMES YOUNGが殆ど曲作りに 参加していないことが大きいだろう。唯一Homewreckerのみが 彼らしい壮快で格好良いナンバーだ。[79] 29 PALMS / ROBERT PLANT ROBERT PLANTがJIMMY PAGEと劇的な再合体を果たす前の1993年に リリースされたソロ・アルバムFATE OF NATIONSからの 1stシングル。彼のソロ時代はLED ZEPPELINとは明らかに異質な 世界を目指していたが、ここでもそれは変わりない。 このシングルで興味深いのはむしろシングル・カットされた曲 自体よりも、その他の曲だろう。21 YearsやDark Moonの アコースティック・バージョンの生めかしいボーカルもそうだが、 名曲中の名曲、胸いっぱいの愛をの アコースティック・バージョンが最も異彩を放っている。ここでも ZEPPELINとはまた違った方向性を見せながらも、彼のボーカルは 非常に味わい深い。ハード・ロック的な色合いは殆どないので、 それ系統の人にはあまり面白いものではないかも知れないが。[76] NO MATTER WHAT'S THE CAUSE / HOLY MOSES ドイツのデス・メタル・バンドの1994年にリリースされた 7thアルバム。活動歴が長いだけあって、そのスタイルは 正統派とも言えるスラッシュ型で、デス・ボイスを除けば コアなスラッシュである。これまで到底女性とは信じられない 咆哮を聴かせていたデス・ボイスのSABINA CLASSENが殆ど 出てこず、ANDY CLASSENが担当しているが、強烈さで劣り 破壊力がそれほど感じられない。故に楽曲的にはそれほど 悪くないのだが、強い印象を与えるに至っていない。ベースは 全曲、BRUTUL TRUTHのDAN LILKERが担当している。[75] MAKING CONTACT / UFO イギリスのハード・ロック・バンドの1983年にリリースされた アルバムで、このアルバムでその歴史の幕を一度降ろす事になる。 ソング・ライティングにおいて重要な位置を占めていたPETE WAYが 脱退したにも関わらず、PAUL CHAPMANの書く曲も殆どなく、 新加入のNEAL CATARが全曲作曲に加わるという形によって、 方向性は大きく変化してきている。アメリカナイズされた内容で、 かつてのUFOを期待する者は戸惑う作品だろう。曲が悪いとは 思わないが、キーボードが大幅にフューチャされていたり、 バンドの持ち味にはあまり合っているとは思えないし、特にこれと 言った曲もない。[75] SIX BULLET RUSSIAN ROULETTE / CHINA BEACH イギリスのヘヴィ・メタルの1994年にリリースされたデビュー盤。 バンド名からは少し想像出来ない位の硬質のパワー・メタルを 聴かせてくれている。全体的に憂いを帯びて扇情感を持った 楽曲に、ねちっこい伸びのあるDANNY FOXのボーカルが のっていると言う感じだが、ボーカルの抑揚のなさが多少 気になるところだ。DESPAIRと言ったバンド辺りよりも 垢抜けているし、時折見せる速弾きのギター・フレーズも妙に 印象的だし、センス的には悪くないアルバムだ。何かパンチに 欠ける気がするが、デビュー作としては悪くない作品に 仕上がっている。[80] '82 REVISITED / ANGEL WITCH イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの未発表音源集。 N.W.O.B.H.M.の知る人ぞ知るバンドで、どう言う経緯でかは 判らないが、1982年に行われたライヴがPAUL SAMSON絡みで リリースされた。全11曲中ライヴが8曲、スタジオ録音が3曲と言う 構成になっている。ライヴは音量レベルが今一つ 安定していないのが残念だが、録音状態はそれほど悪くなく 出来的にも問題ない。代表曲とも言えるAngel Witchや White Witchも入っているし、かつて出したライヴともだぶらない 曲もあり、スタジオ・バージョンのものも貴重だし、価値は結構 高い。[87] CAN'T GET ENUFF / PAUL LAINE DANGER DANGERに加入したカナダ人シンガー・ソング・ライターの 2ndソロ・アルバム。PAUL LAINEの加入しながらDANGER DANGERの 新作は何故かポップな路線から離れてしまったが、まだこの アルバムの方が1stソロ・アルバムで見せたポップなセンスが 見え隠れする。1stソロに比べるとややロックンロール色が 強く感じられる曲もあるが、Two Sides Of Love等に見られる ポップ・センス溢れる楽曲は如何にもらしいもので、むしろ こういった曲の方がまだDANGER DANGERには合っていたのでは ないだろうか。ちょっとバラードの数が多過ぎるような気もするが 良質のハード・ポップ・アルバムである。[82] TAKE OUT & SERVED UP LIVE / TYKETTO アメリカのハード・ロック・バンドのアルバム。ボーカル交代に 前後したライヴやデモ音源を収録した企画盤だ。DANNY VAUGHNの パートでまず目を引くのは、何と言っても代表曲、 Forever Youngのデモ・バージョンで、荒々しいが非情に 生めかしい出来は、オリジナルよりむしろ格好良いと言っても良い 程だ。未発表曲のDrag The RiverとTearin Up The Nightも 飛抜けて良いとは言えないが、ボツになったとは思えない位の 出来だ。STEVE AUGERIサイドは全曲ライヴで、DANNY VAUGHNの キャッチーな雰囲気とは変わりソウルフルな面が強い。[77] THE MEANING OF LIFE/ALIEN / TANKARD ドイツのスラッシュ・メタル・バンドの1990年にリリースされた 4thアルバム、THE MEANING OF LIFEと1989年にリリースされた ミニ・アルバム、ALIENをカップリングしたもの。そのリフは 攻撃的だが単調さは相変わらずで禁じ得ないが、多少メロディに バラエティさが出てきているので我慢出来る範囲だ。良くも悪くも GERREの平坦なボーカルの個性による影響は大きい。それ以前の 作品よりは出来的には良く出来ているので、こういうコアな スラッシュ・メタルが好きなら悪くないだろう。ミニ・アルバムの 方は若干プロダクションが悪い出来だ。[77] THE MYSTERY OF TIME / STS 8 MISSION ドイツのパワー・メタル・バンドの1990年にリリースされた デビュー作。録音状態はあまり良くなく、チープさは いがめないが、内容的にはそれほど悪くない。方向的にはいわゆる ジャーマン・パワー・メタルと言えるものだが、この手のものでは HELLOWEEN等の様なメロディの大仰さはあまり感じさせないので、 どちらかといえば聴き易い作品だ。その分フックに欠ける 気もするが、肝心のメロディはそれなりに美しいし、 Always Lyingの様な印象的なものもあり決して悪くない。 楽曲をもう少し練って、プロダクションを良くすれば結構良い 作品になったと思うが。[79] STAGES / JIMI HENDRIX アメリカ人ブルーズ・ロック・ギタリストの1992年に リリースされた4枚組みライヴ・ボックス・セット。1967年の STOCKHOLM、1968年のPARIS、1969年のSAN DIEGO、1970年の ATLANTAとデビューから一年毎のライヴをそれぞれ アルバム化している。全て未発表音源であり、各年のライヴを 追えると言うことで資料的な価値も高い作品と言って良いだろう。 録音状態も悪くないし、ライヴ・アルバムとしての出来も十分な 作品ではあるが、重複して収録されている曲も多いので、 どうせなら一公演全てを収めて欲しかった気がする。[80] ...FOR VICTORY / BOLT THROWER イギリスのデス・メタル・バンドの1994年にリリースされた 5thアルバム。楽曲はスラッシュ・メタル的で、非常に重厚な 音作りとなっている。KARL WILLETTSのデス・ボイスもそれに 合わせてか、ドスの効いた咆哮タイプのものだ。楽曲は程よく メロディも存在するし、偏りのない方向性には好感が持てるが、 楽曲の展開がどれも似たりよったりでワン・パターンな 感はいがめない。重厚な部分を押し出しすぎてめりはりに 欠けるのも難点だが、そこら辺のデス・メタル・バンドよりは 数段上と言える位のレベルには達している。[78] RESCUE ME / FREAK OF NATURE アメリカのヘヴィ・メタル・バンドのミニ・アルバム。 デビュー盤、FREAK OF NATUREからの1stシングルである タイトル・トラック・ナンバーにWhat Am I、 Turn The Other Wayのアコースティック・バージョンと未発表曲が 2曲と言う構成になっている。アコースティック・バージョンに 関しては、オリジナルよりも侘しさが出ていて、WHITE LIONの 末期の様で味わいがある。未発表曲のWartimeはどうと言う 事のない楽曲で、アルバムに納められなかったのは納得なのだが、 Can't Find My Wayは侘しさ漂うドラマティックなバラードで、 実にらしくて良い楽曲だ。[83] LIVE LINE / VICTORY ドイツのメロディアス・ハード・ロック・バンドの1994年に リリースされた2枚組の2枚目のライヴ・アルバム。前回の ライヴ盤、THAT'S LIVEではその後JOHN SYKESとバンドを組む 事になる初代ボーカリストのCHARLIE HUNN時代のものだった。 今作では、方向的に若干変化があった、PEDRO SCHEMMにボーカルが 交代した後で、選曲もそう言った方向に沿っており、好対称な 作品と言えるだろう。アメリカナイズされた今作と、前作で どちらが良かったかは、リスナーの好みによって意見が 分かれるかも知れないが、どちらも出来の良い作品で、彼等の ライヴ・パフォーマンス能力の高さを見せてくれている作品だ。 [85] THE REAL LUST FOR LIFE / NOBLE ROT ドイツのハード・ロック・バンドの1994年にリリースされた デビュー盤。ヘヴィネスでグルーヴィでドゥーミィな ハード・ロックだが、ドゥーム・メタル一辺倒のヘヴィ・ロックと 言う訳ではなく、いろんなジャンルにクロス・オーバーしている 作品だ。リフ等は如何にもドゥーム・メタルっぽいが、楽曲自体は グランジっぽかったりと割とユニークな内容となっている。 グルーヴィなリフは結構面白いのだが、肝心の楽曲自体は面白味に 欠けるのは如何ともしがたい。もう少し工夫して、楽曲作りの力が 付けば結構面白い存在にはなると思えるのだが。[74] WHEN HEROES FALL / ATTIKA アメリカのパワー・メタル・バンドで1994年にリリースされた 初のフル・アルバム。Deliverer等、如何にもIRON MAIDEN辺りに 影響を受けたのが見え見えの楽曲で、全体的なチープさも あいまってOMENや初期のFATES WARNINGを思わせるような内容だ。 自己プロデュースのせいか、非常に悪い音質でプロダクションの 点においては如何ともしがたい作品だが、その荒々しい 破天荒さにはB級らしい味がある。ボーカルもしょぼいし、到底 一般向けにお奨め出来る代物ではないが、ヨーロッパのしょぼい バンドが好きならそのメロディはきっと魅力的だろう。[72] ADRENALINE/LEAVES / THE GATHERING オランダのゴシック・メタル・バンドのアルバム、 MANDYLIONからのシングル。シングル・カット曲のLeavesに、 アルバム未収録曲が2曲と未収録バージョンが1曲の4曲と言う 構成になっている。新曲に関してはMANDYLIONでの路線からは 大きく変わってはいないが、Adrenalineにしても Thrid Chanceにしてもエレクトリックで若干ダンサブルな感覚が 強くなっているように思える。元々跳ねたような感じのある バンドなので、それ程気になる様なものでもないし、楽曲的にも 彼等の個性が出ていて悪くない出来だ。[83] BLUT / ATROCITY ドイツのデス・メタル・バンドで1994年にリリースされた 3rdアルバム。ALEX KRULLのボーカルは、ダミ声だが デス・ボイスという程きついものではなく、ある程度歌っていて 聴き難いものではない。楽曲はスラッシィなものから メロディックな辺りまでという感じで、退廃的な香を放っている。 今では珍しくはなくなったが、女性ボーカルを導入したり、 ストリングスを入れたり、ラップ風にやっているものまであって かなり実験的に色々やっている様子は伺える。楽曲によっては かなり異彩を放っており一風変わった雰囲気を醸し出している アルバムだ。[78] MASTER OF MISERY:BLACK SABBATH-AN EARACHE TRIBUTE / V.A. 1992年にリリースされたEARACH所属のアーティストによる BLACK SABBATHのトリビュート・アルバム。ドゥーム、デス系の バンドがやるにはもっともはまる題材だけにどのバンドも 自らの個性に合った消化をしているし、選曲も面白い。GODFLESHの Zero The Hero等は源曲が殆ど判らないまで デフォルメされているし、インダストリアル風のPITCHSHIFTERの N.I.B.やシンセサイザーとサンプリングを前面に押し出したOLDの Who Are You?と実にユニークだ。SCORN等は元からやってる音楽が 良く理解出来ていなかったが、カバーをやってもカバーに 聞こえないまで徹底されているのは絶句する。CATHEDRALは さすがというところだろう。[81] HEARTCORE / TRANSIT スイスのハード・ロック・バンドの1992年にリリースされた 2ndアルバム。キャッチーなメロディの硬質な明るい ハード・ロックだが、まずまずのりもあって素養としては 悪くない。ヨーロッパのバンドらしいメロディ・センスを 持っているし、楽曲も平均的ながら一応に楽しめる出来なのだが、 在り来たりでこれはと言ったものがなくて、コーラスを大幅に 入れていたりしているが、山場に欠ける感じは遺憾ともし難い。 全体的に明るめの洗練された楽曲で、テンポは良いのでのりは 感じられるし、センスは良いと思うのだが。[76] NO REST, NO MERCY / STAIRWAY イギリスのクリスチャン・メタル・バンドの1993年に リリースされたデビュー盤。哀愁のメロディたっぷりの芋臭い ヘヴィ・メタルと言った感じで、音質、ボーカルを含めて 全体的なチープさはN.W.O.B.H.M.的な感覚を匂わせる。 楽曲自体はそう言ったものより、ドラマティックさに欠けるが、 やや洗練されていて北欧メタル風と言った感じがあるものの、出来 自体は素晴らしいと言う程でもない。如何にも B級然としているが、メロディ自体は割と良いので、音質を 気にしない、臭い哀愁と泣きが好きだという向きには割と 楽しめるだろう。[79] THE LAST COMMAND / W.A.S.P. BLACKIE LAWLESS率いるL.A.メタル・バンドの1985年に リリースされた2ndアルバム。彼等としてはかなり異彩を 放っているロックンロール・ナンバー、Blind In Texas 等もあるが、まさに彼等らしさの出ている作品で、彼等にとっても 最高傑作とも言える内容に仕上がっていると言って良いだろう。 BLACKIE LAWLESSの作る楽曲は非常に扇情的で、非常に個性的な 彼のボーカルが上手く生きている。ビジュアル的な面でのみ 語られる事の多いバンドだが、楽曲を始め全体的に非常に良く 出来たアルバムに仕上がっている。[88] SAVIOUR MACHINE / SAVIOUR MACHINE アメリカの クリスチャン・プログレッシヴ・ヘヴィ・メタル・バンドの 1993年にリリースされたデビュー作。プログレッシヴと言っても いわゆるDREAM THEATER的なものではなく、 シンフォニック・ロック風のものであり、ニヒルで静寂感を持った 耽美なサウンドは独自の世界を構築するに至っている。ギターと シンセサイザーが作り出す荘厳で格調高いドラマティックな サウンドに、スキンヘッドのボーカリストERIC CLAYTONの ねちっこい歌声が絡んでくる。何とも不思議で魅力あるサウンドで 楽曲も良く出来ており、耽美なものが好きな人に是非 お奨めしたい。[89] REACHING HORIZONS / ANGRA アメリカのファン・クラブ用に作成されたCDで、内容は デビュー前に作成されたデモ・テープの6曲に3曲の ボーナス・トラックを付けたもので構成されている。 デモ・テープはその後デビュー盤や2ndのボーナス・トラック、 ミニ・アルバムに録音しなおして収録されているが、確かに アルバムのバージョンより洗い物のさすがというだけの 出来ではある。秀逸なのはボーナス・トラックとして 収められている未発表曲Don't Despaurだ。ANGRAっぽくない曲と 言うことで多分没になったのをここに入れたのだろうが、非常に 格好の良いスピード・チューンでファンのみならず聴いて欲しい 曲だ。ファン必須アイテムと言えるだけの内容である。[87] TALES FROM A HAUNTED BOOK / TUSK ドイツのメロディアスなヘヴィ・メタル・バンドの デビュー・アルバム。LONG ISLANDのものにしてはあまり ポップさを感じさせない。全体的にチープな感じのする哀愁の ヘヴィ・メタルで、鼻にかかったようなしょぼいボーカルは若干 聴き苦しいが何となく許容出来てしまうようなサウンドだ。 全体的に垢抜けていなくてB級であることはいがめないが、 そこにまた魅力が見出せる。ギター・メロディ等は中々 見るものがあるので、プロダクションとボーカルがもう少し 良くなれば結構良い作品を作るだろう。[78] LINE OF FIRE / TRACE ドイツ出身のメロディアス・ヘヴィ・メタル・バンドで、今は亡き LONG ISLAND RECORDからのデビュー盤。キーボードはかなり大幅に 取り入れられているが、バランス的に前に出過ぎとは感じさせず、 そのセンスは中々良い。ドラマティックで湿り気を帯びた美しい 楽曲は扇情的で格好良く、非常に良い出来で素晴らしい。時には 扇情的に迫ってくるギターを始め、バックの演奏も楽曲を 生かしている。楽曲、演奏ともかなり高レベルなのだが、唯一 残念なのはボーカルの出来だ。作品をぶち壊すほど酷いとか 下手という訳では決してないし、クリアな声質はバンドの 色合いから外れる訳ではないのだが、鼻にかかったような 感じがするし、少し弱いような気がする。その点を除けば 素晴らしい出来栄えだ。[89] DYING TO LIVE / SILOAM カナダのクリスチャン・メタル・バンドの2ndアルバム。楽曲は 扇情的でメロディアスな哀愁漂うものと格好良いノリのある ヘヴィ・メタル・ナンバー等からなっている。BRENT MILLSOPの 感情表現豊かなボーカルはどのタイプの曲にも映えていて、 より楽曲の魅力を引き立てている。MARSHALL JACHARIASの メロディアスなギター・プレイも効果的だ。そして何より、 楽曲の良さが、それらの演奏が生かしている。ヨーロッパ的な 彼等のメロディ・センスの良さが光る素晴らしい 作品になっている。オープニング・ナンバーのApathyの ぞくぞくするような扇情感は必聴だ。[92] SOUL SURVIVOR / GOREFEST オランダのデス・メタル・バンドの4thアルバム。 JAN-CHRIS DE KOEIJERの咆哮型のデス・ボイスはともかく、楽曲は 完全にドゥーム/パワー・メタル的な方向へとシフトしている。 ダークさはあまりなく、サイケデリックな色調の落ちた ヘヴィ・ロック風とも言えるが、荘厳さを持ったキーボードが 不思議とマッチしているのは面白い。デス・ボイスもそれ程 きつくなく、かなり聴き易い作品になっているし、メロディは かなりはっきり押し出しているので、割と一般受け出来る 作品だろう。グルーヴィ感があるので、のりが良くてテンポが良く 聴かせてくれる作品だ。[84] 1996 / ROYAL HUNT デンマークのメロディアス・ヘヴィ・メタル・バンドの2枚組みの ライヴ盤。先頃行われたばかりの日本公演の模様を収めたものだ。 楽曲の良さは言うに及ばずだが、この完成度の高いライヴは賞賛に 値すると言って良いだろう。ANDRE ANDERSENの キーボード・プレイは言わずもがなだが、D.C. COOPERの ボーカルは特に本当にライヴなのかと疑う程完成度が高い。 ソロ・パートやSEまで完全盤と言う内容で、ライヴに行かなかった 人もその全容を知ることが出来る。おまけのボーナス・トラックの 新曲は特に可もなく不可もなくというところだ。[86] THANKS TO FRANK / WARREN CUCURULO 元FRANK ZAPPA BAND、MISSING PERSONSで、現DURAN DURANの アメリカ人ギタリストによる初のソロ・アルバム。内容はいわゆる ギター・インストルゥメンタル・アルバムと言われるもので、 ライヴ録音という事もあってかプロダクションには少し疑問は 残るが、演奏自体は流石と言うレベルで全く問題はない。全体的に テクニカルだが、それほど派手さは感じさせず、どちらかと言えば 聴き易い作品と言って良いだろう。FRANK ZAPPA BANDと言う事で、 STEVE VAIと若干似た部分もなくはないが、あれほど フュージョンっぽくはない。楽曲自体はグルーヴィではあるが、 ややインパクトに欠ける感じがするのが残念だ。[78] SENSORAMA / BAAL デンマークのロック・バンドのデビュー盤。帯びには DIZZY MIZZ LIZZYに次いで等と書かれているが、音楽的な類似は 全くないと言って良いだろう。シアトリカル・ロック風で、そこに QUEEN的なオペラチックなエッセンスを取り入れていると言った 感じだ。パンク、テクノ的な色合いもあって、DAVID BOWIE 的でもある。ジャケットのメンバー・ショットもかなりきていて、 ちょっと敬遠したい感じがするが、内容的には楽曲のアイデアも 演奏も良く出来ている。音はかなりハードな部分もあるが、 ハード・ロックと言う感じではなく、楽曲は意外にキャッチーな 部分があって面白い。[80] ANGRY MACHINES / DIO アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの3年振りのアルバム。 方向的には前作のSTRANGE HIGHWAYSの延長線上と言えるもので、 モダン・ヘヴィネス的な色合いのある作品であり、BLACK SABBATH 復帰後のRONNIE JAMES DIOの作品に不満を抱いている 人間にとっては、やはり同じ不満を抱かざるを得ないだろう。何故 彼が、RAINBOWや初期のDIOで見せた、様式美的な方向から 離れてしまったのか理解出来ないが、これがギタリストの TRACY Gによる影響だとしたら、TRACY GとRONNIE JAMES DIOは あまり合わなのではと言う感想しか持てない。楽曲は全体的に ミドル・テンポ中心であり、可も無く不可も無くと 言ったところだ。[74] FIRE GARDEN / STEVE VAI アメリカ人ギタリストのソロ・アルバム。ALIEN LOVE SECRETSに 続く作品だが、前半と後半ではっきりと傾向が分かれており、 2部構成的な作品となっている。前半はいわゆる ギター・インストルゥーメンタル作品で占められており、いかにも 彼らしい内容のものとなっている。一方後半では彼自身が ボーカルを取っている楽曲が集中しており、彩り豊かな 内容となっている。彼のボーカル自体は特にうまい訳ではないが、 結構パワフルで悪くない。後半でもそのギター・プレイは 相変わらずだが、楽曲の傾向が少し違うので戸惑わなくもない。 [82] OUT OF NOWHERE / VINNIE MOORE アメリカ人ギタリストによるソロ作品としては久々の 5年振りとなる4thアルバム。方向的には、説明するまでもなく、 いわゆるギター・インストルゥメンタル・アルバムと 言うやつなのだが、この手にありがちな、 ギター・テクニックだけで突っ走ったと言う様な内容に 終わっておらず、楽曲もメロディアスでそれ単体で割と楽しめる 作品に仕上がっており、中々良く出来ている。前作に比べても バラエティに富んでいて、楽曲に面白味が出ており、彼の音楽的な 幅の広がりを感じさせるアルバムとなっている。[83] LIVE AT THE CALIFORNIA JAM / DEEP PURPLE イギリスのハード・ロック・バンドのライヴ盤。彼等としては 第3期に当たる、1974年に行われたカリフォルニア・ジャムでの ライヴの模様を収めたビデオをCD化したものだ。部分的に 録音状態の良くない部分もあるのだが、元々TV放映用に 取られたものだけあって、プロダクションは概ね良好だ。 フェステイヴァルであるため、演奏しているのは僅か 6曲のみではあるが、彼等のその他のライヴ・アルバムと 比べても、そのライヴ・パフォーマンスはトップ・クラスに 挙げれるだけの出来と言って良いだろう。[88] MAD AS A HATTER / SHADOWLAND イギリスのポンプロック・バンドPENDRAGONのキーボード CLIVE NOLAN率いるシンフォニック・ロック・バンドの 3rdアルバムだが、ギターが名曲PARADOXを生んだ プログレッシヴ・ヘヴィ・メタル・バンドTHRESHOLDの KARL GROONということもあってかなりヘヴィな内容だ。まぁ、 それもPENDRAGONに比べればという話であって、どこまで ヘヴィ・メタル系のファンに訴えるものがあるかは疑問だが、 エッヂが効いた叙情的なギター・メロディはさすがだ。2ndが 1stに比べて幾分中途半端な印象を受けたが、 ポンプ・ロック的なメロディはより洗練されPENDRAGONとは また少し面持ちの違う美しい作品だ。[82] LIVIN' IT UP / TERRA NOVA オランダのハード・ポップ・バンドのデビュー盤。軽快で キャッチーな良質のポップ・センス溢れる楽曲がずらりと 並んでいる。疾走感のあるロックンロール風のナンバーから しっとりとしたバラードまで、バラエティ豊かに、佳曲と 言えるだけの楽曲が並んでいる。演奏、コーラスも そつなくこなし、ちょっとしゃがれ声のFRED HENDRIXのボーカルも 味があって良い作品に仕上がっている。全体的に良く 作られていて、面白味に欠けると言う感じもしなくはないが、 デビュー作でこれだけの完成度はたいしたものだ。[86] SUPERNATURAL BIRTH MACHINE / CATHEDRAL イギリスのドゥーム・メタル・バンドの4thアルバム。根底に 流れるBLACK SABBATH的なサウンドは変ることなく普遍で、その 意味では前作の延長線にあると言える。ただ、パワーと勢いは 今まで以上にあるものの、これまで見せてきたような耳を引き 付けるような、印象的なうねりがないので散漫な印象を受ける。 とは言うものの、取り立てて楽曲が悪い訳ではないし、 グルーヴィさは健在なので駄作という訳ではない。これまで彼等が 作り上げてきた、BLACK SABBATHをデフォルメすると言う スタイルはやや希薄で、勢いで作ったと言う感じで、もう少し練り 込まれていれば大分良くなったのではないかと思えるが。[80] WISEBLOOD / CORROSION OF CONFORMITY アメリカのヘヴィ・ロック・バンドの7thアルバム。この手の バンドとしては割とサイケデリック色合いが希薄な内容だが、 やはりグルーヴィさは感じられる。以前よりBLACK SABBATH的な 要素が強くなっており、コアなサウンドからより硬質な ハード・ロックと言う風に変化している。ドゥーミィな 部分があるとは言え、どちらかと言えばアメリカ的な埃っぽさを 持ち合わせた渇いたサウンドには暗さは感じられない。 METALLICAのJAMES HETFIELDがMan Or Ashにゲスト 参加しているが、際立ってどうこう言う程の楽曲ではない。[82] LOUDER THAN HELL / MANOWAR アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの4年振りのアルバム。 基本的にもう完成されたスタイルを持っているので、 今更ながらどうこう言うこともないだろう。前作の28分という 大作のオープニング・ナンバーが、如何にも冗長であったのが 遺憾ともし難く、それ以降の流れを壊してしまっていたのに 比べると、今作ではそれがない分、よりすっきりとしていて入り 込み易くなっている。メロディもより判り 易いものになっているし、彼等としては聴き易い作品と言って 良いだろう。基本的に大きな変化はないのでファンならば それなりに安心して聴ける筈だが、やや抑え気味と言う 感もなくはない。[84] MISSA MAGICA / STEVE ANDERSON スウェーデン人ギタリストの2ndソロ・アルバム。方向的には、 いわゆるギター・インストルゥーメンタルと言うやつだが、 ギター・テクニック中心というより、むしろ楽曲に比重を 置いていた作品となっている。叙情的で美しいメロディの良く 出来た作品ではあるが、静的なイメージが幾分あり、非常に 地味であることはいがめない。その分情感が非常に感じられ、 シンフォニックでドラマティックなアルバムに仕上がっている。 ネオ・クラシカルな中にも民族音楽の影響が多分に見え、独自の 不思議な雰囲気を醸し出しており、個性というのは見える 作品だ。[81] TRIAL BY FIRE / JOURNEY アメリカン・ハード・ロック・バンドの再結成第一弾となる アルバム。解散前のメンバーそのままの再結成ということで、 相変わらずのアダルタな雰囲気たっぷりの、キャッチーで メロディアスな作品に仕上がっている。Separate Waysや Crying Nowと言った名曲に並ぶと言うまでの楽曲はないが、十分 素晴らしい出来で、旧ファンならずとも楽しめる作品だ。 バラードが少し多いという気がしないでもないが、それを歌い 上げるSTEVE PERRYのボーカルが合っていて佳曲が多い。彼等の メロディ・センスの素晴らしさが良く出ていて、地味な印象を 受けるものの完成度は高いアルバムだ。[88] BLEEDING / PSYCHOTIC WALTZ アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの4thアルバム。ダークな メロディにヘヴィなサウンドの、プロフレッシヴ・ロック色のある 作品で、BUDDYのクリアなボーカルにギター・メロディ、 キーボードが楽曲をより一層印象深いものにしている。 CONCEPTIONにも通ずる様な、パワフルで幻想的な ヘヴィ・メタルだが、もっとミドル・テンポ中心で大仰さを 出しており、よりドラマティックに感じられるアルバムだ。楽曲の 出来は、平均的な感じがして飛び抜けたものが感じられないが、 それぞれアレンジが練れていて聴き易い。[85] JUDGEMENT DAY / SINNER ドイツのヘヴィ・メタル・バンドのアルバム。これまで、数多くの 良質ののメロディアスなヘヴィ・メタル作品をリリースして 来たが、今作もそれに違わぬ内容に仕上がっている。 タイトル・ナンバー等のミドル・テンポの楽曲での、その メロディ・センスの素晴らしさは非常に光っているし、速い楽曲も 全体的なバランスを考えると悪くない出来だ。ワイルドでラフな ナンバーを入れたりと割と多彩な内容になっており、MAT SINNERの ワイルドでラフな声質は好き嫌いが多少分かれるかもしれないが、 これはこれで味があって悪くない。ただし、ややヘヴィな 音作りにし過ぎと言う感じで、音のバランスが今一つ悪い様な 気もする。[83] TRIBE OF GYPSIES / TRIBE OF GYPSIES アメリカのハード・ロック・バンドのデビュー盤。 元IRON MAIDENのボーカリスト、BRUCE DICKINSONの ソロ・アルバム、BALLS TO PICCASSOに全面的に参加して知られる 様になったギタリスト、LOY Z率いるバンドだ。アダルトで落ち 着いた雰囲気を醸し出す楽曲は、BALLS OF PICCASSOとはまた 違ったものだが、ROY Zのソング・ライターとしてのセンスの 良さは良く出ている。楽曲自体はそれほど派手さはないが、ラテン 調のテンポが小気味良く、ROY Zの演奏も非常にエモーショナルで リラックスして聴ける良い作品に仕上がっている。トライバル色が 非常に強く、異色の作品と言えるだけに好みは分かれるかも 知れない。[85] STAG / MELVINS アメリカのオルタナティヴ・ロック・バンドの8thアルバム。この 手の音楽はあれこれ語る程造詣が深くないのだが、それら中でも 最もダークでヘヴィな内容と言って良いのではないだろうか。 ギター・リフ等は、割とヘヴィ・メタル系のリスナーにも 聴けるものだと思うが、エフェクトをかけたボーカルや ホーン・セクションまで入れた楽曲自体まで面白いと 思えるかどうかは疑問だ。全体的にニヒルな雰囲気があり、 ギター・メロディは所によっては非常にアバンギャルドで、実に 不思議な作品に仕上がっているが、これはこれで 悪くないのだろう。[80] RETURN OF GRASSHOPPER / COCOBAT 日本のハード・コア・パンク・バンドのアルバム。前作から ベース以外のメンバーが全員入れ替わったらしいが、あまりどう 言うバンドか良く知らないので、その音楽性にどの程度 影響があったのかは判らない。HIDEKIのボーカルは、PANTERA風の 怒りを感じさせるもので、ざくざくと切り刻んでくるヘヴィな リフもスラッシュ・メタル的で、この重厚なサウンドは ヘヴィ・メタル系のリスナーにも通用する部分があるだろう。 ただ、音楽の芯にある部分は、あくまでもハード・コアなので それが聴けないと少し辛いかも知れない。[77] IN CONCERT / RICK WAKEMAN イギリスのプログレッシヴ・ロック・バンド、YESに復帰した キーボード奏者のソロ・ライヴ盤。以前一度YESを脱退した後、 ソロ活動を行っていた時分のライブをラジオ番組の KING BISCUIT HOUR放送用に収録した音源ををCD化したものだ。 当然と言えば当然だが、キーボードが前面に押し出された正しく プログレッシヴ・ロックと言った内容のライヴで、その キーボード・プレイは圧巻だ。ただし、あくまでも プログレッシヴ・ロック然とした内容で、純粋な プログレッシヴ・ロックが好きな人向けではあるが。[86] STREAM / THE 3RD AND THE MORTAL ノルウェイのゴシック・メタル・バンドの新譜に先駆けての シングル盤で、シングル・カットされたタイトル・トラックと、 前作のHorizonsのリミックスの2曲入りと言う構成になっている。 前作ではホラー的な方向へと変質して一部ファンを落胆させたが、 ここではキーボードをかなり押し出し、プログレッシヴ・ロック 的な要素が強く押し出されている。horizonsのリミックスでは、 その変化が顕著だ。静寂感を醸し出したそのサウンドは初期とは 完全に一線を画しているが、前作が少し中途半端な 感がいがめなかった事を考えると、やっと新たな方向性を 確立しだしたと考えても良いだろう。[85] ATTITUDE / SEPULTURA ブラジルのスラッシュ・メタル・バンドによる3rdアルバム、 ROOTSからの日本では3枚目となるミニ・アルバム。アルバムからの シングル・カットであるタイトル・ナンバーに、ライヴが2曲、 バージョン違いが2曲、未発表曲が1曲と言う構成になっている。 スラッシュ・メタル的なエッセンスは残っているもの、 ノイジィーなオカルティックな作品で、大胆に機械処理された そのサウンドはスラッシュ・メタルというよりは インダストリアルな印象を与える。ボーナス・トラックとなる Kaiowasのジャムはともかく、残り2曲のライヴが一番 スラッシュ然としている。[74] FORGET THE RAIN / SHOTGUN SYMPHONY アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの2ndアルバム。全体的に ボーカルにエフェクトが入っていることと、何となく落ち着いて もやっとした感はあるが、雑誌での批評ほどデビュー盤から大きな 変化があるとは言えないだろう。確かに楽曲によっては全く 別物といっても良い物もあるが、グルーヴィな方向へと行ったとは 思わない。前作でのHighway To Tomorrowの様な メロディアス・ヘヴィ・メタルの名曲と言えるような曲がないのは 残念な気がするが、全体的にそれほど悪い出来ではない。ただ、 前作でもHighway To Tomorrowが飛び抜けた楽曲であっただけに、 これはと言う楽曲が全くないのも確かだ。[78] ALICE IN CHAINS / ALICE IN CHAINS ジャケットの問題で日本では一年以上リリースされなかった フル・スタジオ・アルバムとしては3作目となる作品。解散も とりざたされ、MIKE INEZがOZZY OSBOURNE BANDで活動するなど その将来を危ぶまれたが、今後も引き続き活動する様だ。ダークで 混沌としたサウンドで、JAR OF FLIESよりはヘヴィなものだが、 FACE LIFTのようなヘヴィ・メタル的な素養はない。グランジ的 指向が強いのだが、楽曲に今一つ面白味に欠け、作品中これと 言った変化がなく、平坦に感じる作品となってしまっている。 全体的には確かにALICE IN CHAINSっぽく、今のアメリカ向きかも 知れないだろうが。[75] A TRIBUTE TO JUDAS PRIEST LEGENDS OF METAL VOL.II / V.A. JUDAS PRIESTのトリビュート・アルバム第二弾だが、第一弾が そうだったように、JUDAS PRIEST(というかROB HALFORD)の個性が 強すぎてそれぞれのバンドの個性が 負けてしまっているのではないだろうか。むしろSKYCLADの様な 個性ばかりで楽曲はあまり面白くないバンドの方がむしろ独自性が 出ていて、自身の曲等よりかなり面白い。それ以外のバンドでは 悪くない出来のものも多数存在するが、飛抜けて面白いとは 言いかねる。カバーなのだから、思いっ切り源曲に忠実にやるとか 斬新にアレンジするとかしても良さそうに思うが、全体的に何か 煮え切らない作品になってしまっている。[79] SHAKIN' BRAINS / SILVER MOUNTAIN スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドの1983年にリリースされた デビュー盤。JONAS HANSON率いるバンドで、後に YNGWIE MALMSTEENと行動を共にする事になるANDERSとJENSの JOHANSON兄弟も在籍すると言う中々強力な布陣で、内容もそれに 違わぬものとなっている。楽曲は如何にも北欧らしい様式美に 満ちたもので、佳曲と言えるだけの楽曲が揃っており、演奏的にも かなり高い出来であるのだが、惜しむらくはプロダクションが 悪いと言う事だ。だが、それを差し引いても初期 北欧メタル・シーンにおける名盤の一枚と言っても良いだけの 作品に仕上がっている。[90] TEST FOR ECHO / RUSH カナダのプログレッシヴ・ハード・ロック・バンドの3年振りの アルバム。SIGNALS以降割合と落ち着いた叙情的な雰囲気の 作品が続いてきたが、前作辺りから結構ヘヴィな ギター・メロディを入れる様になってきており、今作では更にその 傾向が顕著になっている。楽曲的にはいつもながらの変わらぬ 彼等らしいものでで、完成度の高い作品だ。カナダで最も成功した バンドだけあって、流石と言えるだけのアルバムに 仕上がっている。最近の作品としては起伏をより感じる 作品なので、最近の彼等はもの足りないと感じている向きには 嗜好に合うだろう。[86] ROCK ART / MAGNUM イギリスのプログレッシヴ・ハード・ロック・バンドの1994年に リリースされた最後のスタジオ作品。前期の プログレッシヴ・ハード・ロック路線から比べると、 後期においてはかなりポップな方向へと転進しており、ここでも 全体的にポップな作品ではあるものの、We All Need To Be Loved 等はかなりハードな楽曲に仕上がっており、初期の雰囲気も少し 感じられる。On Chiristmas Dayといった叙情的なメロディは さすがMAGNUMと言いたくなるような楽曲で、相変わらず作品の 質は高いだけに、こう言った良いバンドが解散してしまったのは 非常に残念だ。[88] WILL THE SUN RISE? / STRATOVARIUS フィンランドのヘヴィ・メタル・バンドのアルバム、 EPISODEからのシングル。未発表曲は収録されていないが、 シングル・カットされたタイトル・ナンバーを除いた5曲が ライヴと言う構成になっている。TIMO KOPTIPELTOのボーカルは やはり少し力不足を感じなくもないが、それを除けばTIMO TOLKIの ギター、JENS JOHANSONのキーボードを始め全体的に演奏は良く 出来ている。フィンランド語のM.C.はやや奇異に感じるし、曲の 切れ目のフェイド・アウトが今一つ良くないが、 ライヴ・アルバムとしては悪くない。どうせならば フル・アルバムを出しても良いと思うのだが。[80] IN COMMAND(LIVE 1989-1990) / ANNIHILATOR カナダのヘヴィ・メタル・バンドの初のライヴ盤。どう言う経緯で それが、今のではなく初期の音源でリリースされる 運びになったのか判らないが、JEFF WATERSがボーカルを兼任する 前の音源で、前任の二人のボーカリスト、RANDY RAMPAGEと COBURN PHARR両方の時代に跨っている。JEFF WATERSの ボーカルは、それはそれで味があると思うが、やはり COBURN PHARRが一番合っていると思えるだけの歌声を 聴かせてくれている。演奏も良い出来で、今の音源を アルバムにするよりは却って吉となっているのではないだろうか? [87] VEMPIRE OR DARK FAERYTALES.... / CRADLE OF FILTH 今や飛ぶ鳥を落とす勢いのイギリスの メロディック・ブラック・メタル・バンドの2ndアルバム。 デビュー・アルバムでANATHEMAのDARREN J.WHITEが ゲスト参加していたが、彼がTHE BLOOD DIVINEを結成するに 当たり、メロディ隊のRYAN兄弟とPAULの3人全てがそちらに 参加するために脱退してしまい、その存続が危ぶまれたが、 新たなメンバーを入れて再出発してのアルバムだ。当然 金切り声のブラック・メタル・ボイスで、これが聴けないと 苦しいが、プログレッシヴとも言えるような展開とメロディに ブラスト・ビートが織り込まれ独特の世界を築き上げるに 至っている。全体的な完成度も高く、メンバー・チェンジは 悪影響をもたらさなかった。[87] HEAT OF EMOTION / CAUGHT IN THE ACT アメリカのハード・ポップ・バンドの2ndアルバム。デビュー作で 新人らしからぬ落ち着いた雰囲気の完成度の高い作品に 仕上げていたが、今作でもその出来の良さは変わらない。叙情的な メロディの優しい音楽で、前作ではそれ故に盛り上がりに 欠けるきらいもあったが、今作ではギターはエッヂがたっており、 めりはりが効いていて前作よりもだれる事はない。メロディの 秀逸さは新人離れしていて、それを表現するだけの アレンジ力もある。非常に美しい作品に仕上がっているし、 落ち着いたハード・ポップが好きな人には奨めれる作品だ。[88] SUNDOWN / CEMETARY スウェーデンのゴシック・メタル・バンドの4thアルバム。 ボーカル、楽曲ともPARADISE LOST的な色合いバンドで、メロディ 的にはその系統を踏襲しているのだが、Elsia等かなり軽快な 曲があり、よりパワー・メタル的だ。そう言った部分を除けばほぼ PARADISE LOSTそのものと言う感じで、さほどオリジナリティは 感じられない。楽曲の出来はPARADISE LOSTとまでは 行かないだろうが、それほど悪くないのでPARADISE LOSTの ファンは聴いても損はないだろう。キーボード等は中々良い 味わいを出しており、サウンドに深みを与えている。[78] FIT TO BE TIED / AVERSION アメリカのスラッシュ・メタル・バンドによる1992年に リリースされた2ndアルバム。スラッシュ・メタルとは言え、その 音楽性はかなりハード・コアよりだ。CHRISTIAN FUHRERの ボーカル・ライン等も含めて、如何にも初期METALLICA的な楽曲と サウンド的な色合いを感じさせてくれる。ラストに For Whom The Bell Tollsを持ってくる等、本人たちもかなり 意識しての事だろう。そのため、多分に物真似の域を 出ていないのだが、昨今のつまらない スラッシュ・メタル・バンドより勢いがあり遥に聴ける。 クレジットされているメンバーが2人しかいない事に、将来を 不安に感じるが、演奏的にも無難なので初期METALLICAが好きな 人にはお奨めだろう。[80] HIGHER THAN THE SKY / RAGE ドイツのパワー・メタル・バンドのアルバム、 END OF ALL DAYSからの1stシングル。シングル・カットされた タイトル・トラックの他、JUDAS PRIESTの トリビュート・アルバムに収められていたJawbreakerと未発表が 3曲と言う構成になっている。注目すべきはIRON MAIDENのカバー、 The Trooperだが、割合とそのままやっているので、後はこれを PEAVYのボーカルで聴いて面白いと思えるかどうかだろう。残りの 2曲の未発表曲は可もなく不可もなくといったところで、 アルバムから落ちたのも納得出来るが、Tie The Ropeは 彼等らしいスピード・ナンバーに仕上がっている。[80] MERCY / ALTURA アメリカのプログレッシヴ・ハード・ロック・バンドの デビュー盤。楽曲と言い、メロディと言い、如何にも DREAM THEATERっぽさを感じさせる作品だが、その演奏、表現は もっと叙情的で、シンフォニック・ロック的な味わいがあり、 ポップなものだ。故に、DREAM THEATERに比べると、やや ハード・ロック色が薄く、かなり落ち着いてしまっている印象を けるが、非常に変則的でプログレッシヴ・ロックらしい作品に 仕上がっている。演奏も良いし、特に前面に出ているキーボードは 良い味を出しており、新人離れした完成度を持っている。[83] FOOLCHILD / SAY イギリスのハード・ポップ・バンドの2ndアルバム。出たのはまだ LONG ISLAND record倒産前だがLONG ISLANDではなく 自費出版の様だ。ボーカルは元2 DIE 4のANDY SHOWに 変わっているが、楽曲的にはそういう影響は見えない。むしろ もっとハードさがそぎ落とされ、ブルージィな如何にも AORとしか言えない様な方向へと来ている。THE DOORSのカバー Light My Fireも非常にムーディなアレンジで一聴しただけでは それと気がつかないほどだ。SIMPLY REDみたいなのが好きならば それなりに聴けるかもしれないが、ハードなのが好きな人には 1st以上にソフト過ぎるだろう。[78] WE CARE A LOT / FAITH NO MORE アメリカのミクスチャー・ロックの代表格とも言えるバンドで、 1985年にリリースされたデビュー盤。初代ボーカリストである CHUCK MOSLEYが歌っていた頃の作品だが、彼のボーカルは MIKE PATTONほど切れておらず、その後の彼等の破天荒さはあまり 感じられないが、キーボードの使い方や楽曲は、確かに THE REAL THINGに通ずる様な彼等の独特の世界を構築している。 それ以降の作品と比べると、よりラップ的な色合いが強く、 作品としてはプロダクションが今一つではあるものの、その後の アルバムとまでは言えないが、決して悪い出来ではない。[75] LOOK WHAT I'VE STARTED / PEO スウェーデン人シンガー・ソング・ライターのソロ・アルバム。 叙情的で整ったアメリカン・ロックという感じで、 派手さはないが、美しい売れ線の印象的なメロディの楽曲が 並んでいる。以外とパワフルなボーカルで、元気が 良くてすかっとした壮快感を感じさせる部分もあるし、中々上手い ボーカリストで味わいのある作品に仕上がっている。バックも 適度にハードでハード・ロックという感じではないが、 ハード・ロック系のリスナーも十分楽しめる作品だ。楽曲、 演奏とも非常に良く出来ていて、ルックスはともかく内容で勝負 出来る。[85] INSIGHTS / LEMUR VOICE オランダのプログレッシヴ・ヘヴィ・メタル・バンドの デビュー盤。Magna Carta所属のアーティストらしい、実に テクニカルな作品で、組み曲も含んだ大作嗜好の曲が並ぶ。タイプ 的には最近のDREAM THEATERに通ずる部分もあり、展開があって 楽曲の出来も無難だ。逆に飛抜けた曲はないが、演奏も しっかりしているし、安心して聴ける。シンフォニックな叙情的な メロディもあいまって、かなり落ち着いた印象を受け、良く出来た アルバムだとは思うが、それ以上に訴えかける物があまり 感じられないのが残念だ。プログレッシヴ・メタルでも、より テクニカル・ロックと言った感じの作品で、それ程ヘヴィさは それ程感じられない。[83] DOMINION / KAMELOT フロリダ出身のパワー・メタル・バンドによる2ndアルバム。 デビュー盤では良質の叙情的でメロディアスなパワー・メタルを 聴かせてくれていたが、今作ではメロディ的な部分ではあまり 変化がないものの、楽曲にある程度展開を持たせており、より ドラマティックな作品となっている。だが、残念な事にあまり 上手く消化出来ておらず、それによって却って散漫な 作品になってしまった様な印象を受ける。キーボードも良い 味付けになっているし、大仰なパワー・メタルという事で心引く 部分はあるのだが、この辺りのアレンジがもう少し 何とかならないと名作と呼ぶ域には中々達しないだろう。[81] TIME TELLS NO LIES / PRAYING MANTIS N.W.O.B.H.M.バンドの1981年にリリースされた1stアルバムで、 以前にも日本盤でCD化されたが、今回のCD化で特筆すべき事は、 1980年にリリースされた2枚組みシングルのCHEATEDから3曲 ボーナス・トラックとして収められていることだろう。 Flirting With SuicideとPanic In The Streetsのライヴは スタジオ版の音質からすると十分満足の行くものだし、 アルバム未収録だったThirty Pieces Of SilverはLetting Goで さびが流用されてる様な気がしないでもないが、 PRAYING MANTISらしい佳曲だ。既に日本盤で持っている人には この3曲だけで奨めるのは少し苦しいがマニアは持っていて 損はない。[84] CHARTSCRAPER / FALCON ドイツのメロディアス・ヘヴィ・メタル・バンドの2ndアルバム。 ベース、ボーカル、ドラムが交代し、レコード会社もLigaから 変わっての出直し作となるが、憂いの帯びた叙情的なメロディは 相変わらずである。前作同様、幾分洗練されていない気はするが、 その美しいメロディはさすがで、情感に訴える物はある。しかし、 全体的に整いすぎて引っ込んだ感じがし、否応にも1Stより 地味さを感じずにはいられない。Warのように印象的な メロディもあるだけに惜しい。もう少し洗練され、曲に めりはりが出れば非常に良い作品になっただろう。[84] GOOD ACOUSTICS / FIREHOUSE アメリカのメロディアス・ハード・ロック・バンドの アコースティック・アルバム。既発曲の アコースティック・バージョンが7曲、新曲が3曲、カバーが1曲と 言う構成になっている。叙情的なメロディを作り出すセンスは 流石で、アコースティックで聴くと尚更際立っている。珠玉と 言える楽曲をアコースティックでプレイしたところで、その魅力は 何等減じるところはない。渇いた甘いポップ・センス溢れる サウンドが好きなら買って損はないだろう。この手の アコースティック・アルバムとしては非常に良く出来ていて、 じっくり落ち着いて聴ける作品だ。[87] ACTUAL FANTASY / AYREON オランダのハード・ポップ・バンド、VENGEANCEの元ギタリスト AJREN ANTHONY LUCASSENのソロ・プロジェクトによる 2ndアルバム。前作同様、VEANGEANCEの様な パーティ・ロックとは打って変わり、壮大な プログレッシヴ・ロックのコンセプト・アルバムとなっている。 前作よりシンフォニック色が強くなったので、さらに落ち着いて 地味な印象を受ける。元々のファンにこう言ったものがどれだけ 受けるかは謎だし、楽曲的には前作よりやや落ちるものの、 それでも良く出来たアルバムだ。幻想的なキーボードに扇情的な ギター・サウンドがアルバムの雰囲気を盛り上げている。[88] HEAVEN SHALL BURN...WHEN WE ARE GATHERED / MARDUK スウェーデンのブラック・メタル・バンドの5thアルバム。 路線的には前作までとほぼ変わらない、ブルータルな ブラック・メタルだ。ブラスト・ビートの入った非常に速い ナンバーがずらりと並ぶが、それでもギター・メロディは意外と はっきりしている。楽曲によっては、このメロディが ドラマティックさを出していて、中々味わい深いところも 感じられる。LEGIONのブラック・メタル・ボイスは 相変わらずだが、金切り声という程でもないので、この手では 聴き易い方かも知れない。この手のものとしては大物と言って良い バンドだけあって、ブラック・メタルとしてはかなり良く 出来ているアルバムと言って良いだろう。[80] SCENERY AND FISH / I MOTHER EARTH カナダのハード・ロック・バンドの3年振りとなる2ndアルバム。 全体的にファンキーな作品で、ミクスチャー的な方向性は 変わっていない。そこから醸し出されて来るグルーヴ感は 相変わらず素晴らしいし、楽曲、演奏ともに中々良く出来ている。 どことなくニヒルな感じがして、 オルタナティヴ・ロックっぽさもあって、実に今風な作品に 仕上がっていると言って良いだろう。ブルージィな香りも 漂っていて、若干気だるさを感じさせる中々味わいのある アルバムだが、残念ながら日本ではこう言う作品はあまり 受けないだろう。[84] [[V]] AT THE HARD ROCK LIVE / MR.BIG アメリカのハード・ロック・バンドのライヴ盤。これまで、次々と ライヴ・アルバムをリリースして来た彼等だが、これは 今までのものとはやや趣が異なり、シンガポールで行われた アコースティック・ライヴをライヴ盤化したものだ。演奏的には 全く問題のないバンドだけに、出来も確かだし今までとはちょっと 目先が変わっていて、中々興味深い作品となっている。 アコースティックでも楽曲の良さは減じるところはないし、 スピード・チューンのDaddy, Brother, Little Boyをやっている 辺り等、実に格好良く感じられる。[85] DEATH OR GLORY / HEAVY LOAD 初期北欧メタルを担ったスウェデーンのヘヴィ・メタル・バンドの 1982年にリリースされた2ndアルバム。録音は最低、ボーカルも しょぼいので到底お勧め出来る作品ではないが、北欧の バンドとしてはかなり荒々しく、その勢いと扇情感である程度 そういう問題点をカバーしている。確かに北欧らしい哀愁感のある メロディは持っているが、どちらかというと美しいというより ラフさを感じさせるアルバムである。楽曲もあまり 洗練されておらず、むしろN.W.O.B.H.M.的な雰囲気すら 漂わせている。所詮B級の域を出ていないのだが、全体的に メロディ・センスも悪くないし、臭いのが好きな向きには 良いだろう。[81] WHEN THINGS GET ELECTRIC / KERRY LIVGREN アメリカのプログレッシヴ・ハード・ロック・バンド、KANSASの 元ギタリストによる1994年にリリースされた7thソロ・アルバム。 方向的には、ポップ・センス溢れる良質のロック・アルバムで、 完成度の非常に高い作品に仕上がっている。KANSASの バイオリニスト、DAVID RAGSDALEも参加しているが、この バイオリンが、また中々良い味付けになっている。その他にも、 フルートを入れたりと、プログレッシヴ・ロック畑の人らしい 部分があって、中々面白い。全体的にミディアム・テンポ中心で 派手さはないが、じっくり聴かせる良く出来た作品で、叙情的な メロディは心が洗われる。[84]